政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

うさんくさい補正予算・117億円の漫画喫茶・国立メディア芸術総合センター

2009-04-30 08:23:31 | 麻生太郎
21年度予算が通ったのが3月27日である。
そして4月27日、補正予算案が国会に提出され、審議が始まった。

しかしこの補正予算案は、すでに本予算案審議中からその提出が確実視されていたものである。
筋から言ったら今回の補正予算は、本予算案を組み替えて提出すべきものであろう。
補正予算を前提にした予算案など本来認められるべきものではない。

09年度補正予算案構想が浮上 「麻生降ろし」を牽制 (asahi.com 1/12)
政府・与党内で09年度予算案を成立させた後、追加の経済対策として、今国会中に09年度補正予算案の成立を目指す構想が浮上した。切れ目ない財政出動で景気回復に取り組む姿勢をアピールするとともに、予算成立後の「麻生降ろし」を牽制(けんせい)する狙いがあると見られる。予算成立後の経済状況などを見て麻生首相が最終判断する。

 本予算を成立させたばかりの通常国会の会期中に補正予算を編成するのは異例。景気回復を最優先課題とした小渕内閣が99年、通常国会の会期を大幅延長し、7月に緊急雇用対策を柱とする第1次補正予算を成立させた例などがある。


「景気回復に取り組む姿勢をアピール」
「予算成立後の「麻生降ろし」を牽制(けんせい)する狙い」
国の政治をなんと心得ているのか!

衆議院における予算関係の経過を整理してみよう。
1月 5日  通常国会召集
1月 5日  20年度二次補正案提出
1月13日  可決
1月19日  一般会計予算提出
2月27日  可決(3月27日成立)
4月27日  21年度補正予算案提出

上の朝日の記事は1月12日である。
本予算提出の前にすでに補正予算は既成事実化していた。
本予算の不備・欠陥を認識しながらも麻生は二段階の手間をかけたわけである。
最大の理由は朝日が指摘している通りであろう。
「景気回復に取り組む姿勢をアピール」
「予算成立後の『麻生降ろし』」を牽制(けんせい)する狙い」

そのほかにも本予算と補正予算を分けて出す理由はいくつか考えられる。
が、なんと言ってもその規模であろう。

2008年度 当初予算 83兆0613億円
2009年度 当初予算+補正予算 102兆4736億円

一挙に20兆円近くの大増額である。
おとなしい国民も目をむく巨額予算である。
これをじっくり予算委員会で審議されたら面倒だ、というところで二段階提出。

麻生首相、10兆円超の補正予算指示 過去最大規模 (Jcastニュース 4/7)
麻生太郎首相は2009年4月6日、与謝野馨財務相に対し、国内総生産(GDP、約500兆円)比で2%以上の09年度補正予算を編成するように指示した。補正予算は10兆円を超える規模になる見通しで、98年度3次補正(7.6兆円)を上回って過去最大規模となる。


ポイントは”過去最大規模”。
まず規模ありき。
中身は後から。
なんでもかんでもぶち込んで積み上げたのが、
過去最高13兆9256億円 政府、補正予算案を国会提出 (chunichi web 4/27)
政府は27日、先にまとめた「経済危機対策」の裏付けとなる2009年度補正予算案を閣議決定し、国会に提出した。雇用対策や中小企業支援、環境関連などを手厚くし、補正総額は13兆9256億円で過去最大。一方、財源として国債を10兆8190億円(うち赤字国債は3兆4870億円)発行する。景気回復を最優先とするが、財政は悪化する。

 与謝野馨財務相は閣議後の記者会見で「今回の補正の財政出動は極めて臨時異例的なものだが、委縮(いしゅく)的な財政出動は避け、率直かつ大胆な財政出動をした」と述べた。当初予算と合わせた補正後の一般会計総額は、102兆4736億円となり、初めて100兆円を突破する。税収でどれだけ歳出を賄えているかを示す税収比率は45・0%となり、初めて50%を割り込む。

 逆に国債依存度は当初段階の37・6%から43・0%に上昇。09年度の国債発行額は44兆1130億円で初めて40兆円台に乗る。うち赤字国債の発行額は29兆2020億円で過去最大

 追加的歳出は、計14兆6987億円。就職支援など雇用対策に1兆2698億円、中小企業支援など金融対策が2兆9659億円、環境対応車への買い替え補助など環境関連に1兆5775億円などとなっている。

 財源は国債発行のほか、財政投融資特別会計の積立金から3兆1000億円を転用、当初予算に計上した「経済緊急対応予備費」(1兆円)のうち8500億円を取り崩す。


中身をみると背筋が寒くなるような巨額歳出である。
麻生が規模優先、中身は不問、という補正予算案を組んだのはこんなものまで潜り込ませているという事実からも明らかである。

お台場にアニメ美術館=11年度完成、目標は年60万人-文化庁 (jiji.com 4/28)
文化庁は28日、アニメ、漫画、映画などの作品を展示するための美術館「国立メディア芸術総合センター」(仮称)を新設する構想を発表した。東京・お台場が候補地で、来場者数の目標は年間60万人。2009年度補正予算案に建設費用117億円を計上しており、11年度の完成を目指す。
 有識者による検討会が今回まとめた構想では、延べ床面積約1万平方メートルの4-5階建てとなる見通し。館内にスクリーンを備え、常設・企画展示などを行う。将来を担う人材を育成するため公開講座も実施するという。


今回の補正予算は経済対策が主眼であるはずだ。
この施設が不要とは言わないが、不急であることは明らかである。
本来なら、本予算に織り込むべき性質のものである。
117億円には土地取得費用も含まれている。
どうしてこれが国債を大量発行してまでの補正予算に入り込んでいるのか?
補正予算規模をとにかく大きくするために、なんでもいいからぶち込め、という麻生の指示のもと、役人が悪乗りしたものであろう。
あるいは「出せ」と言われて、出してみたら通ってしまった。
役人の方が驚いているかも知れない。

アニメやゲームに国の「殿堂」 東京都内に設立構想
国がアニメやマンガに特化した施設をつくるのは初めて。センターではアニメなどの映像作品を鑑賞したり、マンガを読んだり、ゲームを体験したりできる。政府の新経済対策の一つとして、設立に向けた予算117億円を盛り込んだ。交通の便がよい東京都心に施設を建てる方針だ。


あらためて言う。
正統性のない内閣に史上最大の予算を組む権利はない!





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自民党幼稚園児サークル・NASAの会

2009-04-28 15:26:50 | 麻生太郎
幼稚なくせに、たちの悪いのがこの連中だ。
発足以来支持率が落ちっぱなしだった麻生内閣も、小沢事件以来回復傾向とか。
こいつらも同時に息を吹き返してきたか?

首相ら4人が会談、安倍氏「補正成立後ただちに信問え」 (YOMIURI ONLINE 4/24)
麻生首相が23日夜、首相公邸で、自民党の安倍元首相、菅義偉選挙対策副委員長、甘利行政改革相と会談していたことが24日、明らかになった。

 首相らは、2009年度補正予算の成立が衆院解散・総選挙の前提になるとの認識で一致した。

 関係者によると、会談では安倍氏が「補正予算が仕上がったら、ただちに信を問うべきだ」と進言した。


集まったメンバーはNASAの会か。
NASAの会(ウィキペディアより)
麻生太郎がポスト福田へ向けて中川昭一、菅義偉、甘利明らと意見交換をした際に麻生がそれぞれの頭文字を取って NASA の会と名付けようと言い出したのが始り。後に安倍晋三も参加し、麻生が首相就任後は首相を支える親衛隊となっている。


さすがに今回は中川アル中は顔を見せていないようだが……。
しかし油断は出来ない。鬱病安倍がいつの間にやら躁状態になっている。
NASAの会についてはメンバーの一人甘利がこんなことを言っている。

甘利明 公式サイト 2008/11/2
最近 NASA の会というものが随分マスコミの注目を集めるようになりました。

1・2年前、麻生太郎氏を囲んで中川昭一・菅義偉そして私甘利明がホテルオークラのバーの一室でいろいろと意見交換をした際、麻生氏がそれぞれの頭文字を取って NASA の会と名付けようと言い出したのが発端です。この会には安倍元総理も参加したことがあります。マスコミで言われているような政局を操る様な意図はまったくなく、談笑しながら忌憚ない意見を交換し、認識を共有しようとする会で、麻生氏のストレス解消の場になればと思っています。



福田総理が突然の辞意を表明し、総裁選が行われるとなった際、私はいち早く菅義偉氏と連絡を取り、中川昭一氏と三人で打ち合わせる事にしました。麻生氏が本命であることは当然でしたが、前回のどんでん返しもあり、また麻生派自身は勝つための戦いをすることに慣れていないという懸念がありましたので、故に裏選対として我々が戦略を組まねばならないと思っておりました。

この三人のメンバーに尾身幸次氏に参加を呼びかけ四人で数回会合を行い、若手への展開、中堅以上への展開の段取りをとり、若手への展開は田中和徳氏や、山口泰明氏の協力を得、中堅以上への展開は各政策グループから 1人ずつ代表を依頼し、6・7名のメンバーで連日打合せ会を開き、併せて表選対の構成もしていきました。終盤には、麻生総裁候補にも顔を出して頂き、政策のすり合わせを行いました。

この裏選対は、連日会合を行ったにもかかわらず、とうとう最後までマスコミに察知されることはありませんでした。「みんな口が堅いということが確認されたなぁ」「いや、全然注目されていないのかも知れませんよ」一切表に出なかった事に不思議な達成感がありました。『菊作り菊見るときは陰の人』という思いで裏方に徹してきたつもりです。麻生内閣はお友達内閣とか揶揄されますが、人事に関し私や鳩山邦夫氏が麻生氏に進言したのはただ一点「派閥への配慮をはじめとする一切の配慮は無視をして、これぞ麻生人事というのをやってください。任期は長くないはずですし、『This is ASO。文句あっか。』で良いではないですか。」という事でした。その上での入閣ですから、在任中に私にしか出来ない特命大臣としての実績を挙げる決意です。


裏選対!
「政局を操る意図はまったくない」のに”裏選対”?
しかも「裏選対」が「表選対」を操っていた!
こんなことを得々としてしゃべる神経は分からない。
麻生当選には余程この裏選対が貢献したのだろう。
選挙後はそろってご褒美だか謝礼だか分からぬが、重要ポストを振る舞われている。
中川昭一 財務・金融大臣
甘利明  行革・公務員制度改革担当大臣
菅義偉  党選対副委員長

『This is ASO。文句あっか。』?
いうなれば開き直り内閣。
その結果があからさまな論功行賞人事+右翼お友達人事
もっとも、「どうせすぐ解散だから能力不問」の内閣である。
思いがけず解散引き延ばしで全員無能が分かってしまって支持率は急降下。
小沢でっち上げ事件でようやく回復軌道に……。

神道政治連盟議員懇談会という議員連盟がある。
神道政治連盟は「天皇の大御代の光栄と永久を祈る。これが、日本人の繰り返してきた祭りの心であり、ここに神道的な日本国民の良心的な社会観があり、国家観がある」(神道政治連盟『綱領解説』)という、まさに「天皇を中心とした神の国」の実現をめざす政治結社である。この考え方に賛同・支持し、それを国会・政治の場で実現するために活動しているのが「神道議連」である。
麻生・安倍・中川・菅・甘利全員メンバーである。
政教分離などといってもこいつらには理解できない。
祭政一致の神の国こそ理想の国家像。

麻生内閣の神道議連参加閣僚
麻生太郎 内閣総理大臣
中川昭一 財務・金融大臣
甘利明  公務員制度改革推進担当大臣
河村健夫 内閣官房長官
石破茂  農林水産大臣
森英介  法務大臣
金子和義 国土交通大臣
二階俊博 経済産業大臣
佐藤勉  国家公安委員長
浜田靖一 防衛大臣
野田聖子 消費者行政担当大臣
塩谷立  文部科学大臣
神道政治連盟国会議員懇談会議員リストより)

あたかも神道内閣である。
もっとも自民党衆参会わせて220人程度が参加しているという。
いっそ自民党は宗教法人に衣替えした方がいいのじゃないか?

そう言えば麻生は最近の国会で、クリスチャンと呼ばれて
”クリスチャンではなく、カトリック教徒です”と訳の分からない答弁をしていた。
カトリック教徒もクリスチャンには違いなかろうが、彼等はなにか厳密な区別をしているのかな。
しかし、カトリックが寛容なのか、神道が寛容なのか。
それとも麻生が寛容なのか、いい加減なのか?

麻生首相ら「NASAの会」 結束を確認 (msn産経ニュース 2008.12.11 )
麻生太郎首相は11日夜、都内の日本料理店で、首相親衛隊「NASAの会」と呼ばれる自民党の安倍晋三元首相、中川昭一財務・金融担当相、甘利明行革担当相、菅義偉選対副委員長の4氏と会食した。会談では安倍、菅両氏が「厳しい局面だが、自信を持って麻生カラーを出すべきだ」と励まし、「一致結束して麻生政権を支え、難局を乗り切っていこう」と意気投合した。首相が安倍氏と会食するのは就任後初めて。


安倍の歓迎会?
こいつらがおだてるから、麻生は勘違いする。
グズグズしている間に風向きが変わってきた。
「待てば海路の日和あり」とみんなで高笑いしているか。





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草事件と小沢事件

2009-04-26 08:54:45 | 政治
草剛の今回の騒動については、大方はすでにご承知であろう。
ニュースを聞いたとき、わたしは「若い男が酔っぱらって真夜中の公園で裸になっていた?風邪引かなかったのかい」という程度のことしか思わなかった。
しかし、世間の騒ぎはわたしの想像をはるかに超えていた。
テレビではまるで史上最大の凶悪犯罪事件のような扱いである。
一番の驚きは鳩山総務大臣の言葉であった。

鳩山総務相、地デジキャラ逮捕に「最低の人間だ」 (YAHOO JAPAN ニュース 4月23日 産経新聞)
 鳩山邦夫総務相は23日昼、地上デジタル放送の普及促進のメーンキャラクターを務めているSMAPの草なぎ剛容疑者が公然わいせつの現行犯で逮捕されたことについて「事実であれば、めちゃくちゃな怒りを感じている。なんでそんな者をイメージキャラクターに選んだのか。恥ずかしいし、最低の人間だ。絶対許さない」と明言。草なぎ容疑者が出ているポスターなどを全面撤去し、キャラクターから降板させる考えを示した。国会内で記者団の質問に答えた。


真夜中の公園で酔っぱらって裸になっただけで、「最低の人間だ。絶対許さない」とまで言われるか?
後で撤回しようが発言したことは事実である。
少なくとも鳩山はそのときそう思っていたのは間違いなかろう。
いったいこの大臣は人間の価値を何で計っているのか?

公然わいせつ罪とはいえ、草君のチンボコを見た人は駆けつけた警察官ぐらいなんだろう? 
思い起こすのは中川財務大臣の酔っぱらい会見。
世界中に真の酔っぱらいとはどんなものかを示してくれたあの人物と、ほとんど見る人もいない真夜中の公園で自分の衣服を脱いだだけの酔っぱらい。
テレビの番組からは降ろされるは、コマーシャルは放映中止されるは、果ては損害賠償?やら、謝罪会見やらと、まるで日本中が一人の青年をいじめているようだ。

この連中の大好きなものに”日本の伝統文化”という言葉がある。
「酔っぱらいに寛容な日本」というのも失われつつある日本の伝統文化の一つであろうか。
「酒の上のこと」として許された失敗も最近では許されなくなってきているようだ。
これには”酔っぱらい運転”による交通事故の多さとその撲滅という動きが大きい影響を与えていると思われる。
「酒の上の暴力」などは論外としても、「酒の上のしくじり」という言葉には、どことなくおかしさが伴っていた。
いまではそんな視線も消え去っているようだ。
とはいえ、それにしても大げさすぎる騒ぎである。

行為の中身を落ち着いて検証することなく、騒ぎの大きさに引きずられて、自分もその騒ぎを更に大きくしていく流れに飲み込まれる。
一億総ヒステリー症状といえようか。

小沢事件も同様の症状の現れであろう。
事実の本質とは関係なく、騒ぎの大きさだけが流れを作り、多くの国民が引きずられていく。
もちろん騒ぎを大きくしているのはマスコミである。

”小沢事件”といったのは現在の状況が西松建設の裏金事件を離れ、小沢引きずり下ろし、政権交代阻止事件とも言うべき様相がはっきりと浮かび上がってきているからである。
一旦、ヒステリー状態に陥った国民が目を覚ましたときにはすでに手遅れになっているかもしれない。


ついでながら一言。
「努力してます」世襲の閣僚一斉反論 制限の動きに (asahi.com 4/24)

相変わらず持ち出すのは、”憲法問題(職業選択の自由)”と”個人の能力”。
問題はそんなところにはない。
「不公平な競争」こそが問題なのだ。
特に許せないのが桝添茶坊主。

舛添厚生労働相は「看板や地盤が意味を持たない時代になってきている。そんなに日本の有権者を馬鹿にしちゃいけない。きちんと政治家の質をみて、判断してくれると思っている」と述べた。

「きちんと政治家の質をみて、判断してくれる」?
国民の多くはちゃんと見ている。
小淵→森→小泉→安倍→福田→麻生

「日本の有権者を馬鹿しちゃいけない 」?
一番バカにしているのはこの男である!




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西松献金事件・竜頭蛇尾そして残ったものは

2009-04-24 11:18:01 | 自民党
メアキ千人メクラ千人!
(単なることわざです。)

前者の国民の目に検察の姿はどう映っているか?

検察にしてみれば、事態は決して目論み通りの経過をたどっているとは言えないものと思われる。
事情聴取抜きのいきなりの大久保秘書の逮捕。
10日間延長までしての通算20日間の拘留。
しかし、起訴理由は政治資金収支報告書の虚偽記載のみ。
そして裁判所による保釈拒否。

総選挙を間近に控えての逮捕劇を批判されると、「事件があればいつなりとも捜査するのが検察の義務」などと言っていたくせに、二階の捜査に関しては、「(総選挙がいよいよ近づいたので)選挙に影響を与えるので捜査は行わない」というような話がどこからともなく流れてくる。

検察としては小沢一郎本人にまで捜査の手を伸ばすこと、あわよくば小沢逮捕まで視野に入れた取り組みをしていたものと思われる。
ところが大久保秘書を起訴はしたものの、有罪に持ち込むことさえ疑わしくなっている状況である。

もし、大久保秘書が無罪にでもなったら、検察としては大失態との非難を浴びることになる。

しかし、今の事件担当者たちにとってはそんな非難は痛くもかゆくもない。
政権交代がない限り、自分たちを処分するものはいないからである。
検事総長以下が一味であり、法務省も一味であり、内閣総理大臣も一味である。
第一、判決が確定するのは何年先になるか見当もつかない。
そのころには国民の事件への関心はほとんど失われている。

マスコミは”小沢氏はもっと説明責任を果たせ”と口をそろえる。
そのうえで世論調査で”小沢氏は説明責任を果たしていると思うか”と尋ねる。
多くの人は小沢氏の釈明・説明などほとんど聞いてもいないが、尋ねられれば、”説明責任を果たしていない”と答える。
さらに”小沢氏は辞任すべきか”と追い打ちをかける。
答えは分かり切っている。

国民の間にはなんとなく”小沢に対する不信感”だけが残っていく。
裁判の結果がどうなろうと、検察にとっては大成功である。

菅直人氏:「政局もてあそんでいる」 検察当局に苦言 (毎日jp 4/23)
 民主党の菅直人代表代行は23日の記者会見で、小沢一郎代表の公設秘書が逮捕・起訴された政治資金規正法違反事件について「起訴から1カ月経過したが、捜査が終結したのか分からない」と指摘。検察当局に対し、「政局をもてあそんでいる。衆院の任期満了まで5カ月を切っており、選挙に影響を与えないようにすべきだ」と苦言を呈した。

 菅氏は、西松建設の違法献金事件に絡む二階俊博経済産業相側への捜査についても「強制捜査が行われたか明らかでない」として「中途半端な状況が極めて悪い影響を与えている」と批判。「国民の自由意思で政権選択できる条件」として「遅くとも連休明けには捜査終結か、自民党側への捜査をするならするとはっきりすること」を検察側に求めた。【白戸圭一】


ようやく言うべきことを言ったか。
しかしもっとはっきり言わねば、この連中には聞こえない。
国会に検事総長を呼んで、同じことをいってやれ。
法務大臣も、検事総長に対して「国民に疑惑を抱かれることがないように、厳正・公平な捜査を行うように」ぐらいのことを言ってみろ。
だれも”指揮権発動”などと騒ぐものはいない。
麻生も法務大臣に対して同じことを言ってみろ。

言うはずない、と知ってはいるが……。





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笑わせる自民党の”世襲制限”

2009-04-23 17:43:32 | 自民党
まったくやる気がないのは明々白々。
まして言い出しっぺがこの男ときては!
菅義偉自民党選挙対策副委員長。
目的のためにはどんな見え透いた嘘でも平気でつける奴。

世襲制限、早期検討を=自民・菅氏 (jiji.com 4/13)
自民党の菅義偉選対副委員長は13日夜、東京都府中市内で講演し、次期衆院選に関し「2009年度補正予算案を成立させると同時に、自民党も身を切っていると思われないと選挙には勝てない」との認識を示した。具体策として、両親から選挙区を受け継ぐ世襲の制限や国会議員の定数削減などを挙げた。


つまるところは選挙向け。

自民若手が菅氏と世襲制限で意見交換 (nikkansports.com 4/21)
自民党の松浪健太衆院議員ら若手でつくる「自民党を刷新する第3世代の会」は21日、党本部で、世襲制限に意欲を示す菅義偉選対副委員長を講師に招き、意見交換した。存在感をアピールするのが狙いで約30人が参加した。


結局こいつらも選挙向け。
とりあえずポーズだけでもと手を挙げる。
マスコミも”街の声”などといって「世襲だからといって一概に悪いとは言えない。その人の能力による」等の声を拾ってやる。
公平を装うために「世襲禁止」に賛成という声も拾っているが、どこかおざなりだ。
世襲議員たちの声は比較的熱心に伝えている。

「世襲の定義、よくわかんないんですよ」22日の首相 (asahi.com 4/22)
「あのー、世襲の定義っていうのがよくわかんないんですが、親が亡くなって、跡を継いだ。麻生太郎はどうなります?」

 ――(記者団沈黙)


この男に政治のことをきいても分からない。
何にも考えられない頭の持ち主である。

世襲制限で自民論争…不満の森法相・鳩山総務相、若手は「是」 (YOMIURI ONLINE 4/22)
 森法相は「大正13年(1924年)からずっと私の一族で議席をいただいてきた」と、納得できない様子を隠さなかった。祖父は首相、父は外相で、自称「超世襲」の鳩山総務相は「私たちまではいいが、後は駄目というのはいかん」と述べた。禁止するなら、麻生首相も含めた現職議員にも適用しないと筋が通らないとの考えだ。


”大正から”というのもすごい一族がいたものだ。
そしてこの話が持ち上がるとと必ず出てくるのが「職業選択の自由」。

自民、世襲立候補制限反対の嵐 どうなるマニフェスト (yahoo ニュース 4月17日21時16分配信 産経新聞)
会合後、自民党4役の1人は記者団に「世襲だって立派な人はいる。(職業選択の自由を定める)憲法に違反するとの話もある。未熟な議論だ」と指摘。大島理森国対委員長も17日夕、記者団に「誰でも立候補できるという民主主義の根本を分からずに議論してはいけない」と批判した。

 菅氏と親しい甘利明行政改革担当相も会見で「世襲候補に突出した有利さがあってはならないが、職業選択の自由を阻止する法律はできない」と語った。


”職業選択の自由”の問題ではない。
不公平な競争が問題なのだ。
言ってみれば、100メートル競走で一人だけスタートラインがゴール前10メートルのところに引かれているようなものである。

求められるのは「職業選択の自由を阻止する法律」ではなく、「不公平な競争を阻止する法律」である。
たとえば”独占禁止法”という法律がある。
本来、経済活動は自由であるべきではあるが、あえてその自由を制限することが必要なことがある。
この法律には、強いものがその力を利用して、力の弱いものに対して有利な立場に立つことを制限する性格がある。
 公正取引委員会の主なる仕事は、私的独占、不当な取引制限(価格カルテル、市場分割カルテル、入札談合等)及び不公正な取引方法(不当廉売、優越的地位の濫用等)の監視・摘発等である。

この法律は決して”経済活動の自由”を侵すものではあるまい。
企業活動の自由は社会の公正・公平を損なわない限り保証されるということである。
公務員のスト権も社会活動を維持するために制限される。
その他、人権というものが制限される場面というのは数多くある。
何故ひとり政治家だけがその枠外にいられるのか?
政治家の被選挙権も場合により、公平な競争を侵すと考えられれば制限されるのは当然である。

政治家の子供が政治家になってはいけないというのではない。
公平な競争をしろ、と言っているのだ。

世襲制限のための提案

議員あるいは議員であった者の三親等以内の親族及び姻族が立候補する場合、
1 一部でも投票区域が重複する選挙区では、被世襲議員が議員を辞めた後、12年を経過するまでは立候補できない。
  (衆議院・参議院・地方首長及び議員をすべて含む。12年というのは参議院選挙2回分である)
2 政治団体の引き継ぎは認めない。

どうしても政治家になりたければ、他の地域に行って、一から地盤を築けばいい。
あるいは政党に入って政党の支援で新しい選挙区を割り当てて貰うのもいい。
職業選択の自由など持ち出す筋合いの話ではない。





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ある世論調査・”優秀な官僚”という幻想

2009-04-22 06:37:54 | 官僚
”公務員”が”官僚”になると急にうさんくさい存在になる。
なぜ公務員でいけないのか。

呼ぶ方も悪いが、そう呼ばれて満足している連中にも腹が立つ。
自分たちを”官僚”と呼んでてんとして恥じない。

一般には、国家公務員採用Ⅰ種試験の合格者を指して使われている。
キャリアあるいはキャリア官僚などとも呼ばれているようだ。
それ以外の公務員はノン・キャリと呼ばれる。
閣僚、官僚、幕僚などと、僚の字をつけると途端に偉そうに聞こえてくる。
吏僚と言う言葉もあるが、これは少しランクが下がる感じを与える。
ちっとも偉そうに聞こえないのは”同僚”ぐらいだ。

Ⅰ種合格者は各省庁に毎年それぞれ10~20人程度が採用されている。
この連中は公務員・公僕ではなく、いわゆる”官僚”の道を歩き出す。
ライバルはこの10~20人だけである。
他の公務員とは歩く道が違っている。競争相手にはならない。

官僚信頼せず74%、優秀な人材必要81%…読売調査 (YOMIURI ONLINE 3/26)
読売新聞社の全国世論調査(面接方式、14~15日実施)で、中央省庁の官僚を信頼しているかどうかを聞いたところ、「信頼している」と答えた人は22%で、「信頼していない」は74%だった。
 ただ、「官僚には行政の担い手として優秀な人材を集めるべきだ」という意見には「そう思う」との答えが81%に達した。世論は今の官僚に強い不信感を抱く一方、国政の遂行を担う官僚制度が機能することへの期待感は強いようだ。


「官僚には行政の担い手として優秀な人材を集めるべきだ」?
実はこの「優秀」という言葉に問題がある。
「優秀」を何で判断するのか。
もちろん試験でしょう!
それ以外に客観的な判断基準はないでしょう。
そうやってこの国は駄目になってきた。

”優秀な官僚”で固めた明治政府は戦争への道を突っ走り、ついに敗戦にまで一直線であった。
敗戦後の日本をリードしたのも優秀なはずの官僚であった。
結果は?
毎年、一般予算と特別会計合わせて200兆円以上のお金を使い、それでも足りずに国・地方合わせて1000兆円にのぼる借金をして作り上げたこの国の現状がその結果である。

日本の官僚は優秀である。
日本は官僚がしっかりしているから、政治家が駄目でもやっていられる。

こんな幻想は捨てよう。
これだけのお金と権力を預ければ、普通の常識と責任感のある人たちならばもう少しましな国を作り上げる。
必要なのは、優秀な官僚ではない。
必要なのは、常識を備えた誠実な公務員なのだ。
自分たちだけに与えられた特権を当然と思う人間ではなく、そんな特権は不公平だと恥じる人間だ。

優秀な公務員は、役所に入ってから育てればいい。
全員同じ試験で一定の水準の人間を採用したら、後は仕事を通して育て、選抜していけばよい。
政治任用制を大幅に取り入れるのもいい方法だ。
”官僚”どもも、外部の人材との実力勝負をしなければならなくなる。
10~20人の競争相手では済まない。

トヨタ管理職ボーナス6割減へ 9000人が対象 (asahi.com 4/22)
 トヨタ自動車は、09年度の課長級以上の管理職約9千人のボーナスを、前年度より平均6割減らす方針を固めた。すでに組合員約6万3千人のボーナスは、約26%減の平均186万円で労使が合意。役員賞与はゼロにする方針で、赤字幅の圧縮へ向けて厳しい対応を迫られている。

膨大な数の国家公務員を効率的に管理するためには、キャリア制度は不可欠だ、というような議論をするものがある。
トヨタの従業員数
従業員数 単独:65,798人
連結:285,977人
一民間企業にしてこれだけの人数を管理している。
しかも危機に際してはこれだけのダイナミックな対応をしている。
役所にできないわけはなかろう。


公務員制度改革の議論を巡っては、官僚不信が過度のバッシングにつながっているとの指摘がある。「行き過ぎた官僚批判は官僚のやる気を低下させ、国民の利益にならない」という意見には、「そうは思わない」が53%だったが、「そう思う」も41%となった。

「行き過ぎた官僚批判」?
どこまでが正当な官僚批判で、どこからが「行き過ぎた官僚批判」なのか?
「過度のバッシング」というがどこが過度なのか?
まるで官僚批判、天下りや渡りの批判、役所の無責任体質批判が「過度の官僚批判」であるかのような設問の立て方である。
「やる気を低下させる」?
そんなことでやる気をなくす連中はいらない。
批判を真剣に受け止めることもせずに、ふて腐れてやる気をなくすような奴はいらない。

公務員制度改革で優先的に取り組むべきだと思うものを複数回答で聞くと、「省庁による『天下り』などのあっせんを禁止する」55%、「政治家との癒着を防ぐ」38%、「民間人の登用や民間との人事交流を進める」37%――などの順で多かった。「天下り」への世論の視線は厳しく、「認められない」は78%に達し、「やむを得ない」は18%、「問題はない」は2%に過ぎなかった。

「省庁による『天下り』などのあっせんを禁止する」55%。
「天下り」への世論の視線は厳しく、「認められない」は78%。

この差は”優先順位”の問題と思われるが、設問の立て方もあるのだろう。
一度、同じ調査を”キャリア官僚”だけを対象にやって貰いたいものだ。
果たしてどんな結果が出るものやら。



内閣支持率26%、やや回復 朝日新聞4月世論調査 (asahi.com 4/20)
朝日新聞社が18、19の両日実施した全国世論調査(電話)によると、麻生内閣の支持率は26%で前回調査(3月28、29日)の22%からやや回復した。不支持は57%(前回64%)だった。首相が打ち出した追加の景気対策については、「評価しない」が60%で、「評価する」の25%を大きく上回った。
 内閣支持は、2月19、20日の調査で13%まで下落。民主党の小沢代表の秘書が西松建設からの違法献金問題で起訴された後の前回、今回と徐々に持ち直している。自民支持層の内閣支持は前回の56%から65%に上がった。

この程度のことでもうれしいと見え、最近の麻生はバカに強気になっている。




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西松献金事件とある公認会計士の死

2009-04-20 11:36:00 | 自民党
小沢氏周辺に対する検察の姿勢と、その他名前が挙がっている政治家に対する姿勢、特に二階俊博に対する姿勢とが余りにも違っているのでどうしても国策捜査という疑念が生じてくる。

しかし、ここにある一つの自殺事件を当てはめてみると、これまでの検察の動きが新たな角度から見えてくるように思われる。
この自殺事件はほとんど、あるいはまったくと言っていいほどマスコミには取り上げられていない。

3月3日に小沢氏の公設秘書大久保氏が逮捕された。
直後から二階俊博などの名前が取りざたされ、”近日中に”とか”週明けには”捜査に着手というような報道が五月雨式に出ては消えして、今日に至っている。

二階経産相の実弟ら事情聴取 (nikkansports.com 4/7)
西松建設側が二階俊博経済産業相の関連政治団体に事務所を貸与し、政党支部への個人献金を装って家賃を補てんしていたとされる疑惑で、東京地検特捜部は7日までに、参考人として二階氏の実弟(67)らから事情聴取した。
特捜部は二階氏の公設秘書からも参考人聴取した。


聴取は事実らしい。
ようやく、というところか
とはいえ、それでどうなったかというと何も無し。

西松問題、二階側捜査音無し?「やはり国策」の声も (ZAKZAK 2009/04/15)

 二階氏側の立件については、毎日新聞は今月4日、「特捜部は来週にも、上級庁と最終協議に入る」と書き、日経新聞は7日に「(特捜部は)4月中旬にも最終判断する」と報じたが、14日現在進展はない。
 こうした中、永田町に不可解な情報が流れた。
 小沢氏の公設秘書が起訴された先月24日、特捜部から「出入り禁止」となっていたマスコミ数社の処分が解除された。10日夜には、佐久間達哉特捜部長と司法クラブ記者の懇親会が開かれた。さらに、政府の「安心社会実現会議」に、前検事総長の但木敬一氏が選ばれたのだ。
 民主党中堅は「これらの情報は、二階ルート捜査の縮小、または官邸と検察の接近を示唆しているのでは。首相は5月解散もチラつかせており、捜査が長引けば立件のタイミングは無くなる。特捜部は内心、事件の風化を狙っているのではないか」と語る。
 ただ、検察関係者は「特捜部長の懇親会は新年度の恒例行事。特捜部は淡々と捜査を進めているはずだ」と、国策捜査説を否定している。


二階側に対する手ぬるさは、小沢側に対する姿勢とを比べてみれば際だっている。

何故検察はいきなり大久保秘書を逮捕したか?
何故大久保秘書は起訴後も保釈されないのか?


長野県知事の側近が西松建設問題で事情聴取を受けた直後に自殺したことは比較的知られている。
長野知事周辺に西松建設から1千万超か 東京地検に関係者供述 (2009/02/26 47news 【共同通信】)
特捜部は、裏金が使われた可能性があるとみて提供の趣旨や金の流れなどについて慎重に捜査。村井知事が衆院議員時代に公設秘書を務め、24日に長野市内で自殺した同県総務部参事の右近謙一さん(59)に対しても複数回にわたって聴取していた。
右近さんの自殺について、東京地検は「参考人として事情聴取した。(聴取と自殺との因果関係は)コメントする立場にない」としている。
公設秘書だった右近さんは同年12月、参事に就任。今月24日夕、長野市内の道路で電柱にロープで首をつった状態で自殺しているのが発見された。

地検特捜部事情聴取で県参事自殺 (追撃コラム&取材メモ 2/27)
村井仁知事の片腕として県参事に就いていた右近謙一氏(59)が24日夕方、長野県庁近くの路上の電柱にロープで首をつって自殺した事件で、自殺の原因と思われる情報が出てきた。
右近氏は準大手ゼネコン「西松建設」の巨額裏金事件に関して東京地検特捜部の事情聴取を今月21日、22日、23日の3日間受けていたというのだ。
事情聴取を受けていたことは共同通信などが25日夜になって地検が発表したと報じているが、日にちを特定して3日間も受けていたことまでは触れられていない。これは長野県議会関係者複数が私の取材に対して明かしたもの。議会関係者でも一部のものしか知らないようだ。


そして右近氏の自殺が2月24日である。
検察の聴取と自殺が無関係とは考えられない。
そして3月3日の大久保秘書逮捕である。

しかしここにもう一つの自殺事件が関係してくる。
自殺の元政府高官の子息、特捜事情聴取認めず (一ノ宮美成の取材日記 3/24)
元国土交通省事務次官・小幡政人氏の子息Aさんが自殺したのは今月(3月)10日。昨年三月慶応義塾大学経済学部を卒業し、公認会計士として大手監査法人に勤務。二階氏関係の経理を担当していたという。自殺するまで兵庫支部所属の公認会計士をしていた。東京地検特捜部は、Aさんについての聴取は認めていない。


この事件はマスコミはまったくと言っていいほど取り上げていないので、情報量が極端に少ない。

二階事務所の秘書の動向が分からなくなっているという情報もいくつか流れていた。
論談TV 漆間官房副長官の嘘と二階さんの秘書は?【今田】 3/27
国策捜査の後ろ暗さがあるから、運行記録の情報公開ができないのだろうと思う。だが、最近、国民の国策捜査を疑う声の大きさに怖れをなして、やっと、二階さんの捜査が再開されたようだ。
そして、風の便りで二階さんの秘書の、あの太った小幡さんの姿が見えなくなったと聞く。まさか、一時的に旅行にでも行ったのかもしれないが、それならいいのだが、追い詰められての自殺だけはしないで欲しい。
二階さんの弟さんと、和歌山にある「S商事」の関係は親密だ。小幡さんも親分が政権与党の大臣を歴任していたのだから、綺麗な金集めするのは大変な気苦労があった事だろうと思う。


そしてもう一つ、一読しただけでは何のことか分からぬニュース記事がある。

西松関連で自民党秘書が自殺騒動!?実は同姓の親族 (ZAKZAK 2009/03/26 )
西松建設事件めぐって先週、「献金リストに登場した自民党実力者の秘書が自殺した」という永田町情報が広まった。ただ、情報は思わぬ方向に展開し、報道各社が裏付け取材に走り回る一幕があった。
 《A秘書が自殺したらしい》

先週、永田町にこんな情報が流れた。
 A秘書は西松事件で名前が浮上した自民党実力者の側近。同事件では長野県の村井仁知事の元秘書が先月末、東京地検特捜部の事情聴取後に自殺しており、担当記者らは「またか…」と確認に走った。ところが、A秘書は最近体調を崩し気味だが健在。その後、こんな情報が広まったのだ。
《A秘書と同姓で、自民党実力者と懇意の元キャリア官僚の親族が自殺した。親族は公認会計士で、実力者の政治資金にかかわっていたようだ》


自民党実力者というのが二階俊博。
元キャリア官僚というのは、国交省事務次官を務めた小幡政人氏。
親族というのは小幡氏の息子。
彼は公認会計士であった。

二階氏の秘書
政策 小幡一雄
第一 長田武敏
第二 二階俊樹(長男)
(2004年当時、最近の名簿が見つからなかったので)

それにしても曖昧きわまりない記事である。
記事だけでは何のことかほとんど分からない。

 確かに、この実力者が大臣時代、元キャリア官僚は間近で仕えており、親族には公認会計士がいた。また、国会議員関係の政治団体は公認会計士や弁護士などによる政治資金監査が義務付けられている。
 そこで、親族の勤務先を直撃すると、「今月上旬に亡くなったのは事実。ただ、死因などは聞いていない。彼は会計士になって時間が浅い。政治資金にはタッチしていない」と話す。
 元キャリア官僚の事務所関係者も「亡くなったのは確かだが、変な情報を流されると迷惑だ」と語った。

 記事だけではほとんど意味不明。

小幡政人 略歴
1968年 運輸省入省
1999年 官房長
2001年 国土交通事務次官
2002年 退官
2003年 日本鉄道建設公団副総裁
2004年 鉄道・運輸機構理事長
2008年 退任


一方、二階俊博は自民党、道路族・運輸族のドンと言われている。
古賀誠と並ぶ実力者である。
二階俊博運輸大臣のとき小幡氏は官房長を務めていた。

実際のところは、二階の政策秘書小幡一雄氏と小幡政人氏の息子を混同したものかと思われる。
しかし小幡氏の息子が公認会計士として二階事務所にかかわっていたことは確からしい。
勤務先が「死因などは聞いていない」というのも変な話である。
病気か事故か事件か、聞いていない?
つまり、言えない、ということなのだろう。

2月24日 長野県知事側近の自殺
3月3日  大久保秘書逮捕
3月10日 小幡某氏自殺?

まず長野県知事側近に自殺されてしまった。
検察はこの失態から批判の矛先をそらすため、長野県知事の周辺から手を引いて、小沢に矛先を向けた。
そして聴取段階で自殺されたんでは困ると、大久保秘書をいきなり逮捕した。
そうしているうちに小幡某氏の自殺事件が起こった。
事件関係者の二人目の死である。
(政策秘書小幡一雄氏の聴取については検察は否定しているらしいが、公認会計士小幡某氏については聴取をしたかどうかは不明である。大久保秘書逮捕後の3月4、5日ごろ事情聴取を行ったという不確かな情報もある)
検察は大久保秘書の保釈は、万が一を考えて絶対に避けようとしているのではないか。
大久保秘書に関しては、検察は大がかりな家宅捜索を実施している。
証拠隠滅の恐れも逃亡の恐れもまず考えられない。
それにもかかわらず、起訴後も依然として大久保氏の拘留を続けている。
氏の自殺を恐れているというのが最大の理由ではないのか。
(保釈された大久保氏の口から検察のいい加減な情報リークが明らかになるのを恐れているのも確かだろう)
これまでのところ小幡某氏の自殺はほとんど世間の注目を集めていない。
しかし新たな自殺事件でも起こればどうなるか分からない。
二階氏側の捜査に検察は終始及び腰であつた。

先日わたしは小幡政人氏の茨城県知事立候補を取り上げた。
千葉と茨城・二つの県知事選の意味するもの 2009-04-10
いま茨城県の一部事情通の間である噂が広がっているという。
小幡氏の立候補はなくなった、というものである。
理由はもちろん息子の自殺である。
そして意外なことから浮かび上がった二階俊博との関係である。

検察の、迷走とも言っていい動きの裏に二つの自殺事件が隠れている。
しかしながらもちろん、大久保秘書事件が国策捜査であるという疑惑は厳然として残る。



今回のわたしの投稿はあまりに噂段階の情報に頼っていると自分でも感じている。
しかしながら、族議員のドンと官僚と地方行政との関係が形作るこの国の政治のありようの一面に触れることにもなにがしかの意味があるのではないか、と自分を多少ながら納得させている。




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あらためて森田健作の当選無効を要求する

2009-04-17 11:56:47 | 自民党
「選挙民に誤解を与えたなら残念」

選挙民を誤解させるのが目的だったくせに。
白々しい!

反論するのも馬鹿馬鹿しいほどの言い訳である。
これほど説得力のない弁解も珍しい。
納得する人もいないとは思うが……
「市民運動団体のメンバーや弁護士ら約850人が15日、公職選挙法違反(虚偽事項の公表)の疑いで千葉地検に告発した」ことを受けて、

刑事罰に触れることはない~千葉・森田知事 (NNNニュース 4/16)

公職選挙法違反について

森田は完全無所属が正当であることの理由として四点挙げている。

1、自民党の公認も推薦も受けていないので、無所属としなければいけない。

無所属でも推薦は受けられる。
公認や推薦の有無は無所属であることとは関係ない。
普通、公認は所属候補にしか出さないだろうが、推薦はそうではない。
立候補の届けには所属党派名を書くのであって、公認とか推薦とかは不必要である。



この届け出に党派名を記入しなければならない。
森田は、所属党派証明書を貰っていないから「無所属」としなければならない、とも言っている。
森田は所属党派証明書を党に請求しなかっただけである。
請求すれば当然自民党の支部長に対して自民党は所属党派証明書を出さなければなるまい。
本来、自民党に所属しているのだから、所属党派名を記入し、証明書を添付しなければならない。
しかし、森田は「無所属」を先に決めて、わざと証明書を請求しなかったのである。
森田が証明書を出すよう請求したにもかかわらず、自民党がそれを出さなかったというなら、無所属というのも頷ける。
森田は自民党員であるにもかかわらず、「無所属」を装うためにあえて請求しなかったのである。
立派な虚偽の届け出であろう。

西尾憲一千葉県議、次期県知事選に立候補表明 (msn産経ニュース 2008.10.7)
来年3月に予定されている任期満了に伴う千葉県知事選で、県議の西尾憲一氏(57)は6日、県庁で会見し、無所属での出馬を表明した。 
 西尾氏は同日、自民党県連に離党届を出した。西尾氏は、平成7年船橋市議、11年千葉県議初当選し、4選目。次期知事選の立候補表明は西尾氏が初。現職の堂本暁子知事は態度を明らかにしていない。


(挿入4/18) 以下の部分はわたしの勘違いでしたので削除いたします。
議員辞職を離党と勘違いしたまま確認しませんでした。
河村氏の離党は確認しておりません。
(削除4/18) また先日名古屋市長選に立候補を表明した民主党の河村たかし氏も離党届をだしている。
常識であろう。


2 なぜ、『完全無所属』と言ったかというと、政策は自分で考えました、私は自分一人でやりました、だから私は完全無所属だと、そう言ったんです。

まったく関係ない。
政策を誰が考えようと、自民党所属は自民党所属。
噴飯物としか言い様がない。
お粗末も極まれり。

3 「無所属で立つと決めたときに政党支部は解散するように指示した」

”指示した”とは信じられないが、たとえ指示したとしても、今日にいたってもまだ支部は存在しているし、森田は支部長である。
選挙期間中にはまったく口をぬぐっていたくせに、問題になってからあわてて過去にさかのぼっての指示を持ち出すとは。
指示したかどうかは誰にも証明できない。
信じる人がいるとは思えないが、森田はこの言い訳を信じる人がいると思っているのだろうか?

4 「政党支部で集めたお金は選挙には使っていない」

問題のすり替えであろう。
どんなお金の使い方をしようと関係ない。
政党支部の名でお金を集めたことが問題なのである。

以上四点、勘違いと強弁と問題のすり替えとでっちあげ。

政治資金規正法違反について

今回森田健作の告発では、森田が外人が半分以上の株式を所有している企業からの献金を受けたことが、政治資金規正法違反としてあげられている。
ただこれについては、違反の事実が明瞭なわりには、犯意の立証は難しいものと思われる。
外人の株式所有割合が半分以上である、ということは外側からはなかなか分からない。
森田が株取引でもやっていて、普段に会社四季報や会社情報などを読んでいなければ、知らなかったで済んでしまいそうである。
株主は普段に異動している。ドン・キホーテにしてもいつの時点で認識したかは分かりにくい。

政治資金規正法違反では、「自民党東京衆議院選挙区第2支部」と「森田健作政経懇話会」との資金のやりとりの違法性の方が本命であろう。
事務所費も電話代も払っていない自民党東京衆議院選挙区第2支部が完全なダミー団体であることは明白である。
民主党小沢代表のケース以上に悪質である。
ついでながら小沢代表の秘書を起訴した容疑にかかる金額は3500万円に過ぎない。
マスコミはこの事件を「巨額献金事件」と呼んでいるが、巨額は大げさすぎるだろう。

小沢・民主代表の大久保秘書らを起訴…東京地検(2009年3月24日16時48分 読売新聞)
起訴状では、大久保容疑者は2003~06年、同社から計2100万円の献金を受けたのに、陸山会の政治資金収支報告書には、同社のダミー団体である「新政治問題研究会」と「未来産業研究会」からの献金だと虚偽の記入をしたとしている。また、小沢代表が代表を務める民主党岩手県第4区総支部が同社から03~06年に計1400万円の献金を受けたが、ダミー団体からの献金として虚偽の記入をしたとしている。


4年間で3500万円に過ぎない。
一方森田がダミー団体を通して集めた金は4年間で1億6千万以上である。
しかも全額違法な処理である。

日刊ゲンダイ(04月03日)
森田が支部長を務めるのは自民党東京都衆議院選挙区第2支部。収支報告書の支部長名には森田の本名である「鈴木栄治」と書いてある。しかも、この支部は04~07年で1億6185万円の企業・団体献金を受けていて、森田の資金管理団体「森田健作政経懇話会」に1億円以上を寄付している。


今回の森田の選挙コンサルタントを務めたのは三浦博史という人物。

ニッポン密着:千葉県知事選 政党の影響力低下 イメージ戦略、拍車 - 毎日jp(毎日新聞)
日本を代表する選挙コンサルタント会社「アスク」の三浦博史社長(57)は4年前に続き、森田氏の陣営に入った。三浦氏は2年前の都知事選で石原慎太郎知事を支援。「都政私物化」批判を「反省」戦略でかわし、大勝に導いた。米国の選挙キャンペーンを研究した三浦氏は、アスクのホームページで「握手戦術から最新のIT選挙まで、常に常識を塗り替える新たなチャレンジを行っています」とアピールする。

(ソース記事が既に削除されているので”阿修羅”の掲載記事「【千葉県知事選】森田健作の選挙参謀は『洗脳選挙』著者!選挙コンサルタント会社「アスク」代表!マルチ商法を参考に?」から抜粋させていただいた)

その三浦博史氏が釈明している。

森田健作の政治献金問題  (2009年4月3日)
私が選挙プランナーとして関わった森田健作氏ですが、いまだに自民党支部長だったことと同時に、大手ディスカウント店の「ドン・キホーテ」から違法政治献金を受けていたということが報道されています。

首長選挙では、これまで告示前まで政党所属の議員を務めていた人が、無所属として出馬するケースはよくあることです。

政治資金規正法の「企業・団体献金の外資規制」に抵触する企業(ドン・キホーテ)からの献金があったことには私も驚きました。兜町界隈では「ドン・キホーテ」が“純・日本企業”でないことは有名だったということですが、「ドン・キホーテ」のような有名企業から献金の申し出を受けた時、果たして全国の政治家は逐一株主構成をチェックするでしょうか? また、未上場の企業からの場合や、ましてやその額が5万円や10万円だった場合に、献金を受ける前に株主名簿の提出を求めることは、現場としてはなかなか実行しにくいのでは、という気もします。

コンプライアンスの遵守は重要なこと。私もよい勉強になりました。これを機会に私が関係する候補者は、今後この点のチェックも事前に厳しく行っていこうと思います。政治家への道もますます大変になっていくように思われます。


ドン・キホーテに関しては事実を認めながら、外人の所有割合が過半数を超えていたことについては「知らなかった」で通そうとしているようだ。

「偽装無所属」については「よくあること」といっているが、この人の選挙戦術の本質がよく見えるコメントである。
「よくあること」だから悪くはない、と言いたいらしい。

今後の検察の出方には注視しなければなるまい。
世論が静まれば、「不起訴」、「起訴猶予」程度で終わらせそうだ。






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かんぽの宿疑惑・日経社説の欺瞞

2009-04-15 06:19:34 | 麻生太郎
日経が社説で”かんぽの宿問題”を取り上げている。
かなりあからさまな郵政擁護論である。
しかし内容はといえば、1月30日の社説”[日経新聞] 社説2 「かんぽの宿」不可解な凍結(1/30)”とほとんど変わりがない。
新聞社説まとめサイトというところに載せてあったので利用させていただいた)
今回の社説は、鳩山総務相が日本郵政に対して出した業務改善命令を取り上げ、それを批判しているが、論理は前回社説から一歩も出ていない。

社説1 不正も将来も見えない「かんぽ」問題(4/12)

そもそも不正を見ようとしているのか?
不正を探そうとしているのか?
見る気もなければ探す気もない。
不正を見つけ出すどころか、覆い隠そうという姿勢ばかりが目立つ社説である。
これが日本経済新聞社の姿勢なのか?
一編集委員の姿勢なのか、新聞社そのものの姿勢なのか?

鳩山邦夫総務相は日本郵政に対し、宿泊施設「かんぽの宿」の売却問題で業務改善命令を出した。のちに白紙撤回したオリックス不動産への一括売却手続きが「不公平で不透明だった」などと理由付けている。今年度事業計画の認可では、赤字続きのかんぽの宿事業を黒字転換する道筋を示すよう条件を付けた。
 オリックスの宮内義彦会長が政府の規制改革・民間開放推進会議議長だったのを引き合いに「売却は出来レース」と疑惑を声高に叫んだ総務相だが、根拠はあいまいなままだ。改善命令は日本郵政が提出した大量の資料を分析した結果だ。真相解明には一区切りがついたのに、オリックスを意図的に落札させる不正の証拠はこれまで出てきていない。

(前回社説)
総務相の主張は説得力を欠く。まず規制改革・民間開放推進会議議長だった宮内会長が率いるオリックスへの譲渡を「出来レース」と批判した点だ。入札に落ち度や不正があるのなら当然指弾されるべきだが、その根拠は示されていない。


社説氏は「不正の根拠はまだでてきていない」という。
たしかに、不正の根拠は?と言われるとこれまでのところ状況証拠が大半である。
しかし、直接証拠があったら、竹中、西川その他何人かがとっくに拘置所に繋がれているだろう。
「オリックスを意図的に落札させる不正の証拠はこれまで出てきていない」
状況証拠は、真っ黒けのけ。
こいつらは、竹中が西川に「かんぽの宿はオリックスにただ同然の値段で売り渡すようにしなさい」と言っている録音テープでも出てこない限り、こんなことを言い続けるだろう。

政治が民営化企業の経営判断に横やりを入れ、気に入らない入札結果に待ったをかける。こんなことが繰り返されては内外の企業は民営化企業と安心して取引できない。公職歴が入札参加のネックになるなら、企業のトップは公職を敬遠するだろう。総務相の介入は、そうした点であしき前例になりかねない。

「政府の横やり」?
政府が日本郵政に注文をつけることを、はじめから”横やり”と呼ぶ。
しかし、それをいうなら、今度の高速道路の料金の値下げはなんと言えばいいのか?
高速道路会社をさしおいて、政府が料金を決める。
これほどの”経営にたいする政治の介入”の例はあるまい。
高速道路会社も日本郵政も100%国有会社である。
国が経営に口出しするのは、株主が経営に口出しすることである。
それとも日本経済新聞社は「株主は経営に口出ししてはいけない」という考えなのか?
高速道路料金値下げについて、日経は何か言ったか?
わたしにはなんの記憶もないが、さぞかし、非難の声を上げていたか?

日本郵政にも落ち度はある。「手続きは公正だった」と言いながら、事実関係の説明を尽くさぬまま売却案を撤回したため、問題が一段と不透明になった。改善命令で指摘された入札参加者への説明不足や企業統治の不徹底といった点も直す必要があろう。

「日本郵政にも落ち度はある」
レトリックとしてはごく初歩的なものてあろう。
擁護したいものの一部分だけを非難して、残りの大部分に対しては公正さを印象づける。あわせて自分の話の公平さも印象づける。
ここでは「不正」と言わずに「落ち度」という。
ずいぶんと印象は異なる。
”落ち度”であるからたいしたことであるはずはない。
「事実関係の説明を尽くさぬまま売却案を撤回したため」
つまり、事実関係に不正はなく、「説明を尽くさなかった」ことを落ち度と呼んでいる。
さりげなく事実関係に不正はない、という印象を刷り込むテクニックである。
「入札参加者への説明不足や企業統治の不徹底」というような些細な過ちはあったが、全体として不正はなかったという論法であろう。
(前回社説)
十分な証拠も示さず政治の圧力で入札結果を覆す総務相の姿勢は全く納得できないが、「公明正大な手続きだ」といいながら、満足な説明もなく簡単に折れた日本郵政の西川善文社長の姿勢にも問題がある。


一方、かんぽの宿事業の将来展望も開けていない。総務相は日本郵政が作った赤字前提の事業計画を「覇気を感じられない」と突っぱね、黒字に転換させる計画を練り直して6月末までに出すよう要求した。

 早期黒字化に越したことはないが、厳しい不況の中で一気に収益を改善できるかは疑問だ。宿泊料金の引き上げは利用者離れにつながる。かんぽの宿が一方的に集客力を高めれば、競合する地元旅館や宿泊施設にしわ寄せが来る構図にもなる。


しかし、鳩山総務相の言うことにも首をかしげさせられる。
「覇気を感じられない」
急に文学的な表現が出てきた。
言いたいことは分からないでもない。
「何が何でも黒字にする意気込みをみせろ」というところなんだろう。
しかし黒字・赤字論争はこの場合あまり意味がないと、わたしは思っている。
赤字にしようと思えば赤字に出来るし、黒字にしようと思えば黒字に出来る。
そういうデタラメ経理をやってきたのが郵政民営化だった。
一番の手法は減価償却費と減損会計の便利使いであろう。
そしてさらに評価を低くするためにつかったのが収益還元法という評価法である。
経営をわざと赤字にするために、そして評価を低くするために小細工の限りを尽くしている。
(これまでの報道でも簿価と評価額があいまいなまま数字が出てきている)

今回の一括売却額100億円余にかかる取得費は2400億円と言われている。
うち土地代がいくらか分からないが、仮に2000億円を建物等取得費とすると毎年の償却額は、耐用年数60年、残存価格10%とすると
(2000億-200億)×1/60=30億
さらに経過年数を平均15年とすると簿価は土地400億+1550億=1950億。
ところが日本郵政は途中(06年らしい)で耐用年数を60年から25年に短縮したという。
(加速償却という方法であろうが、耐用年数短縮の合理的な根拠があったのかどうか。これに関するニュースソースは今見つけられないが、関係者の話として確かに読んだ記憶がある)
すると先の仮定を続けると、残存年数は10年。当然償却不足分を一括償却することになる。
残存価格は(2000億-200億)×10/25=720億。
1550億-720億=830億
この金額を一挙に償却したはずである。
更に耐用年数を短縮したために年間償却費も増大する。
(2000億-200億)×1/25=72億
30億が一気に72億に。
当然これだけの償却費は負担しきれないから全体は立派に赤字経営に陥る。
簿価をこれだけ低くして、赤字経営を確定させておいてさらに収益還元法による評価を行う。
これは将来の収益見込みをもとに現在価値を計算する方法である。
赤字施設の場合は、とんでもなく低い評価額になる。
それが今回の日本郵政による評価額100億円弱であろう。
数字は正確ではないが、そう見当はずれではないと思う。


「かんぽの宿が一方的に集客力を高めれば、競合する地元旅館や宿泊施設にしわ寄せが来る構図にもなる」?
こうなると、”頭は確かか?”といいたくなる。
払い下げを受けた業者、この場合はオリックス不動産になるが、ここが”集客力を高めず”に赤字経営のまま放置すると思っているのか?
かんぽの宿がどんなに努力しても、多分オリックスの方がお客を集めるだろう。地元施設への影響はどちらが大きいか考えるまでもなかろう。

施設を個別に売却する場合、買い手が現れないとその地区の雇用維持が困難になる。実際の売却収入がオリックスへの売却で見込めた108億円に、売却の遅れによる赤字の拡大分を加えた金額を上回らないと、白紙撤回した意味はなくなる。

いわゆる”バルク・セール”を口実に、売却価格が安くなるのは当然である、という聞き飽きた論法。
「毎年発生する赤字を放置してはおけない」というのがこの連中のお題目。
しかし一件一件の施設についての収支計算書、減価償却費、人件費その他各種帳簿等を精査した人がいるのかいないのか、だいたい総務省にそれらの資料が渡っているのかどうかも分からない。
わたしのおおざっぱな計算も、資料がないためにかなりいい加減なものである。

かんぽの宿は簡易保険加入者の資金で建てた公共財産だが、立地や施設を巡っては、天下り先の確保を意識した郵政官僚や地元への利益誘導を狙う政治家の思惑も働いた。総務相が「建てた者の責任」に何も言及せず、採算改善だけを日本郵政に押しつけるのはバランスを欠く。
(前回社説)
かんぽの宿70施設の建設費用は2400億円にのぼる。それが大幅に減価しているのは間違いない。採算を顧みず、ずさんな投資をした官の責任を不問に付すのもおかしい。


現在進行中の疑惑から目をそらし、過去の責任に目を向けさせる論法はまったく変わらない。

問題になっているのは、かんぽの宿をはじめとした施設払い下げが公平・公正に行われずに、一部の連中だけの利益に繋がっているのではないか、という疑惑である。
”総務相が「建てた者の責任」に何も言及せず、採算改善だけを日本郵政に押しつけるのはバランスを欠く”
現下の問題からまったく離れた結論になっている。
鳩山総務大臣はもしかすると”採算改善”だけで済ませる積もりなのかも知れない。
最近発言のトーンが大分弱くなってきているように感じる。
しかし、根本問題から目をそらせるような動きには気をつけていないといつの間にか騙されてしまうことになる。

日経がこれほど日本郵政を擁護するのには何か理由があるのか?






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麻生太郎批判・言語能力と北朝鮮ミサイル詐術

2009-04-12 14:40:02 | 麻生太郎
北朝鮮ミサイルに関する報道で、違和感を覚える言葉があった。
「飛翔体」である。
”飛翔体”とは飛んでいる物体を指す言葉で、飛ぶことの出来る物体を指す言葉ではない。
つまり、地上にある飛行機は飛翔体ではなく、飛び立ってから初めて飛翔体と呼ばれる。
「飛翔体が発射された」という表現は厳密に言えば適切ではない。
物体が発射されたあとに、それが飛翔体となる。
"飛翔体の発射計画"という表現もおかしい。
"防衛省幹部によると、日本海に展開中の海上自衛隊イージス艦が、北朝鮮から発射されたとみられる飛翔体を捕捉、追尾を開始した。"
この場合は正しい使い方である。
(航空工学や航空力学等における用語法については知らない)
──あくまでも個人的言語感覚による独断的解釈──




麻生が相変わらず間違った日本語を使っている。
”漢字の読み間違い”と笑っていられる段階ではない。
”知と情”という人間の持つ二つの側面の、少なくとも”知”に関して言えば、これは言葉の上に成りたっいる。
”知”は言葉によって養われ、言葉によって表現される。

麻生首相:また言い間違え 天皇、皇后両陛下の前でも (毎日jp 4/10)
麻生太郎首相は10日、祝賀行事や記者会見で言い間違える場面が相次いだ。

 皇居・宮殿松の間での天皇、皇后両陛下の結婚50年の祝賀に閣僚ら約50人と出席した首相は、参列者の代表として両陛下の前で、紙を見ずに繁栄を意味する「弥栄(いやさか)」を「いやさかえ」と述べ、「皇室の“いやさかえ”を心から祈念し、国民を代表してお祝いの言葉とさせていただきます」などと語った。


国民を代表してもらっては困る。
国民が「いやさかえ」を祈念したことになってしまう。
”繁栄”といえば済むところをわざわざ「弥栄」と言う。
「弥栄」は麻生の世界の言葉である。
(つまり右翼の好んで使う種類の言葉である)

午後5時からの首相官邸での記者会見では、「社会保障」を「社会保険」、09年度の「国債発行額」を「国債発行残高」、「公共事業の占める比率は2兆4000億」を「2兆5000億」と言い間違え、官邸報道室が訂正を発表した。この日の会見で首相は、原稿の文字を目の高さに映し出すプロンプターを使用していた。

本当に笑い事ではない。
官邸報道室が訂正を発表した
何人がこの”訂正発表”を目にしたか?
この会見が外国に配信されたかどうかは知らない。
しかし、「国債発行額」を「国債発行残高」と取り違えては、日本の財政状態をまったく誤解させてしまう。
世界一の借金大国が世界有数の財政健全国家になってしまう。
(もっとも、記事の見出しに使われている「間違え」もおかしい。正しくは「間違い」であろう。「間違え」を「間違える」からの転成名詞として使うのは現時点では無理があると思う)

[踏襲]
麻生はこれを再三にわたり「フシュウ」と発音している。
これは政治の場面では極めて頻繁に使われてきた言葉である。
「非核三原則を踏襲する」
「村山談話を踏襲する」
麻生は「トウシュウ」という言葉を聞いて、奇異に感じなかったのか。
「フシュウ」という言葉をかくも多くの政治家が「トウシュウ」と間違って使っている。
普通の知的好奇心、知的向上心の持ち主であれば、辞書に当たるなり、人に尋ねるなりして確かめるところである。
推測されるところは、麻生は他人の話を聞いていない、他人の話を理解しようとしていない、ということである。

人間の知的水準は言語によって支えられている。
麻生は、その言語能力、言語水準が極めて低いのである。
その低い言語能力の上に築かれている政治的知見。
その政治的知見によって打ち出される政策の数々。

麻生の打ち出す政策、政治的行動の水準が低いのは、本人の知的水準の低さ、さらに言語能力の低さがその根本にある。

[北朝鮮ミサイルと国連外交]
ここでは麻生は、国内向けと国連向けと二つの姿勢を使い分けている。
国内向けではあくまでも勇ましい強硬姿勢を示す。

読む政治:北朝鮮ミサイル発射(その2止) 破壊命令、割れた見解 (毎日jp 4/11)
3月上旬以降、政府は漆間巌官房副長官をトップに対応策を検討してきた。ミサイルが日本の領土・領海に落下してきた場合の被害を防ぐこと、国民向けに正確な情報を速やかに流すこと、国連安保理を舞台に北朝鮮非難のメッセージを流すこと、の3本柱だった。

 ミサイル防衛(MD)システムによる迎撃態勢に注目が集まったが、首相は鴻池祥肇官房副長官とこんな会話を交わしている。

 鴻池氏「本当に万が一落ちてきたらどうするつもりですか」

 首相「落ちてこないって。大丈夫」


本当にこんな会話があったのか?
もし、記事を信ずるならば、麻生内閣は国民を脅していただけではないか。
いたずらに国民の不安・危機感を煽り、自分たちの利益に結びつける。
「落ちてこないって。大丈夫」
これは国民に向かってこそ言うべき言葉ではなかったか?
仲間内では安心しきっているにもかかわらず、国民向けには脅かしの言葉を発信する。

 MDシステムの活用を示唆してきた首相だが、実際に迎撃するような事態はほとんど想定していなかったようだ。ただ破壊措置命令を出すにあたり、自衛隊法82条2の1項(弾道ミサイル飛来の恐れがある場合)を根拠にするか、3項(事態急変に備える場合)を根拠にするかは、政府内で議論が分かれた。

 閣議決定を伴う1項を主張したのは浜田靖一防衛相だ。3項だと現場の部隊が迎撃の可否に責任を負う形になる。「破壊命令は政府の責任で出すべきだ」と浜田氏は訴えた。

 一方、漆間氏や防衛省の一部は「1項で飛来の恐れありと認定すると国民への刺激が強すぎる」と考えた。国民保護の観点から必要な施策が多く派生し、対処が複雑になる。

 首相の関心は、発射後に迅速で正確な情報伝達の態勢をいかに築くかだった。首相は総務相だった05年に国民保護法に基づく災害・防災対策「麻生ビジョン」を打ち出した。「国民保護法の制定は、小泉政権最大の功績だ」とも語っている。

 国民に不安を与えないよう自衛隊の部隊配置などはできるだけ公開する。同時に関係閣僚を加えた安保会議で破壊命令を承認し、閣議決定と同等の政治的重みを与える。

 こうして3月27日、3項に基づく命令が出された。


麻生以下の関心がどこらへんにあったのかは明瞭であろう。
「国民に不安を与えないよう」?
さんざん不安を煽っておいて何を言うか!

「首相は『ミサイルが上空を通過した』という事実関係をできるだけ早く説明しろと指示していた。いい訓練になったし、政権に対する一定の信頼感が生まれたのではないか」。首相周辺は満足そうに振り返った。
    ◇
 犬飼直幸、松尾良、西田進一郎、坂口裕彦、大貫智子、石川貴教、横田愛が担当しました。


「いい訓練になった」
誰を訓練したのか。
防衛省と政府関係機関?
そしてついでに国民に対する訓練にも?
しかも早々と衆議院・参議院において北朝鮮非難決議を採択させている。

一方、国連向けの姿勢は大分おもむきが異なる。

首相、ミサイル発射なら北朝鮮制裁決議 (nikkansports.com 3/13)
麻生太郎首相は13日夕、官邸で内閣記者会のインタビューに応じ、北朝鮮の「人工衛星ロケット」発射計画について「他国の上を飛んでミサイル実験した国はない。発射を見過ごすつもりはない」と述べ、中止を強く求めていく考えを強調。発射された場合は米国、韓国と協調し、国連安全保障理事会で制裁決議の採択を目指す意向を表明した。


事前には強気の発言が目立っていた。
それが、ミサイル発射後は大分腰が引けてきた。

北朝鮮:ミサイル発射 日米が新決議主張 中露は慎重姿勢--安保理会合 (毎日jp 4/6)
【ニューヨーク小倉孝保】北朝鮮が「人工衛星」と主張して弾道ミサイルを発射した問題で、国連安全保障理事会は5日午後(日本時間6日未明)、緊急会合を開いた。日米両国は「北朝鮮の行動が安保理決議1718(制裁)に違反するのは明らか」として新たな決議を採択すべきだと指摘したが、「人工衛星」との主張に一定の理解を示す中露などは、決議違反にはならないとして日米をけん制した。安保理は6日以降も引き続き対応を協議する。


しかしながら日本側にはすでに諦めの雰囲気が漂う。

河村建夫官房長官は6日午前の記者会見で、国連安保理の緊急会合について、「いろいろな意見があり、結論は予断を許さない」と述べた。その上で「関係国と協議しながら国際社会が一致した行動を取ることが大切だ。我々としては新しい決議の採択を求める立場を貫いていく」と語った。

 中国の、決議ではなく非公式で拘束力がない「報道向け声明(プレスステートメント)」にとどめるべきだ、との提案には「予想された話で、織り込み済みだ」と述べ、中国と今後協議していく考えを示した。【坂口裕彦】


麻生自身も予防線を張っている。

【麻生首相会見詳報(3)】北ミサイル「国連決議、内容緩くても意味ない」(msn産経ニュース 4/10)
「今回のミサイルの発射に関する限り、北朝鮮は国際社会の自制を求める声をまったく無視して、国連決議1695および1718号に違反する行動をとったということは明らかです。これに対して、国連においては、国際社会全体の強い意思を早く、早期に示して、北朝鮮に正しいメッセージ、明確なメッセージを送るということが極めて重要なことだと私は考えております。


早くも安保理決議を諦めて、「メッセージ」に転換してしまった。
こうなると、後は簡単だ。
国土の上空をミサイルに通過された唯一の国・日本が弱気に転じた以上、これで済まそうと各国は簡単に一致したのだろう。

北朝鮮:ミサイル発射 議長声明容認 麻生首相「各国一致」を優先 (毎日jp 4/12)
【パタヤ(タイ中部)犬飼直幸】麻生太郎首相が11日の日中韓首脳会談などで、ミサイルを発射した北朝鮮への対応を巡り、議長声明を容認する考えを示したのは、北朝鮮への「最大限強いメッセージ」を議長声明に盛り込むめどがたったためだ。


話は逆であろう。
麻生が早々と「メッセージ」を打ち出したから、安保理は「議長声明」で一気に固まったのであり、「北朝鮮への最大限強いメッセージを議長声明に盛り込むめどがたったため」というのは単なる言い訳に過ぎまい。

新決議か、議長声明か--。外務省内には「表向きは最後まで頑張らないと、中国は議長声明であっても骨抜きにしかねない」との懸念があり、外務省幹部は麻生首相にあくまで新決議を求めるよう進言していた。

 しかし、麻生首相は10日の記者会見で外務省が作成した応答要領に従わず、議長声明を容認する考えを示した。日中、日中韓それぞれの会談で政治的な妥協を早々に図った。
(中略)
ただ、政府内からは「法的拘束力のない声明では効果がない。北朝鮮の思うつぼ」(高官)として、麻生首相の対応を手ぬるいと批判する声も出ている。


麻生の関心は、国内有権者の目にどう映るか、という点にだけある。
してみると、次の記事などは麻生の思惑通りと言えるかも知れない。

世論調査:「小沢氏辞任を」72% 内閣支持は上昇24% (毎日jp 4/11)
麻生内閣発足以来、下がり続けていた内閣支持率は小沢氏の秘書逮捕直後だった前回調査から2回連続で上昇。今回調査では首相を支持する理由として「政策に期待できるから」が前回比10ポイント増の32%となり、過去最大規模の追加経済対策や北朝鮮のミサイル発射への対応などが政権浮揚につながったことをうかがわせた。


言語能力は低いが、言語を弄び、悪用する知恵だけは人並み以上に備えている。




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千葉と茨城・二つの県知事選の意味するもの

2009-04-10 06:11:25 | 自民党
自民党内でにわかに5月解散の声が高まってきているようだ。
7月に東京都議選を控えた公明党にも”渡りに船”といったところらしい。
小沢問題、定額給付金、高速料金値下げ、北朝鮮ミサイルと追い風らしきものが続いているせいか。

森田健作の千葉知事選当選も追い風と思っているようだ。
森田健作は自民党隠しで当選した。
しかし、自民党隠しは当選が決まるまで。
その後本家に戻るつもりでいたようだ。

正式に千葉県知事に承認された森田健作氏、麻生首相と面会 千葉県の現状を訴える (FNNニュース 4/9)
当選直後、「堂々と中央にものを申す。そういう新しい、かっこいい千葉県をつくっていきたい」と話していた通り、森田氏は、31日に麻生首相と面会、4月1日には石原都知事と面会し、千葉県の現状について訴えるという。
森田氏は31日午前、当選証書を受け取るため県庁を訪れ、午前11時に当選証書を受け取り、正式に千葉県知事に承認された。
森田氏は「(当選証書を)授与された瞬間、よーし!と。今後4年間、絶対におれは、言ったことをやってやるぞと。そういう気持ちがぐーっと出てまいりました」と話した。
そして午後2時半、森田氏は首相官邸に到着した。
官邸での森田氏は、いつもの笑顔はなく、やや緊張した面持ちだった。
しかし、麻生首相を目の前にすると、笑顔全開で「どうも総理! 頑張りました」と握手を求めた。
そして森田氏は、麻生首相に直接、千葉県の現状を訴えた。
森田氏は「きょうはですね、アクアラインを800円にすることによっての経済効果、これは大変なものなのだから、今の千葉の窮状を考えると、何とか(通行料を)800円にしてくれと、話しましたよ。値下げができないというんだったら、目の前のニンジンいらないから、もうアクアラインなんてぶっ壊してくれと...」などと話した。
(あくまでも森田の話である)
森田氏は、選挙公約であるアクアラインの通行料を800円にすることについて、手応えがあったことを明かした。
森田氏は「最後に総理は、国交相に検討を指示すると。『前向きに考えてくださいますね』と聞くと、『そのようにする』と、そう言ってくださいましたんで、大成功ですよ。これは、土下座して頼めって言われれば、いくらでも土下座しますよ。『千葉県のためなら』と総理に言ったら、笑ってた。千葉県が頑張れば、首都圏はダイナミックに変わるんだから。ダイナミックに変われば、日本国も変わるんだから。皆さんもさ、森田と一緒に頑張ろう。頼むよ!」と話した。
(03/31 18:00)


ずいぶんと勇ましく談判に及んだようなことを言っている。
根っからの嘘つき男、これぐらいの脚色は嘘の内には入るまい。

4月5日の日経新聞にこれに関連した記事が載っている。
首長選、「風」占う春 「自・民」対決型が目白押し

新聞記事から打ち込むのは面倒なので、gooを検索していたらNIKKEI NETのほかにまったく同じ記事が意外なところに転載されていた。
菅義偉ホームページ

新聞、ネット版、菅ホームページともに記事内容はまったく同じものである。
菅義偉は自民党選対副委員長。麻生の側近中の側近と言われている男である。
菅版から引用しよう。(赤字は筆者の強調)

今春は2005年に市町村合併が急増した影響で、任期満了による地方の首長選が相次ぐ。衆院選を控えた国政を色濃く反映し、自民、民主両党による対決型の首長選が目白押し。西松建設の献金問題や北朝鮮への対処、危機管理など双方とも不安要因を抱えるだけに、地方選の勝利をテコに衆院選に向けて党勢を拡大しようと躍起になっている。
  「10分間、時間がとれる。首相官邸に来てくれ」。自民党の菅義偉選挙対策副委員長は3月30日朝、千葉県知事選で当選した森田健作陣営に電話し、翌31日の麻生太郎首相との面会を急きょセットした。森田氏の当選を「自民党の勝利」とアピールする狙いだった。
  自民党は麻生政権の支持率低迷もあり、今年に入り山形県知事選など重要な地方選で敗退を続けてきた。それだけに違法献金問題で民主党が失速後の4月のミニ統一地方選を「反転攻勢の好機」と見る。菅氏は1日、周辺に「当面は地方選に力を入れる」と漏らした。
2009年4月5日 日本経済新聞



菅が自分のホームページに転載するぐらいだから、内容に異存はないのだろう。

「10分間、時間がとれる。首相官邸に来てくれ」

森田は菅に呼びつけられ、いそいそとか嬉々としてか官邸に駆けつけた。
昔、青島幸男が時の総理佐藤栄作を国会の場で「財界の男妾」と呼んで物議を醸したことがあった。
さしずめ森田健作などは「自民党の下女か下足番」といったところか。
菅も千葉県知事を電話一本で呼びつけられる自分の権力の大きさをホームページでひけらかすこともあるまいに。
あいかわらず下品な男だ。

”森田氏の当選を「自民党の勝利」とアピールする狙いだった。”
森田の偽装無所属が表沙汰になってシナリオが狂った。
今度は自民党の方が「森田隠し」をする羽目におちいる?

もう一題、今度は茨城県知事選。

現職知事は橋本 昌。
自治省出身の現在4期目。
今年9月で任期が切れる。
無所属ではあるが、当初は自民党・新生党・新党さきがけ・日本新党の推薦を得ていた。
前々回選挙では自民・公明・民主・社民が推薦。
前回は公明と社民のみの推薦であった。
本籍不明。
現住所不定といったところである。

茨城知事選 元国交省次官の小幡氏擁立で調整 自民県連 (msn産経ニュース 2008.5.13)
来秋の茨城県知事選をめぐり、自民党県連(山口武平会長)が元国土交通省事務次官の小幡政人氏(63)=同県土浦市出身=の擁立を軸に候補者調整を進めていることが12日、分かった。党本部も小幡氏の擁立を容認、県連と連携して環境整備を急いでいる。現職の橋本昌知事(62)は現在4期目で、次期知事選への態度は明らかにしていないが、県連は小幡氏を橋本氏の後継と位置づけたい考え。今後、知事選に向けた各党・各団体の候補者選定が本格化しそうだ。
小幡氏は土浦一高から東大を卒業後、昭和43年に旧運輸省入り。鉄道局長、官房長などを経て平成13年7月から14年7月まで国土交通省事務次官を務めた。16年11月から今年3月末まで鉄道建設・運輸施設整備支援機構理事長を務めている。


その後、自民党県連は小幡氏擁立で固まったようだ。
ところが、この記事から1年経った現在に至るも橋本知事が態度を表明しないでいる。

茨城県知事選 橋本昌知事「5選」模索 (mns産経ニュース 2009.3.20)
9月25日に任期満了を迎える茨城県知事選で、「5選」への態度を保留していた橋本昌知事(63)が出馬へ向けた環境整備を水面下で進めていることが19日、分かった。昨年暮れごろから、複数の市幹部や市議団と相次いで会談し、知事選に関して意見交換。2月に県政要望に訪れた水戸市議団に対しては、「(県内の)44市町村のうち40市町村はこちらについてくれている」と自信を見せたという。

 関係者によると、共産党などを除く水戸市議団約20人が2月中旬、橋本知事と面会し、「出馬の際には支持する」と打診。橋本知事は、出馬を明言しなかったものの、県内の幅広い市町村からの支援に自信を見せたという。3月県議会での出馬表明の可能性については、「まだ早い」との見方を示したという。


多分現知事は五選批判を考慮して、態度を留保しているのだろう。
推薦の声が強ければ、やむなく出馬という形をとりたいものと思われる。
自民党としては橋本知事の意向を確認しないまま小幡擁立を決めたらしい。

’09知事選:県医師連盟、橋本知事に出馬要請 自民県連に改めて反旗 /茨城 (毎日jp 2009.4.1)

わたしはこれまで何度か茨城県医師会を取り上げてきた。
茨城県医師会の良心と良識 2009-01-31
茨城県医師会が変える政治風土 2008-09-20
後期高齢者医療保険を世論が追いつめた 2008-09-22

そしてこの医師会はこんな行動にも出ていた。
麻生首相に抗議文 茨城県医師会 (msn産経ニュース 2008.11.21 )
麻生太郎首相が19日の全国知事会議で「(医師は)社会的常識がかなり欠落している人が多い」と発言した問題で、県医師会の原中勝征会長は20日、麻生首相に対して発言の撤回と謝罪を求める抗議文を送付した。首相は同日、日本医師会の唐沢祥人会長に会い、発言を撤回し、陳謝している。
 抗議文では、「医療崩壊を招いた政府の責任者として看過できない」と指摘。「医師不足の中で労働基準法を無視し、週100時間以上勤務して救急医療を守っている医師は、確かに社会常識を逸脱している」と皮肉った上で、「貴殿(首相)の他人事のような態度こそ常識外」などと首相の発言を批判している。
 県医師会の政治団体「県医師連盟」は9月、全国の医師連盟では初めて、次期衆院選の県内全選挙区で民主党候補の推薦を打ち出している。


さて今回の報道の内容は以下のようなものである。
県医師会の政治団体「県医師連盟」(原中勝征委員長)は31日、今秋の知事選(9月任期満了)を巡り、去就を明言していない橋本昌知事に立候補を要請した。自民党の有力支持母体であるはずの県医師連盟が、知事候補に元国土交通省事務次官の小幡政人氏を推す自民党県連に改めて反旗を翻した形だ。自民党員でもある医師連盟幹部らは離党をほのめかすなど、県連との溝は一層深まっている。【八田浩輔】
後期高齢者医療制度など与党の医療政策に反対する県医師連盟は、従来の自民党支持の方針から一転、次期衆院選で県内全7小選挙区で民主党の立候補予定者を推薦している。会員は約1350人。橋本知事支援は3月17日にあった常任委員会で満場一致で決定した。
また、原中委員長は自民党県連の候補者選定過程について「有力者が指名して、追従したということに疑問を持ったのも事実だ」と話し、山口武平県連会長主導で小幡氏擁立が決まったとされる点に不満を漏らした。離党の意思を問われると「考えなくてはいけない時期かもしれない」と述べた。一方、県連幹部は「事実は確認していないが、非常に迷惑で困った話だ」と吐き捨てた。


茨城県医師会のこれまでの行動
◎後期高齢者医療保険制度に対して全国で最も早く反対の狼煙を上げ、反対行動を取ってきた。
◎次期総選挙で民主党候補支持を決定。
◎定額給付金の医師会有志による民主党への寄付決定。
◎橋本知事への出馬要請。

この一連の行動の底に流れるものは何か?
単純な民主党支援ではなかろう。
それは、自民党的な政治への決別とも言うべきもののように思える。
あるいは、「非自民」・「反自民」の意識であろう。
”多選”の弊害はもちろん承知のうえだろう。しかし、彼等は「自民党政治」よりはあえて多選の知事を選ぼうとしているように思える。

考えてみれば先の千葉県知事選挙では候補者全員が「無所属」を標ぼうした。
「無所属」は「非自民」と同義語だったのではないか?
有権者は「非自民」の候補者に投票したのではなかったか?
あらためて、「偽装・完全無所属 森田健作」の罪は大きい。
茨城県医師会の爪のあかでも煎じて飲ませてやりたい。





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北朝鮮ミサイル・大本営発表そして次に来るものは?

2009-04-07 18:27:14 | 麻生太郎
印象的だったのは、秋田だか岩手だかの漁師さん。
レポーターからマイクを向けられて「何百キロも上のことを心配してもしょうがない。明日のおまんまのほうが心配だよ」

”世紀のイベント”も無事通過か。
麻生はイベント盛り上げに懸命だったが、果たして効果は?
(”人命にかかわることなのに、不謹慎な”というおしかりを受けるかも知れないが……)
そもそものはじめから次の記事のような見方もあった。

北朝鮮ミサイル:破壊措置命令…危機管理で政権浮揚期待 (毎日jp 3/27)

”破壊措置命令”?
ほんとに破壊できるのか?と思ったのはわたしだけではあるまい。
「ピストルで、飛んでくるピストルの弾を当てるようなもの」という揶揄の声さえ与党内からもあがっていた。

 政府が27日、北朝鮮の長距離弾道ミサイルの落下に備え、法律上は公表する必要がない自衛隊法82条2の3項に基づく「破壊措置命令」の発令をあえて発表したのは、緊張を高める北朝鮮に対し、毅然(きぜん)とした姿勢を示す必要があると判断したためだ。北朝鮮への強硬姿勢と併せて危機管理に万全を期す政府の姿勢を強調し、政権浮揚につなげたいとの思惑も見え隠れする。【古本陽荘】
政府が27日に命令を発令し、北朝鮮への緊張感を国内外に高めつつあるその裏で、今回準備されているミサイルが日本に落下する可能性について「ほとんどない」(内閣官房幹部)との見方が実は支配的だ。


迎撃ミサイルの出番はない、と読んでの”破壊措置命令”だったか。
迎撃に失敗して恥をさらす恐れはなさそうだ、と踏んでの大層な発表。

(中略)
実際には「飛び方や距離を考慮し、故障の可能性を掛け合わせると落下の確率は非常に小さい」(同)のが実情だ。
 にもかかわらず、政府は公表の必要がない3項による破壊措置命令を発表し、政府の取り組み姿勢を明確にする選択をした。航空自衛隊の地上配備型の迎撃ミサイルPAC3の展開場所まで公表する異例の対応ぶりだ。
……首相周辺からは、「この局面でしっかり国際世論をまとめることができれば、政府への信頼感が出てくるはずだ」と政権浮揚への期待の声が漏れる。


麻生の思惑に乗せられて、マスコミは連日の大報道。
おかげで”ミサイル狂騒列島”の状態。
もともと緊張感のない状況だから、対策もどこかいい加減。

【北ミサイル】 崩れたシナリオ 誤報に振り回された首相官邸 (msn産経ニュース  4/5)
すべてはシナリオ通りに進むかと思われていた。
 3日夜に外遊先のロンドンから帰国したばかりの麻生太郎首相は4日午前8時半から桜が満開となった国会周辺を約40分間かけてウオーキングし、「普段通りの朝」を演出した。
 だが、公邸にはすでに首相秘書官らが待機していた。首相はニヤッと笑ってソファに座り、北朝鮮のミサイル発射準備状況について報告を受け、発射後の対応について最終的な打ち合わせをした。
 想定では、首相は公邸で待機し、ミサイル発射の一報が入れば、速やかに(1)日本領域の安全確認と航空機、船舶の安全確認(2)情報収集態勢の強化(3)国民への迅速な情報提供-と3つの指示を出し、首相官邸地下の危機管理センターに移動。官邸のエントランスで記者団の取材に応じ、国民に安心を訴えるメッセージを発する手はずだった。


手筈はできていたらしい。
しかし、打ち上げ予告の期間は4日からである。
その朝に40分かけてウォーキング。
ミサイル一発で普段の生活は崩せない、というところか。
国民の命よりも自分の健康!

午後零時16分、官邸1階の報道室がどよめいた。

 「北朝鮮の飛翔体が発射されました!」

 吉牟田剛報道室長が声を上ずらせ、「先ほど北朝鮮から飛翔体が発射されたもようです。テレビ、ラジオ等の情報に注意してください。続報が入り次第お知らせします」と書かれたプレスリリースを詰めかけた記者に配布。各自治体にも緊急情報ネットワークシステム「Em-Net(エムネット)」で同様の文面が一斉送信された。

 首相も予定通り公邸を出て官邸に向かった。

この直後だった。「誤探知でした!」。首相は秘書官の言葉に耳を疑ったが、いまさら公邸に引き返すわけにはいかない。首相は官邸エントランスに詰めかけた記者団とは目も合わせず、危機管理センターに入った。「あと1分連絡が遅ければ首相は誤報を元にカメラの前に立ち、世界中に赤っ恥をかくところだった」。政府高官はそう言って胸をなで下ろした。


すでに”赤っ恥”をかいている。
胸をなで下ろしている場合ではなかろう。

首相も誤報と知った直後はさすがに不機嫌だったが、慌てふためく防衛省幹部の様子に同情したのか、次第に矛を収めていった。4日中のミサイル発射の可能性がほぼ消えたことを確認すると首相は河村氏に穏やかな声でこう言った。
 「まあ、明日も変わらずしっかりやってくれ!」(石橋文登)


身内には優しい麻生太郎。
明日うまくいけばそれでいい。

緊迫のミサイル追尾…その時、MDシステムは (YOMIURI ONLINE 4/6)
「こんごう」は「ミサイルは日本列島を通過する見込み。現時点で推定される飛翔体の落下地点は房総半島の東方約1270キロ」と打電、さらに、「1段目のブースターが秋田県西方沖約280キロの日本海に落下する見込み」との情報を中央指揮所に速報した。

 同指揮所の司令部では、ミサイルが日本の領土、領海に落下する恐れはないと判断、「迎撃せず」の指示を関係部隊に発令した。



発射から7分後、北朝鮮のミサイルは、日本列島の上空300~400キロの大気圏外を、三陸沖の太平洋方向に通過していった。防衛省幹部は「射程6000キロから1万キロのミサイルであれば、高度は600キロ以上となるが、随分低いと感じた」と話す。だが、1段目のブースターを切り離したミサイルは、弾道計算の予測に反して速度を増し、当初の予想落下地点を越えて飛行していった。

航跡の追尾は、日本海の「こんごう」と「ちょうかい」から、福島県の東方沖約1000キロの太平洋上で待ち構えるイージス艦「きりしま」に引き継がれた。

北朝鮮が発射したミサイルは3段式との情報から、「きりしま」は2段目が切り離される瞬間を追った。しかし、「きりしま」は分離をとらえることができず、ミサイルは「きりしま」の頭上も越えて飛び続けた。

 11時48分過ぎ、ミサイルは「きりしま」のイージスレーダーで追尾できる限界を越え、水平線の彼方(かなた)に消えていった。追尾できたのは、日本列島の東方約2100キロの太平洋上までで、舞水端里から約3000キロに達していた。

この時点で、ミサイルの追跡は米軍に引き継がれた。

 自衛隊と米軍との連携について、浜田防衛相は記者会見で「普段から互いに情報交換している。問題点はなかった」と語った。

探知から追尾まで、「合格点だった」と防衛省幹部は話す。

ロケット落下場所特定できず 海保や水産庁混乱 (asahi.com 4/5)
海上保安庁は5日午前11時36分から巡視船2隻と航空機3機を日本海と太平洋の該当海域に向かわせた。ところが防衛省側から示された位置は「秋田沖約280キロ」「日本の東約1270キロ」といった情報のみ。緯度や経度は示されず、幹部は「どこを重点的に探せばいいのか」。落下場所は特定できず、浮遊物は発見できなかった。


太平洋は広い。
”水平線の彼方に飛び去った”ミサイルを再び発見するのは至難の業であったようだ。
だいたい見失ってしまったんだから、落下位置の緯度も経度も分かるはずがない。

弾道ミサイル破壊措置命令を終結 PAC3部隊など撤収 (asahi.com 4/6)
北朝鮮によるミサイル発射を受け、浜田防衛相は6日午後、自衛隊法に基づく「弾道ミサイル破壊措置命令」を終結させる命令を出した。迎撃のために東京・市谷の防衛省などに展開している地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)の部隊などは同日夜から順次、撤収を始めた。


一番ほっとしているのは、当たるはずもない迎撃ミサイルを発射しなくてすんだ防衛省と麻生太郎だろう。
多少の不手際はあったが、政権浮揚の効果はあったし、今後防衛予算も増やしやすくなったし、うまくすれば憲法までいじれるかもしれない。
このところなぜか強気が目立つ麻生と自民党の面々。

政府の速報体制、本番では順調 落下位置では混乱も (asahi.com 4/5)
防衛省が2度の「誤報」を出した前日とはうってかわって、本番での対応は順調だった。
「国民へなるべく状況を迅速に知らせることを含めて、かなり対応はうまくいった」。麻生首相は5日、首相官邸で記者団に胸を張った。
その後も、関係閣僚を招集した情報集約会議や安全保障会議の開催、河村官房長官の計3回の記者会見、米韓大使との会談、中曽根外相の各国外相との電話会談など、事前に練り上げたシナリオ通りに進んだ。


本番では順調?
前日も本番ではなかったのか?
防災訓練ではないぞ!
結局は結果オーライ。
マスコミが政府を甘やかしてどうする!
バカがすぐ調子づく。


麻生首相:「近々行われるであろう総選挙」発言にどよめき (毎日jp 4/7)
麻生太郎首相が6日夜、自民党東京都連のパーティーで「近々行われるであろう衆院総選挙」と述べ、会場がどよめく一幕があった。

こんな奴らも。
「ライス前長官ら弱腰だった」 自民・細田氏、北朝鮮対応で (msn産経ニュース 4/7)
自民党の細田博之幹事長は7日の総務会で、北朝鮮の核問題をめぐるライス前米国務長官と6カ国協議米首席代表を務めてきたヒル国務次官補を名指しし「弱腰だった。やり方が間違っていた」と強く批判した。与党幹部が米国高官の名前を挙げて厳しく問題点を指摘するのは珍しい。

 6カ国協議で得られたこれまでの成果に関し「核施設の冷却塔を爆破しただけだ」と述べ、進展はほとんどみられないとの認識を強調。「核爆弾をどれだけ保有しているかも、ウラン濃縮がどこまで進んでいるかも明らかでない」と述べ、米国の対応の“甘さ”が北朝鮮を増長させているとの見方を示した。

 これに先立つ役員連絡会では、ミサイル発射後の日本政府の対応に関し「危機感が足りない」と述べ、北朝鮮による核放棄実現へさらに圧力を強めるよう主張。出席者からは「日本も核を持たざるを得ないという気持ちで取り組むべきだ」との声が上がった。


危機感を煽り、恐怖心を利用する。
嫌なやり方だ。





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森田健作の犯罪行為・新たな展開か?

2009-04-06 06:38:21 | 自民党
千葉県知事選をめぐる森田健作の行為の違法性については明々白々であるにもかかわらず、マスコミの動きは鈍かった。
「完全無所属」実は「自民支部長」…千葉知事当選の森田氏 (YOMIURI ONLINE 3/30)
これ以後、この問題を掘り下げた報道がまったくと言っていいほど見られなかったが、ようやく事態が動いたか。
献金問題に無所属疑問の声 森田氏多難の千葉知事船出 (asahi.com 4/5)
千葉県知事選で初当選を果たし、5日から任期が始まる元衆院議員森田健作氏(59)の船出に暗雲が垂れ込めている。支部長を務める政党支部から森田氏個人の資金管理団体への寄付が、政治資金規正法違反の疑いがあると国会で追及される事態に。政党支部長でありながら「完全無所属」を掲げて戦ったことに、公選法違反(虚偽事項の公表)として刑事告発する動きもある。


森田健作に関する問題は、虚偽事項の公表と政治資金規正法違反の二つが主なものである。
記事とは順序が前後するがまず「完全無所属=虚偽事項の公表」を取り上げたい。

政党の支部長でありながら、政党を隠したような選挙戦を展開したことにも批判が集まっている。森田氏は自民党県議約30人の支援を受けつつも、「完全無所属」を掲げ、街頭演説では同党県議らにマイクを握らせることなく政党色を排除した。

公選法は候補者が政党所属などについて虚偽事項を公にすることを禁じている。だが、政党に所属していても政党が発行する「所属党派証明書」がなければ、党派は「無所属」として届け出ることができる。森田氏は今回、自民党に証明書を求めなかったという。

 「完全無所属」について、森田氏は「(支部を)解散すると決めて出馬しており、活動もやってないので問題ない」と説明した。


立候補の届けには、所属党派名を書く欄がある。
当然、森田は自由民主党と書かなければならない。
しかし、同届け書には、その場合、所属党派の証明書を添付しなければならないことになっている。
党派の所属証明書が添付されなければ、結果的に党派は無所属となる。
これは、所属党派を偽るケースを防ぐ目的があるものと思われる。
森田健作の場合はこの手続きを悪用したものである。
党派を偽ることを防止する目的のための規定を、党派を隠すために使ったわけである。
あるべき手続きは、所属党派名に自由民主党と記入し、党派の所属証明書を添付することである。
次には、所属党派名に自由民主党と記入し、証明書を提出しない。
結果的に選挙管理委員会からは無所属として扱われる。
次には所属党派名を空欄として届け出ることである。
次に、所属党派名を”なし”、”無”、”無所属”などとした届けの場合。
この場合は明らかに虚偽の届けをしたことになる。
しかし、いずれにせよ、結果的に選挙管理委員会が書類の不備から無所属として扱うのと、積極的に無所属を装うのとは天と地ほどの違いがある。

選挙管理委員会は届け出の書類について形式的な審査を行い、書類上の不備がなければ、その通りに公表するだけで、内容の真偽までは判断しないものと思われる。
選挙管理委員会の無所属としての受付は、候補者が無所属を主張する正当な根拠にはならない。

この選挙に立候補していた五人すべてが無所属として届けている。
その中に西尾憲一という人物がいる。

西尾憲一千葉県議、次期県知事選に立候補表明 (msn産経ニュース 2008.10.7)
来年3月に予定されている任期満了に伴う千葉県知事選で、県議の西尾憲一氏(57)は6日、県庁で会見し、無所属での出馬を表明した。 
 西尾氏は同日、自民党県連に離党届を出した。西尾氏は、平成7年船橋市議、11年千葉県議初当選し、4選目。次期知事選の立候補表明は西尾氏が初。現職の堂本暁子知事は態度を明らかにしていない。


これが当然である。
無所属を標ぼうする以上、離党の手続きは不可欠である。
常識以前の問題である。
まして自民党の名を冠した政党支部の支部長が、政党支部の解散届も出さず、離党届も出さずに、無所属しかも完全の二文字を冠しての選挙活動は容認できない。

政治資金規正法にかかわる問題

 こうしたカネの流れは、企業・団体に政治家個人への寄付を禁じた政治資金規正法に違反する疑いがあると指摘されていた。当選翌日の記者会見で森田氏は「無所属で出ると決めた際に(支部の活動は)停止した。だから支部から金が流れることは一切ない」と釈明した。

 だが、3日の衆院法務委員会で公明党の富田茂之氏が「政党支部をトンネルとした違法・迂回(うかい)献金ではないか」と追及。その後、支部が05、06年、当時の政治資金規正法で禁じられていた、外国人や外国法人の持ち株比率が50%を超える企業からの寄付を受けていたことも分かった。森田氏の事務所は「事実関係を調べた上で返還の要否も含めて専門家と相談し、適切に対応したい」とコメントした。


森田健作は二つの資金団体を持っている。
「自民党東京都衆議院選挙区第2支部」と「森田健作政経懇話会」とである。

代表者の氏名  鈴木栄治(森田健作の本名)
主たる事務所の所在地  東京都中央区京橋2-9-11 吟雅堂ビル5階
電話番号  03-5250-6603


二つの団体に共通の事項である。(平成20・3・28届け出の前年度収支報告書による)
事務責任者はそれぞれ古川隆雄、中村充宏と別人になっている。

支部が04~07年、企業・団体からの献金のうち計1億5千万円余りを森田氏個人の資金管理団体「森田健作政経懇話会」に寄付している。

前回投稿でわたしは07年分の収支報告書を比較した。
分かったことは支部は集めた金のほぼ全額を政経懇話会に寄付しているということであった。
寄付の頻度も高い。
毎月2~3回、自民党東京都衆議院選挙区第2支部から森田健作政経懇話会へ数十万円単位で寄付が行われている。
金が入ったらすぐに森田健作政経懇話会に金を移している。
同じ代表者が、電話番号も同じ事務所の中で、資金を右から左に移している。
自民党東京都衆議院選挙区第2支部の支出項目は人件費と森田健作政経懇話会への寄付だけである。

ところが驚くなかれ!
2004年の二つの団体の収支報告書を比べてみた。
(政治資金データベースより)

2004年 自由民主党東京都衆議院選挙区第2支部 (政党)
関係国会議員名 -
代表者名 鈴木栄治
会計責任者 古川隆雄
主たる住所 中央区京橋2-9-11

2004年 森田健作政経懇話会 (資金管理団体)
関係国会議員名 -
代表者名 鈴木栄治
会計責任者 古川隆雄
主たる住所 東京都中央区京橋2-9-11


会計責任者までが同一人物である。
古川さんがドン・キホーテからお金を受け取る。
そのお金をこっちの古川さんに渡す。
こっちの古川さんは、あっちの古川さんから受け取ったお金が、ドン・キホーテからの献金だと知らないで受け取る?
ドン・キホーテはあっちの古川さんに渡したお金がそっくりそのままこっちの古川さんに渡ることは知らないでいる?
いくらなんでもこれは無理だろう。


大久保秘書の起訴について
(2009年3月24日16時48分 読売新聞)
起訴状では、大久保容疑者は2003~06年、同社から計2100万円の献金を受けたのに、陸山会の政治資金収支報告書には、同社のダミー団体である「新政治問題研究会」と「未来産業研究会」からの献金だと虚偽の記入をしたとしている。また、小沢代表が代表を務める民主党岩手県第4区総支部が同社から03~06年に計1400万円の献金を受けたが、ダミー団体からの献金として虚偽の記入をしたとしている。

 国沢被告については06年、ダミー団体名義で陸山会、同支部、民主党岩手県総支部連合会に計500万円を献金したとしている。


実質的には西松建設からの献金だと知っていたのに、政治団体からの献金だと記載したことが起訴容疑とされている。
後者でも同様だが、同支部、民主党岩手県総支部連合会の二つは企業から直接献金を受け取れる立場である。
それもまたダミー団体から受け取ったと言うことで容疑に加えられている。

森田の場合は、自由民主党東京都衆議院選挙区第2支部が森田健作政経懇話会のダミーである。
企業献金を受け取る目的でダミーの政党支部を作っているのである。
自由民主党東京都衆議院選挙区第2支部は、企業からお金を受け取ること。
森田健作政経懇話会にそのお金を寄付をすること。
これ以外の仕事は何もしていないのである。

自由民主党東京都衆議院選挙区第2支部(07年)


支出総額18,677,992円
そのうち人件費6,993,992円
残り全額は寄付金11,684,000円

森田健作政経懇話会(07年)

寄付金収入   11,684,000円

森田健作は自身の資金管理団体が受け取った寄付がドン・キホーテや日本抵抗器製作所のお金だということを正確に知っていたのである。
少なくとも、両団体の会計責任者の古川さんが知らないでいるということはあり得まい。
迂回献金というには余りにもいい加減な事務処理である。
直通の献金といったほうがよさそうである。

ドン・キホーテ、日本抵抗器製作所等→古川さん(自由民主党東京都衆議院選挙区第2支部)→古川さん(森田健作政経懇話会)

東京地検特捜部は明日にも古川さんを呼んで事情聴取ぐらいしなければ、小沢問題と比べて、余りにも均衡を欠く姿勢との非難は免れまい。

もし、これで森田がOKなら、何で大久保秘書がOUTなんだ?


支部が05、06年、当時の政治資金規正法で禁じられていた、外国人や外国法人の持ち株比率が50%を超える企業からの寄付を受けていたこと。
タレント報酬を無税の政治献金として受け取っていたのではないか、という疑問も持ち上がっている。
まだまだ色々出てきそうだ。




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森田健作公選法違反+・政治資金規正法でもアウト+駄目マスコミ

2009-04-03 08:14:41 | 自民党
小沢の献金問題であれほど大騒ぎしたマスコミは、どこに行ったのだ?
小沢と比べて悪質さでは数段上の森田健作についての報道は、当選後の舞い上がった森田の動向を伝えているだけのところがほとんどである。

マスメディアが森田の違法行為について無視する姿勢を見せていることについては、「さもありなん」と思うのではあるが……。
西松献金事件のときと違って、今回はどこからも(検察及び警察&漆間)リークがないというのが、理由の一つであろう。
記者クラブ発表とリーク情報に頼ったマスコミは、報道人としての矜恃(きょうじ)を失い、取材能力を失い、権力への批判力を失い、権力の意のあるところを慮り、その意に沿った情報を垂れ流すのみの存在に成り下がっている。

公職選挙法違反で検察・警察が動くのを待っていてもまず動くことはないだろう。
小沢の公設秘書逮捕が3月3日。
直後から自民党議員特に二階経産相の取り調べも視野に、などというニュースが流れ、それからも、今にも捜査に着手か?と思わせるニュースが断続的に流されてとうとう1ヶ月。
検察はやる気がない、というのがはっきりした。
森田健作の場合も多分同じだろう。
検察+政府+自民党にとって森田の捜査及び逮捕は何のメリットもない。
マスコミにしても、その連中に逆らうつもりなどさらさらない。

明々白々たる公職選挙法違反にも知らぬ顔。
さらに森田の場合、政治資金規正法違反もひどいものがある。
多くのブログが綿密な検証をしている。

東京サバイバル情報  ☆一時避難せよ☆さんが森田の二つの政治資金団体の収支報告書を掲示され、その二つの団体の住所が同じであることを指摘されている。
わたしも触発されて収支報告書に当たってみた。
とりあえず平成19年度分。
20年度分はまだ公表されていない。






上が「自由民主党東京都衆議院選挙区第二支部」のもの。
下が「森田健作政経懇話会」のものである。
確かに二つの団体は同じ住所である。
ところでよく見てみると、その他にもいくつかおかしなことに気づかされる。
会計責任者は「古川隆雄」、「中村充宏」と別人である。
が、電話番号は「03-5250-6603」と、同一番号である。
一本の電話を別々の団体が使っている。
古川さんと中村さんが、一本の電話を挟んで座っている。
電話が鳴ったとき、どちらがなんと言って受けるのか。

もう一つ、事務担当者の名前の字を比べてみると、心なしか筆跡が馬鹿によく似ている。
電話番号の数字を見ると、これはもう、同一人の筆跡ではないか?
素人のわたしには断定的なことは言えないが、疑いはぬぐえない。
もう一つ、左下の東京都選挙管理委員会の受付印にも注目。
受付日が3月28日と両方とも同じ日である。
これは一人の人間が、同時に二つの書類を提出したと考えるのが自然であろう。
古川さんと中村さんが、同じ日に別々に書類を提出するために出向いたとは思えないが、これもまた断定は出来ない?

中身はどうか?
これについても”東京サバイバル情報  ☆一時避難せよ☆”さんが指摘されていることがある。
”事務所費0”

森田健作政経懇話会の方にだけ、5,458,759円の事務所費が計上され、自由民主党東京都衆議院選挙区第二支部の事務所費は0円。

森田健作政経懇話会は個人の資金管理団体であるので企業からの政治献金は受けられない。この辺は小沢問題で大分お馴染みになったところである。
しかし、政治団体からは受けられる。
そこで自由民主党東京都衆議院選挙区第二支部の出番となる。
政党支部は企業献金を受けられる。
企業→自由民主党東京都衆議院選挙区第二支部→森田健作政経懇話会というふうにお金を流す。

自由民主党東京都衆議院選挙区第二支部 収支報告書によると

本年の収入  2069万円
支出     
経常経費    699万円(全額人件費)
政治活動費  1168万円


支出の項目はこの二件だけである。
通信費も事務用品費も交通費も全部0。
差額は繰越金。

一方、政治資金収支報告書 森田健作政経懇話会

収入総額  1957万円(うち政治団体からの寄付  1168万円

この、政治団体からの寄付1168万円は、自由民主党東京都衆議院選挙区第二支部の政治活動費1168万円とピッタリ一致する。
自由民主党東京都衆議院選挙区第二支部は、入ってきた金のうち人件費を除いた金額全額を森田健作政経懇話会に寄付しているのである。

自由民主党東京都衆議院選挙区第二支部の仕事は、森田健作政経懇話会に資金を寄付することだけなのである。
森田が個人ではもらえない企業からのお金を集めるだけが仕事なのである。
しかも集めた金を実にこまめに渡している。
毎月定期的に入ってくる金をその都度渡しているのかと思えるほどである。

いくつかの企業がほぼ定期的に一定額を自由民主党東京都衆議院選挙区第二支部に献金している。

ドン・キホーテは月額30万円を毎月25日前後に献金している。
日本抵抗器販売は月額20万円をやはり毎月25日に渡している。
そして年末には100万円を上乗せしている。
(ページが変わると何故か日本抵抗器製作所と社名が変わっている。販売は製作所の関連会社。
両方とも 代表者 木村 準
社長室
〒140-0013 東京都品川区南大井6丁目20番7号
TEL: 03-3762-6212(代)
FAX: 03-3762-6253)

さて森田が政党支部を通して受け取った金がドン・キホーテの金だと知らないでいたとは考えられない。
日本抵抗器というところからのお金だという認識がなかったはずはない。
また、ドン・キホーテや日本抵抗器が、森田個人に献金しているのだ、という認識がなかったはずはない。

完全にトンネル団体の自由民主党東京都衆議院選挙区第二支部。
献金する側もされる側も互いに相手を正確に認識している。

たとえ政党支部への献金であろうとも、その政党支部が完全なペーパー団体だと両方が認識しているとすれば、これは完全な脱法行為であり、小沢献金問題に鑑みれば、明らかに違法であり、即逮捕につながらなければならない。

平成19年度の報告書だけでもこれだけのいかがわしさである。
1日も早く森田逮捕の報を聞きたいものだ。





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