政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

自民と民主のマニフェスト作り・暫定税率廃止を支持する!

2009-06-30 20:31:28 | 民主党
暫定税率廃止時期をめぐって鳩山代表と岡田幹事長の意見の食い違いをいくつかのメディアが取り上げている。
しかし、政党の内部での意見の相違などは政策策定の過程では起こって当然であろう。
自党の総裁をめぐって大揉めに揉めている自民党と比べると、政策での議論などは余程健全である。

民主公約 岡田氏「一部先送りも」 鳩山氏「認めない」 (asahi.com 6/28)
民主党の総選挙マニフェスト(政権公約)をめぐり、鳩山代表と岡田克也幹事長の食い違いが目立っている。不況による税収減も考え、公約の一部先送りを求める岡田氏に対し、鳩山氏は今さら変えられないとの立場。執行部でマニフェストを最終的に詰める際の焦点になりそうだ。
 鳩山、岡田両氏の考えの差が象徴的に表れているのが、ガソリン税などの暫定税率の撤廃。政権交代後の初年度から実施し、2.6兆円の減税を掲げていたが、鳩山新体制でのマニフェスト見直しで岡田氏らの主導で先送りが固まった。しかし、鳩山氏は26日の記者会見で「即時撤廃は国民の間で既成事実化している」と先送りに反発した。


記事の調子には、わずかな傷口を見つけては手を突っ込んでその傷口を広げる、といったおもむきがある。

暫定税率撤廃、政権奪取後初年度から 民主党合意 (asahi.com 6/30)
民主党は30日午前、鳩山代表、岡田克也幹事長、直嶋正行政調会長ら幹部が党本部で協議し、総選挙マニフェスト(政権公約)で固まっていたガソリン税などの暫定税率撤廃の先送り方針を撤回し、政権奪取後の初年度から実施することで合意した。

 暫定税率の撤廃は民主党マニフェストの柱の一つ。財源の手当てを優先させ、岡田氏らの主導で先送りが固まったが、鳩山氏が「暫定税率(撤廃)は国民のなかで既成事実化している」と初年度からの実施を求めていた。30日の協議で岡田氏は「初年度でやりましょう。私に異存はありません」と発言したという。


政策に関して大いに議論をするのはいいことだ。
議論を避けて、無理に党内融和などを宣伝するよりはずっといい。
意見の不一致などという批判を恐れる必要は全くない。
たいていの問題には様々な意見の相違はつきものである。
それを十分な議論を尽くして結論を見つけ出すことこそ、あるべき民主主義の手続きであろう。

鳩山と岡田の意見がときに食い違うなんてことは当然起こりうる。
しかし、岡田の態度も好感が持てる。
「初年度でやりましょう。私に異存はありません」
渋々受け入れる、というのではなく、はずいぶんと積極的な姿勢を感じさせる。

世襲制限をマニフェストに盛り込むと言いだしてみたがいつのまにやら立ち消えとなってしまった自民党と比べると、政策決定の過程がずいぶんと透明である。

暫定税率廃止で、自民党が必ず攻撃してくるのが財源問題であろう。
しかし、暫定税率の大部分は道路特定財源として使われるものである。
一般財源化するとはいっても、一般財源に組み入れるのは微々たる金額である。
直接響くのは、道路予算であろうが、もう一度根底から洗い直すのもいいだろう。
たとえ国債を発行したとしても、道路を造りたくて仕方がない自民党は反対できまい。
実際にガソリン暫定税率の経済効果は、麻生の補正予算などよりはるかに大きい。
第一に減税効果が大きい。
第二に減税は物価上昇に結びつきやすいが、これにはその心配がない。
むしろ物流コストを引き下げて、物価抑制効果がある。
デフレを心配する向きもあろうが、この場合はよいデフレである。
需要減少によるデフレは克服しなければならないが、コスト引き下げによる物価下落は歓迎すべきものである。
第三に恩恵を受ける業界が多い。
エコポイントだの太陽光パネルだのハイブリッド自動車だのという大企業中心の業界だけが恩恵をうけるのではなく、農林魚業をはじめとするほとんどの業界全体に恩恵が及ぶ。
民主党は、何はさておき暫定税率廃止は実現すべきである。

一方の自民党は相変わらずである。

麻生包囲網? 自民党内9議連の「連合会議」が午後に会合 (msn産経ニュース 6/30)
自民党の塩崎恭久元官房長官、世耕弘成元首相補佐官らの「速やかな政策実現を求める有志議員の会」など党内9つの議員連盟が30日午後、合同で「マニフェスト(政権公約)連合会議」の初会合を開く。開催の呼びかけ文は、9議連が結束して、次期衆院選のマニフェストに盛り込むべき政策や策定の方法について提言していくとしている。
9議連は、麻生太郎首相の手による衆院解散に反対し、首相の退陣を要求している山本一太参院議員らの「プロジェクト・日本復活」など、首相に批判的なグループが多い。連合会議には、自民党総裁選を衆院選前に前倒しするよう求める中堅・若手も出席する予定で、「連合会議が麻生降ろしの拠点となり、麻生包囲網が構築される」との見方も党内にある。


こんなので、マニフェストがまとまるのか?
マニフェストより麻生降ろしが目的らしいが。
自分たちで選んだ総理・総裁を自分たちの都合で選挙直前に取り替えようという連中を誰が信用するか。
こんな連中がたとえマニフェストをまとめたとしても、そんなものはとても信用する気にはなれない。

自民党にも、マニフェスト作りの担当部署はあるらしい。

自民、マニフェストでも迷走 座長決まらず、集団体制に (asahi.com 6/5)
 自民党が総選挙の政権公約を作るプロジェクトチーム(PT)の座長を決められず、4人の集団指導体制で議論を始めることにした。厚生労働省分割や世襲制限に続く迷走ぶりを露呈した。
 細田博之幹事長は5日の党役員連絡会で、総選挙に向けて「宣戦布告。今日から戦闘開始だ」と述べ、PTを来週に発足させる考えを表明した。ところが、PT座長は決めきれず、石原伸晃幹事長代理、菅義偉選挙対策副委員長、園田博之政調会長代理、船田元総務会長代理の4人の代理クラスに、「代表選手としてリーダーシップを取ってほしい」と依頼した。
 PT座長には当初、菅氏の就任が内定していたが、世襲制限を唱える菅氏への反発が相次ぎ、菅氏が辞退。その後は宙に浮いている。細田氏は早く決めたい考えだが、円満に決まる見通しはなく、この日の会見では「誰になるかわかりません」と党内調整に及び腰だった。


それでも何とか座長は菅に落ち着いたようだ。

政権公約PTが始動=菅氏が座長「首相の意向優先」-自民 (jiji.com 6/9)
自民党は9日午後、党本部で選挙公約作成プロジェクトチーム(PT)の幹部会を開き、衆院選のマニフェスト(政権公約)作りに着手した。座長には、麻生太郎首相に近い菅義偉選対副委員長が就任。「政権交代」を掲げる民主党を相手に、有権者の共感を得られる公約をどれだけ打ち出せるかがカギとなる。
同日の会合には、細田博之幹事長や保利耕輔政調会長らが出席。策定作業は今後、菅氏のほか石原伸晃幹事長代理や園田博之政調会長代理、船田元総務会長代理を中心に進める運びだ。
 会合後、菅氏は記者団に対し、「首相の考え方が最優先となる」と述べ、党内の反対を押し切ってでも首相の意向に沿った内容とする考えを表明した。細田、菅氏らは10日に首相と会談し、策定に当たっての基本方針について協議する。 
 公約は、民主党との政権担当能力の違いをアピールするため、社会保障の財源や外交・安全保障を前面に掲げることになる見通し。細田氏は「民主党に対抗するものを作る。同党の弱いところを考えていく」と記者団に強調した。


政権党が、「野党の弱いところを考えて」マニフェストをつくるのか?
政権党であれば、前回のマニフェストの検証を行い、堂々とその結果を国民に発表し、政策実行力を訴えるのがまず最初である。
そして次の政策目標を掲げるのがマニフェストであろう。
「民主党に対抗するものを作る」?
どちらが政権党なのだ。

自民党がどんなマニフェストを作り上げようとも、選挙向けの作文に過ぎないということは国民全部が気がついている。
作っている本人達も知っているが、まだまだ国民を騙せると思っているところがおかしい。




裁判員制度廃止!天下り禁止!議員世襲禁止!


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4 コメント

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Unknown (Ping)
2009-06-30 22:36:53
自民は民主がマニフェストを明らかにしないとまともなマニフェストは作れませんよ。政権さえ維持できれば政策に関してはなんでもありでうから、パクれそうで選挙受けがよさそうなものがないと、官僚完全依存の自民党はまともな政策を立案する能力なんてないのです。
小沢一郎はこのようなことを自身が自民党にいたために手口を良く知っていますから、あえて対立軸路線で強行姿勢に出たわけです。
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岡田氏について (らむちゃのパパ)
2009-07-01 11:45:40
日曜のテレビ討論を聞いた時は、彼が民主党の代表に選ばれなくて良かったと思いました。彼が代表なら、自民党との対立軸を鮮明にすることができずに、自民党の二番煎じになりかねないと思いました。所詮、官僚出身の方は、目線と軸足が自民と同じところにあるんだなと、私は感じました。テレビであれだけ鳩山氏が党首討論で言ったことと違うことをまくし立てて、大丈夫かと思いましたが、鳩山氏とうまくすりあわせができたようで良かったです。鳩山氏の下で多くを学んで次期代表として頭角を現して貰いたいところです。
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Ping様 (亭主)
2009-07-02 18:12:23
>自民は民主がマニフェストを明らかにしないとまともなマニフェストは作れませんよ

パクリとイチャモン。
出てくるのは多分それだけでしょうね。
しかし、そのマニフェストもそのまんま東から注文をつけられている状態では、まとまるのはいったいいつのことになるやら……。
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らむちゃのパパ様 (亭主)
2009-07-02 18:27:32
理想主義者的な鳩山と現実主義的な岡田。
わたしはなかなかいい組み合わせだと思っています。
岡田には多少経済、というより経済界的視点が感じられますが、許容範囲のうちだと思います。
オバマとヒラリーも選挙中はずいぶんとお互いを非難していたようですが、今は仲良くやっているのでしょう。
この二人も結構うまくやっていくと思いますよ。
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