奈良といえば一つ覚えのように大仏(魅力は他にも一杯あるが)。
大仏といえば東大寺、拝観者の多くが大仏殿に狙いを絞り足を運ぶ。
多くの人がその巨大な大仏に圧倒され、東大寺を後にする。
時間に縛られた団体での拝観ならやむをえないとしても、
時間に余裕があるなら大仏殿から東の小高い寺域に目を向けてほしい。
お水取りの舞台となる二月堂、
天平勝宝4年(752)から一度も絶やさず大切な法要を受け継いできた。
本尊の不空羂索観音菩薩を祀る現存最古の建造物である法華堂(三月堂)。
毎年四月にきわめて重要な法要”法華三昧”が営まれる三昧堂(四月堂)などがある。
斜面に配置されたお堂、巧みに変化をつけた石段や坂道
ありきたりの表現かもしれないが、これぞ「まほろば奈良」という感じ。
ガイドブックの『歩きたくなる奈良の本』はこの寺域をトップで推している。
「情緒たっぷりの小道は、境内で一番奈良時代をイメージできるかも」と紹介している。
司馬遼太郎は『街道をゆく24 奈良散歩』でこの一角を絶賛している。
「私はこの境域のどの一角もすきである。
特に1ヶ所をあげよといわれれば、二月堂のあたりほどいい界隈はない。
立ちどまってながめるというより、そこを通りすぎてゆくときの気分がいい。
・・西のほうからやってきて、大湯屋や食堂のずっしりした建物のそばを通り
若狭井のそばを経、二月堂を左に見つつ、三月堂と四月堂のあいだをぬけて
観音院の前につきあたり、やがて谷を降りていくという道がすばらしい」。
通うほどに誘惑がより増幅するように思えてならない。
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