政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

千葉と茨城・二つの県知事選の意味するもの

2009-04-10 06:11:25 | 自民党
自民党内でにわかに5月解散の声が高まってきているようだ。
7月に東京都議選を控えた公明党にも”渡りに船”といったところらしい。
小沢問題、定額給付金、高速料金値下げ、北朝鮮ミサイルと追い風らしきものが続いているせいか。

森田健作の千葉知事選当選も追い風と思っているようだ。
森田健作は自民党隠しで当選した。
しかし、自民党隠しは当選が決まるまで。
その後本家に戻るつもりでいたようだ。

正式に千葉県知事に承認された森田健作氏、麻生首相と面会 千葉県の現状を訴える (FNNニュース 4/9)
当選直後、「堂々と中央にものを申す。そういう新しい、かっこいい千葉県をつくっていきたい」と話していた通り、森田氏は、31日に麻生首相と面会、4月1日には石原都知事と面会し、千葉県の現状について訴えるという。
森田氏は31日午前、当選証書を受け取るため県庁を訪れ、午前11時に当選証書を受け取り、正式に千葉県知事に承認された。
森田氏は「(当選証書を)授与された瞬間、よーし!と。今後4年間、絶対におれは、言ったことをやってやるぞと。そういう気持ちがぐーっと出てまいりました」と話した。
そして午後2時半、森田氏は首相官邸に到着した。
官邸での森田氏は、いつもの笑顔はなく、やや緊張した面持ちだった。
しかし、麻生首相を目の前にすると、笑顔全開で「どうも総理! 頑張りました」と握手を求めた。
そして森田氏は、麻生首相に直接、千葉県の現状を訴えた。
森田氏は「きょうはですね、アクアラインを800円にすることによっての経済効果、これは大変なものなのだから、今の千葉の窮状を考えると、何とか(通行料を)800円にしてくれと、話しましたよ。値下げができないというんだったら、目の前のニンジンいらないから、もうアクアラインなんてぶっ壊してくれと...」などと話した。
(あくまでも森田の話である)
森田氏は、選挙公約であるアクアラインの通行料を800円にすることについて、手応えがあったことを明かした。
森田氏は「最後に総理は、国交相に検討を指示すると。『前向きに考えてくださいますね』と聞くと、『そのようにする』と、そう言ってくださいましたんで、大成功ですよ。これは、土下座して頼めって言われれば、いくらでも土下座しますよ。『千葉県のためなら』と総理に言ったら、笑ってた。千葉県が頑張れば、首都圏はダイナミックに変わるんだから。ダイナミックに変われば、日本国も変わるんだから。皆さんもさ、森田と一緒に頑張ろう。頼むよ!」と話した。
(03/31 18:00)


ずいぶんと勇ましく談判に及んだようなことを言っている。
根っからの嘘つき男、これぐらいの脚色は嘘の内には入るまい。

4月5日の日経新聞にこれに関連した記事が載っている。
首長選、「風」占う春 「自・民」対決型が目白押し

新聞記事から打ち込むのは面倒なので、gooを検索していたらNIKKEI NETのほかにまったく同じ記事が意外なところに転載されていた。
菅義偉ホームページ

新聞、ネット版、菅ホームページともに記事内容はまったく同じものである。
菅義偉は自民党選対副委員長。麻生の側近中の側近と言われている男である。
菅版から引用しよう。(赤字は筆者の強調)

今春は2005年に市町村合併が急増した影響で、任期満了による地方の首長選が相次ぐ。衆院選を控えた国政を色濃く反映し、自民、民主両党による対決型の首長選が目白押し。西松建設の献金問題や北朝鮮への対処、危機管理など双方とも不安要因を抱えるだけに、地方選の勝利をテコに衆院選に向けて党勢を拡大しようと躍起になっている。
  「10分間、時間がとれる。首相官邸に来てくれ」。自民党の菅義偉選挙対策副委員長は3月30日朝、千葉県知事選で当選した森田健作陣営に電話し、翌31日の麻生太郎首相との面会を急きょセットした。森田氏の当選を「自民党の勝利」とアピールする狙いだった。
  自民党は麻生政権の支持率低迷もあり、今年に入り山形県知事選など重要な地方選で敗退を続けてきた。それだけに違法献金問題で民主党が失速後の4月のミニ統一地方選を「反転攻勢の好機」と見る。菅氏は1日、周辺に「当面は地方選に力を入れる」と漏らした。
2009年4月5日 日本経済新聞



菅が自分のホームページに転載するぐらいだから、内容に異存はないのだろう。

「10分間、時間がとれる。首相官邸に来てくれ」

森田は菅に呼びつけられ、いそいそとか嬉々としてか官邸に駆けつけた。
昔、青島幸男が時の総理佐藤栄作を国会の場で「財界の男妾」と呼んで物議を醸したことがあった。
さしずめ森田健作などは「自民党の下女か下足番」といったところか。
菅も千葉県知事を電話一本で呼びつけられる自分の権力の大きさをホームページでひけらかすこともあるまいに。
あいかわらず下品な男だ。

”森田氏の当選を「自民党の勝利」とアピールする狙いだった。”
森田の偽装無所属が表沙汰になってシナリオが狂った。
今度は自民党の方が「森田隠し」をする羽目におちいる?

もう一題、今度は茨城県知事選。

現職知事は橋本 昌。
自治省出身の現在4期目。
今年9月で任期が切れる。
無所属ではあるが、当初は自民党・新生党・新党さきがけ・日本新党の推薦を得ていた。
前々回選挙では自民・公明・民主・社民が推薦。
前回は公明と社民のみの推薦であった。
本籍不明。
現住所不定といったところである。

茨城知事選 元国交省次官の小幡氏擁立で調整 自民県連 (msn産経ニュース 2008.5.13)
来秋の茨城県知事選をめぐり、自民党県連(山口武平会長)が元国土交通省事務次官の小幡政人氏(63)=同県土浦市出身=の擁立を軸に候補者調整を進めていることが12日、分かった。党本部も小幡氏の擁立を容認、県連と連携して環境整備を急いでいる。現職の橋本昌知事(62)は現在4期目で、次期知事選への態度は明らかにしていないが、県連は小幡氏を橋本氏の後継と位置づけたい考え。今後、知事選に向けた各党・各団体の候補者選定が本格化しそうだ。
小幡氏は土浦一高から東大を卒業後、昭和43年に旧運輸省入り。鉄道局長、官房長などを経て平成13年7月から14年7月まで国土交通省事務次官を務めた。16年11月から今年3月末まで鉄道建設・運輸施設整備支援機構理事長を務めている。


その後、自民党県連は小幡氏擁立で固まったようだ。
ところが、この記事から1年経った現在に至るも橋本知事が態度を表明しないでいる。

茨城県知事選 橋本昌知事「5選」模索 (mns産経ニュース 2009.3.20)
9月25日に任期満了を迎える茨城県知事選で、「5選」への態度を保留していた橋本昌知事(63)が出馬へ向けた環境整備を水面下で進めていることが19日、分かった。昨年暮れごろから、複数の市幹部や市議団と相次いで会談し、知事選に関して意見交換。2月に県政要望に訪れた水戸市議団に対しては、「(県内の)44市町村のうち40市町村はこちらについてくれている」と自信を見せたという。

 関係者によると、共産党などを除く水戸市議団約20人が2月中旬、橋本知事と面会し、「出馬の際には支持する」と打診。橋本知事は、出馬を明言しなかったものの、県内の幅広い市町村からの支援に自信を見せたという。3月県議会での出馬表明の可能性については、「まだ早い」との見方を示したという。


多分現知事は五選批判を考慮して、態度を留保しているのだろう。
推薦の声が強ければ、やむなく出馬という形をとりたいものと思われる。
自民党としては橋本知事の意向を確認しないまま小幡擁立を決めたらしい。

’09知事選:県医師連盟、橋本知事に出馬要請 自民県連に改めて反旗 /茨城 (毎日jp 2009.4.1)

わたしはこれまで何度か茨城県医師会を取り上げてきた。
茨城県医師会の良心と良識 2009-01-31
茨城県医師会が変える政治風土 2008-09-20
後期高齢者医療保険を世論が追いつめた 2008-09-22

そしてこの医師会はこんな行動にも出ていた。
麻生首相に抗議文 茨城県医師会 (msn産経ニュース 2008.11.21 )
麻生太郎首相が19日の全国知事会議で「(医師は)社会的常識がかなり欠落している人が多い」と発言した問題で、県医師会の原中勝征会長は20日、麻生首相に対して発言の撤回と謝罪を求める抗議文を送付した。首相は同日、日本医師会の唐沢祥人会長に会い、発言を撤回し、陳謝している。
 抗議文では、「医療崩壊を招いた政府の責任者として看過できない」と指摘。「医師不足の中で労働基準法を無視し、週100時間以上勤務して救急医療を守っている医師は、確かに社会常識を逸脱している」と皮肉った上で、「貴殿(首相)の他人事のような態度こそ常識外」などと首相の発言を批判している。
 県医師会の政治団体「県医師連盟」は9月、全国の医師連盟では初めて、次期衆院選の県内全選挙区で民主党候補の推薦を打ち出している。


さて今回の報道の内容は以下のようなものである。
県医師会の政治団体「県医師連盟」(原中勝征委員長)は31日、今秋の知事選(9月任期満了)を巡り、去就を明言していない橋本昌知事に立候補を要請した。自民党の有力支持母体であるはずの県医師連盟が、知事候補に元国土交通省事務次官の小幡政人氏を推す自民党県連に改めて反旗を翻した形だ。自民党員でもある医師連盟幹部らは離党をほのめかすなど、県連との溝は一層深まっている。【八田浩輔】
後期高齢者医療制度など与党の医療政策に反対する県医師連盟は、従来の自民党支持の方針から一転、次期衆院選で県内全7小選挙区で民主党の立候補予定者を推薦している。会員は約1350人。橋本知事支援は3月17日にあった常任委員会で満場一致で決定した。
また、原中委員長は自民党県連の候補者選定過程について「有力者が指名して、追従したということに疑問を持ったのも事実だ」と話し、山口武平県連会長主導で小幡氏擁立が決まったとされる点に不満を漏らした。離党の意思を問われると「考えなくてはいけない時期かもしれない」と述べた。一方、県連幹部は「事実は確認していないが、非常に迷惑で困った話だ」と吐き捨てた。


茨城県医師会のこれまでの行動
◎後期高齢者医療保険制度に対して全国で最も早く反対の狼煙を上げ、反対行動を取ってきた。
◎次期総選挙で民主党候補支持を決定。
◎定額給付金の医師会有志による民主党への寄付決定。
◎橋本知事への出馬要請。

この一連の行動の底に流れるものは何か?
単純な民主党支援ではなかろう。
それは、自民党的な政治への決別とも言うべきもののように思える。
あるいは、「非自民」・「反自民」の意識であろう。
”多選”の弊害はもちろん承知のうえだろう。しかし、彼等は「自民党政治」よりはあえて多選の知事を選ぼうとしているように思える。

考えてみれば先の千葉県知事選挙では候補者全員が「無所属」を標ぼうした。
「無所属」は「非自民」と同義語だったのではないか?
有権者は「非自民」の候補者に投票したのではなかったか?
あらためて、「偽装・完全無所属 森田健作」の罪は大きい。
茨城県医師会の爪のあかでも煎じて飲ませてやりたい。





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2 コメント

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Unknown (ハピネス)
2009-04-10 10:16:15
中川(女)が一時総選挙後の政界再編を目指すなどと報じられていた通り、自民系の政治屋連中は皆自民党の組織票だけは欲しいという連中ばかりです。
今回の森田「犬作」wのような輩が出てきてそれに皆騙されるのではないかという懸念がありましたが今回計算した以上に大きく採りあげられ学習の機会があり、正直ほっとしたというのが感想です。
郵政反対で追放されて次期衆院選に出る無所属も警戒が必要です。やつらは今回以上に性質の悪い無所属議員ですから。選挙時は実際に無所属、当選後自民合流というパターンになること必至ですから。
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ハピネス様 (亭主)
2009-04-11 04:14:47
「無所属」という言葉がこれほど問題になったことはこれまでにはなかったことですね。
立候補届出における形式的な手続き上の問題ですませてきたことを森田に悪用されてしまいました。
これに近い例はこれまでにもたくさんあったものと思われますが、ここまで悪質な例はありませんね。
総務省や各地の選挙管理委員会がこれを許せば
、有権者は重要な判断基準の一つを失うことになります。
総務省は厳密な見解を出すとともに、誤魔化しのきかない手続きにあらためるべくすぐにも取り組んで欲しいところです。
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