como siempre 遊人庵的日常

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坂の上の雲 第2-4話「広瀬、死す」

2010-12-26 23:27:38 | 「坂の上の雲」メモリーズ
 はい、なんだかあっというまに2010年分・第2部の最終回なんですけども、今週は広瀬さんのサヨナラ公演もあり、NHKが湯水のごとく制作費をかけた自慢のスペクタクル海戦シーンもあり、さらに武夫とボリスの純愛と、運命に翻弄されたその悲劇など、萌え要素も盛りだくさんで、年の暮れに相応しいゴージャスな〆に、お腹いっぱい堪能させていただきました。
 え…? アリアズナ?。ああ、アリアズナいましたね。あれは、まあ、妹みたいなもんだったんじゃないですか。アリアズナへの愛の手紙より、横断幕とか、船に書いたラブレターのほうが百倍強烈ですもの。
 っとまあ、そのあたりは後述するとして、この、いろんな意味で突っ込みを許さない「坂・雲」の世界において、無二の萌えポイントを提供してくれた広瀬さん。いよいよ今週がフィナーレです。今期、子規の死もありましたけど、あの香川さんの鬼気迫る名演技とはちがって、捨て身の大熱演というのが相応しい演技。もちろん無駄な力みが目立ったりするんですが、それもまた良しです。俳優人生において、こういう場でのこういう演技は、二度はできませんから。大河ドラマで初の大役に相応しい、初々しくさわやかな印象だったように思います。
 ということで、藤本さんお疲れ様でした。いよいよ、中盤のクライマックスにして、第二部最終回です。

○ 連合艦隊出撃・日露開戦

 三笠艦上で封密命令を受け取った東郷司令長官は、ロシアとの開戦を、全艦長と指揮官クラスをあつめて告知します。出撃を前に、乾杯して気合を入れる指揮官たち。こういうのも、素焼きのかわらけとかじゃなくワイングラスなのね。明治の海軍はスタイリッシュ…というか、戦場でのエレガンスもヨーロッパから学んで、ちゃんとそれを実行していたんでしょうね。
 そして連合艦隊は旅順へ出発。まずは、旅順港を拠点にしているロシア艦隊を叩いておく必要があるから。出航する三笠を見送る留守家族の中に、小さくいる季子さんが可憐…。

 でも、この時点で、日本はロシアに国交断絶を伝えてはいたんだけど、宣戦布告はしてなかったんです。当時の慣習で、先制攻撃の前に宣戦布告というのは、必ずしも鉄則ではなかったというんですね。
 それにしても、この朕が下手に出て譲歩するのに国交断絶ってなんなの、と、ニコライ陛下の美しい額に青筋がたっております。実は極東指揮官のアレクセーエフという、人相の悪いおッちゃん、あれは単にズボラだったわけではなく、いやらしい我欲がからんで、皇帝の聖断を握りつぶした節がある。戦争になったほうが、いろいろ、軍費の着服とか物資の横流しとかやって、きっとそうに違いないわ、それでお金が儲かってウハウハだから…という理由で。とんでもねえ悪い奴です。銃殺もんです。
 ですが、それがわかってても皇帝は、このおやじを銃殺とかにはしない。なぜなら、日本を思いっきりなめているからです。臆病なサルが、戦争なんてできっこない…というんですね。
 サンクトペテルスブルクの日本領事館は、まるで難民のように、バタバタと荷物を纏めて、貨物列車でロシアから脱出。スウェーデンに向かいます。戦争回避の工作が失敗し、落ち込むロシア大使にむかって、工作費の不足分を請求する明石大佐は、逃亡中もこまかくレシートをチェックして、経費の計算に余念が無いのでした。この人チョイ役にするにはいい味出しすぎ。しかも、明石の仕事は裏面史として面白いとこだしね。来年いっぱい出番あるといいのに。それかスピンオフ(無理?)。

 連合艦隊は旅順に到着、まだ配備のロシア軍が、開戦なんて思ってもいなくてボーッとしている隙を突いて、先制攻撃を仕掛けます。ロシア軍の中には、あのボリスもいるんですね。タケオを思いながら。そしてなにか胸騒ぎを覚えて、「タケオ…」とか、青い目をウルッとさせて夜空を見たりなんかして。いえ、これ妄想で言ってるんじゃございませんですから。このとおりのシーンなんですから。もう、ボリスの思い人がアリアズナだなんて誰も(以下自粛)。
 そして、無能で強欲な司令官アレクセーエフが、ダンスパーティなんかにうつつを抜かしている夜、連合艦隊の旅順奇襲が始まります。旗艦ツェーザレビッチの乗り組みで、奇襲をもろにくらって海中に転落するボリス。身も凍る海中でボーゼンとしながら「タケオ…」と(再度自粛)

○ 閉塞作戦

 旅順港奇襲は、実際、たいした戦果は上がらなかったんですね。ロシア艦隊としては、かすり傷程度で。おかげでさらに深く旅順港の中に潜ってしまい、日本海軍としては、湾内から出して叩く方法が無くなってしまうという、どっちかというと悪い結果を生みます。
 こんなことでも日本に伝えられると、明るいニュースになっちゃうわけですが、号外を見た律っちゃんは、淳さん!!と取り乱し、留守宅の季子さんのとこに飛んでいくんですね。
季子さんとこにはお父さんが来てて(わたしのクレジット見間違いでなかったら、この季ちゃんパパ、昔人気のあったイケメン俳優・加納竜だったらしいんだが…)、いやーさすが婿殿、欣快欣快、とか言って喜んでいるわけです。
 つっても、パパも決して無責任に喜んでいるんですなく、パパなりに娘の気持ちを案じて、盛り上げようとして来ているんです。季子さんもそういう気遣いをよくわかって、また、律さんの心不安もよくわかって、律さん、真之さんの留守中わたしの用心棒になってください…と。つまり、お互いに支えあって乗り切りましょうというんですね。いやー、なんて良いお嫁さんなんだろう。明治の女ってかっこいい。
 んで、洋上の淳さんとには、好古あにさんからの手紙と家族写真も届いてました。あにさんのお言葉は豪快で、国家のために尽くすのであって、功名や栄達を求めてはイカンぞよ。男子として戦場に死するは最高の愉快なり…みたいな? こーゆーのも、明治男のストイシズムだよなー。かっこいい。こういう心意気って、たぶん、日本の歴史上この一時期しかなかったもんなんだろうなーと思うと、余計…。 
 さて、日本軍としては、旅順の湾内に入ってしまったロシア艦隊を、なんとか無力化しないとどうにもならない。なぜなら、本国からバルチック艦隊が送り出されて、これが極東艦隊と合流したら、万にひとつも勝てる見込みはないからですね。
 で、この旅順艦隊を、撃破するより良い方法が、艦隊を旅順湾から出てこれなくすること。そのためには、狭ーい出入り口しかない旅順湾に、適当な船を5,6隻沈め、塞いでしまうという方法が最適。これが、真之が米西戦争観戦で学んできた、閉塞作戦ですね。
 これに飛びついたのが、艦隊参謀の有馬良橘中佐ですが、エキスパートの真之は、生還率が低いという理由で反対します。それを弱腰呼ばわりして、ワシは死んでも悔いはないんや、ワシが指揮をとるでえ!(加藤雅也の美貌と関西弁のギャップに萌ゆ…)と、決死隊志願。東郷長官も、ほかに良策もなく、閉塞作戦を許可するのでした。
 で、有馬中佐が、この作戦を遂行するのに最適として推薦したのが、「朝日」水雷長をしていた、広瀬武夫少佐だったんですね。かねて、ロシアはオレの第二の故郷だ、オレにしかできない役目がきっとある!といっていた広瀬さんは、喜んで実行部隊に参加します。
 広瀬さんの「オレにしか出来ない仕事」というのはそれは…そう、横断幕に書いたラブレター。訳すと、「オレは広瀬武夫だ、ここに来た。多分また来る。オレを忘れんな! わが愛する友よ健やかなれ…」みたいな。これをロシア語で書いて閉塞艦に貼り付けて出るって、確かに広瀬さんでなきゃできないかも…。
 が、一回目の閉塞作戦は失敗し、広瀬さんの渾身の横断幕も、むなしく汚れて洋上に漂うことになります。が、このメッセージを伝えたかった人には、伝わったんですね。「オレは広瀬だ」のとこしか見えてなかったけど。「タケオ…そこにいるんだね♪」とほほを染めて目を潤ませるボリス。いえ、これも妄想じゃないですから。ワタシの幻覚でなければ、確かにこのとおりのシーンが…ってしつこいですかw

○ 闇を貫く中(少)佐の叫び 杉野はいずこ杉野を見ずや

 一回目の閉塞作戦は失敗しましたが、これで要領はつかめたから、もう一回やれば絶対!鉄板!!と、有馬中佐も広瀬さんも、リベンジする気まんまん。ですが真之は、敵も同じように学習してるだろうし…と、どうしても乗り気になれません。
 ロシア軍では、生ける伝説と言われたステパン・マカロフ中将を投入し、最初の奇襲で凹んだ指揮を回復しています。弱い敵は、撃つべし! 同等の敵は、撃つべし! より強い敵は、撃つべし!!気合だ!!ウルァアーーー!!!…っと、このへん、もうほとんどロシア映画かと思うよな。ほんとそれらしく出来てること。
 さて、二回目の閉塞作戦に出発する前に、広瀬さんは、真之に手紙を託します。アリアズナへの別れのラブレター。んで、彼女の写真も惜しまずご開帳します。広瀬さんにこんな浪漫チックな面があったことに胸を衝かれる真之でしたが、いえ、広瀬さんの本当の恋人は、違うの(爆)。広瀬さんは、本命のラブレターは便箋なんかじゃなく、閉塞する船の横っ腹に、ペンキで、太字で、堂々と書いちゃってるんですね。今度は横断幕より強烈。

 そのラブレター船に乗って旅順港へ向かう広瀬さん。睾丸を握れーっ!と裂帛の気合のもと、飛び交う矢玉を潜り抜け、湾の入り口に到達した広瀬さんは、汽船「福井」を自沈せんと欲します。なれど、点呼を取るとひとり欠け、杉野上等兵層の姿が見えず。
 杉野は何処杉野を見ずや。船内くまなく尋ぬる三度、呼べど応えず探せど見えず、船は次第に波間に沈み…
 っとまあ、このへん、レビューなんかするより「広瀬中佐」の歌詞のほうが簡潔で詳しいですね。なんか、うちの老父が「歌詞と違う。船が沈んでない」とか細かいツッコミを入れておりましたが、煩いよ(爆)。この、概ね歌詞通りの展開は、昭和一桁の視聴者に配慮してのものと思われます
 そして…今はとボートに移れる少佐が、お前たちを全員連れて帰る!シッカリ漕げえ!!と気合を入れる間に、ふっと夜空に愛するボリ…いや、アリアズナの面影を描いた刹那。
 飛び来る弾丸に忽ち失せて、広瀬さんは、旅順の海に散ったのでした…。

 結局、広瀬さんの犠牲もむなしく旅順港閉塞作戦は失敗におわり、有馬中佐は、これを立案した自分に責任があります、と頭を下げます。同じように責任を取ろうと一歩前に出かけた真之を、サッと無言で制する仕草が、男らしくてカッコいいわ。
 そして、なんともいえない気持ちに襲われた真之は、ひとり自室に引きこもり、広瀬さんの思い出が胸に去来するに任せるのですが…いやー、この回想シーン。これは反則だよね。ベタと知りつつ思わず涙してしまったじゃないの。思い出名場面の数々に。このふたりの思い出は、男らしくサワヤカな、笑顔ばっかりでしたから…(フンドシツーショットが無かったのが、ちょっと惜しかったけど☆)

 広瀬さんの遺体は、旅順のロシア軍に回収され、手厚く葬られました。あの、横断幕に欠いたラブレターとともに…。愛するタケオの死に、そっと涙するボリス。捧げた白い花が泣いているわ。
 このふたりの悲恋は、公には決して記録されず、本人と、そして一部の好事家の胸に深く、そう、旅順湾内のロシア艦隊のように埋められて、公式には、タケオの生涯の恋人は、サンクトペテルスブルクで喪に服しているアリアズナ嬢、ということになるのでした。

 そして、旅順湾閉塞に失敗した日本軍は、いよいよ、陸上から旅順要塞を攻略し、これを落とさなくては勝ち目がない…という苦境に至ります。
 ってなことで、いよいよ来年は、二百三高地、奉天会戦、そして日本海海戦と、見どころギッチリなクライマックスとなります。
 皆さん、今年も一緒に坂・雲を見届けたご縁に感謝しつつ、来年の再会を、ここに誓い合おうではありませんか。
 See You Next December!!

三笠艦内で奮闘する水兵たち。「記念艦みかさ」内のインスタレーションw


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