政権交代はまだ終わっていない。
というより、政権交代だけでは十分ではなかったのだ。
「国会は国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関である」(日本国憲法)
確かに民主党は国会の主導権を握っている。
衆議院 307/480
参議院 116/242
行政の最高機関である内閣を組織している。
また最高裁判所長官の指名権も持っている。
形式的には、あらゆる国家権力を握っているのが現在の民主党である。
にもかかわらず、彼等を最高権力者と考える人は少ない。
国の最高法規である「日本国憲法」で規定された国家権力を握っているはずの彼等が、憲法で保証されているはずの権力を行使できていない。
権力を行使しようとして、彼等はありとあらゆる場面で激しい抵抗を受けている。
確かに”政権”は、自民党から民主党に移った。
そこでわたしたちは誤解してしまった。
”政権交代”=”権力交代”であると。
しかし行く先々で謝ってばかりいる鳩山総理に権力者の姿を見ることはできない。
身内からでさえしつこい批判・抵抗を受けている小沢幹事長に絶対権力者の姿を見ることは難しい。
自民党から民主党への交代は、政権交代ではあったが権力交代ではなかったのである。
自民党は水面に突き出ていた氷山の一角でしかなかったのだ。
真の権力は水面下に隠れていたのである。
自民党はその権力と妥協し、その一部を構成している存在に過ぎなかったのだ。
真の権力は、官僚、検察、財界、マスコミそして自民党などの複合体、さらにはアメリカの一部勢力に握られていたのであり、それは未だに変わってはいないのではないか。
水面下に隠れている権力構造はまだその全貌を現してはいない。
思いがけないときに思いがけないところからその一部が顔を出す。
「検察審査会」もそのひとつであろう。
こんな組織がかくも重大な力を持っていたとは、去年の時点でわたしも含め多分ほとんどの人が気づいていなかった。
”クジで選ばれた11人の民間人”が、使い方次第で極めて危険で強力な武器になり得るということをわたしたちは思い知らされた。
わたしたちの認識の甘さは他にもあった。
マス・メディアの存在である。
去年の”西松建設献金事件”でマスコミは検察のリーク情報を洪水のように垂れ流した。
わたしたちはそんなマスコミを”権力の走狗”という程度にしか見ていなかった。
しかし今年再び燃えさかっている”陸山会事件報道”を眺めているうちに、わたしは、「そうではないのではないか」と思うようになってきた。
「犬にも意思がある」ということである。
マスコミは、飼い犬のように与えられるエサを貰っていた。
一番分かりやすいエサが現ナマ・現物支給であろう。
官房機密費から多額の現金がマスコミへ流されていたことが暴露された。
各紙の報道をまとめてくれているサイトがあったので紹介したい。
趣旨と提言・野中広務が暴露した官房機密費の各社の記事
朝日・読売・共同通信は、野中発言をサラッと紹介しているだけである。
東奥日報「天地人」 2010年5月4日
少なくとも歴代の官房長官と国対委員長には、事実関係を国会で語ってもらわなければなるまい。何のために、誰にいくら渡したのか、納税者が使途の公表を迫るのは当然だ。重宝な打ち出の小づちを振り続けてきた政治家に、納税者が怒りの拳を振り上げる番だ。
こんな声をあげる地方紙もあったがマスコミの動きは鈍い。
ようやく、東京新聞が少しだけ踏み込んだ記事を載せている。
官房機密費のメディア汚染は? 野中発言の波紋 野中元官房長官の”暴露”波紋 機密費で世論誘導? (東京新聞 2010年5月18日)”
評論家に盆暮れには五百万円ずつ届けた-。小渕内閣で官房長官を務めた野中広務氏が先月、官房機密費の使途で、暴露発言をした。折しも一連の検察報道などで「メディア不信」が漂う中、発言は波紋を広げた。受け取った人物の具体名については、明かされずじまい。河村建夫前官房長官の使途疑惑に加え、政権交代後も透明化が進まないなど、官房機密費の「闇」はいまだ深い。 (加藤裕治、秦淳哉)
河村健夫前官房長官の二億五千万円持ち逃げ事件に触れているのも東京新聞だけである。
自分のカネを動かしただけの小沢に「政治とカネ」という非難を浴びせ続けているマスコミは、二億五千万円の税金の持ち逃げ事件についてはほとんど無視を決め込んでいる。
官房機密費引き出し 河村前官房長官を市民団体が告発 (asahi.com 2010年1月19日)
鳩山政権の発足直前、当時の河村建夫官房長官が内閣官房報償費(官房機密費)の国庫から2億5千万円を引き出していたとして、大阪市の市民団体が18日、河村氏に対する背任容疑などでの告発状を東京地検特捜部に提出した。
告発したのは、市民団体「公金の違法な使用をただす会」のメンバー39人。
告発状によると、自公政権時代には、国庫から引き出された機密費はほぼ毎月1億円だったのにもかかわらず、河村氏は衆院選2日後の昨年9月1日、通常の2.5倍にあたる2億5千万円を引き出した。さらに、遅くとも鳩山内閣が発足した9月16日までに使用したとされる。市民団体は「誰の目から見ても目的外使用、私的流用でしかあり得ない」としている。
朝日はこんなちっぽけな記事を載せただけである。
その後どのメディアもこの問題について大きく取り上げたことはない。
一月に東京地検に出された告発状がどうなったかという報道も皆無である。
検察審査会が異常とも言える速さで「起訴相当」の議決を出したのとは格段の落差がある。
さて再び東京新聞に戻る。
機密費の使途については、これまでも写真週刊誌「FOCUS」(現在は廃刊)が2000年、複数の評論家の名と金額とみられる数字が並んだ「極秘メモ」を報道。01年の外務省職員による外交機密費横領事件の際も、共産党が1990年代初頭の官房機密費の内部資料を入手し、国会で取り上げた。
(中略)
まずは、テレビでおなじみの政治評論家の三宅久之氏。「野中さんから官房機密費をもらったことは一切ない。彼が思わせぶりなことを言うから、大変迷惑している」
ただ、三宅氏は中曽根内閣当時、故藤波孝生官房長官の秘書から百万円の提供があったと振り返る。「藤波氏が予定していた二回の後援会に出られず、代わりに講演し、百万円(講演料)をもらったことがあった。しかし、自分の信条からして恥ずかしいことはしていない。お金の出どころが官房機密費かどうかは考えたこともない」と語る。
メディアや評論家と政治権力の距離について、三宅氏は「提供を『断ればいい』と言うのは簡単だが、必ず相手との関係が悪化する。最終的には良心の問題」と悩ましさを隠さない。
三宅久之よ、こんな言い訳が通るか!
「お金の出どころが官房機密費かどうかは考えたこともない」?
100万も貰ったら、領収書を出すのが普通だろう。
領収書には、これもまた当たり前のことだが宛先を書く。
講演会の主催者にしても領収書もなしでは会計処理はできなかろう。
領収書を書かなかったということは、三宅久之が、その100万円が領収書のいらない金であることを知っていたからであろう。
さらに笑わせるのが、「最終的には良心の問題」というセリフである。
三宅久之の”良心”というものが、どの程度のものか明らかである。
次は浜田幸一が登場する。
こんな男がどんな汚いカネを手にしていても不思議はないが、浜田は驚くべき事を口走っている。
浜田氏が国会で活躍した当時は、いわゆる55年体制。機密費の使途は法案を通すための野党対策と、自民党議員の選挙資金だったと明かす。
(中略)
選挙資金については「派閥の親分から。自分は手を出して催促する方。額は二千万円や三千万円だ」。ちなみにメディアや言論人に対しては「私と親しい記者たちには受け取る人はいなかった」と話した。
ここには二重の犯罪が潜んでいる。
一つは官房機密費の目的外使用である。
そしてもう一つは─こちらの方が重大だが─、政権与党・自民党議員の選挙に使われていたという事実である。
官房機密費は税金である。
その税金を自分の選挙のために私していたのである。
言うなれば「公金横領」であり、自民党は党を挙げて「公金横領」という犯罪を犯していたのである。
民主主義国家として有り得べからざる事実である。
次に俵孝太郎。
こいつにもあきれて開いた口がふさがらない。
さらにメディアと政治権力の金銭関係について「例えば閣僚の外遊。一般には新聞社が同行記者の分担金を払う。だが、それでまかなえるとは限らない。文化担当が取材相手から本やチケットの提供を受けて批評を書くのと構図は同じで、機密費だけ批判するのはおかしい」と主張した。
「機密費だけ批判するのはおかしい」?
これがいい大人の言うことか。
「文化担当が取材相手から本やチケットの提供を受けて批評を書くのと同じ」?
ついでに交通費・食事・酒・女もついてくるか。
もしかして現金も?
メディアの文化批評とはそんなものだったのか!
そういうのは批評とは言わずに、提灯記事、宣伝・広告文と言う。
文化担当者達も言うだろう。
「政治部と同じことをしているだけだ」
みんなでやってろ!
一つ付け加えれば、彼ら官房機密費を受け取った連中は、全員脱税犯である。
事業収入にしろ、雑所得にしろあるいは贈与にしろ所得税申告の必要なカネである。
事業収入・雑所得は総所得に合算されるからまず税金はかかるカネである。
贈与税は、控除額が110万円であるから、それ以上の金を受け取った場合、申告をしていなければこれも又脱税である。
以前は控除額はもっと低かったから大抵は引っかかっているはずである。
河村の持ち逃げした機密費を受け取って、今年3月に申告をしていなかった奴らはそれが判明した時点で脱税によって処分しなければならない。
大した罪にはなるまいが……。
ちなみに東京新聞(中日新聞東京本社)の河津市三編集局長は「取材相手と深い関係を築くことは必要。だからといって、取材相手から記者が金銭を受け取っていいことにはならない。仮に提供があっても断るのが当然だ。私自身は取材の過程で、金銭の提供を受けたことはない」と話した。
こんなごく当たり前のことが当たり前でなくなっている。
東京新聞は河村前官房長官事件についても言及している。
最近の官房機密費をめぐる問題では、麻生内閣当時の河村建夫官房長官が昨夏の衆院選二日後に二億五千万円を引き出していたことで、大阪の市民団体が河村氏を詐欺や背任容疑で東京地検特捜部に刑事告発した。河村氏側は「使い切った」とするが、市民団体の代理人の辻公雄弁護士は「政権交代まで間がない時期に多額の機密費が必要なはずがなく、着服した可能性がある。野中発言も一部だけで、使途のすべてを言ったとは思えない」といぶかる。
東京新聞のこの記事は多少なりともわたしたちを慰めてくれる。
辛うじてジャーナリズムが息づいている。
いつぞや東京新聞は、検察庁から出入り禁止を喰らったことがあった。
その姿勢は是とするが、それを貫いてこそのジャーナリズムである。
まだまだ安心はできない。
それ程わたしたちのメディア不信は強いのだ。
東京新聞はまた、検察の2度目の小沢不起訴の決定を比較的公正な目で論じている。
【社説】小沢氏再不起訴 焦点は次の市民判断 2010年5月22日
問題は一回目の議決に加わった市民のうち、五人の任期が七月末まであり、審査会に残る点だ。二回目の議論は別のメンバーで行われるべきではないだろうか。新しく入った審査員との“情報格差”が生まれる問題点もある。
法的見地からの助言を行う審査補助員の弁護士も、一回目とは異なる人を充てた方がよい。会議が非公開なため、助言が適切かどうか、チェックできないからだ。
「民意の反映」が検察審査会の役目であり、むろん検察官とは異なる視点があってよい。だが、同じ証拠なのに、その評価が検察官と市民とで分かれたことに違和感を覚える人もいる。より公正を図る意味で、審査会は市民も弁護士も一新して、民間人の良識を示す結論に導いてほしい。
検察の再捜査が、審査会の議決から一カ月程度で終結したことは、拙速との批判が出る恐れもある。結論を急いだのは、審査会に下駄(げた)を預けたのかという憶測さえ生みかねない。ゼネコンマネー疑惑はどうなったのか。検察も説得力ある説明がいる。
惜しむらくは東京新聞の影響力が三大紙やテレビに比べてずいぶんと小さいということである。
マス・メディアに投げ与えられるエサはまだまだある。
その最大のものは、彼等の”飯の種”である報道材料そのものである。
記者クラブを通して彼等だけに与えられる日々のニュース。
彼等はそれを垂れ流すだけの、単なるニュース・ブローカーに成り下がっている。
時には社説やコラムを使って彼等の言いたいことを代弁までする。
こんな楽な商売をしていられるのは誰のおかげか?
かれらはそれをよく承知している。
彼らの飼い主の一人である自民党が壊滅状態である。
──今となっては、どちらが飼い主だったのか判然としないところもあるが──。
彼らはここに来て自分で自分を守る必要があることに気がついた。
まだまだ飼い主のいくつかは健在である。
彼らが健在のうちに敵を倒さなければ自分たちの生き残りは不可能になる。
マス・メディアは戦いの最前線に立つことを決意したのだろう。
守るべき利益はまだまだたくさんあるのだ。
記者クラブ制度(情報寡占維持)
クロスオーナーシップ(新聞・テレビ等の系列化による企業利益・情報寡占の維持)
電波利権(電波オークション制の導入防止─格安電波料金維持・寡占体制維持)
再販制度(全国一律価格維持)
押し紙問題(公称発行部数の水増し─広告費・チラシ収入の水増し等)
番犬がすっかり猟犬か闘犬になってしまった。
彼らは、緊急に狂犬病の予防接種が必要なほど危険な状態になっている。
それともいっそ薬殺処分か!
マス・メディア以外にも権力の座から追い落とさなければならない勢力がまだまだある。
それが出来て初めて政権交代の果実がわたしたちの手に届くことになる。
民主主義の確立のために!
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というより、政権交代だけでは十分ではなかったのだ。
「国会は国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関である」(日本国憲法)
確かに民主党は国会の主導権を握っている。
衆議院 307/480
参議院 116/242
行政の最高機関である内閣を組織している。
また最高裁判所長官の指名権も持っている。
形式的には、あらゆる国家権力を握っているのが現在の民主党である。
にもかかわらず、彼等を最高権力者と考える人は少ない。
国の最高法規である「日本国憲法」で規定された国家権力を握っているはずの彼等が、憲法で保証されているはずの権力を行使できていない。
権力を行使しようとして、彼等はありとあらゆる場面で激しい抵抗を受けている。
確かに”政権”は、自民党から民主党に移った。
そこでわたしたちは誤解してしまった。
”政権交代”=”権力交代”であると。
しかし行く先々で謝ってばかりいる鳩山総理に権力者の姿を見ることはできない。
身内からでさえしつこい批判・抵抗を受けている小沢幹事長に絶対権力者の姿を見ることは難しい。
自民党から民主党への交代は、政権交代ではあったが権力交代ではなかったのである。
自民党は水面に突き出ていた氷山の一角でしかなかったのだ。
真の権力は水面下に隠れていたのである。
自民党はその権力と妥協し、その一部を構成している存在に過ぎなかったのだ。
真の権力は、官僚、検察、財界、マスコミそして自民党などの複合体、さらにはアメリカの一部勢力に握られていたのであり、それは未だに変わってはいないのではないか。
水面下に隠れている権力構造はまだその全貌を現してはいない。
思いがけないときに思いがけないところからその一部が顔を出す。
「検察審査会」もそのひとつであろう。
こんな組織がかくも重大な力を持っていたとは、去年の時点でわたしも含め多分ほとんどの人が気づいていなかった。
”クジで選ばれた11人の民間人”が、使い方次第で極めて危険で強力な武器になり得るということをわたしたちは思い知らされた。
わたしたちの認識の甘さは他にもあった。
マス・メディアの存在である。
去年の”西松建設献金事件”でマスコミは検察のリーク情報を洪水のように垂れ流した。
わたしたちはそんなマスコミを”権力の走狗”という程度にしか見ていなかった。
しかし今年再び燃えさかっている”陸山会事件報道”を眺めているうちに、わたしは、「そうではないのではないか」と思うようになってきた。
「犬にも意思がある」ということである。
マスコミは、飼い犬のように与えられるエサを貰っていた。
一番分かりやすいエサが現ナマ・現物支給であろう。
官房機密費から多額の現金がマスコミへ流されていたことが暴露された。
各紙の報道をまとめてくれているサイトがあったので紹介したい。
趣旨と提言・野中広務が暴露した官房機密費の各社の記事
朝日・読売・共同通信は、野中発言をサラッと紹介しているだけである。
東奥日報「天地人」 2010年5月4日
少なくとも歴代の官房長官と国対委員長には、事実関係を国会で語ってもらわなければなるまい。何のために、誰にいくら渡したのか、納税者が使途の公表を迫るのは当然だ。重宝な打ち出の小づちを振り続けてきた政治家に、納税者が怒りの拳を振り上げる番だ。
こんな声をあげる地方紙もあったがマスコミの動きは鈍い。
ようやく、東京新聞が少しだけ踏み込んだ記事を載せている。
官房機密費のメディア汚染は? 野中発言の波紋 野中元官房長官の”暴露”波紋 機密費で世論誘導? (東京新聞 2010年5月18日)”
評論家に盆暮れには五百万円ずつ届けた-。小渕内閣で官房長官を務めた野中広務氏が先月、官房機密費の使途で、暴露発言をした。折しも一連の検察報道などで「メディア不信」が漂う中、発言は波紋を広げた。受け取った人物の具体名については、明かされずじまい。河村建夫前官房長官の使途疑惑に加え、政権交代後も透明化が進まないなど、官房機密費の「闇」はいまだ深い。 (加藤裕治、秦淳哉)
河村健夫前官房長官の二億五千万円持ち逃げ事件に触れているのも東京新聞だけである。
自分のカネを動かしただけの小沢に「政治とカネ」という非難を浴びせ続けているマスコミは、二億五千万円の税金の持ち逃げ事件についてはほとんど無視を決め込んでいる。
官房機密費引き出し 河村前官房長官を市民団体が告発 (asahi.com 2010年1月19日)
鳩山政権の発足直前、当時の河村建夫官房長官が内閣官房報償費(官房機密費)の国庫から2億5千万円を引き出していたとして、大阪市の市民団体が18日、河村氏に対する背任容疑などでの告発状を東京地検特捜部に提出した。
告発したのは、市民団体「公金の違法な使用をただす会」のメンバー39人。
告発状によると、自公政権時代には、国庫から引き出された機密費はほぼ毎月1億円だったのにもかかわらず、河村氏は衆院選2日後の昨年9月1日、通常の2.5倍にあたる2億5千万円を引き出した。さらに、遅くとも鳩山内閣が発足した9月16日までに使用したとされる。市民団体は「誰の目から見ても目的外使用、私的流用でしかあり得ない」としている。
朝日はこんなちっぽけな記事を載せただけである。
その後どのメディアもこの問題について大きく取り上げたことはない。
一月に東京地検に出された告発状がどうなったかという報道も皆無である。
検察審査会が異常とも言える速さで「起訴相当」の議決を出したのとは格段の落差がある。
さて再び東京新聞に戻る。
機密費の使途については、これまでも写真週刊誌「FOCUS」(現在は廃刊)が2000年、複数の評論家の名と金額とみられる数字が並んだ「極秘メモ」を報道。01年の外務省職員による外交機密費横領事件の際も、共産党が1990年代初頭の官房機密費の内部資料を入手し、国会で取り上げた。
(中略)
まずは、テレビでおなじみの政治評論家の三宅久之氏。「野中さんから官房機密費をもらったことは一切ない。彼が思わせぶりなことを言うから、大変迷惑している」
ただ、三宅氏は中曽根内閣当時、故藤波孝生官房長官の秘書から百万円の提供があったと振り返る。「藤波氏が予定していた二回の後援会に出られず、代わりに講演し、百万円(講演料)をもらったことがあった。しかし、自分の信条からして恥ずかしいことはしていない。お金の出どころが官房機密費かどうかは考えたこともない」と語る。
メディアや評論家と政治権力の距離について、三宅氏は「提供を『断ればいい』と言うのは簡単だが、必ず相手との関係が悪化する。最終的には良心の問題」と悩ましさを隠さない。
三宅久之よ、こんな言い訳が通るか!
「お金の出どころが官房機密費かどうかは考えたこともない」?
100万も貰ったら、領収書を出すのが普通だろう。
領収書には、これもまた当たり前のことだが宛先を書く。
講演会の主催者にしても領収書もなしでは会計処理はできなかろう。
領収書を書かなかったということは、三宅久之が、その100万円が領収書のいらない金であることを知っていたからであろう。
さらに笑わせるのが、「最終的には良心の問題」というセリフである。
三宅久之の”良心”というものが、どの程度のものか明らかである。
次は浜田幸一が登場する。
こんな男がどんな汚いカネを手にしていても不思議はないが、浜田は驚くべき事を口走っている。
浜田氏が国会で活躍した当時は、いわゆる55年体制。機密費の使途は法案を通すための野党対策と、自民党議員の選挙資金だったと明かす。
(中略)
選挙資金については「派閥の親分から。自分は手を出して催促する方。額は二千万円や三千万円だ」。ちなみにメディアや言論人に対しては「私と親しい記者たちには受け取る人はいなかった」と話した。
ここには二重の犯罪が潜んでいる。
一つは官房機密費の目的外使用である。
そしてもう一つは─こちらの方が重大だが─、政権与党・自民党議員の選挙に使われていたという事実である。
官房機密費は税金である。
その税金を自分の選挙のために私していたのである。
言うなれば「公金横領」であり、自民党は党を挙げて「公金横領」という犯罪を犯していたのである。
民主主義国家として有り得べからざる事実である。
次に俵孝太郎。
こいつにもあきれて開いた口がふさがらない。
さらにメディアと政治権力の金銭関係について「例えば閣僚の外遊。一般には新聞社が同行記者の分担金を払う。だが、それでまかなえるとは限らない。文化担当が取材相手から本やチケットの提供を受けて批評を書くのと構図は同じで、機密費だけ批判するのはおかしい」と主張した。
「機密費だけ批判するのはおかしい」?
これがいい大人の言うことか。
「文化担当が取材相手から本やチケットの提供を受けて批評を書くのと同じ」?
ついでに交通費・食事・酒・女もついてくるか。
もしかして現金も?
メディアの文化批評とはそんなものだったのか!
そういうのは批評とは言わずに、提灯記事、宣伝・広告文と言う。
文化担当者達も言うだろう。
「政治部と同じことをしているだけだ」
みんなでやってろ!
一つ付け加えれば、彼ら官房機密費を受け取った連中は、全員脱税犯である。
事業収入にしろ、雑所得にしろあるいは贈与にしろ所得税申告の必要なカネである。
事業収入・雑所得は総所得に合算されるからまず税金はかかるカネである。
贈与税は、控除額が110万円であるから、それ以上の金を受け取った場合、申告をしていなければこれも又脱税である。
以前は控除額はもっと低かったから大抵は引っかかっているはずである。
河村の持ち逃げした機密費を受け取って、今年3月に申告をしていなかった奴らはそれが判明した時点で脱税によって処分しなければならない。
大した罪にはなるまいが……。
ちなみに東京新聞(中日新聞東京本社)の河津市三編集局長は「取材相手と深い関係を築くことは必要。だからといって、取材相手から記者が金銭を受け取っていいことにはならない。仮に提供があっても断るのが当然だ。私自身は取材の過程で、金銭の提供を受けたことはない」と話した。
こんなごく当たり前のことが当たり前でなくなっている。
東京新聞は河村前官房長官事件についても言及している。
最近の官房機密費をめぐる問題では、麻生内閣当時の河村建夫官房長官が昨夏の衆院選二日後に二億五千万円を引き出していたことで、大阪の市民団体が河村氏を詐欺や背任容疑で東京地検特捜部に刑事告発した。河村氏側は「使い切った」とするが、市民団体の代理人の辻公雄弁護士は「政権交代まで間がない時期に多額の機密費が必要なはずがなく、着服した可能性がある。野中発言も一部だけで、使途のすべてを言ったとは思えない」といぶかる。
東京新聞のこの記事は多少なりともわたしたちを慰めてくれる。
辛うじてジャーナリズムが息づいている。
いつぞや東京新聞は、検察庁から出入り禁止を喰らったことがあった。
その姿勢は是とするが、それを貫いてこそのジャーナリズムである。
まだまだ安心はできない。
それ程わたしたちのメディア不信は強いのだ。
東京新聞はまた、検察の2度目の小沢不起訴の決定を比較的公正な目で論じている。
【社説】小沢氏再不起訴 焦点は次の市民判断 2010年5月22日
問題は一回目の議決に加わった市民のうち、五人の任期が七月末まであり、審査会に残る点だ。二回目の議論は別のメンバーで行われるべきではないだろうか。新しく入った審査員との“情報格差”が生まれる問題点もある。
法的見地からの助言を行う審査補助員の弁護士も、一回目とは異なる人を充てた方がよい。会議が非公開なため、助言が適切かどうか、チェックできないからだ。
「民意の反映」が検察審査会の役目であり、むろん検察官とは異なる視点があってよい。だが、同じ証拠なのに、その評価が検察官と市民とで分かれたことに違和感を覚える人もいる。より公正を図る意味で、審査会は市民も弁護士も一新して、民間人の良識を示す結論に導いてほしい。
検察の再捜査が、審査会の議決から一カ月程度で終結したことは、拙速との批判が出る恐れもある。結論を急いだのは、審査会に下駄(げた)を預けたのかという憶測さえ生みかねない。ゼネコンマネー疑惑はどうなったのか。検察も説得力ある説明がいる。
惜しむらくは東京新聞の影響力が三大紙やテレビに比べてずいぶんと小さいということである。
マス・メディアに投げ与えられるエサはまだまだある。
その最大のものは、彼等の”飯の種”である報道材料そのものである。
記者クラブを通して彼等だけに与えられる日々のニュース。
彼等はそれを垂れ流すだけの、単なるニュース・ブローカーに成り下がっている。
時には社説やコラムを使って彼等の言いたいことを代弁までする。
こんな楽な商売をしていられるのは誰のおかげか?
かれらはそれをよく承知している。
彼らの飼い主の一人である自民党が壊滅状態である。
──今となっては、どちらが飼い主だったのか判然としないところもあるが──。
彼らはここに来て自分で自分を守る必要があることに気がついた。
まだまだ飼い主のいくつかは健在である。
彼らが健在のうちに敵を倒さなければ自分たちの生き残りは不可能になる。
マス・メディアは戦いの最前線に立つことを決意したのだろう。
守るべき利益はまだまだたくさんあるのだ。
記者クラブ制度(情報寡占維持)
クロスオーナーシップ(新聞・テレビ等の系列化による企業利益・情報寡占の維持)
電波利権(電波オークション制の導入防止─格安電波料金維持・寡占体制維持)
再販制度(全国一律価格維持)
押し紙問題(公称発行部数の水増し─広告費・チラシ収入の水増し等)
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彼らは、緊急に狂犬病の予防接種が必要なほど危険な状態になっている。
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