スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

右派ブロックの過半数は・・・?

2010-09-23 06:46:38 | 2010年9月総選挙

即日開票に間に合わなかった、国外で投じられた票投票日当日に自分の投票区とは別の投票所で投じられた票の合わせて10万票あまりは、今日水曜日に数えられて集計に加えられた。即日開票では一部の選挙区で接戦となっていたため、この10万票が即日開票での議席配分を覆す可能性は十分にある

注目されるのは、右派ブロック(現・中道保守政権)があと3議席取り、過半数となる175議席に達するかどうかだ。朝刊によると、その可能性は十分にありうるという。


注目の選挙区は3つ。まず、ダーラナ県選挙区。ここでは、左党社会民主党よりもあと42票多く取れば、社会民主党が1議席失い、その議席が中央党にわたるという。

(ん? 何かおかしくないか、って? いや、そんなことはない。スウェーデンの代表比例制は、いくつかの選挙区からなる中選挙区制と、それに基づく議席配分と全国での得票率との間に生じる差異を調整するための大選挙区制からなっているためだ。上の例で言えば、ダーラナ選挙区での1議席が社会民主党から左党にわたることで、本来は左党がもらうはずだった大選挙区調整議席からの1議席が中央党に流れるということだ)

次に、ヴァルムランド県選挙区。ここでは、自由党社会民主党よりもあと92票多く取れば、社会民主党が1議席失い、その議席がキリスト教民主党にわたる。
(ここでも、正確な話をすれば、ヴァルムランド選挙区での1議席が社会民主党から自由党にわたることで、自由党が本来はもらうはずだった大選挙区調整議席からの1議席がキリスト教民主党に流れるということなのだ)

3つ目はヨーテボリ市選挙区。ヨーテボリは人口が多いので、市そのものが一つの選挙区になっている。ここでは、自由党社会民主党よりもあと164票多く取れば、社会民主党の議席が自由党に流れるという。

今日は一日中ニュースをチェックしていたが、午後3時半ごろ、ダーラナ県選挙区で開票作業がすべて終わった結果、社会民主党が議席を失い、中央党にわたることが明らかになった、というニュースが流れてきた(ここで鍵を握ったのは、左党の票ではなく環境党の票だったという)。

その晩にはヨーテボリ県選挙区でも集計作業がほぼ終わったというニュースが入ってきた。ここでは、自由党があと9票のところで社会民主党の1議席を取り損ねたということだ。

そして、夜11時前にはヴァルムランド県選挙区でも作業が終わった。ここでは、自由党があと7票のところで社会民主党の一議席を取り損ねたという。

つまり、右派ブロック(現・中道保守政権)は1議席を獲得しただけで、過半数まではあと2議席足りないということなのだ。ただし手書き票の中には判断の難しいものもあるというので、それらの再チェックが行われ、場合によっては裁判に持ち込まれる可能性もあるらしい。夜のニュースのコメンテーター曰く「まるで、アメリカ大統領選挙のフロリダ州のようだ」

しかし、2、3票差ならまだしも、7票差や9票差ということだから、これ以上覆ることはないのではないかと思う。となると、いよいよ政権樹立に向けた交渉が始まっていくことになる。右派ブロックが過半数未満で連立政権を打ち立てるのか、それとも環境党を加えた過半数政権を選ぶのかが注目される。

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