第三十九話「私たちの子ども」はこちら。
前回の視聴率は13.3%と予想よりもちょっと低め。もっと上昇すると思ったのにな。
広告代理店的発想からいえば、視聴率はグロスで考えられることが多いので、半沢直樹とあまちゃんという巨大台風の去ったあとなので他のドラマにもっと流れるかと……そんなわけはないですか。むしろ視聴習慣を失った層はテレビから離れるのかな。
さて、今回は新島襄の過去が両親の来訪によってうっすらと描かれる。藩の祐筆になることが約束された将来を捨て、函館からアメリカに旅立った無謀な息子。両親を演じているのは清水紘治と香野百合子の俳優座コンビ。清水は異相もあって怪優扱いされることも多いけれど、津嘉山正種につづいてクロスオーバーイレブンのナレーションが素敵だったし、香野も悲劇的な役がとても似合っていたので美人はいつまでも美人だとうれしいです。
徳富蘇峰の旅立ちが基本線。残念ながら脚本も演出もスカスカだったし、八重も何もしていないけれど、自責の杖のエピソードのなかで語られた新島の発言には考えさせられた。
「学校は、生徒のものです」
教えを上からたれることが当然のことだという日本の教育にあって、私学の発祥がこのようなコンセプトだったことはもっと思い起こされていい。体罰が自分に向かっていた教師がいたことはもっと歴史に刻まれているべきだとつくづく。
山本覚馬は府議会議長の座につく。立候補制でなかった原始的な政治制度にもまた見るべきものはあったかも(高額納税者でなければ投票権がなかったことじゃなくて)。出たい人より出したい人を、ですよね。目が見えない覚馬が議長席につくときに、さりげなく時栄用の補助席がさしだされるシーンはうまい。「クイーン」において、侍従がエリザベス女王に椅子を用意するあの演出が参考になったのかな。
半沢もあまちゃんもいなくなった今、その欠落は大河に向かうだろうか。今回の視聴率は14%ジャストと読みました。
第四十一話「覚馬の娘」につづく。