函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
目の前の太平洋からのメッセージです。

熊との共生は可能か

2024年05月06日 09時03分57秒 | えいこう語る

▼北海道で軽四トラックのフロントガラス目掛け、熊が突進した映像が流れた。近くに子供がいた母熊が、子供を守るためだというが、野生の熊の恐ろしさを実感した映像だ。

▼北海道に70年ほど住んでいて、近隣の熊出没情報は子供のころから聞いている。今でも「近くに熊が出没しました。山菜取りに出かける方は十分な注意を」などという、地域防災無線放送が流れる。

▼怖いもの見たさで、一度野生の熊に出会いたいものだと思っていた。だがその希望?は、一瞬のうちに消え去った。

▼知り合いの老ハンターから、野生の熊の実態を聞いていたが、この生々しい野生の恐怖を見せつけられては、熊との共生は不可能ではないかと、実感させられる。

▼だが冷静に考えれば、熊の住む大地に移住してきた人間が、熊が住む場所から追いやったという歴史を思い出す。

▼春がやってくれば、山奥まで山菜取りに車で出かける。秋はキノコ狩りだ。熊だってゆっくり眠れない日が多いに違いない。

▼もう10年ほど前になるが、秋に川にイワナ釣りに出かけていた。イワナ酒を楽しむために、数匹釣ってくる。

▼紅葉した川でのイワナ釣りは、実に気持ちがいい。だがそこに熊の檻が仕掛けられていた。ハンターに聞くとその周辺は、熊の通り道だという。

▼その年からイワナ釣りに出かけたことがない。燗酒に焼いたイワナの香ばしさ、この楽しみを私は失ってしまった。

▼春には山菜の「アイヌネギ」の採取に妻と出かけたが、いつもの場所は熊が出没すると言われ、それも断念してしまった。

▼熊のせいではない。人間が熊の住む地域に、無断で入ったからだと考えていた。相手の領域を侵す、侵略戦争のようだと。

▼ロシアのウクライナ侵攻で、輸入材が入らなくなり、北海道の森林が異常に伐採されている状況を、目の当たりにする。

▼山を荒らされているので、熊の出没が多いというのも聞く。実際禿山状態を見ると、熊ばかりではなく、他の野生動物たちの居住環境は、悪化しているのを感じる。

▼私の家も前は海で、後ろには山がそびえている。鹿が庭にまで出没し、庭木を食い荒らす。角の立派な鹿が、我が家の庭の出没する。ハンターは、我が故郷は人間より鹿が多いと話している。

▼駆除しなければ人間の生息域が狭まる。昨日も鹿肉を戴いた。柔らかくてとてもおいしい。牛肉の代わりに北海道は、鹿肉が主流となるかもしれない。

▼熊に話を戻すが、人的被害が多くなっている。さらに前述した映像の影響で、熊の駆除対策が促進されそうだ。

▼対策会議にアイヌ民族の出席は見当たらない。アイヌの知恵を借りることは、和人のプライドが許さないということか。こんなところにも、人種差別意識が働いているのではないかと思う。

▼アイヌの鮭の捕獲問題も、現行法に乗っ取れば違反だという。現行法は「和人による和人のための法律」だからだ。

▼アイヌ新法によれば、先住民族と認められたが、先住権は認められていない。アイヌ民族が快適な土地は、天皇の御領地に没収された歴史もあるからだ。

▼先住権問題は「天皇制」に端を発している問題でもあるので、厄介な問題なのだ。東京大学の加藤陽子教授の言葉を思い出す。

▼「天皇批判が出来ない国に真実はない」。加藤教授はスガ元総理に、日本学術会議のメンバーから外された。理由はいまだに語られないままだ。

▼熊の駆除・鮭の捕獲・天皇制へと繋がる北海道開拓の歴史。そんな視点で「北海道問題」の解決を図ってもらいたいものだ。

▼半導体産業のラビダスの北海道進出が、一気呵成に行われている。進出が‟侵略”に、チョッピり感じる、道産子の私だ。