出版社 NHK出版
著者 西寺 郷太
形態 新書版205頁
定価 740円
USA・フォー・アフリカによるアフリカ救済支援は音楽史上に残るビッグ・イベントだった。そこに至るアメリカン・ポップスの歴史を外観し、アーティスツを活写し、沸点の「ウィ・アー・ザ・ワールド」の光彩と落日を、偏愛とマニアックな博識で埋め尽くした好著あでる。
著者は1973年生まれ。ノーナ・リーブスのシンガーとして活躍する傍ら、作詞・作曲・プロデューサーとしても活躍する才人だが、文筆でも大いに名を高らしめるのではないか。楽曲誕生の年月日・生みの親・経過・影響・史的意義・系譜etc.何でもでもござれ。実に詳しい。
この著作から多くのことを知った。
・ロックン・ロールの歴史は、1955年のビル・ヘイリーと彼のコメッツによるヒット《ロック・アラウンド・ザ・ロック》から始まった。
・アメリカン・ポップスは映画音楽から始まった。
・1927年世界初の長編トーキー《ジャズ・シンガー》の主演を当代ブロード・ウェイの人気歌手アル・ ジョンスンが務めたことが象徴的。
・ジョージ・ガーシュインが楽譜のデモ演奏で糊塗していたマンハッタンの一隅《ティン・パン・アレイ》がポップすの源流、などなど。
確かに近年にアメリカ発にはパワーがないのは事実。その裏の事情には、それなりの理由と経緯があった。
自ら好きなことを仕事をし、興のままにその世界の成り立ちや歴史を辿り、それが自己の成長に繋がる。著者はとても幸せな人だと断じたら叱られるか。
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