政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

シロウト政治家・舛添要一の末路が見えた

2010-04-23 16:17:52 | 政治
勘違いの世論調査を真に受けて、勘違い男が最悪の選択をしたか。
「総理にしたい男No1」
しかし、その称号も一夜にして地に落ちてしまった。

それにしても桝添の選んだ相手がよりにもよって改革クラブとは!
おかげでいくつかのことが多くの人の目にも明らかになった。

桝添には政局観がない。
戦略眼がない。
政治センスが決定的に欠けている。

なにより政治に対する真摯さがない。

桝添は所詮政治家ではなかった。
テレビタレント上がりの政治のド素人であった。
多分彼は、改革クラブの正体も実態も知らないまま、うかうかと彼等の誘いに乗ってしまったのだろう。

史上最低の政党・”改革クラブ” 2009-12-27投稿

こんなところに桝添が引っかかるとは!

しかしわたしとしてはまことに結構な展開であると言わなければならない。
桝添新党が選挙前により多くの議員を集めることを切に望むものである。
出来る限り多くの自民党議員を引き連れて出てくれればよかったのだが……。
あいにくついていくのはカスがほんの一人二人のようだ。
思わぬところで人望の無さまで露呈してしまった。

本人は自分が当然の如く新党の党首に座れるものと思っているようだが、それ程甘くはない。
なんと言っても改革クラブには中村喜四郎という議員がいる。
この男が簡単に桝添なんぞの風下に立つとは思えない。

とここまで書いてきたところ、NHKのニュースで中村喜四郎が改革クラブを離党すると報じていた。

中村喜四郎   無所属 衆議院茨城7区 
2009年10月16日 改革クラブ入党


自民党在籍中、ゼネコン汚職事件で逮捕・実刑判決、仮釈放で出所、無所属で当選を繰り返し、現在通算11期目。
選挙にはめっぽう強い。

以下、ウィキペディアより抜粋。

竹下派七奉行の次世代を担うニューリーダーとして期待され、山崎拓、加藤紘一、小泉純一郎(YKK)と並びNYKKと称され、彼らと盟友関係にあった。

ゼネコン汚職事件に絡み、鹿島建設からの斡旋収賄罪容疑が浮上。検察は任意捜査を求めるも中村がそれを拒否をしたため、検察は逮捕許諾請求を国会に提出して逮捕する方針を取った。国会で逮捕許諾決議は可決され、中村は逮捕された。国会会期中の現職国会議員の逮捕は1967年の関谷勝利以来27年ぶりとなった。7月28日に保釈。拘置日数は140日間となった。


この間完全黙秘を貫いて男を上げた。

政界一ともいえる大のマスコミ嫌いで有名であり、講演会の会場やミニ集会や選挙の所信表明演説、選挙事務所内外でも全てシャットアウトするほどである(また、選挙当選時には、必ずマスコミ関係者は選挙事務所半径5メートル以内に近づけないようにしていた)。

1988年、経世会事務局長に就任。
1989年、科学技術庁長官(宇野内閣)に就任、自民党総務局長に就任。
1992年、建設大臣(宮沢内閣)に就任。


これだけの経歴を持ちながらまだ61歳である。
桝添など足下にも及ばぬ修羅場をくぐってきた人間である。
おかしくて桝添の下になどいられまい。

もう一人、改革クラブにいて、新党に参加しない男がいる。
大江康弘という。
これまで改革クラブ代表の渡部秀央と御神酒徳利のようにくっついていたやつである。
不幸なことに、この夏の参院選では改選にならない。

桝添に従う5人はいずれも今夏の参院選で改選を迎える。
全員落選確実な連中である。
桝添の名前と新党結成の話題でなんとか当選を、というだけの連中である。
ダメで元々、という奴らばかりである。

民主党にとっては大歓迎というべき展開である。
国民が誤解したまま桝添が自民党の先頭にでも立ったら、それなりの被害を民主党も国民も被ったかもしれない。

似非政治家が消えていく。
国民にとっては喜ぶべきことであるが、自民党にとっては、思っている以上の打撃になるだろう。

「首相にふさわしい」舛添・岡田・前原の順 (YOMIURI ONLINE 4/5)
読売新聞社の全国世論調査(電話方式)によると、首相に最もふさわしいと思う国会議員は、自民党の舛添要一・前厚生労働相が29%でトップとなり、2位の岡田外相の9%、3位の前原国土交通相の8%を大きく引き離した。

 4位は菅財務相(7%)、5位は、みんなの党の渡辺代表(6%)だった。鳩山首相は6位(5%)で、新党結成を表明した与謝野馨・元財務相は7位(4%)だった。


桝添が抜けても、鳩山はまだまだ一位に浮上できそうにない。

民主支持層を見ると、岡田氏21%、舛添氏17%の順で、3位の鳩山氏14%を上回った。小沢民主党幹事長は6位(6%)にとどまった。

事情は自民党も同じである。

自民支持層では、トップの舛添氏(46%)が、2位の谷垣自民党総裁(9%)を大きく上回った。

政治は人気投票でやるものではない。
とは言え、鳩山といい谷垣といい、これでは政治になるまい。

自民党ばかりではない。
民主党も人材不足が深刻になりつつある。

桝添が馬脚を現したことで、この国の政界の底の浅さまでが明らかになってしまった。





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戦後日本人を最も苦しめてきた国は?

2010-04-11 11:52:05 | 政治
多くの人が何の疑念もなく思いこんでいる。

戦後日本の平和と安全はアメリカの軍事力によって保たれてきた。
軍事力を米国に頼ることによって日本は経済発展に注力できた。

本当にそうなのだろうか。

1951年サンフランシスコ平和条約締結により、日本は独立を回復した。
同時に日米安保条約が結ばれ、進駐軍が駐留軍になった。

首相「米の言いなりにならない」 米誌インタビューで (産経ニュース 2010.4.10 )
鳩山由紀夫首相は9日までに米タイム誌のインタビューに応じ、日米関係について「日本にとって最も大事な関係」としながらも、「今までは米国の主張を受け入れ、従属的に外交を行ってきた」と指摘した。その上で「一方的に相手の言いなりになるよりも、お互いに議論を通じ、信頼を高めていく」と強調した。


戦後65年経って、独立国の総理大臣がこんな事をわざわざ言わねばならないほど、日本はアメリカの言いなりになってきた。
そのひとつの現れがいわゆる密約問題であろう。
なぜ歴代の内閣あるいは外務省・防衛庁(防衛省)は国民を欺いてまでかくも多くの密約の存在を否定し続けてきたのか?

四つの「密約」とは (jiji.com)
(1)核持ち込み=1960年の日米安全保障条約改定時に、核を搭載した艦船が日本に寄港する場合は、事前協議の対象外とする取り決めが交わされたとされる。
 (2)朝鮮半島有事の際の在日米軍基地自由使用=休戦状態にある朝鮮戦争に関し、在韓の国連軍が攻撃を受けた場合に備え、米軍が事前協議なしに在日米軍基地から出撃することを認める内容。
 (3)沖縄への核再配備=1972年の沖縄返還に際し、当時の佐藤栄作首相とニクソン米大統領が交わしたとされる取り決めで、有事に当たって沖縄の米軍基地に核兵器の再配備を認める内容。再配備には事前協議が必要としたが、首相と大統領の合意議事録で、日本側は速やかに了承することを確約している。
 (4)沖縄返還時の土地原状回復費の肩代わり=沖縄返還に際し、米軍基地跡地の原状回復補償費400万ドルを日本側が肩代わりするとした取り決め。(2010/03/09)


これらに加えてまた新たな密約が発覚した。

「米兵裁判権を放棄」日米の秘密合意明らかに (YOMIURI ONLINE 4/10)
日米地位協定の前身にあたる日米行政協定で、日本に駐留する米兵らの犯罪について、米側に実質的に裁判権を譲るとした日米間の「秘密合意」が存在したことが10日、外務省の調査で明らかになった。

 日米行政協定では、米兵らの公務外の犯罪は日本に裁判権があると規定していたが、研究者らが米国の公文書で秘密合意の存在を発見、指摘してきた。日本側でこの点が判明したのは初めて。


これは実質的には、国民をアメリカに売り渡したものである。
しかもそのことを秘密にし続けたのである。

米兵による犯罪被害者となり得る日本人の人権を完全に無視したものであるといえよう。

すべての密約は、表面上の取り決めを越えた利益をアメリカに認めたものである。
政府や役人どもは、国民向けの条約・協定とアメリカ向けの条約・協定とを二通り作り、国民には内緒にしていたのである。

日本の平和と安全を保持するためのやむを得ない方策であった、と彼等は言うだろう。
外交に秘密はつきものである、とも言うかも知れない。

しかし、すべてはアメリカのプレゼンスが抑止力として有効であるという前提があって初めて成り立つ議論である。
つまりアメリカ軍の存在がなければ、たちまち日本は攻撃を受け独立を脅かされるという可能性があつて初めて日本の国民の犠牲が辛うじて正当化されるといえる。
ところでサンフランシスコ平和条約締結後、日本を取り巻く情勢は、そのような危機が現実問題として起こりうる状況にあったのか?
その検証をすることなく、政府はアメリカの言いなりに基地を提供し、上納金のごとく金銭を提供し続けてきた。

しかしその間日本は自身の国防予算をゼロにしていたわけではない。
インドなどよりはるかに多い世界5・6位の国防予算を維持しているのである。
中国でさえ、その国防予算が日本を追い抜いたのは2007年になってからだという。

中国国防費の伸び鈍化 10年は7%、22年ぶり1けた (asahi.com 2010.3.4.)


公表している国防費だけで2007年に日本を抜いている。近代化を進める中国軍は、新型戦闘機や宇宙空間の開発に力を入れており、今後も増加傾向は続くとみられる。


中国の公表数字があてにならないものとしても、中国の防衛予算が日本を抜いたのはそう古いことではないだろう。

本当に脅威は存在したのか?
確かに現在の中国軍事予算の伸びは驚異的である。
しかし、それは近年のことなのである。
戦後65年間のほんの一部に過ぎない。
脅威は現在でこそ増大しているかもしれないが、中国が過去65年間、日本の脅威でありつづけたとは考えられない。

中国が、経済覇権と軍事覇権の両立を意図しているのは多分確かであろう。
しかし中国が資本主義的政策を進め、世界的な経済体制に組み込まれつつある現在、過度な警戒はかえって中国の軍事力の拡大を招く恐れさえある。

いずれにしろ政府が国民を欺いてまで、”米軍に駐留していただく”理由があったとは思えない。
一方では、米軍の存在によって確実に苦しんできた国民が存在する。
米軍兵士の犯罪による被害者、騒音被害でまともな生活が破壊されている国民が多数存在する。

戦後65年。
その間、直接に日本人を苦しめた外国はどこか。
北朝鮮は百人を越える日本人を拉致したと思われる。
決してそのことを軽視するつもりはないが、北朝鮮が、日本の平和と安全を脅かす存在とは言えないだろう。
中国も、人権問題・領土問題などで日本との間に問題がないわけではない。
ロシアとの間にも領土問題や漁業問題があるのも確かである。
しかし、もっとも長く、もっとも大きく、確実に日本人を苦しめてきたのはアメリカである。

沖縄に住む人たちだけではない。
全国に展開する米軍基地の周辺に暮らす人たちは、いまでも耐え難い苦痛を与えられ続けているのである。

政府は、存在するのかどうかも分からない脅威を口実に日本国民の不利益を無視し、アメリカの利益を図り続けてきた。

我々は、”アメリカ軍に駐留していただく利益”と”それによって被る国民の不幸”を冷静に比較衡量し、日米安保条約そのものを考え直す時期にきているのではないか?




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論壇の凋落…西部邁のこけおどし論文批判

2010-03-29 17:46:02 | 政治
立花隆、森田実というかつて論客ともてはやされた言論人の凋落が甚だしい。
立花隆と森田実・過去の名声と無惨な現在 2/7
立花隆が産経に登場…ボケの進行が加速している 3/12


この二人については、”耄碌(もうろく)”と言うほかないほど知性の減退が進んでいる。
ここに仲間入りをさせたいもう一人の人間がいる。

【正論】評論家・西部邁 国家を歯牙にかけぬ民意の堕落 (産経ニュース 3/16)

「自民党はだらしない」という批判がしきりである。しかし、そう難じる者たちも自民党の未来を本気で心配しているわけではない。自由民主主義の何たるべきかについて、真面目に考えることすらしていないのである。批判する資格のない者たちからかくも激しく叱(しか)られるところをみると、「自民党マイナス政権党はゼロ」ということかもしれない。


西部の非難はまず自民党ではなく、”自由民主主義とは何かということを理解していない人々”に向けられる。
そして彼等を、「自民党を批判する資格のない者」と規定している。

自民党を批判するのに資格がいるとは思わなかった。
彼に言わせれば、共産主義を理解していない者は、共産党を批判する資格はないということになる。

西部の使う用語は難解であり、一見高尚そうに見える。
それだけで我々一般人は彼を敬遠してしまう。

 ≪何を「再生」するのか≫

 自民党の内部から「保守再生」の声が挙がってはいる。だが、「保守」の意味が一向に明らかにされていないのだ。保守とは、自由のための秩序を国家の「歴史的」な規範に求め、平等の限界を国民の「歴史的」な公正感に見いだし、友愛に伴う偽善を国民の「歴史的」な節度によって防止する、という姿勢のことであろう。戦後の65年間、それら「歴史的なるもの」が破壊にまかされてきた。それを放置してきたのは、ほかならぬ自民党の責任である。


ここで西部は改めて”保守”を定義している。

保守とは、

自由のための秩序を国家の「歴史的」な規範に求め、
平等の限界を国民の「歴史的」な公正感に見いだし、
友愛に伴う偽善を国民の「歴史的」な節度によって防止する

、という姿勢のことらしい。

友愛に伴う偽善、というところなどはご愛敬というものであるが、それを「歴史的節度」によって防止するとなると何のことだかまるで分からなくなる。
前の二つについては、理解できなくもない。
しかし決して賛成するという意味ではない。
西部の言うところは、国家秩序維持のための歴史規範からの自由の制限であり、歴史的な公正感から平等を制限するということである。

彼の主張の規範は「歴史的なるもの」という点にありそうだ。

わたしは彼等の言を信用していない。
彼等の言う「歴史」を信用していないからである。
彼等の言う「歴史」とは、ほとんどいつも「明治維新」であり、「太平洋戦争」であり「天皇」である。
「日本の歴史」はそれだけで出来上がっているかのような言い方をする。

「戦後の65年間、それら『歴史的なるもの』が破壊にまかされてきた」と西部は嘆くが、彼の言う「歴史的なるもの」の正体は明らかであろう。

 いや、昭和期の自民党は歴史の慣性のようなものをひきずっていた。つまり、アメリカ流の自由(個人)民主主義の実行の仕方において、日本流がかろうじて生き長らえていたのである。しかし、平成期の世代交代につれて、その慣性も消え失せた。安倍元首相のように日本の歴史をよびもどそうとする指導者もいたが、小泉改革にみられたように、アプレゲール(大戦後派)による歴史破壊がほぼ完成したのである。「モダン(近代)」の原義は「モデル(模型)のモード(流行)」であるという趣旨で、平成改革という単純な模型が盛大に流行したわけだ。その騒がしい改革運動に自民党も迎合したのである。

自民党が引きずっていた「歴史の慣性」を「辛うじて生きながらえていた日本流」と呼び、どうやらそれを肯定的に捉えているらしい。
「安倍元首相のように日本の歴史をよびもどそうとする指導者」
「美しい国日本」、「戦後レジームからの脱却」というのは、とりもなおさず「太平洋戦争以前の日本」への回帰を意味していただけではないのか。

「小泉改革にみられたように、アプレゲール(大戦後派)による歴史破壊がほぼ完成したのである」
この部分は具体的にどういう事を指しているのか分からない。
小泉なんて大したことはしていないと思うのだが。
今どき、アプレゲールと言われても、現代政治におけるその位置づけがわたしにはさっぱり理解できない。
単に戦後育ちということか?
「戦後65年間破壊に任されてきた」と言っていることは、アプレゲールによる破壊以前に戦前派による破壊があったということになろう。
しかし「歴史破壊」という言葉そのものもよく分からない。
歴史を破壊することはだれにも出来ないだろう。

 ≪社民主義が氾濫する≫

 アメリカ流の自民主義は自由の過剰としての無秩序を、格差の過剰としての差別を、競合の過剰としての弱肉強食をもたらした。それをみて日本の民主党は、アメリカの民主党と軌を一にし、社会(介入)民主主義を、つまり社民主義を標榜(ひょうぼう)した。平成改革を強く要求したその舌の根も乾かぬうちに、秩序回復、格差是正、友愛喚起を訴えるという二枚舌で、政権を奪取したのである。

 昭和期の自民党も社民的政策を推し進めていたのだが、そこには、無自覚にせよ、国柄保守の態度が何とか維持されていた。派閥や談合といった非公式の場において、少数派の立場にも配慮するという形で、国柄の持つ多面多層の性格を保持せんとしていた。しかし、「改革」がその国柄をついに破砕したのである。その結果、アメリカ主流の自由民主主義とその反主流の社民主義という、ともに歴史感覚の乏しい政治理念のあいだの代理闘争がこの列島で演じられる仕儀となった。


「国柄」と言う言葉は何と読むのだろう。
「クニガラ」?
いずれにしろ「國体」の残りカスを指しているのだろう。

「歴史感覚の乏しい政治理念のあいだの代理闘争」
本人は、歴史感覚十分と考えているようだが、その歴史感覚自体が勘違いである。
もっとも西部の言う歴史感覚とは、国柄=國體意識を指している。
バカバカしい。

 かかる状況に切り込まずに保守再生をいうのはお笑い種でしかない。必要なのは「保守誕生」ではないのか。日本国憲法は社民主義のマニフェストにすぎないこと、自民党の旧綱領は社民主義へのアンチテーゼにとどまっていたこと、平成改革は国柄喪失の自民主義に突っ走っていたこと、そうした事柄を全面的に省察するのが保守誕生ということである。

確かに自民党内の共通した認識は、”反共”しかなかった。
自民党の「保守」概念が、社民主義へのアンチテーゼにとどまっていた、という指摘は正しいのだろう。
ただし「社民主義」というより、自民党の意識では、「社会主義」、「共産主義」を意識していたに過ぎない。
しかし小泉以後の自民党政治を、安倍晋三を除いて、「平成改革」と呼び、「国柄喪失」という言い方には笑ってしまう。
一体西部のいう「国柄」とは何なのだ?
それがまったく理解できない以上、西部の論はわたしには意味を持たない。
「國體」というカビの生えた言葉を単に置き換えたものに過ぎないものなのだろうが。

「保守誕生」というが、その中身は、「社民主義へのアンチテーゼではない國體護持」ということなのだろう。

 あと3年半は、政権から遠く離れた自民党にとって、保守の国民運動を繰り広げるのに絶好の機会ではないのか。多くの国民も、内心ひそかに、自分らの国柄が米中両国に挟み撃ちされている危機的様子に気づいて、保守誕生を待望していると思われる。

「自分らの国柄が米中両国に挟み撃ちされている危機的様子」

これもまた理解しにくい表現である。
挟み撃ちにされている「国柄」とは何を言っているのか分からない。
もしかすると「主権」とか「アイデンティティ」とかという意味で使っていたのか。
アメリカは分かるとしても何でここに中国がでてくるのか?
「国の安全」とか「国の経済」とかなら分かるが、「国柄」とは……。

そんなことを理由に、「多くの国民も、内心ひそかに……保守誕生を待望している」はずはない。

 ≪腐敗していく民衆政治≫

 自民党を怯(おび)えさせ、また民主党を高ぶらせているのは「数の論理」である。「民主主義は多数決だ」(小沢一郎民主党幹事長)という猛々(たけだけ)しい言葉の前で自民党は萎縮(いしゅく)している。しかし、この文句はデモクラシー(民衆政治)の腐敗の明らかな兆候なのだ。


これを「腐敗の兆候」というが、ことさらデモクラシーを民衆政治という言葉に置き換えて、衆愚政治のイメージを塗り重ねているだけではないのか。
デモクラシーも腐敗する。
しかし、地球上でこれまでに腐敗しなかった政治形態があったのか?
中国の理想的な指導者とされる尭・舜でさえその国を永続させることは出来なかった。
腐敗や滅亡は必然なのである。
ひとりデモクラシーに限ったことではない。
しかし、「数の論理」がデモクラシー腐敗の兆候というのは、次に西部自身も言うように、そもそもデモクラシーそのものが内包する矛盾を言っているだけに過ぎない。
とりたてて「腐敗の兆候」などと大声で言うほどのことではない。

 なるほど、民衆政治は「多数参加の下での多数決制」という数の制度である。しかし、これから正が出るか邪が出るかは、「民意」なるものが優等か劣等かによる。たとえば、議会での議論が必要なのは、民意によって選ばれた多数派の政権も、フォリビリティ(可謬性つまり間違いを犯す可能性)を免れえないからだ。またたとえば、ほとんどすべての独裁が民意によって、換言すると民衆政治を民衆自身が否定することによって、生み出されもした。こういうものにすぎぬ民衆政治を民主主義の理念にまで昇格させたのは、自民主義にせよ社民主義にせよ、近代の理念における錯誤だらけの模型であり流行である。

 デモクラティズム(民主主義)は民衆という多数者に「主権」ありとする。主権とは「崇高、絶対、無制限の権利」のことである。ただし、民衆が「国民」であるならば、国家の歴史に秘められている英知のことをさして、主権という修辞を与えることも許されよう。しかし、平成列島人のように国家のことを歯牙(しが)にもかけない単なる人民の民意に主権を見いだすのは、民衆政治の堕落にすぎない。これから誕生する保守の最初の仕事は、民主主義を国民政治への最大の敵と見定めることであろう。(にしべ すすむ)


「主権」を「崇高、絶対、無制限の権利」と定義するが、これは西部の定義に過ぎない。
「主権」の定義は百人百様であろう。
わたしは「主権」を”崇高”とも思わないし、絶対とも思わない。
ちなみにわたしは、「主権とは、自分のことを自分で決める権利」という程度に理解している。
そして現実には、崇高とはほど遠い卑近なものであると思っている。
妥協もあるし、相対的なものでもあり、自他の無制限の権利を制限する権利も含まれると思っている。

そして彼はついに民衆に国家の網をかぶせる。
民衆が「国民」であるならば、と卑怯な前提をおいてである。

わたしが不自由に思うのは、日本語にはこの国に住む一人一人の住民を指す適当な言葉がないということである。
「市民革命」と言ったときの「市民」ということばがそれに近いが、わたしたち一人一人の住民を指すには日本語としては未成熟なことばである。
「××村」に住みながら、自らを「市民」とは言いにくい。
民衆や大衆も個々人を集合として捉えている側面がつよい。

そんな中で、「日本国民であるなら」と言われても応対に苦慮してしまう。
「日本という国に住む市民なら」と言われるとまた別の対応ができるというものである。

しかしわたしも国民という言葉はよく使う。
一々、「日本という国に住む市民」などと表現していられないからである。
つくづく不自由を感じている。
それを西部のように正面から、「日本国民なら…」と一括りにされると、「それは違うだろう」と言わなくてはならない。
西部の言う「国民」とわたしの言う「国民」とは明らかに乖離がある。

西部は一応は民衆に主権を認めながら、その主権の上に国家を置く。

「国家の歴史に秘められている英知のことをさして、主権という修辞を与えることも許されよう」

これが多分西部の言う「国柄」の正体なのであろう。
主権とは愚かな民衆の持ち物ではなく、「英知に溢れた国家」の所有物であるらしい。
というよりむしろ、「国柄」が国家を形成すると言うべきなのか。
その「国柄」の凝縮し昇華した現れが安倍晋三らしい。

ついでながら、「国家」と言う言葉もわたしには抵抗感の強い言葉である。
わたしはなるべく「国家」という言葉を使うことは避けている。
わたしは、経済において「家庭」の経済活動を「家計」と呼ぶような意味で、「国」を政治・経済・外交等の面からみたときに「国家」という言葉を使っている。
この場合はまだ代わりに「国」という言葉があるから救われる。
この「国家」という言葉も右翼の大好きな言葉である。
彼等は実によく「国家」という言葉を使う。

「平成列島人のように国家のことを歯牙(しが)にもかけない単なる人民の民意」

西部は、「平成列島人」と、物理的・即物的な言葉に軽蔑と嫌悪を込めてわたしたちを呼ぶ。

西部の理想とする国家では、愚かな民衆は「国柄」という訳の分からないものに主権を譲り渡さなければならないらしい。
それを拒み、主権を主張する民衆は国家の敵であるということになる。

「これから誕生する保守の最初の仕事は、民主主義を国民政治への最大の敵と見定めることであろう」

この西部の言葉は、単なるレトリックではなく、心の底からの思いであろう。

しかし保守論壇の論客とか重鎮とか言われる西部邁の「保守論」というのも、なんとも底の浅いものである。
結局、「國體」を「国柄」という言葉に置き換えただけの「国体護持論」に過ぎない。
西部の言う、國體=国柄の中身は必ずしも明らかというわけではないが、いずれにしろわたしたちの上に無条件に存在するそんなものはわたしは拒否する。

全体は自民党に対する叱咤激励のようにも思われるのだが、「これから誕生する保守の最初の仕事は、民主主義を国民政治への最大の敵と見定めることであろう」と言われては、自民党もどうしていいか分からないだろう。
「民主主義は国民政治の敵だ」と叫んでいては選挙にならない。

ところでその「国民政治」とは何だろう?
西部は「民衆政治」は否定するが、「国民政治」は肯定する。
多分「国家に組み込まれた国民」による政治という意味なのであろう。

読後の感想を言わせてもらえば、難解な用語と複雑な言い回しを駆使して文章を飾り立てているが、ほとんど具体的な像を結ばない空疎な論文である。

わたしは西部の軽蔑する民衆の一人である。
西部邁の”民衆”に対する冷たい視線が嫌いである




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知事抹殺 つくられた福島県汚職事件
佐藤 栄佐久
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ゲッ、軍事裁判所! 自民党の極右化と無意識のナショナリズム

2010-03-06 21:49:17 | 政治
自民党の極右化が顕著だ。
消滅の危機を迎えている自民党が、そのアイデンティティを「国家主義」に求めるのは納得できるところではある。
もともと右翼的体質を持っている連中の集まりである。
その中でちょっとだけ過激な連中が、党存亡の危機だとばかりに喚きだしている。
それが自民党の中だけで済んでいれば構わないのだが……。

「自民党保守系議員」という言葉がある。
自民党に革新系議員がいるはずもない。
簡単に言えば、右翼、というより極右議員を指している。

現在自民党衆議院議員は118人である。
全体の四分の一以下である。

彼等の勘違いは、自民党が保守的性格・色彩を薄めてきたために選挙に負けたと思っているところにある。
保守の旗さえ高々と立てれば国民の支持は戻ってくると思っている。

それとも残った四分の一の議席だけでも死守する方針か?

それにしても”徴兵制”とは!

自民、徴兵制検討を示唆 5月めど、改憲案修正へ (47news 3/4)

参院選を視野に、離反した保守層を呼び戻す狙いとみられる。ただ05年草案も徴兵制には踏み込んでおらず、「右派」色を強めたと受け取られる可能性もある。今後党内外で論議を呼ぶのは必至だ。


「離反した保守層の引き戻し」より「残っている保守層のつなぎ止め」の方が先だろう。
”徴兵制”で戻ってくる人数と離れていく人数とでは、どちらが多いかちょっと考えればすぐにも分かりそうなものだ。

 大島理森幹事長は4日夜に「論点は他の民主主義国家の現状を整理したにすぎない。わが党が徴兵制を検討することはない」と火消しを図るコメントを発表した。

その整理された論点とは、次のようである。

憲法改正の論点整理 自民推進本部が発表 (Yahoo news 産経 3/5)

 ■憲法改正論点整理の要旨

 第1 総論

 一、憲法改正国民投票法の有権者が18歳以上になるため、少なくとも高校で憲法を学ぶ必要がある
 一、「日本らしい日本の確立」のために自民党が主張する憲法改正の柱の明確化
 一、憲法改正要件を規定する96条の改正から、憲法改正の行動を起こすべき
 一、国旗・国歌の規定を置くべきか

 第2 各論
 一、象徴天皇制を維持した上で、天皇が元首であることを明記するか
 一、天皇の国事行為に「承認」の文言は不要
 一、国家としての安全保障をどう表現するか。集団的自衛権と国家の同盟関係のあり方を再検討
 一、民主主義国での兵役義務の意味と、軍隊と国民の関係を検討する必要があるのではないか
 一、外国籍には国・地方を通じて参政権を有しないことを明記するか
 一、一院制・二院制の是非を検討
 一、軍事裁判所の必要性


取り上げるのもバカバカしいものであるが、ちょっと首を捻ったのが「軍事裁判所」である。
いかにも唐突すぎる。
これまで国民の間で、話題に上がったこともないと思うのだが……。
もっとも自民党極右の連中の間では、前からある議論なのかもしれない。

これは徴兵制と関連するのか?
徴兵制(国民皆兵)→軍事裁判所・軍法会議

それでなくとも検察の横暴・暴虐に国民の多くは怒っている。
この上、軍事裁判所なんてものまで作られてはたまったものではない。
まったく正気の沙汰とは思えない。

しかし、「徴兵制」とか「軍事裁判所」とかいうのは、その言葉だけで問題がはっきりするからまだいい。
こういうのは、大きな声で反対しにくい空気があるので厄介だ。
 ↓
文科相、北教組指導へ 国旗国歌排除マニュアル問題で (産経ニュース 3/5)
川端氏は「学習指導要領を含めて、子供たちにも自国の国旗を尊ぶと同時に君が代が歌えるように指導し、国旗国歌を大事にと指導している」とも指摘し、マニュアルの内容を問題視した。


質問者は下村博文。自民党極右議員の代表的存在である。
もっとも自民党にはそんな奴があんまり多すぎて順位をつけるのには苦労しそうだ。

当時首相であった小渕恵三は、1999年6月29日の衆議院本会議において、日本共産党の志位和夫の質問に対し以下の通り答弁した。
「国旗及び国歌の強制についてお尋ねがありましたが、政府といたしましては、国旗・国歌の法制化に当たり、国旗の掲揚に関し義務づけなどを行うことは考えておりません。したがって、現行の運用に変更が生ずることにはならないと考えております。」 (ウィキペディアより)


出来てしまえばこっちのもの、とばかりにどんどん締め付けを厳しくしてきたのが右翼政治家とそれに流されてきた無気力議員たちである。

民主党は、自民党右翼議員の攻撃に毅然とした反撃・反論を見せたことはほとんどない。
しかし攻撃をはぐらかす能力もない。
残ったのは、阿諛追従である。

わたしたちもあなた達と同じに考えています。
同じようにやっています。

大臣室に国旗があるか、と質問されて、「飾っています」と、してやったりというような表情で、いかにも得意げに答弁した大臣がいた。
福島瑞穂である。
民主党ではないが、民主党の大臣よりおかしかないか?

何でもないことのようだが、これなんかも違和感がある。
 ↓ 
文科相、五輪選手支援企業の優遇税制検討 (YOMIURI ONLINE 3/4)

鳩山首相も「(五輪は)国民挙げて強い関心を持つ、日本人であることに誇りを持つ瞬間だと思っているので、何ができるのか、真剣に積極的に検討していきたい」と述べ、五輪選手の支援に前向きに取り組む考えを表明した。


五輪を国威発揚の場と捉えることに何ら疑問を持たないでいる。
五輪でのメダルが、「日本人であることに誇りを持つ」ことに簡単につながってしまう。
スポーツ・ナショナリズムというような言葉で片付けたいとは思わないが、発想はその程度である。

渡部元衆院副議長 「心の教育を粗末に」 北教祖の違法献金事件で陳謝 (産経ニュース 3/5)
(祖ではなく組なのだが、ソースに従った)
マスコミは何かあるとすぐにこの男のところに行くのはやめたらどうか?
小沢や鳩山の悪口を言わせたくていくのだろうが、この男、年をとって人恋しいのか、人を集めるためにせっせとリップサービスに務める。

「北教祖の違法献金事件で陳謝」?
うれしくてしょうがないようだ。

「心の教育」なんてのも右翼は大好きである。

警戒すべき人間は民主党内にも山ほどいる。
はっきりと色のついている奴は外から見て分かるからいいのだが、無意識にそいつらに引っ張られていく奴も少なくはなさそうだ。

それでもまさか、「徴兵制」だの「軍事裁判所」などと言いだす奴まではいないだろう……?





民主主義の確立のために!
    
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外国人参政権問題急浮上!

2010-01-13 11:37:44 | 政治
にわかに外国人参政権問題が具体性を帯びてきた感がある。
来週から始まる通常国会に民主党が法案を提出する構えらしい。
根強い反対の声もあり、すんなり成立といくかどうか分からないようだ。

亀井氏、外国人参政権法案の国会提出に反対「ごり押ししないと思う」(産経ニュース 2009.12.15)
 国民新党代表の亀井静香郵政改革・金融担当相は14日夜、民放のラジオ番組に出演し、民主党の小沢一郎幹事長が永住外国人に地方参政権(選挙権)を付与する法案を政府提案で来年の通常国会に提出・成立させる方針を示していることに対し、「私は(閣議で)賛成しないので、国会に法案提出できない。小沢氏はごり押ししないと思う」と述べ、法案提出に反対する考えを示した。

 さらに「在日外国人が密集しているところでは、地域政治の生殺与奪を握られかねない。帰化条件をある程度緩和していく手だてがある」と指摘した。


これまで言いたい放題、やりたい放題の亀も正念場を迎えることになる。
モラトリアム法案、郵政株式売却凍結、郵政社長人事と暴走してきたが、これらはすべて小沢が反対しないと見越してのことである。
ところが、外国人参政権は小沢が一番の推進者である。
亀に小沢と真っ向から対決する覚悟があるか?
連立離脱まで視野に入れているか?

多分、亀井は連立離脱も視野に入れているだろう。
7月の参院選をいかに戦うか。
亀井はそこから逆算して喧嘩をしかけるだろう。
参院選が政界再編のきっかけになる。
選挙前は自民党を含めてさまざまな動きがあるだろうし、選挙結果次第ではさらに大きな動きもあるだろう。
そんな中、保守の旗を押し立てるには絶好のテーマでもある。
一方、公明党は小沢にすり寄る姿勢がアリアリである。
案外大きな動きにつながるかも知れない。

問題は鳩山の方の覚悟である。
亀井が法案提出に反対した場合、亀井罷免・連立解消に踏み切れるか?

取り巻きもお粗末きわまりない。

「憲法違反という人いる」 外国人参政権法案で官房長官 (産経ニュース 1/12)
平野博文官房長官は12日午前の記者会見で、政府・民主党が18日召集の通常国会に提出を目指す永住外国人地方参政権(選挙権)付与法案について「憲法違反であると一部おっしゃる方もいると聞いている。そのことも十分踏まえて(法案を)提出をしなきゃいけない」と述べた。
(中略)
憲法15条では公務員の選定・罷免を「国民固有の権利」と明記。93条で地方参政権を持つと定められる「住民」について、平成7年2月の最高裁判決は「日本国民を意味するもの」としている。


これから法案を出そうという当事者が「憲法違反であると一部おっしゃる方もいると聞いている。」なんて弱気なことを言っていてどうなる!

日本国憲法
第93条 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
2 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。


産経はこの条文を言っているのだろうが、ここでは「地方公共団体の住民」とあるだけで、日本国民と言っているわけではない。

憲法15条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。

ところで日本国憲法は前文と第一章~第十一章から成り立っている。
15条は、「第三章 国民の権利及び義務」中にある。
一方93条は「第八章 地方自治」中の条文である。
第三章の「日本国民」と第八章の「地方公共団体の住民」は必ずしも同一視しなくてもいいのではないか?
章を替え、用語も替わっているのである。
最高裁の判決も10年以上も前のものである。
官房長官は堂々と法案提出の準備を進めればよい。
たまにはちゃんと仕事をしなさい。

内閣法制局長官の答弁禁止なんかはここら辺を見越していたのか?

とりあえず選挙権だけというなら、反対者の言うほど危惧することは必要あるまい。
むしろ選挙権、被選挙権と二段階に分け、時間をおいて被選挙権を含めた法案を成立させることも視野に入れるべきであろう。

戦後65年、そろそろ同じ地域に住む住民が協力し、お互いを尊敬し信頼して地域を良くしていく努力をすべきときではないか。
不信と敵意からは幸福は生まれない。






政権交代はまだ終わってない!
    
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史上最低の政党・”改革クラブ”

2009-12-27 09:23:18 | 政治
多分史上最低の政党と言えるだろう。
結党以来、この党の至上命題は所属議員5人の確保である。
それだけのために悪戦苦闘を続けているのが、改革クラブである。

結党は2008年(平成20年)8月29日。
お笑い政党にふさわしい幕開けであった。



この場にあるべきはずの姫井由美子議員の姿がない。
数時間後、姫井議員は別のところで会見を開いていた。



民主党へ離党届を出していた姫井由美子参議院議員は29日の午後6時半から民主党本部で記者会見し、新党「改革クラブ」には参加しない意向を表明、「これまで通り民主党参院議員として頑張っていく」と語った。

女心と秋の空。
出足でずっこけた改革クラブの苦難の始まりである。

彼等が5人にこだわるのには理由がある。

党首   渡辺秀央  民主党 参議院比例区
幹事長  荒井広幸  自民党 参議院比例区
      大江康弘  民主党 参議院比例区
      松下新平  無所属 参議院宮崎選挙区


比例区選出の議員は、当選後その時点で存在していた政党への移籍を行うと議席を失うことになる。
新党結成は許されるが、自民党へ入ることは出来ない。

そこで改革クラブ結党ということになるのだが、今度は政党助成金を貰うためには5人の議員が必要になる。
姫井由美子を騙してだかおだてだかして仲間に引き入れたのだが、こいつらに騙されるくらいのバカ娘である。簡単に説得されて民主党に戻ってしまった。

仕方なく四人でスタートしたのだが、二階俊博が裏で糸を引いていたらしい。
いわば自民党別働隊である。
二階も責任を感じたのか、あるいは渡辺達が動き回ったのか、ようやく一人を引き入れることに成功した。

2008年9月24日 - 改革クラブへ参加

西村慎吾    民主党公認・衆議院比例復活(2005年)
        2005年11月29日 - 民主党が除籍処分


人も知る極右議員である。
クズはクズを呼ぶ。
しかしせっかくの入党も、今年の8月総選挙であえなく落選。
再び5人を割ってしまった。
そこで見つけてきたのが、

中村喜四郎   無所属 衆議院茨城7区 
2009年10月16日 改革クラブ入党


自民党在籍中、ゼネコン汚職事件で逮捕・実刑判決、仮釈放で出所、無所属で当選を繰り返し、現在通算11期目。
選挙にはめっぽう強い。

これでめでたく5人確保となった。
しかしそれですんなり収まらないところがお笑い政党たる由縁である。
意外な騒ぎを引き起こした。

自民を離党検討 参院議員・長谷川大紋氏 党本部対応に不快感
自民党参院議員の長谷川大紋氏(66)は十日、本紙の取材に離党を検討していることを明らかにした。十月に衆院茨城7区の中村喜四郎氏が入った改革クラブと衆院で統一会派を組んだことをめぐり、県連に事前に相談せずに事を進めた党本部執行部への不満を理由に挙げた。 (高橋淳)

 自民党出身で長らく無所属議員として活動してきた中村氏と県連は衆院選で何度も対決し、過去には中村氏支持に回った同党県議を県連が除名したこともある。


結局、長谷川議員は12月22日、自民党離党。
自民党茨城県連の大重鎮、次期県連会長の呼び声の高い人物である。
茨城県自民党は全国二位の党員数を誇る、自民党王国であった。
今回の離党も自民党執行部に対する反発からのことで、身も心も自民党議員であることに変わりはない。
民主党に駆け込む心配はなさそうだが、県連の弱体化は避けられそうにない。

来年7月には参議院選挙がある。
改選を迎えるのは
渡辺秀央・荒井広幸・松下新平の3人。

内心穏やかではいられまい。
まず松下新平に動きがあった。
これ↓が引き金だったのだろう。

参院選で松下氏推薦せず 民主党県連決定 (宮崎日々新聞MIYANICHI e PRESS 2009年09月11日)
民主党県連(井上紀代子代表)は10日、幹事会を開き、来年7月改選の参院選の対応を協議した。2004年の参院選で支援し当選した松下新平議員(改革クラブ)は支援せず、公認候補を擁立する方針を確認した。


無所属ながら民主党支援で当選していた男である。
民主党の支援無しでは当選はおぼつかない。
まして民主党が公認候補を立てるとなれば、当選可能性はゼロである。

自民・改革ク、参院議員「交換トレード」へ (YOMIURI ONLINE 2009年12月26日)
衆参両院で統一会派を組む自民党と改革クラブが、参院議員を各1人、「交換トレード」する方向で調整を進めていることが25日、分かった。

 両党関係者が明らかにした。自民党は、改革クラブの松下新平参院議員(宮崎選挙区)(43)に、次期参院選で自民党からの出馬を打診。改革クラブ側は松下氏の自民党入りを了承しているが、問題は同クラブ所属議員が4人となり、政党交付金を受け取れる政党要件(国会議員5人以上)をみたさなくなることだった。そこで、自民党は、今期で引退を表明している山内俊夫参院議員(香川選挙区)(63)が改革クラブに移籍することを申し出たという。


それにしてもここまで愚劣な移籍劇があったろうか。
松下新平は選挙区当選議員だからいつでも自民党に入ることが出来る。
幸い、山内俊夫参院議員(香川選挙区)も同様である。
どうせ今のままなら落選確実な議員と引退表明をしている議員との交換である。
どちらにも損はない。
あからさまな政党助成金の確保と政党要件の維持が目的である。

政党要件を満たすことによって。政党助成金の受け取り以外にも種々恩恵がある。

◎政党は比例区に1人からでも候補を立てられるが、政治団体は衆院では定数の10分の2以上、参院では10人以上(選挙区と含めて)候補を立てなければならない
◎企業(法人)からの政治献金を受け取ることができる(政党以外の政治団体は、個人献金のみ受け取れる)

……等々。

しかしどんなに悪あがきをしても、選挙区で勝ち残れるような奴はいない。
比例区でも無理だろう。
全員落選という事態が待ち受けている。
残るは、中村喜四郎と大江康弘の二人。
党の存続は中村喜四郎次第ということになる。
大江康弘なんて男は何の役にも立たない。

改革クラブという政党は、その存在自体が日本の政党政治史上の一大汚点と言えよう。

こんなところとバーター取引をしたり、統一会派を組んだり、自民党も情けない存在に成り下がってしまった。




政権交代劇の第二幕はあるか?
    
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天皇の政治利用がいけないのなら

2009-12-23 17:03:13 | 政治
天皇が中国副主席と会談を行った。
「特例」会談というような呼び方をしているところも少なくない。
ことさら「特例」などという言葉を冠することはあるまい。
政府が決めて行った会談である。
「特例」というのは宮内庁の内部ルールからはずれているからだろうが、そもそも宮内庁の内部ルールが政府を縛ることは出来ようはずがない。
鳩山内閣にとっては「特例」でもなんでもない。

自民党も共産党もマスコミも、天皇の政治利用としてこれを非難している。

しかし日本の歴史をみても、天皇が政治的存在でなかったことは希有であろう。
本来、天皇は支配者であり、その権能を有力な臣下に委ねていたときでさえも、政治的権威は天皇に依っていた。
権力はその源を天皇の権威に依拠し、天皇を擁することが権力の維持につながっていた。
鎌倉幕府以来の武家政権も、そして明治政府もまたその正統性を天皇に求めていた。
マッカーサーも日本統治の観点から天皇制を存続させたのではなかったか。
現憲法下における天皇制も統治の便宜性から存続し得たのである。
言い換えれば、マッカーサーもまた天皇を政治利用し、日本国憲法を作ったのである。

自民党の連中が言うように、あるいは民主党内にもいるし、マスコミはほぼ全部がそうであるように、天皇の政治利用がいけないと言うのならば、憲法から天皇に関する条文を削除すればよい。
そうすれば天皇は一私人として生きていける。
私人となった元天皇をどう利用しようとそれは私人間の契約なり約束事である。
政治利用などと非難されることもない。

自民党も張り切っている。
「天皇陛下の政治利用検証緊急特命委員会 」と言うようなものまで作ったらしい。

天皇の特例会見問題で有識者らが小沢氏や首相官邸の対応を批判 (産経ニュース 12/17)
自民党の「天皇陛下の政治利用検証緊急特命委員会」(委員長・石破茂政調会長)は17日、党本部で会合を開いた。出席した有識者らは、天皇陛下と中国の習近平国家副主席との「特例会見」を働きかけた民主党の小沢一郎幹事長や首相官邸サイドを批判した。

 大原康男国学院大教授(皇室制度史)は特例会見があった15日は宮中で「賢所御神楽(かしこどころみかぐら)の儀」の祭祀が行われたことを明らかにし、「(お出ましになった)天皇陛下がお心を安らかに保たれなければならない日だった」と語った。小沢氏が「30日ルール」を「法律ではない」と発言したことには「宮内庁は宮内庁法第2条に基づきルールを作った」と反論した。


同じ会議が自民党のホームページにも掲載されている。

大原教授は「習副主席は、胡錦濤国家主席の後継者といわれながらも、まだ確立されていない。ある種の有能な政治的実績を与えるという効果があったことは間違いない」と述べ、天皇陛下の政治利用につながったとの考えを示した。百地教授は、今回の会見は憲法7条に定められた「国事行為」でなく「公的行為」としたうえで、「宮内庁が皇室をお守りし、政治的中立性を確保するために毅然とした態度を取るのは当然」と述べ、羽毛田信吾宮内庁長官の対応を擁護した。出席した議員からは「閉会中審査を行い、内閣総辞職を求めていくべき」など政府を徹底追及すべきとの意見が出された。

「特例会見があった15日は宮中で「賢所御神楽(かしこどころみかぐら)の儀」の祭祀が行われたことを明らかにし、「(お出ましになった)天皇陛下がお心を安らかに保たれなければならない日だった」?


これは天皇家のいわば私的儀式である。
象徴天皇の国事行為とも、国家の政治ともまったく関係ないものである。
まったく無視しろとは言わないが、政治の要請に優先すべきものではないだろう。

ところで自民党の「天皇陛下の政治利用検証緊急特命委員会」は何を追求しようとしているのか?
論点は二つあるようだ。
宮内庁の30日ルールを無視したこと。
天皇を政治利用したこと。
この二つであると思われるのだが、どうも焦点がボケている。

天皇に中国副主席との会見を要請したことが、天皇の政治利用として批判されるべき事なのか?
外国要人との会見等は主に外務省あるいは政府の要請に基づいて設定されるのではないか?

天皇特例会見:羽毛田・宮内庁長官の説明(概要) (毎日jp 12/12)
(抜粋)
 このルールは、国の大小や政治的に重要かどうかで取り扱いに差をつけるということなしに実施してきた。陛下の国際親善は、政府のやることとは次元を異にするもので、政治的な重要性、懸案、政治判断を超えたところでなされるべきだ。(今回の要請は)現在の憲法下にかかわる天皇陛下のお務めのあり方とか、役割とか、基本的なことにかかわることだと考えている。


羽毛田は、「国の大小や政治的に重要かどうかで取り扱いに差をつけるということなしに実施してきた。」と言っているが、そもそも”国の大小や政治的に重要かどうか”は政府が判断すべきことで、宮内庁が判断すべき事ではないだろう。
「陛下の国際親善は、政府のやることとは次元を異にするもの」ということもおかしな言い分である。
政府と無関係に国際親善を行うというが、それではだれの判断で国際親善や各種行事が設定されるのだ。
宮内庁の独断で決められるのか?
天皇が自身で判断しているとは思えないが。

オバマ大統領が来日したとき天皇はオバマと会談を行っている。
これは政治利用ではないのか?
これは政治利用ではなく、中国副主席の場合は政治利用なのか。
政府と次元の異なったところでこんなことが行われたら大変なことになる。
天皇が政府と関係無しに、会見相手を選び、外国の要人を招待し、外国へ出かけていく。
そんなことを宮内庁が独断で決められるのか!
それこそ宮内庁による天皇の政治利用になってしまうだろう。

今度の場合は、国のトップではないにしろ、副主席という公的な地位にある人物である。
国際親善という観点からは十分に果実は期待できよう。

結局、問題は30日ルールを破ったことだけではないのか?

しかし、それだけなら問題は大騒ぎするほどのことではない。
宮内庁の内部ルールが内閣の意志に優先するはずもない。
こんな些細な問題を騒ぎにしてしまった鳩山政権の不手際はあるが、自民党やマスコミそして右翼勢力の非見識のほうが際だっただけの騒ぎである。

大山鳴動してネズミが1・2匹。
「天皇陛下の政治利用検証緊急特命委員会 」というのも、いつかひっそりと消滅していることだろう。

さて1~8条までを削除したら、次に以下の手続きが必要になる。

日本国憲法
第96条 この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。


憲法改正の公布が天皇としての最後の仕事となる。

1~8条までを削除すれば、9条が先頭に来る。
いっそ、すっきりした憲法になるかもしれない。

自民党は「首相巨額脱税追及チーム」、「鳩山不況対策PT」、「天皇陛下の政治利用検証緊急特命委員会」とか、チョロチョロ動き回っているが……。

かつては政権政党であったという矜恃をもって、自分たちの政策を固めることに専念したら?




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天皇の政治的利用と私的利用

2009-12-14 19:09:40 | 政治
できることなら触れずに済ませたい話題の代表が”天皇”に関する問題であろう。
”天皇”に関して口を開こうとすると、何故かだれもが奥歯に物が挟まったような、歯に衣を二重にも三重にも着せたような、靴の上からかゆいところを掻くような物言いになる。

羽毛田宮内庁長官の説明要旨…「特例会見」 (YOMIURI ONLINE 12/12)
 陛下の外国賓客との会見については、希望日が迫って願い出が来ると、陛下の日程調整に支障を来し、繁忙を極める両陛下に想定外のご負担をおかけするため、1か月以上前に外務省から願い出をいただくルールを設けてきた。特に平成16年(2004年)以降はその前年に前立腺がんの摘出手術があり、ご負担軽減、ご高齢ということも考え、厳格に守ってもらいたいと徹底をしてきた経緯がある。

 しかし、中国副主席との会見の申し出が1か月を切った段階(11月26日)で外務省から宮内庁に内々にあり、ルールに照らして(翌27日に)応じかねるとの回答をした。外務省も了承していたのだが、その後(12月7日に)官房長官から、ルールは理解するが日中関係の重要性にかんがみ、内閣としてぜひ会見をお願いするという話があった。私としては、1か月というのは事務的に作ったルールにすぎないとの考え方もあるが、陛下をお守りするため政府内で重視されてきたルールであり、国の大小や政治的に重要な国であるかどうかにかかわらず尊重してほしいと申し上げた。


中国側の要請を伝えたのが小沢ということで、鳩山内閣は中国副主席の天皇との会見を是非にも実現したかったらしい。
力で押し切られた羽毛田宮内庁長官がその腹いせに会見で政府批判を展開したというところである。
羽毛田長官の記者会見は定例のものではなかったらしい。

天皇陛下と中国副主席の会見、宮内庁が政治利用を懸念 (Nikkei Net 12/11)
宮内庁の羽毛田信吾長官は11日、習副主席と陛下の会見を巡る経緯について急きょ、報道陣への説明の場を設け「ルールはこれまでも政府内で重視され、国の大小や政治的な重要性にかかわらず尊重してやってきた」と話した。


急遽、記者会見を開いて、自分の思いをぶちまけている。
「ルール」というのは、宮内庁側で定めたルールらしい。
「ルールはこれまでも政府内で重視され」とはいっても、自民党政府の話である。
民主党政府は、憲法と法律と常識に乗っ取って対応すればよい。

日本国憲法
第3条 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。
第7条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
   9.外国の大使及び公使を接受すること。


これまで気がつかないでいたのだが、天皇の外国訪問や外国首脳の接待は憲法上の国事行為としては挙げられていない。
中国副主席との会見も必ずしも憲法上の国事行為ではなさそうである。
類似行為を準国事行為とみる考え方があるらしい。

そこで中国副主席との会見を準国事行為と見なせば、鳩山内閣総理大臣の指示が優先する。
羽毛田長官は宮内庁ルールの存在について注意を喚起するだけでよい。
政府に対する批判は越権行為である。
しかも、わざわざ記者会見を開くなどもってのほかである。

先の読売の記事に戻る。

陛下の国際親善の活動は、政府の行う外交とは次元を異にしている。相手国の政治的重要性とか、国の大小とか、関係なく行われてきた。憲法下における天皇陛下の務めや役割という基本的なあり方にもかかわる。今回のことはルールの理念と整合性が取れないし、残念なことをせざるを得なくなった。陛下を政治懸案の打開役にとなったら、今の憲法下での陛下のなさりようと大きく狂うことになる。

 こうした懸念を伝えたが、聞き届けられなかったのは甚だ残念。もう二度とこういうことがあってほしくない。

 (「天皇の政治利用に当たる懸念があるということか」との記者の質問に)大きく言えばそういうことだ。政治利用といったことを超えたところで外国とおつきあいするのが陛下の国際親善のありようで、それを政治的に重要だとか政治的懸案があるからだとかということでしたら、天皇陛下の役割について非常に懸念する状況になるのではないか。


羽毛田長官は、今回の民主党・鳩山政権の要求を「ルール破り」そして「天皇の政治的利用」としても弾劾している。
しかし、国際親善が政治と離れて行われるはずもない。
良かれ悪しかれ”天皇”は、内閣の助言と承認によって行動する以上、政治的存在たることを免れ得ない。

いずれにしろ羽毛田長官の発言は、役人の分を超えたものである。

東京五輪招致に皇太子を担ぎ出そうとして、宮内庁に断られた石原慎太郎が悔しそうに吐き捨てていた。
「宮内庁のばかが余計なことをいって」
「宮内庁ごときが決める問題ではない」
とかの発言が伝えられていた。
宮内庁の拒否の理由は「皇太子の政治的利用」ということらしかった。
拒否したこと自体は正しかったが、理由は間違っていた。
じつは石原慎太郎の「皇太子の私的利用」であったのだが。

慎太郎にもほんのちょっとの理はある。
何が政治的利用であり何がそうでないか、「宮内庁ごとき」が決める問題ではない!




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ルース米大使の無礼とバカ産経

2009-12-12 08:52:08 | 政治
最近腹の立ったのが次の記事。
例によってバカ産経である。
しかし、ほっとくわけにもいかないので一言。

ルース米大使が日本側に激怒 岡田外相らの面前で大声張り上げる 普天間移設の年内決着断念で (産経ニュース 12/5)


東京都内のホテルで講演するルース駐日米大使=4日午後

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題をめぐり鳩山由紀夫首相が年内決着を断念したことに、米国側が激怒した。

 4日午後、日米合意に基づくキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市辺野古)移設を念頭にした、日米閣僚級作業グループ(WG)の検証作業が開かれた外務省4階大臣室隣りの接見室。

 関係者によると、少人数会合に移った後、米国のルース駐日大使がそれまでの穏やかな語り口を一変させた。「いつも温厚」(防衛省筋)で知られるルース氏は、岡田克也外相と北沢俊美防衛相を前に顔を真っ赤にして大声を張り上げ、年内決着を先送りにする方針を伝えた日本側に怒りをあらわにした、という。

 いらだちを強める米国側の姿勢は、会合後、首相官邸を訪れた岡田、北沢両氏から鳩山由紀夫首相にも伝えられたとみられる。


これについては後日岡田外相が明確に否定したこともすでに伝えられている。

外務大臣会見記録(平成21年12月8日(火曜日)15時40分~ 於:本省会見室)
「ルース大使との議論も、誰かが見ていたようなことを書いていますが、全くの創作です。もちろん、ルース大使もしっかりと自らの主張を言われましたが、別に顔を真っ赤にするとか、怒鳴り上げるとか、冗談じゃないと思っております。私(大臣)、北沢防衛相、ルース大使と通訳しかいませんから、何を根拠にそのようなことを言っているのかと思います」


岡田と産経のどちらの言うことを信じるかは人それぞれであろう。
しかし、許せないのは産経である。
ねつ造かどうかはひとまず措く。

産経が責めるべきは、岡田ではなくルース大使の方である。
一駐日大使が、相手国の外務大臣に対して「顔を真っ赤にして大声を張り上げ」た無礼をこそ責めなければならない。
ルース大使の態度は植民地現地政府に対する宗主国のそれではないか!
もしこれが事実であるならば、日本政府はアメリカ政府に対して強く抗議し、大使更迭を要求すべきであろう。

もっとも日本国内に置かれている基地の有様やこれまでの日本政府の対応を見れば、アメリカが日本を植民地と勘違いするのも無理はない。

産経相手に腹を立てるのも大人げないが、記事に掲載されている写真もよく見るとまったく別の場面の写真であり、怒っているように見える効果を狙っているだけのことであるのがアリアリである。
まったく卑劣なやり方である。

こういう連中がはびこっている間はアメリカの勘違いはまだまだ続くだろう。





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鳩山兄弟とか自民党とか細々したこと

2009-12-10 15:44:23 | 政治
どうもわたしが勘違いしていたらしい。
検察の二階に対する姿勢の変化についてである。

11月29日の投稿(しぶとい検察・甘い鳩山)の次の部分。
西松建設献金事件:二階氏秘書、立件へ 規正法違反容疑で (毎日jp 11/28)という記事に関して)

「今になって、二階側立件に検察が動き出したとすれば、いよいよ検察は次の行動に移る準備に掛かったのかも知れない。
二階側の立件はアリバイ作りであろう。
本命は鳩山か小沢か?」

しかし、いざ検察が実際にこんな動きに出たという記事を読んでわたしは、もしかして検察の意図は正反対ではなかったか、という疑いを持った。

二階氏秘書を略式起訴、罰金命令 西松建設巡る献金偽装 (asahi.com 12/10)
準大手ゼネコン「西松建設」が自民党衆院議員の二階俊博・前経済産業相側への企業献金900万円を個人献金に偽装していた問題で、東京地検特捜部は9日、二階氏の長田(おさだ)武敏・政策秘書(63)を政治資金規正法違反(虚偽記載など)の罪で略式起訴した。東京簡裁は罰金100万円の略式命令を出した。


これは小沢・鳩山問題への逆アリバイではなかったか?
勝算のない、時の政権党との戦いから退却するための苦しい戦術だったのではないか。
これで幕引きをすれば、二階の法的責任は問わないで済む。
議員は会計責任者の選任・監督に関して責任を負うが、この立証はほぼ不可能らしい。
これを鳩山・小沢に適用すれば、検察は自民・民主両党に公平に対応したという面子は辛うじて保たれる。

それはそれとして検察は大きなダメージを負ったのは間違いない。
「国策捜査」などという言葉が国民の間にすっかり定着してしまった。

鳩山首相も上申書とやらで一件落着となりそうである。
その鳩山首相、頭上に懸かる黒雲はまだまだ消えない。

普天間基地移設問題 鳩山首相、岡田外相らと会談 「かなり詰まってきている」 (FNNニュース 12/8)
沖縄県のアメリカ軍普天間基地移設問題をめぐって、鳩山首相は8日も、岡田外相、北沢防衛相と会談し、アメリカ側に伝える政府の方針について協議を行った。会談後、鳩山首相は記者団に「かなり詰まってきている」と述べた。


沖縄県民に突き上げられ、社民党に小突かれ、アメリカに叩かれ、岡田も北沢も言うことを聞いてくれない。
マスコミもやかましい。
自民党も何か言ってるらしいが、これだけはみんなが無視している。
しかし、「詰まってきている」は、「行き詰まっている」の間違いではないのか。
「雪隠詰め」というのもある。

兄貴に比べて弟の方は知恵がある。
開き直りも堂々としている。
「見たことも触れたこともない」というママからの9億円についてである。

「ママから9億円」鳩山邦夫氏認めた (NikkanSports.com 12/9)
約3年ぶりに開いたという政治資金パーティーの冒頭、邦夫氏は鳩山家の“子供手当て”といわれる安子さんからの資金提供について突然認めた。「見たことも触ったこともないが、兄や私の知らないところで母の善意が届いていたのだろう」と話した。

「関係の方が母から借りてくれたのだろう」と経緯を説明

「政治家は個人支出の部分も多く、そういう形で(資金が)払われていたのかもしれない」と、使途にも言及した。


「個人支出」という言葉で巧みに政治資金から切り離している。
しかし、毎月1500万円の「個人支出」とは凄まじい。

「私の収支報告書には一点の曇りもない。虚偽記載という犯罪行為はしていない」

収支報告書に記載がないのは、「個人支出」つまりお小遣いや生活費だったというわけだ。
これだと贈与税と追徴金だけで済む。
ついでに兄貴の足を強烈に引っ張っている。
それとも兄貴に言い訳の仕方を教えてやっているのか。
仲がいいのか悪いのか。
少なくとも仲良し兄弟には見えないのだが……。

それにしても気の毒なのは自民党だ。
小沢を責めようとしても、党の選対責任者の二階俊博が同罪。
鳩山由紀夫を責めようとすると、鳩山邦夫が同罪。

それもこれも、こういうツキのない男を党首なんかに据えておくからか?


東京サバイバル情報  ☆一時避難せよ☆)様より拝借させていただきました。

そういえばこんなこともあった。

前内閣官房長官の河村健夫が先月、小学校の運動会でアキレス腱断裂、緊急手術を受け、その後しばらく車いす生活をしていたらしい。

官房機密費2億5千万持ち逃げ犯

競技は「必殺三段重ね」という障害物競走で積み木を三段重ね、お菓子をもらってゴールするという競走だったという。
一位でゴールしたのはいいが、お菓子とアキレス腱の交換は痛かったろう。

自民党は一度お祓いでも受けた方がいいかもしれない。





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アメリカ政府広報誌・産経─対米外交とは

2009-12-05 17:29:31 | 政治
8月30日の総選挙の結果を受けて産経新聞社会部がtwitterに載せた言葉が、

でも、民主党さんの思うとおりにはさせないぜ。これからが、産経新聞の真価を発揮するところ。
1:36 PM Aug 30th webで


抗議が殺到したと見えて、翌日謝罪。

下記の発言について、たくさんの厳しいご意見をいただきました。軽率な発言だったと反省しています。ご不快の念を抱かれた方には、お詫び申し上げます。
1:15 AM Aug 31st webで


そして釈明。

産経新聞は、保守系の「正論路線」を基調とする新聞です。発言は、新政権を担う民主党に対し、これまで自民党政権に対してもそうであったように、社会部として是々非々の立場でのぞみたいという意思表示のつもりでした。
1:15 AM Aug 31st webで

「これまで自民党政権に対してもそうであったように」
ということは、政権与党べったりということかと思ったら、「是々非々」だったらしい!
しかし、産経が「自民党さんの思うようにはさせないぜ」と言ったことは多分なかったろう。
産経らしく幼稚な言い訳であった。

普天間基地移転問題が訳の分からぬ状況になっている。
岡田外務大臣、北沢防衛大臣の言うことがバラバラ。
福島瑞穂がケツをまくって連立離脱を言いだす。
鳩山は今になってグアム移転を言ったとか言わないとか。
橋下大阪府知事が関空受け入れ。

ところで産経のいう「正論路線」とはこれか。

【正論】拓殖大学大学院教授・森本敏 国家を揺るがす日米同盟の危機  (産経ニュース 2009.12.4)


このところ急速に株価が下落し、円高もすすみ、デフレ現象への危機感が広がっている。政府・日銀はこれに対して、追加的な金融緩和策を取ろうとしている。これは当面の危機に対処するための適切な措置かもしれない。しかし、先般、米議会で海兵隊のグアム移転経費の7割を削減する法案が採決されたり、トヨタのリコール問題が起こったりしたことを合わせ考えると、これら一連の変化の背後に米政府の意図が介在しているような気がしてならない。


トヨタのリコールは米政府の陰謀だったのか。
「これら一連の変化」すなわち、急速な株価の下落も円高もデフレ現象も、「背後に米政府の意図が介在している」のではないか、と森本氏は疑っているらしい。
これはアメリカ政府に対する弾劾の文ではないか。
同盟国たるアメリカが、日本が思い通りにならないから、陰でこそこそ嫌がらせをしている。
そんなアメリカに対する怒りの表明か、と思ったらどうやら違うらしい。
こいつにそんな骨があるはずがない。

確たる証拠があるわけではないが、米国のアフガン新戦略を同盟諸国や中国、インドにまでオバマ大統領が直接電話をして事前説明しているのに、鳩山首相には電話さえなかったのも、同様の背景要因がある。すなわち、これには明らかに米政府の日本政府に対する不快感とそれに基づく政治的圧力が存在すると見るべきである。

確かに「日本政府に対する不快感とそれに基づく政治的圧力が存在する」かもしれない。
で、それがなにか?

ワシントンではオバマ訪日を延期すべきだという意見さえ一部にあった中で、オバマ大統領は訪日を決断し、11月13日には2回目の首脳会談をやった。実質的な内容のない会談であったが、ともかく日米同盟深化のための政府間協議と普天間問題を話し合う閣僚級会合という2つの枠組みを作ることだけは合意した。その直後、鳩山首相がシンガポールで普天間基地問題に関するオバマ大統領との約束を反故(ほご)にするような発言をした。米国の温情と忍耐もここまでだった。

「米国の温情」とは何なのだ?
そんなものを受けた覚えはないが。
オバマが日本にやってきたことか?

ゲーツ国防長官が訪日して、相当に不快感を持って帰ったが、国防長官をなだめることができたのは、キャンベル、グレグソン両次官補など知日派による説得ではなかったのか。しかし、その忍耐も限界に来つつある。こう考えると、最近、日本を取り巻く経済状況の裏に、米政府の意図が介在していても不思議ではあるまい。

外交とは相手をなだめることではない。
そういうのは阿諛追従という。
不快感を抱いたのはゲーツではなく日本国民の方ではなかったか!
「日本を取り巻く経済状況」が米政府の嫌がらせだとしたら、それは誠実な同盟国の取るべき態度ではあるまい。
そのような米政府こそ責められるべきではないのか。

米国にしてみれば、日本は米国の期待を裏切ることばかり重ねているように見える。普天間基地問題は日米間で約束したのに、これを実行するどころか今までの経緯を検証すると言いつつ、決断を先送りしている。沖縄の現状を見ると、事態はますます深刻になりつつある。インド洋から海自を撤退する代わりではないが、5年で50億ドル(約4500億円)の民生支援をコミットして金で済ませようとする。また、日米地位協定の改訂を提起しようともしている。

 在日米軍への接受国支援(HNS)を事業仕分けの対象にして減額しようとする。米国外しの東アジア共同体を提案する。そして、日米間の核密約を暴露しようとしている。これが同盟国の対応なのか。日本民主党は、自民党政治の仕組みだけでなく、日米同盟も排して新しい政治を試み国民人気を取ろうとしているのではないか。日本民主党が主張する「対等」な日米関係というのはこういうことだったのか。


「米国にしてみれば」?
ここに来て、森本氏の立ち位置が明らかになる。
”温情”といい”忍耐”といい、すべてアメリカ政府の側に立った見方である。
しかし不思議な物言いをする人間である。
日本国民の感情には目を向けることなく、アメリカ政府の立場からのみ物を言う。
大体、核密約など、とっくにアメリカの方で暴露しているではないか。

米国の疑念はこういう気持ちに要約されよう。われわれは米国が日本の政治に失望しようが、期待はずれの気持ちを持とうが、日本の国益を追求するために必要だと思えば、米国に遠慮なく物を言うべきである。遠慮なく振る舞うべきである。

笑わせるな!
「米国に遠慮なく物を言うべきである。遠慮なく振る舞うべきである」?
自分がまず、「米国に対して遠慮なく物を言って」みろ。
米国の気持ちは分かるが、日本国民の気持ちは分からないか。

もう少し文章は続くのであるが、バカバカしいので引用はこの辺にしておく。
この下らない文章を長々と引用したのは、これと同じような論調がマスコミばかりでなく、日本全体にはびこっていると感じるからでもある。

「そんなことをしたら日米関係を損なう」
「そんなことを言ったらアメリカのご機嫌を損じる」

結局、日本国民の気持ちよりもアメリカ政府の思惑を優先させる、というのがこいつらの姿勢なのである。
日米同盟とは、アメリカの温情と忍耐の上に成り立っているらしい。

たまには「そんなことをしたら、日本国民が不快に思うからよしたら?」と、アメリカ政府を諫めてやれ。
だれも言わないから、彼等はいつまでも分からないのだ。

ルースというアメリカの駐日大使が怒ったとか。

ルース米大使が日本側に激怒 岡田外相らの面前で大声張り上げる 普天間移設の年内決着断念で

産経や馬鹿評論家どもはすぐに、「そら見たことか。アメリカを怒らせてしまった」と言いつのる。
産経は、自民党の機関誌と同時に、アメリカ政府の広報誌でもあるらしい。

2008/07/08民主党沖縄ビジョン(2008)
普天間基地の辺野古移設は、環境影響評価が始まったものの、こう着状態にある。米軍再編を契機として、普天間基地の移転についても、県外移転の道を引き続き模索すべきである。言うまでもなく、戦略環境の変化を踏まえて、国外移転を目指す。


民主党が普天間基地の県外・国外移転を目指していることは、もともとアメリカも承知のことである。
日本国民がその民主党を選んだ時点で、アメリカは日本国民の感情や意思がどこにあるかを考え直さなければならない。
それもまた同盟国としてのあるべき姿勢ではないか。
アメリカの独善的なデモクラシーを、一方的に押しつけようとしても、その国の国民感情に配慮することをしないやり方では、世界中どこに行ってもうまくいくはずがない。

わたしたちは、いつまでも終戦直後のウブでおとなしいままの国民ではないのだよ。




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連立政権の摩訶不思議

2009-11-16 19:13:49 | 政治
ようやく政局にさざ波がたったか?

自民党には求心力が戻る気配もないし、回りのくず鉄を引きつける磁力もない。
核分裂を起こすだけのエネルギーもない。
まわりから羽をむしられるのを座して待つだけという風情である。
中には悪あがきをする奴らもいるが……。

「河野グループ」結成? 自民、河野太郎氏らが「新世代保守を確立する会」 (産経ニュース 2009.11.11 )
自民党の河野太郎衆院議員ら国会議員10人が11日、「新世代保守を確立する会」を発足させた。大村秀章、平沢勝栄両衆院議員や山本一太、世耕弘成両参院議員ら9月総裁選で河野氏の推薦人となった議員が名を連ね、党内では「事実上の河野グループ結成」とみられている。メンバーの一人は「ポストを持たない者の集まりだ」と、執行部と距離を置くグループだとも指摘している。


どこのテレビ局もまともに取り上げてはくれない。
しょせんコップの中の水浴び程度のことである。
大村秀章、平沢勝栄、山本一太、世耕弘成等、売れっ子テレビタレントたちもさっぱりお座敷が掛からなくなって暇をもてあましているのだろう。

まあ、大将が大将だから無理もない。

谷垣総裁、自転車で転びけが…与野党党首の週末に明暗 (スホーツ報知 11月16日)
自民党の谷垣禎一総裁(64)が15日朝、東京都昭島市内の河川敷を自転車で走行中、他の自転車と接触事故を起こし、顔面を強打、切り傷を負った。精密検査を受けるため、全国視察の一環で16日に予定していた山形県入りはキャンセルに。野党党首と存在感の薄さから注目度は今一つの谷垣氏。政界随一のサイクリング好きという趣味でのハプニングで話題を集める羽目となった。

 自民党などによると、谷垣氏は15日午前9時20分ごろ、東京都昭島市拝島の多摩川沿いの遊歩道をサイクリング中、河川敷で対向の男性の自転車と衝突し、転倒した。


記事を読んだ人も感想の述べようがあるまい。
落ち目の時というのはとかくこんなものなのだろう。

河野太郎たちもそうだが、このところ「保守」が大安売りである。
ただの「保守」では売り物にならないと思ってか、「新」とか「真」とかをかぶせて付加価値を付けようとしている。

ここにも「保守」の旗が……。

国民新・新党日本・平沼グループ、年内にも新党 (YOMIURI ONLINE 11/16)
 国民新党(代表・亀井金融相)、新党日本(田中康夫代表)と、無所属の平沼赳夫・元経済産業相が率いる「平沼グループ」が合流し、年内の新党結成を模索していることが15日、わかった。

 複数の関係者が明らかにした。実現すれば、衆参合わせて計12人の新党となる見通しだ。国民新党は民主、社民両党と連立政権を組むが、仮に新党となっても、連立政権にとどまる意向だ。すでに民主党幹部にもこうした意向を伝えた。

 合流構想は亀井氏を中心に調整が進んでいる。来年の参院選に向け、保守勢力の結集をアピールする狙いがある。亀井氏らは自民党議員の一部にも呼びかけて勢力を拡大したい考えだ。将来的な民主党との合流も視野にあるとみられる。

 国会の議席数は、国民新党が8(衆院3、参院5)、新党日本が1(衆院)、平沼グループは3(すべて衆院)を確保している。


田中康夫が加わっているのがやや意外な感があるが、もともと反・郵政民営化、反・小泉で国民新党とはつながりがある。
しかし、ここに平沼赳夫が加わると一挙に色合いがかわる。
「保守勢力の結集」というが、こちらには「超」の字をかぶせようか。
「自民党議員の一部にも呼びかけて」?
早くも自民党をむしりにかかる構えである。
案外乗ってくる奴がいるだろう。
なんと言っても、「反・郵政民営化」、「反・新自由主義経済」という言い訳がある。
まして政権与党である。
餅代も配れないところにいるより、ずっとよさそうだ。
参院にいる議員にしてみれば、来年対立候補を立てられなくて済むかも知れない。
総選挙もいずれ必ずやってくる。
考えてみればいいことずくめである。

亀井にしても、頭でっかちの理屈屋ばかり揃っている民主党にいつまでもいるつもりはないだろう。
とりあえずは次の参院選に向けての足場固めが優先ということである。
勢力さえ拡大しておけば後の選択肢が広がる。

多分小沢も了解しているのだろう。
とりあえず、自民党を弱体化できる。
自身は本来は保守的な傾向にあるが、実際は保守とか革新の論議にはさほど関心がない。
憲法改正の意思はあるが、それもほどほどのものである。
民主党内で自分に逆らう議員たちよりも亀井たちのほうに親近感をもっていても不思議はない。
「将来的な民主党との合流も視野にあるとみられる」
記事のこの部分には何か意味があるのか。
もしかして記者はなにか感触を掴んでいるのか。
まさか単純な合流はあるまい。
たとえば、小沢を中心とする民主党の一部(多分こちらが多数派)と亀井・平沼一派が合流し、残った民主党との二大政党制なんてことがあるのか?

亀井達の動きは意外に大きな動きになる可能性がある。

そのとき社民党はどうする?
平沼極右勢力と同じ政権内に座っていられるのか。
多分肩をすぼめて政権にとどまっているのだろう。
今度は社民党が”下駄の雪”になる。
”悪女の深情け”なんていう言葉もある。

それにしても次から次へと、目の離せない亀だ。
”カミツキガメ”というより”ハタラキガメ”と呼んだ方がよさそうだ。

民主党も政権与党になってどんどんウイングが広がっていく。




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自治体首長たちの思い上がりと勘違い・地域主権はまだ早い

2009-10-20 11:35:48 | 政治
民主党のマニフェストには地域主権が掲げられている。
自治体の首長たちはそれを逆手にとる。

前原国交相が八ッ場ダムの工事中止を明らかにすると、揃って抗議の声を上げる自治体の長たち。
「地域の意思を無視した決定である。地域の声を聞こうとしない。地域主権に反する」
羽田のハブ空港化を打ち出すと、キチガイみたいに怒って見せる知事がいる。
「寝耳に水」だの「一言の相談もない」だのとわめき立てる。
こいつらは自分が地域の主権者だと思っている。
地域の主権者は地域の住民である。
地域主権などと言うと自分が主権者だと勘違いする知事や市町村長たち。
こいつらに勝手なことをさせておくわけにはいかない。

鞆の浦埋め立て架橋事業めぐり、国交相と羽田市長が論戦 広島・福山市 (産経ニュース 2009.2.6)
万葉の昔から瀬戸内海の景勝地として知られ、今も江戸時代の風情が残る鞆の浦(広島県福山市)の埋め立て架橋事業をめぐり、国と地元自治体との対立が深まっている。事業は着工に向けた手続きが最終段階に入っているが、埋め立て免許を認可する金子一義国交相が反対運動が起こっていることをふまえ「国民の同意を取り付けてほしい」として“待った”をかけた格好だ。これに対して、福山市の羽田皓市長が「民主主義の手続きを踏んだのに国民同意とは何事か」と反発するなど、論戦が続いている。

 事業をめぐっては、反対派住民らが昨年10月、事業主体の一つである県が申請した埋め立て免許を認可しないよう求める約10万人分の署名を国交省に提出。金子国交相は「一般論として言えば、風光明媚(ふうこうめいび)な所は避けた方がいい」などと述べた。
(中略)
鞆の浦 弓を射る際、腕につける武具「鞆」が地名の由来とされる瀬戸内海の景勝地。美しい景観は万葉集にも詠まれ、江戸時代の朝鮮通信使も絶賛した。埋め立て架橋事業は交通渋滞緩和と地域振興などを目的に昭和58年に計画を策定。排水権者らの同意が得られず、一時凍結されたが、県が昨年6月に埋め立て免許の認可を国に申請した。一方、反対派住民らが免許差し止めを求めて広島地裁に提訴しており、今春にも判決が出る見通し。


福山市と広島県が事業を強引に推進しようとし、国交大臣がブレーキをかけている。
自民党政権としては珍しく真っ当な態度である。
これは国と地方自治体の対立。
そしてもう一つの対立がある。
国交省に寄せられた10万人の国民の声と地域住民の声との対立である。
地域住民の生活と国民の自然・景観・文化遺産保存を要求する権利との対立である。
ここには自然・景観・文化遺産は国民のものか、地域住民のものかという問題が潜む。
そしてさらにもう一つの対立がある。
賛成派と反対派との住民同士の対立。

対立の三重奏である。

さて上の住民訴訟の一審判決が10月1日に出された。
工事中止の住民勝訴であった。
が、藤田知事は即座に控訴することを決定したらしい。

鞆の浦、現地見た裁判官の判決に現地見ない広島県知事が控訴 (JANJAN 2009/10/16)

「景観」を「保護法益」と認定

 広島地裁の能勢顕男裁判長は、「鞆の浦の景観は住民らの利益にとどまらず、瀬戸内海の美観を構成し、文化的・歴史的価値をもつ国民の財産ともいうべき公益」と指摘しました。

 瀬戸内海の環境保全を趣旨とする「瀬戸内法」によっても公益として保護されていると述べ、景観を侵害する政策判断は慎重になされるべきだとした。

 そのうえで、行政側が実施しようとしている道路や駐車場の整備などの事業に必要性や公共性があることは認めつつ、景観保全を犠牲にしてまでの必要性があるかどうかについては「大きな疑問が残る」としました。

 また、事業が完成した後に景観を復元することは不可能で、事業自体の調査・検討も不十分として、埋め立てを認めることは知事の裁量権を超えており差し止めの対象になる、と断じました。


判決の要旨は上のようなものらしい。
それに対する行政側の控訴の理由が次のようなものである。

鞆港埋め立て・架橋問題:鞆の浦訴訟・県控訴 「景観利益、不明確」 /広島 (毎日jp 2009年10月16日)
鞆の浦(福山市)の埋め立て免許差し止めを命じた広島地裁判決を不服として15日に広島高裁に控訴した県は、大野宏之土木局長らが記者会見し、「景観利益の範囲や内容が特定されず、今後の公共事業に与える影響が甚大だ」と控訴理由を説明した。また、「大多数の住民が望んでおり、この計画がベストだ」として、鞆の浦の埋め立て・架橋計画の必要性を改めて強調した。【加藤小夜】


「今後の公共事業に与える影響が甚大だ」というところに本音が表れている。
とにかく公共事業をやりたいらしい。

先に、広島市と長崎市が五輪開催に名乗りを上げた。
それに対してこの藤田雄山広島県知事がイチャモンをつけている。

広島知事、五輪招致で不快感=「市から聞いてない」 (jiji.com 2009/10/13)
広島、長崎両市が2020年夏季五輪招致の検討委員会を設置することについて、広島県の藤田雄山知事は13日、「広島市から何も聞いていない」と述べ、連絡や相談がないことに不快感を表明した。
 藤田知事は、両市の発表が複数都市開催の是非などに関して関係方面に根回しなどをした後なら理解できるとした上で、「いきなり言った。唐突な感は免れないし、ちょっと理解に苦しむ」と指摘。1994年アジア大会で広島市以外の県内自治体も会場になった点に触れ、「県に何も言わないのだから、ひょっとして(広島県内での競技は)市内で全部やるのかなあ(と思った)」と疑問を呈した。
 招致の是非については「もうちょっと練度が上がらないと、何か言えと言われても材料がない」と評価を避けた。 (2009/10/13-20:19)


相談がなかったからといって、ヘソを曲げているらしい。
こいつらは国に対しては、「地方の意見を聴け」と言うくせに、自分たちは市町村の意思を忖度するつもりはないらしい。
なぜ事前の断りだの根回しだのが必要なのか。
広島市・長崎市が立候補の意志を表明したなら、その意志を尊重し、県としての対応を考えればいいことである。
ちゃんとした理由があって反対するのならそれでもいいが、これは、「誰に断って商売してるんだ」と因縁をつけるやくざの言い分と同じようなものであろう。

地域住民の権利と、住民以外の国民の権利の衝突は八ッ場ダム中止をめぐっての議論においても考慮すべきことであろう。
世論調査では国民の過半はダム建設中止を支持している。

国土保全、環境保全等について国民は権利を持つ。
納税者として税金の使い方に注文をつける権利を持つ。

一都五県の知事が揃って八ッ場ダムを視察した。

ダムの必要性訴え  「八ッ場」 6知事視察 (YOMIURI ONLINE 2009年10月20日)


彼等が向かい合って話を聞いているのはダム建設推進派の住民だけである。





政の次は官と財とマスコミと!


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日本医師会会長選挙と医の倫理…自民党と共倒れ?

2009-10-18 17:52:32 | 政治
日本医師会はこれまで自民党の支持組織あるいは圧力団体としての側面のみが突出しているように見えていた。
職業団体としての医師会は当然二つの側面を持っている。
一つは、生活者・職業人としての医師の利益擁護組織という側面である。
そしてもう一つは、この国の医療を担う前線組織としての一面である。

多かれ少なかれ職業集団というものは、利益擁護団体の性格と同時に社会的責務を持っている。
ただ医師会は他の職業集団と比べて、より重い社会的責務を要求される団体と言えよう。
しかしながら日本医師会はこれまで利益擁護集団という側面だけが強く印象されてきた。
当然政治的な活動も活発であった。
日本医師会は自民党の強固な支持基盤の代表の一つであった。
日本医師会は日本医師連盟という政治組織を作っている。
国会議員を自民党から立て、毎年15億円を超える政治資金を渡し、集票マシーンとして働く。
それが日本医師会であった。
診療報酬の引き上げなどを目標とする圧力団体。
それが日本医師会だと思われてきた。

だから茨城県医師会が後期高齢者医療保険制度に反対の声を上げたときは、国民も、自民党も、日本医師会自身もビックリ仰天したのである。
その動きは次第に各地の医師会に広がっていった。

茨城県医師会が来る衆院選では民主党支援を打ち出したとき、それを強くけん制したのは日本医師会であった。

日医連盟「与党を推薦」表明 地方を牽制 (asahi.com 2008.9/18)
次期衆院選での対応について、日本医師会の政治団体・日本医師連盟は18日会見し、47都道府県の医師連盟に対して「自民党を中心とした政権与党の候補者を推薦する」との基本方針を示し、「その趣旨に沿った行動をお願いする」と指示したことを明らかにした。

民主党を推薦する方針を17日に決めた下部団体の茨城県医師連盟を牽制(けんせい)した形だ。日医連盟の羽生田俊・常任執行委員は「連盟規約に処分や罰則がなく、茨城県の方針は容認できないが反対もできない」と話した。日医連盟は、茨城県内の選挙区から立候補する自民党公認候補から支援の要請があった場合、県医師連盟とは別に直接支援を決めることもあるという。

 羽生田委員は、自民党側から再来年度予算では社会保障費の2200億円抑制方針を凍結するという麻生太郎幹事長の意向を伝えられたと明らかにし、「医師会の医療政策を最も理解し、政策実現能力を有するのは与党だ」とした。


日本医師会と都道府県医師会は下部機関とはいえ、それぞれ独立した公益法人となっているらしい。
日本医師会としては茨城県医師会に何らかの処分を下したかったのだろうが、これが精一杯の意思表示であったのだろう。
しかしそもそも、この対立の根底にあるものはなにか?

総選挙後、日本医師会は自民党から離れる素振りを見せている。

揺れる日医“選択の秋” 民主強硬…パイプなく困惑 参院選へ「自民離れ」か否か (@nifty 産経ニュース 9/26)
自民党の有力支持団体である日本医師会(日医、唐沢祥人会長)が、民主党支持にシフトするかどうかで大きく揺れている。鳩山政権の「日医外し」の動きに、発言力低下を危惧(きぐ)しているためだ。自民党支持団体の象徴ともいえる日医が民主党にかじを切ることになれば、来夏の参院選への影響は計り知れない。(河合雅司)
8月の衆院選では一部地方医師会が民主党支持に回ったが、日医全体では自民党支持を明確にし、民主党の政策批判を展開した。
 当然のことながら、民主党は反発。選挙後、唐沢氏は鳩山政権にも政策提言したい意向を示すが、民主党医療関係議員の一人は「自民党ベッタリの日医の意見を政策に反映させることはあり得ない」と切り捨てる。
「今後は自民党だけでなく、国会の議席数に応じて政治献金の配分を決めるべきだ」。15日に行われた日医の政治団体・日本医師連盟の執行委員会では献金先の見直し提案が出された。来年の参院選についても、自民党比例代表で出馬予定の西島英利参院議員(61)を「選挙区からの無所属とするか、擁立を白紙に戻すべきだ」との声が上がった。


ここには政権与党というだけの理由で自民党にくっついていた医師会の心底があからさまに見て取れる。
問題にしているのは選挙結果だけで、政策も理念も無関係である。

ところで茨城県医師会のここまでの動きの基本にあるものはまったく異なる。

原中茨城県医師会長「国民に貢献できたと思える日が来ればいい」 (2009/09/02 キャリアブレイン )
原中氏は今後、民主党に対し「わたしたちの持っている知識をできるだけお伝えして、最終的には老後に安心できる医療介護の制度に直すことなどと、それに必要な財源を説明して、積極的に改善してもらうというお話をしていく」と述べたが、同党への入党は否定した。その理由については、「医師として公平な意見を言うというのは、政党にこだわらなくても十分にできる。政党人にならない方が、わたしは正確な意見をきちんと言えるだろうと思っている」と述べた。


これは自民党か民主党かという選択の問題だけではない。
選ぶ側の姿勢の問題である。
同業者組合としての利益優先路線をとるのか、医師の社会的責任・倫理観を優先させるのかということである。
茨城県医師会が後者の立場に立てば次の行動は当然であろう。

日医会長選、民主支持の茨城医師会長が出馬へ (YOMIURI ONLINE)
来春に予定される日本医師会(日医)の会長選挙に、茨城県医師会の原中勝征会長が立候補する意向を固めたことがわかった。
 19日の同県医師会の臨時代議員会で賛同が得られれば、同日中に記者会見して正式に表明する予定だ。同選挙にはすでに、唐沢祥人会長が出馬の意向を示している。
 日医の政治団体「日本医師連盟」は自民党の有力支持団体だが、原中氏は先の衆院選で民主党を支持した。原中氏が出馬すれば、支持政党をめぐる路線対立や鳩山政権との関係が選挙の争点になるのは確実だ。(2009年10月15日 読売新聞)


無条件に自民党支持を続け、茨城県医師会の動きをけん制してきた日本医師会。
「医師会の医療政策を最も理解し、政策実現能力を有するのは与党だ」としてきた執行部側。
そして自民党惨敗後は恥も外聞もなく民主党にすり寄ろうとする現執行部。
それに対して
「国民に貢献できたと思える日が来ればいい 」と語る原中茨城県医師会会長。

選択すべきは自ずと明らかであろう。

自民党と郵政一家、農協そして医師会。
しょせん利害得失のみで結びついていた関係は、壊れるのも速い。




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消滅へ突き進む自民党

2009-10-01 18:23:40 | 政治
自民党総裁選がひっそりと終わった。
意外だったのは河野太郎が議員票では最下位だったこと。
まさか西村某に負けるとは本人も思っていなかっただろう。
35票という議員票獲得で河野太郎の商品価値は上がったのか下がったのか。
地方票109と合わせて評価の分かれるところかも知れない。

どこかのテレビで、小泉進次郎が新総裁に望むこととして三点を挙げていた。

「党を変える勇気。解党的な出直しをする覚悟。これでダメなら終わりだという危機感」

普通の人間ならそれ程駄目な政党にはわざわざ飛び込まないだろう。
まあ、口先だけのことである。
いちいち目くじらを立てていても仕方ない。

谷垣禎一総裁(64)
幹事長 大島理森国会対策委員長(63)
総務会長 田野瀬良太郎政調副会長(65)
政調会長 石破茂前農林水産相(52)

すでに自民党は、「終わりの始まり」ではなく、「終わりの八合目」あたりか。

大島氏、公明に補選の支援要請へ=自民新三役が就任会見 (jiji.com)
自民党の大島理森幹事長ら新三役は29日夜、党本部でそろって就任記者会見を行った。大島氏は10月25日投開票の参院神奈川、静岡両補欠選挙で公明党に推薦を含め支援を要請する考えを表明、「早急に(公明党側と)話し合いをして、協力を願えるよう努力したい」と述べた。
石破茂政調会長は「討論で自民党の言っていることが国民に正しいと思ってもらわなければ意味がない。ディベートに勝てる力を身に付けていかなければならない」と述べ、鳩山政権との政策論争に意欲を示した。田野瀬良太郎総務会長は「政権奪還に向け、党内を取りまとめるため、全身全霊で取り組む」と抱負を語った。
(2009/09/29)


自民・公明の野党連立は健在のようだ。
「解党的出直し」、「一からの出直し」といってもこの程度である。

政権与党というレッテルの剥がれた自民党とはいったいどんな政党なのか。
民主党政府のダイナミックな動きに比べると、自民党政府とは何もしない政府だったとつくづく思う。
財界の要求に応え、族議員の要求に応え、官僚の思惑にのり、アメリカの指示に従っていただけの存在ではなかったか。
何か問題が起こって騒がれたときだけ頭を寄せ集めて対症療法をひねり出す。
理念もなく、国の将来像もなく、政策もなく、国民への関心も同情心もない政治を惰性で続けていただけの政府であった。
関心は政権維持と議席の維持だけであった。

「政策論争」といい「ディベートに勝てる力」といっても、結局は相手のあら探ししかできなかったのが自民党議員達である。
民主党との政策論争より、まず自分たちの政策を作る方が先であろう。
そして政策の根本になくてはならない基本理念がその前にくる。
自民党のアイデンティティといってもよい。

公明党との選挙協力を就任会見で言う新幹事長。
大島氏本人はこれまで「解党的出直し」などと言っては来なかったようだからいいようなものの、新総裁や新役員その他の議員達も了解済みなのか?
自民党内で公明党との協力関係は継続するという合意はできているのか?
「みんなでやろうぜ」の”みんな”には公明党の”みんな”も含まれていたのか。
公明党との選挙協力に手をつけたらすでにアイデンティティの根本が制約される。
「一からの出直し」なんて噴飯ものである。

公明党も選挙で負けて、自民党との連携を続けるかどうか悩んでいるだろう。
もともと脛に傷持つ政党である。
強力政権与党となった民主党と正面切っての戦いには二の足を踏むだろう。
あの方達の国会への呼び出しなんてことになったら目も当てられない。
自民党の選挙協力呼びかけに喜んで応ずるか、迷惑顔で渋々応じるか、体よく口実を見つけて断るか。

テレビでも自民党の報道を目にすることもほとんどなくなってきた。
民主党の新大臣たちはよく働いているぞ!
中には働き過ぎの大臣もいるが……。

急に何にも仕事がなくなって、テレビをみているだけの暮らしになって、「おれたちもあんな事をやっとけばよかったなあ」、と思っている自民党議員もいるかもしれない。





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