政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

鳩山総理の迷と暗・次の民主党内閣を…

2009-12-31 09:05:02 | 鳩山由紀夫
迷は迷走の迷、迷惑の迷。
暗は暗愚の暗。

ここにきて急速に鳩山の発言が支離滅裂、混迷の度を深めている。
抱える問題が多すぎる上に、自分で混乱を増幅させている。
麻生政権の末期──発足時から政権末期状態ではあったが──というよりも、安倍晋三政権の末期に状態が似てきているのではないか。
特に鳩山由紀夫という人物の精神状態が限界に近づいているように思われるのである。

まずは、秘書の起訴を受けての発言。

「辞めろという声が大勢となれば尊重したい。首相の座にしがみついている訳ではない」

なったばかりの総理大臣が、首相の座にしがみついている訳ではない、と言い訳する。
しかしわたしたちは、執着しない総理には辟易している。
安倍晋三・福田康夫・麻生太郎そして今度は鳩山由紀夫。
麻生の場合は、執着していたのかいなかったのか、よく分からないところがあるが……。

鳩山首相献金問題:「捜査終結後に説明」 首相が答弁 (毎日jp 12/1)
鳩山由紀夫首相は30日の参院本会議で、自身の資金管理団体を巡る偽装献金問題に関し、実母からの多額の資金提供について「仮に母親からの提供があったなら、検察の解明を待ち、法に照らして適切な対応をしたい」と述べ、「贈与」と認定されて税法上の問題が生じた場合は修正申告などを行う考えを示した。また、「(東京地検による)全容解明の暁には、私自身が改めて国民に説明すべきだと考えている」と話した。自民党の秋元司参院議員への答弁。


この国の税の基本原則は、申告納税、自主申告である。
鳩山の言い方はこの原則を根底から覆すものである。
「仮に母親からの提供があったなら」?
「検察の解明を待ち」?
母親のところに出かけて尋ねればすむことではないか!
こんな言い訳が通ると思っているバカ総理はいらない。

「すべて検察にお任せしています」
人に任せることではない。
自分で調べて納税すべきことである。
自分の調べと検察の調べと齟齬があればそのとき修正すればよい。
利権がらみとか収賄と違って悪質性が少ない、などという議論がある。
知らないうちはそれでもよい。
知った以上は自ら調べて納税するのが当たり前の感覚である。
もし仮に検察が、親からの貸付金と認めれば、鳩山はそれを受け入れるのか。
検察が鳩山に甘い判断をすればそれをそのまま受け入れるのか。

普天間基地移設問題での迷走もまた目を覆わんばかりのものである。

「常時駐留なき安保論」首相、在任中は封印 (YOMIURI ONLINE 12/17)
鳩山首相は16日夕、沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題の決着を先送りしたことに関連し、かつて提唱した「常時駐留なき安保」論について「首相という立場になった中で、その考え方は今、封印しなければならない」と述べた。

 首相在任中には主張しない考えを示したものだ。首相官邸で記者団の質問に答えた。


自分の持論・信念を自身が最高権力者であるときに実現しようとしないで、いつ実現できるのか!
封印するのではなく、たとえ即時実現は不可能であっても、その実現のために一歩でも踏み出すのが務めではないのか!
万難を排して自分の理想を実現するために全力を尽くす。
それが政治家ではないのか。
何のために政治家になり、何のために総理大臣になったのか!

「普天間のグアム移転は無理」 鳩山首相、ラジオ番組で (産経ニュース 12/26)
鳩山由紀夫首相は26日、ラジオ日本の番組収録で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設先について「抑止力の観点から見て、グアムに普天間のすべてを移設させることは無理がある」と述べ、米領グアムへの移設の可能性を否定した。連立与党の社民党が有力な移設先とするグアムを首相が排除する考えを示したのは初めて。


「抑止力の観点から見て」
言わずもがなの発言で状況を混乱させる。
挙げ句の果てには、

「取材に話しすぎた」…普天間迷走で首相 (YOMIURI ONLINE 12/26)
鳩山首相は26日、ラジオ日本の正月番組収録で、沖縄の米軍普天間飛行場の移設問題で政府の対応が迷走したことについて、「ぶら下がり(取材)などで『多少サービスするか』みたいな発想になったところが、拡大されて伝わってしまった。『決まるまでは何もしゃべらない方がいい』と指摘されており、その通りだと反省している」と述べ、適切な対応でなかったとの考えを示した。

 さらに、「他の閣僚ともしっかり打ち合わせして、話すべきでないところは話すべきでなかった。ところが、閣僚もそれぞれ自分の思いを正直に話したきらいがあった。首相か防衛相か、一人だけが発言するようにとどめておかなければいけなかった」とも語り、閣僚の足並みの乱れが事態を一層深刻にしたとの認識を示した。


要は、しゃべるべきことと黙っているべきことの判断もできないということである。
『決まるまでは何もしゃべらない方がいい』と指摘されており……
これではまるで麻生と同じではないか!

その程度のことが自分で判断出来ないのか!

わたしたちは自民党を棄てた。
そのとき鳩山を党首とする民主党がそこにあった。
それが政権交代であった。

だれも鳩山由紀夫がこれほどバカだとは知らなかった。
いや、一人だけいた。

「もともと信念が堅固ではなく、アメーバ的で何でも調子をあわせることが
 できるから、普天間基地の移設問題もあちらこちらに行っている」


弟・鳩山邦夫の言葉である。

驚き、あきれているのはわたしだけではないだろう。
あと三年半は長すぎる。
とても辛抱できる期間ではない。

新しい年は、新しい総理候補をあれこれと品定めしながら迎えることになりそうだ。
民主党にもまだ人はいるだろう。





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珍しくいい発言をした亀井

2009-12-29 07:27:04 | 民主党
天皇の政治利用問題が論議を呼んだが、そんな中、亀井の発言は真剣に検討する価値がある。
その中で見えてくるものがある。

「江戸城はふさわしくない」 亀井氏、陛下に移転進言 (asahi.com 12/27)
国民新党の亀井静香代表は27日、24日の宮中昼食会で天皇陛下に会った際、「権力の象徴であった江戸城(現皇居)にお住まいになられるのは、お立場上ふさわしくないと申し上げた」と明らかにした。皇居を離れ、かつての天皇が住んでいた京都か自身の出身地である広島へ移ることを進言したという。

 27日のテレビ朝日の番組での、天皇の政治利用をめぐる討論の中での発言。閣僚は天皇とのやり取りは明かさないのが慣例で、亀井氏の発言は異例のものだ。


天皇に向かって直接言うのは筋違いではある。
天皇がどこに住むかを決めるのは象徴である天皇自身ではなく、内閣であろう。
現憲法では天皇の住居地については何の規定もない。

それはそれとして、この亀井発言で思い出したのが、首都機能移転問題。
今ではまるで非現実的な話題として、口にする人もいないテーマである。
亀井発言は、その「首都機能移転」から”機能”を除いた「首都移転」を意味する。
今考えると、「首都機能移転」よりも「首都移転」のほうが余程現実的かもしれない。

”首都機能移転問題”と言ってもそれ程古い話題ではない。

もともとは東京への人口・文化・機能の一極集中、更にはそれによる東京の地価上昇等を問題視するところから現実的な課題として取り上げられたことであった。

1990年には衆参両院にて「国会等の移転に関する決議」を議決し、「首都機能移転を検討する」という基本方針を確認した。

首都機能移転(ウィキペディアより)
法的には1992年に「国会等の移転に関する法律」が成立し、この法律に基づき候補地の選定等の準備作業に入ることになる。1999年には「国会等移転審議会」が候補地として3地域を選定(後述)するが、この頃になると東京の地価高騰も落ち着きを見せ、更に首都機能移転への批判も高まっていった。


不幸は、この問題が、日本の政治システム・民主主義・天皇制等の問題として扱われず、ごく表層的な地価高騰とか一極集中の問題としてしか扱われなかったことである。
そのためにテーマは、「首都移転」ではなく「首都機能移転」ということになってしまった。
天皇にはだれも触れたくないという気持ちがある。

第一次小泉内閣
国土交通大臣
 首都機能移転担当 扇 千景

第二次小泉内閣
国土交通大臣、【首都機能移転、観光立国担当】 - 石原伸晃

第三次小泉内閣
国土交通大臣、【首都機能移転、観光立国担当】 - 北側一雄


ついこの間まで特命担当大臣が置かれていたのである。
安倍晋三内閣になって、このポストは

内閣府特命担当大臣
(規制改革担当) 佐田玄一郎 (後、渡辺善美)
国・地方行政改革担当
公務員制度改革担当
地域活性化担当
道州制担当


ここに吸収されたらしい。

この間、首都機能誘致に動いた地方もあった。

1999年(平成11年)12月20日の国会等移転審議会の答申により選定された、国会等の移転先となる候補地等は次の3地域である。

移転先候補地
北東地域の「栃木・福島地域」
東海地域の「岐阜・愛知地域」
移転先候補地となる可能性がある地域
「三重・畿央地域」


ほんの10年前のことなのだが、今でははるか昔の騒ぎのような感がある。

歴史の年表等では、
明治2年(1869年)東京遷都
として扱われる。

しかしながら、それが遷都であるかどうかは曖昧なままにされていた。

明治22年(1889年) - 皇室典範で「即位の礼」と「大嘗祭」は京都で行うと規定。

天皇家の最重要儀式が京都で行われていることを考えると、この時点では天皇家と国家元首としての天皇との機能分化が図られていたと見ることが出来る。

昭和23年(1948年) - 東京の「宮城」の名称が廃され皇居と呼ばれる。京都皇宮は京都御所と呼ばれる。

平成2年(1990年) - 即位の礼、大嘗祭が、史上初めて関東の東京で行われる。


ここにいたって初めて天皇の本拠地が東京と定められたように思われる。
しかしながら、東京を首都とする法律的な宣言は行われていないままである。

日本の首都について直接定める法令はない。

日本においては、都とは天皇の住まいのある地を指してきた。
鎌倉も江戸も都ではなかった。
都は天皇のいる京であった。

憲法の上で何か問題が生じるであろうか?

日本国憲法
第1条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

第2条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。 

第3条 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。 

第4条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
2 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。 

第5条 皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第一項の規定を準用する。
 

ここまでは天皇の住居がどこに移ろうと一切変更が要らない。

第6条 天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。
2 天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。


この任命は直接対面が必要であろうか?
テレビ会議システムを使っての任命、などというと「重みがない」という批判がありそうだ。
しかし、重みは本人の心の問題であろう。
国民は不自由も不満も感じない。
寸秒を惜しむ儀式ではなかろう。
任命の証としての書が欲しければ後で渡せばいい。

次の国事行為については何か問題があるだろうか?
 
第7条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
1.憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
2.国会を召集すること。
3.衆議院を解散すること。
4.国会議員の総選挙の施行を公示すること。
5.国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
6.大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
7.栄典を授与すること。
8.批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
9.外国の大使及び公使を接受すること。
10.儀式を行ふこと。


国会召集も衆議院の解散も詔書を届けるだけである。
その他用があれば京都まで出向けばいい。
外国の大使や公使も京都まで行けばよい。
国務大臣もその他の認証官も京都まで出向くのは大変だというのなら、認証という制度をやめればいい。
総理大臣が任命すれば済むことである。
格が落ちると嫌がる奴もいるかも知れないが、そんな奴らの言い分を聞く必要はさらさらない。
(認証官……任免につき天皇の認証が必要とされる官吏。国務大臣,最高裁判所判事,高等裁判所長官,検事総長,次長検事,検事長,会計検査院の検査官,宮内庁長官,侍従長,人事官,特命全権大使・公使等をいう)

最高裁判所判事,高等裁判所長官は、京都まででかけること。総理大臣の任命は、三権分立の観点からはまずいだろう。
本当は国会による承認を、天皇による認証に代えればよい。

天皇が東京に出向く必要があるときは、お召し新幹線やお召し飛行機を用意してもいいし、いざとなれば摂政を置くこともできる。

国会やら官庁やら諸々の機能を移転することと比べると、皇居を移す方が余程金も時間もかからない。
近くにいるからつい便利に利用したくなる。
天皇の政治利用を避けるためには、亀井案は実に有効な策である。
 
第8条 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。

これは直接関係のあることではないが、皇室財産と象徴天皇制というのは矛盾するように思われるが、ここではこれ以上は触れないでおく。

天皇の政治利用を禁ずるならば、天皇を憲法から切り離し、一私人として生きていけるようにすることが一番なのだが……。





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史上最低の政党・”改革クラブ”

2009-12-27 09:23:18 | 政治
多分史上最低の政党と言えるだろう。
結党以来、この党の至上命題は所属議員5人の確保である。
それだけのために悪戦苦闘を続けているのが、改革クラブである。

結党は2008年(平成20年)8月29日。
お笑い政党にふさわしい幕開けであった。



この場にあるべきはずの姫井由美子議員の姿がない。
数時間後、姫井議員は別のところで会見を開いていた。



民主党へ離党届を出していた姫井由美子参議院議員は29日の午後6時半から民主党本部で記者会見し、新党「改革クラブ」には参加しない意向を表明、「これまで通り民主党参院議員として頑張っていく」と語った。

女心と秋の空。
出足でずっこけた改革クラブの苦難の始まりである。

彼等が5人にこだわるのには理由がある。

党首   渡辺秀央  民主党 参議院比例区
幹事長  荒井広幸  自民党 参議院比例区
      大江康弘  民主党 参議院比例区
      松下新平  無所属 参議院宮崎選挙区


比例区選出の議員は、当選後その時点で存在していた政党への移籍を行うと議席を失うことになる。
新党結成は許されるが、自民党へ入ることは出来ない。

そこで改革クラブ結党ということになるのだが、今度は政党助成金を貰うためには5人の議員が必要になる。
姫井由美子を騙してだかおだてだかして仲間に引き入れたのだが、こいつらに騙されるくらいのバカ娘である。簡単に説得されて民主党に戻ってしまった。

仕方なく四人でスタートしたのだが、二階俊博が裏で糸を引いていたらしい。
いわば自民党別働隊である。
二階も責任を感じたのか、あるいは渡辺達が動き回ったのか、ようやく一人を引き入れることに成功した。

2008年9月24日 - 改革クラブへ参加

西村慎吾    民主党公認・衆議院比例復活(2005年)
        2005年11月29日 - 民主党が除籍処分


人も知る極右議員である。
クズはクズを呼ぶ。
しかしせっかくの入党も、今年の8月総選挙であえなく落選。
再び5人を割ってしまった。
そこで見つけてきたのが、

中村喜四郎   無所属 衆議院茨城7区 
2009年10月16日 改革クラブ入党


自民党在籍中、ゼネコン汚職事件で逮捕・実刑判決、仮釈放で出所、無所属で当選を繰り返し、現在通算11期目。
選挙にはめっぽう強い。

これでめでたく5人確保となった。
しかしそれですんなり収まらないところがお笑い政党たる由縁である。
意外な騒ぎを引き起こした。

自民を離党検討 参院議員・長谷川大紋氏 党本部対応に不快感
自民党参院議員の長谷川大紋氏(66)は十日、本紙の取材に離党を検討していることを明らかにした。十月に衆院茨城7区の中村喜四郎氏が入った改革クラブと衆院で統一会派を組んだことをめぐり、県連に事前に相談せずに事を進めた党本部執行部への不満を理由に挙げた。 (高橋淳)

 自民党出身で長らく無所属議員として活動してきた中村氏と県連は衆院選で何度も対決し、過去には中村氏支持に回った同党県議を県連が除名したこともある。


結局、長谷川議員は12月22日、自民党離党。
自民党茨城県連の大重鎮、次期県連会長の呼び声の高い人物である。
茨城県自民党は全国二位の党員数を誇る、自民党王国であった。
今回の離党も自民党執行部に対する反発からのことで、身も心も自民党議員であることに変わりはない。
民主党に駆け込む心配はなさそうだが、県連の弱体化は避けられそうにない。

来年7月には参議院選挙がある。
改選を迎えるのは
渡辺秀央・荒井広幸・松下新平の3人。

内心穏やかではいられまい。
まず松下新平に動きがあった。
これ↓が引き金だったのだろう。

参院選で松下氏推薦せず 民主党県連決定 (宮崎日々新聞MIYANICHI e PRESS 2009年09月11日)
民主党県連(井上紀代子代表)は10日、幹事会を開き、来年7月改選の参院選の対応を協議した。2004年の参院選で支援し当選した松下新平議員(改革クラブ)は支援せず、公認候補を擁立する方針を確認した。


無所属ながら民主党支援で当選していた男である。
民主党の支援無しでは当選はおぼつかない。
まして民主党が公認候補を立てるとなれば、当選可能性はゼロである。

自民・改革ク、参院議員「交換トレード」へ (YOMIURI ONLINE 2009年12月26日)
衆参両院で統一会派を組む自民党と改革クラブが、参院議員を各1人、「交換トレード」する方向で調整を進めていることが25日、分かった。

 両党関係者が明らかにした。自民党は、改革クラブの松下新平参院議員(宮崎選挙区)(43)に、次期参院選で自民党からの出馬を打診。改革クラブ側は松下氏の自民党入りを了承しているが、問題は同クラブ所属議員が4人となり、政党交付金を受け取れる政党要件(国会議員5人以上)をみたさなくなることだった。そこで、自民党は、今期で引退を表明している山内俊夫参院議員(香川選挙区)(63)が改革クラブに移籍することを申し出たという。


それにしてもここまで愚劣な移籍劇があったろうか。
松下新平は選挙区当選議員だからいつでも自民党に入ることが出来る。
幸い、山内俊夫参院議員(香川選挙区)も同様である。
どうせ今のままなら落選確実な議員と引退表明をしている議員との交換である。
どちらにも損はない。
あからさまな政党助成金の確保と政党要件の維持が目的である。

政党要件を満たすことによって。政党助成金の受け取り以外にも種々恩恵がある。

◎政党は比例区に1人からでも候補を立てられるが、政治団体は衆院では定数の10分の2以上、参院では10人以上(選挙区と含めて)候補を立てなければならない
◎企業(法人)からの政治献金を受け取ることができる(政党以外の政治団体は、個人献金のみ受け取れる)

……等々。

しかしどんなに悪あがきをしても、選挙区で勝ち残れるような奴はいない。
比例区でも無理だろう。
全員落選という事態が待ち受けている。
残るは、中村喜四郎と大江康弘の二人。
党の存続は中村喜四郎次第ということになる。
大江康弘なんて男は何の役にも立たない。

改革クラブという政党は、その存在自体が日本の政党政治史上の一大汚点と言えよう。

こんなところとバーター取引をしたり、統一会派を組んだり、自民党も情けない存在に成り下がってしまった。




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100日・鳩山内閣

2009-12-25 20:52:09 | 鳩山由紀夫
海の向こうでは、政権発足後100日間はハネムーンと称して、マスコミも暖かく、忍耐強く政権批判を手加減するとか。
この国のマスコミにそんなものがあったのかどうかは分からない。
批判は控えめにしていた、などと言うところもあるかも知れない。
少なくとも産経は違っていただろう。
政権発足直後から、いや総選挙期間中も、解散する前からも、ずうっとずうっと昔から自民党の敵は産経の敵、と思い定めて攻撃しているのだから。

100日目が鳩山の弁明会見となった。
単なる偶然か、それとも検察の陰謀か。
検察の目にはマスコミの民主党叩きは生ぬるいと映っていたのだろう。
今日からは心おきなく民主党叩きをやるように、という検察からのメッセージだったのかもしれない。

麻生政権もそれなりに批判はされていたが、なんとなく「間抜けな麻生内閣」を揶揄するという感があった。
一方、鳩山・小沢への批判は、命まで取ってやろうかという力の込めようである。

幸いなことに材料は山ほどある。

一つ一つ挙げていけばきりがないので、一つだけ取り上げる。

予算に絡んで、小沢の要望が鳩山に突きつけられた。
マニフェストの変更を要求したのが子供手当に所得制限を設けることと、暫定税率の維持であった。

小沢支配と言われたくない鳩山としては両方を呑む訳にはいかない。
両方を蹴るのは後の祟りが恐ろしくてできることではない。
結局鳩山の選択は、金のかからない方であった。
所得制限で浮く金は大した金額ではない。
暫定税率を残した方がやり繰りは楽になる。
小沢もそのくらいの決着を想定していたのかもしれないが……。

この選択が正しかったのかどうかは時間を経た後でなければ分からないだろう。

所得制限を設ける場合の基準は800万円程度とか、一部には2000万円という声も出ていたようだ。
800万で線引きした場合、対象から外れる人は多少の不満は覚えるだろう。
しかし、それほど切実な痛みを感じる訳ではない。
2000万なら尚更である。
子育てを終わっている人も多いはずだ。

ところが、暫定税率の方は切実である。
公共の交通機関が整っている都市部と、車無しでは生活が出来ない地方の住民を区別せずに行う世論調査の結果を盾に、「国民が臨んでいるわけでもない」などと勝手な理屈で約束を反故にする。

取って付けたように、「環境問題のために」などと言い訳する。
そういえば、たばこの増税に関しても、「健康のために」などと言っていた。
要は金が欲しいだけだろうに。

麻生もそうだったが、鳩山も体裁よくしゃべろうとし過ぎる。
無理に敬語を使おうとして、奇妙な日本語になる。
言葉に、自然と伝わってくる人間性が感じられない。
「宇宙人だから」と言ってしまえばそれまでであるが。

鳩山のために一言弁護をすれば、総選挙が8月30日、その結果を受けて鳩山内閣発足が9月16日である。
ところで、2010年度予算の概算要求は8月末までにまとめられている。

予算(Wikipediaより)
通常、8月末に各省から提出された概算要求を財務省が査定して年末までに財務省原案として作成し、復活折衝を経て政府案を決定する。この政府予算案を1月中に国会へ提出し、3月末日までに成立するようにする(財政法第16条~第28条)


鳩山内閣成立前に、概算要求はできあがっていたのである。

10年度概算要求、最大の92兆円 民主、やり直し明言 (asahi.com 8/31)
10年度政府予算の概算要求で、一般会計の総額が09年度当初予算比約3兆5800億円増の約92兆1300億円に上る見通しになった。社会保障費や国債の元利払いが増え、概算要求額は初めて90兆円を超えて過去最大となる。ただ、民主党は概算要求のやり直しを明言しており、予算編成の見通しは不透明だ。


麻生内閣のもとですでに役人達は92兆円を超える概算要求をまとめていたのだ。
事業仕分けで、仕分け人達が戦っていたのがこの幻の概算要求だったのだ。
役人達も、自分たちがいい加減な要求をしていたのではないと証明しなければならない。
抵抗が強かったのも当然であろう。

10年度予算案を閣議決定 一般会計92.3兆円で最大 (asahi.com 12/25)
鳩山内閣は25日、2010年度予算案を閣議決定した。「子ども手当」など民主党が政権公約(マニフェスト)に掲げた主要政策を盛り込み、一般会計は過去最大の92兆2992億円。公共事業費は前年度当初予算比18.3%減と大幅に削減した。

 歳出は09年度当初予算を4兆円近く上回り、2年連続で過去最大を更新。社会保障費は9.8%増やした。鳩山政権が掲げる「コンクリートから人へ」の姿勢を示した。


”過去最大を更新”と言うけれど、麻生内閣のもとでまとめられた概算要求と同水準である。
子供手当その他を盛り込んでのこの数字は、まあまあ健闘したと言えるかもしれない。

無い袖は振れないが、それでも工夫をこらし、自分の信念・哲学を貫くのがステーツマン(statesman)というものであろう。





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天皇の政治利用がいけないのなら

2009-12-23 17:03:13 | 政治
天皇が中国副主席と会談を行った。
「特例」会談というような呼び方をしているところも少なくない。
ことさら「特例」などという言葉を冠することはあるまい。
政府が決めて行った会談である。
「特例」というのは宮内庁の内部ルールからはずれているからだろうが、そもそも宮内庁の内部ルールが政府を縛ることは出来ようはずがない。
鳩山内閣にとっては「特例」でもなんでもない。

自民党も共産党もマスコミも、天皇の政治利用としてこれを非難している。

しかし日本の歴史をみても、天皇が政治的存在でなかったことは希有であろう。
本来、天皇は支配者であり、その権能を有力な臣下に委ねていたときでさえも、政治的権威は天皇に依っていた。
権力はその源を天皇の権威に依拠し、天皇を擁することが権力の維持につながっていた。
鎌倉幕府以来の武家政権も、そして明治政府もまたその正統性を天皇に求めていた。
マッカーサーも日本統治の観点から天皇制を存続させたのではなかったか。
現憲法下における天皇制も統治の便宜性から存続し得たのである。
言い換えれば、マッカーサーもまた天皇を政治利用し、日本国憲法を作ったのである。

自民党の連中が言うように、あるいは民主党内にもいるし、マスコミはほぼ全部がそうであるように、天皇の政治利用がいけないと言うのならば、憲法から天皇に関する条文を削除すればよい。
そうすれば天皇は一私人として生きていける。
私人となった元天皇をどう利用しようとそれは私人間の契約なり約束事である。
政治利用などと非難されることもない。

自民党も張り切っている。
「天皇陛下の政治利用検証緊急特命委員会 」と言うようなものまで作ったらしい。

天皇の特例会見問題で有識者らが小沢氏や首相官邸の対応を批判 (産経ニュース 12/17)
自民党の「天皇陛下の政治利用検証緊急特命委員会」(委員長・石破茂政調会長)は17日、党本部で会合を開いた。出席した有識者らは、天皇陛下と中国の習近平国家副主席との「特例会見」を働きかけた民主党の小沢一郎幹事長や首相官邸サイドを批判した。

 大原康男国学院大教授(皇室制度史)は特例会見があった15日は宮中で「賢所御神楽(かしこどころみかぐら)の儀」の祭祀が行われたことを明らかにし、「(お出ましになった)天皇陛下がお心を安らかに保たれなければならない日だった」と語った。小沢氏が「30日ルール」を「法律ではない」と発言したことには「宮内庁は宮内庁法第2条に基づきルールを作った」と反論した。


同じ会議が自民党のホームページにも掲載されている。

大原教授は「習副主席は、胡錦濤国家主席の後継者といわれながらも、まだ確立されていない。ある種の有能な政治的実績を与えるという効果があったことは間違いない」と述べ、天皇陛下の政治利用につながったとの考えを示した。百地教授は、今回の会見は憲法7条に定められた「国事行為」でなく「公的行為」としたうえで、「宮内庁が皇室をお守りし、政治的中立性を確保するために毅然とした態度を取るのは当然」と述べ、羽毛田信吾宮内庁長官の対応を擁護した。出席した議員からは「閉会中審査を行い、内閣総辞職を求めていくべき」など政府を徹底追及すべきとの意見が出された。

「特例会見があった15日は宮中で「賢所御神楽(かしこどころみかぐら)の儀」の祭祀が行われたことを明らかにし、「(お出ましになった)天皇陛下がお心を安らかに保たれなければならない日だった」?


これは天皇家のいわば私的儀式である。
象徴天皇の国事行為とも、国家の政治ともまったく関係ないものである。
まったく無視しろとは言わないが、政治の要請に優先すべきものではないだろう。

ところで自民党の「天皇陛下の政治利用検証緊急特命委員会」は何を追求しようとしているのか?
論点は二つあるようだ。
宮内庁の30日ルールを無視したこと。
天皇を政治利用したこと。
この二つであると思われるのだが、どうも焦点がボケている。

天皇に中国副主席との会見を要請したことが、天皇の政治利用として批判されるべき事なのか?
外国要人との会見等は主に外務省あるいは政府の要請に基づいて設定されるのではないか?

天皇特例会見:羽毛田・宮内庁長官の説明(概要) (毎日jp 12/12)
(抜粋)
 このルールは、国の大小や政治的に重要かどうかで取り扱いに差をつけるということなしに実施してきた。陛下の国際親善は、政府のやることとは次元を異にするもので、政治的な重要性、懸案、政治判断を超えたところでなされるべきだ。(今回の要請は)現在の憲法下にかかわる天皇陛下のお務めのあり方とか、役割とか、基本的なことにかかわることだと考えている。


羽毛田は、「国の大小や政治的に重要かどうかで取り扱いに差をつけるということなしに実施してきた。」と言っているが、そもそも”国の大小や政治的に重要かどうか”は政府が判断すべきことで、宮内庁が判断すべき事ではないだろう。
「陛下の国際親善は、政府のやることとは次元を異にするもの」ということもおかしな言い分である。
政府と無関係に国際親善を行うというが、それではだれの判断で国際親善や各種行事が設定されるのだ。
宮内庁の独断で決められるのか?
天皇が自身で判断しているとは思えないが。

オバマ大統領が来日したとき天皇はオバマと会談を行っている。
これは政治利用ではないのか?
これは政治利用ではなく、中国副主席の場合は政治利用なのか。
政府と次元の異なったところでこんなことが行われたら大変なことになる。
天皇が政府と関係無しに、会見相手を選び、外国の要人を招待し、外国へ出かけていく。
そんなことを宮内庁が独断で決められるのか!
それこそ宮内庁による天皇の政治利用になってしまうだろう。

今度の場合は、国のトップではないにしろ、副主席という公的な地位にある人物である。
国際親善という観点からは十分に果実は期待できよう。

結局、問題は30日ルールを破ったことだけではないのか?

しかし、それだけなら問題は大騒ぎするほどのことではない。
宮内庁の内部ルールが内閣の意志に優先するはずもない。
こんな些細な問題を騒ぎにしてしまった鳩山政権の不手際はあるが、自民党やマスコミそして右翼勢力の非見識のほうが際だっただけの騒ぎである。

大山鳴動してネズミが1・2匹。
「天皇陛下の政治利用検証緊急特命委員会 」というのも、いつかひっそりと消滅していることだろう。

さて1~8条までを削除したら、次に以下の手続きが必要になる。

日本国憲法
第96条 この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。


憲法改正の公布が天皇としての最後の仕事となる。

1~8条までを削除すれば、9条が先頭に来る。
いっそ、すっきりした憲法になるかもしれない。

自民党は「首相巨額脱税追及チーム」、「鳩山不況対策PT」、「天皇陛下の政治利用検証緊急特命委員会」とか、チョロチョロ動き回っているが……。

かつては政権政党であったという矜恃をもって、自分たちの政策を固めることに専念したら?




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民主党の誤算と小沢の計算

2009-12-22 07:01:13 | 小沢一郎
このところ小沢幹事長が元気だ。
体調もいいのだろう。

600人を率いての中国訪問。
羽毛田長官への強烈な叱責。
そして鳩山内閣の予算編成への衝撃的なダメ出し。

特に予算編成へのダメ出しは鳩山と小沢の関係、党と政府の関係の大転換を示すものになりそうだ。

鳩山は政権発足時に小沢を幹事長に据え、政策と党務との分離を明確にした。
小沢は党務・選挙に専念し、政策には口だししないということも自ら明言してもいる。
その小沢が予算に口だしをしてきた。

公約修正、小沢氏主導…「内閣一元化」形だけ (YOMIURI ONLINE 12/20)
◆自ら財源試算

 「財源がなければ政策はできない。暫定税率は維持する。土地改良の予算も半減だ」

 15日夕、衆院2階にある民主党幹事長室。小沢氏は高嶋良充筆頭副幹事長(参院幹事長)と細野豪志副幹事長にこう告げた。

 子ども手当の所得制限も、小沢氏が決めた。


確かに、内閣への政策一元化という看板と矛盾する面もある。
しかし各種陳情を党で一元的に受け付け、党がそれを政府に取り次ぐというやり方を作り上げた時点でそれは分かっていたことではある。

小沢幹事長から政府に出された要望の中身もまた論議を呼んでいる。
政策の目玉である子供手当と暫定税率廃止に変更を迫ったからである。
これへの対応次第ではまた鳩山内閣の支持率に影響がでそうである。
財源不足の政府に対する助け船という見方もあるようだ。
小沢が憎まれ役を買って出たという解釈らしい。

しかし小沢が憎まれれば結局民主党にはね返ってくるのではないか。
小沢が憎まれたからと言って、鳩山の指示率が上がるとも思えない。
時事通信と朝日の世論調査で鳩山内閣の支持率が50%を切った。

今年5月に小沢の代表辞任を受けて民主党の代表選が行われた。
その前には小沢に辞任を要求した議員もいたし、鳩山の対抗馬の岡田も、鳩山124票に対し、95票を獲得している。

更に遡ると、一昨年11月の大連立騒動がある。
小沢が当時の福田康夫自民党総裁との間で大連立の話を進めたが、党幹部の反対に会い断念、代表辞任を表明した。まもなく辞任は引っ込めたが、そのころはまだ小沢の絶対権力は確立していなかった。
それが今や、渡辺恒三が歯切れの悪い小沢批判をする程度で、党内には表向き小沢を批判する声はまったく影を潜めてしまった。

総選挙後、小沢への権力集中が加速度的に進んでいる。
総選挙における民主党の勝利は、小沢の勝利であった。
民主党政権の産みの親であり、党の人事と金を握る幹事長である。
そして小沢グループ50人と新人議員143人を囲い込んだ小沢は200人近くの大勢力を率いている。

鳩山が政権運営に四苦八苦しているのをよそ目に小沢は党内支配と選挙対策に専念していた。
鳩山の無能と小沢勢力の急拡大は多くの民主党議員にとっては想定外であったろう。

今、鳩山がぶら下がりの記者会見で、暫定税率の維持を言っている。
理由として、環境問題を考えての判断などと、取って付けたようなことを言っている。
無能な正直者は許せるが、無能な嘘つきは許せない。

「わたしが決断します」をこれまでさんざん繰り返していたが、内閣総理大臣が決断するのは当たり前である。
わざわざ口に出して言うことではない。
しかし、今回の決断は何だ!
「小沢に従う」ということを決断しただけではないか。
バカバカしい!


気を取り直して続けよう。
小沢の要望には、自民党潰しの狙いも入り込んでいるようだ。

因縁の野中氏、民主が小沢氏対応拒む 土地改良費陳情 (asahi.com 12/19)
民主党が来年度予算要望で、農業基盤整備のための土地改良事業費半減を掲げたことから、全国土地改良事業団体連合会(全土連)の会長を務める野中広務・元自民党幹事長が、民主党へ21日に陳情に訪れる予定であることがわかった。しかし、民主党はかつて野中氏と激しく対立した小沢一郎幹事長による対応を拒んでいる。


事業費を半減してくれ、などという陳情はあるはずがない。
これは間違いなく小沢の意思である。
方針そのものは大変結構であるが、これは陳情のとりまとめなんかではない。

最後は内閣の決断だ、と小沢は言う。
しかし、断れない要望は命令と同義である。
鳩山には拒否する意志も力もない。

小沢には、来年の参議院選挙での勝算があるらしい。
鳩山内閣の支持率低下など関係ないらしい。

小沢の選挙はいわば地上戦である。
握手とお辞儀と辻立ちそして名刺の手渡し。
更には、敵陣の搦(から)め手からの切り崩し。
風とか支持率とかマニフェストとかに関係ないところで、勝てるだけの状況を作り出す自信があるのだろう。

しかし、今回総選挙の大勝は小沢の地上戦だけのたまものかというと、それには多少疑問がある。
テレビの報道番組などで民主党の人気を高めてきた口達者な連中の力も大きい。
こちらはいわば、空中戦である。
こういう連中は、概して小沢の気にはいらないようだ。
論客ともてはやされ、テレビに引っ張りだこでも実際に選挙で落ちて政界から消えていった連中もずいぶん多い。

小沢の地上戦重視は頷けるのだが、それだけで勝利が得られると信じているように思えるやり方には一抹の不安を感じるのである。





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小沢民主党と鳩山内閣の危険な関係

2009-12-19 09:57:55 | 民主党
思ったより早かったのが、鳩山内閣支持率の50%割れ。
オバマ大統領の支持率も50%を割ってきた。
しかしこちらは1年かかっている。
鳩山のほうは3ヶ月である。

内閣支持続落、47%に=不支持3割超す-時事世論調査 (jiji.com 12/18)


(支持)46.8%+(不支持)30.3%=77.1%

一方のオバマ大統領。
(北海道新聞)
オバマ大統領、不支持率5割に CNN調査で支持上回る (12/05 19:19)
 【ワシントン共同】米CNNが4日公表した世論調査結果で、オバマ米大統領に対する米国民の不支持率が50%となり、支持率の48%を上回ったことが分かった。


先月末の各種調査で支持率は50%を割っていたがそれでも支持が不支持を上回っていた。
それが12月にはついに不支持が支持を上回ってしまった。

(支持)48%+(不支持)50%=98%

気づかされるのは、アメリカの有権者は98%が支持・不支持を明らかにしているが、日本では77%にとどまっている。
調査方法に違いがあるのかも知れないが、両国の有権者の意識の差を感じさせる数字ではある。

鳩山内閣はまだ支持が不支持を上回っていることが救いと言うようか。



政党支持率をみると、落ちているのは民主党ばかりではない。
自民党、公明党、共産党なども横ばいか落ちている。
増えているのは「支持政党なし」だけである。

概して多くの方が納得できる調査結果であろう。
有権者の意識は期待から評価へと移っているのである。
鳩山内閣はまだ有権者の期待に甘え過ぎている。
「まだ発足して3ヶ月ですから」などという言い訳は通用しなくなりつつある。
ボヤボヤしていると麻生内閣の支持率に並んでしまいそうだ。

内閣支持率の低下の最大の要因は鳩山由紀夫の、言われるところの”リーダーシップの不足”であろう。
萌芽は組閣段階から見られた。

鳩山内閣の顔ぶれが出そろったとき、意外感や違和感を感じたのはわたしだけではなかったろう。
颯爽とした新内閣の登場を期待していたわたしたちの前に現れたのは、なんとも不可思議な、統一感のない内閣であった。

総理         鳩山由紀夫 62  理系
 副総理・国家戦略  菅  直人 62  理系
 総務        原口 一博 50  松下政経塾・自民党
 法務        千葉 景子 61  社会党系
 外務        岡田 克也 56  官僚・自民党
 財務        藤井 裕久 77  官僚・自民党
 文部科学      川端 達夫 64  理系 民社党・東レ組合
 厚生労働      長妻  昭 49
 農水        赤松 広隆 61  社会党系
 経済産業      直嶋 正行 63  トヨタ労組
 国土交通      前原 誠司 47  松下政経塾
 環境        小沢 鋭仁 55  お友達(鳩山側近)
 防衛        北沢 俊美 71  自民党
 官房        平野 博文 60  理系 松下労組 お友達
 国家公安委員長   中井  洽 67  社会党系
 金融・郵政改革   亀井 静香 72  国民新党
 消費者・少子化   福島 瑞穂 53  社民
 行政刷新      仙谷 由人 63

 衆議院議長    横路 孝弘 68  社会党
 参議院議長    江田 五月 68  社会党

目立つのは社会党系・労組系議員の重用である。
しかも彼等は一般国民の間では必ずしも名を知られた存在ではない。
鳩山が彼等に何を期待したのか、わたしたちにはまったく見えなかった。
多分これは小沢の意向だったのだろうと推測する程度であった。
小沢が社会党系議員を取り込んでいるのも言われているところである。

小沢と距離を置くメンバーも混じっているが、いかにも不統一な感がある。
内閣全体の意思が見えないのである。
小沢の意向に沿いながら、小沢支配との批判を避けるために反小沢勢力もそろえるという配慮を働かせたという印象が非常に強い内閣である。

鳩山にさほど政治的定見があるわけではない。
「友愛」では求心力は働かない。
数人の鳩山側近以外の閣僚は、小沢との距離を測りながら行動している。
鳩山自身が小沢を中心とする太陽系の一惑星に過ぎないようにみえる。

「最後はわたしが決定します」
これは麻生の口癖であったが、鳩山も大好きなようだ。
決定出来ない人間のささやかな強がりであろう。

すでに次の民主党内閣の総理大臣の名前も取り沙汰されるようになっている。

鳩山には、小沢と喧嘩をすることも辞さない、と言うぐらいの覚悟で政治に当たって欲しい。
なんたって、内閣総理大臣なのだから。
そもそも亀一匹押さえつけられないでどうする!




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呪われた自民党…天皇の中国副主席会見問題

2009-12-16 16:22:24 | 自民党
なかなか収まりそうにない天皇の会見問題。
小沢の怒りの会見が火に油を注ぐ格好になっている。
争点はいくつかある。

宮内庁の30日ルールは、内閣を縛れるのか?
羽毛田宮内庁長官の政権批判は、そのやり方と内容が正当なものか?
中国副主席との天皇の会見設定は「天皇の政治利用」にあたるか?

これらについては前回投稿天皇の政治的利用と私的利用で簡単ではあるが取り上げたので今回は触れない。
さて、政権奪回を至上命題とする自民党に目を転じてみよう。
”天皇”という言葉を聞くと血が騒ぐ奴らがいる。

安倍元首相、陛下の政治利用を批判 メールマガジンで (産経ニュース12/12)
政権の暴走は危険水域に入った-。自民党の安倍晋三元首相は12日付のメールマガジンで、鳩山由紀夫首相が14日に来日する中国の習近平国家副主席と天皇陛下の会見について、通常の手続きを踏んでいないにもかかわらず実現を指示したことを強く批判した。
(後略)


「安倍晋三と産経」という最強コンビである。
鋭い批判が展開されるか、と思ったがインパクトはゼロ。
しょうがなくメルマガ本体にあたる。

安倍晋三はメルマガで二度この問題を取り上げている。
最初は12/12である。産経の引用はこれであった。
鳩山内閣 ルール破りの中国副主席、天皇陛下との会見ゴリ押し

これでは言い足りなかったのであろう。
12/14にもう一度書いている。
こちらは多少安倍晋三らしさがでている。

天皇陛下と中国副主席会見 断念すべき
天皇陛下の権威は日本国の権威であり、日本の歴史、文化、伝統はその権威と共に在るといってもよいでしょう。

鳩山政権が誕生し、岡田外務大臣が陛下の国会開会式に於けるお言葉にクレームを付けました。

そして今回、自分達の利益の為に、皇室の権威を売り渡すという暴挙を平然と行い、恥じるところがありません。

左翼政権の持つ共通の特性は「傲慢さ」です。

鳩山政権には先人が築き上げ、守って来た伝統、文化、権威に対する謙虚な姿勢は微塵も感じられません。


相変わらず寝言みたいなことを言っている。
一部のファンにはうけるのかもしれない。
「血が騒ぐ」奴がまだいる。

天皇陛下と中国・習近平国家副主席との特例的措置による会見に強く抗議する  (2009/12/14 )
まるで日本が中国の属国になった感があります。
元首ならいざ知らず、外務省も宮内庁の判断でも会う必要を認めていないのに、強引にルールを無視して面会することになりました。
このような天皇陛下を政治利用しようとする憲法違反に断固反対し、日本会議国会議員懇談会、神道政治連盟国会議員懇談会、真・保守政策研究会の同志と政府に対して厳重に抗議して参ります。
衆議院議員 平沼赳夫


天皇の政治利用ということに関しては、本家本元のような連中である。
「天皇陛下を政治利用しようとする憲法違反」というが、日本国憲法は「天皇の政治利用」なんてことについてはなんら触れていない。
(政治的権能を有しない、と規定しているだけである)
見過ごせないのが次の文言。
「外務省も宮内庁の判断でも会う必要を認めていない」
内閣総理大臣の言葉よりも、外務省や宮内庁の役人の判断を優先させると言っている。
まあ、すべて役人任せの自民党政治家(平沼は一時放浪しているだけ)ならではのセリフであろう。

「血が騒がない」のに騒いでいるフリをしている男もいる。
谷垣自民党総裁である。

天皇特例会見に野党反発 首相「間違っていない」 (asahi.com 12/14)

(自民党の)谷垣禎一総裁は13日の記者会見で、「この政権は権力の行使について抑制の感覚を持っているのか。特に、憲法の運用の中でも天皇と政治の関係は極めてデリケートなものだ。いまさら言うことでもないが、天皇の国事行為は極めて限定されている。日本の政治のデリケートな部分に対して権力をどう行使するかという方向感がめちゃくちゃだ」と語った。


テレビで見た谷垣の口調はことさら力を込めたものだったが、中身は焦点がぼけている。
「政治のデリケートな部分に対して権力をどう行使するかという方向感」
こんな言い方では、攻撃される方も痛くもかゆくもない。

なにはともあれ、民主党攻撃に足並みをそろえた格好なのだが、例によって、民主党に向けた攻撃がことごとく自分にはね返ってくるという呪いが懸かっている自民党。

前原がバラしてしまった。

天皇陛下・習副主席会見問題 前原国交相「自民党の方から要請が総理官邸に届いた」 (FNNニュース 12/15)
天皇陛下と中国・習近平国会副主席の面会実現問題は、意外なところに飛び火している。口火を切ったのは、前原国土交通相だった。
前原国交相は「元内閣総理大臣の方から話があったというふうに、わたしは聞いております。自民党の方から、そういう要請が総理官邸のもとに届いたと」と述べた。
また、平野官房長官は、「(12月7日に中曽根元首相が官邸を訪れているが?)官邸に来られたかどうかも、それは承知しておりません」と述べた。
これに対し、自民党の谷垣総裁は、「事実関係は把握していない」としたうえで、「責任転嫁だ」と反発し、泥仕合の様相も呈してきた。
中曽根事務所は、FNNに対し、「担当者がいないのでコメントできない」としている。


前原は、”元内閣総理大臣”とだけ言っていたが、平野官房長官が中曽根の名前をしっかり出している。
ついでに鳩山もぶら下がり会見で、

「あー、元総理からなどというようなことに関しては、いまの立場から申し上げることはいたしません。また、わたくしに直接そのようなおたずねはありませんでした」

肯定はしないが否定もせずに、前原・平野の話を裏付けている。
因果応報。

呪いは広がりを見せる。

宮内庁、外務省…広がる懸念 「亡国」批判も 天皇特例会見問題 (産経ニュース 12/15)
別の外交筋はこう解説する。中曽根氏ら自民党の政治家は「われわれが『ルール破りはダメです』と説明したら理解してくれたが、民主党側は、まるで中国の走狗(そうく)となった」という。
(阿比留瑠比)


ここで言う中曽根がバカ親かバカ息子の方かは判然としないが、自民党の政治家の代表として挙げているところからみると、バカ親の方なのだろう。
わざわざ「良識ある自民党政治家」の代表として挙げた中曽根が騒ぎの張本人というのでは産経の看板記者も格好がつくまい。





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天皇の政治的利用と私的利用

2009-12-14 19:09:40 | 政治
できることなら触れずに済ませたい話題の代表が”天皇”に関する問題であろう。
”天皇”に関して口を開こうとすると、何故かだれもが奥歯に物が挟まったような、歯に衣を二重にも三重にも着せたような、靴の上からかゆいところを掻くような物言いになる。

羽毛田宮内庁長官の説明要旨…「特例会見」 (YOMIURI ONLINE 12/12)
 陛下の外国賓客との会見については、希望日が迫って願い出が来ると、陛下の日程調整に支障を来し、繁忙を極める両陛下に想定外のご負担をおかけするため、1か月以上前に外務省から願い出をいただくルールを設けてきた。特に平成16年(2004年)以降はその前年に前立腺がんの摘出手術があり、ご負担軽減、ご高齢ということも考え、厳格に守ってもらいたいと徹底をしてきた経緯がある。

 しかし、中国副主席との会見の申し出が1か月を切った段階(11月26日)で外務省から宮内庁に内々にあり、ルールに照らして(翌27日に)応じかねるとの回答をした。外務省も了承していたのだが、その後(12月7日に)官房長官から、ルールは理解するが日中関係の重要性にかんがみ、内閣としてぜひ会見をお願いするという話があった。私としては、1か月というのは事務的に作ったルールにすぎないとの考え方もあるが、陛下をお守りするため政府内で重視されてきたルールであり、国の大小や政治的に重要な国であるかどうかにかかわらず尊重してほしいと申し上げた。


中国側の要請を伝えたのが小沢ということで、鳩山内閣は中国副主席の天皇との会見を是非にも実現したかったらしい。
力で押し切られた羽毛田宮内庁長官がその腹いせに会見で政府批判を展開したというところである。
羽毛田長官の記者会見は定例のものではなかったらしい。

天皇陛下と中国副主席の会見、宮内庁が政治利用を懸念 (Nikkei Net 12/11)
宮内庁の羽毛田信吾長官は11日、習副主席と陛下の会見を巡る経緯について急きょ、報道陣への説明の場を設け「ルールはこれまでも政府内で重視され、国の大小や政治的な重要性にかかわらず尊重してやってきた」と話した。


急遽、記者会見を開いて、自分の思いをぶちまけている。
「ルール」というのは、宮内庁側で定めたルールらしい。
「ルールはこれまでも政府内で重視され」とはいっても、自民党政府の話である。
民主党政府は、憲法と法律と常識に乗っ取って対応すればよい。

日本国憲法
第3条 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。
第7条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
   9.外国の大使及び公使を接受すること。


これまで気がつかないでいたのだが、天皇の外国訪問や外国首脳の接待は憲法上の国事行為としては挙げられていない。
中国副主席との会見も必ずしも憲法上の国事行為ではなさそうである。
類似行為を準国事行為とみる考え方があるらしい。

そこで中国副主席との会見を準国事行為と見なせば、鳩山内閣総理大臣の指示が優先する。
羽毛田長官は宮内庁ルールの存在について注意を喚起するだけでよい。
政府に対する批判は越権行為である。
しかも、わざわざ記者会見を開くなどもってのほかである。

先の読売の記事に戻る。

陛下の国際親善の活動は、政府の行う外交とは次元を異にしている。相手国の政治的重要性とか、国の大小とか、関係なく行われてきた。憲法下における天皇陛下の務めや役割という基本的なあり方にもかかわる。今回のことはルールの理念と整合性が取れないし、残念なことをせざるを得なくなった。陛下を政治懸案の打開役にとなったら、今の憲法下での陛下のなさりようと大きく狂うことになる。

 こうした懸念を伝えたが、聞き届けられなかったのは甚だ残念。もう二度とこういうことがあってほしくない。

 (「天皇の政治利用に当たる懸念があるということか」との記者の質問に)大きく言えばそういうことだ。政治利用といったことを超えたところで外国とおつきあいするのが陛下の国際親善のありようで、それを政治的に重要だとか政治的懸案があるからだとかということでしたら、天皇陛下の役割について非常に懸念する状況になるのではないか。


羽毛田長官は、今回の民主党・鳩山政権の要求を「ルール破り」そして「天皇の政治的利用」としても弾劾している。
しかし、国際親善が政治と離れて行われるはずもない。
良かれ悪しかれ”天皇”は、内閣の助言と承認によって行動する以上、政治的存在たることを免れ得ない。

いずれにしろ羽毛田長官の発言は、役人の分を超えたものである。

東京五輪招致に皇太子を担ぎ出そうとして、宮内庁に断られた石原慎太郎が悔しそうに吐き捨てていた。
「宮内庁のばかが余計なことをいって」
「宮内庁ごときが決める問題ではない」
とかの発言が伝えられていた。
宮内庁の拒否の理由は「皇太子の政治的利用」ということらしかった。
拒否したこと自体は正しかったが、理由は間違っていた。
じつは石原慎太郎の「皇太子の私的利用」であったのだが。

慎太郎にもほんのちょっとの理はある。
何が政治的利用であり何がそうでないか、「宮内庁ごとき」が決める問題ではない!




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ルース米大使の無礼とバカ産経

2009-12-12 08:52:08 | 政治
最近腹の立ったのが次の記事。
例によってバカ産経である。
しかし、ほっとくわけにもいかないので一言。

ルース米大使が日本側に激怒 岡田外相らの面前で大声張り上げる 普天間移設の年内決着断念で (産経ニュース 12/5)


東京都内のホテルで講演するルース駐日米大使=4日午後

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題をめぐり鳩山由紀夫首相が年内決着を断念したことに、米国側が激怒した。

 4日午後、日米合意に基づくキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市辺野古)移設を念頭にした、日米閣僚級作業グループ(WG)の検証作業が開かれた外務省4階大臣室隣りの接見室。

 関係者によると、少人数会合に移った後、米国のルース駐日大使がそれまでの穏やかな語り口を一変させた。「いつも温厚」(防衛省筋)で知られるルース氏は、岡田克也外相と北沢俊美防衛相を前に顔を真っ赤にして大声を張り上げ、年内決着を先送りにする方針を伝えた日本側に怒りをあらわにした、という。

 いらだちを強める米国側の姿勢は、会合後、首相官邸を訪れた岡田、北沢両氏から鳩山由紀夫首相にも伝えられたとみられる。


これについては後日岡田外相が明確に否定したこともすでに伝えられている。

外務大臣会見記録(平成21年12月8日(火曜日)15時40分~ 於:本省会見室)
「ルース大使との議論も、誰かが見ていたようなことを書いていますが、全くの創作です。もちろん、ルース大使もしっかりと自らの主張を言われましたが、別に顔を真っ赤にするとか、怒鳴り上げるとか、冗談じゃないと思っております。私(大臣)、北沢防衛相、ルース大使と通訳しかいませんから、何を根拠にそのようなことを言っているのかと思います」


岡田と産経のどちらの言うことを信じるかは人それぞれであろう。
しかし、許せないのは産経である。
ねつ造かどうかはひとまず措く。

産経が責めるべきは、岡田ではなくルース大使の方である。
一駐日大使が、相手国の外務大臣に対して「顔を真っ赤にして大声を張り上げ」た無礼をこそ責めなければならない。
ルース大使の態度は植民地現地政府に対する宗主国のそれではないか!
もしこれが事実であるならば、日本政府はアメリカ政府に対して強く抗議し、大使更迭を要求すべきであろう。

もっとも日本国内に置かれている基地の有様やこれまでの日本政府の対応を見れば、アメリカが日本を植民地と勘違いするのも無理はない。

産経相手に腹を立てるのも大人げないが、記事に掲載されている写真もよく見るとまったく別の場面の写真であり、怒っているように見える効果を狙っているだけのことであるのがアリアリである。
まったく卑劣なやり方である。

こういう連中がはびこっている間はアメリカの勘違いはまだまだ続くだろう。





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鳩山兄弟とか自民党とか細々したこと

2009-12-10 15:44:23 | 政治
どうもわたしが勘違いしていたらしい。
検察の二階に対する姿勢の変化についてである。

11月29日の投稿(しぶとい検察・甘い鳩山)の次の部分。
西松建設献金事件:二階氏秘書、立件へ 規正法違反容疑で (毎日jp 11/28)という記事に関して)

「今になって、二階側立件に検察が動き出したとすれば、いよいよ検察は次の行動に移る準備に掛かったのかも知れない。
二階側の立件はアリバイ作りであろう。
本命は鳩山か小沢か?」

しかし、いざ検察が実際にこんな動きに出たという記事を読んでわたしは、もしかして検察の意図は正反対ではなかったか、という疑いを持った。

二階氏秘書を略式起訴、罰金命令 西松建設巡る献金偽装 (asahi.com 12/10)
準大手ゼネコン「西松建設」が自民党衆院議員の二階俊博・前経済産業相側への企業献金900万円を個人献金に偽装していた問題で、東京地検特捜部は9日、二階氏の長田(おさだ)武敏・政策秘書(63)を政治資金規正法違反(虚偽記載など)の罪で略式起訴した。東京簡裁は罰金100万円の略式命令を出した。


これは小沢・鳩山問題への逆アリバイではなかったか?
勝算のない、時の政権党との戦いから退却するための苦しい戦術だったのではないか。
これで幕引きをすれば、二階の法的責任は問わないで済む。
議員は会計責任者の選任・監督に関して責任を負うが、この立証はほぼ不可能らしい。
これを鳩山・小沢に適用すれば、検察は自民・民主両党に公平に対応したという面子は辛うじて保たれる。

それはそれとして検察は大きなダメージを負ったのは間違いない。
「国策捜査」などという言葉が国民の間にすっかり定着してしまった。

鳩山首相も上申書とやらで一件落着となりそうである。
その鳩山首相、頭上に懸かる黒雲はまだまだ消えない。

普天間基地移設問題 鳩山首相、岡田外相らと会談 「かなり詰まってきている」 (FNNニュース 12/8)
沖縄県のアメリカ軍普天間基地移設問題をめぐって、鳩山首相は8日も、岡田外相、北沢防衛相と会談し、アメリカ側に伝える政府の方針について協議を行った。会談後、鳩山首相は記者団に「かなり詰まってきている」と述べた。


沖縄県民に突き上げられ、社民党に小突かれ、アメリカに叩かれ、岡田も北沢も言うことを聞いてくれない。
マスコミもやかましい。
自民党も何か言ってるらしいが、これだけはみんなが無視している。
しかし、「詰まってきている」は、「行き詰まっている」の間違いではないのか。
「雪隠詰め」というのもある。

兄貴に比べて弟の方は知恵がある。
開き直りも堂々としている。
「見たことも触れたこともない」というママからの9億円についてである。

「ママから9億円」鳩山邦夫氏認めた (NikkanSports.com 12/9)
約3年ぶりに開いたという政治資金パーティーの冒頭、邦夫氏は鳩山家の“子供手当て”といわれる安子さんからの資金提供について突然認めた。「見たことも触ったこともないが、兄や私の知らないところで母の善意が届いていたのだろう」と話した。

「関係の方が母から借りてくれたのだろう」と経緯を説明

「政治家は個人支出の部分も多く、そういう形で(資金が)払われていたのかもしれない」と、使途にも言及した。


「個人支出」という言葉で巧みに政治資金から切り離している。
しかし、毎月1500万円の「個人支出」とは凄まじい。

「私の収支報告書には一点の曇りもない。虚偽記載という犯罪行為はしていない」

収支報告書に記載がないのは、「個人支出」つまりお小遣いや生活費だったというわけだ。
これだと贈与税と追徴金だけで済む。
ついでに兄貴の足を強烈に引っ張っている。
それとも兄貴に言い訳の仕方を教えてやっているのか。
仲がいいのか悪いのか。
少なくとも仲良し兄弟には見えないのだが……。

それにしても気の毒なのは自民党だ。
小沢を責めようとしても、党の選対責任者の二階俊博が同罪。
鳩山由紀夫を責めようとすると、鳩山邦夫が同罪。

それもこれも、こういうツキのない男を党首なんかに据えておくからか?


東京サバイバル情報  ☆一時避難せよ☆)様より拝借させていただきました。

そういえばこんなこともあった。

前内閣官房長官の河村健夫が先月、小学校の運動会でアキレス腱断裂、緊急手術を受け、その後しばらく車いす生活をしていたらしい。

官房機密費2億5千万持ち逃げ犯

競技は「必殺三段重ね」という障害物競走で積み木を三段重ね、お菓子をもらってゴールするという競走だったという。
一位でゴールしたのはいいが、お菓子とアキレス腱の交換は痛かったろう。

自民党は一度お祓いでも受けた方がいいかもしれない。





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森繁久弥と中川昭一・没後贈位について

2009-12-09 06:57:42 | 民主党
気分の悪い、亡霊のような制度が残っている。
ただし、森繁久弥その人には何の含むところはない。
森繁久弥の社長シリーズや駅前シリーズは面白かった。

故森繁久弥氏に従三位 政府閣議で 文化勲章につづき (産経ニュース 2009.12.8)
政府は8日の閣議で、大衆芸能分野初の文化勲章を受章し11月10日に老衰のため死去した俳優の森繁久弥氏(96)に従三位を贈ることを決めた。


森繁久弥に文化勲章をあげたのはいい。
国民栄誉賞をやるのもいい。
しかし、「従三位(じゅさんみ)」となると話は違ってくる。

「従三位」は、官位・位階ということになる。
そしてその位階に叙することを叙位という。
現在、生存者に対する叙位は行われないことになっている。

ところで官位・位階とは何か。
聖徳太子の冠位十二階が有名であるが、その後律令制度が整うにつれ江戸時代の終わりまでほぼ変化なく続いたものである。
官位・位階は”天皇の臣下”としての序列を表す。
一位から八位まで、そしてそれぞれに正・従があり、さらに四位以下には上下がある。
いわゆる公卿というのは、三位までと四位の一部(参議)が含まれる。
今で言う閣議の構成員である。

官位・官職の制度は明治維新と第二次大戦を経て大きな変化を受けた。
官職は職名は変わったが、今の公職に当たるものでこれは存続しているといってもいい。
叙位は死没者に限定してまだ残っている。

先日なくなった中川昭一には「正三位」が贈られている。
このことにも異議があるが、今回はなおさらである。

議員や公務員に位階を与えることさえ気分が悪い。
まして森繁久弥さんは正真正銘の民間人である。

位階は、天皇を頂点とする国家の支配機構のヒエラルキーである。
現行憲法では、国民は主権者であり、天皇の臣ではない。
天皇は国民統合の象徴であり、国民との関係は主従の関係ではない。
叙位は、死後の贈位とはいえ、国民を天皇の臣下として位置づけるものである。

現代においていかに意味づけを変えても、1000年以上の歴史の記憶は厳として残っている。
だからこそそんなものを名誉として喜び欲しがる者がいる。

森繁久弥は自分に「従三位」という官位が贈られることになったことを知らない。
もし、生前に贈位の事を知らされていたとしたら、
「おれはあのアル中の中川の下かい」と苦笑したかもしれない。
もっとも森繁が中川昭一を知っていたかどうかは分からないが……。
もしかしてテレビで何度も繰り返されたあの場面は見たことがあるかもしれない。



これが「正三位」の人物である。
ちなみに西郷隆盛は「正三位 陸軍大将」であった。
森繁も西郷さんの下であることについては何も言わないだろう。

死者に与える名誉の証であるから、などという言い訳は聞きたくない。

死んでから天皇の臣下に組み入れられることなどまっぴらである。
もっともわたしのような者が、官位・勲章など受ける心配は皆無ではあるが。

文化勲章があり、文化功労者があり、人間国宝があり、国民栄誉賞もあり、春・秋の生存者叙勲もある。
競馬に天皇賞があり、大相撲に総理大臣杯がある。
その他の表彰制度も無数にある。
それで十分ではないか!

戦後、生存者叙位・叙勲が廃止され、やがて生存者叙勲が復活したときもさすがに叙位はそのまま残されている。

栄典制度の沿革

(3) 戦後の勲章制度の推移
 ・ 日本国憲法施行と同時に、栄典制度のうち、爵位の制度及び金鵄勲章を廃止。
 ・ 昭和21年5月3日、閣議決定(「官吏任用叙級令施行に伴う官吏に対する叙位及び叙勲ならびに貴族院の議長、副議長、議員又は市町村長及び市町村助役に対する叙勲の取扱に関する件」)により、官吏等に対する叙位、叙勲は、新憲法が制定され栄典制度の確立を見るまで、外国人に対する叙勲及び文化勲章を除き、生存者に対するものは一時停止。
 ・ 昭和28年9月、閣議決定をもって、生存者であって緊急に叙勲することを要するものについては、叙勲を一部再開。(同年、西日本を中心として各地に風水害が発生し、これに対し、救難、防災、復旧に挺身した功労者が多数に上り、栄典制度活用の必要が痛感されたことによる。)

(4) 生存者叙勲の再開
 ・ 昭和38年までの間、歴代内閣により、栄典制度の検討が試みられ、3回にわたり法案が国会に提出されたが、いずれも成立には至らず。
(その後、国家再建に特別の功労のある人々に対する叙勲の必要性、現行勲章に対する内外からの高い評価を踏まえ、歴史と伝統のある従来の勲章を基本とした生存者に対する叙勲の早急な復活に向けた検討が行われる。)
 ・ 昭和38年7月12日、生存者叙勲の閣議決定。
(「生存者叙勲は、昭和21年5月3日および昭和28年9月18日の閣議決定により、緊急を要するものを除いて、一時停止したが、栄典制度に対する国民の期待その他の事情を考慮し、今回現行栄典制度による生存者叙勲を開始するのが適当である。」)


生前に駄目なものは死後でも駄目である。
位階制度は即座に廃止すべきである。

閣議で異議を唱えるものがいなかったのも不思議である。

福島瑞穂は黙って署名したのか!
法務大臣   千葉 景子   社会党系
農水大臣   赤松 広隆   社会党系
経済産業大臣 直嶋 正行   民社党系 トヨタ労組
文部科学大臣 川端 達夫   民社党系 東レ労組
官房長官   平野 博文   松下労組
国家公安委員長 中井 洽   社会党系

こいつらも全員いそいそと署名したのか。
時代が変わったのか、こいつらが変わったのか……。





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鳩山内閣の支持率の意味とは?

2009-12-07 19:55:53 | 民主党
読売が世論調査の結果を発表している。
鳩山内閣は、これだけ迷走を続けてもさほど支持率は落ちていない。
もちろん先日の事業仕分けの効果も大きいだろう。

オバマ米大統領支持率、50%割り込む=ギャラップ調査 (ロイター 2009年 11月 21日)
[ワシントン 20日 ロイター] ギャラップの調査によると、オバマ米大統領の支持率が50%を割り込んだ。医療保険制度改革法案や経済の弱さが支持率低下につながったことが示された。
 ギャラップによるとオバマ大統領の支持率は49%。18日に公表された米キニピアック大学の世論調査の結果でも支持率が48%となっていた。


これに比べて鳩山はよく持ちこたえている。
なにしろ相手はノーベル平和賞受賞者である。

内閣支持続落59%、「首相指導力ない」急増 (YOMIURI ONLINE 12/7)


読売新聞社が4~6日に実施した全国世論調査(電話方式)で、鳩山内閣の支持率は59%となり、前回11月調査の63%から4ポイント下がった。

 不支持率は29%(前回27%)だった。鳩山内閣の支持率は初めて6割を切った。内閣を支持しない理由では「首相に指導力がない」が27%(同13%)に急増した。米軍普天間飛行場の移設問題で、鳩山首相が年内決着を先送りする方針を固めたことなどが影響したとみられる。


鳩山内閣発足直後の読売の世論調査と比較してみる。

(9月16~17日調査)
鳩山内閣支持率  75%
民主党支持率   51%
自民党支持率   19%

今回調査
鳩山内閣支持率  59%
民主党支持率   42%
自民党支持率   19%


おかしいのは鳩山内閣の支持率は少し落ちているが、自民党の支持率は底を這いずり回ったままであること。
Q あなたは、鳩山内閣を、支持しますか、支持しませんか。
 答 1.支持する 59   2.支持しない 29   3.その他 5   4.答えない 7

SQ1【前問の答えが(1)の人だけ】
   支持する理由を、次に読みあげる6つの中から、1つだけ選んで下さい。
  答 1.政策に期待できる         27
    2.政治主導の政策決定を目指している 26
    3.首相に指導力がある        3
    4.首相に安定感がある        3
    5.閣僚の顔ぶれがよい        4
    6.非自民の政権だから        35
    7.その他              0
    8.答えない             2


鳩山内閣支持の理由の上位は、
非自民の政権だから        35
政策に期待できる         27
政治主導の政策決定を目指している 26


しかし鳩山の評価は散々である。

首相に指導力がある        3
首相に安定感がある        3


国民は鳩山政権を支持しているのではなく、民主党政権を支持しているのであり、何より非自民政権を支持しているのであると言えそうだ。
そのことは、次の数字でも裏付けられそうだ。

Q 鳩山内閣は、デフレや円高など、今の経済情勢に、適切に対応していると思いますか、そうは思いませんか。
 答 1.適切に対応している 20   2.そうは思わない 68   3.答えない 12

Q 鳩山首相は、偽装献金など自らの「政治とカネ」の問題について、国民に説明責任を果たしていると思いますか、そうは思いませんか。
 答 1.果たしている 10   2.そうは思わない 85   3.答えない 5

Q 鳩山首相は、偽装献金問題で元秘書が起訴された場合、その責任を取って辞任すべきだと思いますか、辞任する必要はないと思いますか。
 答 1.辞任すべきだ 37   2.辞任する必要はない 54   3.答えない 9


国民は鳩山内閣の見るべき所はちゃんと見ている。
その上で、それでも鳩山内閣を支持している。
とにかく自民党に戻すことなどとんでもないと国民は思っているのである。

一人それが分かってないのが自民党である。

首相追及チームを設置=偽装献金問題、通常国会向け準備-自民 (jiji.com 12/4)
自民党は4日、鳩山由紀夫首相の偽装献金問題を追及する「首相巨額脱税追及チーム」(座長・谷畑孝国対副委員長)を設置した。同日閉会した臨時国会で党首討論や衆院予算委員会の「政治とカネ」に関する集中審議が実現せず、同問題での首相の徹底追及はできなかったものの、来年1月召集の通常国会に向け、追及チームで準備を進める。
 メンバーは、町村信孝元官房長官や加藤紘一元幹事長ら衆院予算委理事や国対幹部らが中心。同日は小泉進次郎氏らが、国会内の国対委員会室前にチームの看板を掲示した。
 

自民党は完全に国民に後れている。
こんなことが自民党再生につながると本気で思っているところが情けない。

さきの世論調査にはもう一つ、質問事項がある。

Q 沖縄県にあるアメリカ軍の普天間飛行場は、自民・公明連立政権の時に、県内の名
  護市に移すことでアメリカと合意しています。普天間飛行場の移設は、合意通りに
  進める方がよいと思いますか、少しは修正する方がよいと思いますか、それとも、
  県外に移すなど、大幅に見直す方がよいと思いますか。
 答 1.合意通りに進める方がよい 26   3.大幅に見直す方がよい 26
   2.少しは修正する方がよい  32   4.答えない       16


国民も迷っているが、鳩山内閣の混迷も深まっている。

普天間方針、米側に近く伝える意向…首相 (YOMIURI ONLINE 12/7)
首相は首相公邸前で記者団に、「政府としての考え方を、いよいよ最終的に、どういうふうに米国に申し上げるかを決める時だ」と述べたうえで、米側に伝える内容を6日の岡田外相との会談で協議したことを明らかにした。


鳩山内閣は、雑音に惑わされることなく、日本国民の幸福を最優先に突き進むべきである。
独立国家たる日本が、終戦後の占領状態からの回復を要求することが何故できないのか?
押しかけ用心棒を仕方なく雇ったが、用心棒代の方が、泥棒に入られるよりも高くつく。




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アメリカ政府広報誌・産経─対米外交とは

2009-12-05 17:29:31 | 政治
8月30日の総選挙の結果を受けて産経新聞社会部がtwitterに載せた言葉が、

でも、民主党さんの思うとおりにはさせないぜ。これからが、産経新聞の真価を発揮するところ。
1:36 PM Aug 30th webで


抗議が殺到したと見えて、翌日謝罪。

下記の発言について、たくさんの厳しいご意見をいただきました。軽率な発言だったと反省しています。ご不快の念を抱かれた方には、お詫び申し上げます。
1:15 AM Aug 31st webで


そして釈明。

産経新聞は、保守系の「正論路線」を基調とする新聞です。発言は、新政権を担う民主党に対し、これまで自民党政権に対してもそうであったように、社会部として是々非々の立場でのぞみたいという意思表示のつもりでした。
1:15 AM Aug 31st webで

「これまで自民党政権に対してもそうであったように」
ということは、政権与党べったりということかと思ったら、「是々非々」だったらしい!
しかし、産経が「自民党さんの思うようにはさせないぜ」と言ったことは多分なかったろう。
産経らしく幼稚な言い訳であった。

普天間基地移転問題が訳の分からぬ状況になっている。
岡田外務大臣、北沢防衛大臣の言うことがバラバラ。
福島瑞穂がケツをまくって連立離脱を言いだす。
鳩山は今になってグアム移転を言ったとか言わないとか。
橋下大阪府知事が関空受け入れ。

ところで産経のいう「正論路線」とはこれか。

【正論】拓殖大学大学院教授・森本敏 国家を揺るがす日米同盟の危機  (産経ニュース 2009.12.4)


このところ急速に株価が下落し、円高もすすみ、デフレ現象への危機感が広がっている。政府・日銀はこれに対して、追加的な金融緩和策を取ろうとしている。これは当面の危機に対処するための適切な措置かもしれない。しかし、先般、米議会で海兵隊のグアム移転経費の7割を削減する法案が採決されたり、トヨタのリコール問題が起こったりしたことを合わせ考えると、これら一連の変化の背後に米政府の意図が介在しているような気がしてならない。


トヨタのリコールは米政府の陰謀だったのか。
「これら一連の変化」すなわち、急速な株価の下落も円高もデフレ現象も、「背後に米政府の意図が介在している」のではないか、と森本氏は疑っているらしい。
これはアメリカ政府に対する弾劾の文ではないか。
同盟国たるアメリカが、日本が思い通りにならないから、陰でこそこそ嫌がらせをしている。
そんなアメリカに対する怒りの表明か、と思ったらどうやら違うらしい。
こいつにそんな骨があるはずがない。

確たる証拠があるわけではないが、米国のアフガン新戦略を同盟諸国や中国、インドにまでオバマ大統領が直接電話をして事前説明しているのに、鳩山首相には電話さえなかったのも、同様の背景要因がある。すなわち、これには明らかに米政府の日本政府に対する不快感とそれに基づく政治的圧力が存在すると見るべきである。

確かに「日本政府に対する不快感とそれに基づく政治的圧力が存在する」かもしれない。
で、それがなにか?

ワシントンではオバマ訪日を延期すべきだという意見さえ一部にあった中で、オバマ大統領は訪日を決断し、11月13日には2回目の首脳会談をやった。実質的な内容のない会談であったが、ともかく日米同盟深化のための政府間協議と普天間問題を話し合う閣僚級会合という2つの枠組みを作ることだけは合意した。その直後、鳩山首相がシンガポールで普天間基地問題に関するオバマ大統領との約束を反故(ほご)にするような発言をした。米国の温情と忍耐もここまでだった。

「米国の温情」とは何なのだ?
そんなものを受けた覚えはないが。
オバマが日本にやってきたことか?

ゲーツ国防長官が訪日して、相当に不快感を持って帰ったが、国防長官をなだめることができたのは、キャンベル、グレグソン両次官補など知日派による説得ではなかったのか。しかし、その忍耐も限界に来つつある。こう考えると、最近、日本を取り巻く経済状況の裏に、米政府の意図が介在していても不思議ではあるまい。

外交とは相手をなだめることではない。
そういうのは阿諛追従という。
不快感を抱いたのはゲーツではなく日本国民の方ではなかったか!
「日本を取り巻く経済状況」が米政府の嫌がらせだとしたら、それは誠実な同盟国の取るべき態度ではあるまい。
そのような米政府こそ責められるべきではないのか。

米国にしてみれば、日本は米国の期待を裏切ることばかり重ねているように見える。普天間基地問題は日米間で約束したのに、これを実行するどころか今までの経緯を検証すると言いつつ、決断を先送りしている。沖縄の現状を見ると、事態はますます深刻になりつつある。インド洋から海自を撤退する代わりではないが、5年で50億ドル(約4500億円)の民生支援をコミットして金で済ませようとする。また、日米地位協定の改訂を提起しようともしている。

 在日米軍への接受国支援(HNS)を事業仕分けの対象にして減額しようとする。米国外しの東アジア共同体を提案する。そして、日米間の核密約を暴露しようとしている。これが同盟国の対応なのか。日本民主党は、自民党政治の仕組みだけでなく、日米同盟も排して新しい政治を試み国民人気を取ろうとしているのではないか。日本民主党が主張する「対等」な日米関係というのはこういうことだったのか。


「米国にしてみれば」?
ここに来て、森本氏の立ち位置が明らかになる。
”温情”といい”忍耐”といい、すべてアメリカ政府の側に立った見方である。
しかし不思議な物言いをする人間である。
日本国民の感情には目を向けることなく、アメリカ政府の立場からのみ物を言う。
大体、核密約など、とっくにアメリカの方で暴露しているではないか。

米国の疑念はこういう気持ちに要約されよう。われわれは米国が日本の政治に失望しようが、期待はずれの気持ちを持とうが、日本の国益を追求するために必要だと思えば、米国に遠慮なく物を言うべきである。遠慮なく振る舞うべきである。

笑わせるな!
「米国に遠慮なく物を言うべきである。遠慮なく振る舞うべきである」?
自分がまず、「米国に対して遠慮なく物を言って」みろ。
米国の気持ちは分かるが、日本国民の気持ちは分からないか。

もう少し文章は続くのであるが、バカバカしいので引用はこの辺にしておく。
この下らない文章を長々と引用したのは、これと同じような論調がマスコミばかりでなく、日本全体にはびこっていると感じるからでもある。

「そんなことをしたら日米関係を損なう」
「そんなことを言ったらアメリカのご機嫌を損じる」

結局、日本国民の気持ちよりもアメリカ政府の思惑を優先させる、というのがこいつらの姿勢なのである。
日米同盟とは、アメリカの温情と忍耐の上に成り立っているらしい。

たまには「そんなことをしたら、日本国民が不快に思うからよしたら?」と、アメリカ政府を諫めてやれ。
だれも言わないから、彼等はいつまでも分からないのだ。

ルースというアメリカの駐日大使が怒ったとか。

ルース米大使が日本側に激怒 岡田外相らの面前で大声張り上げる 普天間移設の年内決着断念で

産経や馬鹿評論家どもはすぐに、「そら見たことか。アメリカを怒らせてしまった」と言いつのる。
産経は、自民党の機関誌と同時に、アメリカ政府の広報誌でもあるらしい。

2008/07/08民主党沖縄ビジョン(2008)
普天間基地の辺野古移設は、環境影響評価が始まったものの、こう着状態にある。米軍再編を契機として、普天間基地の移転についても、県外移転の道を引き続き模索すべきである。言うまでもなく、戦略環境の変化を踏まえて、国外移転を目指す。


民主党が普天間基地の県外・国外移転を目指していることは、もともとアメリカも承知のことである。
日本国民がその民主党を選んだ時点で、アメリカは日本国民の感情や意思がどこにあるかを考え直さなければならない。
それもまた同盟国としてのあるべき姿勢ではないか。
アメリカの独善的なデモクラシーを、一方的に押しつけようとしても、その国の国民感情に配慮することをしないやり方では、世界中どこに行ってもうまくいくはずがない。

わたしたちは、いつまでも終戦直後のウブでおとなしいままの国民ではないのだよ。




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独立行政法人役員公募の奇妙さ

2009-12-02 07:50:32 | 民主党
独立行政法人の役員の公募はちょっとおかしい。

独法:役員公募、50ポストに2386人 公務員OBは122人 (毎日jp 12/1)
天下りのあっせん禁止に伴い、鳩山内閣が初めて実施した独立行政法人・特殊法人の役員公募の応募状況が30日、発表された。28法人50ポストに2386人が応募。このうち公務員OBは122人だった。今後、所管する各省で設置する有識者会議による選考を経て、12月末に最終決定する。今回公募されたのは、鳩山内閣が9月29日の閣議で天下りとみられる内定人事を凍結した役員ポスト。当時は26法人42ポストだったが、その後に任期満了を迎えたものを加え、50ポストに増えた。

仙谷由人行政刷新担当相は11月30日午前の記者会見で「各大臣がよく管理し、公明正大な選考をしてほしい」と述べた。


確かに国民は、役人の天下りには怒っている。
それをやめるという民主党に期待して票を入れた人も多いだろう。

○独立行政法人の実施する事業について、不要な事業や民間で可能な事業は廃止し、国が責任を負うべき事業は国が直接実施することとして、法人のあり方は全廃を含めて抜本的な見直しを進める。
○実質的に霞が関の天下り団体となっている公益法人は原則として廃止する。公益法人との契約関係を全面的に見直す。
(民主党マニフェストより)


「法人のあり方は全廃を含めて抜本的な見直しを進める」ことに手をつけてもいないのに、理事が欠けたからといってその穴埋めをするのはおかしかろう。
国民はそもそもそれらの独立行政法人の大半は無用のもののはずだと思っている。
そこに天下った役員はどうせ仕事などしていないと思っている。
そんな役員の穴埋めを何で大急ぎでする必要があるのだ?
その役員ポストが空席で何かまずいことがあるのか。

たいていの独立行政法人の設置法では、
理事××名を置くことができる、というようになっているようだ。
上限まで埋めなくてはいけないわけではないだろう。

無駄な法人の、無駄なポストでも天下りでなければいいのか!
仙谷大臣の「各大臣がよく管理し、公明正大な選考をしてほしい」という言葉もおかしい。

来年度は4700公益法人も事業仕分け 仙谷刷新相方針 (asahi.com 12/1)
仙谷由人行政刷新相は1日の閣議後の会見で、補助金や天下りなどで政府と関係する約4700の公益法人の事業仕分けを来年度以降実施する方針を明らかにした。前原誠司国土交通相が閣議後の閣僚懇談会で提案し、仙谷氏が了承した。

 政府の行政刷新会議による事業仕分けでは、各省庁の事業を公益法人が独占的に請け負うなどして予算の無駄が生じる構造があぶり出された。これを受け、前原氏が「4700の公益法人の仕分けをして、内部留保や剰余金を予算に活用するべきだ」と提案した。

 仙谷氏は会見で「(公益法人を)逐次ピックアップし、存在そのものを問う観点から早急に検討に入りたい」と述べた。


”公益法人”とだけいっているが、まさかマニフェスト通りに独法も当然対象に入るのだろう。
そのとき、内閣の指示で採用した役員に、「無駄だから法人を廃止する」といえるのか。
無駄な法人の無駄なポストでした、と言えるのか。

と思ったら、どうも違うらしい。
独法は別のようだ。

「ようこそ独立行政法人役員公募のページへ」
独立行政法人役員の公募に当たって

 今般、独立行政法人改革の第一歩として、役員の公募を行うことといたしました。政府では、独立行政法人を活性化し、国民の信頼を回復するために、独立行政法人の抜本的な改革を推進することとしておりますが、この改革を成功させるためには、独立行政法人の側からも自発的、積極的に改革を推進できる、多様な能力を持つ独立行政法人の役員が必要です。物事を論理的に分析し、課題を解決していく能力や組織や人を動かす能力、また、中長期的な独立行政法人の運営方針などを計画し実行する能力など、独立行政法人の将来を切り開いていく人材を必要としています。
 独立行政法人改革にチャレンジし、私たちと一緒に日本を変えるという大きな挑戦に情熱を持って取組んでいただける方の応募をお待ちしています。

行政刷新担当大臣 仙谷 由人


「改革」という言葉はあるが、「全廃」などという言葉はどこにもない。
これでは独立行政法人存続宣言ではないか!

だいたい年収1400万~1800万という条件も、前任者と同じにしているだけだろう。
報酬の見直しもしないで無駄撲滅などと言えるか!

「天下り廃止」はいいが、それをアピールするために余計なことをしてしまったのが今回の公募であろう。





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