2012年 私が観たギャラリー ベスト10

年末恒例のベスト10企画です。今年一年、私が観たギャラリーから特に印象深かった展示をあげてみました。

「2012年 私が観たギャラリー ベスト10」

1.「風間サチコ展 没落THIRD FIRE」 無人島プロダクション(2012/12/8~2013/1/19)



ずばりいわゆる「原子力村」がテーマ。歴史をもひも解いての風間の痛快・明快なメッセージが、それ自体に魅力的な版画表現で展開。いずれも驚くほど見事にはまっています。展示は年始も1/7から開催。(1/19まで)強力におすすめです。是非とも!

2.「石田尚志展」 タカ・イシイギャラリー(3/31-4/28)



昨年のMOTコレクションでも大いに惹かれた石田の個展。生きるドローイング、その動きはまさにスリリング。イメージが次から次へと開かれる様はまるで手品を見ているよう。それにしても作品の裏へ廻った時の衝撃と言ったら。見事でした。

3.「絵画、それを愛と呼ぶことにしよう vol.4 浅見貴子」 ギャラリーαM(8/18~9/15)



今年も極めて充実したシリーズ展を続ける馬喰町αM。毎度の展示に感心させられるところですが、今回は浅見の個展が特に印象的。絵具の滲み、そして錯綜する面と層。それらが織りなす光と影。作品の前で思わず深呼吸したくなるほど。見惚れました。

4.「鎌田友介:D Structure」 児玉画廊 東京(1/21-2/25)



鎌田は今年、資生堂ギャラリーでも展示のあった作家。もちろんそちらも印象深かったのですが、ここはあえて児玉画廊を。スパッと切られたガラスサッシ、そして歪んだフレーム。それらが展開する時に暴力的なまでのインスタレーション。それでいてどこかスタイリッシュな感覚を受けるのも興味深いところでした。

5.「高橋大輔 絵画の田舎」 アルマスギャラリー(4/28-6/2)



今年、私が特に惹かれたペインターの一人がこの高橋大輔。もう、ともかく一目で楽しめる絵具の盛り。平面など吹き飛ばさんと言わんばかりのボリューム感。眼を近づけると絵具にのまれ、圧倒されます。また旧作とあわせた「まぶしい絵具」展を現在、同ギャラリーで開催中です。(1/19まで。)

6.「内山聡 Soaked Paintings」 eitoeiko(9/21-10/20)



「私はキャンバスを塗料に浸けた。」この一言が全てを物語る展示。描くではなく、浸すという行為が、かくも表現に新しさをもたらすのか。そうしたことにも気がつかされる展示でした。このアプローチ、次にどう展開するのかにも注目です。

7.「後藤靖香 暗号模索」 第一生命南ギャラリー(3/23-4/23)



会場の第一生命館、そしてかつて繰り広げられた旧陸軍の暗号解読に着目しての大作を出品。場所と歴史を絡めて突っ込んだ展示は見応えあり。また作品自体も手狭な空間だからこその迫力。さらに本作のために調査した後藤の解説シートも読み応えがありました。

8.「青山悟展「The Man-Machine(Reprise)」 ミヅマアートギャラリー(8/29-9/29)



メグロアドレスにも出品のあったお馴染みの青山悟。作品の緊張感、そして空間全体での完成度は、このミヅマの展示に軍配が上がるのではないでしょうか。悔やまれるのはオープニングのライブに参加出来なかったこと。いつか平子とのコラボの様子を見てみたいです。

9.「安村崇 1/1」 MISAKO & ROSEN(5/13-6/10)



日常の景色を抽象面に還元、幾何学図像が鮮やかな色をもって展開。身近な建物やソファーにかくも美しき抽象的次元が隠されていたのか。単にトリミング云々ではない、新鮮味のある視点から風景を捉える作家のセンスに脱帽しました。

10.「五木田智央 Variety Show」 タカ・イシイギャラリー



今年のDIC川村記念美術館の「抽象と形態」展にも出品のあった作家。シュール、いやそれを通り越してのアクの強い作風、抽象的にも関わらず、どこか生々しいモチーフは目に焼き付きます。個展形式で見られて幸いでした。

次点.「ガロン第二回展 日本背景」 旧田中家住宅(2/14-3/18)

以上です。ガロン展はこの「ギャラリー」の項に含めるのが適切ではないかもしれませんが、こちらで取り上げさせていただきました。川口の旧民家を活かしてのグループ展。単に作家を紹介するだけでなく、場所を強く意識しての展示全体の妙味にも感心。キュレーションの力を感じました。

さて今年はともかく反省点が。まずギャラリーをあまり廻れなかったことと、また見ていても感想なりをブログに書かなかったことです。

例えば今、六本木のWAKO WORKSで開催中のリヒターの新作展も素晴らしい内容。何とかおすすめしたいのですが、私の文章ではうまくお伝え出来そうもありません。本当に申し訳ない限りです。

ですが今年も作品や展示を通して多くの作家さんと出会えたのは収穫。お話をしながら新しい発見や出会いがありました。

それでは毎年同じ挨拶で恐縮ですが、改めて素晴らしい作品を見せて下さった作家さん、そして色々とご配慮下さったギャラリーの方々に深く感謝申し上げます。どうもありがとうございました。

それでは展覧会編に続きます。

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