ハージャ・シャムスッディーン・ムハンマド・イブン・バハーウッディーン・ハーフィズィ・シーラーズィー((中略)Khwāja Shams al-Dīn Muḥammad Ḥāfiẓ-i Shīrāzī、1325/1326年 - 1389/1390年)、通称ハーフェズ(またはハーフィズ)は、イランの詩人。「ハーフィズ」(Hafiz/Ḥāfiẓ)は古典的な読み方、「ハーフェズ」(Hafez)は現代ペルシア語的な読み方であり、世界的にはどちらも広く用いられている。日本では、黒柳恒男訳『ハーフェズ詩集』(東洋文庫)以降、「ハーフェズ」で定着した感がある[要出典]。
後に編纂された『ハーフェズ詩集』は、東西の文化に影響を与え、ゲーテは晩年、ハーフェズの詩に感銘を受け、『西東詩集』を綴った。ハーフェズの詩についてゲーテは「ハーフェズの詩を理解するには 魂まで一汗かく必要がある」と語ったという。恋と酒と自然の美などを主題とした作品が多く、民衆に広く愛され、現代でも「コーランなくとも各家庭にはハーフェズ詩集あり」とまで言われている。
ハーフェズの名は、「ガザル」と呼ばれる形式の抒情詩でよく知られる[8][7]。そのほかには、学究的な散文作品もあり[7]、「サーキーナーマ」と呼ばれるジャンルの飲酒詩もイランの古典音楽(ペルシアの伝統音楽)(英語版)にとっては重要であるが、抒情詩ガザルこそがハーフェズ文学の中核であると考えられている[8]。
ガザル詩形自体はハーフェズが発明した詩形ではなく、数百年前からアラビア語詩の世界で詠まれてきたものである[9]。一般的にガザルは「愛」をうたうものである[9]。ハーフェズ作品もその例にもれず主なテーマは「愛」であるといえるが[8]、「恋愛詩人」という一般的なハーフェズのイメージにそぐわないような、世の偽善を暴露するような内容のガザル作品もある[4][8]。
(中略)
神秘と陶酔
15世紀の詩人ジャーミーは、ハーフェズがスーフィーの誰かの弟子であったかどうかは定かではないが、ハーフェズ詩集はスーフィーが読むに値する最良の本であると述べた[11]。近現代の学者の間でも、ハーフェズがなにがしかのスーフィー教団に属していたかどうかという点については意見が分かれる[11]。しかし、ハーフェズを神秘主義思想家(ʿāref)とみなす者は多い[11]。ハーフェズの抒情詩は暗示に富み、詩中にあらわれる「酒」「罪」「音楽」「喜悦」といった言葉が、慎重に選び抜かれた超越的存在のシンボルと解されたり、グノーシス主義的観点から解釈されたりしてきた[11]。イラン・ペルシア文学者の岡田恵美子は、ハーフェズの抒情詩が一見耽美的に見えても、その真意は「神秘主義の陶酔境を巧みな比喩をもって表現したもの」であると述べた[12]。
(後略)
詩の一つを
シマノフスキー「ハーフィズの恋愛歌曲集」 第1集 op.24、第2集 op.26 | 翡翠の千夜千曲 (ameblo.jp)
から転載させてもらいます。
「朝の微風の息吹きが麝香を振り撒くと
老いた世界がふたたび若返ろう
はなずおうは紅の祝杯をジャスミンに与え
水仙の目はアネモネを見つめよう
別離の悲しみに虐げられた夜鶯は
叫びながら薔薇の王宮に入ろう
私が寺院から酒場に行っても咎めるな
説教の時間は長くて時間がかかろう
心よ、今日の快楽を明日に延したら
生命の元手をだれが保証してくれよう
シャバーン月に酒杯を手から放すな
この太陽はラマザーン明けの祭の夜まで隠れよう
薔薇は可愛い、それとの交りを恵みと思え
花園にこちらから現れ、あちらへ去っていく
楽師よ、親交の宴だ、恋歌を歌え
いつまで過去と未来を語るのか
ハーフィズはそなたのために存在した
歩を運び彼に別れを告げよ、彼は去るだろう (黒柳恒男 訳)
参考:
イランの動画・イランでもよく飲まれている「コカ・コーラ」 - Various Topics 2 (goo.ne.jp)
Hafez and Persian Poetry in Song (Part One) (youtube.com)
映画『ハーフェズ ペルシャの詩』予告 出演:メヒディ・モラディ/麻生久美子 (youtube.com)
Helena Bonham Carter reads The Guest House by Rumi (youtube.com)