Baradomo日誌

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富士見坂

2005-11-18 | よしなしごと
二年前の晩秋、晴れた夕方のこと。

家人が皆出かけ、私1人家の掃除などしていたら、2階からオレンジの光が漏れている。
(また子どもたちが電灯つけっ放しで出かけたか?)と思い、階段を上ると、西向きの窓の向こう、隣近所の屋根の間にオレンジ色の夕日が浮かんでいた。
そう言えば、ここ数年、夕焼けを見た憶えがない。
いかに余裕のない生活をしていることか。
子どもの頃は、晴れた日は必ず、このオレンジの光に追い立てられるように家路を急いだものだったのに。
オレンジに染まる甍の波が次第に黒く変色していく、その一瞬をかみ締めるように夕焼けを眺めていると、娘が帰ってきた。

娘と一緒に自動車で出かけると、もうほとんどの車がヘッドランプをつけて走っていたが、まだ夕焼けの空は残っている。
聞けば娘も夕焼けは毎日のように見ているようで、ちょっと安心する。
と、西に向かって降りていく、あるなだらかな坂に来た時、行く手の空に大きなシルエットが見えた。
オレンジの空に真っ黒の三角形。頂上が申し訳程度に平らだ。

「あれって、富士山?でっかーい!」

松戸であんな富士山が見れるとは!
都内には”富士見坂”と呼ばれる坂が多数残ってはいるが、実は富士山が見える”富士見坂”はほとんど残っていない。
そんな話をしていたら、突然娘がこういった。
「じゃ、ここも”富士見坂”?」
「違うと思うけどね。」
でも、せっかくだから、この道を私達だけの秘密の”富士見坂”にさせてもらおう。
配偶者にも、もう一人の娘にも秘密の”富士見坂”。

あれから丸2年。
昨年度、数回に渡り撮影にチャレンジしたものの、全て失敗に終わり、我が家ではすっかり秘密でもなんでもなくなった、この”富士見坂”。

今年こそはなんとしても写真に収めてやるぜ。

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