新甲州人が探訪する山梨の魅力再発見!

東京から移住して”新甲州人”になった元観光のプロが探訪する”山梨の魅力再発見!”
旅人目線の特選記事を抜粋して発信!

49)南アルプスの盟主「北岳」、今も氷河期遺存種の花が咲く!

2013-09-01 | 山梨山行・南アルプス

世界文化遺産登録で熱い日本一の富士山に次ぐ・・・、

”世界自然遺産登録”を目指す「南アルプス」・・・!

”日本第2位の高峰”南アルプスの盟主、”「北岳」に登る! 

甲州から望む北岳は遙か遠い雲の上       広河原から見上げる北岳(06年撮影)

Photo069 

 

 

 

 

 


 

あまり知られていないが・・・、 

「北岳」は非火山の山として、日本最高峰(3,193m)! 

甲州から望む「南アルプスの盟主の「北岳」は・・・、 

富士山の魅力とは違って、”別格の存在感”がある高峰だ!


 

日本列島の中央に位置し、山梨県西部、長野県南東部、静岡県北部に

またがる我が国を代表する大きく、奥深い山岳地帯です。

その主要な部分は「南アルプス国立公園」に指定されています。

飛騨山脈(北アルプス)、木曽山脈(中央アルプス)、赤石山脈

(南アルプス)を総称して”日本アルプス”と呼ぶが・・・、

そのうち南アルプス(赤石山脈)は、仙丈ヶ岳~塩見岳~荒川三山

~光岳の赤石山系、鋸岳~甲斐駒ヶ岳~鳳凰三山の甲斐駒・鳳凰山系、

北岳~間ノ岳~農鳥岳の白根三山と広河内岳~黒河内岳~笊ケ岳の

白根南嶺の白根山系で形成される。

南アルプスは、標高3193mの日本第2位の高峰「北岳」をはじめ、

仙丈ヶ岳、間ノ岳、塩見岳、荒川岳、赤石岳など重量感溢れる

3000m級の山々が13座も連なる山岳景観で、スケールが大きい!

しかし、尖峰を持つ北アルプスや中央アルプスと異なり・・・、

南アルプスは稜線に比較的平坦な地形が広がり、数多くの特産種を含む

高山植物群落(お花畑)があり、森林限界が高く、鬱蒼とした樹林帯が

特徴となっている。

「南アルプス学総論」によると・・・

日本列島は、新世代第4紀、約1万1700年前~約1500万年前に

かけて現在の弧状の日本列島の姿と環境になったと云われている。

そして、約533万年前~氷河期(260万年前~2万年前)のピーク

を経て100万年前頃、急速な海底の隆起によって”南アルプスが形成”

されたとされる。

南アルプスの地形は、四万十帯と呼ばれる海洋プレートの沈み込みに

関連して日本列島の誕生に関わる重要な遺産となっています。

南アルプスの主稜線を造っているのは、陸源性堆積物と遠洋性堆積物で

あるチャート(Chert=堆積岩の一種)および海洋地殻の破片が混在した

メランジュ(Melange=泥岩などの基質中に異地性・準原地性の岩塊が

含まれるもの)を主体とする白根層群と解説されています。

※高山植物でも固有種の”キタダケソウ”は、山頂付近南東側斜面の

石灰岩の付近にしか咲かない高山植物だそうで、特に興味深いのは、

この石灰岩は南太平洋イースター島付近の海底で造られ、100万年

前頃の地殻変動で隆起、移動して北岳の山頂に押し上げられたらしい。

その氷河期に北方の大陸からやってきた”花”が出会って、この北岳に

だけ咲いていると云う・・・、”大ロマンの花”である。

”キタダケソウ”は、やはり一度は見たい花です!但し、開花時期は

雪解けの6月中旬~7月上旬といわれているので、残雪期の登山に

なるため、なかなか機会がないが・・・。

そのように、北岳には、南アルプス形成期、特に氷河期時代およそ

100万年前に遡る遺存植物が現在も生育し続けているとのことで、

せっかく、登山をするなら、知っておきたいものです。

北岳の氷河期の遺存種・高山植物では絶滅危惧種になっているものの、

いずれも地球上で生育の南限になっているという”キタダケソウ”、

”タカネマンテマ”、”チョウノスケソウ”、”ムカゴユキノシタ”、

”ムカゴトラノウ”などが今も生育していて見ることが出来るという!

いずれも初夏に咲くので、開花期をよく調べて行かないと見ることは

できない。

この北岳には、それほど貴重な高山植物が生育している!

富士山は「世界文化遺産登録」となったが・・・、南アルプスは、

まさに「世界自然遺産」登録を目指して、2007年、「世界自然

遺産登録推進協議会」が発足し、活動を開始している。※後述MEMO


1日目:広河原から望む「薄雲が懸かる北岳    2日目:白根御池から見る「快晴の北岳」Photo_2Photo

 

 

 

 

 

 

 


「日本百名山」の著者深田久弥は・・・、

我が国第2位の高峰北岳(3193m)のことを次のように表現している。

注)当時の国土地理院地形図で北岳の標高は3,192,4m。

三等三角点は3192,39m。

2004年10月15日再調査の結果、現在の標高3193mに改定。

「北岳は、我が国第2位の高峰に関わらず、あまり知られていない。

それは、この山が謙虚だからである。

いつも前山(富士山)の後ろに慎ましく、しかし凜とした気概を

持っている、奥ゆかしい山である。

・・・屹(キツ)と天を突くような鋭い頭角をあげ、颯爽(さっそう)

として、軽薄ではなくピラミッドでありながら、俗っぽくない。

惚れ惚れとするくらい高等な美しさである・・・哲人的である。」と。


今号は、その「北岳」に登った中高年の”ゆっくり登山記録”

と”感動の風景”を紹介します!

南アルプス「北岳」には、今も氷河期の遺存植物が咲く!

希少な”タカネマンテマ”と会えるのが楽しみです!

 山と渓谷社の展望登山ガイドビデオで、”タカネマンテマ”を紹介

 して頂いた「肩ノ小屋」の森本茂さんに会えるのを楽しみに、

 頑張って登ろう!

写真は”希少な”タカネマンテマ”    ※NET掲載写真の複写Takanemantemaiwaohana 

 

 

 

 

 

 

・南アルプス高山帯には、周北極植物が氷河期の遺存植物として多く

 生育していると云われる。

今から約2万年前をピークとする最終氷河期には、今の日本の年間

平均気温より7~9℃も低く、北海道は大陸と陸続きになっていて、

大陸の動植物が南下した時代があり、その頃の遺存植物が、今も

残っていると云われています。

・その代表格が”キタダケソウ”、”タカネマンテマ”、”チョウノスケソウ”、

”ムカゴユキノシタ”、”ムカゴトラノウ”などが知られている。

いづれも生育の南限となっているという。

・日本固有種では南アルプスが生育の南限になっている”ミヤマツメクサ”、

”ハクサンイチゲ”、ミヤマアケボノソウ”、”ミヤマシャジン”などがある。

・また南アルプスのみ生育する”タカネビランジ”、”キタダケヨモギ”、

”キタダケトリカブト”、”キタダケキンポウゲ”なども是非見つけてみたい!

注)以前、”南アルプスの女王”と呼ばれる「仙丈ヶ岳」に高山植物を

見に行ったことがあるが、北岳のスケールは、その比ではない・・・!

もし、本格的に高山植物をじっくりと見たいなら、目標の花種の

開花時期、エリアポイントなどを詳細に調べ、山行計画に探索時間

を折り込んでプランする必要がある。

北岳は頂上へ登ってくるだけの登山ではもったいないとつくづく思う!

2001年6月に「山と渓谷社」の展望登山ガイド「北岳」が

発売され、ビデオシミュレーションで登山計画を練っていた。

そのビデオで、北岳肩ノ小屋の森本茂さんが、北岳の高山植物を

紹介されるシーンがあるのですが、森本さんが好きな花は

「チョウノスケソウ」・・・「タカネマンテマ」だと言って紹介され、

初めて知った珍しく希少な花です。

タカネマンテマは、ナデシコ科マンテマ属の多年草。属名の由来は諸説ある。

1914年7月28日、松本高等女学校教師岡田国松氏が塩見岳頂上付近で発見。

北米、千島列島、シベリア、北欧にも分布するが、日本では南アルプス3000m

の稜線のみに点々と分布する。形態は高さ10~20cm。

花は12mm程度の釣り鐘状の先端に小紫の花をつける。

最初は下向きに咲くが、後に直立する紫の小花は見つけにくい。

今回は、山行が8月中旬近くになったので、タカネマンテマの

最後の一、二輪の花が残っているかもしれないと、期待を持って

出かけたが・・・、残念、少々遅かった。

どうせ、ハードな急登の”北岳頂上”に登るなら・・・、

100種類以上の高山植物を堪能できるルートをとって、

中高年向きに”2泊3日”のゆっくり行程を組んで、

登山道に咲く、多彩な高山植物の花々を楽しみに

登ることにしました!

北岳の高山植物は、山頂の南東側斜面(キタダケソウなど)、

山頂北側の白根御池上部の「草すべり」や「右俣コース」、

北岳肩ノ小屋付近などに大きなお花畑がある。

筆者は、厳しい大樺沢左俣の雪渓と八本歯のコルを避け、

最もお花畑が楽しめる登山道を選んでコースプランした。


「北岳」登頂のアクセスとアプローチは・・・、

 南アルプススーパー林道の広河原起点が便利!

 


甲府駅前バス停「夜叉神峠・広河原線」   広河原アルペンプラザバス停 1   2

 

 

 

 

 


広河原登山口へはJR中央本線甲府駅前より、山梨交通バス「快速広河原」行が運行。

今回は、最も分かりやすいアプローチを選んだ。

快速「夜叉神峠・広河原行」の2013年運行期間は、6月25日~11月9日。

夏山シーズン7月13日~8月18日は、毎日運行※他は運行時間等注意。

※①甲府市内へ前泊ができれば、早朝便:甲府駅発04:20 夜叉神峠登山口着05:30 

広河原着06:11時が利用できる。

注)健脚の場合は約6時間半くらいで北岳肩ノ小屋(泊)まで行ける。

◎甲府駅発07:00時の朝便が便利。※但し高尾発5:14時発のみ乗り継ぎ可。

首都圏からだと甲府前泊がベター。

※甲府駅発09:00時便は、新宿から”特急スーパーあずさ1号”で乗り継げます。

このバスでスタートすると・・・、1泊目、白根御池小屋までなら、余裕で行ける。

注)帰り最終便は平日が広河原発16:15 但し16:40便は土曜、休日のみ運行。

山梨交通バス広河原線バス時刻表

:http://yamanashikotsu.co.jp/noriai/2013hirogawara.htm

南アルプス登山情報は「南アルプスNET」:http://www.minamialps-net.jp/

「南アルプスNET」は、①登山情報、②山小屋情報、③アクセス、④高山植物、

⑤南アルプス芦安山岳館等、地元の最新情報が公開されています。

※山行プランにより夕方の下山時間の場合は、芦安のタクシー情報も調べておいた方が良い。

参考:ときわタクシー 055-282-2112、0120-82-0135 

万が一下山が遅れた場合などは、広河原山荘へもう1泊させてもらうか、タクシー送迎

が可能な時間なら甲府駅まで約14000円くらい必要。予備費は必ず持参したいもの。


中高年がプランした”北岳登山”は・・・、2日3日行程の”ゆっくり・安全”プラン!

1日目:甲府駅前発07:00~(山梨交通バス)~広河原着08:53

広河原ビジターセンター出発09:30・・・広河原山荘・・・二俣・御池分岐・・・

白根御池小屋(泊)13:10~14:00着 ※夕食は17:00頃

2日目:白根御池小屋6:00・・・小太郎尾根分岐・・・肩ノ小屋12:00(※)

・・・北岳山頂15:00頃・・・肩ノ小屋16:00着(泊)夕食は16:30、

17:00頃~ ※チェックイン後、昼食大休止、空身で登頂。

3日目:肩ノ小屋06:00・・・小太郎尾根分岐・・・右俣コース・・・大樺沢二俣

・・・二俣・御池分岐・・・広河原15:00頃着 ※帰路は、乗り合いタクシーを活用。 

※行程表上部歩行時間は標準コースタイム。下部予定時刻は中高年の歩行計画プラン。

但し、実際は予想以上に高山植物等の撮影ポイントが多く、余裕をもったプランが必要。


広河原スタートは、野呂川の吊り橋を渡って・・・、広河原山荘の登山口から・・・!

夜叉神トンネルを抜けると、再整備が進んだ”南アルプススーパー林道”も随分トンネルが

増えたと感じる!毎年のように雪解け災害による林道の寸断があったが、最近は寸断不通

を聞かなくなっている。随分と道路は良くなっている!

野呂川渓谷沿いは、最高落差が約500mもある険しい林道なので、昔は車で通る時も怖い

思いをしたものだが、今は完全舗装になり、道路も拡幅されてガードレールが設置され、

大型バスに乗っている時も安心して景色を見ておられるようになった。ましてやシーズン中

はマイカー規制になって、山道になれない車とすれ違うことはなくかなりスムーズになった。

広河原アルペンプラザで、トイレと身支度を済ませ、2階インフォーメーションで登山届

を提出出来るようになっている。テーブル・ベンチ、洋式水洗トイレ完備。

インフォーメーションでは、山の天気予報や登山道情報などが広報されている。

予定通り、天気は良さそうだ!登山道等も異常はなさそうだし・・・、いざ出発!

広河原アルペンプラザのインフォーメーション 現在の山の天気情報等 

以下、引越のため消去。



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