事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

日本の警察 その80 「機龍警察 火宅」 月村了衛著 早川書房

2015-11-11 | 日本の警察

その79「やがて警官は微睡る」はこちら

今野敏の「隠蔽捜査」が短編集「自覚」でそれぞれの登場人物を掘り下げたように、機龍警察シリーズでおなじみの面々が、短篇という枠のなかでだけれどもクロースアップされてうれしい。

テロリストのライザが沖津にどうスカウトされたかが語られる「済度」。

堅物の宮近が、公務員としてきわどい行動をとるが、そのことで父親として復権する「勤行」。

前作「未亡旅団」で泣かせた由紀谷の壮絶な過去がありながら、なぜ警察官になったかを描く「沙弥」(今回も泣かせます)。

龍機兵の新兵器が電子レンジの応用なのがおかしい「焼相」。

どれもこれも面白い。隠蔽捜査の短篇はキャラしか描けなかったのに比して、こちらはきちんとミステリとしてツイストが効いています。もちろん、キャラもこちらの方が陰影が濃い。その分、とっつきは悪いですけどね。

その81「犬の掟」につづく

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