政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

菅内閣総辞職へカウントダウン

2010-06-28 22:17:28 | 小沢一郎
菅直人が内閣総理大臣に就任して二十日ほどになる。
もう十分であろう。
この先、特にやりたいことも、やらなければならないこともなさそうだし。

今やめれば菅直人は歴史に残る大記録をうち立てることができる。
総理大臣在職最短記録である。

東久邇宮稔彦王 54日
羽田孜     64日
石橋湛山    65日
宇野宗佑    69日
芦田均     220日


ここに菅直人23日という大記録を付け加えてはどうか?
今月中が無理ならば、参院選後速やかに、というのではどうか。
6月8日から7月11日までで34日。
まだまだ大した記録である。
前人未踏、空前絶後の金字塔である。

とにかく総理大臣にはなったのだからもういいだろう?
歴史に汚点を残す前に去ってはどうか?

正気の沙汰とは思えない突然の消費税10%発言。
このまま消えればまだ救われる。
消費税を上げてしまってからでは、汚名は残る。
”国民生活を破壊した男”
”企業救済のつもりが国民経済を破壊した男”

しかしそれにしても、いきなりの消費税10%発言にはどうにも腑に落ちない点がある。

一つ、参院選を目前に控えたこの時期になぜ突然こんなことを言いだしたのか?

多分、菅が騙されたのだろう。
騙したのは財務官僚である。
菅自身は、消費税などどうでもよかったのではないか。

財務官僚が菅の耳元で繰り返しささやく。
「ギリシヤ、ギリシヤ」
「財政再建は脱・小沢」
「今言えばますます支持率上昇」
「増税は景気対策」

経済・財政音痴で「乗数効果」トラウマに苦しむ菅を騙すことなど朝飯前であろう。
(どうもあれ以来、菅は妙に早口での原稿棒読みが目立っている。
自信を失っているのだろう)

いま一つは、「超党派で消費税upを」という野党への呼びかけである。
菅の考え出したキャッチフレーズは「強い財政、強いナンタラカンタラ」とかいうものである。
その政権与党の看板政策を超党派で?
政権与党・民主党のアイデンティティはどこに見いだせるのか!
「自民党の10%を参考に」
それでは何も民主党でなくても構わないではないか。

菅首相「消費税10%公約」一転 「与野党議論が私の提案」 (gooニュース・産経 2010年6月28日)
 【トロント=船津寛】カナダ訪問中の菅直人首相は26日夜(日本時間27日昼)、トロント市内のホテルで同行記者団と懇談し、年度内に改革案をまとめるとしていた消費税率の引き上げ問題に関し、「(野党に議論を)呼びかけるというところまでが私の提案だ」と述べ、参院選公約の軌道修正を図った。増税論議の先行は選挙戦にマイナスと判断したとみられる。

 首相は「消費税を含む税制の抜本改革について、与野党で議論しようと(提案している)」と指摘。「その提案をもし公約と言われるなら、それはその通りだ」と述べた。


「与野党で議論しよう」?
そのために国会があり、予算委員会がある。
黙っていても予算委員会で議論になる。
「超党派で」というのは、予算委員会等でというのではなく、国民の見えないところで話し合おうということであろう。
「与野党で議論する」のと「超党派で税率アップを」というのとではまるで違っている。
卑怯な男である。

 首相は17日の党参院選マニフェスト(政権公約)の発表時には「平成22年度内に改革案をまとめたい。税率は(自民党が提案する)10%を一つの参考にしたい」と表明。21日の記者会見では、この発言を「公約と受け止めてもらって結構だ」と明言していた。

菅が慌てるのも無理はないか。

菅内閣の支持率50%に続落…読売継続調査 (YOMIURI ONLINE 2010年6月28日)



支持率の落ち込みの速さもだが、わずか20日足らずの間に4回の世論調査というのも異常ではないか?
読売は支持率の落下速度を1日1%あたりに設定しているようだ。
この調子だと投票日の頃には35%程度にする筋書きか?

もっとも、どんな数字にするかはこれからの菅の出方次第というところかもしれない。
菅がおかしなことをすればこのままカウントダウンを続けるぞ、というメッセージのようでもある。

枝野・民主幹事長:みんなの党に連携呼び掛け (毎日jp 2010年6月28日)
民主党の枝野幸男幹事長は27日、東京都内で記者団に対し、参院選後の他党との協力について「みんなの党は行政改革や公務員制度改革についてかなりの部分が一致している。政策的な判断として一緒にやってもらえると思う」と述べ、みんなの党に連携を呼び掛ける考えを示した。


選挙戦に入っているというのに、この男は何を言いだすのだ!
枝野は「かなりの部分が一致している」と言うが、枝野とは一致しているかもしれないが、衆議院選挙で民主党に投票した人たちの多くはそうは思っていない。

いったいこの政党はどうなってしまったのだ。

こいつらは、民主党を自分らのものだと思っている。
民主党はお前らのものではないのだよ。

小沢のものでもないし、民主党議員たちのものでもない。
党員たちのものでもない。

民主党は、お前達の公約・マニフェストを信じ、期待して投票した有権者のものなのだ。
(お前達の報酬も当選させた人数分、政党助成金もほぼ得票比率・獲得議席数に応じて支払われている。つまり民主党に投票した人たちが支払っているのだ)

自民党をはじめとした既得権益維持構造を潰す。
官僚主導から政治主導すなわち国民主権の実現。
自分たちの国土は自分たちの意思で使用する、主権を持った普通の国。

そんなことを信じて投票した人たちのものなのだ。

菅よ、枝野よ、仙谷よ!
民主党議員としてのアイデンティティなき議員は民主党を去れ!
民主党のアイデンティティを失わせる者は去れ!

アイデンティティは「脱・小沢」?
情けない奴らである。



※アイデンティティというような言葉はなるべく使いたくはないのですが、他に適当な言葉が見つからないので使っています。
わたしの場合、「自己が自己として存在するために拠って立つ由縁のもの」・「自己と他者とを区別するところのもの」と言うような意味で使っています。



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民主党を勝たせて何かいいことあるのか?

2010-06-27 12:13:58 | 小沢一郎
参議院選挙戦が始まった。
しかしわたしたちには、選択肢がなくなってしまっている。
アホ菅の唐突な消費税上げ発言がその理由の一つである。
マスコミは消費税を選挙の争点と煽るが、民主党と自民党がともに10%という数字を出してきては、争点になるはずもない。

これで民主党が勝ってしまったら、彼らは、消費税10%は国民の承認を得たとばかりに早速その準備を始めるだろう。
民主党を勝たせるということはそういうことなのだ。

消費税増税論議「国民も理解」 野田財務相、米駐日大使に説明 (産経ニュース 2010.6.25 )
野田佳彦財務相は25日午前、都内で、ルース米駐日大使と会談した。野田財務相は参院選の争点となっている消費税率引き上げの議論について、「国民もだんだん理解し始めている」と述べた。

 会談は、ルース大使が要望した。同大使は消費税のほか、日本経済の現状や成長戦略について質問した。


つまり、ルースに呼びつけられて財務大臣がノコノコとご説明に上がったということか。
だいたい何故こんな事を財務大臣がアメリカ大使に説明に出向かなければならないのか。
まったくの内政問題ではないか。
消費税率引き上げには、アメリカの許可や承認が要るのか?
それともアメリカの指示なのか!

普天間基地移設は結局、辺野古で米国の言いなり。
日米合意重視と、これも自民と変わるところなし。
岡田をはじめ日本側はルースに振り回されっぱなしであった。
それがどうやら国内問題までルースにお伺いをたてるようになっているらしい。

そもそも、このルースとは何者か?

ルース大使発言 「変革」の看板はどこへ (琉球新報・社説 2009年12月4日)
ルース氏は、カリフォルニア州シリコンバレーで買収・合併を手掛ける大手法律事務所の経営トップだった。外交や安全保障の分野では全くの無名だったが、オバマ氏の友人で、多額の政治献金への見返り人事ともされる。


シリコンバレーの企業弁護士。
それがオバマの選挙資金の大口拠出者ということでいきなり駐日大使。
いわばお友達人事・論功行賞人事である。
外交官としての知識・経験・力量等すべて未知数である。
ましてどこまでの権限を与えられているのやら。
多分、ホワイトハウスや国務省・国防総省の指示からは一歩も踏み出すことは許されていないであろう。
こんな男の取るべき手法は一つしかない。
”威嚇・恫喝”である。
何が何でも本国の指示に日本を従わせること、それが至上命題である。
そこから踏み出すことはそもそも許されていないのだから。

”幸いこの国のメディアはどういうわけか、政府よりオレの味方をしてくれる。
外務省の役人どもも、自分のところの大臣よりアメリカ大使のオレの言うことの方をよく聞いてくれる。
財務大臣だって、呼びつければ駆けつける。
オレに逆らったら、総理大臣だって辞めさせられる。”


アメリカも驚いているだろう。
オレたちが押しも叩きもしないうちから、すり寄ってくる政府なんて始めて見た、と。

「国連中心主義外交」?
「第七艦隊だけで十分」?
「対等な日米関係」?

”こんな危険思想の持ち主は抹殺しなければならない。”

すると民主・自民が小沢叩きで共同戦線を張る。
自民が「政治とカネ」と騒ぐなどお笑いだがそれも結構。

消費税も米軍基地も選択の基準にならないとすると、残るのは何か?
マニフェストはどんどん後退している。
高速道路無料化など夢の又夢。
高速道路会社・関連会社2万人の雇用と利権は手つかず。
近いうちに株式売りだしなどやるかもしれない。
国庫への収入を口実にするのだろう。
しかし、一度その一部でも売り出しを実施してしまえば、無料化は出来なくなる。
民営化だけが進み、道路を食いものにしている連中は高笑いである。

公務員削減などもまるでやる気なし。

天下り禁止?
それは前政権のかけ声。
俺たちはそんなものにはとらわれない。
官僚を敵に回しては何にも出来ない。

国家公務員:再就職指針、現役の天下り容認 改革に逆行 近く閣議決定 (毎日jp 2010年6月22日)
(抜粋)
「基本方針」は、現役官僚の独法や特殊法人などへの出向を「法人側のニーズがあること」を条件に容認。鳩山前政権は昨年末、独法の役員ポストへの天下りを原則禁止し公募で選ぶ方針を決めたが、今回は「(省庁からの現役)出向の場合、公募の対象にしないことができる」と明記。さらに、政策に関する調査や研究に限って認められている公益法人への現役官僚の出向についても「公共性が高い法人」を前提に拡充する。


独法や特殊法人を潰す話どころではない。
独法や特殊法人の官僚支配と官僚利権を温存・強化・推進するという話である。
国民主権から官僚主権への逆戻り・方針転換のシグナルである。

取り調べ可視化?
いずれそのうち穏やかに進める……かもしれない。

小沢一郎を批判するときの決まり文句に、「自民党的体質の持ち主」というのがある。
しかし、民主党そのものが自民党と同じになってしまっているではないか。

菅の打ち出した「消費税10%」は、わたしたちが辛うじて抱いていた民主党への期待、「国民主権」、「国民の生活が一番」という看板への信頼を決定的に打ち砕くものである。

民主党を勝たせても、待っているのは以前の自民党政治と同じものである。
勿論自民党を勝たせることなど論外である。

雨後のタケノコのような弱小政党は、せめてキャッチフレーズくらいは好き勝手に並べればいいのに、どれもちまちまとしたことしか叫べない。

「責任ある政党」という呪縛にガンジカラメになっている。
菅のやり方を「現実主義」などと持ち上げる向きもある。

しかし、責任とは国民に対しての責任でなければならない。
現実主義とは、現実の国民の生活を見つめたものでなければならない。

そんな政治家がいないわけではない。
彼の再起を多くの人が望んでいる。

民主党の勝利が、彼の復活を阻むものであるならば、わたしはむしろ民主党の敗北を望む。
どうせ自民党と大差のない政治である。

自民党の壊滅的敗北。
民主党のほどほどの敗北。
その中で、彼のシンパだけが勢力を拡大する。
自民・民主の減少分は、適当に散らばらせる。
いずれ戻ってくる議席である。

国民にとっては望み薄の展開ではあろうが、多分それが最善の結果ではないか。

※追記  蛇足ながら、「彼」とは小沢一郎のことです。

 




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「小沢新党」 対 「民主党」という二大政党制の可能性

2010-06-19 22:49:22 | 小沢一郎
小沢一郎の言う二大政党制とは、決して民主党対自民党という構図ではない。
自民党を潰し、そのあとで真の二大政党制を打ち立てることが、小沢一郎の目標である。
小沢の思い描いた二大政党とは、「民主党」に対する「自民党よりもう少しまともな政党」という対立であろうか。
対立する政党の性格はもう一つ明確でないところがある。
あるいは対立政党は重要ではないのかもしれない。
政権交代可能な二大政党制によって、政治に緊張感をもたらし、国民の目を意識した政治を実現させる。
それが小沢の目標であると考えていいのではないか。

ところがここにきて小沢戦略は大修正をせざるを得なくなった。
要因は、民主党の変貌である。
民主党こそが小沢一郎の敵になってしまった。

菅政権の「脱・小沢」路線は多分計算済みであったろう。
しかし、菅直人の脱・小沢は小沢の想定を越えていたのではないか。

内閣・党役員を反小沢議員で固めたのは仕方ないとしても、
「財務委員長 小宮山洋子」はないんでないか?

ガチガチの小沢嫌い女・小宮山洋子に金庫の鍵を預けるとは!
小沢も菅の腹のうちを思い知らされたのではないか。

菅の小沢離れは悪意に満ちた人事ばかりではない。
政策や政治姿勢までも小沢離れを進めている。

普天間問題はアメリカ言いなりを早々と宣言。
法人税下げで財界のご機嫌取り。
消費税増税で財務省に屈服。
屈服というより、抵抗した気配はないから、ただ粛々と受け入れただけであろう。

しかも超党派を呼びかけるとは!
さすがの自民党も驚いたことだろう。
しかし、民主党と自民党が声をそろえては消費税10%の流れはすでにできあがったも同然である。
使い方は消費税を上げてから考えればいい。

これでは民主党は、小沢が倒そうとしている自民党と五十歩百歩ではないか。
政・官・財の一体化。
妙に菅政権に優しいマスメディア。
アメリカも物わかりよく、オバマ・菅会談に応じる。
民主党こそが、小沢が倒そうとしていた「既得権益擁護政党」になってしまった。

鳩山退陣後わずか10日あまりでこの大変貌である。
そして菅政権は仕事らしい仕事はまだ何もしていないのである。

「こんな政権・政党を作るために苦労してきたのじゃない!」
小沢は心の内で呟いているだろう。

民主党内は小沢グループ以外はすべて反・小沢になってしまったかのようだ。
反・小沢陣営からの切り崩しも激しくなっていくだろう。

小沢はまだ民主党に完全に見切りをつけてはいないだろう。
しかし、いずれ覚悟は決めなければならない、と思い始めているのではないか。
小沢は、党内の反・小沢の連中を力で抑え込んだり追い出しを図ったりはしないだろう。
多分、自分の方から出て行くことを考えるだろう。
案外小沢ははじめからそんな成り行きも考えていたのかもしれない。

小沢新党対民主党。

小沢の最終戦争である。
対立軸ははっきりしている。

「国民主権」である。

菅政権・菅民主党の性格は既に明白になっている。
”既得権益護持勢力”との完全協力である。
鳩山由紀夫はバカで国民の暮らしのことなどまったく理解できなかったが、それでも本気で政治や国の在り方を変えようという意欲だけは持っていた…ようだ。
しかし菅ははじめからそんなことを放り投げている。
考えているのは、前四代の総理大臣が成し遂げられなかった1年以上の長期政権なのであろう。
その為には悪魔とでも妥協する。
敵の敵は味方である。

これだけ菅政権・民主党が小沢の理想とかけ離れてしまっては、ほかに小沢の取るべき道はない。

今後、参院選、九月の党首選の過程で菅政権が大きな躓きを見せなければ、菅体制の長期化の可能性が高まる。
菅は、小沢・鳩山に向けられたマスメディアの攻撃の恐ろしさを間近で見ていた。
鳩山や小沢の意思を引き継ぐことに代えて、菅の選んだ道は彼らを反面教師として、マスコミ・官僚たちとの間に波風を立てない姿勢である。

小沢一郎は動き出す。
時期は衆院選の前であろう。
衆院議員の任期はまだ3年余あるが、菅の政権運営や小沢の覚悟次第ではどうなるか分からない。
意外と早まるかも知れない。
菅政権は、消費税増税を決めるときには「国民に信を問う」ということを言っている。
マスコミの尻馬に乗って、自分たちの支持率に自信があるらしい。

そのころには小沢の政治資金問題も決着がついていることだろう。

そのとき、小沢一郎が掲げるのは、

「国民主権」

「官僚主導から国民主導・政治主導へ」
「アメリカ重視より国民重視へ」
「政・官・財・報・米の利権構造の壊滅」

そして「国民の生活が一番」というフレーズの復活である!

わたしたちは、今こそ、というより今度こそ国民の利益を優先する政治を行うのは誰か、理解すべきである。
そして本当の国民の敵はだれであるかを見極める必要がある。

マスコミか?
官僚か?
菅直人か?
財界か?
アメリカか?

それとも小沢一郎か?

菅直人の変節。
国民への裏切り。
自己保身と小沢への裏切り。

菅首相:新政権、経済界に急接近 3団体トップと会 (毎日jp 6/19)
菅直人首相は18日、日本経団連、経済同友会、日本商工会議所の経済3団体トップと首相官邸で会談した。菅首相は新成長戦略を説明し、3団体側は支持する考えを表明。鳩山前政権は大企業寄りとされる経団連と距離を置き、経済界は首相との対話もままならない状態が続いたが、首相交代以降は枝野幸男民主党幹事長が就任直後に経団連を訪れるなど急接近が目立つ。ある経団連幹部は、「(前政権と)180度変わった」と驚きを隠さない

<菅首相>「大ばか」から協調へ 事務次官に訓示 (毎日JP 6/11)
菅直人首相は10日、政権発足後初めて各省事務次官を首相官邸に集め、「官僚の立場で(国を)支える立場と、政治家の立場で(国を)支える立場がうまくコンビネーションでき、役割分担が果たせた時に日本の政治や行政がより強いものになる。一層の協力、努力をお願いする」と呼びかけた。かつて「霞が関は大ばか」などと官僚を批判してきた首相だが、就任後は官僚批判をひかえ、協調姿勢が目立っている

菅新首相が上海万博行きを見送り、本当の理由は「米国からの圧力」  (―中国国営紙 6/11 )
2010年6月10日、中国国営新華社通信系の国際情報紙「国際先駆導報」は、菅直人新首相が鳩山由紀夫前首相の意向を引き継がず、上海万博行きを見送ったことについて、日本側の説明とは別に「米国から圧力を受けたことが本当の理由」との見方を示した。

菅・オバマ初会談、サミットで 米次官補が日程確認 (asahi.bom)





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日本が「対米従属」を脱する日--多極化する新世界秩序の中で
田中 宇
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菅直人に騙される愚かな国民

2010-06-14 17:59:53 | 民主党
自分から増税を要求する国民の馬鹿さ加減には、ホトホト愛想が尽きる。
テレビの街頭インタビューなどで答えているバカ。
他の国民に迷惑をかけることが分からないのか!

「消費税増税」は、将来世代のためには必要。
「消費税」に触れないのは無責任。

そして菅もご同様である。
「財政再建!」
「財政健全化!」

すっかり財務官僚の掌に乗って叫んでいる。

菅直人は経済が分からない。
菅は、財務大臣としての予算委員会での答弁で経済に関する無知をさらけ出してしまった。たしか自民党の林芳正の質問であった。
子供手当に関して、「消費性向」、「乗数効果」という言葉の意味が分からず、役人の説明を受けても理解できずに、しかし「分からない」とも言えず不得要領の答弁を繰り返した。
数日後、再び林芳正に、「経済の勉強をしたか?」と聞かれて、
サミュエルソンだかの経済学の本を買ったが10ページほど読んだだけということを告白した。
「分からなかったら教えてあげるから聞いてくれ」などとすっかり舐められていた。

菅直人には中学生程度の経済知識もないということが広く知られてしまった。
以後、菅が経済・財政・金融について発言するときの自信なげな口調には、聞いている方ががっかりさせられる。
菅は財務省役人の言い分に一切反論できない状態になっている。

役人どもが「財政再建」、「財政健全化」を言うとき、それは彼らの利権には手を触れないことを前提条件としている。
膨大な数の天下り利権。
不必要な公益法人を山のように抱えて、税金を垂れ流し続ける。
それらはそっとしておいて、足りなくなった分は増税で、というのが奴らの言い分である。
あわよくばさらなる利権拡大も目指している。

消費税含む税制改革・法人税下げ…民主公約 (YOMIURI ONLINE 2010年6月12日)
民主党は11日、菅首相を議長とする「政権公約会議」を党本部で開き、夏の参院選公約をまとめた。

 菅首相が掲げる「強い経済、強い財政、強い社会保障」を目指す方針を示すと同時に、「消費税を含む税制の抜本改革を行う」と明記し、経済成長、財政再建、社会保障制度の維持・安定を一体的に実現する姿勢を打ち出した。法人税率の引き下げも盛り込んだ。


消費税を上げて、法人税を下げる!
法人税を下げるために消費税を上げるということか。

首相が11日の所信表明演説で打ち出した「財政健全化検討会議」を念頭に、財政再建に向けた超党派の協議機関設置や郵政改革法案の早期成立方針も盛り込まれた。

超党派での国民イジメ態勢作りである。
政・官・財による国民イジメが始まったのか。

愚かな国民は、自分たちがいじめられていることに気づかない。
「無駄を省いたうえでの消費税率上げなら賛成」などと馬鹿なことを言っている。

法人税が高いから、企業は海外へ出て行く。
国内産業の空洞化が起こる。

これは本当だろうか?
多分、嘘である。

アジアへの企業進出の最大の要因は人件費であろう。
安い労務費を求めて企業はさまよう。
韓国の人件費が上がるとベトナムへ、そして中国へ。

欧米進出にはまた別な要因がある。
原材料の現地調達率の規制とか販売の効率性・現地化によるイメージアップ。
法人税率はそれら多くの要因のうちの一つに過ぎない。

海外から日本へ進出する企業もないではない。
しかし、法人税を下げたからといって、日本へ進出する企業が増えるわけでもない。
彼らは、日本での販売・購買力、技術力、政情の安定、インフラ等々の条件を見て進出しているのであろう。

「企業が出て行ってしまう」というのは脅しである。
そんな脅しに乗っていては、日本の法人税が世界一安くなるまで彼らは国民を脅かし続ける。

脅しの材料はいくらでもある。
今回のギリシャの財政危機に端を発する世界経済の乱調などはその絶好のものである。

ギリシャ危機に関して分かりやすく説明している記事があったので引用させていただく。
国内論調もほぼこれと同様である。

ギリシャ危機は日本国債暴落序曲 (5月11日配信 JBpress)

経済協力開発機構(OECD)の統計によると、2007年時点での政府債務残高のGDP比は、ギリシャが102%なのに対し日本は170%で、OECD加盟国で最悪だ。日本に次いで悪いイタリアでも113%であることを考えると、数字の上では日本財政はかなりの危機的状況にある。


財政再建を叫ぶ連中にとっては、いかにも説得力のある口実である。
今年一月時点では1ユーロ=130程度の為替相場がとうとう110円を切る水準にまで、ユーロ安が進んでいる。
ギリシアが単独通貨であったらこんなものでは済まなかったであろう。
不思議なのは、ギリシャと比べて圧倒的に財政状況が悪い日本円が少しも下がる様子がないことである。
これは対ドルに関しても同じである。

上の記事ではギリシャと日本の違いについても言及している。

現時点での日本とギリシャの違いは、海外との貿易やサービスのやり繰りを示す経常収支の黒字だ。経常黒字国は、政府が財政赤字を埋めるために国債を発行しても、経常黒字を稼ぐ家計や企業の引き受け余力は大きい。2009年のギリシャの経常赤字はGDP比で13.1%。これに対し、日本はGDP比で2.8%の経常黒字を計上し、財政赤字を穴埋めしている。

 また外国人投資家の国債保有比率を見ると、ギリシャが74%にも達するのに対して、日本はわずか5%。逃げ足の早い海外資金が少ないことも、日本の長期金利が1%台で低位安定している一因だとされる。日銀の超低金利政策や国内投資を選好する傾向の影響もある。


しかし、これだけでは危機の度に起こる円高を説明できない。
「安全資産である円への逃避」と言われるが、なぜ「円」が安全資産であるかの十分な説明にはならない。

実は、日本の財政状況は見かけほど悪くはないのではないか?

国債及び借入金並びに政府保証債務現在高 (平成22年3月末現在) というものが財務省から発表されている。

なるほど880兆円という巨額な債務がある。
しかし問題は債務の額ではない。
債務と資産の差額こそが問題にされなければならない。

最近のものが見つからないので2006年のバランスシートをみてみる。
結論だけ言うと、

資産・負債差額 △2,773,410

880兆円の国債残高というのは確かに衝撃的な数字ではある。
しかし、資産を差し引いてみると衝撃は大分やわらぐ。
勿論277兆円の債務超過というのは大問題ではある。

ところで、この880兆円の中には、政府短期証券 106兆円が含まれている。
この政府短期証券とは、なにか。

これにはいくつか使い道があるようだが、ほとんどが外国為替特別会計に組み込まれている。
為替介入の資金らしい。
ここ数年日本は為替相場への直接介入はしていないという。
それではこの106兆円はどうなっているのか。
ほとんどがアメリカ国債に姿を変えている。
この106兆円は何時でも取り崩せるのである。
勿論米ドルの下落とか米国債の暴落というような恐れはある。
しかしそれを恐れるのは本来はアメリカの方で、日本ではない。
売ることも出来ないアメリカ国債をいつまで抱え込むつもりか!

この資金を毎年5兆円づつ取り崩しても20年は使えるのである。

普天間基地移設問題でアメリカは日本の不幸を無視してエゴをむき出しにした。
国民の生活を犠牲にしてまでアメリカに尽くすことはあるまい。
菅直人は消費税増税を言う前に、アメリカ国債を売却すべきである。

アメリカを取るか、日本国民を取るか?

このほか公的年金の預かり金144兆円がある。
毎年集める保険料から支払うという建前からは、必要のないお金である。
まあ、全額というわけにはいかなかろうが、これの取り崩しも考えられる。

多分まだまだ隠れ資産は見つかるだろう。
外人投資家が日本円を安全資産と見なすのも当然かもしれない。

もっともこの資金に手を突っ込まれるとなると役人の抵抗は凄まじいものになるだろう。
橋本龍太郎発言以来、アメリカ国債売却はタブー視されるようになってしまっている。
到底、菅直人の及ぶところではなさそうだ。

しかし、このことだけでも菅政権がアメリカ尊重・官僚主導内閣であることは明らかである。
自民党を復活させることは論外ではあるが、これでは民主党政権も自民党より少しマシという程度に過ぎない。
政権交代の価値も大分割り引かなければならない。

実際のところは、菅が国民を騙しているというより、官僚どもが菅を騙しているといった方が正確なところかもしれない。



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日本が「対米従属」を脱する日--多極化する新世界秩序の中で
田中 宇
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民主党を三度救った小沢一郎。だがまだ死なせられない!

2010-06-07 20:20:36 | 小沢一郎
小沢一郎が民主党の代表に就いたのは2006年4月7日。
当時、民主党代表は前原誠司。
偽メール事件で民主党を危機に陥れ、3月31日にしぶしぶ辞任。
その後の代表選で小沢一郎が菅直人を退け代表の座についた。
小沢は、どん底にあった民主党を立て直し、2007年4月の統一地方選挙を勝利し、その勢いを保って7月の第21回参議院議員通常選挙でも60議席獲得と大勝。ついに参議院で与野党の逆転を果たした。

これによって衆参ねじれ現象が生じ、以後それが自民党を苦しめることになった。

2009年、西松建設献金問題が持ち上がり、民主党の支持率が急降下。
5月に代表辞任で世論の風向きを劇的に変化させ8月の衆院選で絶対安定多数を超える308議席を確保して、政権交代をついに実現する。

そして2010年2月、陸山会事件をでっち上げられ、鳩山の無能と合わせ、またもや民主党の支持率急降下。
6月2日、鳩山・小沢のダブル辞任を発表。
おかげで、支持率と言っていいかどうかはともかく、20%を割り込んでいた民主党内閣の支持率はたった数日で急回復。

●菅直人首相支持率62.4%     NNN世論調査 6月6日


しかしこんなことでいいのか。
こんなに簡単なものなのか。
これではだれもまじめに政治に取り組む意欲をなくしてしまう。
いざとなれば表紙を取り替えればなんとかなる。
自民党も菅新内閣の人気に対抗するために、いっそ小泉進次郎でも総裁にしたみたら?
いい勝負になるかもしれない。

民主党議員達は支持率急回復に有頂天になっているようだ。
参院選を早くやれ、という声さえでているとか。

今や政治家もマスコミも国民も「脱・小沢」一色である。
民主党議員でさえも悪乗りしている。
みんなで好きなことを言い合っている。
小沢独裁、金権政治、自民党的体質……。
なかでもバカバカしいのは小沢に貼った「選挙至上主義者」というレッテルである。
選挙で勝ったからこそ政権交代が成就したのではないか!
選挙に負けたら何も出来ない。

ただし、「政権交代」だけでは、小沢一郎は消えるわけにはいかない。
このまま終わったら、小沢一郎は死んでも死にきれまい。
何のための政権交代だったのか。

小沢にはまだまだやらなければならないことがある。

自民党の破壊から消滅へ。
次に官僚主権から政治主導への転換。
これは国民主権つまり民主主義の定着を意味する。

そして最後は、日本の独立である。
日本の国土でさえ、自由にならない日本国。
米軍基地一つ動かせない日本国。

菅直人は早々とオバマに日米合意尊重を誓った。
アメリカに遠慮して上海万博訪問まで取りやめたらしい。

日米同盟最優先の姿勢をのっけから見せつけている。

イスラエル、再びガザ支援船を拿捕 6月6日
イスラエル海軍の特殊部隊が5月31日ガザ地区に向かっていた6隻の支援船団を強襲してトルコ人活動家ら9人が死亡したことを受け、イスラエルが国際的に孤立しているなかの拿捕となり、5日には欧州など世界各地で抗議が行われた。トルコのイスタンブール(Istanbul)の集会には推定で1万人が集まった。(c)AFP

イスラエル軍:ガザ支援船団攻撃 国際調査委設置、イスラエルが拒否 (毎日jp 6/7)
【エルサレム花岡洋二】パレスチナ自治区ガザ地区へ支援物資を運ぼうとしていた国際支援船団がイスラエル軍に急襲され、活動家9人が死亡した事件で、イスラエルのネタニヤフ首相が潘基文(バンキムン)国連事務総長から提案された国際調査委員会の設置を拒否し、同国独自の調査委の設置を検討していることが明らかになった。


イスラエルの無法の後ろにアメリカがあることは世界の常識となっている。
現在の世界の不安定要因の最大のものはイスラエルの存在である。
イスラエルとそれを甘やかすアメリカに対する反感がテロを増幅させる。
国連がどんな決議をしようとイスラエルはまるで痛痒を感じない。

小沢一郎の「国連中心主義外交」は、日本が真剣に考えなければならないものなのだが、官僚もマスコミも政治家も、「非現実的」と、無視し続けてきた。
あるいはアメリカに対する遠慮かそれとも恐れからなのか。

「駐留米軍は第7艦隊で十分」
昨年2月の小沢一郎の発言である。
これもマスコミも政治家も国民も、まるで「一笑に付す」という態度で無視した。
鳩山由紀夫がこのときの小沢発言を真剣に考えていれば、普天間問題でこれほど醜態を晒すことはなかったろう。
結果はどうあれ、もっと論理的な対応ができたはずである。

今、アメリカに向かって正論を吐けるのは小沢一郎唯一人であろう。

まだまだ小沢一郎に楽隠居などさせるわけにはいかない。
小沢一郎を徹底的に働かせ、こき使わなければならない。

民主党議員や自民党議員ども、マスコミや世間には小沢叩きを好きなようにやらせておけばいい。
いずれ小沢は復活する。

小沢一郎には目標があり、理想がある。
小沢一郎の命がそれまで持ちこたえられることを願っている小市民が一人ここにいる。




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小沢一郎にとって悪い展開ではない

2010-06-05 10:22:20 | 小沢一郎
菅内閣が発足する。
仙谷官房長官とか枝野幹事長という声が飛び交っている。
どうやら菅直人新体制は”小沢離れ”をウリにするようだ。

マスコミも相変わらずである。

「いかに小沢色を払拭するか」
「いかに小沢の影響力を排除できるか」

アホな議員どもまで、小沢がまるで病原菌かバイ菌であるかのような口調でしゃべっている。
マスコミの小沢攻撃は止んではいない。

それだけに、菅が小沢離れを見せれば見せるほどマスコミは新内閣を持ち上げる。
それはそれで悪いことではない。
民主党の支持率が上がれば自民党が沈む。
小沢の狙い通りである。

小沢を辞職させたことで、マスコミと検察の連合軍は勝ったようにみえる。
マスコミは何でもできるという力を見せつけた。
小沢さえやめさせることができるのだ。

しかし、幹事長を退いたことで小沢には怖いものがなくなった。
検察審査会がもう一度「起訴相当」の決定を出しても怖くはなくなってしまった。
特捜部が不起訴を決定している以上、検察による逮捕はなくなっている。
起訴されても党に影響はほとんどない。
あとは裁判でじっくり戦えばいい。
返って検察のデタラメ振りが明らかになっていくばかりである。
これ以上の検察審査会の強気は、検察にとってはありがた迷惑というものだろう。

新内閣の顔ぶれは、鳩山内閣とさほど大きな違いはなさそうである。
しかし、性格は大きく変わってくる。
一言で言えば「攻撃的」になる。
菅直人、仙谷由人、枝野幸男といった連中は、マスコミの攻撃に黙って頭を下げる性格ではない。
しかも揃いも揃って口達者である。
マスコミも下手な攻撃は出来なくなってくるだろう。

小沢攻撃も次第に弱まってくるだろう。
無役の一議員をいくら攻めても大した話題にはならない。
小沢一郎は、静かに党内での存在感を維持するだけでいい。
参院選を無事に乗り切ったら次は官僚との戦いである。
このとき、真に戦いの中心になり、先頭に立てるのは小沢一郎である。

菅・前原・岡田では官僚と戦うことができないということはすでに証明されている。

小沢一郎は来るべき霞ヶ関との戦いに備えて力を維持していかなければならない。
必要なのは「数」である。
それがなければ戦えない。

民主党を、挙げて戦いに押し出すためには、小沢自身の「数」が必要である。
いざ小沢が党を割ったとき、それでも小沢についていくという「数」が必要である。
すくなくとも100以上の数が必要である。
それに自民党その他から50。
風を吹かせて新人当選で50。
合計200以上。
小沢がこれだけの勢力を維持・構築できるという見通しが立てば、民主党に対して十分な牽制になる。

当分の間、小沢の戦いは民主党に対する戦いあるいは駆け引きということになるだろう。

「本番は9月だ」小沢氏が独自候補擁立に意欲 (YOMIURI ONLINE 2010年6月5日)
民主党の小沢幹事長は4日夜、東京都内で開かれた小沢グループの会合で、菅新首相が選出された同日の代表選について「今回は自分が表に立てなくて申し訳なかった。しかし、本番は9月だ」と述べた。

 菅氏の任期(鳩山首相の党代表としての残任期間)満了に伴う9月の代表選で、独自候補擁立を目指す考えを示したものだ。


これは、菅直人体制に敵対するというよりは牽制であり、自身のグループの引き締めを狙ったものだろう。

「選挙勝てば先頭に立つ」=9月の代表選に出馬?-小沢氏 (jiji.com 2010/06/04)
民主党の小沢一郎前幹事長は4日夜、党岩手県連の集会に寄せたビデオレターで、「参院選に勝利して政権を安定化することで、本当の意味の改革が実行できる。そのときに、まさに自分自身が先頭に立って頑張ってまいりたい」と述べた。9月の党代表選に自ら立候補する可能性を示唆したともとれる発言で波紋を広げそうだ。

集会では、衆参両院の本会議で菅直人代表が新首相に指名された直後に、ビデオレターが収録されたと説明された。


これなども菅に対する牽制・新人事に対する牽制であると同時に、民主党に対する牽制であり、さらにはグループ引き締めを狙ったものでもあるだろう。
さすがに動きは素早い。

小沢一郎の戦いは始まっている。



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読売新聞の悪意…検察審査会と辻恵議員をめぐって

2010-06-01 11:46:52 | 小沢一郎
民主党辻恵議員が検察審査会に圧力をかけたということを5月30日~31日にかけて各紙が取り上げている。
特に読売の力の入れようが際だつ。
読売が目をつけるのには理由がある。

辻氏は民主党における検察批判の急先鋒である。
先般の生方幸男騒動で、生方に替わり副幹事長に就任。
その後生方は復帰したが、辻氏はそのまま副幹事長職にある。
新旧副幹事長比較(民主党)…生方幸夫と辻恵 3月21日

民主・辻副幹事長、検察審査会への接触認める (YOMIURI ONLINE 2010年5月31日)
民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」を巡る政治資金規正法違反事件で、小沢氏を不起訴とした東京地検の判断を審査している検察審査会の事務局に対し、同党副幹事長の辻恵衆院議員(61)側が審査手続きを説明するよう求めた問題で、辻氏は30日、読売新聞の取材に応じ、26日に東京第1検察審査会の事務局に電話を入れたことを認めた。
 辻氏は「一般論として制度のことを聞いたが、何も答えてもらえなかった。(審査に対する)圧力とは違う」と述べた。
 ただ、小沢氏に関する審査をしている第1と第5審査会の事務局長を呼ぼうとしたことについては「事実無根だ」と否定した。
 辻氏は27日の取材には、検察審査会の事務局に電話したことも否定していた。


記事によると、辻氏が事務局に電話したのが、26日である。
そして翌27日には早くも読売が取材に駆けつけている。
読売に情報が伝わるのが速過ぎるのではないか。
辻氏側が発表したものではないのは、記事から明らかである。
読売はどこから情報を得たのか?

検察審査会事務局側から漏れたと考えるのが自然であろう。
事務局の情報管理の実態を明らかにする必要がありそうだ。
「小沢・起訴相当」の議決の発表に当たっては、告発者の名前さえ隠していたのに……。

また、読売は次のような批判もしている。
「辻氏は27日の取材には、検察審査会の事務局に電話したことも否定していた」

しかし、辻氏と読売にはそれ以前からのいきさつがある。
民主・辻議員に融資返還請求、供託金巡り提訴 (YOMIURI ONLINE 5/27)

こんな新聞が取材に行っても、辻氏としてはそれに応じる義務はなかろう。
どうせホントのことは書かないのだから、と思っている。
こんな記事を朝刊に載せておいて、よくもその日に別な件で取材にいけたものだ。
拒否されればされたでなんとでも書きようはあると、多寡をくくっているのだろう。

読売との確執を辻氏の公式サイトに見てみよう。

このたびの新聞報道について (5/28)
さて、2010年5月27日付読売新聞朝刊に掲載されました記事内容は、提訴側の主張に対する吟味を全く行わないまま、「辻議員に融資返済請求」という見出しを付け、あたかも私が融資金を巡って何らかの金銭的利益に関わったかのような印象を与えるものであり、私の政治家としての名誉を毀損し、さらには政権与党である民主党に政治的ダメージを与えることを企図したとしか考えられない悪質な記事であります。

私は読売新聞社に対して、直ちに内容証明郵便で記事の訂正と謝罪を要求しております。

そもそも私は……
(中略)
読売新聞社は以上の事実関係を二ヶ月程前から知りながら、普天間問題等で緊張している終盤国会大詰めのこの時期に狙いをすましたかのように今回の記事を掲載したものであり、本件に関しての他社の報道は一切ありません。中立公正なマスコミの使命から逸脱したものと言わざるを得ません。

読売新聞社はこれまでも、暴力団関係者に5億円余を譲渡したかのような印象を与えた昨年11月2日付夕刊及び同年11月3日付朝刊記事、並びに「司法のあり方を検証・提言する議員連盟」に対して“検察審査会見直し議連”と断じて事実を歪めて非難した本年4月30日付朝刊の記事等悪意があると考えざるを得ない報道を続けてきており、大変遺憾であります。

以上が、今回の記事の事実関係と背景にあるものです。


5億円事件とは、次の事件である。

民主・辻恵議員を富士薬品が提訴 供託金5億円返還求め 辻氏「事実無根」と反論 産経ニュース 2009.11.2

ところでこの事件について鋭い考察を加えているサイトがある。

情報紙「ストレイ・ドッグ」(山岡俊介取材メモ) 大手ドラッグストア「富士薬品」に群がった魑魅魍魎の“六本木TSKビル人脈”(Ⅲ)「供託金トラブルに巻き込まれた辻恵代議士」
 この供託金を巡るトラブル、「産経」だけが11月3日朝刊で報じ、「読売」と通信社配信の一部地方紙が後追い報道している。だが、「朝日」や「毎日」「日経」が一切報じていないのは、辻氏は弁護士代理人として善意に関わっていただけと判断したからだろう
 そのことは、報道後、辻氏は供託金の権利を富士薬品に戻すことを条件に、富士薬品と即、和解になったことでも明らかだろう。
 富士薬品においては、不動産投資にのめり込んだ創業者で前社長派と、息子の現社長派との間で内紛があり(自殺者まで出ている)、事情を良く知らないまま、現社長派がいきなり提訴したようだ。しかも、トラブルに巻き込まれたことに気づいた辻氏は、提訴前の3月から供託金の権利を譲渡されたと主張する暴力団関係者と交渉を続け、埒があかないと見るや警視庁に相談、有印私文書偽造・同行使で告訴し、すでに受理(9月16日)されており事件化は必至の様相。そして、富士薬品もようやく辻氏がトラブルに巻き込まれたと気づいたからと思われる。
 この供託金を巡るトラブルの主体は、辻氏ではなく、同氏が代理人を引き受けていた不動産会社と思われる。だから、大手マスコミはどこも実名を上げていないが、本紙は辻氏への提訴を報じた時点で、「東洋不動産」の社名を挙げ、社長を務める大津洋三郎氏なる人物のいかがわしさについて報じている。では、こんな人物の仕事を辻氏はなぜ、引き受けたのか。取材に応じてくれた辻氏によればーー。


産経はともかく読売も簡単に引っかかったらしい。
他の新聞が踏みとどまっているというのに。
しかもその後の顛末についての報道は一切していない。
辻氏にしてみれば、こんな読売の取材に応じる必要はさらさらなかろう。

読売はこんな記事も載せている。
ご丁寧に図版つきである。

民主・辻副幹事長、検察審事務局に接触図る (YOMIURI ONLINE 2010年5月30)


政権与党の幹部が、政治的な中立が要求される検察審査会側に接触を図るのは極めて異例で、その目的や真意について議論を呼ぶのは必至だ。


読売はなんとか騒ぎにしたいと思っている。
しかし、このことのどこがおかしいのか。
多少議論があるとすれば、事務局を呼びつけたということだけであろう。
ただこれについての事実は不明である。

読売が問題にしているのは、国会議員が検察審査会に干渉・圧力を加えたということだろう。
しかし検察審査会とは、事務局が裁判所に置かれ、事務局員は裁判所事務官がついている。
司法に属していると言える。
そもそもこれはおかしい。
司法は裁判を通して権力を行使すべきものである。
起訴まで裁判所が担当したのでは、自分で起訴し自分で裁くということになる。

ところで憲法には書いてないが、日本は三権分立を建前としていることには大方異論はなかろう。
同じく憲法には書いてないが、これは権力の「均衡と抑制」をはかるという目的に沿ったものであるということにも異論はなかろう。
三権分立とは、お互いに不干渉ということではなく、抑制の権能も持っているということである。

「検察審査会法」は国会で成立させられている。
その法律の運用に国会が関心を持ち、責任を持つことは当然の義務である。
辻氏の行動は国会議員として当然のことである。

読売をはじめとしてマスコミの認識は、三権分立という概念を誤解しているものと言う他はない。
まして辻氏が接触したのは事務局なのである。
事務局にその運営の在り方、手続き等について説明を求めることに何の問題があるというのか!

一連の報道は、小沢擁護の先頭に立っている辻恵副幹事長をねらい打ちにした読売新聞の悪意の現れであると言うべきである。




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