もし筆者がアルテック・ジムランを聴いていれば、きっとクリフォード・ブラウンといえば
「クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ +2」を選ぶところだが、
チャーリー・パーカーとも共演してきたドラムスのマックス・ローチと、
彗星のごとく現れた天才トランペッター、クリフォード・ブラウンが1945年に双頭バンドを結成。
巧みな作編曲と熱のこもった演奏でハード・バップ・ジャズの進路を決定づけた、
記念すべき最初のスタジオ・セッションを収録。名曲名演を地でいく快作。
しかし10吋のTANNOY IIILZ in Cabinet(Chevening)メインで聴く限りは、
あの熊手のような手で太鼓を叩く音は味気なく聴こえる。打楽器はジムラン、アルテックが断然勝る。
しかもアンプは真空管で聴く、勿論トランジスターアンプと比べ遜色はなく、いやそれ以上にリアルに聴こえる。特に低域の自然に聴こえる響きは堪りません。
むしろリアル感は優れている感じだ、最近見つけた、前段管の日立製作所の6BM8との相性が断然良い
以前は松下産業の6BM8管が一番と思っていたが、日立製作所に変え実に中高域が俄然冴える。

しかもクリフォード・ブラウンのペットは実に良く鳴る。煌めく透明感が増すこのあたりがTANNOYなのか。
このような事を掲載すればジャズマニアにはお叱りをうけそうだが、
しっかりコントロールの効いたブラウニーのブローを聴いてしまうとリーモーガンもフレディーハーバードも子供(ガキ)だ。
これほど上手い、しかも血の通った演奏が出来るトランペッターは今後出てこないだろうと思う。
特に耳を傾けて欲しいのはPPでの音の抑え方、真の天才の妙技である。
ここをこのバラード集では存分に聴く事が出来る。クラシック演奏家にもファンが多いのも頷ける。
「クリフォード・ブラウン・ウィズ・ストリングス」演奏のCDを聴けば理解できる。
ここではマックス・ローチが脇役に徹している。
2. ローラ
3. ホワッツ・ニュー
4. ブルー・ムーン
5. 愛さずにはいられない
6. エンブレイサブル・ユー
7. ウィロウ・ウィープ・フォーミー
8. メモリーズ・オブ・ユー
9. 煙が目にしみる
10. ジェニーの肖像
11. いつかどこかで
12. スターダスト
クリフォード・ブラウン(tp) リッチー・パウエル(p)
バリー・ガルブレイス(g) ジョージ・モロウ(b) マックス・ローチ(ds)
ニール・ヘフティ(arr, cond) & strings
1955年1月18~20日 ニューヨークで録音
https://www.youtube.com/watch?v=Wc8x1DGSWzk&list=RDWc8x1DGSWzk&start_radio=1&t=15
先日も、日本の女優が麻薬関係で警察沙汰になっていたようですが?
今はもうそういうことはありませんが、1940~60年代に活躍したジャズマンの多くは
アルコール依存か麻薬の常習者でした。
この頃のジャズ・クラブの仕事はというと、22時ぐらいからはじまって演奏40分+休憩20分のセットを4~5回というのが普通。
そういう過酷な状況の中でおアシをいただける演奏を続けるため
―たとえ幻想とはわかっていても―
―彼らは酒やクスリに走らずにはいられなかったのです。
しかしごくまれに、そういう悪癖に一切縁のないミュージシャンもいました。
たとえばこのトランペットのクリフォード・ブラウン。
ブラウンが活躍した50年代前半というのはモダン・ジャズの最初の全盛期。
チャーリー・パーカーやディジー・ガレスピー、マイルス・デイヴィス、バド・パウエル等々
目もくらむようなジャズマンたちがシーンを賑わわせており、ブラウンもそんな中で腕を磨いたのでした。
で、当然のことながら彼らのほとんどはジャンキーかアル中。
ブラウンの演奏をきいてまず驚かされるのは、
どんな局面にあっても曖昧なところがまったくないその明快さです。
54年には当時最高のドラマーといわれたマックス・ローチと双頭リーダーのクインテットを結成。
ブラウンは一躍ジャズ・シーンのトップ・ランナーに躍り出たのでした。
ブラウンは持ち前の豊かなトーンとメロディック・センスを存分に発揮して豊穣きわまりない音楽を歌い上げます。
《イエスタデイズ》における世界をガラリと変えてしまうようなテーマへの切り込み、
《ローラ》のシンプルで清潔な抒情、
満天の星灯りを音に映したような《スターダスト》……。
なのにその演奏からは、きく者の心に沿った様々な風景が見えてくるのです。
これはまさにブラウンという音楽家の真骨頂を示した名演といっていいでしょう。
しかし突然悲劇がやってきます。1956年6月26日の深夜、バンドのピアニストとその妻、
そしてブラウンを乗せて仕事先に向かっていた車が折からの大雨でスリップし、
ガードレールを突き破って75フィート下に転落。3人は命を落としてしまうのです。
あまりにも、あまりにも早すぎる天才の死でした。
Study in Brown
言わずと知れた、ジャズ史に輝く大名盤。このチェロキーを聴かずして、
ジャズ・トランペットは語れない、と言っても過言ないでしょう。
冒頭の「チェロキー」における超絶プレイが圧倒的。
https://www.youtube.com/watch?v=M283JFxesic&feature=emb_title
華麗なるクリフォード・ブラウンの華やかな演奏がここに記録されています。
ヘレン・メリルとの共演は歴史に残る名アルバムです。
ヘレン・メリル(Helen Merrill、1930年7月21日 - )は、アメリカ合衆国の女性ジャズ歌手。
本名はイェレナ・アナ・ミルチェティッチ(Jelena Ana Milčetić)。その歌声は、
しばしば「ニューヨークのため息」と評される。ニューヨーク生まれ。両親はクロアチア人移民だった。
14歳でブロンクス区のジャズクラブで歌うようになり、
1946年から1947年にかけて、レジー・チャイルズ・オーケストラ (Reggie Childs Orchestra)というビッグバンドの一員として活動。
1948年、クラリネット奏者のアーロン・サクスと結婚するが、1956年に離婚。
2人の長男アラン・メリルは、後に元ザ・テンプターズの大口広司と共にウォッカ・コリンズで活動したシンガー・ソングライター、ギタリスト。
そして名盤が登場、1954年12月22日から24日にかけて、
初のリーダー・アルバム『ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン』を録音。
1956年に早世するトランペット奏者のクリフォード・ブラウンが全面参加し、
クインシー・ジョーンズが編曲を担当。
https://www.youtube.com/watch?v=YM0PhsP7ulk&feature=emb_title
ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン
<曲目>
1、ドント・エクスプレイン
2、ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ
3、ホワッツ・ニュー
4、恋に恋して
5、イエスタデイズ
6、ボーン・トゥ・ビー・ブルー
7、スワンダフル
<演奏>
ヘレン・メリル(vo)
クリフォード・ブラウン(tp)/クインシー・ジョーンズ(arr)
バリー・ガルブレイス(g)/ダニー・バンク(sx)
ジミー・ジョーンズ(p)/オスカー・ペティフォード(b)
ボビー・ドナルドソン、オジー・ジョンソン(ds)
本作は、"ニューヨークのため息"ヘレン・メリルの傑作アルバム。
代表的名唱「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」他を収録。
クリフォード・ブラウンも文句なしの快演。
デリケートなハスキー・ヴォイスが、繊細な心の襞(ひだ)を歌いあげる。1954年録音。
「ニューヨークのため息」というキャッチフレーズを思いついたのは誰なのか知らないが、
たしかにヘレン・メリルはニューヨークの出身であるし、ハスキーヴォイスの哀感漂う歌声、
インテリジェンスを感じさせる都会的な歌声は、ウディ・アレンの映画にもぴったりとマッチする。
ヘレンの最高傑作といえば、1954年に録音した本作で決まりだろう。
ほかにガーシュウィンやロジャース&ハートらのメジャースタンダードを取りあげていて、選曲がいい。
それらの曲を控えめに料理したクインシー・ジョーンズのアレンジも冴えている。
そして、クリフォード・ブラウンの素晴らしいトランペットソロが聴けるのも本作の魅力だ。
当時25歳だったヘレンのみずみずしい歌声と輝かしいブラウンのソロ。
その絶妙なコンビネーションがなんともいえずいい。ブラボー!