処遊楽

人生は泣き笑い。山あり谷あり海もある。愛して憎んで会って別れて我が人生。
力一杯生きよう。
衆生所遊楽。

西郷隆盛 維新150年目の真実

2018-02-21 17:45:26 | 

 著      者 家近 良樹

 出  版 社 NHK出版

 定     価 アマゾン529円

 新書初版 平成29年11月10日

 233頁

 

  

恰好な隆盛ガイド・ブック。

著者は歴史学者、専門は幕末維新史。昨年夏、四百字詰原稿用紙換算で千二百枚に及ぶ西郷隆盛評伝を上梓。この本はその続編にあたり、大分の前著で触れなかった部分を取り上げたとしている。

『はじめに』で著者は、日本史上屈指の知名度がありながら、反面、これほど謎に包まれた人物は居ないことから、西郷隆盛という人物の特質と彼が生きた時代の特色を明らかにしたい、というのが出版の意図と述べている。

平易な文章と巧みな構成で、謎解きのような面白さに乗って、一気に読み進んだ。

ちなみに、章立ては次のようになっている。

第1章 なぜ西郷は愛されてきたのか

第2章 残された七つの"謎"を解く

第3章 何が西郷を押し上げたのか

第4章 西郷の人格と周囲のライバルたち

第5章 なぜ自滅したか

幕末期の薩摩藩で最も重要な役割を果たしたのは誰か。これまでの幕末史研究では圧倒的に、西郷隆盛と大久保利通とされて来た。だが著者は「違う」という。「それは島津光久と小松帯刀である」と。

なぜか。西郷と大久保は、久光の支持(か承認)に従って動き、帯刀はそのラインを逸脱しないようにコントロールをしたのだと。日本の端の薩摩が討幕の雄に成りえたのは何ゆえか、然り納得がゆく。

西郷と大久保、盟友とされた二人だが、明治政府後間逆の位置となり、夫々への想い・感情も対立に至る。その理由と経過が、興味深い。

1月から始まったNHKの『西郷どん』では、今のところ、島津斉彬が格好良い。これに憧れ仰ぎ従う西郷どんという図式になっている。久光は腹違いの弟、しかもマザコン。英明な城主の萌しはない。つまり通説内の描かれ方だ。この後の展開が楽しみではある。

読後、自身の西郷像は変わった。

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