原題:LES PARAPLUIES OF CHERBOURG
英題:THE UMBRELLAS OF CHERBOURG
旧版の封切りは1964年。44年振りのロードショー。あまりにも有名になった凡ての台詞が歌になったミュージカル。昔は、ちょっと戸惑ったが、今回は逆に、このドラマを表現するには、最も相応しいと思えたのだった。
時代は、1957年~1963年。フランスの植民地アルジェリアでの戦争が愛し合う二人を引き裂く悲恋の物語。
カトリーヌ・ドヌーブの美しいこと、息がとまるほどだ。
当時の彼女は21歳。20歳の彼を恋する16歳の娘を演ずる。「世界で一番美しい人」のキャッチ・コピーそのまま。いまどきの飛んだり跳ねたりぶっ放したりの女優とは、勝負にならん。
ドヌーブが美しいほど、せつなさとやるせなさが募る。そして二人のメイン・テーマを、台詞で歌う。感極まって、胸塞がれる。
冒頭、タイトルバックで雨の中をカラフルな傘が行き交うショットを真上からカメラが捉える映像は、秀逸。印象深い。デジタルリマスターでより鮮やかに蘇った。
そしてラスト・シーン。雪の降りそそぐガソリンスタンドで、偶然の再会。ありふれた会話だけで別れる。そのサラッと振りに泣かされる。うるるん観映記だ。
ちなみに、この前TVで誰かが言ってたが、歳をとって涙もろくなるのは、アルツハイマーの予兆だとか。感情がコントロールできなくなって来ているのだと。勝手にしやがれだ。