Various Topics 2

海外、日本、10代から90代までの友人・知人との会話から見えてきたもの
※旧Various Topics(OCN)

二足のわらじの弊害

2010年08月29日 | 人物

前回のブログに出てくる前田匡史氏といえば、国際協力銀行(JBIC)の国際経営企画部長(兼駐留軍再編促進金融部長)で、内閣官房参与に抜擢された人です。

彼の幅広い人脈やノウハウ、そしてバイタリティは政府(それは民主党でなくなったとしても)にとって重宝であるとは思います。

ただ私は、彼がJBICに留まりながら、官邸で指南役をするということに違和感があります。

たとえば、今回グアム融資の返済についての疑問を呈したのは、たぶんJBICの一部からでしょう(87日の記事参照)

しかし、内閣参与が一声「Go」サインを出すのなら、その声はひっこめざるを得なくなってしまうのではないでしょうか。

今回の融資がどうなるかは分りませんが、たとえ政府に従わなくてはいけないとしても、その前にJBICは銀行であり、職員は銀行家としての役割もあると思います。

“前田氏個人”としてはともかく、“パワフルな内閣参与”を前にしては、自由な意見交換もままならない気がします。

先月の日経新聞の「ニュースな人ヒト」からの抜粋を以下に貼り付けますが、異端児に合わせて組織を改革するのが良いのか悪いのかはおいておいて、前田氏は活躍の場を広げるためにも、もうJBICから独立して活躍したほうが良いように感じます。

異端児は一匹狼が似合います。

・・・世界で高まるインフラ需要を取り込もうと、各国が官民挙げてしのぎを削る中で、受注失敗が続く日本。政府は今後、国家戦略プロジェクト委員会を新設し、省庁横断、官民連携での受注を目指す。前田さんはこの委員会の円滑な滑り出しに向けて考えをめぐらす。

 「これまでは部下を海外に行かせる部長ばかり。自分のような部長はいなかった」。前田さんにとって現地の生の情報や人脈づくりほど重要なものはない。今でも年間の半分は海外を飛び回る。霞が関の官僚にはこの「1次情報」が圧倒的に欠けていると指摘する。

 (中略) JBIC内では自他ともに認める異端児。国際金融の最先端を見たくて入行したが「想像を絶するような保守的な職場だった」。嫌いなことの一つが型にはめられること。ワシントン駐在時代にこれまでの行員が付き合わないような米政府中枢の要人と親交を深めたことが転機となった。

 「民主党政権は可能性があるけど混乱している。その混乱を見てみたい」。独特の言い回しで「お役所仕事」の総本山、首相官邸に足を踏み入れた理由を語る。JBICの雰囲気を変えたように、政府内でも異端にとどまらずに活躍できるのか。

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

グアムインフラ融資をめぐる迷走

2010年08月29日 | 国際協力・プロジェクト

以下は米軍基地移転関連で、グアムのインフラ融資についての展開です。

長いですが読んでみてください。この迷走振りは、小説の題材にも使えそうです。

なお、日本の融資の返済が滞った場合は保険で補填されるでしょうが、そもそも保険金を支払うのは日本政府。「税金(年金)が使われることはない」とは言い切れないと思います。

また、グアム要人は「米国政府が負担を」と言っているのに、米国政府ははそれは完全無視して日本政府に負担させようとしています。

日本も「沖縄の負担を減らす為」と言いながら、実は他に計算がありそう。

日本はカモなのか、それともタヌキなのか。

以下は記事の転載:

87日 (読売)

沖縄に駐留する米海兵隊のグアム移転に関連して、日本政府がグアムのインフラ整備として融資する7億4000万ドル(約632億円)の約6割にあたる下水道事業費が、返済不能になる可能性が高いことが分かった。

 日本側は「採算が取れず、税金で穴埋めが必要になる」として現状では融資に応じない構えで、最大で2020年までかかる海兵隊の移転がさらに遅れる可能性も出てきた。

 2006年の日米合意では、日本政府が7億4000万ドルをグアムのインフラ整備を行う事業体に融資し、米軍やグアム市民らの利用料で返済することになっている。

 先月27日、米側が公表した海兵隊グアム移転に関する環境影響評価書最終版によると、日本が融資する7億4000万ドルのうち、4億1500万~4億3500万ドルを下水道、1億6000万~1億6500万ドルを上水道、1億6000万~1億7000万ドルを電力にそれぞれあてる計画だ。

 しかし、グアムで唯一、上下水道事業を経営している「グアム水道事業庁」(GWA)は、利用料収入の低迷などで多額の負債を抱えている。同評価書も「借金はおそらく返済不能だろう」と指摘し「もし日本政府からの必要な資金の獲得に失敗したら、資金拠出が行われるまで事業の発注を延期する必要がある」と明記している。

 これに対し、日本政府関係者は「現計画では、融資したお金を回収するのは難しく、融資には同意できない」と断言。日本側は日米協議の中で、経営をGWA以外に委託し、日本側が関与するなどの方法を検討している。それでもGWAが保有する施設を利用しなければならないこともあり、打開のめどは立っていない。

 米側は、最初の下水処理場の改修を来年1月に始める予定だが、計画の遅れは避けられない情勢だ。

812日 (読売)

沖縄の米海兵隊のグアム移転に伴う下水道整備問題で、「グアム水道事業庁」(GWA)を管理する「公益事業総合評議会」のサイモン・サンチェス議長は11日、地元テレビに「グアム市民は移転のための負担から免除されるべきだ」と述べ、日本からの融資の返済に水道利用料を充てることに反対する意向を表明した。

 米政府は移転に関する環境影響評価書最終版で、「利用料が融資の返済に充てられる」としているが、同議長は移転に伴うインフラ整備費について、「米政府が負担すべきだ」と述べた。この問題では、日本側がGWAに融資して下水道事業を進めることが検討されているが、返済の見通しが立たないため、日本側が融資に難色を示している。さらにGWA側の強硬姿勢が明らかになり、ハードルがさらに高くなった形だ。

818日(TBS

 沖縄に駐留するアメリカ海兵隊。このうち8000人を2014年までにグアムに移転させることを、日米両政府が4年前に合意。普天間基地の移設と並ぶ沖縄の負担軽減策ですが、こちらも延期の可能性が出てきています。

 理由は「インフラの未整備」。グアムの人口、わずか16万人に対して、移転する海兵隊とその家族は併せて1万7000人。人口の増加に、上下水道が対応できないというのです。

 そこで、この問題を解決するために、日本側がインフラ整備に向けた融資を行う、そんな検討が総理官邸内で行われていることがJNNの取材で明らかになりました。

 「アメリカの問題だから、勝手にやってくださいということも出来るんですけどが、そういった場合、誰が損するか。沖縄にいる海兵隊の移設が進まないということは、ただちに沖縄県民が、あるいは日本の方が、日本国民が、日本国が困るわけですよ」(内閣参与・前田匡史氏)

 仙谷官房長官の指南役とされる前田匡史内閣参与。国際協力銀行の現職部長で、アメリカ国務省や国防総省に強固な人脈を持つ前田氏は、「グアム移転がうまくいかなければ、海兵隊が沖縄に残ることになる」と警告します。しかし、前田氏が主張する新たな「融資」には、日本の「負担」が問題となります。

 日本政府は既に移転に向けた協定をアメリカ政府と結び、日本側の負担額や融資の対象を決めています。日本側の負担額は、移転経費の6割にあたる60億ドル、5100億円にのぼります。新たな融資は、新たな負担になりかねないのです。

 「追加負担ととらえられないわけでもないかもしれないが、そう考えるべきではない。税金を投入するわけではない」(内閣参与・前田匡史氏)

 日本の環境技術によってグアムのインフラを整備し、そこに国際協力銀行が融資するのだといいます。ですが、日米合意にある融資の中にも、既に回収困難と判明しているものもあり、防衛省側は総理官邸の動きに警戒を強めています。

 「官房長官は、民間人の助言をうのみにしすぎている」(防衛省関係者)

 「知恵を出すことが私に求められている職責なものですから、それに従って、政治判断に必要な材料は、私が提供する」(内閣参与・前田匡史氏)

 普天間移設とグアム移転問題。政治主導と官僚組織の対立も絡み、政権内の足並みの乱れも浮き彫りとなっています。

824日 (読売)

ロバート・ウィラード米太平洋軍司令官は24日、都内の米国大使館で読売新聞などと会見し、沖縄駐留の米海兵隊約8000人のグアム移転について、今後日米両政府による相当の努力がなければ、合意した2014年の完了期限達成は困難との認識を示した。

 司令官は、「普天間は(海兵隊移転に必要な)多くの条件の一つでしかない」と述べ、沖縄の普天間飛行場移設問題が解決しても、グアムのインフラ整備の遅れなど様々な問題が日米双方に残る、と説明した。また、移転が14年に実現しない場合も「深刻な戦略的影響はない」と語った。

 司令官は、韓国海軍哨戒艦沈没事件は「北朝鮮の権力継承と関係があると確信している」と述べ、金正日総書記から三男金ジョンウン氏への権力移行の過程で同様の事件が繰り返される可能性に懸念を示した。

82715時 (毎日)

 在沖縄米海兵隊のグアム移転計画を巡り、日本政府が日米合意の融資額を上回る資金を国際協力銀行(JBIC)を通じて米側に追加融資する案を、非公式に米政府に伝えていたことが27日、分かった。政府関係者が明らかにした。移転計画は日米合意で定めた期限の14年より遅れる可能性が高く、追加融資で計画を進展させる狙いがある。しかし、新たな負担増となる提案は日本政府内にも異論があり、具体化には調整が必要となっている。 (後略)

82717時 (共同)

米政府が、在沖縄米海兵隊の米領グアム移転に伴って日本側がグアムのインフラ整備のために融資する7億4千万ドル(約627億円)の大部分について「返済計画が作れない」と日本政府に伝えていることが27日、分かった。米側は移転事業の停滞を防ぐため、なお早期の資金提供を要請しているが、日本側は融資を当面見送る方向で検討を始めた。

 複数の日米関係筋が明らかにした。

 移転事業は既に当初計画の2014年から3年以上遅れる見通しで、移転完了のさらなる先送りは同盟関係の弱体化につながる恐れがある。このため日本政府は、資金をすべて負担することによる決着の選択肢も捨てていない。

 06年の日米合意によると、国際協力銀行(JBIC)の融資で海兵隊移転に伴うグアムの上下水道や電力関連施設を整備する。当面の焦点は、その融資の約58%を占める下水道事業(最大約4億3500万ドル)。米政府は返済を、グアム側が徴収する水道料金などで賄う予定だった。

 しかしグアム側が返済義務を負うことを拒み、最近になって米側は「返済計画が作れない」と日本側に伝達した。

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

ウサギと亀の競争、ウサギは井の中の蛙に

2010年08月24日 | 国際・政治

821日英エコノミスト誌記事(JBpress の翻訳記事)『ジャパン・アズ・ナンバースリー』http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/4256 より抜粋:

“日本のサラリーマンはかつて現代の侍と評価されたが、現在は「草食男子」(臆病で野心に欠けるという意味)と呼ばれている。2003年以降、起業を夢見る新卒社員は14%へと半減し、終身雇用を望む新卒社員はほぼ倍の57%まで増えた。

 若手社員は外国への配属を嫌がり、上司を困らせている。さらに外務省のある高官は、日本の外交官たちも国内での勤務を希望していると打ち明ける。

 このように草食化が進む今の日本人は、以前と比べても明らかに「グローバル化」の面で後退している。2000年以降、米国に留学する中国人とインド人は倍増しているが、日本の留学生は3割も減り、アジア人留学生全体に占める割合もごくわずかになってしまった。

 また長年、義務教育の中学校で英語を教えているにもかかわらず、英語の試験の点数は先進諸国で最下位だ。そのこと自体は必ずしも問題ではないが、日本の経済が輸出に依存している以上、他国との関係は生命線のはずだと、東京大学の経済学者、伊藤隆敏氏は危惧する。“

社会学者エズラ・ヴォーゲルが『ジャパン・アズ・ナンバーワン』を著したのは1979年。

日本が三番手になったのは、中国の台頭があってのことですし、その中国もそうであるように、どの国にしろいずれナンバーワンの地位を引き渡す可能性はあります。そして、こうした順位に一喜一憂する必要があるのかどうか、疑問です。

ただし、この記事で指摘されているように「日本の若者が保守的・内向的になったこと」と、それに加えて、「日本人の多くが、未だに中国やその他躍進中のアジアの国々(特に韓国やタイなど)に対して変な優越感を、自国の優位性に対しては幻想を持っている」ということ、これらを改善しないと本当に日本は魅力のない国になっていくと思います(それは即ち衰退)。

優越感・幻想-78日のブログで『ジェーさんの転職と社内英語公用語化』を書きましたが、あれを読み直してみると、自分自身も「アジア諸国に対しての日本の永遠の優位性」という幻想から逃れられていないのだな、と反省します。

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

ある女性の戦争体験

2010年08月15日 | 戦争・紛争

以下は私が取材協力した記事です。

(当初、満州の話をメインに取材が進められましたが、女性が記事にされることに躊躇したためオフレコになったことが多く、T記者は記事を書くのに苦労されました。その代わり、T記者は女性に電話で追加取材をし、楡川でのエピソードに肉付けをして素晴らしい記事を書き上げました。)

この取材において、女性が当時の話をあたかも昨日あったことのように話していたことが印象的でした。

あの戦争を気軽に「過去のこと」と言う人達がいますが、戦争の体験者、戦争で親族、友人を亡くした方々(当然占領された国の人々も含みます)にとっては、何十年前のことであっても記憶は鮮明、傷が癒えることもありません。

2007.8.24 東京新聞夕刊

鎮魂の夏 (交流が結ぶ母への伝言、満州撤退・・・朝鮮人「あんたの娘は日本へ」)

-62年前の8月、満州(中国東北部)を撤退した旧日本軍の731部隊の家族を乗せた列車が、朝鮮半島を南下していた。列車が南部の村・楡川の鉄橋を渡る時、子どもの時代この村で過ごした女性(89)に、母や姉が暮らす家の屋根が見えた。楡川駅を通過する列車から、女性は母親あてに自分が内地(日本)に戻ることを走り書きしたノートの切れ端をホームに向かって投げた。誰かが拾って、母親に届けてくれることを願いながら。終戦から3,4日後のことだった。-

今年の終戦記念日を前に、関東地方に住む女性から匿名を条件に話を聞くことができた。

私は彼女が731部隊の関係者であることだけでなく、楡川での出来事にも強く興味をひかれた。

中部地方の農家に生まれた女性は3才の時、一家で楡川に移り住んだ。看護婦(当時)の養成所を卒業し、内地の保健所に勤務。1943年、731部隊の事務員だった8つ年上の男性と見合い結婚し、満州に渡った。

ハルビン近郊の平房にある部隊の本部は高い塀に囲まれ、人の出入りが厳重に管理されていた。広大な敷地には小学校や商店、映画などの娯楽もあり、一つの町になっていた。食料や日用品は何でも手に入った。

女性は部隊の診療所に勤め、風邪などの兵士らの看護を担当。部隊が細菌兵器の研究や、人体実験をしていることは知らされていなかった。だが、軍医や兵士の話が耳に入り、マルタと呼ばれる中国人らが生体解剖されていることには気付いていた。

マルタを見たことはなかったが、捕虜になったスパイだと聞かされ、医学の研究の為には仕方がないと思った。悪いことだという意識はなかったという。

ソ連軍が間近に迫った1945年8月13日夕、突然、退去命令が出た。女性は部隊が証拠隠滅のために火を放った官舎が、暗闇の中で燃えているのを列車から眺めた。

同21日、山口県に上陸。数ヶ月遅れて引揚げてきた母親は、娘が内地に戻ったことを知っていた。楡川で投げた手紙は届いていなかった。だが、改札口にいた朝鮮人の男性が女性をみかけ、「あんたの娘が日本に向かったよ」と知らせてくれたのだという。「安心した」と母親は言った。

日本の敗戦後も、この朝鮮人の男性が女性に親切だったのを意外に思って尋ねると、女性は「小さい村で朝鮮人との関係が悪くなかったからでは」と答えた。

女性が子どものころ、朝鮮人の子どもたちと風呂敷で川魚を釣ったり、駆けっこをしたりした。だから、家族の中で一番早く朝鮮語を覚えたという。毎年、旧正月には言えに風呂のない朝鮮人が大勢、風呂を借りに来た。

戦後、「悪魔の部隊」と呼ばれた731部隊と女性が語る楡川での穏やかな暮らし。どちらも日本が侵略したアジアの地で、一人の女性がかかわったことだ。人間の織り成す複雑さに戸惑いながら、少し立体的になった戦争の姿に、現実の重みを感じた。

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

『何故人を殺してはいけないか』という問い

2010年08月08日 | 雑感

大阪で、23歳の母親が3歳と1歳の子供を餓死させせた事件は、本当に胸が痛みます。

最近、子供を虐待する親が増えてはいます。虐待は昔からあるのですが、最近の虐待が昔の虐待と違うのは、虐待する親が自分の子供を『生身の人間』と考えていないように思えるものがある、ということだと思います。

今回の事件の母親などは、わが子を『たまごっち』感覚で扱っているよう。面倒だからご飯も与えないで部屋に放置。しかも子供が扉を開けないようにドアをガムテープで封鎖・・・彼女はまさかリセットボタンを押せば、いつでも子供が生き返ると思ったわけでもないでしょうが、もうこうなると、事件の方が虚構の世界の出来事なのではないか、という錯覚さえ覚えます。

さて、この事件もそうですが、最近の殺人事件で思いだすのは、「人は何故人を殺してはいけないか」という私が小学生だったころの担任の先生の問いかけです。

「人間は何故人間を殺してはいけないか」-生徒達からは「法律で罰せられるから」、「失った命は二度と取り戻せないから」「親が悲しむから」「本能で同類を殺すのを制御」という意見がでました。

もちろん、殺人がいけないといっても、戦争はあり、そして人を殺すべき兵器を作って儲けている企業があり、と世の中が偽善に満ちているのを私達は知ってはいました。それであっても、やはり『人の命の尊さ』というものは常識であって、それを軽視する人間が身近に潜んでいる、と感じることはなかったのです。

子供が邪魔になれば閉じ込めて殺すより、子供を捨てる親の方が多かったでしょうし、「むしゃくしゃしたから誰かを殺して『あっ』と言わせたかった」などというような無差別殺人はほとんどなかったと思います。いじめも昔からあったのだと思いますが、相手を自殺まで追い込むようなものが昔もこんなに多かったとは思えません。

「何故人を殺してはいけないか」については、答えの出ない問いであるかもしれませんが、数式一つ教える時間を減らしても学校で生徒に考えさせたり、パソコンゲームに熱中している子供にゲームを一旦中止させて呼びつけて親が質問するなど、本気で大人達が取り組んでいかなければいけない時代なのだと思います。

追記: 虐待事件が起こると、『虐待(ネグレクト含む)の連鎖』と分析する人もいて、今回の事件の母親にもそれを当てはめようとする専門家もいるようです。

現実に、虐待をする母親は過去に自分も虐待を受けた人が多い、というデータはあるでしょうが、「自分が虐待を受けてきたから、子供には嫌な思いをさせたくない」と頑張っている母親のほうが私はずっと多いと思っています。

こうした分析は、かえって今普通に子育てをしている母親に、「私は昔虐待を受けたから、自分の子供に虐待をするかもしれない」という恐怖心を与えたり、(事件にならないまでも、)わが子に虐待に近いことをしている母親を「私も虐待されてきたのだから、仕方がない」と開き直らせたりすることもあるではないでしょうか。

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

東アジア安全保障-韓国

2010年08月04日 | 国際・政治

前回のブログ、『日本政府に欠けているもの』で触れた韓国と核についてですが、韓国では70年代に核開発を進めようとしたことがありました。そして、2004年の核開発疑惑。近年でも、北朝鮮に対向して核を保有すべきだ、という政治家や一般人は案外少なくないようです。

とはいえ、これらは国際社会(特に米国)の圧力で、いずれも頓挫。

この韓国の核をめぐる動きについて、私は今まで全く知りませんでした。70年代は私はまだ子供で、国際政治など興味がなかったので仕方がないとはいえ、2004年はどうしてこうした事件に気がつかなかったのでしょう。

当時香港駐在員事務所で働いていたTに「2004年の韓国の核開発疑惑って、覚えている?新聞に載っていた?」と訊いてみると、彼も読んだ記憶がないと言います。

もしかしたら、この事件は、ごく一部の新聞に小さく扱われただけだったのかもしれません。

韓国ではこの時の報道はどうだったのでしょうか。繊細な問題なので質問しようかどうか躊躇いながらも韓国の友人Cさんに、2004年の核開発疑惑について「本国でどう報道されたのか」、そして「韓国では核保有を支持する人が多いのかどうか」を訊いてみました。

Cさんは、2004年の報道については何も触れませんでしたが、

「韓国では、『北朝鮮が持っているから韓国も核兵器を持ったほうが良い』という人もいます。しかし韓国が持つと日本も保有することになり、東アジアの緊張が高まり、不要な軍事費がかかることになるから、核は持たないほうが良いという人の方が多いと思います。」

というような返事をくれました。

私はCさんにお礼と感想とともに、

「日本の場合は、広島、長崎の原爆投下された経験があることもあって、核兵器どころか、原子力発電所に対してさえ、アレルギー反応を示す人は多いと思います。」

「日本の安全保障を考える時、『アメリカの核の傘』を信じていない政治家の中には、稀に『核保有論者』もいるようですが、大きな声でこれを言い出す雰囲気はありません。」

と書き送りました。

それにしても、Cさんのメールを読んだとき、私は強い違和感を覚えたのですが、それは何故だったのか-

日本人は『日本が核を持つと東アジア諸国からまた軍国主義に走るのではないかと警戒されるから、核は持つな』ということを米国に言われ続けてきているので、韓国が日本より先に核保有国となろうとしていたことを考えていなかったせいなのか(韓国の核開発疑惑をあまり表立って報道しなかったのは、変なメンツにこだわったせいもあったのかもしれません。)。それとも米国政府や国際社会の反応だけに振り回されるのではない、韓国の核や東アジアに対する“理性”を感じたからなのか。

私のCさんに書いた返事は「日本は核を持つことはないと思う」というのをアピールしただけでしたが、それは核や安全保障に対して私の思考が停止している、つまり、危機感が不足している現われでもありました。これも、違和感を持った一因でもあったと思います。

(そうは言っても、やはり核はどの国も持つべきではないと思う私の気持ちに変わりはないです。)

安全保障と核の問題を他国と協議するというのも変な話かもしれませんが、核を保有していない近隣国との意見交換の場は、市民レベルから公式なものまで、もっとあるべきなのではないでしょうか。

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

日本政府に欠けているもの

2010年08月03日 | 国際・政治

725日の東京新聞に掲載された、英社会学者、ロナルド・ドーア氏のコラムから:

『時代を読む-米中に果たす日本の役割』

弱まった菅政権にのしかかる課題が多い。最大の頭痛の種は、国内のデフレに次いで普天間問題だろう。5月28日の日米共同声明を、声明通りに「著しく遅延なく」実行することは不可能だろう。

米外務省(国務省)からペンタゴン(国防総省)に主導権が移ったアメリカの最近の対日姿勢に、ひいては日米安保体制に、与野党に嫌気が差す人が増えてきた。普天間の問題で首相を躊躇なく倒すくらい強固な線を固守し、今度はグアムに移転する米海兵隊のため、日本の自衛隊の住宅基準よりだいぶ贅沢な家を造ろうと、既に約束した三兆円の増額要求が来た。

5月のゲーツ米国防長官と岡田克也外相による会談後の声明で、日米同盟を「より信頼性・実効性のあるもの」にする必要を認めたくらいひびが入っている。2009年防衛白書は、日米同盟が日本の「大きな資産」であることを説くのに、米国が冷戦後、軍事的に「抜きん出た存在となり、その地位が揺らぐことは当分ありそうにもない」と書いた。

だが、日本は「当分」ばかり考えず、長期的ビジョンを考える国であったはずだ。

先日、沖縄県沖を中国の艦隊が最新型の潜水艦を見せびらかしながら通った時、日本の海自衛艦にヘリが近接飛行で敵意を示したことも、今週、黄海で行われるはずだった米韓合同軍事演習を中国が霍乱する脅しで日本海に移させたことも、一時の現象ではない。太平洋における中国の軍事支配権と米国のそれとの境界線を、序々に東へ移そうとする中国の計画的な「平和的勃興」の一環である。

最近、台湾への武器売却問題や為替レートなど、米中関係に摩擦が多いのだが、基本にあるのは国益よりも国威だろう。アメリカの飛行機が自由に中国沖を横行しているのに、中国がカリフォルニア沖で同様のことをするとは考えられないという非対称性には多くの中国人がたまらないだろう。昔、上海の黄浦公園に「犬と中国人の入園を禁ず」という看板があった話は伝説だそうだが、中国人には、特に中国のエリートには、今でも不当に世界の二流市民扱いをされているという認識は強い。

戦前の日本で、ロンドン条約で日本が米英より少ない戦艦の割り当てを押し付けられたり、アメリカへの日本人移民が差別的に制限されたりと、多くの日本人がたまらない気持ちをしたようにだ。そのたまらない気持ちが原動力となり、日本は国威発揚を目指す軍事大国となって白人覇権の世界をひっくり返そうとする悲劇的な戦争を起こした。

日本の場合、それが身分不相応な野望だったという結論に達し、勝者の従属的同盟国になるのに甘んじている。ところが、中国は敗戦の経験がない。日本の二の舞を演じるようなシナリオは十分考えられる。そうならないようにすることは、アジア諸国の、否、人類最大の課題だろう。

日本がそれに有用な役割を果たすには、アメリカとも中国とも対等な立場で交渉できる独立国にならなければならない。その第一歩は、米国のミサイル防衛開発への参加を止めることであろう。開発の狙いが中国の核先発能力(報復を恐れずの先発)を米国に与えることだ、という中国の受け止め方が当たっているだろうから。

第二歩は?最低抑止力となる核をおおっぴらに開発し始めること。それが起こす大騒ぎ、および崩壊しつつある核拡散防止条約体性については、次回のコラムで論ずる。

私は、①中国が、戦前の一部の日本人が持っていたような『白人覇権の世界の屈辱』を米国に感じるというより、「ここまで出世したのに、何故現実を見つめず、昔のままの優位性を信じているのか?時代はもう違う」という考え方が主流であると思うので、中国が権威になるのはむしろ、現在の自国の優位性が失われそうになった時(中国でバブルがはじけたり、もしくはその前に田舎の農民達が暴動を起こし政情不安になった時)だと思う、

②日本が核開発を行うことは何の解決にもならないし、また、仮にそれを始めるとしても、(拡散防止条約を無視して)韓国※、台湾、ベトナムが開発してからやっと出来る、と思っている、という二点から、今回の彼のコラムに対しては頷けない部分も多いのですが、ドーア氏が書くように、「日本政府は長期的ビジョンを持ってほしい」という部分、本当にそれを切に願っています。昔は今より癖のある政治家が多かったですが、同時に長期的ビジョンを持った人も多かった気がします。

※韓国は、70年代半ばそして04年半ばに核開発をしようとしたり、開発疑惑がでたりしています。(2004年については、秋山信将氏のレポート参照:http://www.policyspace.com/2004/10/post_341.php)

コメント
この記事をはてなブックマークに追加