ヴァンフォーレの選手たちの活躍を独自の視点で辛口に評価していく『独自採点』のコーナー。通常は1試合ごと評価してきたのですが、特別編の今回の対象は2021年の1シーズンバージョンです。なおポジションは登録ポジション、特別指定選手は除きます。
【2021年シーズン独自採点】
◇GK◇
河田(6.5)→開幕からベンチに座る日々が続くものの、第20節群馬戦での出場を境にして守護神の座を獲得。ベテランならではの落ち着きと驚異的な反応をみせ好セーブで相手の得点機を阻む。キック精度はそれほど高くなかったが、河田選手の存在感はシーズン後半戦では抜群だった。スタートから出られなかったのは悔やまれる。24試合出場。
岡西(6)→河田選手との守護神争いに勝利し開幕スタメンを獲得。キックの安定感とハイボール処理の上手さを武器に18試合に出場。しかしチームの成績が伸び悩んだ6月下旬から河田選手にポジションを奪われると、そこから最後まで出番は巡ってこず。シーズン後半戦にもっと存在感を示したかった。
小泉(5.5)→第3GKとしてシーズン中河田選手と岡西選手を持ち上げる役割に徹する。今シーズン1回も出場機会はなかったが、決して腐らずに日々の練習で努力していたことが第7節から第13節、第29節から第42節までベンチ入りできた成果へと繋がった。まさに縁の下の力持ち。またサッカー以外で料理男子の一面も随所に披露。
◇DF◇
須貝(6)→入団前の骨折による長いリハビリでデビュー戦が夏の時期にずれ込むが、そこから猛烈にアピールし18試合出場(先発11試合)1得点1アシストという立派な成績を挙げる。左右両方のウイングバックをこなせる柔軟性や豊富な運動量は光る素質がある。1シーズン通して見てみたい選手と言える。
小柳(5.5)→開幕当初はスタメン出場を続けていたが、浦上選手が台頭してくると出番が減少。足も速く競り合いもできるが、肝心な場面でポジションを空けてしまう癖がある。CBの他にサイドなど複数ポジションをこなせるのは強み。18試合出場(先発12試合)0得点1アシスト。
山本(6)→本来の3バックの中央ではなく、ボランチで守備陣をケアしながら正確なキックでパスを散らすパス配球者として途中から流れを変える役割が目立つ。シーズン後半戦は出場時間数が減ったが、やはり大ベテランのオーラによりピッチにいるだけで守備がピリリと引き締まる。23試合出場(先発10試合)0得点0アシスト。
金井(5)→シャドーとして開幕スタメンを勝ち取ったが、その試合の前半早々に負傷交代。リハビリしている間に本来勝負したいポジションであるウイングバックに若手選手が台頭しポジションを失う。ケガが治った後は途中出場はできていたものの時間が限定的なため、多くの出場機会を求めて7月に琉球への完全移籍を決断しチームを去った。7試合出場(先発1試合)0得点1アシスト。
北谷(5.5)→前評判があまり高くないなかでもひたむきに日々の練習を続けて監督の信頼を獲得。3バックの主力選手が出られない状況の際は彼が入ることで組織力低下を防いだ。しかしメンバーが戻るとベンチやメンバー外に逆戻りするなど不運さもみせていた。9試合出場(先発3試合)0得点0アシスト。
野澤陸(5)→関口選手や長谷川選手、鳥海選手&夏から須貝選手も台頭するなど他の大卒選手が見せ場を作るなかで野澤陸選手もその流れに続きたかったが、チームの肝となる守備に彼が組み込まれることはなく第20節群馬戦の途中出場6分間のみ1試合出場(先発0試合)0得点0アシストに終わる。ただし大卒ルーキーということとベンチ入りは数試合経験したので、来年に繋げられるもやもやだった。
関口(7)→伊藤監督からの評価は高く、大卒加入勢で唯一の開幕戦先発出場。連続出場しながらも試合終盤でさらに上下動の運動量が増す超人さも発揮して完全なるチームの主力選手に成長。終盤に須貝選手との併用に本来のリズムを崩すも34試合出場(先発32試合)2得点2アシストは大卒1年目では驚異的な成績だと思う。
浦上(6.5)→開幕からベンチ入りはできていたものの、いまいち起用法が定まらず数分間の出場が続いていたが、第11節金沢戦で右CBに起用されると守備陣形にがっちりハマり躍動。そこから3バックのスタメンとして定位置を掴み、33試合出場(先発28試合)2得点0アシストという上々の成績を残すことに成功。移籍初年度で活躍した、チームにとっては嬉しいサプライズだったと思う。
メンデス(7.5)→昨シーズン半年間プレーしていた組織的融合のアドバンテージを活かして開幕から躍動。圧倒的な空中戦の強さを発揮しハイボールを跳ね返し続け、セットプレーでは攻守どちらの場面でも抜群の存在感を放つ。勝ち点獲得に繋がる貴重なヘディング弾も多く、また堅守をみせた今シーズンの象徴的な選手だと思う。37試合出場(先発36試合)6得点0アシスト。
◇MF◇
野澤英(6)→開幕から試合出場は多く繋ぎ役としてパス回しをスムーズにさせるが、決定機に絡むことも強度のあるディフェンスを披露する場面もあまりみられずどこか物足りない印象。しかしシーズン途中に再び出番が多くなってきたときは出足の速いプレスでショートカウンターのキーマンになっていた。29試合出場(先発16試合)1得点0アシスト。
中山(4.5)→出番に恵まれず、ヴァンフォーレでの今シーズンの試合出場は第20節群馬戦での1分間のみ。1試合出場(先発0試合)0得点0アシストに終わる。出場機会を求めて7月に育成型期限付き移籍でJ3富山に活躍の場を求めるものの、富山でも出場機会に苦しみ12月の1試合出場に留まるなど、中山選手にとって苦いシーズンになった。
新井(7)→普段は3バックの中央にポジショニングをとって巧みな守備統率を実行。また試合中臨機応変にポジションを上げて可変システムのスイッチ役となるなど、柔軟な対応をみせる伊藤サッカーのキーマンとなった。致命的なミスは少なからずあるが、それよりも組織をまとめる実行役としてのインパクトの方が断然強かった。39試合出場(先発38試合)2得点1アシスト。
中村(6)→開幕戦先発メンバーを勝ち取り、その試合でチーム初得点を記録。その後シーズン序盤戦で出場機会を増やすものの、チームの不調に巻き込まれると中盤戦に出番を減らす。しかし夏過ぎにシャドーとして起用され始めると再び出番を増やしチームの連勝に貢献。先発でも途中出場でも変わらないプレーのクオリティを披露。そして印象に残る華麗なゴールも多かった。33試合出場(先発18試合)4得点1アシスト。
野津田(7)→第39節松本戦以外のすべての試合に出場。若い頃は攻撃的なポジションで左足を使ったプレーが光っていたが、現在は豊富な運動量を活かして左足の長短のパスで試合を組み立てるボランチでの仕事が定着。ヴァンフォーレでも精力的に幅広い中盤のエリアを動き回り、チームのダイナモとして欠かせない存在となった。第20節群馬戦では自身3年ぶりの得点を記録。その次の岡山戦では直接FKを叩き込むなど得点感覚も復活した。41試合出場(先発34試合)2得点6アシスト。
荒木(7.5)→チームで唯一のリーグ戦全試合出場の鉄人。左ウイングバックが主戦場だが、右に配置されても縦に突破するよりかは中央を見て味方を使いながらの連携プレーでサイドを崩していく仕掛けが効果的だった。また鋭く出される左足の精度も抜群で、チームトップの9アシストを記録。組織的な伊藤サッカーをサイドから支えたキーマンと言える。42試合出場(先発41試合)3得点9アシスト。
鳥海(6.5)→キレのあるドリブルと鋭い仕掛けで相手守備陣を切り裂くアタッカー。また得点感覚にも優れていて、スピードに乗りながらも細かいタッチができ、そこから正確なシュートも放つことができる。圧巻だったのは第32節山形戦での超ロングシュートゴール。小柄ながら大きく振りかぶらなくてもあそこまで飛ばせるパンチ力は魅力だと思う。守備面で若干の課題はあるが、大卒で30試合出場(先発9試合)4得点2アシストは立派。
山田(6.5)→シーズン序盤戦は途中出場から試合を締める役割が多かったものの、第12節山形戦から先発出場が多くなり、豊富な運動量を活かして中盤の底で精力的に相手にプレッシャーをかけにいく自身の特長でもある守備的スタイルがより花開く。特に終盤戦は彼がいるのといないのとでは中盤の守備の安定感が変わってくるほどチームに影響力をもたらしていたと思う。今シーズンは守備力だけではなく足元の技術も発揮できる機会が多くなってきたのもプラス査定。37試合出場(先発24試合)2得点2アシスト。
小林(4.5)→シーズン中骨折など度重なる負傷に悩まされ、リハビリに費やす日々が続く。第8節松本戦でベンチ入りするが、フィールドプレーヤーで唯一今シーズン出場機会がなかった。ケガで出場できないのはもちろん仕方ないことだが、3年目なので覚悟はしなければいけないかもしれない。
泉澤(6.5)→左シャドーとして攻撃時には左サイドに張り、切れ味鋭いドリブル突破で相手との1対1を高確率で制す絶対的な存在感を発揮。8月までで10得点を記録するなどチームのエースとして活躍し26試合出場(先発26試合)10得点4アシストを記録した。しかし9月始めにアキレス腱断裂の大ケガを負って早くもシーズンが終了してしまったことはチームにとっても本人にとっても大打撃となった。1シーズン通して見てみたかった選手の1人。
長谷川(7.5)→春先までは出番が限られていたが、第8節松本戦で2得点1アシストを記録したのを皮切りに、夏場以外はコンスタントに試合出場できるようになりその才能も一気に開花。視野の広いプレーとタイミングの良い仕掛けで36試合(先発26試合)7得点6アシストを記録。2シャドーの1枠をがっちりキープし、新人離れした活躍をみせた。
◇FW◇
三平(6)→主にシーズン序盤戦を中心に試合出場。ベテランながら前線を精力的に動き、組織的な守備形成のファーストディフェンダーとして見せ場を作る。リラ選手が合流してから出場時間は減ったが、得点したからのゴールパフォーマンスはヴァンフォーレでも健在で周囲の雰囲気を明るくするムードメーカーとしての価値も高い。25試合出場(先発8試合)3得点2アシスト。
ウィリアン・リラ(6.5)→入国規制の影響を受けてシーズン前のキャンプに参加できずまた第11節からのデビューとなったが、前線で体を張ってボールを収めてくれる存在がいなかったチームにとって攻撃手段の幅を広げてくれる役割を担った。シーズンが進むにつれて尻上がりに調子も上向きとなり、得点数も増やした。31試合出場(先発30試合)9得点3アシスト。
有田(4.5)→リラ選手がいない時期に1トップを担当し、三平選手とともに前線で精力的にボールを追う組織的な役割を果たす。しかしチームプレーに徹する分ゴールに向かうプレーに体力が使えなくなることが多く、怖い存在のFWにはなれず。得点は第21節岡山戦のPKのみと期待を大きく裏切る結果となった。16試合出場(先発5試合)1得点0アシスト。
宮崎(6.5)→シーズン序盤戦から中盤戦にかけて途中出場が目立つものの、泉澤選手が戦線離脱した9月から先発起用が多くなり自身のパフォーマンス力も上昇。シャドーの位置から縦に仕掛けていくプレーが光りチームの決定機によく絡むようになり攻撃陣を牽引。リラ選手の良さをさらに引き出したのも宮崎選手の活躍があったからこそ。サポーターの印象に華やかさが残るミドルシュートでのゴールも際立った。23試合出場(先発12試合)4得点3アシスト。
パウロ・バイヤ(4)→今シーズンの攻撃陣を支える存在としてリラ選手とともにその活躍を期待されていたが、入国規制でのチーム合流の遅れや日本サッカーの順応への戸惑いもあり、なかなか自身の良さをアピールできず。天皇杯ではゴールを決めたが、リーグ戦では6試合計45分間の出場に留まる。完全に期待外れの結果に終わったが、途中で抜け出さずに最後までやりきった姿勢は評価できると思う。6試合出場(先発0試合)0得点0アシスト。
高崎(5.5)→ベトナムリーグが中止となり国内で活躍先を探していたところ、9月にヴァンフォーレの練習に参加し約1ヶ月後の10月に契約を結ぶ。その1ヶ月後の第37節岡山戦で途中出場し9年ぶりにヴァンフォーレの試合に出場すると、そこから3試合出場(先発0試合)。得点もアシストもシュート数もゼロだったが、短期間でエゴを押し殺しチームの勝利を最優先に前線でチームプレーに徹する彼の姿に男気を感じたサポーターは自分以外にもいたと思う。もっと長い期間彼を見たかった。
内藤(6)→9月に2種登録でトップチームに合流し、第35節長崎戦で17歳のクラブ史上最年少Jリーグデビューを飾ったヴァンフォーレ期待の逸材。この試合も含めて2試合に出場し(先発0試合)、主に終了間際という短い時間で0得点0アシストと目に見える数字は残せなかったものの、俊敏な動きで相手ボールホルダーに寄せにいく動きをこなすなど、チームの勝利に繋げようと意欲をみせた。この数分間の経験は彼の今後の成長に貴重な積み重ねになると思う。
◇指揮官◇
伊藤監督(7)→就任4年目となり、メンバーは毎年入れ替わるもののやりたいサッカーを表現できるようになってきたなかで、状況に応じてシステムを試合中に変更し柔軟にかつスムーズに戦えるようになったのは今シーズンのチームの特長。新井選手が守備のキーマン&荒木選手と泉澤選手が崩しのキーマンとなり、そこに関口選手や長谷川選手などの若手選手が加わることでフレッシュかつ組織的なサッカーを展開。攻守の場面できちんと引いて守備ブロックを形成したり、はたまたDFラインを浅めに保ちショートカウンターを発動しやすくしたりと、様々なバリエーションを持ってどんな相手にでも対等に戦える集団にしたのはまさしく伊藤監督の指導のおかげ。シーズン中に策に溺れて勝ち切れない試合も確かにあったが、5月と10月にJ2月間優秀監督賞を受賞するなどシーズン全体を通して伊藤監督の采配は高評価できる。目標のJ1昇格は成し遂げられなかったが、若手選手の成長を促した点も伊藤監督が残した功績の一つだと思う。
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【2021年シーズン独自採点】
◇GK◇
河田(6.5)→開幕からベンチに座る日々が続くものの、第20節群馬戦での出場を境にして守護神の座を獲得。ベテランならではの落ち着きと驚異的な反応をみせ好セーブで相手の得点機を阻む。キック精度はそれほど高くなかったが、河田選手の存在感はシーズン後半戦では抜群だった。スタートから出られなかったのは悔やまれる。24試合出場。
岡西(6)→河田選手との守護神争いに勝利し開幕スタメンを獲得。キックの安定感とハイボール処理の上手さを武器に18試合に出場。しかしチームの成績が伸び悩んだ6月下旬から河田選手にポジションを奪われると、そこから最後まで出番は巡ってこず。シーズン後半戦にもっと存在感を示したかった。
小泉(5.5)→第3GKとしてシーズン中河田選手と岡西選手を持ち上げる役割に徹する。今シーズン1回も出場機会はなかったが、決して腐らずに日々の練習で努力していたことが第7節から第13節、第29節から第42節までベンチ入りできた成果へと繋がった。まさに縁の下の力持ち。またサッカー以外で料理男子の一面も随所に披露。
◇DF◇
須貝(6)→入団前の骨折による長いリハビリでデビュー戦が夏の時期にずれ込むが、そこから猛烈にアピールし18試合出場(先発11試合)1得点1アシストという立派な成績を挙げる。左右両方のウイングバックをこなせる柔軟性や豊富な運動量は光る素質がある。1シーズン通して見てみたい選手と言える。
小柳(5.5)→開幕当初はスタメン出場を続けていたが、浦上選手が台頭してくると出番が減少。足も速く競り合いもできるが、肝心な場面でポジションを空けてしまう癖がある。CBの他にサイドなど複数ポジションをこなせるのは強み。18試合出場(先発12試合)0得点1アシスト。
山本(6)→本来の3バックの中央ではなく、ボランチで守備陣をケアしながら正確なキックでパスを散らすパス配球者として途中から流れを変える役割が目立つ。シーズン後半戦は出場時間数が減ったが、やはり大ベテランのオーラによりピッチにいるだけで守備がピリリと引き締まる。23試合出場(先発10試合)0得点0アシスト。
金井(5)→シャドーとして開幕スタメンを勝ち取ったが、その試合の前半早々に負傷交代。リハビリしている間に本来勝負したいポジションであるウイングバックに若手選手が台頭しポジションを失う。ケガが治った後は途中出場はできていたものの時間が限定的なため、多くの出場機会を求めて7月に琉球への完全移籍を決断しチームを去った。7試合出場(先発1試合)0得点1アシスト。
北谷(5.5)→前評判があまり高くないなかでもひたむきに日々の練習を続けて監督の信頼を獲得。3バックの主力選手が出られない状況の際は彼が入ることで組織力低下を防いだ。しかしメンバーが戻るとベンチやメンバー外に逆戻りするなど不運さもみせていた。9試合出場(先発3試合)0得点0アシスト。
野澤陸(5)→関口選手や長谷川選手、鳥海選手&夏から須貝選手も台頭するなど他の大卒選手が見せ場を作るなかで野澤陸選手もその流れに続きたかったが、チームの肝となる守備に彼が組み込まれることはなく第20節群馬戦の途中出場6分間のみ1試合出場(先発0試合)0得点0アシストに終わる。ただし大卒ルーキーということとベンチ入りは数試合経験したので、来年に繋げられるもやもやだった。
関口(7)→伊藤監督からの評価は高く、大卒加入勢で唯一の開幕戦先発出場。連続出場しながらも試合終盤でさらに上下動の運動量が増す超人さも発揮して完全なるチームの主力選手に成長。終盤に須貝選手との併用に本来のリズムを崩すも34試合出場(先発32試合)2得点2アシストは大卒1年目では驚異的な成績だと思う。
浦上(6.5)→開幕からベンチ入りはできていたものの、いまいち起用法が定まらず数分間の出場が続いていたが、第11節金沢戦で右CBに起用されると守備陣形にがっちりハマり躍動。そこから3バックのスタメンとして定位置を掴み、33試合出場(先発28試合)2得点0アシストという上々の成績を残すことに成功。移籍初年度で活躍した、チームにとっては嬉しいサプライズだったと思う。
メンデス(7.5)→昨シーズン半年間プレーしていた組織的融合のアドバンテージを活かして開幕から躍動。圧倒的な空中戦の強さを発揮しハイボールを跳ね返し続け、セットプレーでは攻守どちらの場面でも抜群の存在感を放つ。勝ち点獲得に繋がる貴重なヘディング弾も多く、また堅守をみせた今シーズンの象徴的な選手だと思う。37試合出場(先発36試合)6得点0アシスト。
◇MF◇
野澤英(6)→開幕から試合出場は多く繋ぎ役としてパス回しをスムーズにさせるが、決定機に絡むことも強度のあるディフェンスを披露する場面もあまりみられずどこか物足りない印象。しかしシーズン途中に再び出番が多くなってきたときは出足の速いプレスでショートカウンターのキーマンになっていた。29試合出場(先発16試合)1得点0アシスト。
中山(4.5)→出番に恵まれず、ヴァンフォーレでの今シーズンの試合出場は第20節群馬戦での1分間のみ。1試合出場(先発0試合)0得点0アシストに終わる。出場機会を求めて7月に育成型期限付き移籍でJ3富山に活躍の場を求めるものの、富山でも出場機会に苦しみ12月の1試合出場に留まるなど、中山選手にとって苦いシーズンになった。
新井(7)→普段は3バックの中央にポジショニングをとって巧みな守備統率を実行。また試合中臨機応変にポジションを上げて可変システムのスイッチ役となるなど、柔軟な対応をみせる伊藤サッカーのキーマンとなった。致命的なミスは少なからずあるが、それよりも組織をまとめる実行役としてのインパクトの方が断然強かった。39試合出場(先発38試合)2得点1アシスト。
中村(6)→開幕戦先発メンバーを勝ち取り、その試合でチーム初得点を記録。その後シーズン序盤戦で出場機会を増やすものの、チームの不調に巻き込まれると中盤戦に出番を減らす。しかし夏過ぎにシャドーとして起用され始めると再び出番を増やしチームの連勝に貢献。先発でも途中出場でも変わらないプレーのクオリティを披露。そして印象に残る華麗なゴールも多かった。33試合出場(先発18試合)4得点1アシスト。
野津田(7)→第39節松本戦以外のすべての試合に出場。若い頃は攻撃的なポジションで左足を使ったプレーが光っていたが、現在は豊富な運動量を活かして左足の長短のパスで試合を組み立てるボランチでの仕事が定着。ヴァンフォーレでも精力的に幅広い中盤のエリアを動き回り、チームのダイナモとして欠かせない存在となった。第20節群馬戦では自身3年ぶりの得点を記録。その次の岡山戦では直接FKを叩き込むなど得点感覚も復活した。41試合出場(先発34試合)2得点6アシスト。
荒木(7.5)→チームで唯一のリーグ戦全試合出場の鉄人。左ウイングバックが主戦場だが、右に配置されても縦に突破するよりかは中央を見て味方を使いながらの連携プレーでサイドを崩していく仕掛けが効果的だった。また鋭く出される左足の精度も抜群で、チームトップの9アシストを記録。組織的な伊藤サッカーをサイドから支えたキーマンと言える。42試合出場(先発41試合)3得点9アシスト。
鳥海(6.5)→キレのあるドリブルと鋭い仕掛けで相手守備陣を切り裂くアタッカー。また得点感覚にも優れていて、スピードに乗りながらも細かいタッチができ、そこから正確なシュートも放つことができる。圧巻だったのは第32節山形戦での超ロングシュートゴール。小柄ながら大きく振りかぶらなくてもあそこまで飛ばせるパンチ力は魅力だと思う。守備面で若干の課題はあるが、大卒で30試合出場(先発9試合)4得点2アシストは立派。
山田(6.5)→シーズン序盤戦は途中出場から試合を締める役割が多かったものの、第12節山形戦から先発出場が多くなり、豊富な運動量を活かして中盤の底で精力的に相手にプレッシャーをかけにいく自身の特長でもある守備的スタイルがより花開く。特に終盤戦は彼がいるのといないのとでは中盤の守備の安定感が変わってくるほどチームに影響力をもたらしていたと思う。今シーズンは守備力だけではなく足元の技術も発揮できる機会が多くなってきたのもプラス査定。37試合出場(先発24試合)2得点2アシスト。
小林(4.5)→シーズン中骨折など度重なる負傷に悩まされ、リハビリに費やす日々が続く。第8節松本戦でベンチ入りするが、フィールドプレーヤーで唯一今シーズン出場機会がなかった。ケガで出場できないのはもちろん仕方ないことだが、3年目なので覚悟はしなければいけないかもしれない。
泉澤(6.5)→左シャドーとして攻撃時には左サイドに張り、切れ味鋭いドリブル突破で相手との1対1を高確率で制す絶対的な存在感を発揮。8月までで10得点を記録するなどチームのエースとして活躍し26試合出場(先発26試合)10得点4アシストを記録した。しかし9月始めにアキレス腱断裂の大ケガを負って早くもシーズンが終了してしまったことはチームにとっても本人にとっても大打撃となった。1シーズン通して見てみたかった選手の1人。
長谷川(7.5)→春先までは出番が限られていたが、第8節松本戦で2得点1アシストを記録したのを皮切りに、夏場以外はコンスタントに試合出場できるようになりその才能も一気に開花。視野の広いプレーとタイミングの良い仕掛けで36試合(先発26試合)7得点6アシストを記録。2シャドーの1枠をがっちりキープし、新人離れした活躍をみせた。
◇FW◇
三平(6)→主にシーズン序盤戦を中心に試合出場。ベテランながら前線を精力的に動き、組織的な守備形成のファーストディフェンダーとして見せ場を作る。リラ選手が合流してから出場時間は減ったが、得点したからのゴールパフォーマンスはヴァンフォーレでも健在で周囲の雰囲気を明るくするムードメーカーとしての価値も高い。25試合出場(先発8試合)3得点2アシスト。
ウィリアン・リラ(6.5)→入国規制の影響を受けてシーズン前のキャンプに参加できずまた第11節からのデビューとなったが、前線で体を張ってボールを収めてくれる存在がいなかったチームにとって攻撃手段の幅を広げてくれる役割を担った。シーズンが進むにつれて尻上がりに調子も上向きとなり、得点数も増やした。31試合出場(先発30試合)9得点3アシスト。
有田(4.5)→リラ選手がいない時期に1トップを担当し、三平選手とともに前線で精力的にボールを追う組織的な役割を果たす。しかしチームプレーに徹する分ゴールに向かうプレーに体力が使えなくなることが多く、怖い存在のFWにはなれず。得点は第21節岡山戦のPKのみと期待を大きく裏切る結果となった。16試合出場(先発5試合)1得点0アシスト。
宮崎(6.5)→シーズン序盤戦から中盤戦にかけて途中出場が目立つものの、泉澤選手が戦線離脱した9月から先発起用が多くなり自身のパフォーマンス力も上昇。シャドーの位置から縦に仕掛けていくプレーが光りチームの決定機によく絡むようになり攻撃陣を牽引。リラ選手の良さをさらに引き出したのも宮崎選手の活躍があったからこそ。サポーターの印象に華やかさが残るミドルシュートでのゴールも際立った。23試合出場(先発12試合)4得点3アシスト。
パウロ・バイヤ(4)→今シーズンの攻撃陣を支える存在としてリラ選手とともにその活躍を期待されていたが、入国規制でのチーム合流の遅れや日本サッカーの順応への戸惑いもあり、なかなか自身の良さをアピールできず。天皇杯ではゴールを決めたが、リーグ戦では6試合計45分間の出場に留まる。完全に期待外れの結果に終わったが、途中で抜け出さずに最後までやりきった姿勢は評価できると思う。6試合出場(先発0試合)0得点0アシスト。
高崎(5.5)→ベトナムリーグが中止となり国内で活躍先を探していたところ、9月にヴァンフォーレの練習に参加し約1ヶ月後の10月に契約を結ぶ。その1ヶ月後の第37節岡山戦で途中出場し9年ぶりにヴァンフォーレの試合に出場すると、そこから3試合出場(先発0試合)。得点もアシストもシュート数もゼロだったが、短期間でエゴを押し殺しチームの勝利を最優先に前線でチームプレーに徹する彼の姿に男気を感じたサポーターは自分以外にもいたと思う。もっと長い期間彼を見たかった。
内藤(6)→9月に2種登録でトップチームに合流し、第35節長崎戦で17歳のクラブ史上最年少Jリーグデビューを飾ったヴァンフォーレ期待の逸材。この試合も含めて2試合に出場し(先発0試合)、主に終了間際という短い時間で0得点0アシストと目に見える数字は残せなかったものの、俊敏な動きで相手ボールホルダーに寄せにいく動きをこなすなど、チームの勝利に繋げようと意欲をみせた。この数分間の経験は彼の今後の成長に貴重な積み重ねになると思う。
◇指揮官◇
伊藤監督(7)→就任4年目となり、メンバーは毎年入れ替わるもののやりたいサッカーを表現できるようになってきたなかで、状況に応じてシステムを試合中に変更し柔軟にかつスムーズに戦えるようになったのは今シーズンのチームの特長。新井選手が守備のキーマン&荒木選手と泉澤選手が崩しのキーマンとなり、そこに関口選手や長谷川選手などの若手選手が加わることでフレッシュかつ組織的なサッカーを展開。攻守の場面できちんと引いて守備ブロックを形成したり、はたまたDFラインを浅めに保ちショートカウンターを発動しやすくしたりと、様々なバリエーションを持ってどんな相手にでも対等に戦える集団にしたのはまさしく伊藤監督の指導のおかげ。シーズン中に策に溺れて勝ち切れない試合も確かにあったが、5月と10月にJ2月間優秀監督賞を受賞するなどシーズン全体を通して伊藤監督の采配は高評価できる。目標のJ1昇格は成し遂げられなかったが、若手選手の成長を促した点も伊藤監督が残した功績の一つだと思う。
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