自 遊 想

ジャンルを特定しないで、その日その日に思ったことを徒然なるままに記しています。

深刻な内分泌撹乱 (再掲)

2014年09月08日 | Weblog

 グリーン・ケミストリー(緑の化学:毒性緩和に焦点を当てた科学分野)の専門家によると、内分泌撹乱は潜在的に「癌より深刻な健康問題」である。理由は少なくとも4つある。
 ①動物あるいは人間は、生殖器官、神経系、免疫系が毒に犯されても、外観は健康に見えるので、問題を容易には特定できない。
 ②多くの場合、汚染からその影響が現れるまでの時間差が大きく、手遅れになるまでに、影響を予測し、予防することが困難である。
 ③化学的組成を調べるだけでは、トリプチルズ(船舶塗料の一種)など環境ホルモンを含む化学物質の作用は予測できないので、化学物質ごとに検査して、内分泌撹乱物質を特定するのが困難である。
 ④現行の排出規制の多くは、高濃度汚染の場合の発癌、その他の健康障害に基づいて定められているが、低濃度汚染の場合でも、内分泌撹乱は発生するので、内分泌撹乱物質が規制の網の目をすり抜けている。

 米国でも日本でも、反論のため、業界資金による研究が大規模に実施されたが、『サイエンス』誌掲載の論文によれば、「内分泌撹乱物質は通常の安全基準以下の水準でも生物学的影響を及ぼす」ことを、専門家集団が結論づけた。影響とは、特には人間の生殖機能および発育への悪影響である。
 自然の摂理に刃を向けてきたことは、意図的であったと言わざるを得ない。財界と政界との癒着の構造は生物の多くを滅ぼすかもしれない。その場合、特に被害を受けるのは発展途上の国や最貧国の人々である。