武家社会に生きる女たちの哀切極まりない生きざま。
名誉と主従に生きる男たちを支えつつも、運命に抗って生きる女たち。その凄まじいまでの覚悟が行間から伝わってくる。きぬの凛とした姿は、さもありなんと往時を思わずにはおれない。これが日本の国だったのだと矜持が湧く。
初の青色に沈んだ艶やかさは、物語の展開とともに違った側面を見せて来る。よくぞここまで心の襞を、それも女性の心の懊悩まで描き切れるものだと感心するしかない。
この女性群像、やがて紅涙を絞る動画になるかも知れない。で、遊びで配役を考えてみた。以下の通り。
・女医師伊都子 : 二階堂 ふみ
・上意討ちにあった佐野了禅の妻きぬ : 戸田 恵子
・佐野家の長男の妻芳江 : 指原 梨乃
・二男の妻初 : 川口 春奈
・目付方椎野吉左エ門 :福士 誠治
《 著者:葉室 麟、出版:朝日文庫、288頁 》