Hirakata turezure 四季のなにわ

あるとき、ときどき、いろんな思いをふっと向ける事柄があります。

頑張れ東北 負けるな東北

2011年03月31日 | 日記
『あらくたの路傍に春の土筆立つ』(柳子)

北日本の現状に気をとられるうちに関西には春が訪れ、桜のつぼみが膨らみ始めた。職場の建物の南側の里道には土筆が生長しきっている。

毎日映し出される画面には土手らしき光景は一切出てこないが、そんな北国にも春がきて川面の土手に土筆も立ち上がるだろう。



思い出した詩がある。

ここはあなたの生まれたふるさと、あの小さな白壁の点点があなたのうちの酒蔵。
それでは足をのびのびと投げ出して、このがらんと晴れ渡った北国の木の香に満ちた空気を吸はう。
あなたそのもののやうなこのひいやりと快い、すんなりと弾力ある雰囲気に肌を洗はう。私は又あした遠く去る、あの無頼の都、混沌たる愛憎の渦の中へ、
私の恐れる、しかも執着深いあの人間喜劇のただ中へ。
ここはあなたの生まれたふるさと、この不思議な別個の肉身を生んだ天地。
まだ松風が吹いてゐます、もう一度この冬のはじめの物寂しいパノラマの地理を教へて下さい。

あれが阿多多羅山、あの光るのが阿武隈川。


高村光太郎(「樹下の二人」より)