Eight-Door Memories

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ジャクソン・ブラウン・ライブ・レポート(2015/3/11) 

2015-03-13 20:09:00 | ライブ・レポート

                                                   (「プログラム」から)

 あの未曾有の大震災から5年目の去る3月11日、東京のオーチャードホールで大なわれたジャクソン・ブラウンのライブを観てきた。彼を知ったのは、小生が二十歳くらいだったので、かれこれ40年以上が経過したが、その当時、彼の曲は、他のシンガー&ソングライターにも取り上げられていて、そのデビューは「注目のシンガー&ソングライター」というような形容で、マニアックなファンに知られるのみだったと思う。その彼が今や大御所として紹介されるまでになり、ビッグになってしまったことを思うと感慨深いものがある。



 出かける前、9日行われた最初の名古屋公演のライブ・レポートを見ていたので、だいたいのセットリストは既に頭に入っていた。会場に着き、長年待っていた彼に会えるその時がやっと来ると思うと期待が高まったが、ふと前を見ると3列くらい前の席にピーター・バラカン氏の顔が見えた。

 やがて開演の時間になり、彼が登場し、大歓声が上がった。服装も態度も全く飾ったところがなく、自然体だ。そして、オープニングは、やはり「The Barricades of Heaven」だった。イントロが始まると再びの大歓声と拍手。サウンドとともにこちらの身体も自然にリズムに乗って来る。彼のヴォーカルは、キーはやや下がっているが、年齢を感じさせるところはまったくなく、素晴らしいの一言だった。



 こうして彼のライブが始まり、ほとんどが知っている曲なので、いろいろな想いとともに心の中に滲みてくる。じっくりと聴いていたいのだが、一曲が終わる毎に外人ファンがリクエストを要求するのには少々閉口した。ジャクソン・ブラウンも困りながら適当にあしらっている。

 彼のセットリストは、最新アルバムの「Standing In the Breach」からの曲を中心に各年代の曲を万遍なくちりばめたような構成だった。テンポがいい曲が続くかと思うとスローな聴かせる曲が続いてくる。お客を乗せて、盛り上げようというよりも歌のメッセージをしっかりと受け取ってほしいというようなスタンスに思えた。我々日本人は歌詞が分からないので、ちょっとその辺が厳しい部分があるので、ノリを期待してきたファンは、やや物足りなかったかもしれない。

 ライブは二部構成で、やはり日本公演だからかMCは控えめで、メンバー紹介も名前をさらっと紹介しただけで、それぞれのアドリブが入るというわけでもなく、シンプルなものだった。しかし、曲毎にギターのアドリブだったり、ハーモニーだったり、それぞれの聴かせ所がしっかり用意されていたのは、さすがだった。

 今回のライブを観ようと決めたのは、今回が6年ぶりの来日ということと彼の年齢、最新アルバムの「Standing In the Breach」が曲の出来、そしてサウンド面がすごく良かったことで、メンバー的にも充実していると思えたことだった。実際、ライブのサウンド面は、予想どおり、期待していたとおり素晴らしいものだった。

 特に気に入ったのは、やはりマルチ・ギター・プレイヤーのグレック・リーズの加入だった。ヴァル・マッカラムとのからみは素晴らしく、彼のペダル・スティール(ラップ・スティール?)やドブロが各曲にふんだんに入っていて、それは70年代のカントリー・ロックやウエストコースト・サウンドを想わせるものだった。またバック・ヴォーカルの二人のディーバ達もジャクソンの歌を引き立たせていて、素晴らしかった。彼が「最高のバンドだ」と言ったのもまさに納得できた。



 ラストが近づいてくるにつれて、前列のファンは、スタンディングが多くなってきて、「The Pretender」、「Running on Empty」でラストになった。アンコール時には総立ち状態になり、リクエストどおりの「Take It Easy」。そしてアルバム「For Everyman」の流れのとおり「Our Lady of the Well」と続き、最後は、やはり3.11ということで、メッセージの後に流れてきた曲は、必ず来るであろうと思われた「Before The Deluge」だった。そして「アリガトウ」という言葉を残し、彼はステージを後にした。時計はもうすぐ午後10時という時間だった。

 感想はというと、あっという間のライブだったので、正直もっと聴きたかったので、やや物足りなかったし、残念だったのは、名古屋公演に入っていた「Fountain of Sorrow」が抜けてしまったことだった。帰りのお客さんを見るとやはり40代から50代が多かった。女性も多かったが、落ち着いた人ばかりで、奇声や嬌声を上げるような人は誰もいなかった。

 小生の隣の席の方も女性だった。決して若くはなかったが、髪が長く、スタイルも良くて、バブル時代のお立ち台を想わせるような豹柄のコートとミニ・スカートというファッションで、非常に魅力的な方だったが、田舎者の小生としては最も苦手とするタイプで、やや気が散った。やはり渋谷は違う!?

 小生の物足りなかったというのは、贅沢な要求であり、ジャクソン・ブラウンのライブは、「身体で感じさせるものではなく、心で感じさせるものなんだ」という言葉が頭に浮かんできた帰り道だった。また、震災のことがあり、ジャクソン・ブラウンもノリを自重していたのかもしれないということも考えたりした。ライブの余韻は、お酒に例えると極上のバーボンのような酔いなのかもしれないと勝手に思った。留守番の妻に感謝しながら、渋谷の夜の街を歩き、駅へと向かった。

 今もオーチャードホールでは最後の東京公演が行われているだろうが、こうして既に普通の日常生活に戻ると夢から覚め、ライブがまぼろしだったようなそんな感じだ。でも、また彼の歌を歌ってみようかと思ったりした。

【セットリスト】

《Set One》
01. The Barricades of Heaven
02. Looking Into You
03. The Long Way Around
04. Leaving Winslow
05. These Days
06. Shaky Town
07. Just Say Yeah
08. I’m Alive
09. You Know The Night
10. For A Dancer

《Set Two》
11. Your Bright Baby Blues
12. Rock Me on the Water
13. If I Could Be Anywhere
14. Which Side?
15. Standing In the Breach
16. Looking East
17. The Birds of St. Marks
18. Doctor My Eyes
19. Sleeps Dark And Silent Gate
20. The Pretender
21. Running on Empty

《Encore》
22. Take It Easy
23. Our Lady of the Well
24. Before The Deluge


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10 コメント

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レポート、ありがとうございます (北平道敏)
2015-03-13 22:12:27
そうですか、3.11のコンサートに行かれたんですね。バラカンさんが来てたんですね。彼もジャクソン・ブラウンが好きですからね。これは明日(14日)のNHKFM「ウィークエンド・サンシャイン」できっと話が出ますね。必聴!でも、このレポート、本当によくまとめられていて、素晴らしい!雰囲気がよく伝わってきます。確かに「Fountain of Sorrow」が抜けたのは残念だったけど…。隣に魅力的な女性がいたのもよかったですね(^^)。あらためて彼の全アルバムを聴きたいと思っています。貴重なレポート、ありがとうございました。感謝!
Re:レポート、ありがとうございます。 (takaboh)
2015-03-13 22:28:22
北平道敏さん

コメント、ありがとうございます。

確かに明日の「ウイークエンド・サンシャイン」、楽しみですね!

全アルバムをお持ちなんですか! それはすごい! 実は、小生は介護とかで音楽から離れていた時期があり、「時の征者」とかのあたりは持っていないんです。(汗)

女性に関しては、勘弁して下さい。ゴージャスな人は苦手で緊張するので、近くよりは少し離れて眺めるのがいいですね。(笑)

Unknown (kashin)
2015-03-14 07:11:50
24曲のセットリストを全て書けるなんて・・・
凄いファンなんだってことが理解できます!
歳をとっても衰えを知らないJ..Bは凄いね!
Unknown (yama)
2015-03-14 10:13:26
takaboh さん、おはようございます。
今までの頑張りへのご褒美かも知れませんね。
Unknown (takaboh)
2015-03-14 12:10:51
kashinさん

コメント、ありがとうございます。

セットリストは、名古屋公演のセットリストを知っていたので、だいたい同じでしたから・・・ (汗)

JBは、1948年生まれですから、今年で67歳のはずです。顔の皺は深くなりましたが、髪は豊かだし、スタイルもいいし、声にもハリがあって素晴らしいと思いました。

凄いです!!
Unknown (takaboh)
2015-03-14 12:12:52
yamaさん

コメント、ありがとうございます。

お恥ずかしい限りですが、いい冥土の土産になると思います。

Unknown (Pinebridge)
2015-03-16 15:18:21
 至福の時間だったんでしょうね、いいなあ~(^o^)

 曲自体は何曲か知っていたりどこかで聞いた気がしていましたが、いい年になってギターをまたやるようになってから、takabohさんの自宅へ初めておじゃましたとき、takabohさんの弾き語りで“♪The Barricades of Heaven”を聴かせていただき、いいなあと思ってJackson Browneに強く惹かれ、彼のCDを買ったりしました。

 “♪Fountain of Sorrow”は、抜かしたらいかんでしょう!といいたいですね。
Unknown (takaboh)
2015-03-16 18:12:33
Pinebridgeさん

コメント、ありがとうございます。

ブログは拝見させていただいておりますが、ご無沙汰していました。m(_ _)m

観たい人は、たくさんいるのですが、そうそう行けるものではないので、これはという時だけ行かせてもらっています。やはり行って良かったです。

ジャクソン・ブラウンが好きになってももらえて、嬉しい限りです。

「Fountain of Sorrow」、聴きたかった曲だったので、残念でした。機会があったら、またお話ししたいですね!

Unknown (mackk)
2015-03-17 06:38:07
先輩は11日に行かれたのですね。
コンサートの模様が手に取るように解って楽しかったです。

実は自分は最初はチケットが取れなかったのであきらめていたのですが、やはり行きたい・・・とネットで購入、13日に行ってきました。(実は当日38度の熱が出て、どうしようかと思ったのですが夕方には下がったので何とかいけました。)

確かにいいバンドでした。ラップギターはまるでリンドレイのようでしたし、ボブのベースも相変わらず小気味良いリズムでした。その日も何曲かはリクエストに答えてやってくれました。("Late For The Sky" など)

3時間近いコンサートでもあっという間でした・・・
Unknown (takaboh)
2015-03-17 08:57:34
mackkさん

コメント、ありがとうございます。

ジャクソン・ブラウン、13日のチケット取れて、熱も下がったということで、良かったですね!

"Late For The Sky"も歌ってくれたんですか! 3時間もあっという間に過ぎてしまいますね。本当にもっともっと聴きたかったのです。(^^;

お身体のほうは、くれぐれもお大事にして下さい。

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