como siempre 遊人庵的日常

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坂の上の雲 第3-1話「旅順総攻撃」

2011-12-05 00:06:26 | 「坂の上の雲」メモリーズ
全国の坂・雲ウォッチャーの皆様、1年間のご無沙汰でございます。
 いよいよ、3年にわたる大作の最後を締めくくります、第三部のスタートでございます。いやあ、感慨深いものがありますのう。当blog、いえ前身のHPの当時より、「坂の上の雲」の完結を見届けるということを、最終目標としてやってきましたんで……っつってもそのために何の努力をしたわけでもないけど(笑)。ただ健康に気を付けて、笑って最終回を見られればいいと。それだけで。
 というわけで、ほんとに3年なんて早いもんですね。あっというまにその最終目標の1か月が来てしまいました。目標達成したあとも拙blogが存在しておるかどうかは、現時点では神のみぞ知るでございますが…。
 まあとにかく行ってみまショー、

第3-1 「旅順総攻撃」

♪おしえて~ください~~この世に生きとし生けるもののすべての命に限りがあるのならば~~~海は死にますか山は死にますか風はどうですか空はどうですか秋は死にますか春は死にますかぁあああ・・・・・・
…っとまあ、若い人にはわからんよーな古い歌を熱唱したくなるような、陰々・滅々モードにはいっていくのが「坂・雲」のこの部分です。すなわち、旅順攻略&二百三高地。
 原作読んでいるときも、ここのところを突破するのがとても大変だった覚えが…。ましてそこらの、日露戦争と第二次大戦の区別がついていないようなたぐいの視聴者を「坂・雲」、それもこの陰惨な旅順篇に引き込むため、前座として、くだらないのを承知で3年にわたって駄作三部作を放送してたんだと思うと、無責任に貶して申し訳なかったような気持ちにもなってきますね。

○旅順攻撃開始。

 子規も亡く、広瀬亡く、ボリスも亡く(爆)、笑える腐劇場どころか、萌え要素もほぼ皆無、襟を正してみるしかない状態の第三部第一回でございます。
ときは明治37(1904)年。、高橋是清(西田敏行)先生の登場ではじまります。イギリスにわたり、日本の戦時公債を営業して歩いている日銀副総裁の是清先生ですが、ヨーロッパでは、動物に等しい黄色人種の日本人を、金を出してまで応援する義理もない。公債もサッパリ売れません。でも、なんとかお金をつくらないと戦争が続行できず、続行できないとロシアの極東進出を許して日本が占領されてしまうという、リアルな土壇場にある是清先生。足を棒にしてあるきまわり、夜はホテルで弟子に足裏樹液シートを貼ってもらって、ステテコいっちょで絶望的な気持ちになっておりますと…突然、ふってわいたよーな朗報が。
 知り合いの銀行家のミスター某が、日本の公債を買ってあげても良いよ…という奇特な大金持ちを紹介してくれる、というのでした。オー!!センキュウセンキュウミスター某……というわけで、この次第はまた後ほど。

 さて、こんどは黄海海上にある、連合艦隊旗艦「三笠」艦上。前回の、広瀬が死んだ閉塞作戦の失敗で神経を病み、体を壊した有馬良橘(加藤雅也)が艦隊を去ります。なんか幸先が悪い海軍。そこに、日本からわたってきた陸軍の大幹部・大山巌(米倉斉加年)と児玉源太郎(高橋英樹)を艦上に迎え、陸・海両軍合同の作戦会議を持ちます。
 その席で、とにかく早く旅順要塞を落として、湾内にいるロシア艦隊を外に追い出してくれりゃエエんです、と、ご両所を前にキレる秋山真之(本木雅弘)。正面突破とかしなくていいから。旅順の横に二百三(フタマルサン)高地てのがあって、そこがうまい具合に旅順要塞の上だから、そっちをチャチャッと占領して砲弾ぶち込めばことは簡単。べつに旅順の占領が目的じゃなくて、ロシア艦隊を湾内から追い出してもらえばいいです、っと、すごく理路整然としてますが、陸軍のツートップにしてみれば失礼すぎる物言いですよね。あんたらワシらの仕事の下請けやってくれればいいんで、ゴタゴタ余計なこといわなくていいから、みたいな。これには海軍のエライひとたちもフリーズしてしまうのですが、維新以来の歴戦の将軍、大山巌はすばらしい。それもそうでごわす、んじゃ第三軍の乃木稀典に気張ってもらいもんそかい、みたいな。なんか、この米倉斉加年さんが大山巌にそっくりでね。いえ、会ったことないけど(爆)。でも、ほんとにこういう人だったんじゃないかなと思うよね。癒し系。ムードメーカー。
 で、大山巌がニコニコと、児玉桃太郎…じゃない(笑)源太郎がガハハと笑って、旅順攻撃のために特別編成された乃木稀典(柄本明)大将の第三軍に、二百三(ニヒャクサン)高地を速やかに落とすように督励に飛びます。
 んがしかし、乃木の横には、参謀長の伊地知幸介(村田雄浩)というのがいて、これが……あ、いや、原作の「坂の上の雲」では伊地知を無能に描きすぎてて、その後の研究でいろいろ状況がかわってきて、というのもチラホラと見聞きしてますが、ここはあくまでドラマ(と、原作)の内容に準拠していきたいと思いますのでご了承ください。
 この伊地知が、なんでわざわざ隣の山を攻めるような無駄なことをすっとでごわすか、正面突破すればよか、とかいって譲らず、というのは二百三高地というのは補給線の線路から外れたとこにあるんですね、せっかく苦労して補給用の線路を押さえたのに、無駄じゃん!みたいなこともあり。それで、たいした情報もなく、大したことないから…みたいな高をくくって、旅順要塞の正面の要・東鶏冠山と二龍山の要塞を正面から攻めることになりました。ツートップの二人も、なにも言いません。
 っていうか、こういう難しい状況は、とにかく現場の指揮官にまかせ、総大将はドンと構えて、結果がどうあれその責任を引き受ける、その覚悟で腹を据える…というのが、維新前からの日本の戦の伝統だったみたいね。日本流の、トップの美学ですよ。
 ただ、そういう日本流の悠長な気構えが、近代戦において実質的に役にたつかどうかは…また別の話で。

○伊地知のばか・大陸の好古あにさん・そして大流血

…というわけで、♪海は死にますか山はしにますか春は死にますか秋は死にますか……(しつこいね)という世界になっていくのですが、ロシア軍が持っているマキシム機関銃たらいうものの威力の前に、正面突撃を挑んだ日本軍はなぎ倒されます。もう戦争というより、虐殺。
 そうはいっても、陸のほうから旅順を攻める動きがあったので、湾内のロシア艦隊もちょっと動揺し、湾外に出ようと移動しようという動きを見せます。すわっと湾外で待機していた海軍も反応、すかさず叩きにかかるものの、タイミングが合わず、ロシア艦隊を捉えられずに、そのまま艦隊は反転して再び湾内へ。
 これはヤバいです。このまま膠着していたら、ロシア本国が自慢のバルチック艦隊を繰り出してくる。それと旅順艦隊がドッキングして日本領海に押し寄せたら??アウツです。日本は占領されロシアの属国に……困る!海軍は目を血走らせて焦り、早く旅順を落として、艦隊を追い出して、オネガイ、と、もう必死の形相で、第三軍のケツをたたきに走ります。
 ですけど、黄海で海軍がしくじったことで陸軍も心証を害しており、俺らがこんだけ犠牲を出して頑張ってるのにテメエらなんだよ、みたいな態度で。陸軍との連絡役にやってきた岩村団次郎(山口馬木也)を嘲笑し、まあ海軍は湾の外で昼寝でもしてまっておれば良しごわす、とか言われ、岩村は毛穴から火い吹きそうになって三笠に帰ってきます。
 その報告をきいた真之さんは怒髪天を突き、バカかあいつら、目的わかってんのか!!オレが行ってドツきあげたるわボートだせえ!!とか無謀なことをいって甲板であばれます。そこへ現れた島村速雄(舘ひろし)が、ぶぁっかものーーー!!!ぐわっ!!と真之に右ストレートをお見舞いし、甲板にガッツリと押し倒して「冷静になるんじゃ秋山っっ!!」……あ、いやすみません、今週とくに萌えるなごむシーンがなかったもので、こんな類の男のふれあいに、ついつい必要以上に反応してしまうのよ。笑。

 で、ちょっと旅順から視点を転じまして、大陸、遼陽に展開している陸軍第一・二・四軍は、秋山好古(阿部寛)率いる騎兵隊の活躍で、ロシア軍の展開状況を掴みます。ロシア軍23万に対し、日本軍14万。で、特別編成の「秋山支隊」という隊の編成を臨時にきめて、騎兵隊が小回りを利かせて、ロシア軍の横腹を突くように布陣したんですね。
 まあ細かい小難しいことはともかく、この、大陸に展開する騎兵部隊というのが、じつに美しくてねえ。人馬一体になって、広大な地平線の大地をパカパカ走っているところなんか、実に大らかで、いいですよ。陰惨な肉弾戦の旅順のあとだから、特にね。
 働いている兵隊さんたちにも、なんか伸び伸びした感じがありますが、野営の場面とか、兵隊たちの間を好古あにさんが、即興の軍歌みたいなのを低音で歌いながら馬を流していく場面とか、詩情があってすごいイイよ。
 結果、騎兵と歩兵の奮戦で、遼陽会戦は日本軍が意外に健闘します。いえ、実際、敵将のクロパトキンを撤退させるところまで行きます。
 これは日本から見れば大勝利なのですが、クロパト氏は撤退の前に各国主要紙の特派員をあつめて記者会見を開き、敗退じゃないから、戦略的撤退なんだから間違えないで、みたいなことを根回ししてたそうなんですね。まあ、ようするに戦争の勝敗を決めるのはロイター通信の報道だった…と。そのへん今も変わりませんが、日本も負けずに大げさ目に記者会見とか、ヒーローインタビューとか開けばよかったのにね。まあ、そこまでちゃんと相手にされてなかったのかもしれませんが。

 んで、お話はまた旅順へ戻るんですが、うー……なんか、どんどん状況悪くなってます。乃木大将は正面突破を頑張り続け、そこに明治天皇から「このまま頑張れ。朕も応援してる!」みたいなお手紙が届いてしまって、もう頑張れませんとも言いにくい。
 そんな乃木のドツボを…救うというか、いや乃木ダメだから。変えないと日本がヤバいから。とか思って、人事工作に走った者がいました。陸士であにさんの同期だった、長岡外史(的場浩二)が、陸軍のキングメーカーのような山形有朋(江守徹)のところに、乃木おろしの工作に走りにいってます。
…ってその話の流れはともかく、この長岡氏のひげが凄くって、ちょっと目が点になって話のほうが上の空になってしまったんですけど、このひげって事実だったみたいですね。

史実はフィクションよりも奇なり。

 で、内地での乃木リストラ工作はうまくいかなかったのですけど、かわりに、品川台場に据えてある28サンチ砲をはずして旅順に送るという突飛なアイディアが日の目をみます。
 ところが、旅順の現地では、伊地知が、「そんなもん据える台座をつくるだけで何か月もかかるわ。無用!」と却下してしまい…。それでも、内地も必死ですから無視して送ってしまい、結果、この大砲は戦争の行方を左右する重要な意味を持つのでした。

○バルチック艦隊出撃・是清先生のエルムンド

 ロシアでは、例の、青い血がながれているかと思うほど美しいニコライ二世陛下が、クロパトキン将軍の暫時の撤退の知らせに、軽く青筋を立てています。なんか日本のサルみたいなイキモノに、余の陸軍が負けて撤退したとかいうんだけど??ガセだよね?みたいな。んで周りのイエスマンたちが、ハイ陛下、陛下の軍は無敵でございます、とマンセーし倒します。
 マンセーされた勢いで、陛下は、ロジェストウェンスキー、近う…と呼び、目障りな黄サルを余の海軍で粉砕してきてくれない??と、バルチック艦隊の出撃にゴーサイン。任命されたのはロジェストウェンスキー…ロジーちゃん。いや、この名前今後頻出するし、かわいいキャラだしするんで、そう呼ぶね。ロジーちゃん(ダメ?)。その活躍は、次回以降…。

 さてイギリスの是清先生は、例の、日本の戦時公債を大量に買ってくれるという奇特な金持ちに会っています。その人は、ヤコブ・シフといい、名前からしてバリバリなアシュケナージ。
 シフさんは、べつに日本の公債買って儲けようとか思ってるんじゃなく、純粋に日本に頑張ってほしい。というのは、ロシアには同じ東欧系ユダヤ人の同胞がいっぱいいるんだけど、その人たちがひどい迫害にあっているわけですね。なんとかしてロシアの帝政に打撃をあたえ、うまくすれば崩壊、くらいのことになってくれれば、同胞たちが救われる。そのための投資なら安いもの…というわけです。
 そんな、風が吹けば桶屋が儲かる式のことで軍資金を手に入れた是清先生は、なんか非常に複雑。「世界は深い……」と、地球てれびエルムンドのようなノリのことを、ひとしきりつぶやくのでありました。

そして、旅順の第三軍は、第三回総攻撃も大量の犠牲を出しておわり、上からはまさかの休戦命令。ショックをうけた乃木は、同じようにショックで脱力する部下たちに、「お前らはみな良くやっている。良くやっている。責任はぜんぶワシが取る」と、誠実そのものの目をして語りかけるのでした
ううう…。これが何とも言えないよね。泣けちゃうよ。ここまでくると個人の美意識とか自己犠牲とか、そういう自己陶酔的なことじゃないよ。武士道ともちがうね。なにか日本人に根差した、そう、「無私」という美学ですよ。犠牲の意識すらない、完全な無私です。
それが戦場で効果的かどうかは…うん、短期的な戦略とかより、たぶんもっとずっと、長い目で評価する必要があるでしょう。

んでは、また来週につづきます。


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