湯原修一の歓喜悦慶と聊かの慷慨憂愁, etc.

いつとはなしに眠りにおち微風を禿頭に感じて目が覚める。
このような生活に変わったらブログが更新されないかもしれません。

◇(♥) 食事中の会話(無言の食事)

2016年02月15日 23時53分36秒 | ちょっとした出来事?
とある外食チェーン店に一人で入ったときのこと。

  特に腹が減っていたわけではなく、休息のためでしたので
  中ジョッキ一杯と餃子一皿を頼みました。

周りを見ると、
私の右横の二人掛け席に夫婦連れ、
左斜め向こうの席にも夫婦連れが座っていました。
見るともなく顔を見ると、どちらも私と同年輩の方々のようでした。
まだ注文された料理がきていないようでした。

私が頼んだものが来て、
例によって、好物の酢をドバドバ入れた小皿で餃子を食べながら、
雑誌を読んでいました。
(6個の小さい餃子を食べるのに、酢を4度も足し加えました)
  

ふと、何かしらの不自然さを覚えて顔を上げました。

夫婦連れの席を見ました。
既に料理が運ばれてきており黙々と食事中でした。

何もおかしなところはありませんでした。

  雑誌に視線を戻しました。
  読んでいても、何か気になりました。

再び顔を上げ、夫婦連れを見て、
そして解かりました。
私が気になっていたもの(こと)が。

 隣の夫婦も、斜め向かいの夫婦も
 黙々と箸を動かし、口も動いているようでしたが、
 全く会話をしていなかったのです。
 気付かなかったので、
 おそらく料理がきたときの店員さんとの会話もなかったものと
 思われます。
  もちろん「いただきます」の一言も ・・・

 特に聞き耳をたてていたわけではありませんが、
 気になってからは、いつ言葉が交わされるか注意していました。
 食べ終わるまで一言も発せられませんでした。
  (私の周りは無声映画の世界だったのです)

 隣の席では、食事が終わるとご主人が注文票を手に取り
 黙って奥様へ渡しました。
 奥様はそれを黙って受け取りレジへ向かわれました。

   食べ終わっていた私もその後に続きましたが、
   レジでの様子で、聾唖の方でないことは確認できました。


どちらの夫婦も、食事中は硬い表情のままでした。
一語も発せられないままで店を出て行かれました。


そういえば、私が小学生の頃は
給食時間中に話をすると先生に叱られていた、という憶えがあります。
当時は食事中の会話はマナー違反だったのでしょうか?

今でもそうなんでしょうか?


食事中における会話の是非については色々な意見があるようです。

 会話はダメだという意見では、次のようなものがあります。

  食事中は食事に集中すべし。
  食べ物はみな命を持っていた、その命をいただくから
   「いただきます」というのだ。
   「ごちそうさま」は、駆け回って食材を調達して
   食事を準備して頂きありがとうございます、の意味がある。
  会話をするなら食事後のコーヒータイム(日本茶時間)で。

 しかし、現在の大勢の意見は食事中のゆっくりした会話を奨めています。
 楽しい会話は食事を一層おいしく感じさせ、胃にも良いそうです。
   ただし、口をモグモグさせたままで話すことは御法度で、
   内容が「宗教」、「政治」、「他人の悪口」などのものは
   避けたほうがよいようです。


    押し黙ったまま食事をされた二組の夫婦は
    どんなときに会話をされているのでしょうか?
    笑顔を見せあうことがあるのでしょうか?

    ときどき口げんかするような夫婦よりも
       寂しそうに思えました。


・・・・・・・・・・・ ギャラリー 042 (会話しながら(?)食事をしている絵) ・・・・・・・・・・・

                  ライセンス(3点とも): (パブリック・ドメイン)

              ※紫色の会話部分等は私の妄想です。

 ■タイトル:舟遊びの昼食(Luncheon of the Boating Party)
          ※この絵の掲載は2回目になります。

 ・画家:ピエール=オーギュスト・ルノワール(Pierre-Auguste Renoir)
 ・制作年:1880年-1881年
 ・収蔵:フィリップス・コレクション<ワシントンD.C.>

   ・画面右に立っている茶髪の色男: 『どこか静かな所に行かない?』
   ・振り向いた女: 『私を誘っているの?』
   ・右手前の黄色い帽子の男: 先を越されて悔しいが、何でもないフリ
   ・手すりに肘をついて黄色い帽子を被った女: 
     (私の次はあのこ(娘)を誘っているわ)
     (どうせだめで、最後にいくのは犬がお相手してあげてる娘のとこかしら)
   ・犬とキスしそうな女:
     (私を後回しにするなんてバカにしてるわ。 ネー(と犬に相槌を求める))
     (隣に木偶の坊(空のグラスに気付かない)が突っ立っていたからかしら)
   ・左に立っている大男(木偶の坊と見なされた男):
      腹いっぱいで、何も考えていない 



 ■タイトル:エマオの晩餐(Supper at Emmaus)

 ・画家:カラヴァッジオ(Caravaggio)
 ・制作年:1601年
 ・収蔵:ナショナル・ギャラリー<ロンドン>

   ※イエス・キリストと弟子が描かれたものです。畏れ多いので妄想はやめます。
   ※右手前の果物籠の中にある濃色の葡萄は「死」を、
     薄色の葡萄は「復活」を、ザクロは「イエス自身」を、
     林檎は「罪」を象徴しているそうです。
     そして籠の横に伸びる不思議な形の影は
     キリスト教のシンボルでもある "魚" を表しているそうです。

 ■タイトル:食事をする二老人(Two Old Men Eating)

 ・画家:フランシスコ・デ・ゴヤ(Francisco Goya)
 ・制作年:1821年-1823年
 ・収蔵:プラド美術館<マドリード>

   ※ゴヤさんが晩年に描かれた一連の黒い絵(Pinturas negras)の中の一つ。

   ・スプーンを持った老人: 『本を読みながら食べると消化に悪いぞ』
            『どうせ、もう脳が萎んでしまって、知識が入るところもないだろうに』
   ・本を読んでいる(?)老人: 『食いながら喋ると消化に悪いぞ』
             『どうせ、もう胃が萎縮してしまって入るところもないだろうが』