事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「マネーボール」 Moneyball (2011 SONY)

2011-11-12 | スポーツ

Moneyballimg03 原作の特集はこちら

野球映画は当たらないというジンクスがある。日本の話ではなく、ベースボールの国、アメリカにおいても。

もちろん例外はあって、

「がんばれ!ベアーズ」

「さよならゲーム」

「ナチュラル」

「フィールド・オブ・ドリームス」

など、ヒット作があることはある。作品の評価ほどにヒットしたかは別として。

ただ、これらの作品には、どこかもの哀しいテイストが。アメリカ人の心の故郷のようなスポーツだからなのかな。

ベアーズは優勝できないし、ケヴィン・コスナーとスーザン・サランドンの恋愛は苦い。同じケヴィン・コスナーの「フィールド・オブ・ドリームス」を山形の劇場で見終わったら、トイレで学生らしい二人が思いきり号泣していた。ま、バート・ランカスターに

「ヘイ、ルーキー!」

とシューレスジョーが声をかけるあのラストでは、わたしも泣いてしまいましたけれど。

「マネーボール」に肌合いが近いのはロバート・レッドフォードの「ナチュラル」だろうか。遅咲きの天才打者の悲劇を描いたあの映画も素晴らしかったが、ちかごろますますレッドフォードに似てきたブラッド・ピットが製作も兼ねた「マネーボール」も、あの傑作に負けていない。

脚本がとにかく巧妙。感情を抑制できないものだから肝心のゲームを見ないGM、ビリー・ビーンを、(むかし自分もやられたように)クビを宣告することも多いので選手とあまり関わらない(そして自分が観戦すると負けるジンクスに悩む)男にアレンジしてある。

彼のチーム、オークランド・アスレチックスの負けが続くので、別れた妻(ロビン・ライト)のもとにいる娘が心配し、「絶対に他の人に聴かせないで」というメッセージとともに送られてきたCDには、彼女が歌うThe Showという曲が入っていて

♪Show(野球)を楽しみなさい♪

というリフレインが……まさかあの原作からこんなに泣けるシーンを用意できるとは。

選手としては大成できず、だから自分が愛するほどには野球に愛されなかった男が、マネーボール理論でチームを強くしていくサクセス・ストーリー。しかしそれだけではない感動がしこんであります。思わずネットでThe Showを購入してしまいました。

ビリーのShowはなおも続いている。その点、日本の巨人のGMはたいへんだ。あのチームは野球を“プレイ(遊ぶ)”することが許されないからなあ。

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする