como siempre 遊人庵的日常

見たもの聞いたもの、日常の道楽などなどについて、思いつくままつらつら書いていくblogです。

坂の上の雲 第2-1話「日英同盟」

2010-12-05 23:00:24 | 「坂の上の雲」メモリーズ
全国の坂・雲ウォッチャーの皆様、1年のご無沙汰でございます。
 いよいよ、空前の大作・3年がかりの2年目がスタートします。いやー、今年もつつがなく健康にこの日を迎えられたことを、皆様とともに寿ぎたいですね。3年もかかってやってると、シャレじゃなくそう思うわ。
 といっても、先の、あの残念大作「龍馬伝」が終わったあとの厄落とし…いや口直し…じゃなくて垢おとし…ってなんか言えば言うほどドツボにはいるけど、とにかく龍馬伝をいい具合に忘れるため、この1週間集中して第一部の再放送をしてくれてたので、すっかり頭のなか坂・雲モードに切り替わっての再出発です。
 この1年、日本でもいろんなことがあって、朝鮮半島情勢とか、北方領土問題とか、米軍基地問題とか…もろもろ思索を過去に求めるべき問題に事欠かない状態での、坂・雲第二部スタート。冗談でなく、これを見ないと年が越せない感じだな。
 拙ブログでも、3年がかりの完結を目指して坂・雲レビューをスタートさせたんですが、今年は、いろいろあって通常レビューを一時休止し、この第二部スタートのために再起動させましたが、去年のように、コメント欄で意見を交わすことは、今回はちょっと出来なくて。申し訳ないです。
 まあ、そんなことですが、またユルユル適当にお付き合いいただけると嬉しいです。では、いってみましょー。

○ 真之・武夫の欧州すてき旅

 去年のラスト…といってもドラマ的には数日前(笑)、1900年の新年に、秋山真之と広瀬武夫はポーツマスで落ち合って、建造中の日本軍の軍艦「朝日」を見学します。
 その凄さにカンドーする真之と広瀬。んでも、ふたりのカンドーの方向性は微妙にちがってて、真之は、軍艦のサイズとか最新の砲の性能とか、そっちのほうに目がいってるんだけど、広瀬のほうは、この軍艦の建造費と、その費用を捻出するために日本の庶民がどんなに負担をしてくれたか…ということを考えるわけですね。
 ふたりが招待されたイギリス海軍の夕食会。当時、イギリスは南アフリカでの戦争で手一杯になっていて、極東情勢が緊迫しても、そっちに費用や人員をまわす余裕が無い。だから、日本を妙にヨイショするわけですね。真之と広瀬も、微妙に見下されている感じは受けるんですけど、とりあえず、英国が日本を味方にしたがっているという手ごたえは感じるのでした。
まあ、実際のところはどうだったかわかんないけど、このドラマにおいては、真之も広瀬も、体格・ルックスともに外国人にぜんぜん見劣りしてなくって、ちょっと鼻が高くなりますよね。
 
 そして真之は、義和団の乱でゆれている遼東半島へ。当時の日本では、専門のスパイを使わずに、エリート士官をスパイとして現地に送り込み、変装なんかさせて、現状視察をさせてたそうで、真之も現地人みたいなかっこうをして、義和団の乱に介入のドサクサに、旅順を占領しちゃったロシア軍の現地情勢を探索します。
 大陸には好古あにさんも来てまして、拳匪追討と称して無差別殺戮をやったり、略奪に酔い痴れるロシア軍を目の当たりにします。日本軍は、ロシア軍と連合して出兵してる名目なのでロシアに手が出せず、じっさい、あにさんも、ロシアの暴虐をみているだけで特になにもしないのですが、なにもしなくても気持ちになにか溜めている…という風情が感じられますよね。これが、数年後に大陸の戦場で生きるのでしょうね。

真之は、日本に帰国する軍艦に、外務大臣となって凱旋帰国する小村寿太郎を拾って、一緒に食堂で海軍カレーを食べながら、日英同盟について語り合います。
 帝国主義に道理なんかない、喰うか喰われるか、という小村の、「日本はイロコア族にならないと」という持論に、なにか独特の覚悟のようなものを感じて身を引き締めるんですね。(どうでもいい話だけど、このカレー美味しそうだった…。あと、ラッキョウを薬味にするっていうのはこの当時からあったのね。ラッキョウは手づかみ。これも新鮮。ってホントどーでもいいんだけどw)
 
○ 子規の病床六尺

 帰国した真之は、病床の子規をお見舞いします。いや、この…ノボさんの激ヤセぶりにグッと胸を打たれた…。すごい。香川さんってマジすごい。登場した瞬間から、去年の岩崎弥太郎なんかひとっかけらも引きずらなかった!!
 結核性カリエスが悪化して、自力で起き上がるのも難しい子規。真之が来ると、サッパリきれいにして話をしたいといって、律っちゃんに包帯の交換を頼むのですが、このシーンがなんとも……。
 カリエスの傷の、それそのものが映るのは一瞬で、あとは子規の苦痛の悲鳴が遠くから聞こえてくるだけなんだけど、なんか鳥肌立つっていうか。ちょっと聞いてて堪らなかったです。その痛々しい悲鳴を聞きながら、子規の庭の赤い鶏頭の花などをみつめる真之…。この庭に、子規の宇宙があることが、じんわり真之のなかにも浸透していくことがわかるような描写です。
 その狭い庭の宇宙というのは、世界の海をまたにかけている真之の世界の広さに引けをとらない、というか、もっと広いかもしれないんですね。子規が病気と闘いながら、俳壇を改革しようとして放つ言葉は、ものすごく戦闘的で、それは大国に戦争を挑もうとしている日本軍と同じくらいの気概に満ちているんですね。そういうことを、同じ次元のこととしてすなおに感じ取るのが、真之と子規の感性の共鳴かもしれなくて、なんか素直に、ああ、このふたりいいなあ、と…。
 全体的に豪華絢爛で、スケールの大きい今回で、ポツンと地味な、この子規庵の描写が、なにかほんとに清らかで、日本人の心の原風景みたいで、みているだけで泣けてくるようなシーンでした。

○露西亜における広瀬武夫(そしてボリス)

 はい、お待たせいたしました。今週の主役は、実は真之ではなくって、子規でもなくって、広瀬さんなんですよ。聞いてます?ないかw では、誰も聞いてなくても失礼して、ここから先は、思いっきり広瀬さんに偏ったレビューに入らせていただきます。
 欧州外遊からサンクトペテルスブルクに戻った広瀬は、最愛のアリアズナと再会。もうふたりの情熱を止めるものはなにもありません。ふたりはおおっぴらにデートを重ね、朝日の湖で、ともに手を取り合って、「あれは日本語でアサヒというのです」「美しい言葉…」とかいって手を重ね、見つめあい…。
 って一緒に日の出を見るような、このシチュエーションはなんだ!なにしていたんだ君ら!!…などと不純な想像をしてはいけないですね。いや、それより、なんでボリスがそこにいる!! どう想像しても想定不可能なシチュエーションだ。愛し合うふたりの夜明けの語らいを、物陰からじーっと粘着質に見つめてて、女中に「紅茶はいかが?」とか言われてるボリス…。わけわかんない。何しについてきたのか。もしかして、どM??(爆)。ボリスは二人のラブラブな語らいを、鉄砲ぶっ放して妨害したりします。ますます痛い奴…。
 
 広瀬がロシアでこんなことやってる間に、日本では桂太郎内閣が発足し、対ロシアを睨んで日英同盟の気運が高まります。が、そんなことをしたらロシアを敵に回す、ロシアを敵に回したらえらいことになる、とひとりパニクった伊藤博文が、独自にロシア外交を展開するんですね。伊藤は、ロシア政府で唯一の親日家・蔵相ウィッテを頼りに訪露を決行します。
 ロシアでは、やってきた伊藤を、もう下へもおかない大歓迎。ウィッテは伊藤と会って、非武装を条件に朝鮮半島を日本が領有することを認めてくれたりします。話せばわかる、ロシアはともだち怖くない、と感激した伊藤は、自信満々で、皇帝ニコライ二世の謁見に臨むのでした。
 いや、このエカテリーナ宮における伊藤の謁見場面が、もう、これだけでも見られてよかった!冥土の土産だおっかさん!みたいな(?)どえらい豪華版でねえ…。あまりのキラキラ・ゴージャスっぷりにハレーション起こしそうだったもん。加藤剛さんも、御年70にしてものすごい映像体験をなさいましたよね。もう、ここまで惜しみなく金をかけているのが伝わると、意味なく気宇壮大っていうか、豪勢な気分になってくるよね。
 そして現れたニコライ皇帝。これがまた、まじ青い血が流れているの?みたいなかんじの人で、額をかるく抑えて「日本における思い出は良いことばかりです」とか(大津事件のフラッシュバックを無視して)言うあたりなんか、基本的に常人の感情とかけ離れてるみたいな、独特の、普通じゃなさを漂わせてました。ロシアには、王族とか貴族の役を専門でやる俳優がいるそうで、そこはさすが演劇文化の厚みがが違う。
 
 ところが、ロシア人は日本人のことなんか人間とみなしていないわけなんですね。皇帝もそうですが、下のほうもそう。ロシアでアイドルになった広瀬なんかも、一部のロシア人には人間扱いされてないわけです。
 ですが、広瀬には、ロシアを第二の故郷と慕う理由がある。それはアリアズナの存在であり、そして…そうボリス。ボリス、ああボリスは、ここまで1年間、武夫の恋敵とばっかり思ってたんだけど、この2-1話を見てわたしは愕然と悟りました。
 ボリスは実はアリアズナじゃなくって武夫を愛していたんだ!!(自爆…)
 ボリスは、アリアズナ嬢の気持ちはきみのものだ、でもボクらの友情はかわらないとか言って、潤んだ目で広瀬をみつめたりするんですが、ノンケの武夫はそんなこと少しも気づかず、おおっぴらにアリアズナとのラヴに溺れます。
 が、そんな武夫にも帰国命令が…。別れの宴の夜、万感をこめて、武夫のために、滝廉太郎の「荒城の月」をバイオリンで奏でるボリス(とアリアズナ)。弾き終り、「いつか君の国と砲火を交えるかもしれない。そのときは、ともに祖国のためにたたかおう」といって武夫を見つめるボリス。抱擁するふたり。そしてボリスの目に涙が…うう。なんか自分で書いてて暑苦しくなってきた(爆)。
 男のボリスはそんなですが、その点、女のアリアズナはおおっぴらで、わたしを日本に連れて行って!あなたの国で自分の祖国と闘うわ!!とか言ったりなんかして。すごいな~、バラの花が飛び交ってる。どこの少女漫画だ
 いやあ、でもこのくらいの潤いはあっていいですよ。全然いい。この先ずっと戦争場面ばっかりなんだもん。最後のお楽しみってもんですよ。
 愛してるわ武夫、手紙を書いて、短い手紙でいいの、いえやっぱり短いのはダメ、チョー長いのを書いて!!とどこまでも束縛系のアリアズナ。武夫は、「いつか、運命が許すのなら…」(うっきゃーー!!)なんつってアリアズナを抱擁し、別れを告げるのでした。
さらば…Mein unsterbliche Gelibte わが不滅の恋人…!! (オルフェウスの窓…って知ってる?)

 アリアズナ(とボリス)に別れを告げた広瀬は、シベリア鉄道にのり、馬車でシベリアを横断し、ロシアの対日感情を肌で感じながらウラジオストックを目指します。
 そんなわけで、ロシアにおける広瀬武夫の大ロマンス篇終了。いやー眼福でしたわー。来週は、いよいよ日露戦争に向かう前に…子規の死ですね。これも見るのが辛いですが、しっかり見届けたいと思います!
 また来週!


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