政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

しぶとい検察・甘い鳩山

2009-11-29 15:55:13 | 民主党
なんで今頃?
これまで西松建設献金事件では、標的を小沢一郎に絞り、自民党側の議員の疑惑については徹底的に無視してきた検察である。
いかにも唐突な感のある検察の姿勢である。

西松建設献金事件:二階氏秘書、立件へ 規正法違反容疑で (毎日jp 11/28)
準大手ゼネコン「西松建設」が、自民党の二階俊博前経済産業相が支部長を務める「自民党和歌山県第3選挙区支部」に個人献金を仮装して寄付していたとされる問題で、東京地検特捜部は二階氏の政策秘書を政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で立件する方針を固めた模様だ。


この事件では小沢一郎は民主党党首の座を降ろされるところまで追い込まれた。
今更二階を立件しても、政権交代が実現した後では、重要性は決定的に小さくなっている。

東京サバイバル情報  ☆一時避難せよ☆様が鋭い見方を披露している。
和魂党「二階で時限爆弾作戦?」
そもそも、「辞任要員」じゃないのか?って思う次第。

政権交代後、ポッポやオザワンが追及されるのは予想できたし、そーなれば、
「なんで一方だけ?」って話も当然出てくる。
スパッと辞任すれば、「あいつは責任とって辞任したのに…」ですよね。


いわば、二階による道連れ心中説あるいは二階人身御供説と言えようか。
しかし、そこまで先を見通して二階を党の要職につけたとすれば、自民党にもなかなかの策士がいるということになる。

結果的にはその通りになりそうだ。
今になって、二階側立件に検察が動き出したとすれば、いよいよ検察は次の行動に移る準備に掛かったのかも知れない。
二階側の立件はアリバイ作りであろう。
本命は鳩山か小沢か?

母から首相側に月1500万円=5年で9億円、36億円現金化も-元公設秘書が供述 (jiji.com 11/26)
関係者によると、元秘書は母親側から現金で毎月1500万円を提供され、現金のまま金庫などで管理。必要に応じて持ち出し、鳩山氏の政治活動資金などに充てていたという。
 資金提供が母親からの贈与なら鳩山氏に贈与税の支払い義務が生じ、寄付であれば政治資金規正法の量的制限(年間150万円)に違反する可能性があるが、元秘書は聴取に対し、「母親から首相への貸付金だった」と説明しているとされる。


寄付でも上限オーバーでアウト。
贈与でも脱税でアウト。
残るは、貸付金だけである。

しかしこれが貸付金で通るならば、贈与税という税金を払う人がいなくなる。
贈与税の最高税率は50パーセントである。

こっそり贈与を受けていながら、ばれたら借入金であると言い訳する。
借り入れ証文もなし、利子もなし、領収書もなし、返済契約も無し、その実績もない。
こんなものを借入金と、税務署が一般人に対して認めることはあり得ない。
たとえ書類があっても疑ってかかるのが税務署である。

もしこれを借入金と認めることがあれば、法の権威・法の平等という観点からは決して許されまい。

この絶体絶命の状況を鳩山は、秘書の責任で済ませられるか。
あるいは追徴税金で済む話か。
民主党代表辞任で済ませられるか。
総理大臣辞任に進むか。
あるいは議員辞職にまで進むか。

いずれにしろ民主党は次の総理大臣の選定が必要になってくるかもしれない。
もしかするともう始めているのか?

民主党の政策には色々と疑問符が付きだしている。
そして鳩山・小沢に加えて菅副総理までお金の問題が取りざたされている。

それでも民主党は”国民の信を問う”などと、うかつに総選挙などにでてはいけない。
絶対に下野してはいけない。
トカゲのしっぽ切り、といわれてもいい。
自民党が気息奄々の今、完全にその息の根をとめるまでは政権にしがみついているように!
一回の総選挙で首相は四人まで代えられるのだから。

そして自民党が死んだら、その後は……?

そのときは、国民が賢明な選択をするであろう。





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自民党が党名変更?+頑張る産経

2009-11-26 08:29:40 | 自民党
自民党の動きもなかなかスピード感がある。
予想を超える機敏さである。

政権奪回へ自民が3理念、党名変更も検討課題 (YOMIURI ONLINE 11/25)
 自民党の政権構想会議が年内にまとめる政権奪回に向けた基本理念の原案が25日、明らかになった。

 政府の市場への過剰介入を避けることなど、三つの目標を掲げたほか、検討課題として党名の変更を挙げた。党所属議員の議論を経て、来年1月24日の党大会での承認を目指している。

 原案では「国民に『自由民主党』という党名に対する拒否反応がある」と指摘した上で、党名や綱領の変更を検討項目として提案した。党名変更は1993年の細川政権成立で下野した際も議論されたことがあるが、94年に村山政権で与党に復帰したことや、比例選での党名投票で不利になるなどの意見を考慮して、シンボルマークの変更にとどめた経緯がある。


早くも党名に見切りを付けたらしい。
「党名や綱領の変更」まで実行すれば、まるで別の党になれる?
勘違いはこの部分。
「国民に『自由民主党』という党名に対する拒否反応がある」
国民の拒否反応は、”党名”に対してではなく、これまでの悪業や議員達に対してなのだが。
党名を変え、綱領を変えて別人に成り済まそうとしてもそうはいかない。

しかし、この党名変更は是非にもやって貰いたい。
議論の過程でいろいろな動きが出てきて、瓦解の動きがさらに早まる。
新しい名前が決まった後でゴネる奴もでてくるだろう。
名前はしっかり持っていかないと、ちゃっかりと使う奴も出てくる。

一方、三つの目標として〈1〉資本主義制度を円滑に機能させる〈2〉民主主義を堅持する〈3〉社会の安定を確保する――ことを挙げた。その方策として、経済成長を通じた歳入増による社会保障分野の充実、多様な意見を反映できる選挙制度への改正、地域共同体を利用した国民の「協同連帯」の強化の必要性などを示した。

どれも立派な目標である。
誰にも反対できないだろうが、これでは民主党と区別がつかない。
”多様な意見を反映できる選挙制度への改正”というのは中選挙区のことか?
小選挙区での勝負は諦めたか。
”協同連帯の強化”というのは五人組のようなものなのかな。

さてこれをまとめた政権構想会議とは?
議長 谷垣禎一
議長代理 伊吹文明

委員  大島理森・田野瀬良太郎・石破茂・尾辻秀久・谷川秀善・加藤紘一・額賀福志郎・園田博之・村上誠一郎・野田聖子・河野太郎・西村康稔・井上信治・舛添要一・川口順子・丸川珠代・石田治一郎(長野県議会議員)・藤代耕一(横浜市会議員)


大物が揃っている。
案外、党名変更も実現できるかも知れない。
楽しみなことだ。

一方、その自民党を応援する産経も頑張っている。
わざわざ取り上げるほどのことではないのだが、あんまりおかしいのでご紹介したい。
朝刊一面のコラムというから、内部ではそれなりに権威があるのだろう。

【産経抄】11月25日
 本当に鳩山由紀夫首相は宇宙人かもしれない。自らの献金をめぐって次々と疑惑が明るみに出ようが、国会でろくな審議もしないで採決を強行しようが、米軍普天間基地をめぐって閣内がバラバラだろうが、支持率は6割を超えている。


確かに色々問題が多いのはその通りなのだが、それなのに支持率が6割を超えているというところが気に入らないらしい。
しかし、なんでそれが「本当に鳩山由紀夫首相は宇宙人かもしれない」という感慨につながるのか分からない。

▼メディアは、東京地検が首相の元秘書を政治資金規正法違反で立件する方針と報じたが、それでも「鳩山人気」は大して落ちないだろう。本人も偽装献金の原資が自らの資産とあっけらかんと認めており、世間の怒りもさほどでもない。

鳩山人気が落ちないのが面白くない。
本人があっけらかんとしているのが気に入らない。
世間の怒りがさほどでもないのも気に入らない。

 ▼きのうは首相の祖父である一郎氏が55年前に「日本民主党」を創設した記念日だったが、一郎氏の私邸である「音羽御殿」は、いまや都内屈指の観光スポットになっている。入館料500円を払って見物してきたが、邸内は中高年の善男善女であふれかえっていた。

入館料500円を取られたのがくやしい。
善男善女であふれかえっていたのが面白くない。

 ▼御殿は、一郎氏が大正13年、41歳のときに建てた豪壮なイギリス風洋館。広々とした庭といい、しゃれたサンルームといい、セレブな宇宙人が住むのにふさわしい。こういう恵まれた環境で育てば、2億や3億もちょっとした小遣いにしか感じないのかもしれない。

豪壮なイギリス風洋館が気に入らない。
広々とした庭が気に入らない。
しゃれたサンルームが気に入らない。
2億や3億もちょっとした小遣いにしか感じない金持ちがうらやましい。

 ▼誠にうらやましい限りだが、鳩山首相は6年前のメールマガジンで、こう発信している。「政治家は基本的に金銭に関わる部分は秘書に任せており、秘書が犯した罪は政治家が罰を受けるべきなのです」と。

 ▼秘書の罪が立証されれば、直ちに責任をとれ、とはいわないが、丼勘定がお好きな首相は経済の勉強が足りない。日経平均株価は就任時に1万円台を超えていたのに、今や9401円。869円も下がってしまった。欧米の株価は高騰しているというのにだ。市場は世間ほど甘くない。小手先の事業仕分けに熱中している暇はないはずだ。


ようやく結論に取りかかろうとしたが、嫉妬に目がくらんでいる筆者は何を言っていいか分からないでいる。
”丼勘定がお好きな首相”と切って捨てた積もりのようだが、余りにも唐突過ぎる。
ここは鳩山のどこを指して”丼勘定”というのか一言説明がいるところである。
”2億や3億もちょっとした小遣いにしか感じない”ということと丼勘定は直接には論理的につながらない。
”経済の勉強が足りない”というのも笑わせる。
麻生と比べたか、安倍と比べたのか。
二ヶ月で日経平均が869円下がったことを言うが、去年のリーマンショックの後では、そのくらいは1日で下がっていた。
”欧米の株価は高騰しているというのにだ”という、この部分だけは正しい。
しかし、その帰結が、”市場は世間ほど甘くない”というのでは、思わずため息がでる。
「小手先の事業仕分けに熱中している暇はないはずだ」というのは、国民の間に無闇と評判のいい事業仕分けをやめさせようとする陰謀か?

妬みと当てこすりは目一杯盛り込んでいるが、論理性は完全に欠如しているこんな文章が産経の看板か。

ここまで程度の低いコラムというのは滅多にお目にかかれるものではない。




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事業仕分けとオーケストラ…上からの文化、下からの文化

2009-11-24 19:04:06 | 民主党
民主党は打たれ弱い。
多少の批判があっても、やるべきことはやり抜くという姿勢を示してほしい。
事業仕分けも雑音に惑わされることなく、徹底的に進めてもらいたい。
外部からの批判に加えて身内からの攻撃もある。
スパコン予算削減を批判されると早速菅副総理が見直しを言いだす。
赤松農水相、川端文科相、北沢防衛相等は、完全に役人の代弁者に成り下がっている。
そんな大臣達に釘を刺すこともできない総理大臣。
挙げ句の果てには、事業仕分けは今年だけなんて寝言を言っている。
役人達は、今年だけの辛抱だとばかりに薄ら笑いを浮かべているだろう。

その事業仕分けで一つ目についたことがある。

オーケストラ連盟、仕分けに意見書 予算減は「非常識」 (asahi.com 11/20)
行政刷新会議の「事業仕分け」に対し、国内30団体が加盟する「日本オーケストラ連盟」が19日、見直しを求める意見書を文部科学省に提出した。「経済効率や数値で示される成果、効果だけを優先する」もので、「世界の通念からも非常識な結論」「国、地方公共団体そして民間からの支援もなければその水準を維持できない」としている。

 「事業仕分け」では、新国立劇場(東京・初台)の運営財団に業務委託をしている「日本芸術文化振興会」をはじめ、芸術家の国際交流や、学校への派遣などに対する一連の文化事業予算を大幅に削減するとしている。


ここには例によって、ナントカ財団とかナントカ振興会とかいう寄生虫が住み着いているが、そのことには触れない。

ここで触れたいのは、連盟側のいう、「世界の通念からも非常識な結論」という言い分である。

古来、芸術家などというものは自分で生産活動をするわけではないので、その生活をみてくれる、いわゆるパトロンが必要であった。
それは国王や貴族、教会や大富豪達であった。
日本でも事情はほぼ同じであった。

近世から近代にかけて、芸術の受容者は広がりを見せ、芸術家たちは、少数のパトロンではなく、多数の顧客を相手に生活費を稼ぐようになった。
しかしながら自分たちで顧客、つまり美術作品の購入者や文学作品の購入者、劇場へ入場料を払って来てくれる人たちを見いだせない芸術家達は、相変わらずパトロンが必要である。
そのパトロンが納税者である。
とくに西洋音楽つまりクラシック音楽ではその傾向が強いようだ。
長い研鑽を積んだ後でも飯を食えない音楽家がゴロゴロしている。

一方には、はじめから大衆の間から生まれパトロンなどなしに生きてきた芸能・芸術もある。
その中には時の権力から抑圧され、弾圧されてきたものも数多い。
歌舞伎・浮世絵・黄表紙等の読み本、狂歌なども弾圧の対象になったこともある。
それでも大衆は、自分たちに必要なものにはお金を払うのである。
自分で買えない本は貸本屋を利用したりしていた。

【衝撃事件の核心】篠山紀信×原紗央莉に警視庁が…巨匠と人気AV女優の“ゲリラ撮影”がNGのワケ
巨匠の“ゲリラ撮影”に待った-。屋外でヌード写真集の撮影をしたとして、警視庁は今月10日、公然わいせつの疑いで写真家の篠山紀信さん(68)の事務所などを家宅捜索した。写真集には墓石の上に全裸のモデルが立つカットもあり、無断で撮影に使われた現場の管理者からは驚きととまどいの声があがっている。一方で、写真界の第一人者への捜索が社会に与えた衝撃は大きく、さまざまなヌード写真が発表される中で「なぜこの撮影が問題視されたのか」との疑問の声も。本人は沈黙を守ったままだが、警視庁は立件に向け押収品の分析を進めている。捜査当局が目を付けた「問題点」とは…。(滝口亜希)


捜索は、写真集のわいせつ性を問題にしたのではなく、撮影行為が公然わいせつ罪にあたるという理由らしい。



なるほど屋外での撮影らしい。
先日、スマップの草 剛を、深夜の無人の公園で全裸になったというだけで逮捕した警察である。
これでは、捜索に入らないわけにはいかなかったか。

篠山紀信の写真を支持したり気に入った人は、自分のお金で写真集を買う。
歌謡曲の歌手も売れなければ消えていく。
漫画家も売れなければ消えていく。
小説家も売れなければ消えていく。

それが文化ではないか?
だれも国に「助けてくれ」などとは言わない。

それとも何か、オーケストラは特別なのか?

国に保護され、国に押しつけられる芸術など要らない。
そんなもの、面白くも何ともない。
自分で食えない芸術は消えていく運命にある。

たとえ、伝統芸能・伝統文化であっても同じことである。





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民主党の自民党化を懸念する

2009-11-22 07:56:08 | 民主党
政権獲得後の民主党の様子がおかしい。
現実の重みに負けているのか、役人に負けているのか、選挙前の姿勢から後退する姿ばかりが目につく。

官房機密費の扱いもその現れの一つである。
選挙前は公開を訴えていたのに、いざ自分たちが使える番になると非公開。
「わたしが適切に使う」と官房長官はいうが、そんな言葉は信用できるわけがない。
国民に説明できないお金は一円たりとも使ってはいけない。
こんなことはたとえ平野官房長官が何を言おうと、鳩山の覚悟一つですぐにもできることである。
なしくずしにうやむやになりそうな天下り禁止問題もある。
これもまた鳩山の覚悟一つで簡単に実現できることである。
もう一つ、記者クラブ制度のオープン化の問題がある。

昨日のニューヨーク・タイムズ(電子版)のアジア・パシフィック面のトップに珍しく日本関係の記事が載っていた。
普段は、中国・アフガン・パキスタン関連の記事が並び、日本関連は数日に1・2本の割合しか見つからない。

記事は亀井静香の写真入りである。

New Leaders in Japan Seek to End Cozy Ties to Press Clubs (11/20)
(日本のニューリーダーたちは記者クラブとの居心地のいい関係を終わらせようとしている)



記事はまず、亀井が二つの記者会見を別々の部屋で開いていることを紹介する。
記者クラブとフリージャーナリスト向けのものである。
亀井の側からの、記者会見オープン化の申し入れをクラブ側が拒否し、おまけに部屋は省庁側で提供しているのに、別の部屋で会見を開くように要求したためにこういう状況になっているらしい。
記事は日本の記者クラブを、one of the nation’s most powerful interest groups(日本の最も強力な利益集団の一つ)と呼んでいる。
また、spineless press(骨なしのプレス)と言う言葉も用いて、彼等が民衆に対してよりも official sourses(情報を提供してくれる官僚)に大して責任を感じていると述べる。

そして記事はある日の二つの記者会見の様子を紹介する。
記者クラブ相手には素っ気ない対応。
第二の会見では、記者達にコーヒーまで振る舞ってのご機嫌な亀井の様子が描かれる。

記事は神保哲生氏なども登場させ、かなり鋭くかつ正確に、記者クラブ制度に守られた日本のマスコミの現状を描いている。
そして大マスコミはこの問題を取り上げることはほとんどない、という日本のライターの声を紹介する。

記事によると、会見をオープンにしているのは4省庁に過ぎないようだが、その一つの外務省の会見の様子の写真も載せている。
なかなか力の入った扱いである。



この記者クラブ制度のオープン化は選挙前から上杉隆氏や神保哲生氏らが取り上げ、民主党もはっきりと約束していたことであった。
ところが民主党政権の第1歩からその約束が反故にされたのである。

新聞が書かない民主党の「公約破り」 (山口一臣 ザ・ジャーナル: 2009年9月16日)

わたしはこの時は、官邸官僚の仕切りが先行し、鳩山側の対応の遅れだと、好意的に考えていた。
しかし、それから二ヶ月半たっても一向に状況は変わらない。
やる気になればすぐにもできることだということは亀井や岡田外相がやっていることからも明らかである。
鳩山はなにをグズグズしているのか。
民主党の公約破りを、普段なら真っ先に攻撃する大マスコミがこれを取り上げることはない。
大マスコミにとってはやぶ蛇になるからである。
鳩山は、大きな批判がないことで問題を過小評価しているようだ。

この問題を含め民主党の後退は、政権の座にあることに急速にうま味を感じだしている周囲の連中に鳩山が動かされすぎるところにその原因があると思っている。

ニューヨーク・タイムスというアメリカのメディアに取り上げられたことでまた鳩山が態度を変えるかも知れない。

このところ鳩山は「最後はわたしが決断します」と度々繰り返しているが、これは麻生のセリフでもあった。
決断力の無さの裏返しである。
鳩山の場合は、小沢主導・二重権力批判に対するささやかな強がりが加わっている。

記者会見の開放などということは、鳩山の覚悟次第で明日からでもできることである。
亀井にできてなぜ鳩山にできない!

役人に丸め込まれ、マスコミに妥協する。
これでは自民党とかわるところがあるまい。

ゴールドのネクタイを頑固に、というよりもバカの一つ覚えのように締め続けているが、頑固を通すところが違うだろう。





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田母神にも見捨てられた落日の自民党

2009-11-21 07:55:02 | 自民党
民主党の議員はどうも面白みに欠ける。
突っ込みを入れるのにも張り合いがない。
そこへ行くと自民党は多士済々であった。
なんと言っても大スター・麻生太郎がいた。
今でもいるが……、総理を辞めて活きの落ちた太郎なんて、浜に打ち上げられて3日も経った鯖のようなもので、とても食指は動かない。
福田にしろ安倍にしろ、総理の座にある間はそれなりに面白みがあったが、唯の議員になると、急にくすんだ存在に成り下がる。

しかしそれでもこの連中の方が、残り物の自民党議員のなかに置くとまだオチョクリ甲斐がある。

「麻生さんなら即死」安倍氏が鳩山首相の「恵まれた家庭」発言に皮肉 (産経ニュース 11/17)
自民党の安倍晋三元首相は17日夜、都内で開かれた会合で、鳩山由紀夫首相が自身の資産報告漏れ問題を「恵まれた家庭に育ったものだから」などと釈明したことについて「何言ったって平気という感じだ。麻生太郎前首相が言ったら(政治的に)即死だ。だけどセーフ。鳩山氏は支持率が高いからうらやましい」と皮肉った。


「恵まれた家庭に育った」鳩山を、「恵まれた家庭に育った」麻生を引き合いに出して、「恵まれた家庭に育った」安倍が笑っている。
考えてみると、この国も育ちのいい総理大事が続いているものだ。

 一方、自民党の退潮傾向については「もう少し下がることはあるかもしれないが、そろそろ底に当たった音が聞こえるころだと思っている」と強調した。

それは安倍の勘違いである。
底なし沼には底はない。

こんな奴にも見離されている。

自民、田母神氏に参院選出馬を打診 本人は拒否 (asahi.com 11/20)
自民党が田母神(たもがみ)俊雄・元航空幕僚長(61)に対し、来年夏の参院選比例区からの立候補を打診していたことがわかった。田母神氏に断られたため、航空自衛隊OBで松下政経塾生の新顔、宇都(うと)隆史氏(35)の擁立に切り替えたという。
田母神氏は昨年10月、「我が国が侵略国家だったというのはぬれぎぬ」と主張する懸賞論文を投稿していた責任を問われ、更迭された。イラクでの航空自衛隊の活動は違憲とした名古屋高裁の判決に「そんなの関係ねえ」と発言するなど歯にきぬ着せぬ発言などで知られ、現在、各地の講演では持論の核武装論を展開している。
 野党に転落した自民党は参院選の目玉候補探しに躍起になっており、自衛隊関係者からの候補者を探していた党幹部らが出馬を打診した。田母神氏は拒否したが、宇都氏を支援する考えを自民党側に伝えているという。


本人にしてみれば、今のお気楽で優雅な生活を棄ててまで、落ち目の自民党に何が悲しくて入らなくちゃならんのだ?というところだろう。

保守政党として再生の道を探している自民党にとっては是非にも欲しい極右のお笑いタレントであるが。
どうやら自民党のいう保守とは極右を指している。

省みれば、保守政党として再生を図らねばならない自民党としては、惜しい人材をずいぶんと失ってしまった。

筆頭はこの男である。


この男も忘れがたい。


口が災いして5日で国交相を辞任。
本人は確信犯の積もりだが、麻生内閣のケチのつき始めでもあった。
当選させても良かった男である。

彼等に比べてもお笑いタレントとしては遜色のないキャラクターの持ち主であるのだが……。



究極の保守政党。
真性極右政党の看板を掛けられるところだったのに。

民主の参院選候補公募、過去最高1978人名乗り (asahi.com 11/18)
来年夏の参院選をはじめ国政選挙の候補者を公募している民主党への応募者が、約2千人に達した。同党の石井一選挙対策委員長が明らかにした。公募は今月16日が締め切りだったが、その後も増え続け、18日現在で1978人の応募があった。「与党効果」で、過去最高の1300人を大きく上回った。面接などを経て、年内には合格者を決める方針だ。


こちらは旭日昇天の勢いである。

底なし沼と天井知らず。

沖縄基地問題で民主党がモタモタしても、平野官房長官が機密費をこそこそ使っても、強行採決で本会議を押し切られても、すべてこの間まで自分たちがやった来たことである。
党首がアホでもブレてもやっぱり自分に返ってくる。
民主党をいかに声高に非難してもすべて自分の所にはね返ってくる。

自民党はこの循環から抜け出さなければならない。
衆院選の総括ばかりではない。
結党以来の自民党政治の総括をし、国民に謝罪してからでなければ、何を言っても有権者の信頼・共感は永久に戻らない。

もっとも洗いざらいぶちまけたら、ほとんどの議員たちは刑務所に入るようになるかもしれないし、党そのものが即死であろう。
どちらにしろ、復活の目はないということになる。





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石原慎太郎の思い上がり

2009-11-19 18:07:53 | 地方政治
政治の目指すべき目標の一つに”完全雇用”がある。
単に生活費を得るための職業に就くだけではなく、だれもが自分のやりたいこと、好きな仕事に就くことのできる社会を実現すること。
永遠の理想かもしれないが、政治はその実現を目指し、一歩でもそれに近づく努力をしなければならない。

そんな社会を実現できないことに対して反省・自己批判をし、そして国民に対して謝罪するのが良心を持った政治家であろう。

「生活保護が楽というのは甘え」 雇用協議で都知事発言 (asahi.com 11/19)
「就職を探しても、生活保護をもらった方が楽だというのは、多分に甘えている」――。東京都の石原慎太郎知事は18日、さいたま市で開かれた8都県市首脳会議で、雇用対策についての協議中に、こう発言した。会議後、報道陣に対し、「仕事をあっせんしても嫌だという事例があちこちから報告されている」と発言の理由を説明した。

 石原知事の発言は、阿部孝夫・川崎市長が就職支援を8都県市で広域的に取り組むよう提案した後の意見交換。「自治体は国以上のきめの細かい努力をしていると思う」などと述べた上で、「就職を探しても、それ嫌だ、これも嫌だ、あれも嫌だ。生活保護をもらった方が楽だという価値観、トレンドは、現場で事例を考えている自治体が国に、こういうものをどうするのかと言った方がいい」と発言。「甘えているところがある。被害者意識ばかりあってね」「生活保護を受けたいというのは、我々がやっている努力と矛盾するところがある」と述べた。


この男に政治家の良心を求めることは、死んだ人間を生き返らせるより難しい。
「それ嫌だ、これ嫌だ」というのが悪いのか!
人間、だれでもやりたいこと、やりたくないことがある。
できること、できないことがある。
求職者は少しでも自分の理想に近い仕事を求める権利がある。
政治はそれに応える義務がある。

仕事のない貧乏人は、つべこべ言わずに世話された仕事をしろ。
贅沢を言う奴に生活保護なんかやれるか。

税金は自分のために使うもので、人のためにはもったいなくて使えない。
責任は他人に押しつけるもので、自分でとるものではない。

貧乏人はゴミだ。
弱い者はクズだ。


この男の頭の中では常にこんな言葉が駆けめぐっている。

生活保護を受けることも、憲法で保障された国民の権利である。
生活保護の水準にも劣るような仕事しか見つからないような社会を作り上げておいて、とにかくなんでもいいから働け、と大威張りしている。

日本に住んでいる人間はほぼ全員が納税者である。
消費税だけではない。
酒を飲んでもたばこを吸っても税金を払っている。
現在、所得税を払っていなくても過去に払っていたかもしれない。
自動車税を払っていたかもしれないし、固定資産税を払っていたかもしれない。
また将来の納税者でもある。
たとえ、税金を払っていなくとも、生きる権利はあるし、「健康で文化的な最低限の生活」を送る権利がある。

税金で食っている石原一家に、仕事を探して苦労している人たちを侮辱する物言いをする権利はない!
いや、食っているというより、食いものにしていると言った方がいいか。

8都県市首脳会議とやらも、こんな男にかき回されていては、ろくなことは決められまい。
集まった首長たちも、全員が税金で養われているという立場をわきまえて行動するように!





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内閣の盲腸か?…国家公安委員長

2009-11-18 11:08:00 | 民主党
鳩山内閣の閣僚達がみんな忙しいかというと、そうでもなさそうだ。
サッパリ話題に上らない連中がいる。
暇の筆頭が菅直人副総理であろう。
必死に仕事を探しているのか、じっと時を待っているのか。
とにかく目下のところ大した仕事はなさそうだ。
しかし、彼には鳩山首相のスペアとしての役割がある。
じっとしているのも大事な仕事かもしれない。

法務大臣も開店休業か。
しかし、目立たないが落としてならないのが、国家公安委員長の中井 洽(なかい ひろし)であろう。
中井は国家公安委員長と拉致問題担当とを兼任している。
拉致問題では希にマスコミに登場することもあるが、当分何の進展も見込めない状況である。


中井 洽(なかい ひろし)Webサイト

これか゛現在の本人のホームページの表紙である。
政権交代後2ケ月たってまだこの有様。
どういう感覚をしているのか!
もしかして、もう”上がり”とでも思っているのか。

国家公安委員会委員長はれっきとした閣僚である。
過去にも立派な政治家がその地位についている。

直近の3人を挙げると、

泉信也
(西松建設献金事件で)
一方、1日に不起訴(嫌疑不十分)とし同審査会で「不起訴不当」と議決された当時の会計責任者で元国家公安委員長、泉信也参院議員や担当者らについては再び不起訴(同)とした。西松にパーティー券購入を依頼したとして、大阪の市民団体「政治資金オンブズマン」に告発された二階氏の秘書についても不起訴(同)とした。(西松建設裏金:二階派パー券 西松元社長を追起訴 検察審議決受け

林幹雄
2009年7月、西松建設がダミーの政治団体「新政治問題研究会」名義で、林が代表を務める「自民党千葉県第10選挙区支部」に献金したことについて、作家の宮崎学が「民主党の小沢一郎前代表側への献金事件と同じ構図で起訴されるべきだ」として、国沢幹雄元社長を政治資金規正法違反容疑で東京地検に告発し[1]、国沢元社長は、起訴猶予処分(不起訴)となった[2]。(ウィキペディアより)

佐藤勉
日本歯科医師連盟から迂回献金
事前選挙運動疑惑
談合6社から約1100万円献金
(ウィキペディアより)


ところでこの国家公安委員会委員長の仕事はというと、

委員会は、国務大臣をもって充てられる委員長(国家公安委員長)と、5人の委員の計6名から構成される(警察法第4条・第6条)。委員会には、その下部機関として警察庁が置かれ(内閣府設置法56条)、委員会は警察庁を管理する(警察法5条2項)。また、警察庁は委員会の庶務・実務を担当する。(ウィキペディアより)

警察の親玉である。
それで歴代委員長は清廉潔白、厳正な職務執行が期待される高潔な人格者だけが任命されてきた。
自民党においては、この辺が期待される委員長像だったのだろう。

中井 洽(なかい ひろし)国家公安委員会委員長

(日本社会党→)
(民社党→)
(新進党→)
(自由党→)
民主党 (小沢グループ・川端グループ)

羽田内閣で法務大臣


今回の入閣は、小沢による論功行賞人事の印象が強いが、内閣の一角を占める貴重なポストである。

公安委員会は、都道府県にも同様に置かれている。
しかしながら、これまでこの委員会が何か仕事をしたということは聞いたことがない。
国・地方ともにこの委員会の委員は名誉職としての色彩が強く、もともと仕事をすることなど期待されていなかったのだ。
また委員会の庶務・実務は警察が担当している。
これでは警察に対する管理・監督など望むべくもない。

中井国家公安委員長も就任直後に、取り調べの可視化・司法取引の採用をぶち上げたが、その後の成り行きはサッパリ聞こえてこない。
取り調べの可視化に対する拒絶反応が強すぎたので黙ってしまったのか。
それとも水面下で着々と進めているのか。
急ぐことはないが、仕事はちゃんとしてほしい。

警察の裏金問題などいつの間にか話題にものぼらなくなっている。

公安委員会の在り方について、共産党が提言を行っている。
一々もっともである。

国家公安委員会制度等の改革についての緊急提案

国家公安委員会の実態を要領よくまとめているので御一読願いたい。
2000年の提案であるが、事態はこのときから一歩も進んでいない。
政権交代は、”警察に管理される委員会”ではなく、”警察を管理する委員会”への転換を図るべき絶好の機会である。

ついでに警察と検察の役割分担についても考えるべきであろう。
検察に独自捜査をやらせる必要があるのか。
特捜部というものが、本当に必要なのか。
捜査は警察だけに一本化できないのか。
検察は、事件捜査ではなく、被疑者の起訴、公判維持に特化すべきではないのか。

幸いなことに千葉景子法務大臣も暇そうである。
どちらも旧社会党系の議員である。
ここは一番、息のあった連係プレーなど見せて貰いたいところである。





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連立政権の摩訶不思議

2009-11-16 19:13:49 | 政治
ようやく政局にさざ波がたったか?

自民党には求心力が戻る気配もないし、回りのくず鉄を引きつける磁力もない。
核分裂を起こすだけのエネルギーもない。
まわりから羽をむしられるのを座して待つだけという風情である。
中には悪あがきをする奴らもいるが……。

「河野グループ」結成? 自民、河野太郎氏らが「新世代保守を確立する会」 (産経ニュース 2009.11.11 )
自民党の河野太郎衆院議員ら国会議員10人が11日、「新世代保守を確立する会」を発足させた。大村秀章、平沢勝栄両衆院議員や山本一太、世耕弘成両参院議員ら9月総裁選で河野氏の推薦人となった議員が名を連ね、党内では「事実上の河野グループ結成」とみられている。メンバーの一人は「ポストを持たない者の集まりだ」と、執行部と距離を置くグループだとも指摘している。


どこのテレビ局もまともに取り上げてはくれない。
しょせんコップの中の水浴び程度のことである。
大村秀章、平沢勝栄、山本一太、世耕弘成等、売れっ子テレビタレントたちもさっぱりお座敷が掛からなくなって暇をもてあましているのだろう。

まあ、大将が大将だから無理もない。

谷垣総裁、自転車で転びけが…与野党党首の週末に明暗 (スホーツ報知 11月16日)
自民党の谷垣禎一総裁(64)が15日朝、東京都昭島市内の河川敷を自転車で走行中、他の自転車と接触事故を起こし、顔面を強打、切り傷を負った。精密検査を受けるため、全国視察の一環で16日に予定していた山形県入りはキャンセルに。野党党首と存在感の薄さから注目度は今一つの谷垣氏。政界随一のサイクリング好きという趣味でのハプニングで話題を集める羽目となった。

 自民党などによると、谷垣氏は15日午前9時20分ごろ、東京都昭島市拝島の多摩川沿いの遊歩道をサイクリング中、河川敷で対向の男性の自転車と衝突し、転倒した。


記事を読んだ人も感想の述べようがあるまい。
落ち目の時というのはとかくこんなものなのだろう。

河野太郎たちもそうだが、このところ「保守」が大安売りである。
ただの「保守」では売り物にならないと思ってか、「新」とか「真」とかをかぶせて付加価値を付けようとしている。

ここにも「保守」の旗が……。

国民新・新党日本・平沼グループ、年内にも新党 (YOMIURI ONLINE 11/16)
 国民新党(代表・亀井金融相)、新党日本(田中康夫代表)と、無所属の平沼赳夫・元経済産業相が率いる「平沼グループ」が合流し、年内の新党結成を模索していることが15日、わかった。

 複数の関係者が明らかにした。実現すれば、衆参合わせて計12人の新党となる見通しだ。国民新党は民主、社民両党と連立政権を組むが、仮に新党となっても、連立政権にとどまる意向だ。すでに民主党幹部にもこうした意向を伝えた。

 合流構想は亀井氏を中心に調整が進んでいる。来年の参院選に向け、保守勢力の結集をアピールする狙いがある。亀井氏らは自民党議員の一部にも呼びかけて勢力を拡大したい考えだ。将来的な民主党との合流も視野にあるとみられる。

 国会の議席数は、国民新党が8(衆院3、参院5)、新党日本が1(衆院)、平沼グループは3(すべて衆院)を確保している。


田中康夫が加わっているのがやや意外な感があるが、もともと反・郵政民営化、反・小泉で国民新党とはつながりがある。
しかし、ここに平沼赳夫が加わると一挙に色合いがかわる。
「保守勢力の結集」というが、こちらには「超」の字をかぶせようか。
「自民党議員の一部にも呼びかけて」?
早くも自民党をむしりにかかる構えである。
案外乗ってくる奴がいるだろう。
なんと言っても、「反・郵政民営化」、「反・新自由主義経済」という言い訳がある。
まして政権与党である。
餅代も配れないところにいるより、ずっとよさそうだ。
参院にいる議員にしてみれば、来年対立候補を立てられなくて済むかも知れない。
総選挙もいずれ必ずやってくる。
考えてみればいいことずくめである。

亀井にしても、頭でっかちの理屈屋ばかり揃っている民主党にいつまでもいるつもりはないだろう。
とりあえずは次の参院選に向けての足場固めが優先ということである。
勢力さえ拡大しておけば後の選択肢が広がる。

多分小沢も了解しているのだろう。
とりあえず、自民党を弱体化できる。
自身は本来は保守的な傾向にあるが、実際は保守とか革新の論議にはさほど関心がない。
憲法改正の意思はあるが、それもほどほどのものである。
民主党内で自分に逆らう議員たちよりも亀井たちのほうに親近感をもっていても不思議はない。
「将来的な民主党との合流も視野にあるとみられる」
記事のこの部分には何か意味があるのか。
もしかして記者はなにか感触を掴んでいるのか。
まさか単純な合流はあるまい。
たとえば、小沢を中心とする民主党の一部(多分こちらが多数派)と亀井・平沼一派が合流し、残った民主党との二大政党制なんてことがあるのか?

亀井達の動きは意外に大きな動きになる可能性がある。

そのとき社民党はどうする?
平沼極右勢力と同じ政権内に座っていられるのか。
多分肩をすぼめて政権にとどまっているのだろう。
今度は社民党が”下駄の雪”になる。
”悪女の深情け”なんていう言葉もある。

それにしても次から次へと、目の離せない亀だ。
”カミツキガメ”というより”ハタラキガメ”と呼んだ方がよさそうだ。

民主党も政権与党になってどんどんウイングが広がっていく。




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民主党政権のわかりにくさ…小沢一郎の存在

2009-11-15 09:13:51 | 小沢一郎
民主党政権は、今までの自民党政権と比べてかなり分かりにくい政権である。
それは、自民党政権がこれまで意識せずにきた政治構造というものを、この政権は、というよりこの政党は真剣にそして意識して前面に出してきているからではないかと思える。

これまでにも自民党政権下で「総・総分離」というようなことが話題になったことは何度かある。
自民党の総裁と内閣総理大臣との分離をいうものであったが、しかしそれは決して積極的な意味を持つものではなかった。
それは単に党内事情からの消極的な議論であって、そこになんらかの積極的な意義を見いだしてのものではなかった。

鳩山が代表になり、小沢が幹事長に就いたとき、自民党やマスコミは”二重権力”という言葉を使って民主党批判を繰り返した。
その批判は全くの見当違いと言うわけではなかった。
しかし、かつて田中角栄が総理をやめてのちもキングメーカーとして権力を握り続けた姿とは本質的な違いがあるように思われる。
田中角栄は、田中角栄議員個人の権力であった。
しかし小沢一郎は個人的権力を強化する方向に進むのではなく、党のシステムを変えることによって幹事長という機関の権力強化を図っているかのようである。

さて民主党の政治のわかりにくさの一例が陳情に関するものである。

東国原知事:陳情ルールで民主にエール 国交相面会を求め (毎日jp 11/13)
先の衆院選で自民党からの立候補を検討した宮崎県の東国原英夫知事が13日、民主党の高嶋良充筆頭副幹事長を国会内に訪ね、前原誠司国土交通相との面会を要請した。九州横断自動車道延岡線の早期整備を求める陳情活動で、地方自治体などの陳情を党幹事長室で一元管理する同党の新ルールに従った。東国原氏は「毎年、霞が関詣でをするのはいかがかと陳情政治に疑問を持っていた。公平なルールを望んでいたので期待している」と民主党にエールを送った。


小沢一郎の威令の凄まじさを感じさせる。
彼の一言で国の政治の風景がたちどころに一変してしまった。
「陳情を党幹事長室で一元管理する同党の新ルール」
これを小沢一郎への権力集中ととることもできるが、むしろ幹事長職への権力集中、政党政治の本質的な部分つまり政府に対する党の優越の明確化と考えたほうがいいのではないか。
このことは、もし小沢一郎が幹事長職を退いたら、その権力も次の幹事長に引き継がれるということを意味する。
小沢はそのようなシステムの構築を狙っているように思える。

<民主党>新たな陳情システムを説明 全国幹事長会議 (毎日新聞)

民主党が導入する陳情システムは、まず地方自治体や各種団体からの要望を地方県連を通じて党幹事長室に吸い上げる。幹事長室は省庁別の担当副幹事長が精査し、大臣や副大臣ら政務三役に報告。各種団体が各省庁と直接、接触する従来のやり方は、族議員と各省庁との癒着の温床になるとして見直す。


このルールの基礎にある原理は何か。
原理主義者・小沢一郎は彼の原理・原則からはずれて行動することは少ない。

議員は民主党という看板を背負って当選した以上、民主党の政策・方針に縛られる。
各議員は議員個人として活動するのではなく、民主党議員として活動しなければならない。
議員が受ける陳情は、議員個人が受けた陳情ではなく、党が受けた陳情である。
(政府・内閣が直接陳情を受けるのは、本来の仕事ではないので抑制する)
それが政党政治であり、政府・内閣も政党を基盤にしている以上、当然である。

もちろんものごとには表と裏があるのが通常である。

民主党は12日、党本部で全国幹事長会議を開き、地方県連が窓口となる新たな陳情システムを説明した。小沢一郎幹事長は「中央官庁へのコネによる陳情は、地方分権の目標から離れてしまう」と新システムの意義を強調。党本部には地方県連に陳情処理を委ねることで、地方自治体や各種業界団体とのパイプを構築させ、集票力を高める狙いがあるが、民主党基盤の弱い自治体側には「陳情が通るのか」との懸念も出始めている。

 「自民党支持組織から陳情を集め、全部ひっくり返すつもりでやってほしい」

 民主党の石井一選対委員長は全国幹事長会議で、陳情処理が選挙対策の一環であることを強調し、発破をかけた。同党は来夏の参院選での単独過半数確保を掲げるが、地方組織の強化が課題。ある幹部は「民意の風に乗った政権交代は『空中戦』。だが、地方組織を強め、『地上戦』をものにしなければいけない」ともらす。


これは、このルールの持つもう一つの面ではあるが自民党にとっては強力すぎる打撃になるだろう。
政権を失って陳情をうけてもそれを実現してやれる力を失っているところに、陳情を繋ぐ力まで取り上げられてしまったのである。
「自民党支持組織から陳情を集め、全部ひっくり返すつもりでやってほしい」
この言葉もあながち誇大表現ではないだろう。

来年度予算編成を控え、陳情活動を始めた自治体側には「地元県連の強弱が陳情実現に影響する」との不安も出始めた。全国幹事長会議終了後の12日夕、党本部で滋賀県の嘉田由紀子知事が党本部を訪問した。滋賀県は衆参6議席を民主党が独占。川端達夫文部科学相や奥村展三総務委員長という閣僚・党幹部を抱え、陳情はすぐに実現した。

 しかし、県東京事務所を通じて調整した宮崎県の東国原英夫知事の陳情は数日間、棚ざらしになった。宮崎県内の党選出議員は衆参に1人ずつで、ともに当選1回。東国原知事の陳情は13日に行われるが、宮崎県の担当者は「今後も選別されるようなら、たまらない」と話している。


そのまんま東などは”みせしめ”に冷たく扱われてもしょうがない。
いわば自業自得である。

しかし、反民主の知事を頂いている地方の住民の利益が損なわれるという事態になれば、それもいささか気の毒という気がしないでもない。
ここは政権与党としての民主党の度量が問われるところであろう。




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”事業仕分け”で盛り上がる民主党と落ち目の自民党

2009-11-14 07:20:45 | 民主党
民主党のやり方に少しくらい文句を言っても、それで自民党時代に戻ろうとはだれも思わないだろう。

自民党とは、内部での勢力争いと利権漁りぐらいしかやってこなかった政党である。
それ以外は、官僚による予定調和の世界が、国民の知らないままに繰り広げられていただけだった。
そしてある日突然、国民は目玉を引んむくような現実に直面するところだった。
しかし、今やその自民党に昔日の面影はない。

自民党「もち代」支給見送りへ、資金繰り厳しく (YOMIURI ONLINE 11/10)

「トイレの手ふき紙置きません」自民がケチケチ作戦 (YOMIURI ONKINE 11/10)

自民の派閥影薄く、もはや「議員サロン化」? (YOMIURI ONLINE 11/12)


自民党もずいぶん長い間、派閥解消を叫びながらついに今まで実現できないでいたのが、思いがけず解決できてしまったようだ。
そしてようやく今、いい年をした大人達が自己発見の旅?

自民、「保守政党」の在り方模索 参院選へ理念論議 (東京新聞TOKYO WEB 11/13)

見出しだけでも涙を誘うような記事が並んでいる。
まあ、自民党には勝手にやっていて貰おう。

こちらは自民党にかまっているほど暇ではない。
仕事は山ほどあるが、あっちにぶつかり、こっちでつまずきながらも、なんとか前に進もうとしている。

その民主党内閣の仕事振りであるが、今行われている事業仕分けは大ヒットである。
お金をかけずに民主党政権の大宣伝にもなっている。
ところで、その事業仕分けについて、鳩山がまた訳の分からぬことを言いだしているらしい。

首相、「事業仕分け」今年限りを示唆 (NIKKEI NET 11/12)
鳩山由紀夫首相は12日、行政刷新会議の「事業仕分け」について「来年は我々(政治家)がすべての責任を持ってやらないといけないので、事業仕分けというのはおかしな話だ」と述べた。そのうえで「今年は旧政権の中で温められていたことが大半という状況だからこういうことが起きてくる」と語り、民間有識者の協力を得る現行方式は今年限りの措置だと示唆した。


少しもおかしいことはない!
事業仕分けは、無駄を省く手法としてはなかなか効果的である。
事業仕分けと言う言葉は、わたしには馴染みのない言葉であったがせっかく始めたものを一度でやめるのはもったいない。

国民の目の前で予算の編成を行う。
民間人の目で検証する。


それこそが事業仕分けの最大の眼目であろう。

役人と議員だけで決めるのでは、これまでのやり方と同じことになる。
今年はどれだけの予算の削減ができるかは分からないが、それでもいい。
これが定着すれば、次の予算編成で役人どもはいい加減なことができなくなる。
はじめから十分に吟味した予算請求をするようになる。
今年は全予算項目のごく一部だけの仕分けである。
限られた陣容ですべての検証は不可能である。
しかし、来年以後もこれが行われるとなれば、役人どもはすべての項目に無駄のないように気をつける。
自分の事業や仕事がやり玉にあげられるかもしれないと思えばいい加減なことはできなくなる。
国民の目と民間のプロの目に耐えられる予算を作ろうとする。

事業仕分けに当たる側にとっても、今年の経験は貴重なものだろう。
来年はもっと鋭く、手際よくやれるようになっているかもしれない。

どうも鳩山は”政治主導”という言葉の意味をはき違えているのではないか。
政治家が役人を使って、国民の目の届かないところで何でも決めるというのは、政治主導でも何でもない。
そんなことでは気がつかないうちに政治家が役人の振り付けで踊りを踊るようになる。
もうそんな大臣が出てきているのではないか。

今やっている事業仕分けは、再来年度の予算を編成するときに、今回の何倍もの効果をあげることになるのである。

来年以降も事業仕分けを国民監視のもとで行うこと!
後期高齢者医療保険制度はすぐに廃止すること!





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それでもやっぱり自民党には戻らない

2009-11-12 18:15:50 | 自民党
間もなく民主党政権が発足して二ヶ月になる。
この間、政府の動きは決して上々というわけではなかった。
個々にはとてもいただけないというものも多い。

「たとえば、」と言って、ここでそれらをあげつらうのは控えておこう。
国民の多くも、承知の上で政権を見守っているのだから。

JNN世論調査  調査日 2009年11月7日,8日



オット、間違った。
正しいのは下のグラフ。
よく見ると、麻生内閣の支持率と鳩山内閣になってからの不支持率がほとんど同じ水準である。
あの麻生内閣を支持した層がそのまま鳩山内閣不支持ということなのだろう。
”どこまでもついていきます下駄の雪”症候群か。



支持する政党については次の通り。

10月3日調査との比較
民主党 41.0% -2.3pt
自民党 18.2% +1.5pt
公明党 3.3% -0.5pt
共産党 3.4% +0.6pt
社民党 1.2% -1.0pt
国民新党 0.2% -0.1pt
みんなの党 0.6% -0.2pt
新党日本 0.2% +0.1pt
(それ以外の政党を支持) 0.2% -0.2pt
(支持する政党はない) 29.7% +1.1pt
(答えない・わからない) 1.9% +0.8pt


谷垣自民党の支持率が麻生自民党のそれとほとんどかわりが見られない。
ということは、麻生のせいで自民党が負けたというより、自民党そのものが有権者に見捨てられていたということだろう。

文句は言うまいと思っていたのだが……。
昨日から事業仕分けというものが始まっている。
テレビのニュースなどでも繰り返し報じられて、なかなかの賑わいを見せている。
これに亀が注文をつけた。
仙谷大臣の人選が気に入らないらしい。
しかし、この程度の人選は所管の大臣たる仙谷氏の専権事項だろう。
あの日本郵政に斉藤なんたらという渡り鳥を連れてきて、お供の渡り鳥も何羽か連れてきて、「わたしがよく考えて決めたことだ。文句あっか!」と言っていた男が
他の大臣のやった人事に口だしできるのか。
もし、連立政党の党首としての立場での発言ならば、鳩山に直接言うべきである。
ほかの場所で言うのは筋違いである。
(テレビカメラに向かって吠えていたが、鳩山に話しを通した後ならばわたしの誤解である)
仙谷大臣も、亀にちょっと噛みつかれたぐらいでオタオタするな。
国民新党から人を入れることにしたらしいが、もう少しシャンとしろ。

ついでにもう一つ。
暫定税率の話である。
暫定税率を廃止してかわりに環境税とやらを創設するとか。
差し引きリッター当たり5円程度安くなるらしいが、灯油などにも課税するので一般家庭では増税ということになるらしい。

これでは暫定税率の廃止ではなく、名称変更だろう。
どちらにしろ道路特定財源の一般財源化は自民党でさえ決めていたことである。
実質的にはそうはなっていないが。
一般財源にして環境に振り向けるというのと同じことである。
昨年春、一ヶ月間だけ暫定税率が廃止されていた。
来年度からの暫定税率廃止もそのときと同じことになると思っていたが、その分は別に新税として国民から徴収する?
まるで詐欺だ。

事業仕分けでもどうやら財務省の役人が仕切っている様子が見える。
郵政人事といい、新税の創設といい、なにか財務省が出しゃばりすぎているのではないか!
脱・官僚依存政治と言うのは結構だが、肝心なのは表面よりも実質である。

まあ多少モタモタしていても、支持率は今のところさほど落ちていないし、自民党は勝手に雲散霧消していくだろう。
だからといって、民主党よ、安心してはいけない。
突如、素晴らしい新党が出現して、国民の気持ちをわしづかみにするかもしれない。
4年間あると思っているだろうが、国民世論の力を侮ってはいけない。





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気は確かか、石原東京都知事・松沢神奈川県知事!

2009-11-11 05:52:57 | 地方政治
「地方自治は民主主義の学校」という言葉がある。
しかし、地方自治の頂点に位置する知事たちのお粗末さを見ると、日本の民主主義の程度はまだまだ低いということを思い知らされる。

オリンピック招致に失敗したあとの負けっぷりの悪さでひんしゅくを買ったあの男がまたまたバカを言っている。
まったく「バカに付ける薬はない」、「バカは死ななきゃ治らない」

石原知事、20年五輪招致の意思表明">石原知事、20年五輪招致の意思表明 (TBSニュース・動画 11/9)
「私の代での責任で、東京は一応、アプライ(立候補)します」(石原慎太郎都知事)


再びオリンピックに名乗りを上げた。

前回の招致活動の総括を行い、会計の報告を納税者に対してするのが、こいつの責任だろう。
それにしても、「わたしの代での責任で」という言葉の意味が分からない。
立候補は現在の知事の責任で行い、次の知事に責任はない、ということなのか。
立候補することが、都知事の責任である、と言いたいのか。
「わたしの独断で」という意味なのか。
しかし責任を取ったことのない男に、「責任」などと言われても返事に困る。

負けた後のみっともない言葉の数々も記憶に新しい。

『例えば、ブラジルの大統領が来てですね、聞くところ、かなり思い切った約束をアフリカの(IOC委員の)諸君としたようです。』

『それからサルコジ大統領(フランス)がブラジルに行って「フランスの戦闘機を買ってくれるなら(五輪招致で)ブラジルを支持するとか』


おまけに『こんなことではこれから手を挙げる都市などありませんよ』といっていたが、それから間もなく広島と長崎が共同開催に手を挙げた。

今度は図々しくもその”広島との共催”とまでほざいている。

150億円使ったことには、『痛くもかゆくもない』とうそぶく。

こんな男の言うことを真に受けて動く奴がいるとは思えないが……。
どうせ任期はあとわずかである。
東京都の職員は、もうこんなつまらないことに余計なお金は使わないように!
”三途の川の渡し賃”にしても高くつく。

普天間移設、現行計画推進すべき 神奈川知事が米で講演 (47ニュース2009/11/06 【共同通信】)

【ワシントン共同】訪米中の松沢成文神奈川県知事は5日夕(日本時間6日午前)、ワシントンのジョンズ・ホプキンス大高等国際問題研究大学院で講演し、米軍普天間飛行場をキャンプ・シュワブ沿岸部(沖縄県名護市)に移設する現行移設計画を推進すべきだとの考えを示した。

 松沢氏は、米軍基地や施設を抱える14都道県による渉外関係主要都道県知事連絡協議会(渉外知事会)の会長。講演では、移設問題に関し「こじれて長期化すればパッケージとなっている在日米軍再編全体の計画が遅れる」と指摘。計画見直しを主張している鳩山内閣の姿勢を「県外、国外移設は不可能だと思うし、米軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)に統合する案も極めて難しい」と批判し、現行計画が最善との認識を示した。


自分の所でないからか、気楽なものである。
さすがに沖縄県知事は笑って聞いてはいられなかったようだ。

 これに対し、同席した仲井真弘多沖縄県知事は「松沢知事の意見として聞いてもらいたい。県民の大部分は県外移設がいいというのは事実だ」と強調。同時に「ベストの選択は県外移設だが、経緯もあって県内移設をやむなく認めた」と自らの立場を説明し、県外移設の実現にも期待感をにじませた。

ことの是非はともかくとして、取り上げたいのは次の部分。

松沢氏は講演後、記者団に「時間をかけるうちに沖縄の世論が県内移設反対となれば現行計画もつぶれ、移設は宙に浮く」と指摘。6日に予定される米政府高官との会談で、在日米軍再編計画の着実な実施を求める考えを明らかにした。

これは余りと言えば余りの言いようである。
「時間をかけるうちに沖縄の世論が県内移設反対となれば現行計画もつぶれ、移設は宙に浮く」?

沖縄県民の気持ちが変わらぬうちにさっさと移転してしまおう、というのである。
いまでも沖縄県民は県内移設には反対であろうが、まだその声は小さい、と思っているらしい。
反対の声が大きくなってからではまずいことになる。

沖縄の世論がいずれに傾くにしろ、その行方を見極めて、その意思を尊重するのが政治ではないか。
とくに地方自治においては、そのことが何より大事ではないか!

まるでこの知事はアメリカの代理人か使い走りである。

こんな奴らを選んでしまった選挙民にも責任があるが、選挙民には十分な情報が与えられていない場合が多い。
リコールの制度が保障されてはいるが、都道府県や大都市レベルではリコールを成立させることは実際上不可能である。
要件を緩和すれば行政が不安定になることもあろう。
選挙というのも厄介なものである。





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原理主義者・小沢一郎を囲む神官たち

2009-11-09 12:08:22 | 民主党
小沢一郎は以前から尊敬する政治家として”原敬”の名を挙げている。
岩手出身の先輩政治家というだけがその理由ではなさそうだ。

「平民宰相」の墓前に誓い=小沢氏 (jiji.com 2009/08/16)
 民主党の小沢一郎代表代行は16日、地元・岩手県の盛岡市を訪れ、「平民宰相」と呼ばれた同県出身の故原敬元首相の墓前に手を合わせた。
 小沢氏はこの後、記者団に「原氏が亡くなってから、日本は軍官僚の政治の中で悲惨な戦争に突っ込んでいった。官僚におんぶにだっこの今の政治は戦前の昭和史に似ている」と指摘。「何としても国民の手に政治を取り戻し、政権交代を実現する。原氏は凶弾に倒れるまで日本の政治のために頑張ったが、自分もそのような志を受け継いでやりたい」と決意を語った。


総選挙を前にして、その覚悟・意気込みを原敬の墓参という形で表したものなのだろう。
総選挙勝利、民主党政権発足をみたあとも原敬に触れている。

「20年の雌伏を乗り越えた」 小沢幹事長が政治資金パーティー開催  (産経ニュース 2009.10.30 )
民主党の小沢一郎幹事長は30日昼、都内のホテルで政治資金パーティーを開いた。出席者によると、小沢氏は「20年の雌伏を乗り越えて政権交代できたのはみなさんの支持のおかげだ」と感謝の意を示した。

 また、小沢氏は「原敬以来の、真の民主主義を確立するのが私の使命だ」と述べた。パーティー開催は昨年12月以来で、約300人が出席した。


原敬への尊敬は、平民宰相と呼ばれた部分にではなく、「真の民主主義を確立」という側面に向けられていると考えられる。
原敬は日本で最初の本格的政党内閣を組織した。
「真の民主主義」は政党政治によって実現されると考える小沢の関心はその部分にあるのだろう。
小沢の唱える”二大政党制”という考えも、その延長線上に当然考えられる姿である。

これが“小沢独裁ルール” 周囲はご意向伺いでハラハラ (夕刊フジ 2009年10月31日)
民主党の小沢一郎幹事長の権力拡大が止まらない。鳩山由紀夫首相が「必殺仕分け人」と絶賛した行政刷新会議の人事をひっくり返したうえ、党内には小沢系議員が膨脹。周囲の行動原理も、国会改革などに関する「ルール」をぶち上げた小沢氏の“御心”を推察して動くことを最優先にしているのだ。最高権力者のはずの首相の上に、小沢氏が存在する「二重権力構造」。両者の格差は広がるばかりだ。


「小沢氏の“御心”を推察して動く」ことになれば、「御心」を推察することが上手な人間、そして「御心」を伝える人間もでてくる。
さながら神のお告げを伝える神官というところである。
本人が寡黙であるだけに、その傾向はますます強くなる。
本人の意図するところとは離れて、いわゆる側近政治の色合いも濃くなってくる。
そういう意味では、夕刊フジの見方もまったく見当はずれというわけではない。

しかしながら必要なのは、「御心を推察する」ことではなく、小沢ルールの理解であろう。
小沢ルールを理解した上で小沢を批判するのであればそれなりの説得力も持ちうるが、そこのところに理解不足・誤解・曲解があればその批判は的はずれということになる。

政府の行政刷新会議のワーキンググループ(WG)人事では、新人議員14人を含むメンバーが22日に内定、これに鳩山首相は「必殺仕分け人」と絶賛。しかし翌日には、小沢氏が人選に不快感を持っているとの情報が流れ、WGの会合が中止になった。


情報の出所は、神官・側近であろう。
小沢の生の声が伝わったわけではなかろう。

党内勢力の「小沢一極集中」も進むばかり。小沢氏のグループは「総選挙圧勝で衆院だけでも100人超、衆参合わせれば150人は下らない」(小沢氏周辺)。そして小沢氏に近い議員は、新人議員に対し、他のグループへの出席を取りやめるよう圧力をかける。

「小沢氏に近い議員」が存在するのは間違いない。
彼等が小沢の声を伝えることにより、それなりの力を得ることは当然考えられることである。
彼等が、小沢の意図に沿って、小沢の意思を正確に伝える限り問題は限定的である。
しかし、えてして側近政治は行き過ぎる。

また、小沢氏周辺は小沢ルールに忠実だ。総選挙後、国会内の党代議士会場の座席には新人議員の名札が張られた。これは党国対が「新人は率先して国会に出席」との小沢氏の主張に配慮。参院の輿石東参院議員会長も「政策決定は政府への一元化すべき」とする小沢氏の意向に沿い、党政策調査会の廃止に動いた。

名札の一件などはちょうどそのボーダーライン上の出来事であろう。
これを危険な兆候ととらえることもできるし、些細な事件とみることもできよう。
要は、小沢をめぐる様々な動きを単に現象を捉えて騒ぐのではなく、その依って来たる原理・原則から判断することが必要になる。

記事は最後に小沢ルールというものを掲げている。

【小沢幹事長の最新版「独裁ルール」】
 第1条・国会改革 議員内閣制の国会は、政府と野党の議論の場(→衆院の代表質問とりやめる)

 第2条・政策決定 政府に一元化。政治家の活動に直接かかわるもの以外、党は関わらない(→党政策調査会を廃止)

 第3条・人事 政党は選挙が原点(→新人議員は政府の役職に就かず、選挙区回りに専念)


ところで最近上の第2条に関して目についた出来事があった。
議員立法禁止の方針を打ち出している小沢幹事長に対して、福田衣里子議員が直訴して、肝炎対策基本法の立法化を了承させたというものである。

肝炎基本法案 今国会に 民主提出方針 (東京Web 2009年11月3日)
民主党の小沢一郎幹事長は同日午後、国会内で、元薬害肝炎訴訟原告の福田衣里子同党衆院議員と会い、基本法案提出に向け野党と本格協議に入ることを了承した。

 既に与野党の非公式な折衝が進んでおり、民主党は野党の賛同を得て、全会一致が前提の衆院厚生労働委員会の委員長提案としたい考えだ。


原理主義者・小沢一郎も女の涙には負けたかと思ったが、よくみると「衆院厚生労働委員会の委員長提案」という言葉がある。
行政に関する法案提出の権限は政府に限定・議員立法禁止とあっては福田議員絶体絶命かと思われていたところである。
議員提案を委員会で可決、という形ではなく委員長提案とすることによってこの難問をクリアーしたようにみえる。
政府提案でもなく、形式上は民主党議員による議員立法にも当たらない。
国会における委員会という機関を活用した方策は小沢一郎の苦肉の策であろうか。

まだまだ小沢一郎の原理主義は揺るぐことはなさそうである。



じつは先に挙げた夕刊フジの記事中に次の一文があった。
ちょうどわたしも同じような対比を考えていたので、紹介しておきたい。


政治ジャーナリストの角谷浩一氏は、「永田町では『民主党は中国共産党と一緒』との見方がある。小沢氏が胡錦涛国家主席で鳩山首相は温家宝首相にあたり、最高権力は主席が握っているということだろう」と語り、「政府と国会を役割分担していると見れば、新しい仕組みを作るうえで効率的なやり方ともいえる」と指摘する。



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みんなでやろうぜ、右向け右!

2009-11-07 20:00:44 | 自民党
自民党に政権構想会議というものができているらしい。
その立派な名前の会議が最初に打ち出した政権構想が世襲議員容認とは!

自民政権構想会議、世襲候補の容認が大勢…参院選 ()YOMIURI ONLINE 10/30)

自民党の政権構想会議(議長・谷垣総裁)は30日、来年の参院選の候補者選定の方針を協議し、選考過程の透明化を前提に、「世襲」候補の立候補を容認する意見が大勢を占めた。
 同党は先の衆院選の政権公約で、国会議員の子や配偶者ら3親等以内の親族が同一選挙区から続けて出馬する場合は、次回の衆院選から公認しないと明記した。この方針は次回の参院選にも適用されると見られていたが、見送りとなりそうだ。


ちなみにこの会議のメンバーは、

議長    谷垣禎一 世襲
議長代理  伊吹文明 官僚
幹事    園田博之 世襲
      野田聖子 世襲
      舛添要一 テレビタレント
      河野太郎 世襲
      西村康稔 官僚


このメンバーにしてこの結論あり。
「世襲は悪」という国民感情に敢然と挑戦する意気込みがなければ党再生も政権奪還もおぼつかない。
次世代のエース小泉進次郎にも気持ちよく働いて貰わなければならないし。

毎日の記事によると、この会議の発足は10月16日。

自民党の再生策を検討する「政権構想会議」の初会合が16日午前、党本部で開かれた。議長の谷垣禎一総裁は「伝統、歴史、文化を大事にし、自助努力に基礎を置いた社会という政策の基本理念や組織(のあり方)を議論したい。年内に方向をまとめ、来年の通常国会に理論武装して挑みたい」とあいさつし……
(毎日新聞 2009年10月16日)


ここでもやはり「伝統、歴史、文化」

この会議も、それなりに仕事らしきことはしているようだ。
日を置かず次の会合を開いていた。
中身は、まあ興味とお暇があったら読んでみてください。

自民政権構想会議の勧告要旨 (jiji.com 11/6)

衆議院予算委員会では自民党はありったけの面子をそろえたようだが、結果は人材不足をありありと露呈してしまった。
初日から自信を持って論客(の積もり)を投入。

衆院予算委、攻守逆転で自民「ネチネチトリオ」炸裂 (産経ニュース 2009.11.2 )
野党・自民党は大島理森幹事長、町村信孝元官房長官、加藤紘一元幹事長と重鎮3人が次々に質問に立ち、現政権の経済・外交政策などを執拗(しつよう)に追及した。


応援団の産経にさえ「ネチネチトリオ」と呼ばれる始末である。
次の日は石破茂が前日の連中に輪をかけてネチネチ。
菅義偉は亀を怒鳴りつけて存在感を示した。

3日目は産経によると、

政権内の食い違い浮き彫り 自民、“左派色あぶり出し”成功? (産経ニュース 11/5)
「保守派の論客である自民党の稲田朋美氏が外国人への地方参政権付与についてただしたところ、首相は「前向きに考えている」と述べる一方、宇宙人的な答弁であいまいにかわした」

この日は、自民党のもう一人の保守派論客、下村博文氏も質問に立った。下村氏は平成11年8月成立の国旗国歌法に反対した菅直人副総理・国家戦略担当相、原口一博総務相、千葉景子法相、赤松広隆農水相、前原誠司国交相、小沢鋭仁環境相、福島氏の7閣僚を名指しし、「国旗を大臣室に掲揚しているか」と迫った。

 福島氏は掲げていることを明言したが、加えて「個人の思想、良心に極めて属している問題だ。学校現場で思想、良心の自由を侵害する形で強制するのは許されない」と答弁。下村氏は「思想、信条の問題ではない。学習指導要領は法規だ」とかみついた。


いよいよ自民党保守派のエセ論客・稲田朋美の登場。
映画「靖国」にナンクセをつけた極右女である。
衆議院議員わずかに2期目ではあるが、予算委員会という晴れ舞台に登場。
極右政党として再生を図る自民党の看板娘?
しかし、稲田といい、下村といい、この程度が自民党の論客なのか。

「国旗を大臣室に掲揚しているか」と迫った?
下村は、福島瑞穂はどうせ国旗を飾っていないだろうと思いこんで攻めたらしいが、案に相違して、「掲揚している」という返答に、あてがはずれたという風情だったらしい。
(この場面は見ていないので)

福島も、国旗を掲揚しているなどと言い返して得意になっている場合ではなかろう。
「国旗は飾っていないけれど、それが何か?」ぐらいの切り返しが欲しかった。

松井秀喜がワールドシリーズでMVPを獲得したり、イチローが9年連続200本安打の大リーグ記録を作ったりしたとき、日本人のほとんどは心から彼等の偉業を喜び、なにがしかの誇りを感じたことだろう。

自民党の連中が大好きな「愛国心」というようなものは、ことさら大げさにわめき立てるものではない。
松井やイチローの活躍を喜び、声援を送り、あるいは試合場で日の丸を振ることも、”愛国心”(わたしはこの言葉が好きではないが)、そういうものの表れである。





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内閣の仕事と予算委員会…岡田外相の訪米中止

2009-11-05 16:36:05 | 民主党
全閣僚出席のもと衆院予算委員会が開かれている。
お馴染みの光景も、こんな報道を見るとあらためて考えさせられることもある。

岡田外相、訪米断念 国会日程調整つかず (東京Web 2009年11月4日)
平野博文官房長官は4日午前の記者会見で、岡田克也外相が今週後半で調整していた訪米について「結果的にない」と断念したことを明らかにした。平野氏は「米国側と調整に入ったが、国会日程との調整がどうしても困難だ」と説明した。

 岡田氏は12日のオバマ米大統領来日を前に、沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題をめぐりクリントン国務長官と会談するため訪米を模索。日米両政府で現地時間6日(日本時間7日)を軸に調整したが、参院予算委員会が6日夕まで予定されており、訪米は困難と判断した。


「対等な日米関係」を掲げた鳩山政権発足以来、対アメリカ外交がこれまでとは異なった微妙さを見せている。
岡田訪米をめぐっては日米でちぐはぐな対応を繰り返していた。
訪米中止という結論の是非には触れない。

しかし、報道のように訪米中止が国会日程だけが理由だとすると、──実際には他の理由や判断があったのかもしれないが──、ここには見過ごしにはできないいくつかの問題が潜んでいると思われる。

表面的に起こっていることを整理すると以下のようになる。
野党(自民党・公明党・共産党)は沖縄の米軍基地移転問題の早期解決を求めて予算委員会で政府を攻撃する。
解決に当たるべき外務大臣は、その予算委員会に出席するために、米国へ行って解決のための交渉を行えない。
結果、予算委員会が解決を妨げている。

国会法
第七十一条  委員会は、議長を経由して内閣総理大臣その他の国務大臣並びに内閣官房副長官、副大臣及び大臣政務官並びに政府特別補佐人の出席を求めることができる。


予算委員会への全閣僚出席というのは政党間の申し合わせか慣習といったものだろう。
もし岡田外相が米国訪問を優先させたい意思があれば可能だったと思うが、多分政治的・外交的判断が働いた結果なのだろう。
あるいは野党・自民党がゴネたのか?

国会は内閣に行政権を委ねている。
同時に内閣は国会に対して責任を負っている。
行政遂行を優先させるか国会出席を優先させるべきか。
次のような記事もある。

「先方は日程空けてくれたのに」=岡田外相、訪米中止に未練 (jiji.com)
 岡田克也外相は4日夜、オバマ米大統領の来日前にワシントンで開催する方向で調整していた日米外相会談が中止となった経緯について「先方は(現地時間の)6日を空けてくれていたが、予算委員会の日程がはっきりせず、いつまでも空けてもらうと申し訳ないので断った」と説明した。外務省内で記者団に語った。
 外相会談をめぐっては、米国務省が調整中の段階で「6日開催」と発表した後、直ちに撤回した経緯がある。外相は自身の訪米について「話はだいぶ前からあった。首脳会談の粗ごなしとして考えていた」と指摘。見送らざるを得なくなったことが残念そうだった。(2009/11/04)


内閣と国会の関係についてこの辺できちんと整理しておくことも必要であろう。
特に外交問題等においては機敏な対応が求められることがあろう。
内閣の仕事と国会審議・各委員会等への出席への優先ルールを定めておくべきではないか?
「残念そうだった」などと言われないで済むように。





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