処遊楽

人生は泣き笑い。山あり谷あり海もある。愛して憎んで会って別れて我が人生。
力一杯生きよう。
衆生所遊楽。

大宇宙・七つの不思議

2024-02-25 18:41:33 | 

実に面白い本、楽しい本である。  読者が読み進むにつれて湧いてくる疑問を予め予期していたようにその道標や解説、解答が提示されてくる。その先はどうなっている?ああそういうことかと得心を得る。宇宙という未知の世界が、何が判って何が判らないのか、それは何故なのか、際限があるのか無いのか。普段思いを致したことのない大空・宇宙の建付けが、分かり易い語彙と流れるような文章、加えて適切なグラフや図解で理解を促してくれる。

   

書名のサブタイトルが《宇宙誕生の謎から地球外生命体の発見まで》とある通り、現在の宇宙研究の中で、飛躍的に進歩している分野は「宇宙の始まり」と「宇宙における生命」の研究だそうで、それを七つの章に分けた宇宙門外漢あるいは初心者への全解説書というのがこの著作の特徴といえようか。
ここで掲げている七つの不思議は以下の通り。興味を引き付けずにおかない(ブログ主には)。
 1,火星の水と生命の行方
 2,第二の地球・無数の地球
 3,沈黙を続けるETたち
 4,宇宙の果てから来る光
 5,目には見えない宇宙の主役
 6,高次元空間に浮かぶ膜宇宙
 7、宇宙が人間を生んだ意味

何といっても最も動かされたのは我々人類の地球外生命体の探求の飽くなき挑戦の姿である。ミステリアスでスリルに満ち夢とロマンに溢れているのだ。

丁度今日2月25日付朝日新聞 ”日曜に想う”が、アメリカ国防総省がUFOとUAPに関するウェブサイトについて日本の国会で質疑されたことを紹介しつつ、「地球外知的生命体について考えることは、地球の文明や科学を相対化し普遍性を問い直すこと、愛、戦争、宗教といった概念を、他の生命体も共有しているのか。(中略)問いは尽きない」と綴っていた。

         

佐藤勝彦(東京大学大学院理系研究科教授)監修のこの本の結語はこうである。
宇宙を問うこと。
それは結局、人間を問い、私を問うこと。
なぜ、人間は宇宙のなかに生まれたのか。
なぜ、私はここにいるのか。
それは偶然か、必然か。
答えは、まだ、わかりません。
永遠にわからないかもしれません。
ただ一つ、確かなこと。
今、この宇宙のなかに、この地球の上に、私がいて、あなたがいること。
そして、私とあなたは、私たちすべては、私たちと地球は、つながっていること。
つながっているからこそ、私たちは生まれたのだということ。
宇宙を知り、人間を知り、私を知ることは、それらのつながりに気づき、深く理解することです。
宇宙と私の、つながり。
私とあなたの、つながり。
かけがえのない、愛おしいつながり。
それを、必然のつながりと信じることに、間違いはないと思います。
私たちは、つながっている。
宇宙は、もっと大事なことを、教えてくれるのです。

ウクライナ侵攻中のロシアが宇宙核を意図しているとの観測が数日前に報道された。我が国のH2号機の後継ロケットの打ち上げが成功したとのニュースも流れた。このタイミングで未知の時空を浮遊しさまざまに夢想できたことは実にラッキーだった。

付記:本とネクタイは他人の薦めに従うというのがブログ主の人生訓のひとつ。小さな個性・狭い意識にとどまらないため。
この本は私の敬愛する人生の先輩(国立大工学部系)から送って戴いたもの。約20年前の書下ろし文庫。ためになりました。また一つお世話になりました。感謝。

 

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マルクスの場合

2024-02-17 16:24:20 | 

不思議な内容の本というのが率直な感想。尤も、すべての本は、著者の勝手な想像力の詰め物であるからして、いわゆる本である。でも変わった本である。数年前、著者と親交のある友人から「傑作だから読んでみたら」と頂戴したのがこの著者との初めての出会い。『神南備山のほほとぎす--私の新古今和歌集』なる本。和歌に門外漢の身では敢え無くアウト。親切にも此の度もその友人からの賜わりもの。

      

この書名に一瞬デジャブに包まれた。何しろタイトにマルクスですから。おさおさ警戒に怠りなかったが、やがてこれが愛犬の名前であることを知るや力みが取れた。その叙述部分が面白い。以下の通りだ。”マルクス・アウレリウス、通称マル。私がこの名前を提案したのには、ちょいとしたわけがあった。というのは、大学時代の友人江島正啓の家で飼われていた犬がディオニソッスというギリシャ神話由来の名前だった。みんなからディオと呼ばれて可愛がられていた。私もディオのような魅力的な犬を飼いたいと密かに願っていたのだ。そのディオニソッスに対抗しての賢帝マルクス・アウレリウスだったのだ”という下りだ。

ことほどさように至る所で著者の嗜好の強さと博識ぶりが伺える。例えばクラシック音楽。モーツアルトのレコード『レクイエム』を聴く。指揮はカール・リヒター、ファゴットとバセット・ホルンが響き始める。悲しいとき辛いときに聴いてきた私のためのミサ曲という。学生時代は煙草銭に事欠いてもモーツアルトを聴いてきた。ある時はバッハを聴くためにスカイライン2000GTを諦めた、などとある。
日常を切り取ると、パジャマでキッチン、珈琲豆を挽く間にトーストを焼き母造りのサラダを冷蔵庫から出しローズマリーの蜂蜜垂らしのトーストを食し、まず朝刊のスポーツ欄と読書欄で本を物色。午後は音楽をBGMに読書・うたたね、遅い午後に町に出、レコードと本を漁る。この日は白水社のアルフレッド・ジャリの『超男性』が発売されてるかも知れないと胸躍らせるという具合。
いつも四冊を並行して読書している。此処で揚げているのは、ガルシア・マルケス『百年の孤独』、ファーブル『昆虫記』 、中国の『孫子・呉子』、天野清『量子力学史』。

愛犬マルと生きるこの物語の主人公は、著者自身の投影であろう。というより半生記と言うべきか。ググると一目瞭然。工業大学経歴の電気店主と著作業を両立しているのだから畏れ入る。第8章”旅路の果て”に、著者の居住環境の詳細が出てくる。ビールの比較に始まり、学生暮らし、彼女との出会い、小学校の教育指導への反発、大学院拒否と哲学への転身、文庫・新書・全集・辞典類、『Newsweek』、ヌーボ・ロマン、サミュエル・ベケット著作集、アルセール。カミユ全集、中南米作家のたちの作品群、和漢の古典、クラシック音楽の愛好と造詣も尋常ではない。

小学生のときからズボンの右ポケットに入っている肥後守に共感し、雷鳴の中マルクスを埋葬するシーンの語りかけに圧倒された不思議な本であった。かてて加えてこの本、手にした時に丁寧に作られている印象が強かったことを特筆しておこう。。

著者    諸井 学
発行    ほおずき書籍
発売    星雲社
初版        2024年1月31日 288頁

 

 

 

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亀井野にも雪

2024-02-08 14:47:02 | 身辺雑記

2月5日月曜日、気象庁の降雪の予報通り午後にはか細い雨交じりが夕方には思いぼた雪となり、翌朝には一面の雪景色となった。
都心は3センチ、箱根は8センチ、私の住む藤沢は2センチほどか。

    

感心なことに普段手足の小田急線は運休無し。多少の遅れはあっても、それも普段通り。

   

後で気が付いたこと。車のシート被いを忘れていた。幸い翌朝午前中には溶けて、お陰で雪払いはせずに済んだ。
が他方、脇の歩行路の雪は除雪無し。集合住宅の住人に労働力無し。悲しき現実。

    

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