極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

デジタル課税と国際連帯税

2019年07月12日 | 政策論

  

                                                                                                                                                                                                                             

5.公冶長  こうやちょう
ことば
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全28章のほとんどすべてが人物批評である。  
人に禦る(あたる)に口給をもってすれば、しばしば人に憎まる」(5)
「道行なわれず、俘 (いかだ)に乗りて海に浮かばん」(7)
「回や一を聞きてもって十を知る。賜や一を聞きてもって二を知る」(9)
「われいまだその過ちを見て、内にみずから訟むる者を見ず」(27)
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27 自分の遜ちに気づいたら自分で自分を責める。こんな人間に一度も出くわ
したことがないとは、 なんと嘆かわしいことではないか。(孔子)

子曰、已矣乎、吾未見能見其過、而内自訟者也。

Confucius said,"How incurable! I have never seen a person who admits his
fault and regrets it."



【ポストエネルギー革命序論17】  

【砂漠験で次世代水製造装置の実証試験】

金属有機構造体(MOF:Metal Organic  Frameworks)とは、金属と有機リガンドが
相互作用をもち、活性炭やゼオライトをはるかに超える高表面積を持つ多孔質の配
位ネットワーク構造をもつ材料。ガス吸着や分離技術、センサーや触媒などへの応
用が期待される、3次元ミクロポーラス材料。最もよく研究されている2つのMOF
───「MOF-5」と「HKUST-1」は1999年に初めて報告され、MOF-5は、有機リンカ
ーとしてテレフタル酸ジアニオンを持つZn(II)クラスターで構成(下図2左)。
表面への多層ガス吸着が可能で、MOF-5のBET表面積は約3,500 m2/g、また、後者の
HKUST-1(別名:Basolite® C 300、688614)は、トリメシン酸トリアニオンでリン
クしたpaddlewheel型Cu(II)ダイマーで構成、その表面積は約1,900 m2/gです(
下図1右)。

既知材料のなかで最も高表面積な物質の1つである「MOF-177(Basolite® Z377、
794325」は、MOF-5と同じ金属クラスターと、非直線的な構造の、H3BTBと呼ばれ
るトリトピック(tritopic)カルボン酸の1,3,5-tris(4’-carboxyphenyl)benzene
(686859)から構成(下図2)。MOF-177は、MOF-5と同じ条件下(N,N-ジエチルホ
ルムアミド、100℃)で合成され、そのBET表面積は4,750 m2/gに達す。




MOF 1キログラムで太陽エネルギーだけで、乾燥空気から1日当たり、200mlの
水を製造できる。昨年10月、カリフォルニア大学バークレー校の研究チームがア
リゾナの砂漠で、試作した"ウォーターハーベスタ"で、太陽光電池の以外の電力を
使わずに大気中から水の製造実証の成功を公表。今回、2017年同チームが予測し、
大型の次世代型収穫機の実証。水分収穫機は毎日夜サイクル、低湿度環境下で低コ
ストで製造でき、世界の乾燥地域で使用できる。スコッツデールでの試験では、相
対湿度が夜間で最高40パーセントから昼間の最低8パーセントの範囲で変動下で高価
な金属ジルコニウムから作られた現在のMOF(MOF-801)
で、最終的に1キログラム
(2.2ポンド)のMOF、または85グラムあたり約200ミリリットル(約198グラム)
の水が収穫できる。アルミニウムをベースにしたMOF-303のMOFでは1500倍安く、
実験室試験で、2倍の水を凝縮回収可能となる。これにより、新世代の収穫機は1
キログラムのMOFから、1日当たり400ml(3カップ)以上の水を生産することができ
る。




このシステムは、既に商業用集水装置開発しスタートアップしている。アルミニウ
ムMOFの
ため、サウジアラビアのリヤドにあるKing Abdul Aziz科学技術都市のナノ
マテリアルとクリーンエネルギ
センタで取り組みが始まっている。砂糖型立方体サ
イズのMOFは6つのフットボール競技場のサイズの内部製造か可能となる。この表
面積は気体または液体を容易に吸収するが、同様に、加熱されるとことで素早く放
出する。用途とし、水素燃料自動車のタンクの吸着材、煙突から二酸化炭素を吸収
除去材、メタン貯蔵材として、さまざまな種類のMOFがすでにテストされている。数
年前、水を容易に吸収および放出するMOF-801を作製、昨年彼は周囲の空気から一
晩で水を捉え太陽熱で回収できるかを実験確認。2グラム未満のMOFを使用しその吸
着脱水装置は、原理実証する。同装置でが今年初め、砂漠で再テストし実証に成功
している。空気中の水分吸着脱水装置は箱の中中に置き。内側の箱は湿気吸収に外
気に開放した2平方フィートの箱にMOF穀物を肯定し、透明な上面と側面を持つ2
フィートのプラスチック製立方体に挿入し、表面は空気を流入させ、MOFに接触さ
せ夜間中に開放、箱(筐体)がMOFから水を放出するよう温室のように加熱できる
よう日中交換し、放出された水は外箱の内側に凝縮し底部に凝縮水を収集する。大
規模な実地試験は、特定のMOFで、アリゾナ、地中海、その他の場所のさまざまな条
件に合わせてハーベスタを構成設計する。ここで重要なのは、それが低湿度での動
作であり、世界の乾燥地域で実証する必要がある。これらの条件では、同装置は露
点以下であっても水を集める。次の野外テストで、アルミベースMOFを夏の終わり
にデスバレー実施される。昼間は気温が華氏110度に達し、夜は70年代にとなる。
夜間の湿度は25%になる。




数年前、水を容易に吸収および放出するMOF-801を作成し、昨年、周囲空気から水
を吸収し太陽熱で除湿・水回収できるか実証試験したものの失敗。同収穫装置で、
今年初めに砂漠で同様に試験を行い成功する。今回の成果報告によると湿度、温度
日射強度を変え最新装置で実証試験を行う。製造装置は、内側の箱で湿気を吸収す
るため、2平方フィート(約0.2平方メートル)のMOF材格納層を肯定しておく。
これは透明な上面と側面を持つ60センチメートルのプラスチック製の立方体に入
れ。表面は空気を流入させMOFと接触させるため開放しておき加熱・脱水回収する
ため、日中交換する。回収された水は外箱の内側に凝縮して底に落ち、手動で吸引
し回収。大規模な実証試験は、MOF材の種類や設置場所のさまざまな条件に合わせ
ハーベスタを構成できるように設計する。重要なのことは低湿度で操作しているこ
とである。
今後、アルミベースMOFをテストし、夏の終わりにデスバレー──昼間
で43℃度~夜間21℃の範囲、夜間湿度は25パーセント未満───で行う予定。



【サーマルタイル事業篇:距離場放射熱伝達装置】
ユタ大学の研究グループは、廃熱を使用可能エネルギーに変換するチップを開発。
より多くの熱放射を電気に変換する「デバイス」としても知られるシリコンチッ
プを作製し、従来法 より多くの電気を生み出す方法を考案。
これにより、ノートパ
ソコンや携帯電話のようにバッテリー寿命がずっと長くなり、太陽電池パネルのよ
うに放射熱をエネルギーに変換する効率が大幅に向上す
る可能性がある。



毎年米国で消費されるエネルギーの3分の2もが熱損失される。
たとえば、自動
車のエンジン、ラップトップコンピュータ、携帯電話、さらには冷蔵庫など。
7月
1日、ユタ大学の研究グループは、熱放射を電気に変換する「デバイス」のシリコ
ンチップを作製し、想定以上に廃熱から電気を生み出す方法を発見たことを公表。
それによると、熱放射(熱)からどれだけのエネルギーを生み出すことができるか、
理論的な「黒体限界」があると考えられていたが、2つのシリコン表面の接近する
デバイスを作製することで、黒体限界をはるかに超えてより多くのエネルギー変換
できることを実証、2枚のシリコンウェハを5mm×5mmのチップ(消しゴムの頭ほ
どの大きさ)にして、それらの間のナノスコピックギャプをたった100 ナノメート
ルの厚さにした。チップが真空中にある間、それらは一方の表面を加熱しそして他
方の表面を冷却し、電気を発生させる熱流束を作り出した。このようにエネルギー
を生成するという概念は特殊なものではないが、同グループは、互いに触れずに2
つのシリコン表面を微視的なスケールで均一に密着させる方法を考案。互いに近け
れば近いほど、より多くの電気を生み出すことができることを実証する。



※国体限界:波長の光を吸収・放出できる理想的な物体からの放射の程度が導かれ
る.通常の物体は黒体のように全ての波長の光を放出できす、放射の量は黒体を下
回る.つまり,通常の熱放射においては黒体の放射率が最も高い限界が定められて
いる。この限界を超え,より高効率に熱を逃がすことは出来ないかの反質に、実は,
黒体放射の定式化にあって,計算を簡単にするためいくつかの仮定が用いられてい
る.❶その一つは「遠隔場のみを取り扱う。光源から出る光には,遠くまで伝播し
ていく遠隔場(いわゆる通常の光)とは別に,物体表面(波長程度のサイズ)にま
とわりつくような近接場光というものが同時に存在する.非常に近接した距離に熱
源(放射源)と受光体を置くと,この近接場光も介することで通常の放射以上に熱
を伝達でき,黒体放射を大きく超える熱伝導を成し遂げられることが近年実証され
ている.❷もう一つの別の仮定は,放射源が波長に比べ十分大きいマクロな物体で
ある,というもの.つまり,ナノサイズの物体の場合はプランクの黒体放射の式
成り立たず,より大きな放射が実現する可能性は排除できない.しかしながらこれ
までの研究では,球状のナノ粒子や円柱状のナノワイヤーでは,黒体を超えるよう
な放射は実現出来ないことが報告されていが、厚みが波長より十分小さいナノシー
トを用いると,黒体放射の式より2桁も大きな熱伝達が可能であったという実験結
果および計算上の検証が提出されている(上図参照)。.


この報告は、❷のケースにあてはまり、ナノスケールでの原理実証を行った。将来
的には、このような技術がラップトップやスマートフォンのような携帯機器を冷却
するだけでなく、その熱をより多くのバッテリー寿命、おそらくは最大50%も多
く消費利用できる。たとえば、6時間の充電があるラップトップは9時間にジャン
プする可能性があるというわけだ。チップは太陽熱からの電気量を増やすことで、
または自動車から電気システムに電力供給支援のため、エンジンからの廃熱熱でソ
ーラーパネル効率が改善できる。また、交換可能な電池を必要としないペースメー
カーのような埋め込み型医療機器に適用設計できる。



もう1つの利点は、このような技術が、コンピュータプロセッサを低温に維持し、
損耗を減らすことでコンピュータプロセッサの寿命が延ばせ、それ以外の場合では
ファンがプロセッサの冷却エネルギーが節約できる。それは環境改善に役立つかも
しれない。
電気としてシステムに熱を回収し、今、ただ大気中に放出だけであり、
部屋を暖めるには、ACを使い部屋を冷やす必要がある。これはより多くのエネルギ
ーを浪費する。

面白いですね。デジタル革命+ネオコンバーテック→エネルギー革命。


【ロシアの最新宇宙衛星用有機太陽電池技術】

ロシアのSkoltech科学技術研究所の科学者たちは、記録的に高い放射線安定性を持
つ太陽電池を実証。
有機高分子化合物をベースにしたセルは、地球の低軌道で衛星
に電力を供給するという要件を満たすための有力な候補になる可能性があると語る。
モスクワのSkolkovo科学技術研究所(Skoltech)が率いるチームは 6,000グレイ単
位(Gy)のガンマ線に耐えることができる有機太陽電池を実証した、と同研究所は
記録的に高い成果を上げた。性能が向上することで、セルが地球に近い軌道で衛星
に電力を供給できることが期待される。研究者らは、この装置が10年をはるかに超
える運用寿命を提供できると理論付けた。セルは、ACS(Applied Materials &
Interfaces)に掲載されたフラーレン誘導体およびカルバゾール含有共役ポリマー
に基づく有機太陽電池の印象的放射安定性に記載されている。これらの装置は、カ
ルバゾール系ポリマーとフラーレン誘導体との混合物に基づく。試験は、これらの
材料の複合フィルムが、最大吸収線量6,500 Gyにさらされた後でも、初期の変換効
率の80%以上を維持する。NASAは、地球中心軌道上の衛星は年間平均160 Gyの放射
線量にさらされていると推定しており、Skoltechチームによってテストされた有機
化合物は10年以上にわたってそのような環境で効果的に動作する強力な候補となる。


この論文は、衛星電力用途に有機PVを使用することのさらなる利点(高い電力対
重量比、および柔軟性を含む)に注目。柔軟なプラスチック太陽電池で作られた宇
宙用ソーラーセイルを展開することは、衛星の光電変換器のパワーを高めるための
魅力的な機会である。
同グループが最近、鉛ベースのペロブスカイトのグループを
同様の用途で評価し、5,000Gyの 放射線にさらされるとセルが急速に劣化すること
がわかった
。一方、中国の研究グループは、地球の表面から35km離れたところに酸
素が含まれていないことをペロブスカイトの利点に役立つことを発見する。
宇宙で
エネルギー源を必要とする衛星は、主にⅢ-V族太陽電池に頼ってきた。有機PVやペ
ロブスカイトなどの代替概念は、潜在的にはるかに安価な代替手段を提供できる。

   

 



【続・引き寄せられる混沌Ⅴ:7040問題を考える】

第四章 少子化対策を成長の基盤にする

4-1 少子化対策という成長の基盤  

少子高齢社会は、経済成長にとっては大きな困難をもたらします。そもそも経済成
長の見込みなどない社会だと言う人も少なくありません。これからの日本は、経済
成長をめざすのではなく、人口減少や縮小経済の中でどのように生きるかを考える
しかないとまで言う人もいます。少子高齢社会は、生産年齢人口が縮小する社会で
す。つまhへ生産に携わる労働力人口が減少します。また、人口全体の縮小も起こ
り、消費の需要が縮小します。さらに社会保障費の拡大を招き、いわゆる国民負担
を増大させます。そのため、たしかに少子高齢社会は経済成長にとってはネガティ
ブな要因でしかないように思われます。では、少子高齢化といういわば逆境を、む
しろ成長への基盤へと転換する方法はないのでしょうか。

4-1-1 縮小する日本の人口  

図表4‐1は、2012年に、国立例会保障・人口問題研究所が発表した今後、1
00年間の人目指訓を表していますが、減少のスピ ードと規模は想像を超えろほ
どです。これによると、今から33年後の2048年に人口は1億人を割り、52年後
の2067年には8000万人を下回っていき、2110年にはほぼ4300万人
と、現在の3分の1に縮小してしまいます。政府の一部では、将来人口の数値目標
として、50年後にも1億人程度を維持するということが検討されています(20
14年5月13日報道)。当時の50年後というと2064年ですが、その時点での人
口の推計値は8245万人でしかありません。1億人を1755万人も下回ってい
ます。「50年後にも1他人」を維持するのは、正直、非常に難しい目標です、

人口減少が成長にとってマイナスなのは、疑う余地かおりません。人口減少は、生
産の面でも消費の面でも、経済規模の縮小を招く大きな要因です。したがって、少
子高齢社会における成長戦略という課題にとって、まず第一に考えなければならな
いことは、少子化という趨勢を食い止め出生数の増大へと導くということであるは
ずです。しかし「そんなことは不可能だ」という声がすぐに聞こえてきます。実際
、容易なことでないのは事実です。けれども歴史的に見れば、一度大きく低下した
出生率がその後大きく回復した社会がないわけではありません。最も有名なのがフ
ランスです。フランスは19世紀の末から、人口の少なさに苦しんできました。じつ
は、この時期の合計特殊出生率は、それほど低くはありません。正確な統計データ
は手元にないの ですが、おおむね2・7くらいを維持していたと推測されます。
人口も緩やかに増加しています。ただ、この時期に問題だったのは、 周囲の他国、
とくにドイツと比べて人口増加率が低迷していたことです。もっとも、第一次大戦
期と第二次大戦期にはフランスの人口は減少しています。

1930年代の戦間期にもどちらかといえば人口減が見られます。19世紀末か
ら第二次大戦までは、合計特殊出生率はおおむね2・O以上を維持していたので
すが、死亡率も高かったために、人口増が見られなかったということになります、
第二次大戦後になると合計特殊出生率は大幅に増大して、3・0前後で推移して
いました。人口も順調に増加しています。ところが、1960年代の後半から合
計特殊出生率は低下し始め、1993年には1・66へと低下してしまいました。
フランスが本格的に 少子化対策に乗り出すのは、この頃からです。  

そうした政策が功を奏したのかどうか、その後合計特殊出生率は 回復していき、
2010年には2・Oを上回っています。もう一つの例がスウェーデンです。20
世紀以降のスウェーデンの合計特殊出生率の推移を見ると、3度も落ち込みの波
に襲われています。最初は、第二次大戦前の1930年代で、それまで2・O以
上を保っていたのが1934年には1・67にまで低下しました。その後、上昇
に転じ、大戦に巻き込まれなかったためか、1945年には2・63という高出
生率を示しています。しかし再び低下過程に入り、1970年代~80年代は1・
6~1・8の付近で推移しました,けれど、これもまた1980年代後半から急
速に回復して、1990年には2・13に達したのです。ところが、その後3度
目の低下に見舞われ、1998年には過去最低の1・50まで落ち込んでしまい
ました。しかし、これもまた上昇に転じ、2010年には1・98となっていま
す。フランスにしても、スウェーデンにしても、合計特殊出生率のこのような上
下変動の要因が十分に解明されているわけではありません。しかし、とりあえず
ここで重要なことは、「いったん落ち込んだ出生率も、再び増加し、2・O近く
にまで回復する可能性はある」ということです。 
日本ですら、これまでの最低は2005年の1・26でした。それが、2013
年には1・43へと、わずかですが上昇してきているのです。  

4-1-2 少子化対策とGDPの成長  

少子化を食い止めること、できれば人口の減少を食い止めることは、日本社会の
長期的な繁栄にとって最大の要件をなしていると言っていいでしょう。そのため
には、徹底的に資源を投入しても構わないと考えてもいいのではないでしょうか。
こういうたとえを嫌う人もいるかもしれませんが、これは自衛戦争に似ていると
考えてもいいように思います。自衛戦争においては、まさに自分たちの独立した
社会が維持できるかどうかの瀬戸際に立だされています。その場合、国力を挙げ
て自衛に取り組むというのは当たり前なことでしょう。直接的な戦闘員としてだ
けでなく、生産資源も徹底的に防衛産業に向けられることになります。そうした
としても、そこにはムダはないといえます、自衛戦争では、社会の存立が短期的
な危機にさらされています。が、少子化は長期的に存立の危機を招いています。

その危機の克服のために徹底的に資源を役人することは、決して悪いことではあ
りません。さて、少子化対策としての政策は、「短期的」な経済との関係で分け
ると、大きく次の3種類の可能性を考えることができます。

(1)GDPを拡大させる可能性のあるもの。
(2)GDPに対して中立的なもの。
(3)GDPを縮小させる可能性のあるもの。  

少子化対策それ自体がGDPを拡大させるという(1)の可能性を強調しても、
にわかには信じない人が多いかもしれません。多くの人は、社会保障費を増やす
とGDPにとってマイナスだと思い込んでいますが、これはまったくの誤解です
じつは、これは社会保障とGDPとの関係の重要な点の一つです。直接的にGD
Pを拡大させる政策の代表には、保育サービスの充実があります。保育園の増設、
保育生の増員、保育定員の拡大等々は、確実にGDPを増加させます。「保育サ
ービスの提供=保育サービスの購入」は、付加価値の生産になっているからです
。たとえば、専業主婦の人が、無職を継続しながら子どもを保育園に預けるとし
ます。この場合には、GDPの拡大はそれほど大きくはありませんが、それでも
多少のブラスになります。保育園に預けるということは、保育サービスを購入す
ることだからです。したがって、保育園に預けないという選択肢と、預けるとい
う選択肢を比較すれば、明確に、預けることで子ども一人分の保育サービス生産
という付加価値が生まれているのです。もちろん、この付加価値の大部分は保育
生の報酬に分配されます。今は専業主婦ですが、子どもを保育園に預けることが
できれば働きに出たいと考えている母親の場合には、GDPを拡大させる効果は
よりはっきりしたものになります。この場合には、保育サービスが生産されるこ
とに加えて、母親の就労による付加価値の生産が加わるからです。

※日本の少子化対策の問題状況については、松田茂樹氏の『少子化論-なぜまだ
結婚、出産しやすい国にらないのかI(勁草書房、2013年)に詳しく分析さ
れています。

4-1-3 保育の市場化の意味  

ここでおそらく、多くの人はこう思うのではないでしょうか。「かつては子育て
は家庭の中で行われていた,保育というのは、母親の仕事であった。それが、単
に他の人が保育に携わるというだけで、何でGDPが増えるのか。かりに増えた
としても、それは実質的には経済全体としてプラスになったと見なすことはでき
ないのではないか」この疑問は、ある意味では当然だといえるでしょう。同じ仕
事でありながら、母親が家庭の中で行うときはGDPにはカウントされず、別の
人が家庭の外で行うときはカウントされるというのは、何かおかしい感じがしま
す。しかし、じつは同じようなことは、保育に限らず、家事サービス全般に関わ
っているのです。まず外食産業がそうです。自宅で臭さんの手料理を食べるとき
は、材料費以外にはGDPに関係しませんが、レストランで外食するときはGD
Pに寄与しています。学習塾もそうです。自宅で親が子どもの勉強を見ているだ
けだと、GDPには関係ありません。それが、学習塾に通うようになれば、塾サ
ービスの生産が関わってきます,ここで何か違っているかといえば、「経済取引
」の量です。家庭内の仕事は経済的な取引ではありません。それに対して、同じ
仕事を家庭の外の人のサービスとして購入するときは、経済取引になります。し
たがって社会全体の(貨幣価値で表した)経済取引の量が増えることになります。
GDPというのは「国内で生産された付加価値の総額」だと言いましたが、ここ
で「生産された」という意味は、「経済的に取引された」という意味も含んでい
ます。たとえば、ロビンソン・クルーソーのように、何から何まで自分一人で生
産し、それを消費して生活している人がいるとしましょう。その人の「生産」し
たものは、「誰によっても購入されません」。そのため、その人が生産したもの
は、残念ながらGDPにはカウントされないのです。ある人が生産したもの(サ
ービスもきむ)を他の人が買うという取引があるということは、その生産という
行為が、その人だけの世界から、ほかの人が関係する世界へとつながっているこ
とを意味します。そこで生産されたものは、その人だけでなく、ほかの人にとっ
ても価値のあるものだ、ということです。そのように、経済取引が成立するとい
うことは、生産という行為が「他者にとっても価値のある」行為であることの証
しです。GDPという概念は、価格という指標を用いて、そうした行為の全体的
な総量を測定したものになっているのです。

     盛山和夫著『社会保障が経済を強くする─少子高齢社会の経済戦略-』
                   第四章 少子化対策を成長の基盤にする
                              この項つづく
                    

 ● 今夜の一曲

竹内まりや 人生の扉

協和発酵(現・協和発酵キリン)CMソングとして発売前からOAされていた楽曲。N
HKの番組 『SONGS』ではこの曲を山梨県のスタジオで披露。本作の核であり、アル
バムタイトルの「デニム」はこの楽曲の歌詞から取られている。後に本作には収録
されていないが、2007年8月8日に当時の完全なる新曲である『チャンスの前髪』
と両A面でジャケットを緒形拳の題字でシングルカット。2008年10月30日に渋谷ク
ラブクアトロで行なわれたセンチメンタル・シティ・ロマンスの35周年記念ライ
ブにゲスト出演しライブで初めて演奏。また、同年12月28日に大阪フェスティバル
ホールにて行なわれた山下達郎のライブのアンコールに「私からもフェスティバル
ホールにさよならを言わせて欲しい。」とゲスト出演した際にも演奏される。

● 今夜の寸評:デジタル課税と国際連帯税

フランスと米国がデジタル課税───国際的な大手IT企業に課税する各国の政策─
──を巡る鬩ぎ合っている。。工場や事務所などに拠点を置く企業が現地で課され
る法人税を納めているのに対し、これらのIT企業はタックスヘブン───法人所得
や利子,配当,使用料などに対して税制上の特典を設けている国または地域のこと
をいい、これらの国または地域では,通常は税制上の優遇措置に加えて為替管理会
社法などの面でも特別の規定が定められており,多国籍企業が名目だけの会社を設
立し収益をそこに集中して税金逃れをはかったり,資金操作に利用したりする例が
多く、経済協力開発機構 OECDの 「有害な税の競争」報告書(1998)は、タックス・
ヘイブンの(1) 無税または名目的な課税,(2) 他国と実効的な情報交換を行なって
いないこと,(3) 透明性の欠如,(4) 実質的活動の欠如などの識別要素──をあげ
ている───よろしく、税率の低い国や地域に利益を移すことで納税額を減らす脱
税行為に対する規制強化の動き───EUは加盟国共通のルールを創設するため売上
高の3%に課税する案などを検討しているが、低税率を武器に企業を誘致してきたデ
ンマークやアイルランドなどが反対したことで、当初目標としていた2018年末まで
の合意は断念───がある。一方で、気候変動や貧困、疫病などの地球規模の問題
への対策資金を創出するための、革新的資金メカニズム(IFM) 構想のひとつとし
て、国境を越えて展開される経済活動に対し課税し、その税収を途上国向けの開発
支援などに活用することを目的とした国際連帯税はいまだ協議中で實視されていな
い。「グローバル化と格差拡大」の対抗政策と不正監視と不正抑止を目的とした国
際法の再構築を急ぐべき、世界の安寧と安定ののため日本政府は前向きに行動すべ
きであろう。


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