Various Topics 2

海外、日本、10代から90代までの友人・知人との会話から見えてきたもの
※旧Various Topics(OCN)

『朗読者』 by ベルンハルト・シュリンク

2010年02月19日 | 芸術・本・映画・TV・音楽

ベルンハルト・シュリンク(1944年ドイツ生まれ。ハイデルベルク大学、ベルリン自由大学で法律を学び、1982年以降、ボン大学などで教鞭をとる。現在フンボルト大学法学部教授)の『朗読者』(本を読んだand/or映画を観た人だけご覧ください

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%97%E8%AA%AD%E8%80%85

を読みました。

この本の映画は『愛を読む人』という題で昨年日本でも上映されたアメリカ映画の原作です。

これは、1950年代のドイツ-15歳の少年ミヒャエルが36歳の女性ハンナと恋に落ちる(?)ところから始まる話で、映画では恋愛映画に分類されるのでしょうか(私は映画の方は観ていないので、友人の話等での印象)。

映画の方でももちろん小説と同じく、1944年生まれの作者の世代-ナチスドイツの時代に関りをもたなかった世代-から見る、間接的であれかかわりを持った親の世代を見つめる複雑な視点、というものも描かれているとは思いますし、少年の成長の過程にも軸がおかれているかと思います。

ただ、この少年が15歳から50歳になるまでの話を2時間程度の映画にまとめ上げるには、どうしても少年と女性の間の繋がりに重点を置かなければならないでしょう。

また、映画にしても小説にしても、最初から最後まで、ハンナの行動・ミヒャエルの行動に「何故そうしたの?」という疑問が沸くと思いますが、これの回答が映画と小説では大分違ってくるでしょう。

そして、小説を読んだあとは若い頃にヘッセやゲーテの文芸作品を読んだ時と同じような余韻感じられるのに対して、映画の方ではそれは期待できるとも思えません。良い映画ではあるようですが、小説を読むことをお薦めします。

本の案内:http://www.shinchosha.co.jp/book/200711/

余談ですが、この作品中、悩んでいる息子が、普段あまり子どもに関心を寄せていないだろう父親(哲学者)のところに相談に行く場面があります。

そこで、父親がする大学生の息子へのアドバイス、接し方がとても印象に残りました。父親の言葉を2つ紹介しましょう。

「でもわたしは大人たちに対しても、他人がよいと思うことを自分自身がよいと思うことより上位に置くべき理由はまったく認めないね」

「君を助けられなくて残念だとは思わない。君が問いかけた哲学者として、という意味だがね。父親としては、子どもを助けられないという体験は、ほとんど耐え難いものだよ」

(松永美穂訳)

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Intelligient mind-知的好奇心を失わずに

2010年02月16日 | 教育

息子の大学受験も終わり、やっと一段落つきました。出願間際まで「自分が何をしたい」「何を勉強したい」のかを真剣に考えていなかった息子ですが、どうやら受験が刺激になって、自分の将来を真面目に考え出したようです。

また、第一志望大学の合格がわかったとたん、「ギリシャ・ローマ神話や、聖書を読んでみたくなった」と言い出したのには驚きました。受験から開放感による気まぐれか、それとも何か思うことがあってか・・・。

まあ、神話や聖書の中の話などは、私達の時代は小・中学生のときに読んだものですが、最近の子どもは流行や映画化されたファンタジーものは一生懸命読むけど、神話などを読む子は少数派。ファンタジーものも、神話や聖書を少し読んでいるのといないのでは、読み方も変わってくるのですが、そこまで深く読もうともしません。

ともかく、息子が本当に読むかどうかはおいておいて、神話や聖書(そして古典・哲学書に発展させてくれるとうれしい)に興味を示しだしたと言うことは、喜ばしいことです。

先日、友人T(“フランクフルトの友人Tの帰国”参照)と、私達の上司であったN氏と、神話、心理学、哲学、宗教の話をする機会がありました。

彼ら二人は国立大学出身のいわゆる「世界を股にかける典型的エリート」です。仕事もでき、それなりの地位についている彼らですが、彼らの持っている学生の頃と変わらぬ知的好奇心の強さにはいつも溜息をつかされます。その関心の対象は当然「仕事がらみ故」のものもありますが、基本は「人間の思考のメカニズム」「人間の行動(歴史的・将来的)に対する理解」のあくなき追及。

宗教については、私達3人とも、特別な信仰をもっているわけではありませんが、「宗教の意義」「人間が住むところに宗教と神話がないところはない」と言う部分で、神話については「神話(または御伽噺)のなかで、ギリシャ神話と日本の神話には類似するものが多い」ことに着目(ユングなどはこれについて特に着目していると思います)という点などもあって、話はつきません。

高校生の頃に古典とあわせて宗教や哲学の本を既に読んでいたという二人(Tに関しては、当時の彼には難しすぎる本を買ってしまって後悔していたところ、その本を自転車に乗せて走っている時に落としてきてしまったとか。

「これで、『あの本は自分に読まれる運命になかった』と思って、あの時はほっとした」とちょっと背伸びした辛さも暴露)のような高校生や大学生は本当にわずかだと思いますが、幸い、最近世の中がこうした「教養」に対してスポットを当てだしています。

これは今のところ、もともと教養的下地がある中高年や、「歴女」等から起こった「教養ブーム」からのようですが、学生達にも感染して、彼らのうち何人かでもN氏やTのような「深さをもった大人」に育ってくれることを願います。

(うちの息子は・・・ちょっと無理かもしれませんが、奇跡が起きることを願いましょう。)

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