昨年9月半ばの国政・地方同時選挙は記憶に新しいところだ。国政選挙では中選挙区の一部において接戦となり、わずか数票差で議席配分が変わり、それが国会の勢力配分にも影響を与えかねない事態となった。そのため、即日開票によって仮の集計結果が発表された後も、すべての票をそれぞれの県(正確にはレーン庁)に集めて再び数え直し、最終的な集計結果が発表されるまでの3、4日間、予断は許されなかった。
最終的な議席配分は、即日開票に基づく仮の議席配分を若干修正することになった。しかし、この時は中道保守ブロックが仮の議席配分よりもあと3議席獲得して過半数を取るかどうかが注目されていたものの、結局1議席を増やすに留まり、国政そのものを大きく変えることはなかった。
<以前の記事>
2010-09-23:右派ブロックの過半数は・・・?
一方で、選挙後のこの再集計では、一部の投票区において票の扱いがずさんだったために無効とされた票がいくつかあったし、有権者本人の投票区とは別の場所で投じられた期日前投票の票が、本来の投票区にきちんと郵送されなかったものも見つかったし、投票所においてルール違反が見つかったりもした。
もちろん、そのようなミスが皆無であることが望ましいのだが、たくさんの票を効率的にさばいていく中で、いくつかのミスが発生してしまうのは仕方がない。しかし、それが選挙結果に大きな影響を与えるものであれば、事態は深刻だ。
そのようなミスや不祥事、そして有権者からの苦情、選挙結果に対する不服申し立ては、選挙委員会が設ける「選挙審査委員会」に集められる。この委員会は、それぞれの事件が選挙結果に影響したかどうかを審査し、場合によっては、再投票を要求する権限を持っている。
では、まず国政選挙に対する審査から。既に触れたように、一部の選挙区では接戦となったが中でもヴァルムランド県選挙区とヨーテボリ市選挙区が激戦となり、数票もしくは十数票といった僅差で議席配分が変わっていた可能性があった。票の扱いのミスのために一部の票は集計に加えられなかった事実も判明した。しかし、この選挙審査委員会が審査を委託した数学専門家によると、そのようなミスを考慮に入れたとしても議席配分が変わった可能性は900万分の1(ヴァルムランド県選挙区)と300万分の1(ヨーテボリ市選挙区)というごく小さなものであるということだった。だから、昨年12月半ばに「再投票は行わない」という決定がなされた。
さて、地方選挙はどうだろう。まず、コミューン(市)選挙では、オーレブロー市議会選挙においてわずか1票差によって左派ブロックが右派ブロックに勝つ結果となった(ここでは、左派ブロックを構成するのは社会民主党と左党のみで、環境党は右派ブロックに属している)。しかも、一つの選挙区では17票分の集計ミスが見つかった。もしこの17票がきちんと集計されていれば・・・? 数学専門家によると、39.6%の可能性で右派ブロックが勝っていたという。この可能性は、国政選挙の審査における上記の何百万分の1という確率に比べたら遥かに大きい。しかもある小さな投票所では社会民主党の選挙キャンペーン関係者がルールに違反して出入りしていたという事実も分った。だから、オーレブロー市の一つの選挙区(この市の有権者の4分の1が該当)では再投票を行うことになった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/06/b011de5dae2ff9d69d45b2595f8f2f50.jpg)
それから、ヨーテボリが属しているヴェストラ・ヨータランド県の県議会選挙では、県全体においていくつかの集計ミスが見つかった。そのミスがなければ、85%の確率で議席配分が変わっていたという。現在は、左派ブロック(社会民主党・環境党・左党)が、医療党というマイナー政党の協力の下で少数派政権を樹立しているが、右派ブロックが政権を獲っていた可能性もある。だから、ヴェストラ・ヨータランド県ではすべての選挙区で再投票が行われることになった。ここでは、既に再投票を5月15日に行おうという提案が県議会でなされている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/57/e12f4307b4986da000c46ddf07dd0416.jpg)
ヴェストラ・ヨータランド県の有権者数は120万人(私もその一人)。スウェーデンでこれまでに行われた再投票は、どれも小さな自治体におけるもので、今回のように100万人を超えるような大きな県全体が再投票を行うケースは初めてだという。
最終的な議席配分は、即日開票に基づく仮の議席配分を若干修正することになった。しかし、この時は中道保守ブロックが仮の議席配分よりもあと3議席獲得して過半数を取るかどうかが注目されていたものの、結局1議席を増やすに留まり、国政そのものを大きく変えることはなかった。
<以前の記事>
2010-09-23:右派ブロックの過半数は・・・?
一方で、選挙後のこの再集計では、一部の投票区において票の扱いがずさんだったために無効とされた票がいくつかあったし、有権者本人の投票区とは別の場所で投じられた期日前投票の票が、本来の投票区にきちんと郵送されなかったものも見つかったし、投票所においてルール違反が見つかったりもした。
もちろん、そのようなミスが皆無であることが望ましいのだが、たくさんの票を効率的にさばいていく中で、いくつかのミスが発生してしまうのは仕方がない。しかし、それが選挙結果に大きな影響を与えるものであれば、事態は深刻だ。
そのようなミスや不祥事、そして有権者からの苦情、選挙結果に対する不服申し立ては、選挙委員会が設ける「選挙審査委員会」に集められる。この委員会は、それぞれの事件が選挙結果に影響したかどうかを審査し、場合によっては、再投票を要求する権限を持っている。
では、まず国政選挙に対する審査から。既に触れたように、一部の選挙区では接戦となったが中でもヴァルムランド県選挙区とヨーテボリ市選挙区が激戦となり、数票もしくは十数票といった僅差で議席配分が変わっていた可能性があった。票の扱いのミスのために一部の票は集計に加えられなかった事実も判明した。しかし、この選挙審査委員会が審査を委託した数学専門家によると、そのようなミスを考慮に入れたとしても議席配分が変わった可能性は900万分の1(ヴァルムランド県選挙区)と300万分の1(ヨーテボリ市選挙区)というごく小さなものであるということだった。だから、昨年12月半ばに「再投票は行わない」という決定がなされた。
さて、地方選挙はどうだろう。まず、コミューン(市)選挙では、オーレブロー市議会選挙においてわずか1票差によって左派ブロックが右派ブロックに勝つ結果となった(ここでは、左派ブロックを構成するのは社会民主党と左党のみで、環境党は右派ブロックに属している)。しかも、一つの選挙区では17票分の集計ミスが見つかった。もしこの17票がきちんと集計されていれば・・・? 数学専門家によると、39.6%の可能性で右派ブロックが勝っていたという。この可能性は、国政選挙の審査における上記の何百万分の1という確率に比べたら遥かに大きい。しかもある小さな投票所では社会民主党の選挙キャンペーン関係者がルールに違反して出入りしていたという事実も分った。だから、オーレブロー市の一つの選挙区(この市の有権者の4分の1が該当)では再投票を行うことになった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/06/b011de5dae2ff9d69d45b2595f8f2f50.jpg)
それから、ヨーテボリが属しているヴェストラ・ヨータランド県の県議会選挙では、県全体においていくつかの集計ミスが見つかった。そのミスがなければ、85%の確率で議席配分が変わっていたという。現在は、左派ブロック(社会民主党・環境党・左党)が、医療党というマイナー政党の協力の下で少数派政権を樹立しているが、右派ブロックが政権を獲っていた可能性もある。だから、ヴェストラ・ヨータランド県ではすべての選挙区で再投票が行われることになった。ここでは、既に再投票を5月15日に行おうという提案が県議会でなされている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/57/e12f4307b4986da000c46ddf07dd0416.jpg)
ヴェストラ・ヨータランド県の有権者数は120万人(私もその一人)。スウェーデンでこれまでに行われた再投票は、どれも小さな自治体におけるもので、今回のように100万人を超えるような大きな県全体が再投票を行うケースは初めてだという。