湯原修一の歓喜悦慶と聊かの慷慨憂愁, etc.

いつとはなしに眠りにおち微風を禿頭に感じて目が覚める。
このような生活に変わったらブログが更新されないかもしれません。

放生会

2019年08月19日 11時12分38秒 | 瓶覗色の思い[歓喜悦慶]
先日(8月17日?)、夜勤の館内巡回時に、2階の廊下に忍び込んでいた一匹の虫を見つけました。
緑色の体の背面に褐色の筋があり、キリギリスの仲間(ヤブキリ?)のようでした。
土も草も水もないリノリウムの床にいたせいか、少し元気がないようでした。
外への出口を探しているようにも見えました。

虫がいたところは全く使用していないエリアでした *。したがってそのエリアの窓やドアは現在閉まったままになっています。
どこから何の目的で侵入したのかわかりません。
森の中の真っ暗闇の中にあって、施設の常夜灯の薄明りを目指して紛れ込んだのかもしれません。

* 平成28年熊本地震によると考えられる建物の損傷が見つかり、施設は現在利用中止の状況にあります。 

そのまま放っておいたら死に至るのは必定です。
(迷い込んだと思われる虫の死骸が、建物内のいたる所で散見されます)
少し手こずりましたが、軍手をした手の中に捕まえて、窓を開けて放りました。
地面まで落ちるまえに、翅を広げて飛んでいきました。
そんな元気があれば大丈夫だろうと、安心しました。

小さい命を助けたことになるのでしょうか ・・・
私が飼っていた生き物ではありませんでしたが、これも「放生会」**といえるのかもしれません。

** 「放生会」のことをWikipediaで調べたら、『日本においては天武天皇5年(677年)8月17日に諸国へ詔を下し放生を行わしめたのが初見である ・・・』と書いてありました。
 旧暦と現行歴(グレゴリオ暦)の違いがあるかもしれませんが、ほんとうに不思議な偶然です。

杉本一臣さんの絵

2019年08月01日 10時40分38秒 | 瓶覗色の思い[歓喜悦慶]
眠りから覚め、久方ぶりの書込みになります。

前にも書きましたが、私は毎週のように熊本県立美術館分館へ足を運びます。
分館には展示室が4部屋ありますが、そこで1週スパンで開催される絵画展などを鑑賞するためです。
展示会は洋画の他、日本画・水墨画・写真・書など様々ですが、ほとんどが入場無料となっています。

昨日(7月31日)、最高気温35.9℃を記録した午後2時頃、ギラギラの太陽光線を浴びながら自転車で出かけました。

1階ギャラリーで「杉本一臣個展」(無料)という絵画展が開催されていました。
分館で開催される個展ではいつものことですが、作者について全く存じませんでした。


最初に目に入った1枚の前で足が止まってしまいました。
私の好きな絵でした。

その隣から、海と雲をモチーフとした風景画の小品が何点か並んでいました。
それらの小さな絵は大きな感動でした。
私には、狭いカンバスの中に「果てのない遥かな時空の広がりと、その中に紛れ消えゆく、止めることのできない優しい時間の流れ」があるように感じられました。(←自分でも何を言ってるのか解りません(?_?))
横に長い(縦横比がMサイズ以上?)海原と空の絵に特に心惹かれました。
タイトル「海景(野釡島より)」


※ブログ掲載については作者の許可を得ていますが、ピンボケや映り込みなどがあって実物の素晴らしさを伝えられず申し訳ないことです。(以下同じ)

これも小さいですが、好きな絵です。
タイトル「海景(天草西海岸)」


暗い雲間に月の光、そして暗い海原を描いた大作がありました。
その絵にも魅せられました。
タイトル「月明かり」

ふと、ターナー(イギリスのロマン主義画家)さんの「海の上の漁師(Fisherman at the Sea)」が想い浮かびました。

一本の老大木を中央に置いた大作もありました。
タイトル「風に立つ」

  
展示されていた絵の多くは明度が低く、静寂のなかに漂う深淵で神秘的な空気の中に引き込まれそうになりますが、決して沈んだ気持ちにさせられるものではありません。

タイトル「木は夢を見る」


カスパル・ダーヴィト・フリードリヒ(ドイツのロマン主義画家)さんの絵にも同じような雰囲気を感じさせるものがあったと思いますが、このような絵を描かれているときの作者の気持ちや気分はどのようなものなのでしょうか ・・・
お聞きしてみたいと思いました。

郷里の熊本へ戻ってから6年以上が経ちました。
分館ではこれまでに多くの絵画展をみせて頂きましたが、「ぜひ欲しい(いつも近くでみていたい)」という気持ちにまでなる作品(作家)に出合うことはそう多くありません。
(もちろん素敵に思う絵は数多あります。それを入手するに必要となるもの(金)が無いことが、その欲求が抑えられている最大の理由です(◞‸◟))

その滅多に出合うことがない絵を今回観ることができて、嬉しかったです。

私が会場にいたときは他に観覧者を見かけませんでした。
あとで知りましたが、初めての個展だそうです。
自分の好みを押し付ける気はありませんが、「杉本一臣個展」を多くの方に見て頂きたいと思いました。

私は明日再訪する予定です。