湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

屈・伸の詩パート4

2020-02-15 22:47:02 | オリジナル
共通テーマ「屈・伸」でTが書いた詩を投稿します。

還暦

浮いたり 沈んだり
また発熱したり
互いを指でなぞったり
怠惰なまま過ごした
晩夏の午後
萎れた乳房のように
時が伸びて たわんでいる

ベランダの端に屈んで
満ちてくる潮を眺める
川岸にいた鵜が
潜水した
随分長いこと潜っている
突然
これからは単純明快に生きよう
と決めた
ポッと水面に出てきた
鵜と視線が合った

もうじき鋭利な秋が来る
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節分俳句パート2

2020-02-13 16:25:27 | 文学
今日の小笠原学園俳句入門のお題のひとつにも節分があったので、節分は過ぎましたが今回もAの詠んだ節分俳句(添削後)を投稿します。
入学試験夕べの豆がポケットに
鬼いずこへ福いずこより春の闇
空青しミス鎌倉の鬼の豆


鶴岡八幡宮でミス鎌倉が撒く豆。三角の袋に入ってます。
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屈・伸の詩パート3

2020-02-12 23:06:57 | オリジナル
共通テーマ「屈・伸」でAが書いた詩を投稿します。

うわのそら

開いた口の中で舌を縮こめていた
診療台から解放され外に出る
両の唇をパカッと離して
空気を吸い込んでやると舌は
道路の向こうの海の上の空へ
詩の言葉を狩りに昇っていった
この世界に無限にあるらしい表現の
ほんの一部もものにできていないのに
正確な連絡もしなければならないのに
触れたり舐めたり味わったりに
わたしとしては飢えているのに
舌は浮游したがるのである
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詩はなぜマイナーか

2020-02-10 22:13:48 | 
武満徹と川田順造の往復書簡集「音・ことば・人間」にこんな一文がありました。
文化の理解においては、理解される内容は、全体として定まったものとしてはじめからあるのではなく、理解しようとする主体の働きかけに応じて姿をあらわしてくる。
理解しようとする人が少なくなってしまったから、現代において詩はマイナーなジャンルなんだな~。
現代詩って散文みたいにスラスラ読めないから鑑賞に手間暇かかったりするしね。
でも言葉の深さを追求したい時もあるから、読み手が少なくてもやっぱり必要。
言語の〈意味〉よりも〈価値〉に重点を置いて描写されるものを「詩」と呼び、〈価値〉よりも〈意味〉伝達に重点が過剰に置かれた描写を散文と呼ぶというほかないとおもえる。(吉本隆明「詩学序説」より)
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buoyの会座談会

2020-02-08 17:21:10 | 文学
先月末にご紹介した「あなたもエッセイスト」講座は、受付開始当日で満席に!
講座当日に欠席されると、キャンセル待ちの方が参加できなくなってしまって残念に思っていたので、
当日欠席の可能性を見込んで定員を2人増やすことにしました。

キャンセル待ちといえば、松下育男さんが講師を務めるbuoyの会も、会場の定員を超える申込数になることが多く、
やむを得ず行けなくなった場合はキャンセル待ちの方に席を譲れるよう、なるべく早く連絡するようにしています。
今月の講話は豪華特別編で、井坂洋子・高橋千尋・佐々木安美さんをゲストに迎えた座談会でした。

左から井坂・高橋・佐々木・松下の4詩人
作者の朗読もあり、それぞれの詩人が人生の中で何をどんな言葉で詩に紡いできたかが、じ~んと伝わってくる内容のお話も堪能しました。
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改作 私が眠っている間に

2020-02-06 23:08:19 | オリジナル
12月にAが「私が眠る間に」として出した作品を書き直しました。
前回の合評会で俎上に上げる時間がなかったので、今月24日の合評では、こちらをご批評ください。

私が眠っている間に

蝶が翅をたたむ傍らで
ロゼットが湿っていく
ごく細かい年輪を刻んできた大木の夢が頂点に達し
その根が一本ずつゆっくりと
地面から外れていく
大気圏で流星が燃え尽き
運転手が女を摩天楼へ届け
放火犯が興奮して帰ると
豆苗がくねりながら水を吸っている

私は泣きながら眠り続けるが
君は疑問の余地もなく起き上がるだろう
窓を開けて消えていく夜を目で追い
湯を沸かし豆を挽く
専売所に白紙の朝刊が届く
数羽の鷺が枝で首をもたげる
海が碧くなる前に港を出た船が
空の底で眠る私に網をかぶせる
このまま目覚めずにいたいのだが
貝殻草の花びらのように喉が乾いている
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節分俳句

2020-02-04 23:22:19 | 文学
冷たい風に逆らい、自転車漕いで北久里浜の神奈川新聞文化教室に行きました。
俳句講座で本選に入ったAの節分俳句です。
節分の夜にぶつけし自己嫌悪

↑昨日の亀岡八幡宮
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屈・伸の詩パート2

2020-02-02 08:56:34 | オリジナル
共通テーマ「屈・伸」でAが書いた詩を投稿します。

時の屈伸

多摩川を渡ると東京
千鳥一丁目で曲がる
君の位置が照準に入る
商店街にできた安売店に吸い込まれる人たち
書き呑み踊り麻雀や相撲をした文士たち
貝から身をほじって食べていた人たち
大森で時代が遡っていく

東京での用事を済ませ
一泊した後君の居場所を出る
大森の坂を下って環七を越え
多摩川を渡ると神奈川
もう「木曽路」が見えてきた
君に近付く道は長かったのに
君から遠ざかる道は短い
山の ではなく
時の屈伸の中の
国道沿いにその和食屋はあり
視界から流れ去る
もうすぐ響橋だ
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