事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

村上春樹三昧PART2

2016-01-04 | 音楽

Seiji Ozawa - SAITO-KINEN Chaconne

PART1はこちら

「小澤征爾さんと、音楽について話をする」が刊行されていたことをわたしはさっぱり知りませんでした。

小澤征爾に、創作者として、そして教育者としての喜びを語らせる腕前と、該博なクラシック音楽の知識にびっくり。やるなあ。おかげで小澤は、怖いくらいの本音を語るのだ。

村上「日本の音楽家には、と十把一絡げにするといけないんだろうけど、高い技術はあっても、技法として破綻のない、平均点の高い音楽を演奏できても、明確な世界観がこっちに伝わってこないというケースが少なくないような気がします。自分独自のこういう世界を立ち上げて、それをそのままナマに人に伝えたい、という意識がいささか弱いんじゃないかと。」

小澤「そういうのって、音楽にとっていちばんまずいことですよね。そういうのをやり始めると、音楽そのものの意味が失われてしまいます。本当に下手をすると、エレベーター音楽になってしまう。エレベーターに乗ったらどこからともなく流れてくる音楽、ああいうのがいちばん恐ろしい種類の音楽だと、僕は思うんです」

……村上春樹の採録は、体調の悪い小澤が途中で干し柿を食べるフレーズを挿入するなど、心憎いばかりだ。

いやしかし指揮者とはここまで激しい存在だったのか。文字通りオーケストラが発するすべての音をコントロールしていて、コンサートのときにタクトを振っている彼らの晴れ姿は、単にそれまでの過程を再現しているだけとはねえ。

むかし「空飛ぶモンティ・パイソン」(東京12チャンネル)で、深夜の人だったタモリが、レコードプレーヤーに向かってタクトを振り、しかもダメだしまでする(笑)芸にさんざん笑わせてもらったものだが、やはりあんな怖い顔をした人たちって、それなりの仕事をしていたんだねえ。お勉強になりました。

コメント (2)
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