政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

カミツキガメの危険な放し飼い…鳩山政権の火種

2009-09-27 15:27:46 | 民主党
亀井静香郵政改革・金融大臣が民主党のお荷物になる。
早いうちにカメの手足を縛らないと、内閣はいいようにかき回されて収拾不能になりかねない。

カメは自民党から民主党への政権交代の意味が理解できていない。
政権交代を単なる首相の交代としか理解していないようだ。
小泉→安倍→福田→麻生→鳩山
しかし麻生から鳩山への移行は、それまでの首相交代とはまるで違った意味を持っているのだが、カメにはそこがみえていない。

カメは自分の縄張りに関しては妙に敏感である。
郵政に関して原口総務相が発言すると、「郵政はわたしの所管」と、早速原口にかみついた。
時代錯誤の「モラトリアム法案」を持ち出して、藤井財務相、平野官房長官が疑問を呈するとこれにもかみつく。
鳩山は複数省庁にまたがるテーマに関しては閣僚委員会を設けてそこで議論するという方針を打ち出している。
縦割り行政・縄張り主義の変革こそ、鳩山政権の目指すべき方向ではなかったか。
カメはそんなことにはまったくお構いなしである。

郵政の恨みを晴らすこと、自分の存在感を高めることだけがカメの意識の底にあるようだ。
零細政党が大民主党相手に精一杯背伸びして自己主張をしているようにも受け取れる。

困惑 反発 亀井金融相、モラトリアム法案 「現実的政策」求める声 ((産経新聞 9月20日)
中小企業の借入金などの返済猶予(モラトリアム)制度を導入しようという亀井静香郵政改革・金融相の案に対し、銀行界に困惑と反発が広がっている。藤井裕久財務相が亀井金融相の構想の実現性を疑問視するなど、鳩山政権の「閣内不一致」の象徴にもなりかねない状況だ。

「(銀行が)借り手の立場を考えないから国が口出ししようという話だ」

 モラトリアムの狙いについて亀井金融相はこう説明し、10月の臨時国会で金融機関に中小企業向け融資と個人向け住宅ローンの元本返済を3年猶予させる「モラトリアム法案」を提出する意向を示している。


勧善懲悪ドラマの主人公か?
この程度の不況で取り乱したか?
単なる自己顕示欲のあらわれか?

カメの提案は松平定信の棄捐令を連想させる。
(棄捐令(きえんれい)は、江戸時代幕府が財政難に陥った旗本・御家人を救済するために、債権者である札差に対し債権放棄・債務繰延べをさせた武士救済法令である)
当初、棄捐令に大喜びした旗本・御家人たちは間もなく新たな借金ができずに、生活が以前にも増して苦しくなり、松平定信に批判の声を上げだしたという。

法令の意図は札差どもの驕りへの懲らしめと人気取りであったようだ。
銀行への懲罰と人気取り狙いの亀井の意図と驚くほど共通している。

棄捐令に遭った札差は大打撃を受け、貸し渋りで対抗した。
そして江戸の町は猛烈な不景気で苦しむことになる。
松平定信の人気は急降下した。

亀井のモラトリアムはその轍を踏むことになる可能性が極めて大きいと思われる。
助けたつもりが逆に相手を苦しめる。

冗談かと思っていたがどうやら本気らしいと分かって再び混乱が広がりそうだ。

亀井氏「モラトリアム法案、できるだけ早く」 (産経ニュース 9/24)

銀行の行いは決して褒められたものではない。
しかし、それは今に始まったことではない。
晴れた日に雨傘を貸す。
雨が降ると貸し渋り、貸しはがし。
銀行保護から借り手保護へ、という考え方はまったく正しい。
しかし、それが即モラトリアムという発想は余りにも短絡的ではないか。
そんな銀行を育てたのは大蔵省・財務省をはじめとする官僚と自民党の政治であった。
改めるのはそのような政治の在り方である。
カメは銀行を懲らしめればそれでいいのだろうが、しっぺ返しは国民に来る。
銀行にお金が戻らなければ、銀行は資金を貸し付けに回せなくなる。
国内にお金が回らなくなれば、不景気がくる。
その痛みは最も弱い者が最も大きく受けることになる。

中小零細企業を助けたければ、利子補給なり、公的部門での貸し付けに切り替えるなり、方法はいくらでもあるはずだ。
何故いきなり3年間の支払い猶予なのか。

カメのモラトリアム提案には様々な評価があり得るだろう。
わたしはこの政策には反対だが、賛成する方もいれば利益を受ける方々もいるだろう。
しかし、今わたしの言いたいことの中心はモラトリアムの是非にあるのではない。
政策の是非とともに、内閣としての政策決定の在り方が問われているのではないか、という点にある。

カメが暴走したとき、内閣はそれを止められるのか?

本来なら、国家戦略局を実質的にスタートさせ、モラトリアム案などはそこで検討できるようにしておかねばならなかった。
国家戦略局が実質的に働き出す頃には、カメはだれにも手出しできないように縄張りを固めてしまっている。
カメだけではない。藤井財務大臣でさえ、予算編成権は財務省にある、などと菅の口だしを遮っている。

藤井財務大臣の起用は概ね好意的に受け止められているが、ここにきてわたしは幾分疑問を持ちだしている。
さきの予算編成権に関しての発言の他にも、大蔵省(現財務省)元財務官の行天豊雄・国際通貨研究所理事長(78)の通貨政策を担当する同省の特別顧問への起用がある。
大蔵省時代の同期だという。
77歳の財務大臣と78歳の特別顧問。
古き良き時代を懐かしみ、お茶を飲みながら語り合う二人の老人。
古い文脈の中では有能な人材も、新しい文脈の中においてみると障害にもなりうる。
週末、為替相場は1ドル90円を割るところまで急速に円高が進んだ。
為替不介入の藤井発言がそのきっかけの一つになっている。
藤井氏は以前から、円高は国民経済の利益につながるということは言ってきている。その持論そのものは内需拡大の経済政策と合わせて正しい方向であると考える。
しかし、リーマンショックの打撃からようやく回復へ向かうか、というこの時期の円高が経済回復の足を引っ張るのもまた間違いなかろう。
為替相場は国の産業政策、エネルギー政策、環境政策等々に密接な関係を持っている。
それらの諸政策との整合性も要求されるだろう。
そういう場合の調整の場として閣僚委員会というものが予定され、多分国家戦略局もその関与が想定されているのではないか。
それが鳩山政権の目指す政策決定の在り方の新方向であるはずだ。
閣僚が有能であればあるほど、個々の省庁と全体の目指すべき方向が乖離する危険性がある。

国家戦略局設置には法的措置が必要などと悠長なことを言っていては、縄張り意識から抜けきれない大臣達は縄張りを固め終わってしまう。
結局、菅はどこにも口出しも手出しもできなくなってしまう。

閣僚には、各省庁の責任者・代表者として内閣にいるのではなく、内閣の一員として内閣の目指す政治を実現するために大臣として各省庁に派遣されているのであるという意識が要求されているのが鳩山内閣なのではないか。
閣僚には縄張り内での善政ではなく、縄張りを超えた協力関係あるいは協働作業をこそが望まれているのではないか。
それらを保証する機能を持つのが国家戦略局であると思っていたのだが、カメの暴走をみると、国家戦略局の強力で迅速な始動がますます必要になってくる。

カメがヘソを曲げれば、連立解消にまで進みかねない。
それはそれで構わないのだが、似たようなことはまた起こるかも知れない。
要求されるのは鳩山個人のリーダーシップによる裁定ではなく、組織としての政策調整の仕組みを確立しておくことである。




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八ツ場ダム問題に関する一視点

2009-09-25 16:26:31 | 民主党
八ッ場ダム建設中止をめぐる混乱が簡単には収まりそうにない。

”情”と”理”の戦いになってしまっているところが、解決を難しくしている。
いわば非対称の争いといえるだろう。
”理”は建設中止にある。
建設続行は”情”に属する。

そしてマスコミは”情”の部分を煽っている。

八ッ場ダム中止 公約至上主義には無理がある(9月24日付・読売社説)
民主党の政権公約(マニフェスト)墨守の危うさが、最初に顕在化した例といえよう。
国土交通省が群馬県内に建設中の八ッ場(やんば)ダムのことである。


不思議な文章である。
マニフェストを掲げて戦った政党がそのマニフェストを実行に移すことを、”マニフェスト墨守の危うさ”と言う。
マニフェスト不履行のススメとでも言おうか。
しかしこれは読売に限らず全マスコミの基本的な姿勢のようである。

民主党は衆院選のマニフェストで、無駄な公共事業の実例としてこのダムを名指しし、政権交代後の建設中止を明記していた。
 前原国交相は就任直後、公約通りダム建設中止を宣言したが、建設推進を求める地元住民らの意向を無視した一方的な発表だったことで、反発が一気に広がった。
事態がここまでこじれた以上、前原国交相は建設中止発言を撤回し、白紙の状態で自治体や住民と話し合うべきではないか。


「事態がここまでこじれた以上」というが、建設反対運動の激しさはこんなものではなかったはずた。
何年にも渡る反対運動が繰り広げられているときに、国交省にダム建設の白紙撤回を読売が求めたかどうかは分からない。
政権発足まだ10日足らずである。
「ここまでこじれた」というのは早過ぎるであろう。

 それと並行して、ダム建設のメリット、デメリットを慎重に再検討し、政府としての最終方針を決めても遅くはあるまい。
 50年以上前に計画が持ち上がった八ッ場ダムに対し、地元住民は最初、反対の立場だった。だが、国との長期間の話し合いの結果、次第に住民も軟化し、2000年代に入ると、水没予定地の住民は次々と移転に応じていった。
 地元では今、建設されるダムを目玉に、観光客を誘致して経済振興を図ろうとの動きもある。
 こうした地元にとって、いまさら中止といわれても、納得できないのは無理からぬことだろう。
ダム建設の総工費は4600億円だ。うち約3200億円は関連工事などに投入済みである。1都5県も多くを負担しており、国の都合で中止すれば、これを返還しなければならない。
 前原国交相は、中止の場合、自治体の負担分を返還する考えを示しているが、その財源は貴重な国民の税金である。
 一方で、地元での環境整備事業などは継続するとしており、これにも相当な資金が要る。結局、ダムの完成より、中止した方が余計にお金がかかる計算だ。
 前原国交相は、そうした損得勘定も考慮に入れる必要がある。


住民感情と生活再建。
それと事業費の比較。

読売社説は、建設推進の理由としてこの二つを挙げている。
ところで、建設継続の場合と中止の場合とでの今後の事業費については、読売は根拠を示してはいないが、恐らく国交省発表の数字に依っているのだろう。
この数字には異論も出されているのは周知の事実である。
ところで今後の検証で、客観的で正確な数字が示され、中止の方が有利ということが明らかになった場合、読売社説氏は、どのような結論を出すことになるのか。

費用をとるのか住民感情を優先させるのか?
答えは分かっている。
建設推進を主張するはずである。

しかし、そこには住民感情に対する思いやりではなく、別な意図が透けて見えている。
住民の情の部分を煽りながら、本音は別のところにある。
マスコミの動きの底には”利”がある。

公明党の新党首以下のメンバーが前原国交相の1日前に八ッ場に乗り込んでいる。

生活再建と完成に期待 (公明新聞:2009年9月23日)
視察後、山口代表は記者団の質問に答え、「(住民は)生活再建とダムの完成を期待していると感じた」と指摘。前原国交相に対しては「(代替地で)実際に生活が始まっているところや、温泉の(移転)予定地をよく見てほしい。結論ありきではなくて、白紙の状態で、住民の意見を聞いていただきたい」と述べ、住民の声に誠実に耳を傾けるべきだと訴えた。


公明党は”理”を言うことなく、”情”の部分に耳を傾け、住民に同情を示してだけで帰ってきている。
”情”に対する支持の表明である。

八ッ場ダム 『建設中止 撤回を』 (東京新聞 TOKYO Web 2009年9月23日)

会場には水没地区の住民ら約五十人が集まった。最初に大沢正明知事が「地元と協議せずに一方的に中止表明されて非常に残念。八ッ場ダムは首都圏にとっても重要なダムだ」と強調。同町の高山欣也町長も「住民はダム建設と生活再建を交換条件に苦渋の選択をした」と説明した。住民からは「中止決定と聞いて八ッ場ダムが満杯になるほどの悔し涙を流した」「下流都県の利水や治水のために先祖伝来の田畑を提供せざるを得なかった住民の苦労を分かってほしい」などと訴える声が相次いだ。


いずれも”情”に訴える言葉が並ぶ。
ところで、テレビで繰り返し流されていた住民の一人、星河さんという女性が墓地で涙をながして訴えていた場面は、”情”に訴える一番の映像であった。
「ダム建設に翻弄されて死んでいった人になんと言ったらいいのか」、と言うようなことを語っていた姿には、”理”を超えた強さがあった。

これらの住民の方の言葉はわたしに、いわゆる”歴史認識”をめぐって繰り返される主張を思い起こさせる。

わたしたちの夫や父たちは、侵略戦争を遂行するために命を落としたのか。
彼等の死を犬死にというのか。
彼等は国を守るために正しい戦争で死んだのだと思わなければ、死んでいった人たちがかわいそうだ。

だからあの戦争は正しかった。


このような論理・主張には面と向かっての反論はしにくい。

ところで、この星河さんが実は建設推進派の町会議員だったらしい。

「到底中止受け入れられない」八ツ場ダム 地元町議会が意見書可決 (産経ニュース 2009.9.17 )
水没予定地区出身の星河由紀子町議は議会で「前原国交相の発言を聞き、(昨夜は)一睡もできなかった。ダム(問題で)で費やした時間を返してほしい」と憤り「これからが正念場。町は今後どう対応するのか」と質問。


確かに星河さんも地元住民の一人であることには違いなかろうが、分かってみると、”情”の部分も大分いかがわしい色合いを帯びてくる。

民主党の”理”
住民の”情”
そしてその後ろに、対立を煽る利益集団とマスコミの”利”

八ッ場ダムの決着は他の建設中の140余のダムの命運にもかかわる。
多かれ少なかれ他のほとんどのダムにおいても似たような問題が潜んでいるだろう。
”利”の集団にとっては、八ッ場ダム問題は一つのダムの問題では済まないのである。

真っ先に排除すべきは”利”である。
後は”理”による”情”の説得である。
政治は、”理”が基本である。





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高速道路無料化の一側面…民営化は正しかったか

2009-09-23 20:21:10 | 自民党
高速道路無料化に関する議論が妙な方向に向かっている。
というより、向けられている、と言った方がよい。
無料化に反対する側は思いつく限りのもっともらしい理由・口実を繰り出している。

受益者負担の論理
環境(CO2増加)問題
渋滞問題
痛みを受ける業種の言い分
事故の増加

そして今のところ、これらの理由を国民に刷り込むことに成功しているように見える。
しかし、真の問題は裏に潜んだままである。

実は高速道路無料化は郵政民営化以上の大問題であるとわたしは思っている。
もちろん、国民にとってではなく、自民党・官僚・高速道路会社とその関連企業、関連利益集団にとってである。
高速無料化への抵抗は今後益々強まっていくものと思われる。
それは、反・郵政民営化への抵抗をはるかに超えるものになる可能性がある。
郵政民営化が、今後まったく逆戻りしたとしても、郵政事業そのものは存在し続ける。
郵便局がなくなるわけではない。
しかし、高速道路無料化となると事情はまったく違ってくる。
事業そのものが消滅してしまうのである。

発端は道路公団民営化にある。
このデタラメ至極の道路公団民営化は、小泉純一郎の号令で動き出した。
小泉の走狗として無理に無理を重ね、横車を押し通したのが猪瀬直樹である。
それは道路公団民営化委員会の経緯にも明らかである。
猪瀬は、反対する人たちを抵抗勢力として印象づけることに成功して、反対者を次々と排除していった。

委員は、内閣総理大臣が直接任命した。

今井敬(委員長)(途中委員長職辞任・欠席) - 新日本製鐵相談役名誉会長、元社長。第9代経済団体連合会会長
中村英夫(途中から欠席) - 武蔵工業大学(現東京都市大学)学長
松田昌士(途中辞任) - 東日本旅客鉄道(JR東日本)元社長・会長
田中一昭(委員長代理)(途中辞任) - 政治学者
大宅映子 - ジャーナリスト・評論家
猪瀬直樹 - ノンフィクション作家・評論家
川本裕子(途中から欠席) - 早稲田大学大学院教授


残ったのは猪瀬直樹と大宅英子の素人二人である。
バランスシートも損益計算書もろくに読めない二人の評論家によって無理矢理進められたのが道路公団民営化なのである。
委員が次々と辞任していくのを小泉は無視して猪瀬一人に民営化を強行させたのであった。
七人の委員のうち、少なくとも四人の委員が欠けた時点で、この委員会は正統性を失っている。

果たして、出された結論は、自民党・国交省・道路公団・関係企業にとっては理想に近いものになった。
高速道路会社と資産保有・返済機構といういわゆる上下分離方式を考えだし、高速道路建設を採算無視でいくらでも作れるようにしてしまったこと。
民営化によって公団そのものが模様替えだけで実質的に存続できること。
借金返済後は高速道路を無料開放するというそれまでの共通概念をなし崩しにして、高速道路会社を永久に存続できるようにしたこと。
たしかに資産保有・返済機構は45年後に解散することになっているが、その後の道路会社の在り方は極めて不透明である。
無料化という方針が残っているともいないともはっきりしない状況である。

株式売りだし後でも三分の一の株式は国が保有することになっているが、無料化で収入の柱がなくなってしまうような会社の株式を買う人がいるとは思えない。
民営化は永久的な有料維持を意味する、というのが多くの方の共通認識である。

高速道路無料化は単に料金収受員の首切りだけではない。
この人たちは高齢者が多く、人員整理の影響はさほど大きくはない。
なんとでも対策は打てるのである。
問題は、本体とその周辺の膨大な人員と利権である。

実際に高速道路で飯を食っている人間の数がどれだけいるか正確に掴んでいるところはあるのだろうか。

2004年2月10日
特定非営利活動法人 建設政策研究所の提言・見解より
各公団の収支状況悪化の原因として公団OBの天下り先となっているファミリー企業がある。「民営化委員会」の調査によっても日本道路公団OBが700社に2500人、首都高速道路公団OBが300社に530人、阪神高速道路公団OBが150社に280人、本四公団OBが90社に150 人天下っていることが判明したと述べている。


民営化後はまったく自由な天下りができる。
現在はいったいどんなことになっているか想像もつかない。
ここに挙げられているだけでファミリー企業は述べ1450社もある。
(実際には重複しているファミリー企業もあるだろうからこれよりも少ないものと思われるが……)
多分孫会社、ひ孫会社、持ち分適用会社、資本関係があるその他の企業というとわたしのような素人では、その数は掴みようがない。

一例をあげる。

東日本高速道路株式会社
従業員 2700人

グループ子会社

ネクセリア東日本株式会社
 サービスエリア・パーキングエリア内商業施設の管理運営
株式会社ネクスコ東日本リテイル
 サービスエリア・パーキングエリアの直営店舗を運営
株式会社ネクスコ東日本エリアサポート
 サービスエリア・パーキングエリア内商業施設の管理点検業務など
株式会社ネクスコ東日本トラスティ
 用地調査管理業務、財産整理業務、道路敷地管理業務、社屋管理業務など
 ・料金収受業務
株式会社ネクスコ・サポート北海道(交通管理業務を兼営)
株式会社ネクスコ・トール東北
株式会社ネクスコ・トール関東
株式会社ネクスコ・トール北関東
・交通管理業務
株式会社ネクスコ・サポート北海道(料金収受業務を兼営)
株式会社ネクスコ東日本パトロール
株式会社E-NEXCOパトロール
・保全点検業務
株式会社ネクスコ・エンジニアリング北海道
株式会社ネクスコ・エンジニアリング東北
株式会社ネクスコ東日本エンジニアリング
株式会社ネクスコ・エンジニアリング新潟
・維持修繕業務
株式会社ネクスコ・メンテナンス北海道
株式会社ネクスコ・メンテナンス東北
株式会社ネクスコ・メンテナンス関東
株式会社ネクスコ・メンテナンス新潟

グル-プ関連会社
東京湾横断道路株式会社
東京湾アクアライン、海ほたるパーキングエリアの管理・運営
東北高速道路ターミナル株式会社
仙台南トラックターミナル、郡山トラックターミナルの管理・運営
株式会社NEXCOシステムズ
NEXCO3会社の経理、人事・給与システムや、高速道路の交通量、料金収入の計数を管理するシステムなど、基幹となるシステムの運用管理
株式会社高速道路総合技術研究所
NEXCO3会社の高速道路技術に関する調査・研究及び技術開発
ハイウェイ・トール・システム株式会社
料金収受機械保守業務を実施
株式会社NEXCO保険サービス
損害保険代理店業務、生命保険募集業務など


以上は東日本高速道路会社のホームページに載っているものだけである。
多分これらの会社が更に子会社・関連会社を作っているだろう。
6高速道路会社全体についても構成はほぼ同じである。
民営化によって国の監視の目も入りにくくなっている。
(料金値下げは、国の負担を増やすだけで人員削減にはつながらず、ファミリー企業を温存するだけである)

道路公団民営化によって野放図に膨張してきた利益集団にとって、無料化は何が何でも阻止しなければならない文字通りの死活問題なのである。
国交省・高速道路会社・自民党族議員・膨大な関連企業・自動車・鉄鋼・建設会社・システム会社・地方自治体、そしてそれらに巻き込まれたマスコミ等が足並みをそろえて、無料化つぶしに全力を挙げることだろう。

政権交代・脱・官僚政治によって国交省の官僚は表だっては動きにくくなる。
自民党族議員も政権から離れてしまった。
しかし、それだけに無料化つぶしは目立たない陰湿なものになると思われる。
(八ツ場ダム建設中止に反対する住民の動きを取り上げるマスコミの姿勢はその好例であろう。建設中止賛成の声が取り上げられることはほとんどない)

高速道路無料化は数万人の首がかかった大事業である。
しかし、その数万人を喰わせるために国民がお金を払い続けるというのは本末転倒である。

道路は本来国民のもの、無料が原則である。
高速道路無料化は高速道路の国道化である。
国道として使うものに受益者負担という反対意見はあたらない。

高速道路無料化は高速道路民営化の解消をも意味する。
今、無料化を実現しなければ民営化会社が永続してしまう。
これは道路の私有化なのである。

高速道路無料化問題は、そもそもの出発点・道路公団民営化ということから考え直さなければならない問題なのである。

株式が売り出された後では取り返しがつかない。
民主党には過去の経緯まで徹底的に洗い直し、民営化の誤謬に光を当て、高速道路無料化を断固として実現し、まともな道路行政を確立してもらいたい。





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クズが去りゴミが残った…自民党総裁選

2009-09-22 07:13:56 | 自民党
民主党政権が発足した。
自民党政治のデタラメの後始末、官僚との緊張した関係等新政権の動きがマスコミを賑わせている一方、自民党総裁選はどのメディアもおざなりな取り上げ方しかしていない。
政権与党という外殻を取り去ったら、急にその中身のお粗末さが露わになり、自民党は急速に国民の関心を失いつつある。
自民党に対する失望は、選挙前より、返って選挙後にますます大きくなっている。

自民党:総裁選 舛添厚労相が不出馬の意向を表明 (毎日jp 9/2)
舛添氏は国民的な人気が高く、「ポスト麻生」の有力候補として党内で待望論が出ていたが、1日夜に東京都内で森喜朗元首相と会談し、出馬しない考えを伝えた。


なぜ麻生総裁でもなく、細田幹事長でもなく、森との会談なのか。
しょせんパンくずをちょこまかと探し回るネズミ男である。
森の脅しかおだてだかに遭って一も二もなく手を下ろした。

小池百合子・元防衛相、自民総裁選に不出馬表明 (YOMIURI ONLINE 9/2)

中川秀直氏、自民総裁選不出馬を表明 (asahi.com 9/9)

自民・石原伸晃氏、総裁選不出馬を表明 (YOMIURI ONLINE 9/13)

石破農水相、総裁選不出馬を表明 谷垣氏を支持 (asahi.com 9/16)
昨年秋の総裁選立候補時の推薦人の大半が総選挙で落選。所属する額賀派内にも支持が広がらず、「推薦人が集まらなかった」(同派幹部)との見方が大勢だ。


これらとは多少おもむきが異なるのがこちら。

小野寺五典氏 自民党総裁選出馬断念 (YOMIURI ONLINE 9/18)
小野寺氏は同日、東京の自民党本部で、「中堅・若手議員の勢力を結集するため、あえて立候補しない決意をした。このままいくと、誰も出馬できない可能性も出てくる。それは避けるべきだ」と断念した理由などを語った。


この期に及んでカッコつけてる場合ではなかろう。
20人の推薦人が集まらなかっただけのことである、ということはだれもが知っている。
「あえて立候補しない決意」?
若手も笑わせてくれる。

一方、泥水の底から浮かび上がってきたアブクもある。

西村氏が出馬意向=小野寺、林、町村氏は見送り-自民総裁選

石破も河野も小野寺も20人の推薦人を集めるのに苦労していたが、まったくその苦労なしに出てきた男。
地元の選挙民以外にほとんどその名を知る人もいない人間がいきなり総裁候補!
しかし、自民党の老人達はよくこんな見え透いたことをするものだ。
もちろん河野の脚を引っ張るためなのはいうまでもない。
そしてこれに歩調を合わせて谷垣支持に走る石破・石原・小池等の浅ましい連中。
河野総裁となると自分たちまで2階席に棚上げされる心配があったのだろう。

一応、本命とされているのが、谷垣禎一のようだ。
谷垣氏、「自分が捨て石に」と総裁選出馬表明 (産経ニュース 9/13)

西村・河野・谷垣氏 自民総裁選3氏届け出 ( 産経ニュース 9/16)
いち早く立候補を表明していた谷垣氏は、東京都世田谷の自宅前で記者団に「党再生の礎(いしずえ)になり政権奪還を目指して頑張る」と語った。


たったの3日で「捨て石」が「礎」に昇格していた。
若手に劣らずいぶし銀のベテラン芸人も笑わせてくれる。

対抗馬の河野太郎。
妙にテンションの高い声を上げているが、やや不似合いの感がある。

自民党総裁選記者会見要旨(1)(産経ニュース 9/19)

河野太郎元法務副大臣(以下、河野) 野党になってしまった今、自民党を再定義する格好の機会だ。

 小さい効率的な無駄のない政府をつくり、健全な公平な競争環境を作り出すことで経済を発展させる。発展をした経済の果実がきちんと社会保障として手当てされる世の中を目指す。少子高齢化が進んだ人口構成では、それなりの財源を社会保障に出さなければいけない。やや大きな社会保障にならざるを得ないが、大きな政府、再分配を志向する民主党とは明確に対(たい)峙(じ)していく。


余分な語句を取り去ると、
「小さい政府をつくり、競争環境を作り出すことで経済を発展させる。」
これではまるで小泉政治の継承である。
「やや大きな社会保障にならざるを得ないが、大きな政府、再分配を志向する民主党とは明確に対(たい)峙(じ)していく。」
「やや大きな政府」と「大きな政府」との対立らしい。
これではとても対立軸にはなり得まい。
対立軸を立てたいが、やっぱりあちらの票もほしい、こちらの支持も頂きたいという乞食根性がこんな屁のような言い方をさせている。
もっとも河野太郎の本音は別のところにあるようにも見える。

“劇薬”河野氏、ますます暴走 真の争点は参院選の候補者差し替え (産経ニュース 9/20)
「自民党が大敗したのは派閥親分の言うままの人事をやったからだ。古い自民党がもう1度出てきたら、次の参院選で誰が自民党を支持するものか。古くさい方は退いてほしい。もうあなた方に出番はない!」

 「古くさい方」とは、森喜朗元首相や青木幹雄前参院議員会長らを念頭に置いていることはこれまでの言動からも明らか。河野氏は「全員野球は断固反対だ。よい自民党と切り捨てる自民党を明確に分けることが総裁選で私に課せられる使命だ」と断じた。


「よい自民党」と「切り捨てる自民党」とが共存しているらしい。
「良い自民党」とは自分たち若手議員たち。
「切り捨てる自民党」とは、森・青木その他の派閥領袖たちに支配される議員たち、ということらしい。

河野太郎には二段構えの作戦があるのだろう。
まず、派手な喧嘩を売ることで地方票の取り込みを図る。
小泉作戦の亜流であるが、他に取るべき方策が見つからない。
それで勝てればよし。
負けたら?
負けたら出て行く。
このけんか腰の言い方はそのときのための布石であろう。
どうせ4年間は政権は戻ってこない。
それならいっそ自民党をでて、”みんなの党”あたりとくっついて民主党に色目を使った方がいい思いができそうだ。

もちろん、森・青木たちは河野太郎の思惑などお見通しだろう。
無事、谷垣勝利の暁には、谷垣・河野の政策調停あたりで手打ちにできると多寡をくくっている。
だいたいが河野の強硬姿勢そのものがいじましい党内駆け引きに過ぎない。

出て行く気があるなら既に出て行っている。
ただ河野としては、どちらでもいいというところまではきているのだろう。

だれが勝っても自民党の行く手に光明はみえない。
いっそ河野太郎のいうように「よい自民党」と「切り捨てる自民党」と二つに割ったほうが良さそうだ。
「良い自民党」は「よい子の党」とでもするか。
残った連中は「大日本自由老人党」とでもして敬老精神の普及にでも力を注いで貰おう。




自民の次は官と財!


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小泉進次郎の政治資金・世襲の実態

2009-09-19 12:45:41 | 自民党
小泉純一郎が政界引退を地元で表明したのが昨年9月27日であった。
そしてその場で進次郎の襲名も発表した。

それをきっかけにまた世襲の是非をめぐる議論が多少盛り上がったが、例によっていつのまにかそれも下火になっていった。

小泉進次郎氏「世襲判断は有権者」 ライバル横粂氏は「脆弱な世襲候補より雑草魂を」 2009/08/18
小泉元首相の次男として世襲批判の矢面に立たされ、この日も英BBC放送が世襲問題をテーマに取材に訪れていた。小泉氏は取材に対し「世襲がいいか悪いか判断するのは有権者。進次郎なら未来を託せると思ってもらえるよう頑張る」と話した。

世襲 ゆえに悩む (YOMIURI ONLINE 2009年8月5日)
政治家の世襲は、歌舞伎役者や落語家みたいなものではない。有権者が当選させて初めて成立する」

 三浦半島の三崎港近く、三浦市民ホールで7月28日夜に開かれた、神奈川11区の公開討論会。自民党の小泉進次郎は、他の候補予定者からの世襲批判に苦笑を浮かべながら反論した。


進次郎は折に触れ、世襲の是非の判断は有権者にある、と責任を有権者に預けている。
しかし、世襲の利点を利用することには抜け目がない。

進次郎は6月下旬まで街頭に立つのを控えていた。「先代からの支援者あいさつが先」と党県連幹事長の竹内英明ら陣営幹部が抑えてきたためだ。

 しかし、6月28日の横須賀市長選で父、純一郎が支援した現職が敗れると、危機感は高まり、進次郎も街頭へ飛び出した。


「先代からの支援者」!
こんなものまで引き継いでいたのか!
世襲擁護論者は決してこういうことは言わない。
彼等がいうことは大体決まっている。

◎だれにも職業選択の自由はある。
◎本人に能力があるかどうかが問題である。
◎日本の伝統芸能は世襲によって受け継がれてきた。だから世襲は悪くはない。
◎親の背中を見て育った子供が親の仕事を継ぐのはすばらしいことだ。
◎最終的には有権者が判断することである。


「先代からの支援者」が金と票の面倒をみる。
それが世襲なのである。
「先代からの支援者」はなぜその後継者を担ぐのか?
人間的なつながりもあるだろうが、それ以上に大きな理由がある。
自分たちの利益の代弁者として最も適切なのが世襲議員なのである。
他の議員に後から食い込むのは大変な苦労である。
もうそこには既存の利権集団がいるのである。
そこに後からのこのこ出て行っても簡単には食い込めない。
それなら後継者を育てた方が手っ取り早い。
そして世襲の連鎖が続く。

自民・小泉進次郎氏:後援団体の収入99%、父純一郎氏団体から--08年政治資金 (毎日jp 9/18)

8月の衆院選神奈川11区(横須賀市など)で初当選した自民党の小泉進次郎氏(28)を後援する政治団体「小泉進次郎同志会」の総収入の約99%は、父純一郎元首相の資金管理団体の寄付だったことが、県選挙管理委員会が18日公表した08年政治資金収支報告書から分かった。一方、対抗馬となった民主党の横粂(よこくめ)勝仁氏(28)は党支部のために自腹を切っており、世襲候補との資金力の格差が浮き彫りになった形だ。【木村健二】

 小泉進次郎同志会は08年10月に県選管に設立の届け出があり、08年の収入は355万円だった。うち350万円は同10~12月に3回に分けて純一郎氏の資金管理団体「東泉会」が寄付し、残る5万円は個人献金だった。

 さらに進次郎氏は08年秋、純一郎氏の後継として自民党県第11選挙区支部の代表にも就任。支部には繰越金約2630万円のほか、08年は約2533万円の収入もあった。政治団体の代表交代は名義変更だけで、相続税などは課税されない。


バカ親の動きも素早い。
引退表明したかと思うと、息子にすぐさま政治資金団体をつくらせている。
同時にバカ親が支部長を務めていた自民党支部の支部長の座も息子に譲っている。

ばか親からの350万円の寄付という名のプレゼント。
支部の繰越金2630万円の非課税贈与。
二ヶ月で2533万円も集められる資金源の継承。

一方、横粂氏は愛知県出身で11区にとっては落下傘候補。代表を務める民主党県第11区総支部に08年12月、借入金として100万円を拠出した。総支部の他の収入は党本部からの交付金100万円、党費など約36万円しかなく、収入の約42%を自己負担して選挙準備に臨んでいた。

総額236万円!
バカ親純一郎から息子へのプレゼント350万円にも届かない。

政治は、社会正義の実現ということもその目標に入らなければならない。
このような現実的な不平等は到底職業選択の自由などという口実で容認できることではない。

日本国憲法

第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする

第22条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

第29条 財産権は、これを侵してはならない。
2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。

第99条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。


国会議員や公務員は、一般国民以上にこの憲法を尊重する義務があるのである。
個人の権利も一般国民以上に「公共の福祉」のために、「公共の福祉」に反しないように使わなければならないのである。

バカ親・小泉純一郎は、「公共の福祉」に沿って地盤と金を息子に譲ったのか!
進次郎は親の地盤と金を貰うことが「公共の福祉」に沿うことだと思っているのか!
息子に寄付した金はどうやって集めたものなのか?
政治資金とは政治活動に使うべきお金であろう。
息子への寄付が政治活動なのか?
バカ親が集めた政治資金は、憲法で守られた財産権に含まれるものなのか。

日本国憲法において、「公共の福祉」という概念は決して軽いものではない。
国会議員は、公平・公正な社会の実現のために、一般人以上の高い規範が要求されているのである。
それは道義的規範という以上の、憲法上の義務である。

国会議員による自主規制ができないのなら、法による規制が必要であろう。




祝!政権交代


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再生自民党、ライバルは共産党!

2009-09-17 06:41:12 | 自民党
麻生太郎が内閣総辞職、自民党総裁を辞任した。
しかし、次期総裁選告示を明日に控えて、自民党内はさっぱり盛り上がらないようだ。
桝添が、森喜朗に脅かされたのか因果を含められたのか、早々と降りてしまい、前回総裁選で何やらもっともらしいことを言っていた小池百合子、石原伸晃、石破茂が次々と降りて、与謝野馨は下馬評にも挙がらない。

仕方なくといおうか、いそいそと、といおうか、谷垣禎一が手を挙げた。

谷垣氏の発言要旨=自民党総裁選 (jiji.com 9/13)
自民党の谷垣禎一元財務相が13日、総裁選出馬に関して記者団に語った内容は次の通り。
 立候補する決意をした。衆院選での大敗北を受け、自分が捨て石になって党の再生を果たす。家族や自分が生まれ育ち、住んでいる地域のきずなを大事にしていく中で、自民党を長い間支えてきた良質な保守層の期待に応える。


どうやら自民党再生のキーワードは”保守”のようだ。
理解しがたいのは、”良質な保守”の意味するところである。
選挙中の自民党の右翼キャンペーンが”良質な保守”なのか?
生き残った森喜朗や安倍晋三や麻生太郎やらとともに進めるのが、”良質な保守”なのか?
このブログにも時々やってきては、訳の分からぬことを書き散らしていく連中が”良質な保守層”なのか?

自民党再生のためには確かに何か旗印が必要であろう。
しかし、それが”保守”なのか?
政権奪還のためには民主党政権との”対立軸”が必要であろう。
ただ、今どき”保守”が対立軸なんかになるのか?
民主党が”革新”の旗でも掲げているのなら、それも良かろうが、民主党を革新政党と呼ぶ人はいなかろう。
自民党が”保守”を叫べば叫ぶほど対立するのは共産党と言うことになる。
政権の中央から遠く離れたところで、”保守”と”革新”の対立が鋭くなる。
共産党にとっては大歓迎であろう。
民主党政権の成立で攻撃相手がぼやけて困っているところである。
民主党政権に対しては、”建設的な野党”というようなスローガンを掲げているがインパクトの弱さは隠しようもない。
そこに、うってつけの仮想敵国が現れてくれるのだ。

幸いなことに自民党機関誌「産経」もこれまで以上に自民党応援に尽力する覚悟のようだ。

「民主党さんの思うとおりにはさせないぜ」 ツイッター軽率発言を産経新聞が謝罪 (J-CAST ニュース  2009/8/31)
産経新聞は衆院選に合わせ、公示日の8月17日に公式twitterをスタートさせた。投開票日までの13日間限定で、主に掲載記事や、編集部の日常を紹介。30日は選挙結果を実況中継していた。現在も、440人にフォローされている。

問題の「つぶやき」があったのは、選挙結果が出そろい、民主圧勝、自民惨敗が確定した31日早朝。

「そろそろ、中の人が交代しますー。皆さんお付き合いいただいて、ありがとうございました!」
と選挙特集が終わることを告げたあと、

「産経新聞が初めて下野なう」
「でも、民主党さんの思うとおりにはさせないぜ。これからが、産経新聞の真価を発揮するところ」
と投稿してしまった。公式アカウントなだけに、産経新聞が自民寄りで「反民主」を表明したとも受け取られかねない発言だ。


自民党の余りの惨敗に周章狼狽、アタマ真っ白状態で思わず言ってしまったのだろう。
まあ、この程度は笑って済ませられる。

それでも「小鳩関係」が心配だ 政治部長・乾正人 (msn産経ニュース 2009.9.17 )
鳩山由紀夫内閣が静かにスタートした。

 ご本人が「歴史を変えるわくわくする喜びと、歴史を作らなければならないという大変重い責任の両方が交錯している」と力んで語った割には、支持者が道頓堀に飛び込むわけでもなく、閣僚人事もごくまっとうなものだった。


多分産経新聞の政治部長というのは、社内では偉いのだろう。
しかし、その政治部長氏がこんなお粗末なアタマの持ち主で、この新聞社は大丈夫なのか?
だれも道頓堀に飛び込まなかったのが問題なのか?
閣僚人事がまっとうだったことがいけないのか?
そして話は例によって”二重権力”へと進む。

問題は、やはり「小沢一郎」との関係だ。
(中略)
いくら政策決定を内閣に一元化し、法案を国会に提出しても、どの法案を優先して審議し、成立させるかは小沢氏の判断次第となるのは厳然たる事実なのである。

 さらに、内閣の目玉である国家戦略局の全体像もいまだにはっきりしない。一家言を持つ社民、国民新党の両党首との調整も同時進行でこなさなければならず、政治主導をめざす「新システム」は煩雑このうえない。

 それらをはねのけて鳩山首相が、持ち前の粘りで「脱官僚政治」を実現できるだろうか。「二重権力」構造への危惧が杞憂に終わることを願ってやまない。


こうなるとコロツキの言いがかりのようなものである。
「二重権力」構造への危惧が杞憂に終わることを願ってやまない。
と結んでいるが、筆者が「杞憂に終わらないことを願っている」ことはアリアリである。

保守対革新!
自民党対共産党!
産経対赤旗!


余り建設的とは言えないが、いい勝負にはなるだろう。





祝!政権交代


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解党的出直しではなく、解党して出直しを!

2009-09-13 19:38:59 | 自民党
調子の強さにもかかわらず、まったく意味を持たない言葉がある。
もっともよく使われているのが、「抜本的改革」であろう。
しかしこれまで「抜本的改革」という言葉を聞かされて、「抜本的改革」の結果を見せられたことはない。
「解党的出直し」という言葉も同じ類である。

北海道12区・武部氏、「自民、解党的出直しを」陳謝 (asahi.com 2009年8月31日)
 日本最北で最も広い北海道12区では、自民前職・武部勤氏(68)が小選挙区で落選となった。その後比例で復活当選したが、同氏は午後8時45分ごろ、事務所で支援者らに「敗因は私の力不足。風という雪崩現象があった。自民党は解党的出直しをしなければならない」と陳謝した。

自民党衆議院議員 中川秀直公式ブログ 解党的出直しの先頭に立つ
社説の結語である「政権交代可能な二大政党制を定着させるために、自民は文字通りの『解党的出直し』に取り組む覚悟が求められている」は、正論である。

政権交代の受け皿となる野党第一党の使命は重い。政権交代の受け皿となる自民党になるには「解党的出直し」が急務である。

それが、今回の総選挙で生き残った者の責務である。小選挙区で負け、比例区復活を許された私にとって、それが「天命」だとして、「解党的出直し」の先頭に立つ覚悟である。(9月3日記)

「解党的出直しを」選挙区敗北の自民・山崎拓氏、言葉少な (yahoo Japan 産経 8月30日)

「国民の審判を厳粛に受け止め反省したい。党としても結党以来の大敗北を喫したので、解党的出直しをしなければならない」

 福岡2区での敗北が決まった自民党元副総裁の山崎拓氏(72)は、福岡市中央区の選挙事務所で、言葉少なに語った。


文字通り”異口同音”
問題はこの辺にもありそうだ。
発想の貧困、語彙の貧困、ワンパターンの表現。
もし、一人一人が真剣に考えれば、それぞれ自分の言葉で自分の心を語るはずである。

衆院選 神奈川11区 自民 小泉 進次郎氏「新党のようにこれから解党的な出直しを」 (You Tube )
今、自民党にとってはまさにどん底、だからこそピンチをチャンスに変えて新党のように解党的出直しをして、もう一度再建しなくてはならない。


言うことはすでにベテラン並みである。
まだ国会デビュー前の新人に「解党的出直しを」などと言われるとは、自民党も情けない。

「愚痴だけ言わず理想掲げろ」森元首相が若手を鼓舞 (asahi.com 2009年9月12日)
「不満、愚痴だけを言わないで、まず自分の理想を掲げてみろ。そのチャンスが今度の総裁選だ」。森元首相は11日、朝日新聞のインタビューに応じ、中堅・若手議員が積極的に総裁選に名乗りをあげるべきだとの考えを示した。
(中略)
一方、党の財政運営や業界・団体との関係修復に触れ、「いろいろな問題を抱えて(若手)一人ではできない。年寄りをばかにして、のけ者にしてはいけない。だてに当選回数を重ねていない。それだけの知恵も持っている」と強調。


「解党的出直し」など、どこ吹く風といったおもむきである。
問題はだれも掲げるべき理想を持っていないことにあるのだが。

ところで谷垣が自民党総裁選に名乗りをあげた。
それで谷垣は、16日の首班指名ではやはり若林氏の名前を書くつもりなのか?
少しおかしくはないか。
名乗りを上げた以上、堂々と自分の名前を書くのが筋ではないか。

自民党総裁選、全国11ブロックで演説会 (asahi.com 2009年9月11日)
自民党の総裁選挙管理委員会は11日、総裁選の遊説日程を固めた。18日の告示日に党本部で候補者の所見発表演説会をした後、19日に日本記者クラブで公開討論会、20~26日に全国11ブロックを回って街頭などで演説会を開く。野田毅委員長は演説会の場所について「自民党の国会議員が減ったところを大事にしたい」と記者団に語った。


結局又同じことの繰り返しである。
ドサまわり一座を結成して全国興行。
そうやって選んだのが麻生太郎だった。
これが「解党的出直し」か。

やはり「解党して出直し」するしかないのではないか?





祝!政権交代


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自民党というインチキ政党

2009-09-11 06:54:56 | 自民党
自民党が政党政治・議会制民主主義の絶好の教材を提供してくれた。
自民党の出した答えは果たして正解だったのか?

麻生首相、16日に総裁辞任へ…混乱収拾図る (YOMIURI ONLINE 9/8)
麻生首相は、特別国会召集日の16日午前に自民党総裁の辞表を提出する意向を固めた。
 複数の党幹部が7日、明らかにしたもので、8日に党本部で開かれる両院議員総会でこうした意向を表明する方向だ。16日午後に行われる首相指名選挙で、麻生首相に投票することへの反発が強まる中、前倒しで辞任することで、同選挙への党の対応を決めやすくする狙いがある。
 麻生首相はすでに衆院選惨敗の責任を取り、辞任する意向を示している。ただ、総裁任期は30日までで、後任を選ぶ総裁選は28日に投開票される予定だ。


麻生の”混乱収拾を図る”意図とは逆に混乱は深まってしまったようだ。
16日に麻生が総裁を辞任すると、それから28日の総裁選まで自民党は総裁不在となる。
そして総裁不在のまま、自民党は特別国会で首班指名選挙に臨むことになる。
この時点で自民党議員の選択肢から、麻生太郎へ投票という選択肢がなくなった。
残りは、白票を投ずるか、誰でもいいからとにかく統一した名前を書いて投票するの二つの案に絞られたようだ。

白票案についての甘利経産相の主張は笑うしかない。
「甘利明氏 白票というのは権利放棄ではない。われわれがゼロから出直して、自民党に期待する人のありとあらゆる声を聞くという証しだ。白票はこれから立派な人を選ぶということを意味する」

結局自民党議員が選んだのは、若林正俊両院議員総会長という名前を書く、つまり”誰でもいい誰か”に投票するというものであった。
しかし、自民党議員達は誰一人若林氏が次期首相にふさわしいとも思っていないし、次期首相に担ごうとも思っていないのは明白である。

もちろん総選挙での大惨敗のあと、自民党の候補者が首相になる可能性はゼロである。
だからといって、誰の名前でもいい、ということにはなるまい。
若林氏本人も自嘲せざるを得ないような決定である。

他のすべての政党は自党の党首名を書いて投票するだろう。
勝てる可能性はなくても、そのことは政党に属する議員の意思であり、希望である。
社民党、国民新党が自党党首の名前を書くか鳩山由紀夫の名前を最初から書くかどうかは分からないが、連立合意が成立した後ではどちらでも筋は通る。
公明党はすでに新代表を決めている。
その新代表で特別国会に臨み、その新代表の名前を書いて投票するだろう。

総選挙後、速やかに総裁選を実施し、新総裁のもとに特別国会に臨むというのが、自民党のとるべき道であったろう。
しかし、麻生は総裁選を18日告示、28日投票という意味のない先送りをしてしまった。
それに対して自民党内からはさして強い異議も出されなかった。
首班指名選挙の前に総裁選を繰り上げろ、という声もあったが、さして盛り上がらなかった。
そして特別国会召集日が近づいてようやく自民党議員達は慌てだした。

若林氏の名前を書くことにどんな意味があるのか。
日本国の総理大臣としてふさわしいと誰一人考えているわけでもない人間に投票する。
総裁選に立候補するとは、本人を含めてだれ一人考えていない人間に投票する。

これは国民を欺く行為であり、国権の最高機関たる国会を冒涜する行為ではないか。
国会議員としての、良心、良識、矜恃を失った卑しい行為であろう。
偽りの旗の下に政党としての統一を装うに過ぎない。

議員あるいは政党が次の総理大臣としてふさわしい人を選ぶのが首班指名である。
自民党は少なくとも次期総理大臣としての候補者を政党として決めることができなかった。
間に合わせの候補者、見せかけのインチキ候補者をたてて投票することを、自民党議員達は恥ずかしく思わないのか。
政党が国民を欺く行為をするとき、議員は政党の決定に従うべきなのか?

自分の意中の議員の名前を書いて投票する、というのもあり得べき議員の姿ではないか。
もっとも今回は若林氏に投票するということをほぼ全員一致で決めている。
全員で国民軽視・国会冒涜に踏み切ったのである。

もし党としての意思統一を重視しようとするならば、白紙投票こそ取るべき道ではなかったか?
甘利の言う論理からではない。
自民党は党として自ら下野するという意思を示すべきである、と考えるからである。
解党的出直しを叫ぶなら、そういう選択をしてもよかったのではないか。

インチキの首相候補を立てる自民党は、すでに政党としての資格・要件に欠ける存在に成り下がっている。

いずれにせよ、今回の自民党の決定は、政党政治・議会制民主主義の在り方に大きな疑問を投げかけたものであるとわたしは考える。
自民党は正解のない問題に直面した。
しかし、正解を求めようと真剣な努力をしている議員は皆無のようである。




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北朝鮮の自民党批判+高速無料化批判のデタラメ

2009-09-08 15:10:15 | 自民党
自民党惨敗を北朝鮮が厳しく論評している。
すべて当たっているところがおかしい。

自民惨敗「当然の末路」=北朝鮮党紙 (jiji.com 9/6)
【ソウル時事】ラヂオプレス(RP)によると、北朝鮮の平壌放送は6日、同日付の労働党機関紙・労働新聞が日本の衆院選結果について「自民党が大惨敗を喫し政権を手放したことは、時代錯誤の反動政治の当然の末路だ」と主張したと伝えた。また、同紙は「政治的に無能で反人民的な政策を追求する政権は必ずや民心を失い、破滅の泥沼に陥るしかない」と結論付けた。
 北朝鮮メディアは、衆院選の投開票翌日に自民党敗北の事実を伝えたが、選挙結果について本格的に論評したのは今回が初めてとみられる。 (2009/09/06)

自民惨敗「反動政治の当然の末路」 北朝鮮機関紙が報道 (asahi.com 9/6)
記事は「麻生(首相)が遊説で口にしたのは、政権交代すれば混乱する、などと陰口ばかりで、腐敗政治に幻滅した民心を取り戻すことはできなかった」と自民党の敗因を分析。「総選挙結果はそのまま民心を失った自民党の総破綻(はたん)を宣告している」「特に注目されるのは自民支持者の3分の1が民主党側に寝返ったことだ」とも指摘した。


高速道路無料化批判のデタラメ

民主党の目玉政策の一つに高速道路無料化がある。
自民党・官僚・高速道路会社その他その周辺で利益をむさぼっている連中の宣伝が効いて、国民の支持はもう一つのようである。
マスコミの協力も大きい。
新橋駅前で街頭インタビューをすれば、反対が多くなるのは当たり前である。
巣鴨でお年寄りに尋ねたら答えは分かり切っている。
車が不要な地域に暮らす人を選んでインタビューをしているのがマスコミである。
無料化で渋滞が大幅に増えると言って、お盆の時の渋滞の映像を流す。
車無しでは野菜も肉も買いに行けない地域がある。
1日に3往復しかバスの通らぬ地域がある。
一人一台の車がなければ仕事に行けない家族がある。

都市機能が揃っているところに住んでいる人たちに、「受益者負担」、「高速を使わない人に負担させるのはおかしい」と言わせて、世論をリードしているのがマスコミである。

わたしはほぼ毎週末、釣りに出かける。
4~9月は渓流釣りの期間で遠出することが多い。
出発は朝早いのでだいたい道路はどこも空いている。
しかし最近は帰りの道が空いていてずいぶん楽になっている。
高速1000円のせいで、高速に回る車が増え、一般道が空いているのだ。
信号待ちの時間もめっきり減っている。

前から感じているのだが、高速無料化はCO2を増やすどころか大幅に減少させるのではないか。
環境団体などは無料化でCO2が増えるという試算を発表しているようだが、それは高速道路だけの増加量を計算し、一般道での減少分を考慮していないものだと思われる。
また観光・レジャー客がドッと繰り出す休日のみのデータだけではますます結果はゆがめられる。
CO2排出量は、高速道路無料化による増加分より減少分の方がはるかに大きい、というのがわたしの実感である。

以前、国交省の資料で、高速道整備によってCO2排出量が減少するという予測のチャートを見たことがある。
これが高速道路を造りたいための都合のいい数字であったかどうかは分からない。
しかし、国交省がCO2削減を高速道路整備の目的あるいは効果の一つとしていたことは事実なのである。

わたしは、高速道路無料化はCO2を増やす、というのは嘘だと確信している。
”間違い”ではなく、為にする嘘なのである。

”受益者負担”というのも都市住民には受け入れやすい理屈である。
しかし、休日千円だけですでに年間2500億円の税金が使われている。
一般道が空くことによって得る利便がある。
物流コストがさがり物価も下がる。
経済効果も大きいはずである。

受益者負担を徹底したら、ダムも造れないし河川改修もできないのではないか?
特定地域の利益のために国税は使えない、ということになる。

無料化によって2万人の職員が失業してしまうではないか、という議論もある。
これこそ愚の骨頂である。
失業対策に高い高速料金を国民に払わせ続けるのか!
本末転倒も極まれりである。
なにも一挙に首切りする必要はない。
徐々に減らしていけばよい。
料金値下げでは人件費は削減できない。
無料化によってこそ、段階的であれ、人件費が減らせるのである。

最大の問題は、民営化という方式である。
民営化する以上株式放出をともなうのであろう。
それなしでは、民営化する意味はまったくない。
株式売りだしがなければ、永遠に国有企業のままである。
ところで、借金を返し終わったら、高速道路は無料化するという。
そんな会社の株を買う人間がいるのか?
いずれ収入の道がなくなるのである。
そんな会社の株を買うのは、何か他に思惑がある奴に限られる。
一旦株式を放出した後では、会社は株主の保有になる。
民間会社であれば、料金値上げも自由にできる。
そのときになって、国が民間会社に料金無料化を命令できるのか。
完全民営化してしまったら永久に高速無料化はできないということにもなりかねない。
民営化は成り立たないのである。
民営化は詐欺であり、幻想であろう。

民営化のいかがわしさは先の郵政騒ぎで明らかである。
下手をすると国の動脈を外資に抑えられてしまう恐れまである。

ましてこのような姑息な資料隠しをしていた国交省・道路会社の言い分を国民は素直に信じるわけにはいかない。

高速無料化の経済効果 国交省、一転試算認める (asahi.com 9/6)
高速道路を無料化した場合の経済効果について国土交通省が2年前に試算を行っていたことが明らかになった。一般道の渋滞が解消されることなどから、直接の経済効果を2.7兆円と見込んでいる。これまで政府は「試算は存在しない」として隠してきた。民主党の公約に有利な結果だったため、公表しなかった可能性がある。

高速道自体の経済効果は、渋滞増加などで年間マイナス2.1兆円となるが、車が流れやすくなる一般道が4.8兆円のプラスとなり、差し引きで「2.7兆円の効果が生じる」とした。利用者の料金負担の軽減分などを加味した別の計算方法では、経済効果は7.8兆円に達した。

高速道と並行する国道の通行量が減ることで二酸化炭素(CO2)排出がどれだけ減るかも試算したところ、割引前の1.8%減にあたる310万トンの削減となった。ただ、高速道の通行量が増えたり、鉄道やバス利用からマイカーに切り替えたりすることによるCO2の増加量は試算しておらず、差し引きのCO2の増減効果は不明だ。


党利・党略優先の自民党、省益優先の官僚達、企業利益優先のマスコミ。
根底には自己利益優先の姿勢がある。

未だに政権交代の意味が悟れずに、これまでの習性で自民党応援を続けているマスコミや御用評論家どもがはびこっている。
しかし、徐々にスタンスを変えつつある連中もでてきている。
民主党を持ち上げるあらたな御用マスコミ・御用評論家などがこれから次第に増えていくのだろう。
しかし、権力に擦り寄り、企業利益を追求するというマスコミの本質的な部分が変わるかどうかは大いに疑問である。





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308議席の衝撃・マスコミの「二重権力」批判の愚かさ

2009-09-06 20:15:10 | 民主党
バカなマスコミはまだ民主党大勝利の意味が分かっていないようだ。
この期に及んでも、民主党批判を繰り広げ、自民党にしっぽを振っている。
もはやマスコミが何を言おうと、権力は民主党に移っているのだ。
愚かなマスコミは308議席の威力を徐々に思い知ることになるだろう。

もしかしてマスコミはすぐにも自民党政権が復活できるなどと考えているのか?
衆議院で308議席を持っている民主党から出て行く奴がいると思っているのか。
10人、20人単位で抜けても、民主党の過半数維持は動かない。
キャスティング・ボートを握れるわけでもなく、あえて飛び出すバカはいないだろう。
民主党政権は、4年間は安泰なのである。
マスコミは次の総選挙までこんな調子で自民党に義理立てする積もりなのか?

マスコミと自民党の連中は揃って、小沢の幹事長就任で「二重権力だ」と非難の声をあげている。

院政の可能性=「小沢幹事長」に閣僚から発言 (jiji.com 9/4)
民主党の幹事長に小沢一郎代表代行が就任することについて、閣僚から4日午前の閣議後の記者会見で発言が相次いだ。
 甘利明行政改革担当相は「閣内に入らないなら(政府・与党の)一元管理体制はかなり怪しくなる。(小沢氏が)院政といわれないようにやらないといけない」と小沢氏が実権を握る可能性を指摘。河村建夫官房長官は、西松建設による違法献金事件で小沢氏の秘書が起訴されたことに触れ「まだ解決されていない。説明責任をどう果たすのか」と述べ、追及していく考えを示した。
 小沢氏と囲碁仲間の与謝野馨財務・金融相は「肝心なときは慎重に考える方だ」との見方を示し、舛添要一厚生労働相は「敵の戦力の話をするような場合じゃない。どんなピッチャーでも打ち崩すだけの戦力を(自民党が)持たないと勝てない」と語った。 (2009/09/04-12:18)


人の口を借りて我が意を語る。
客観的な報道記事を装いながら、その実都合のいいところだけ拾い上げるいつもの手法である。
見出しの打ち方にその底意は表れている。

今度は”院政”か!
もともと小沢は民主党の代表の職にあった。
それを西松献金問題を奇禍として代表辞任に追い込んだのは、与党とマスコミである。
辞任した小沢を、鳩山が代表代行に任命すると「二重権力」、「小沢傀儡」と民主党批判を展開する。
衆院選大勝、小沢の幹事長就任で再び批判の火の手を掻きたてる。
どうやら小沢が政界を引退するまで小沢批判を続けるつもりらしい。

党の「小沢支配」鮮明に=二重権力に現実味-鳩山新政権 (jiji.com 9/5)
民主党の鳩山由紀夫代表が5日、党執行部と国会の人事権を小沢一郎次期幹事長に事実上一任したことで、同党の「小沢支配」が鮮明になった。「鳩山新内閣」の閣僚人事は鳩山氏が主導するが、党や国会運営は小沢氏頼み。小沢氏が自らの息が掛かった側近や実力者で党と国会の枢要ポストを固めれば、首相官邸より党側の力が勝り、「二重権力」となる政権構造がより現実味を帯びてくる。


よくもまあこれだけの中に小沢批判の言葉を盛り込めたものである。
「小沢支配」、「小沢氏頼み」、「自らの息の掛かった側近」、「二重権力」
さらに小沢批判は続く。

 小沢氏は5日、党本部で鳩山代表との会談を終え、閣僚人事に関する記者団の質問を受けると、「そんなのは私は関係しておりません」と一笑に付した。小沢氏には、閣僚人事に関与しないことを強調することで、二重権力との批判をかわす狙いがあるとみられる。

「二重権力との批判をかわす狙い」?
小沢が何を言おうと聞く耳は持っていない。
何が何でも二重権力と決めつける強い意志を持って記事を進める。

 鳩山氏が党役員や国会の人事権を手放したのは、「実力者の小沢氏以外、巨大与党を仕切れる人はいない」(ベテラン議員)と、全面的に小沢氏に党や国会運営を委ねようとしているからだ。
 鳩山氏が内閣の要となる官房長官に、側近の平野博文役員室長を抜てきしたことで、当初、官房長官として有力視されていた菅直人代表代行は党政調会長も兼務する国家戦略局担当相への起用が固まった。菅氏に比べ、平野氏の「軽量さ」は否めず、菅氏周辺は「平野氏が官房長官では、小沢氏がいろいろ官邸に口を出してくるだろう」と不安を隠さない。


「菅氏周辺」が誰であるか、何人がそう言っているのか一切明らかにしない。
「不安を隠さない」と記者氏は親切にも「菅氏周辺」の気持ちを代弁してやっている。

 閣僚の人事権は鳩山氏が握り、主要閣僚の人選を進めているが、小沢氏に距離を置く非小沢系議員は「今後、意中の人材を党側に取られて、結果的に小沢氏が閣僚人事も左右する可能性がある」と懸念。これについて鳩山氏は記者団に、小沢氏が「閣僚人事を待って(党人事を)決めたい」と語ったことを明かし、懸念の払しょくに努めた。

「小沢氏に距離を置く非小沢系議員」
どんな集団にも、いろいろなグループはある。
ことさら反小沢グループを取り上げて彼等の言を増幅して伝える。
しかし、実名を挙げるわけではなく、直接取材しての記事なのかどうかも不明である。
鳩山の言葉は、「懸念の払拭に努めた」という文脈のなかに押し込む。

 一方、小沢氏の側近議員らは党の人事権を小沢氏が掌握したことを歓迎。「小沢支配」を批判する党内議員にも「こんなことで騒いだら(ポストに就けず)干上がるぞ」とけん制する。

これではまるで小沢側近は、やくざまがいの脅しをかけるならず者集団ではないか!

 党の実権を名実ともに小沢氏が握り、あるベテランは「政府は鳩山氏、党は小沢氏という分担がはっきりした。まさに『二重権力』だ」とため息をついた。(2009/09/05-22:11)

記事は、まか不思議な結論に到達している。
役割分担がはっきりしたのなら、これを「二重権力」というのは無理であろう。
「二重権力」とは表と裏の関係である。
裏が表より強い力を持った構造を言う。
裏の意思が表の口を通して実現される場合を「二重権力」・「院政」と言うのは正しい。
しかし、「役割分担がはっきりした」から「二重権力」だという結論はいくら何でも無理がある。
それは二重権力とは対極にある体制ではないか。

些細な材料を、悪意をもって解釈し無理矢理二重権力に結びつけている。
引用しているのは、「菅氏周辺」・「非小沢系議員」・「小沢氏側近」・「あるベテラン」等の発言ばかりである。
すべて匿名性の陰に隠れている。
それぞれの発言は検証しようがない。
ベテラン議員にため息までつかせているが、そのため息は記者のため息であろう。

ロシアのプーチン首相・メドベージェフ大統領の政権を二重権力構造と呼ぶのは正しい。
しかしロシア国内ではプーチンの人気は一向に衰えていないようだ。
ロシアの国民にとって二重権力構造ということは問題にならないように見える。
もちろん言論の自由に疑念のあるロシアである。
日本と同日に論ずることは正しくあるまい。
しかしどんな政権であっても、国民に取って良い政府ならばそれが良い政府なのである。
二重権力によって実際に弊害が出れば、その時点で騒げばいいことではないか。

実力ある者に権限を移譲し、その能力を発揮させる。
人を使う基本であろう。
恐らく”二重権力”などという批判は承知の上で鳩山は、小沢幹事長人事を敢行したものと思われる。
ここにこそ鳩山の決意が見て取れるのである。
そして鳩山にその決意がある限り、逆に二重権力批判は意味を持たなくなる。
こうなると、二重権力というより二人三脚と言った方がよさそうだ。

メディアはいつまでこんなことを続けるのか!
現実を直視できない、あるいは直視したくないマスコミのもう一つの例をあげよう。
小沢批判はより激しい。
中身は前掲の記事と同趣旨で、取り立てて問題にするほどのものではないのだが全文を紹介しておく。
取り上げたい問題は中身ではなくこの新聞記事の背景にある。

信濃毎日

小沢幹事長 「院政」の危うさ秘めて (信濃毎日新聞 信濃Web 9/5)
民主党の小沢一郎代表代行が幹事長に就くことになった。

 幹事長は党のカネと選挙実務を取り仕切る要職だ。「剛腕」小沢氏の起用は、鳩山由紀夫政権が二重権力状態に陥りかねない危険をはらむ。

 小沢氏を起用する理由について鳩山氏は「来年の参院選で何としても勝利するため」と言っている。勝てば小沢氏の影響力はさらに強まるだろう。

 小沢氏を使いこなせるかどうか、鳩山代表の力量が試される。

 小沢氏は舞台裏で力を振るってきた政治家だ。例えば1997年には、自分が党首を務めていた旧新進党を唐突に解党した。07年秋には福田康夫首相(当時)との間で、自民、民主の「大連立」に向け腹を探り合った。いずれも党内への説明抜きである。

 「小沢幹事長」の下で不透明、不明朗なやり方が繰り返されるようでは、民主党に対する国民の期待はいっぺんにさめる。小沢氏が党を足場に、政府に影響力を及ぼすようだと、「小沢院政」との批判も招くだろう。
(中略)
小沢氏の秘書は西松建設の巨額献金事件で被告人の立場にある。裁判の展開によっては、小沢氏自身が一段と強い批判にさらされる可能性もある。

 事件について、小沢氏は国民が納得できる説明をまだしてない。幹事長への就任に際し、疑問にこたえるよう鳩山代表から小沢氏に指示し、小沢氏が応じれば、国民はいくらかは安心できる。


まるで小沢を見ること、親の敵を見るがごときである。
「小沢氏が応じれば、国民はいくらかは安心できる」
信濃毎日が国民の代わりに心配してくれているようだが……。
しかし、国民は小沢氏の影響力だの、二重権力だのを心配しているわけではない。
国民は、民主党がまともな政治を行えばそれでいいのである。

ところでこの信濃毎日という新聞社についてである。
ウィキペディアより概要だけ紹介する。

信濃毎日新聞(しなのまいにちしんぶん、英: The Shinano Mainichi Shimbun)は長野県最大の地方新聞。 朝刊と夕刊を発行しており、発行部数は約48万4,100部、県内購読率は61パーセント(2006年下半期時点)。

県内購読率61%というのは驚くべき割合である。
次の数字はある広告社の長野県内の新聞購読者数である。

世帯数 804,784 事業所数 116,661
信濃毎日新聞 485,834
中日新聞 46,988
朝日新聞(東京) 60,858
毎日新聞(東京) 18,434
読売新聞(東京) 67,429
日経新聞(東京) 33,977

この驚くべき数字は何を意味するか。
長野県の世論は信濃毎日がリードしているといえるだろう。

さらにウィキペディアよりの引用。

信濃毎日新聞と名乗ってはいるが、毎日新聞社とは関係がなく、出資もない。朝日新聞社との関係は強く、後述の信越放送には長野朝日放送が開局したにもかかわらず、信毎以外に朝日新聞社も比率こそ大きく下がったが株主として名を連ねる。これはかつて社長を務めた創業一族・小坂徳三郎が朝日新聞に勤務経験があり、徳三郎夫人が朝日新聞の村山家と縁戚だからである。小坂徳三郎だけでなく現社長の小坂健介も朝日新聞での勤務経験がある。

社長の小坂健介は小坂憲次衆議院議員の父・善太郎の従弟にあたる。小坂憲次は信濃毎日新聞・信越放送の大株主でもあるため、知事選などに絡む報道で自民党の意向が反映されやすいといわれている。


成る程小坂一族がオーナーの新聞社か。
小坂家は四代に渡り議席を守ってきた典型的な地方有力者である。
小坂憲次元文科大臣本人も自分のことを「世襲の権化」と呼んでいた。
今回衆院選では、信濃毎日の大株主でもあるその小坂憲次までが落選している。
もちろんそのことと、この新聞記事が無関係であるはずはなかろう。
多分小坂復活への応援でもあるのだろう。
信濃毎日はこれから四年間、小坂憲次応援キャンペーンそして自民党応援キャンペーンを繰り広げることになるのだろう。

それにしても県内世論の支配者でもある信濃毎日の力を持ってしても、自民退潮、小坂家没落への風は止められなかった。

ついでにいくつか信濃毎日に関してウィキペディアより抜粋。
今その実否を検証する余裕はないので、引用のしっぱなしで恐縮です。

自民党所属の国会議員である小坂憲次一族が大株主であるため、県政に関しては自民党寄りの報道が目立つ。
県政の御用新聞と呼ばれ、ジャーナリズムが果たすべき権力への監視を放棄していたとの批判が強い

田中康夫前長野県知事については、(中略)「脱記者クラブ宣言」により記者クラブが廃止されて以降、全ての面で一貫して田中批判を繰り返していくことになる
これら長野県で高いシェアを占める信濃毎日新聞の執拗な批判報道が、田中康夫前知事の支持率低下・3期目選挙落選の要因となったとされている

松本サリン事件では第一通報者犯人説を報道し、当該事件の第一通報者で被害者でもある河野義行に訴えられた(和解済み)


このような新聞の在り方には大いに疑問を抱くが、所詮は購読者の選択にかかわることである。
新聞そのものに対する批判は批判として、このような新聞を跋扈させている長野県民を批判する積もりは毛頭ない。
新聞は政治的な側面だけで判断すべきものでもなかろう。

マスコミにも様々な背景があり、思惑がある。
全国紙、地方紙を含めての小沢批判、民主党批判はなかなかやみそうにない。




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溺れた犬はとことん叩け!自公連立野党+二つの医師会

2009-09-04 05:38:17 | 政治
自民党惨敗に「快哉!」を叫んだ人はさぞ多かったろう。
しかしそれに劣らぬ痛快事は公明党の、太田・北川・冬柴の落選である。
代表・幹事長コンビに加えて鉄仮面冬柴までとは!
そして更に……。
祝・小選挙区全敗!

東京都議選で自民党惨敗を尻目に全員当選を果たし、創価学会恐るべしとその実力を全国に知らしめたあの公明党が、わずか二ケ月足らずの後にこんなすばらしい結果を残してくれた!

公明党の太田代表、正式辞任表明 新代表は特別国会前に (asahi.com 2009年9月3日)
公明党の太田代表(63)と北側一雄幹事長(56)は3日午前の党常任役員会で、総選挙の歴史的敗北の責任を取って辞任することを正式に表明した。新代表は16日召集の特別国会前に選出。首相指名では新代表に投票し、自民、民主両党とは一線を画す「是々非々路線」に転じるとみられる。

 常任役員会では、太田、北側両氏に新代表選出を含めた今後の対応が一任される見通しだ。今後、水面下で人選を進め、来週中をめどに新代表選任の党内手続きを済ませ、国会議員や地方代表らでつくる全国代表者会議で正式に選出。新執行部が発足する。

 公明党は総選挙で小選挙区単独で擁立した8人が全員落選。選挙前から10議席を減らす21議席にとどまり、太田、北側両氏は先月31日の記者会見で「責任を痛感している」と述べ、辞任する意向を示していた。


救いは学会のあのお方がどこぞの病院でスパゲッティ状態だとか。
叱られずに済んだ、と全員胸をなで下ろしているだろう。
是々非々路線に転ずるとは早くも連立解消とみえる。
所詮、政権に擦り寄っていただけの関係である。
政権を失った自民党などくっついている価値などまったくない。
まして選挙ではクソの役にも立たないときてはなおさらである。
仲良く後任党首選びというのも笑える。

「政治と金」問題を声高に叫び、鳩山故人献金問題や小沢の西松献金事件で民主党を非難し、揺さぶりをかけていた公明党だが、今度は「政治と宗教」で脅される番になってしまった。
公明党が生意気なことを言ったら「矢野元公明党委員長を国会に呼ぶぞ」と脅してやれる。
ホントは、脅しだけではなく、実行して貰いたいところである。

日本医師会の厚顔無恥

まだ政権交代の真の意味が理解できていない連中も多い。
こんな連中を頼りにしていた自民党が消えていくのも時代の流れとして当然のことである。

医師会、「自民9割」献金見直し…民主軸に?(2009年9月3日 読売新聞)
「票」と「カネ」の両面で長年、自民党を支えてきた日本医師会(日医)の政治団体「日本医師連盟」が、政権交代が実現したのを機に、政治献金の配分を見直すことを決めた。

 献金の大半を自民党本部や同党の国会議員に集中する方針を転換し、与党への発言権を確保するため、民主党に軸足を移すことも検討する。「票」についても、今回の衆院選で、「社会保障の充実」を掲げた民主党候補を地方の医師連盟が積極的に支援する例が相次いでおり、医師たちの離反は、復活を期す自民党に大きなダメージを与えそうだ。


日本医師会もついに自公離れに踏み切るようだ。
しかし、よくこんな手のひらを返すようなことができるものだ。
この厚顔さには驚かされる。
だいたい、茨城県医師会が民主党支持を表明したとき、自公支持を大声で叫んで、茨城県医師会を抑えようとしていたのは日本医師会であった。

日医連盟「与党を推薦」表明 地方を牽制 (asahi.com 2008.9/18)

次期衆院選での対応について、日本医師会の政治団体・日本医師連盟は18日会見し、47都道府県の医師連盟に対して「自民党を中心とした政権与党の候補者を推薦する」との基本方針を示し、「その趣旨に沿った行動をお願いする」と指示したことを明らかにした。

民主党を推薦する方針を17日に決めた下部団体の茨城県医師連盟を牽制(けんせい)した形だ。日医連盟の羽生田俊・常任執行委員は「連盟規約に処分や罰則がなく、茨城県の方針は容認できないが反対もできない」と話した。日医連盟は、茨城県内の選挙区から立候補する自民党公認候補から支援の要請があった場合、県医師連盟とは別に直接支援を決めることもあるという。

 羽生田委員は、自民党側から再来年度予算では社会保障費の2200億円抑制方針を凍結するという麻生太郎幹事長の意向を伝えられたと明らかにし、「医師会の医療政策を最も理解し、政策実現能力を有するのは与党だ」とした。


業界利益を優先する姿勢ばかりが目立ち、医療行政に対する理念のカケラも感じられないのが日本医師会である。
族議員や官僚と組んで日本の医療を崩壊させてきたその責任は重い。
性懲りもなく、また金を使って政権与党に擦り寄ろうとしている。
もうそんな政治は終わりにしよう、というのが有権者の思いだというのに。
こんなやつらは万が一自民党が政権の座に戻ることがあれば、真っ先に駆けつけることだろう。

茨城県医師会の原中会長の言葉を紹介したい。
ここには医療に対する理念、医師としての立脚点そして政治に対するスタンスが明瞭に示されている。

原中茨城県医師会長「国民に貢献できたと思える日が来ればいい (2009/09/02 キャリアブレイン )

茨城県医師会の原中勝征会長は9月2日、キャリアブレインの取材に応じ、「今の官僚中心に政策を作っている自民党に何を頼んでも効果はない。民主党は自分たちで政策を作ろうということなので、これは違うよ、これは正しいよということを言える立場にあるだろうと思う」などと述べ、今後も民主党を通じて、医療政策の改善に積極的にかかわっていく考えを示した。また、「鳩山由紀夫民主党代表が言う心の通う政治が実現し、今回の選挙で民主党支持のために頑張ったわれわれも、国民に貢献できたと思える日が来ればいい」と民主党への期待感を表した。



日本医師連盟が自民党支持を打ち出しながら、茨城県医師連盟として民主党候補者を支持したことについては、「医療を破壊したのは自民党」と指摘した上で、「盲目的に日本医師連盟の決定を支持するということであれば、自民党の部会政治と同じ」と強調。医師としての基本的な態度に立ち返った上での決断とした。

 原中氏は今後、民主党に対し「わたしたちの持っている知識をできるだけお伝えして、最終的には老後に安心できる医療介護の制度に直すことなどと、それに必要な財源を説明して、積極的に改善してもらうというお話をしていく」と述べたが、同党への入党は否定した。その理由については、「医師として公平な意見を言うというのは、政党にこだわらなくても十分にできる。政党人にならない方が、わたしは正確な意見をきちんと言えるだろうと思っている」と述べた。
 一方、昨年離党した自民党との関係については、「今のところ修復は考えていない」とした。その上で、「今の官僚中心に政策を作っている自民党に何を頼んでも効果はない。民主党は自分たちで政策を作ろうということなので、これは違うよ、これは正しいよということを言える立場にあるだろうと思う」と述べ、今後も民主党を支持していく考えを強調した。


茨城県医師会は昨年、会員の意思を確かめた上で、離党の意思を表明した医師が集団で自民党を離党している。
日本医師会は自民党を離党するのか?
日本医師会の医師の大部分はまだ自民党員であろう。
その人たちから集めた金を民主党に献金してしまってもいいのか?

理念もなくただ自民党が握っていた政権というものに群がっていた金と票がこんな風にどんどん離れていく。





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自民党批判にも力が入らん!

2009-09-02 16:07:51 | 自民党
今更自民党批判をしても余り意味はないが、これまでの行きがかりもあるので一言。
まず今回選挙で目についた数字をいくつか取り上げたい。

119:308
これは自民党:民主党の議席獲得数である。

5:143
これは初当選者数。
もちろん前にある数字が自民党、後ろが民主党である。
自民の5には小泉進次郎が含まれている。
気分的には不愉快きわまりないが、この男の働きは評価しなければならない。
まず、あの小泉純一郎でさえ息子を議員にしたかったのか、と全国の有権者を幻滅させた。
これで自民党は20議席は減らしたろう。
今後、世襲の象徴として取り上げられ続けることによるマイナス効果は計り知れない。
民主党の新人たちは小泉チルドレンと比べて楽しみな議員が多いようだ。
今後に期待!

164:0
これは落選して議席を失った議員数である。
自民党の落選した議員の名前を見ていると様々な感慨を抱かせる。

残しておきたかった議員も多い。

中川昭一
あの酔っぱらい会見の映像は貴重な記録である。
あの映像は見るたびにわたしたちの心を癒やしてくれる。
議席を失っても時々は流して欲しい。

赤城徳彦
あの顔に絆創膏を貼った映像も国民の心を癒やしてくれる。
もったいない。

丹羽雄哉
最初に茨城県医師会に反抗の狼煙を上げさせた厚生族議員の重鎮である。
医師会の敵意を燃え続けさせるためにも残しておきたかった。

船田元
政界失楽園と言ってももう忘れ去られた存在かも知れない。
残しておいてもメリットは少ないか。

柳沢伯夫
女性は産む機械、という発言も残しておきたい名言である。

片山さつき
多分、男性・女性を通じて最も嫌われている存在である。
残しておけば確実に自民票を減らしてくれる存在だが、あの顔を見ないで済むようになった有り難さの方が大きい。

山崎拓
本名よりも、エロ拓の方が通りがいい。
こういう存在も貴重である。

当選を祝いたい議員もいる。
これらが残ったおかげで、自民党の再生はますます困難になる。
もっともどちらにしろ再生は不可能であろうが……。
森喜朗
安倍晋三
福田康夫
麻生太郎
古賀誠
二階俊博
細田博之
管義偉


いずれも政権交代の貢献者たちである。
自民党側から見れば、惨敗のA級戦犯である。
これからもがんばってくれるだろう。
しかし本心を言えば、「落ちればよかったのに」というのが正直なところである。

こういうのもある。

小選挙区で敗れたが比例で復活当選した議員のうち主な閣僚・党三役経験者
町村信孝  前官房長官
武部 勤  元党幹事長
額賀福志郎 元財務相
佐藤勉   総務相
与謝野馨  財務・金融担当相
小池百合子 元防衛相
鴨下一郎  前環境相
甘利 明  行革担当相
長勢甚遠  元法相
野田聖子  消費者行政担当相
塩谷 立  文科相
伊吹文明  元財務相
高市早苗  元少子化担当相
中川秀直  元官房長官
衛藤征士郎 元防衛庁長官

こいつらが比例復活したおかげで、しわ寄せを受けた若手議員も多い。
その連中の恨みは深かろう。

こんな数字もある。
◇「世襲」47%--自民党119人 (毎日jp 9/1)
自民党の119人を分析すると、父母や祖父母が国会議員だった「世襲議員」が56人と、47%を占めた。小選挙区で勝利した64人に限ると世襲率は59%(38人)にはね上がる。


世襲率59%とは、滅茶苦茶な数字である。
自民党の場合、一代で小選挙区を勝ち上がることは不可能に近いということか。
二代、三代に渡って選挙区の地盤を固めないと当選はおぼつかなくなっている。
こんな政党は不要であろう。





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