政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

小沢でなければだれでもいい…漂流する民主党

2010-08-17 06:17:30 | 民主党
民主党の向かう方向がさっぱり見えなくなっている。
ようやく握った政権だが、その重さをもてあましているかのようだ。
かといって捨て去るにはあまりに惜しい。
ただただ政権延命だけに日を送っているのが現在の菅内閣と民主党執行部である。

一応、お題目はある。
「強い経済、強い財政、強い社会保障」

しかし菅直人は突然、消費税騒動で経済音痴振りをさらけ出し、さらには国民の意識との乖離を露わにしてしまった。
9月12日、日経平均株価は年初来安値の9,065.94円を付け、為替は15年振りの円高1ドル84円台を見てしまった。
菅内閣はただ眺めているだけである。
というより、9月の代表選を控えて、それどころではないというところなんだろう。
菅直人の「強い経済」なんてものが信用され、期待されるわけがない。

政府・日銀の無能・無策を見越して、外国勢は安心して日本をオモチャにしているのかもしれない。

「政権」という言葉の裏側には、べったりと09年衆院選マニフェストが貼りついている。
彼らにはこのマニフェストがまた重すぎる。
できることなら破り捨てたいと思っているが、口にはだせない。
仕方なく、なるべく触れないようにしている。

菅直人にとって不幸中の幸いと言おうか、09年マニフェストには「普天間基地」も「県外・国外」の文字も使っていなかった。
「県外・国外」は党代表鳩山由紀夫が勝手に言ったことと言わんばかりにとぼけ通している。

先の参院選では、政権党の民主党は沖縄県に公認候補を立てなかった。
立てることが出来なかった、と言った方がいいのだろうが、いずれにしろ政権党としての責任放棄であろう。
いかに沖縄県民に合わせる顔がないとはいっても、余りにも不誠実な態度である。
民主党も菅内閣も沖縄を見捨てたのだ。

伊波氏と協力困難 県知事選 民主・安住氏が認識 (沖縄タイムス 2010年8月11日)
安住氏は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古周辺への移設を明記した日米共同声明を堅持する党の方針を示した上で、県内移設反対を掲げる伊波氏について「政治的スタンスが違う」と指摘。県知事選に出馬した場合、協力できない考えを玉城、瑞慶覧の両氏に伝えた。


「県内移設反対」を「政治的スタンスが違う」と平然と切り捨てる。
少なくとも、「政治的スタンスは同じだが、残念ながらアメリカに押し切られてしまった。申し訳ない」程度のことが言えないのか!
もっとも、次のような報道を見ると成る程”政治的スタンスの違い”という言葉にも納得させられる。
──他にも「政治的スタンス」という言葉を使っている記事が散見されるので、多分安住選対委員長は実際にこの言葉を使ったのだろう──

「仲井真知事に再選してほしい」北沢防衛相、本人に発言 (asahi.com 2010年8月13日)
北沢俊美防衛相が今月初め、沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設問題などで仲井真弘多・同県知事と会談した際、11月の県知事選について「政府としては仲井真知事に当選していただきたい」と発言したことがわかった。同席者が明らかにした。

 発言は、自公政権時代に普天間の県内移設を容認した仲井真氏への期待感を表明したものとみられる。ただ、仲井真氏は7月の参院選で自民現職の選挙対策本部長を務めるなどしている。


こちらは「政治的スタンス」が同じということなのか。

「政治的スタンス」などとはおこがましい。
彼らはただ権力にありつき、それにしがみつているに過ぎない。

せいぜい「処世術としてのスタンス」といったところである。

予算、公務員改革、対米関係、高速無料化、子供手当……どれもこれも”触らぬ神に祟りなし”とばかりのへっぴり腰。

マニフェストを貫く意志を見せているのは小沢一郎だけというのが現状だが、その小沢一郎に対する姿勢も又及び腰である。

岡田克也外務大臣が変なことを言っている。
意図がよく分からない上に、発言内容はさらに分からない。

小沢氏の「出馬は困難」 民主代表選で岡田外相 (産経ニュース 2010.8.13 )
 岡田克也外相は13日、CS放送朝日ニュースターの番組収録で、9月の民主党代表選への小沢一郎前幹事長出馬に関し、「検察審査会の結果が出ていない段階で首相になり、審査会が起訴相当、不起訴不当と結論を出すのは考え難い」と述べ、出馬は難しいとの見方を示した。

 小沢氏の収支報告書虚偽記入事件をめぐる審査会議決は代表選後になる見通し。ただ、岡田氏は「出ることは誰も拒めないし、それだけの実力を持っている方だ。基本的には出ないよりきちんと出て、主張をはっきり言うのが一般論として(望ましい)」とも述べた。


小沢一郎に、出ろと言ってるのか出るなと言ってるのか?
どちらに転んでもいいようにというアリバイ発言か?
こんな物言いで外務大臣が務まるのか!

日本の総理大臣を決めるのに、たった11人のクジで選ばれたシロウト集団、しかも公正に選ばれているかどうかさえ検証できない検察審査会に決定権を握られている現実に対して問題意識さえ持たない政治家たち。

マニフェストという海図を人目に付かないところにしまい込んだ上に、小沢一郎という船長兼水先案内人を欠いて、民主党は、ただ世論の波に右に流され左に流されて漂っている。

今や菅内閣の味方は、官僚とマスコミだけのようである。

朝日が不思議な世論調査を発表している。
いくら読んでも意味が分からぬ調査である。

菅首相続投を56%、交代を27% 朝日新聞世論調査 (asahi.com 2010年8月9日)
朝日新聞社が7、8の両日実施した全国世論調査(電話)によると、9月の民主党代表選で「菅直人氏が再選され首相を続けた方がよい」とする人が56%で、「首相交代がよい」の27%を上回った。

世論調査―質問と回答〈8月7、8日実施〉 (asahi.com 2010年8月9日)

◆菅内閣を支持しますか。支持しませんか。

 支持する 37(37)

 支持しない 43(46)

◆民主党代表の選挙が今年9月にあります。菅さんが代表に再選され、首相を続けた方がよいと思いますか。ほかの人が代表になって首相が交代した方がよいと思いますか。

 続けた方がよい 56

 交代した方がよい 27



菅内閣の支持率は37%である。
しかし、菅続投指示が56%となっている。

どうにも理解できない数字である。

ましてこれまでならば、「内閣支持率37%」を強調するところである。
しかし、朝日は「菅続投支持56%」を見だしとして強調する。

ご丁寧にこんな数字まで載せている。

◆菅首相は、小沢一郎さんと距離をおいた方がよいと思いますか。連携した方がよいと思いますか。

 距離をおいた方がよい 69

 連携した方がよい 16

◆小沢さんが民主党内で影響力を強めることは、好ましいと思いますか。好ましくないと思いますか。

 好ましい 10

 好ましくない 78


この世論調査の意図がどの辺にあるかがよく分かる数字である。
内閣支持率調査というより、小沢排除の是非を問う調査と言った方がよさそうだ。
朝日は、「小沢排除」こそが国民世論であると言いたいのだろう。

岡田に限ったことではないが、彼らの言動の背景には、マスコミの凶暴な力があり、そのマスコミに簡単に踊らされる国民の愚かさがある。

検察審査会が再び「起訴相当」という結論を出したときの、マスコミの火のついたような騒ぎと、それに踊らされる世論のヒステリックな反応を思うと、政治家たちが怖じ気づくのも無理もない。

検察審査会がどんな結論を出そうと、裁判で結論が出るまでは無罪と推定し、人権侵害にあたるような報道は慎む、というような常識を今の大手マスコミに望むのは夢のような話であろう。

少なくとも9月14日の代表選まで菅内閣の無為無策は続くだろうし、万が一菅再選となれば、民主党の世論任せの漂流はさらに続くことになろう。

「小沢でなければだれでもいい!だから菅でもいい!」
官僚もマスコミも、マスコミにいいように振り回される国民もみんなそう思っているようだ。



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7 コメント

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Unknown (らむちゃのパパ)
2010-08-17 10:01:43
亭主さん、お久しぶりです。相変わらず舌鋒するどく内容の濃い記事ですね。これだけの記事を書かれるには時間もかかるでしょう。マイペースで頑張ってください。
さて、小泉改革で中産階級が壊滅した今はGHQの下で行われた農地改革のような、小作が地主を凌駕する、既得権益を破壊し、庶民を豊かにするような政策が緊急の課題となっている状況だと思いますが、既得権益者たちに媚びて、まぁまぁそう嫌わずに自民党さん同様よろしく頼みますわと言っているような今の民主党政権では、自民党以上のことは期待できないですね。
普天間基地移設問題、公務員改革、経済政策、全てまやかしの土台の上に立っていますね。ため息しかでません。マスコミも、戦前の戦争推奨報道とレベルが何も変わっていないですね。
返信する
Unknown (告.)
2010-08-17 11:51:15
産経新聞及び菅政権は中国脅威論を大げさに煽り
日米共同宣言を振りかざすと大変なことに成りかねない。

安部や田母神のようになりかねない。


黙示録。


人間の傲慢なエゴに対し、余りにも野放し無関心が続くと人は不幸な目に遭うことを警告しています。



第一の御使いがラッパを吹き鳴らした。すると、血の混じった雹と火とが現われ、地上に投げられた。そして地上の三分の一が焼け、木の三分の一も焼け、青草が全部焼けてしまった。

第二の御使いがラッパを吹き鳴らした。すると、火の燃えている大きな山のようなものが、海に投げ込まれた。そして海の三分の一が血となった。すると、海の中にいた、いのちのあるものの三分の一が死に、舟の三分の一も打ちこわされた。黙示録
8:7~9


※核戦争を意味しているのか?
赤いものは血で火の燃えてる。


第三の御使いがラッパを吹き鳴らした。すると、たいまつのように燃えている大きな星が天から落ちて来て、川々の三分の一とその水源に落ちた。この星の名は苦よもぎと呼ばれ、川の水の三分の一は苦よもぎのようになった。水が苦くなったので、その水のために多くの人が死んだ。8:10~11


※チェルノブイリに似たものを表しているような広範囲での破壊。放射能によって水が汚染される。


第四の御使いがラッパを吹き鳴らした。すると、太陽の三分の一と、月の三分の一と、星の三分の一とが打たれたので、三分の一は暗くなり、昼の三分の一は光を失い、また夜も同様であった。 また私は見た。一羽のわしが中天を飛びながら、大声で言うのを聞いた。「わざわいが来る。わざわいが、わざわいが来る。地に住む人々に。あと三人の御使いがラッパを吹き鳴らそうとしている。」12~13


※核戦争を意味しているのか?
灰によって大気圏が覆われ太陽光線や月星がかすんでしまう。

もしくは環境破壊でそうなってしまうのか?
人間が危機的絶滅を表す。


返信する
国民のための政治 (SN)
2010-08-17 18:26:42
暑い夏です。
夏だから暑いです。
夏が冬より暑いのが当然のように、民主党は「国民のための政党」が与党となりえた党是であり与党民主党の存在意義であるはずです。
政党による「国民のための政治」とは具体的には、官僚がひた隠す情報の公開と官僚が情報を秘匿できる構造を破壊する。
すなわち政治主導ということでした。
つまり官僚は自己権益の確保と責任の回避のために国民に対して情報を隠匿して、つまり自分達のカードは全て隠しながら相手のカードを全て回覧して、タイミングをはかりながら隠された手持ちのカードを時にブラフを交え一枚一枚切っていきます。
そして本来ジャッジとしてルールを楯にその場(市民社会)を管理するべく勤めるのが司法制度に於ける検察と裁判所でしょう。

しかし、政官業暴と大手マスコミ癒着により民主主義の基本となるそれらが既得権膠着で石のように固まり国民はその巨岩に押し潰されているのが現状ではないでしょうか。

菅新政権となって、メディアのクロスオーナーシップ、高速料金、諫早湾の開門、取り調べの全面可視化、電波オークションの執行による電波解放、天下り規制法案他、全て蔑ろにされました。

仙石の上から目線のインチキ官僚そっくりの喋り方、枝野の小沢氏に対する「大衆迎合」発言。

彼らが物の本質を見る能力がなく、民主党の存在意義と大儀を知らずか無視かのごとく幼く愚かな、そして国民をバカにしていることがありありと解る言動と政治家ぶりです。

国民を押し潰している巨岩を破壊するのではなく、その巨岩に擦り寄って、あろうことか巨岩の一部となっているのが彼らではないでしょうか。

その巨岩を本当に国民の頭上から外すのであれば、検察の不正義に立ち向かい、彼らに責任を取らせるべく抜本改革を実行するため小泉政権に元佐藤県知事逮捕起訴や三井元高検検事逮捕起訴に始まり、去年からついに国民の前にそのどす黒い正体を現した検察首脳をスピーディーに押さえ込み政治主導で改革することが、国民の代表である国会議員による「国民のための政治」を成し遂げる土台になることではなかったのでしょうか。

まぁ樋渡前検事総長がどこに天下るか7~8年じっくり観察するとしても、今の検察首脳人事や法務省との接着、そして検察首脳の天下りを根絶する法案を通すことはすぐにでも出来るはずです。

悪の巨岩に相対するのではなく、政治権力維持のために悪の巨岩に迎合して、その部分になるのであれば、国民は国民の代表を選ぶ権利をも巨岩の泥に塗れされていると言わなければなりません。

そして国民が高度な政治判断に貢献でき得るより理想的な国民主権社会を実現するために、官僚に本来の技術職の意識を徹底させ、国民の一人とする自覚を根本から持たせる、すなわち国民と同じく責任の所在が明らかに本人と組織に帰属するよう、意識も制度も徹底させる。

マスコミは開示された情報を自己権益や思い上がりのために捏造や恣意的に歪ませたり、数字を誘導するような卑しい真似をするのではなく、国民にフェアに意見を選択できる土壌をつくることに努める。
つまり、自らの卑しさのために、社会正義の根幹に関わる村木裁判の行方や小沢秘書逮捕の重大な問題点をほとんど論じることもニュースにすることもなく義務は放棄して、それどころか真逆の印象を国民にもたせるかのように、時には捏造を交えて根拠希薄なソースを煽るように最大限に、あたかも事実のごとく報道する。
そして時に捏造が明らかになっても謝罪文ひとつ載せない。

そんなテレビ新聞は、はっきり言って必要ない。

百害あって一利なしである。
かの米国からも公文書により正真正銘のチンピラと記録された児玉良夫の庭掃除を仲宗根としたナベツネと呼ばれる勘違い輩と、彼と仲よしこよしと言われる朝日の舟橋の機嫌をとるようなつまらない記事しか書けない新聞もテレビも全く百害あって一利なしである。
例のナベツネは仲宗根あたりとの付き合いでニュースをめぐんで貰いつまらん出世した代表だろう。

権力と抱き合いながら、相愛関係となりくだらん出世するような体質のメディアなど百害あって一利なしである。
返信する
訂正 (SN)
2010-08-17 18:34:20
訂正:児玉良夫→児玉誉士夫
返信する
なんだかなー (chiba)
2010-08-18 02:02:18
こんなくだらない国があるだろうか。
「米国から見捨てられる」ことを恐れ
「世界第2位の経済大国から脱落する」ことを恐れ
あっちにも、こっちにも、
「日本をどう思いますか」と聞いてまわり、その回答に一喜一憂する。
弱い国として諸外国から見離されるんじゃないか、と不安におびえている。
それなのに、強いリーダーを排除し、馬鹿菅続投を支持するあたり、一体なにがなんだかマトモな人間にはさっぱりなわけで。
日本人よ、あんたらは、日本国をどうしたいんだ??
巨悪の根源はくだらないメディアの垂れ流す害毒にあるのはわかっているが、止める手立てのないのが辛いところ。

返信する
菅外交は脳天気外交 (cm)
2010-08-18 07:34:34
最近、世論調査によると菅内閣の支持率は横ばいか多少上がっているらしい。前回の
間には短期間の国会があったのが一般には大きなことだろうから、大きな失点が
なかったということなのかもしれないが、やはりマスコミが叩かないのが原因だろう。
世論調査など大手マスコミ次第なのだ、この程度の国民なのだとつくづく思う。

最近、菅内閣に関して何もなかったかといえば、大きなことがあった。日韓併合
100年に関する談話である。私は呆れてしまった。

この談話で韓国に植民地支配に関するお詫びをし、朝鮮王朝時代の図書を「お渡し」
をするという。菅内閣というか民主党政権かもしれないが、外交というものが
全くわかっていないことを露呈してしまった。

日本は植民地支配を何度も謝っており、何度謝るつもりなのだろうか。この話は村山
談話ですんだ話で改めて特定の国に謝罪することに何の国益があるのだろう。韓国、
中国にとって反日は国民の不満をそらすことができる政治的カードなのであり、
外交上でも日本を攻めるために、無条件に何度でも使用できる便利な武器である。

右翼的発言で舌禍を引き起こしてきた自民党政権はともかく、この手の発言が少ない
民主党政権は政権交代で韓国、中国に反日カードを無効化するチャンスだった。ところ
が、菅内閣は民主党政権でも有効だと知らせてしまった。

旧植民地国の文化財返還請求は世界的に起こっているが、先進国は無条件に認めていない。
こんなものを認めたところで何も国益にならないからである。韓国もこの手の請求を
日本に行っているが、日韓基本条約で何も返還する必要はない。ところが、菅内閣は
無条件に先の図書を「お渡し」するという。

日韓基本条約に抵触するため、返還ではなく「お渡し」という表現を使っているよう
だが、同じことである。韓国からすればただ主張し続ければ目的が遂行できるのだ。
植民地支配や反日は有効な武器であることが確認され、今後も使ってくるだろう。
中国も同様だ。

どうしてこういう行為になるのかわからないが、日本の左翼には昔から人類皆兄弟
的な脳天気さがあり、自分たちが倫理的に正しいことをすれば相手も倫理的に対応
してくれるといった変な思いこみがある。明らかな間違いである。

外交は武器を使わない戦争である。国益を争うところであり、倫理を競うところでは
ない。だからアメリカが無条件に沖縄を返還しなかったし、火事場泥棒で強奪した
北方領土をロシアは返さない。主要先進国は倫理的な問題をみな抱えているが、弱者
の批判など簡単に受け入れないのがパワーゲームの常道である。

ところが、菅内閣は何の取引もなく相手の要求を満たしてしまう。韓国は自国の領土
の竹島を武力占拠している国である。文化財返還請求には竹島問題の譲歩を求めれば
いいし、そうでなくても何らかの取引を行わなければ、今後も追加の請求は避けられ
ないし、国益を損じるばかりである。

韓国は前政権の話ではあるが、対日協力者を調べて財産没収などを行っている異常な
国である。当時、韓国は日本であり、時の政府に協力することはおかしなことでないが
未だにそれを調べ上げてつるし上げにするような国だ。日本は韓国相手に戦争をした
わけではないので、日韓基本条約で経済協力という形で韓国の国家予算以上の援助を
行った。それによって戦後補償も韓国政府の責任に移ったのに、わざわざそれを無効
にするようなことを行っている。安倍元首相の発言ではないが、今後の戦後補償など
の拡大の種をわざわざまいているのは馬鹿を通り越していると思う。

仙石官房長官の日韓基本条約に関する問題発言や岡田外相の文化財返還に関する条約
に関する発言など聞いていると彼らはどこの国の国益を代表しているのかと理解に
苦しむ。自国の領土を占領している相手に自国の領土の記述を遠慮し、おみやげまで
もたせるのは外交ではない。菅内閣には外交能力はないといわざるえない。

それにしても与党経験者がほとんどいないとはいえ、菅内閣はほとんど政治家が
いないのではないかと思うくらいひどい政権運営である。自民党は既得権益を死守
することだけにたけた世襲政治家の固まりだったが、非世襲が多い民主党は経験が
乏しいとはいえ、経験の追加で補えないような資質の欠陥を疑わせるような政治家
が執行部に多すぎる。

これほど政治家の程度は下がったのは母体となる国民の程度が概して低いからだろう
か。それとも政治とカネという粛清で有能な政治家を長年粛清してきたからだろう
か。有能な人物が出馬にためらうような新規参入への障壁となる構造問題だろうか。
いずれにしても真剣に考えなければならない問題である。

菅内閣に失点がないと報道されているが、この内閣になって良くなった、期待を
持たせるといったことは何もない。逆にでてくるのは悪くなった、悪くなる方針
などばかりである。この政権の続投理由はこのサイトで指摘されている通り、
任期が短いことと小沢以外なら誰でもいいというだけである。これでは昔から
よく言われるように「誰が総理をやっても同じ」という日本を駄目にしてきた
無責任な発言そのものではないか。

私は小泉政権を評価しないが、その後の自民党の短命政権と比較して影響力が
大きかったように明らかに誰が総理大臣になるかで政治も国民生活も全く変わって
くる。日本は国民の大半が暗い将来を予測するような将来も現在も暗い状況である。
にもかかわらず、「誰が総理をやっても同じ」を肯定する大手メディアや国民は
一体何なのだ。愚弄するにもほどがある。

菅直人が何の目的で首相を続けたいのか理解に苦しむが、この男の続投は何の
希望を感じさせない。私を不安にさせるのは以前、新YKKといわれていたり、
旧さきがけ人脈などから不安視される大連立である。この政権はしがみつきだけ
が目的なので危なかっしくて仕方がないのである。

小沢が出馬するのか、誰が出馬するのかわからないが、公式に菅を引きずりおろす
のは最後の機会かもしれない。小沢は2007年事件の検察聴取を代表選後にした
そうだ。これは小沢の選挙中に検察の聴取の悪いイメージを避けるためのもの
だろうか。いずれにしても今度の代表選に期待するしかない。
返信する
正当性なき国の衰退 (SN)
2010-08-19 19:22:49
再度の投稿申し訳ございません。
唯、公であれ私であれ国の運営の部分を担う組織のリーダーの人々は、本当に自覚して欲しいと願ってやまない気持ちから、ついつい発言してしまいます。

制度や理想を超えて、現実として、ひとつだけはっきりしていることがあります。
正当性なき権力は必ず社会と国を衰退させるということです。
社会に権力は必要です。
権力なき社会は混乱と無秩序の社会でしょう。

社会に生命力を産み長期に活力を醸し出す権力は、社会と、つまり国民と共生し、個人、各人に生きる正当性を素直に見いだせる社会でしょう。
私は、それこそが制度や体制を遥かに超えた、人と人が生きるための摂理だと思っています。

今の社会に若い、これから社会を国を背負っていく世代の人々にとって、生きる活力が見いだせるでしょうか。
子供を産み、育て、また新たなる社会の参加者を委ねるための努めを自覚できる社会であり、国であるでしょうか。
ごまかしは結局は衰退と破綻しかもたらさないでしょう。
子供手当とか、国民に1万2千円をばらまくとか、そういう問題ではありません。
粗食であっても、贅沢をしなくても、経済力に拠らずとも生きる尊厳をもてるならば、尊敬できる権力が隠しごとなく透明な姿勢と運営で人々を導いてゆく社会ならば、選挙制度に於いても、より社会の質を高めるため、自分達の幸福な社会のため、理解を深め、努力にはげむ「社会の活力」が地域にも国にも潤ってゆくと思います。

その権力の意義なく、人々に社会を育む努力を削ぐように情報操作でその場を凌ぎ、判断や認識の質を劣化させても、そのつけは必ず社会と国に何倍にもなって帰ってきます。

人々の無気力と金銭にだけ真実を求めざる得ない状況が個人も組織も権力も、そして社会からも信頼を奪い、不幸にして、犯罪を多発させ、未成年者から金儲け以外の生き方を消滅させ、生きることとお金が極端に同意語となる社会に生産性のない人々は生の価値も理由も見出だせず、ただ虚な時間を消化するのは共同体として不幸なことではないでしょうか。

唯々、公正でごまかしのない、金儲けが上手でなくても、尊敬できる大人が尊敬できる社会。

現実は政治にも、おかしな社会を転換させるためにも金は必要ですが、その現実を、また偽善的に情報を操作して自分達の不健全な体制維持のために国民感情を煽るような、どうしようもない「権力」を当事者は、それが社会をかえって無秩序にしていることを自覚して恥るべきだと思います。

欲のない、人々のために尽くしたわずかに生きている歳老いた人々。
私の知っている本当に尊敬できる無欲で賢い人々も、もういなくなってゆくでしょう。

そんな愛すべき人々がいなくなって、後を見回せば欲望の塊の人々か虚な瞳の人々か、そんないずれかの人々しか産みださない国にはなって欲しくありません。
返信する