政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

出て行くのはどちらだ?…オリジナル民主党と小沢民主党の正統性

2010-07-25 22:02:15 | 小沢一郎
ここまで来ると、小沢一郎が菅直人・前原や仙谷・枝野らと同じ政党でやっていくことは無理だろう。
党内主導権を握った菅直人や仙谷・前原たちはあからさまな小沢排除を続けている。
ここまで反・小沢、非・小沢、脱・小沢、嫌・小沢の連中がはびこっていては、小沢も辛かろう。
彼らはここまでの仕打ちを続けていて、小沢がこのまま民主党にとどまっていると考えているのだろうか?

多分そうではないだろう。
小沢が民主党から出て行くことは想定しているのだろう。
それどころか、彼らの方から、小沢を追い出そうとまで考えているのだろう。
小沢に対する仕打ちは到底、同志に対するものとは考えられない。
彼らは、政権を失うことよりも小沢を追い出すことの方を優先させかねない。

小沢一郎も、こんな連中とこの先も一緒にやっていきたいなどとは思っていまい。

小沢一郎の取るべき道はいくつかある。
一つは、民主党内での主導権を握り、民主党をして自分の理想実現のための集団たらしめることである。
二つめは、というより主導権獲得がならなかった場合は、自分が党を割って出て行くという道である。
多分この可能性が最も高いのだろう。

しかしわたしはここでもう一つの道を考えたい。
民主党から菅や前原や仙谷やらを追い出すことである。

彼らにしてみれば、民主党は元々自分たちのものであると思いこんでいる。
小沢一郎率いる自由党と民主党の合併は2003年のことである。

菅直人内閣の顔ぶれはほとんどが合併以前の旧・民主党議員で締められている。

首相 菅直人(63)
総務(再) 原口一博(50)
法務(再) 千葉景子(62)
外務(再) 岡田克也(56)
財務    野田佳彦(53)
文部科学(再) 川端達夫(65)
厚生労働(再) 長妻昭(49)
農林水産 山田正彦(68)
経済産業(再) 直嶋正行(64)
国土交通(再) 前原誠司(48)
環境(再) 小沢鋭仁(56)
防衛(再) 北沢俊美(72)
官房 仙谷由人(64)
国家公安・拉致問題(再) 中井洽(67)
金融・郵政(再) 亀井静香(73)
国家戦略 荒井聡(64)
行政刷新 蓮舫(42)
公務員制度改革 玄葉光一郎(46)


このうち小沢一郎と共に民主党に合流してきたのは、わずかに中井洽・山田正彦の二人だけである。
しかもあまり力にはなりそうにない顔である。

合併以前・旧民主党の議員数(2000年総選挙後)
衆院 127
参院  59

合併以後・2009年総選挙後(2010年参院選前)
衆院 308
参院 109


現有議席数の半分近くが旧・民主党の持っていた議席である。
菅や前原、仙谷・枝野らが、民主党を我がものと考えるのにも一理ある。

しかし現・民主党政権は前回総選挙でマニフェストを掲げて戦い勝ち取ったものである。
民主党政権の正統性はマニフェストにこそある。

「国民の生活が第一」という標語にこそ、その正統性を求めるべきである。
翻って菅直人政権はどうか?
とうてい、国民との契約を履行しようという意思など見いだすことなどできない。

消費税増税
法人税減税
普天間問題でのアメリカ迎合
国家戦略局構想の放棄
天下り禁止
等々。

民主党の正統性は国民との契約を遂行しようという人たちにこそ受け継がれるべきである。

小沢一郎には、「国民の生活が第一」という国民との契約を民主党に実行させる義務がある。
小沢以外に、その義務と責任を自覚しているものがどれだけいるか!
この契約を放棄する者は、民主党から排除しなければならない。

かと言って、この連中が素直に出て行ってくれるとは思えない。
「出るのは小沢の方だ」と言い張るだろう。

しかし、国民の目には、菅直人や仙石・枝野・前原らの無能は余りにも明らかである。
無能ということでは鳩山由紀夫の名も加えておかねばならないが……。

思えば、あの時の小沢一郎の言葉はまったく正しかった。

2007年11月3日、自由民主党の総裁である福田康夫首相と野党である民主党の小沢一郎代表との間で、大連立構想が話し合われた。小沢は党の役員会に諮ったが反対意見が大勢を占め拒否することとなった。

「民主党には政権担当能力がない」という小沢発言が伝えられたのはこのときである。

小沢は混乱の責任を取り代表の辞任を表明したが、党内の慰留を受けて辞意を撤回した。

民主党も小沢一郎もずいぶん大人になったものだという感想を抱いたのはわたしだけではなかったろう。
しかしこのときの小沢一郎の言葉は正しかったのだ。
皮肉なことに今になってそれが証明されつつある。

今後、菅直人政権は、低支持率にあえぎながら、政権維持だけを目標に、野党にも連立与党にも頭を下げ、尻尾を振って屈辱的且つ恥知らずな政治を進めていくことだろう。
勿論、官僚・マスコミ・経済界・アメリカ相手にも同様の態度を取るほかあるまい。

いまや菅の居座りの唯一の理由が、「頻繁な首相交代は世界から笑われる」ということだけになっている。
馬鹿な理屈である。
既に世界の笑いものになっているのである。
頻繁な首相交代だけではない。
アメリカ追従に官僚天国。
物笑いの種はいくらでもある。
あと一回や二回の首相交代など、どうと言うこともない。
その程度のことが、国民に苦しみを押しつける事への言い訳になるのか!

わたしたちは、笑われることを恐れて不幸を受け入れるのか!
笑われることを恐れるより、国民に不幸を押しつける政治を拒否すべきではないのか!

小沢一郎は正論を主張し続けろ!
そしてその正論に心から同調する同志を増やせ。

菅・前原・仙谷・枝野らは近いうちに行き詰まる。
彼らがいかに足掻いても、小沢が正論を吐き続ける限り、彼らの方が根負けする……かもしれない。
そしてあきらめて出て行ってくれる……かもしれない。

あまり期待できない筋書きだが、世論の後押しがあればどうなるかは分からない。
確かに、9月の代表選は一つの山場かもしれない。
しかし、そこを粘り通すこともまた、一つの戦略でもあろう。

わたしたちは、たとえ9月がだめでもその先に希望を繋ぎたいのだ。


ついでながら、検察審査会についても一言付け加えておきたい。
クジで選ばれたたった11人のシロートに、この国の将来を左右するほどのことを判断させていいはずはない。
検察が掘り出した事件などは、外目には犯罪の事実などは明らかでないものがほとんどである。
法律のシロートに、こんな事件に首を突っ込ませるべきではない。
検察審査会などという存在は、速やかに解消すべきである。
少なくとも検察審査会には、警察が摘発し、送検した事件に対する検察の処理についてのみ判断させるべきである。

検察審査会は今や、反・小沢勢力の最大の拠り所となってしまった。
現在の小沢一郎の、そして日本の将来のための最大の障害になってしまっている。
バカバカしい限りである。




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小沢一郎の決起を待つ…検察審査会など蹴散らせ!

2010-07-17 08:15:50 | 小沢一郎
菅直人のご都合主義にはただただあきれるばかりである。

【菅ぶら下がり】「小沢元代表にもお会いしたい」(13日夕) (産経ニュース 2010.7.13 )
菅直人首相は13日夕、総理官邸で記者団のぶら下がり取材に応じ、参院選を終えて歴代の党代表経験者と会談していることに関し、小沢一郎前幹事長とも「お会いしたいということで、事務方を通して要請している」と述べ、近く会談する意向を示した。


「どの面下げて!」
小沢にしてもあきれているだろう。

小沢氏しばらく静かに…菅氏が出馬表明会見 (YOMIURI ONLINE 2010年6月3日)
小沢幹事長については、「ある意味、国民の不信を招いた。しばらく静かにしていただいた方が、本人にも、民主党にも、日本の政治のためにも良いと思う」と語った。


ここまで言っておいて、しかもその後も散々小沢に対して嫌がらせの限りを尽くしておいて、今になってこんなこと言えるか?

一方では民主党内の反・小沢の動きも収まらない。
自分たちが窮地に陥っているからこその悪あがきであろう。
彼らにとっては、民主党の退潮よりも小沢叩きの方が重大事のようである。

ここ数日、民主党内の矛盾が一挙に吹き出した感がある。
代表格がこの前原の発言である。

前原国交相が小沢氏の政倫審出席を要求 「説明責任果たして」 (産経ニュース 2010.7.16 )
前原誠司国土交通相は16日の記者会見で、民主党の小沢一郎前幹事長の資金管理団体をめぐる政治資金規正法違反事件で、東京第1検察審査会が「不起訴不当」と議決したことについて、「検察にボールが投げ返されたわけで、検察がどう判断するかだ」と述べた上で、小沢氏に対し「自ら『(衆院)政治倫理審査会に出て説明しても構わない』と言っていた。ご自身の身の潔白を主張するのであれば、しっかりと説明責任を果たしていただくべきだ」と述べた。


常識のある人間なら、この検察審査会の議決の欺瞞性をこそ非難すべきであろう。
こんなデタラメ議決を小沢攻撃に利用しようというその卑しい根性には我慢がならない。

だいたい、この検察審査会という存在自体が憲法違反ではないか。
検察審査会は裁判所内に置かれている。
事務局は裁判所によって運営されている。
事務局員は裁判所の人間である。
裁判所の事務官がその職に就く。
クジで検察審査会のメンバーに選ばれるのはほとんどが法律のシロウトであろう。
彼らは法律の専門家である、事務局員の言いなりであろう。

検察審査会法
第3章 検察審査会事務局及び検察審査会事務官

 第20条 各検察審査会に最高裁判所が定める員数の検察審査会事務官を置く。
2 検察審査会事務官は、裁判所事務官の中から、最高裁判所が、これを命じ、検察審査会事務官の勤務する検事審査会は、最高裁判所の定めるところにより各地方裁判所がこれを定める。
3 最高裁判所は、各検察審査会の検察審査会事務官のうち1人に各検察審査会事務局長を命ずる。
4 検察審査会事務局長及びその他の検察審査会事務官は、検察審査会長の指揮監督を受けて、検察審査会の事務を掌る。


裁判所丸抱えの組織である。
笑ってしまうのは、第4項である。
事務局長その他を指揮監督するはずの検察審査会長とは、クジで選ばれた11人のうちの一人である。
どうやればそんな人間に法律の専門家を指揮監督できるのか。

第39条の2 検察審査会は、審査を行うに当たり、法律に関する専門的な知見を補う必要があると認めるときは、弁護士の中から事件ごとに審査補助員を委嘱することができる。
2 審査補助員の数は、1人とする。
3 審査補助員は、検察審査会議において、検察審査会長の指揮監督を受けて、法律に関する学識経験に基づき、次に掲げる職務を行う。
1.当該事件に関係する法令及びその解釈を説明すること。
2.当該事件の事実上及び法律上の問題点を整理し、並びに当該問題点に関する証拠を整理すること。
3.当該事件の審査に関して法的見地から必要な助言を行うこと。
4 検察審査会は、前項の職務を行つた審査補助員に第40条の規定による議決書の作成を補助させることができる。
5 審査補助員は、その職務を行うに当たつては、検察審査会が公訴権の実行に関し民意を反映させてその適正を図るため置かれたものであることを踏まえ、その自主的な判断を妨げるような言動をしてはならない。


ここでもシロウトが法律の専門家である弁護士を指揮監督するとされている。

ところで「起訴相当」の議決をした東京第5検察審査会の審査補助員である弁護士は、米澤敏雄という人物である。
ヤメ検弁護士と言われるが、むしろ問題はそれ以外の経歴にある。

1961年 4月 検事任官(大阪・小樽・水戸・東京)
1966年10月 検事から裁判官に転官(東京・岡山・横浜・宮崎・浦和・東京地裁判事)その間、油絵同好会にて美術にも親しむ
1982年 4月 司法研修所刑事裁判教官司法試験委員(憲法)3年
1992年 12月 岐阜地裁・家裁所長
1996年 8月 静岡地裁所長
1997年 9月 東京高等裁判所部総括判事
2001年 4月 早稲田大学法学部客員教授


検事として5年。
そして1966年~2001年まで裁判官を務めている。
ほぼ35年間に及ぶ。
裁判官上がりの弁護士と言うべきであろう。
なぜこの男が補助員に選ばれたのかは一切説明がなされていない。
多分事務局の意思が働いたものと思われる。

さてこの検察審査会が起訴相当を議決し、強制起訴されたとする。
そこには裁判所事務官と裁判官上がりの補助員の意思が色濃く反映されている。
それを裁くのは裁判所である。
判決の行方はおよそ見当がつくというものである。

実質的に裁判所が起訴し、裁判所が裁くことになる。
これは我が国の司法の在り方を根底から揺るがすものである。
日本国憲法の趣旨からみても、許されることではないだろう。

まず検察審査会は即座に廃止すべきである。
菅直人の大チョンボで小沢復権の機運が高まろうかというこの時期になぜ検察審査会がタイミングを見計らったようにこんな議決を出してきたのか。
疑問に思うのはわたしだけではないだろう。

更に言えば、”判検交流”に代表されるような、法務省・検察庁・裁判所間の人的交流・往来もまた即座にやめるべきである。

そしてもう一つ納得いかない動きがあった。
IMFである。

「日本は消費税上げを」IMF提言14~22% (YOMIURI ONLINE 2010年7月15日)
【ワシントン=岡田章裕】国際通貨基金(IMF)は14日、日本に対する年次審査報告を発表し、先進国で最悪の水準となっている日本の財政状況について、「2011年度から段階的に消費税率を引き上げ、財政再建を始めるべき」と提言した。
 特に税率について、「(消費税率を)15%に引き上げれば、国内総生産(GDP)比で4~5%(20兆円程度)の歳入増が生じる」などと言及している。IMFが税率や引き上げ時期などを詳細に示して増税を日本に求めるのは初めてだ。


ここまでやるか!
それならまずIMFへの日本の出資金を返してから言え!

日本はアメリカに次ぐ世界第二の出資国である。
先には麻生が頼まれもしないのに10兆円のボランティア出資だか融資だかをしている。
カネを受け取るときはニコニコして受け取り、今度は財政再建のために増税を押しつける。

しかもなぜこのタイミングなのか?

財政出動による景気刺激で一致 菅財務相、IMF専務理事と会談 (産経ニュース 2010.1.18 )


菅直人副総理・財務相は18日、財務省内で国債通貨基金(IMF)のストロスカーン専務理事と会談し、財政出動による景気刺激策の継続で一致した。会談で専務理事は世界経済の現状について、「危機が過ぎ去ったとは言えない」と指摘。菅財務相もこれに同意した上で、昨年末に策定した新成長戦略などについて説明し、専務理事もこれを評価した。


今回のIMFの口だしは菅直人への援護射撃であろう。

低気温のエクスタシーbyはなゆー氏が取り上げている記事にこの間の事情が詳しい。

【疑惑の提言】IMF提言「消費税15%に」の背後に日本政府?

全体を読んでいただきたいのだが、一部だけ引用させてもらうと、

財務省は実際に世銀やIMFを長年、自省の縄張りとして扱い、外務省や経済産業省には触れさせず、日本代表用の中枢ポストを独占してきた。

世銀では日本人職員百数十人のうち副総裁、理事、理事代理、専務理事特別顧問、局長、局次長、多国間投資保証機関(MIGA)長官などの枢要の地位十ほどが財務官僚によって占められてきた。 現在も副総裁や理事などとして約十人の財務官僚が在勤している。


IMFの勧告というより、財務省の意向に沿った菅擁護であろう。
それが、とりもなおさず小沢の頭を抑えることになる。

小沢攻撃も手が込んできた。
スケールも大きくなっている。

しかし、それでもわたしは小沢一郎の決起を待つ。
それが9月の代表選でもいい。
そこで小沢の復権ができればいいし、ダメなら次がある。
少し先のことになるが、衆議院選挙がある。
カネは、政党助成金が付いてくる。
多分数十億円になるだろう。
小沢一郎は新党結成に踏み切るべきである。
時期は、代表選以降衆院選前ということになる。
そしてその際、小沢一郎が主導権を握るのなら、どんな連立・組み合わせでも容認する。

理念なき政党・政治家はいらない。
「国民の生活が第一」、「国民主権」を真剣に追い求めるそんな政治を求めて止まない。



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この国の政治を託すべきは?

2010-07-13 15:29:24 | 民主党
民主党惨敗に終わった参院選。
菅直人は、いち早く続投・現体制維持を宣言した。
前もって予防線を張ることに余念のなかった彼の言動からは予想できたことではあるが……。

退陣無用の大合唱 敗北前提?閣僚ら予防線
参院選で与党が敗北しても、首相は退陣する必要はない-。こんな発言が閣僚や党執行部から相次いでいる。与党が参院で過半数を大きく割った場合でも、首相の退陣論が広がらないよう予防線を張っておく狙いからだが、選挙戦の最中に敗北を想定した発言は、有権者に弱気と受け取られ、逆効果になる可能性もある。


首相というのは安倍晋三であり、党執行部というのは自民党執行部である。
記事は中日新聞・2007年7月25日付けのものである。

しかし、政治家というものは進歩のない連中である。

参院選勝敗ラインで綱引き=首相50、輿石氏ら60-民主 (jiji.com 2010年6月9日)

与党、過半数割れなら…首相責任論に「予防線」 (YOMIURI ONLINE 2010年7月10日)
民主党の枝野幹事長は9日、高知市内で記者団に、与党が過半数割れした場合の菅首相の責任について、「日本の憲法では、首相を選ぶのは衆院ということになっている。(首相は)衆院で300を超える方に指名をいただいている。その基本は全く変わらない」と述べ、参院選の結果に関係なく、首相は続投すべきだとの考えを示した。


発想といい、やることといい、まるで同じことの繰り返しではないか。
勝敗ラインを出来るだけ引き下げて、更に責任逃れの予防線を張る。
ここまで似ていると、次の行動もまた簡単に想像がつくというものである。

どちらも大敗。
直後に続投宣言。

その後の安倍晋三の行動を追うと、
2007年7月29日 参議院議員選挙投票日
   8月27日 安倍改造内閣発足
   8月27日 所信表明演説
   9月12日 退陣表明

安倍は見苦しく40日あまり悪あがきを続けて力尽きる。
安倍退陣で、福田・麻生と続くことになる。
3年で三人の総理大臣である。

このままでいくと、民主党は1年で3人の総理大臣ということになりそうである。

コロコロと総理大臣が替わるこの国は、確かにみっともないかもしれない。
世界の笑いものになるかもしれない。

しかし、笑われるのは一時のことである。
このまま菅内閣を存続させて、国民に何かいいことがあるのか。
どうせ笑われついでである。
もう一回ぐらいどうということもあるまい。

自民党の場合、安倍→福田→麻生というたらい回しで人材払底の惨状を露わにしてしまった。
幸い、民主党にはもう一人いる。
交代は、早ければ早いほどいい。

民主党の代表選挙が9月にある。
菅はそこまでは見苦しく粘るだろう。
小沢の決起はその前後か?

小沢の行動を制約するものが一つある。
検察審査会である。
腹立たしいことに、クジで選ばれたたった11人の素人の判断がこの国の政治の行方を左右する。
小沢一郎はこの検察審査会の結論を待って動くことになるかも知れない。
それでもいい。
最後の決戦は次の総選挙である。

172億9700万円

これは10年度に、民主党が受け取った政党交付金である。
枝野幸男・小宮山洋子の嫌・小沢コンビが金庫の鍵を握って小沢に嫌がらせをしている。
小沢はこの金に近づけない。

それならいっそ党を割って新党結成に踏み切るべきだろう。
100人程度集まれば、40~50億円程度はついてくるだろう。
民主党にとどまって兵糧攻めにあっているよりはずっと動きやすくなるのではないか?

菅直人は今後厳しい批判をかわし、逆風の国会を乗り切るために八方美人の屈辱外交を進めることになる。
野党にすり寄り、官僚にへつらい、マスコミにおもねり、アメリカに隷従し、なおかつそれを恥ずかしいとも思わない政治を、わたしたちは見せつけられることになる。
もともと理念も哲学もない人間である。
総理になること、総理であることだけが目的である。
だれとでも妥協するし、誰をでも裏切れる。

民主党そのものが独自性を失い、存在意義を失い、液状化していく。
相手次第でどんな形にでも変身するだろう。

わたしたちに必要なのはそんな政党ではない。

「国民の生活が一番」という姿勢を貫き通す政治家と政党である。





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菅直人の大罪

2010-07-10 09:43:05 | 民主党
菅直人の罪は大きい。
勘違いから出発した確信犯と言うべきか。

首相、消費税協議呼び掛け=野党反発-初のテレビ討論 (jiji.com 2010/07/04)
首相は、経済成長と財政再建の両立を図るため、消費税を含む税制抜本改革が必要だと強調。その上で、自公政権の財政運営の失敗により「220兆円の国の借金が積み上がった」と述べ、両党が超党派協議に応じないのは無責任との考えを示した。


確かに借金を作ってきたのは自民党である。
公明党も協力している。
だからといって彼らに、「両党が超党派協議に応じないのは無責任」というのは筋違いだろう。
民主党は、彼らのやり方に反対し、否定し、政権交代を訴え、そして政権を握ったのではないか。
彼らから権力を取り上げ、彼らを政治の場から追放するのが民主党の義務ではないか!
それが今更、「協議に応じろ」?

”税”は政治の根本問題の一つである。
それを、「超党派で」とは何事か!
それでは政党はいらなくなる。

”超党派”で北朝鮮拉致問題を解決しよう!
基地移転問題で”超党派”でアメリカに立ち向かおう!

”超党派”が許されるのはこの二つぐらいである。
あとはそれこそそれぞれの政党の本質、存在理由にかかわる問題である。
消費税で”超党派”などあり得るはずはない。

菅は支持率急落にあわてふためいて言い訳を始めたがまったく支離滅裂、足掻けば足掻くほど、失笑・冷笑を浴びる悪循環にはまりこんでしまった。

菅は、超党派で協議して、「消費税増税案」がまとまったら総選挙で国民の信を問うと言う。
しかし、超党派でまとめた増税案を突きつけられて国民はどこに投票すればいいのか!

国民に選択肢は与えられない。
全政治家対国民という対立。
勝負の結果は見えている。
国民の負けである。

菅直人は、超党派協議を呼びかけることで、死にかかっている自民党を政治の表舞台に呼び戻そうとしている。
国民の意思は自民党の否定である。
いまさら自民党に何をさせようというのか!

菅直人政権はまだ何もしていない。
やったことは小沢つぶしだけである。
政権発足時の世論調査の高支持率に目がくらんで、小澤つぶしだけやっていれば参院選勝利、長期政権は確実になると思いこんでしまっている。

小沢の敵を味方に付けることが菅の最高戦略になってしまった。
自民党は勿論、官僚、財界、マスコミ、アメリカ等々、彼らに尻尾を振り、すり寄ることだけが菅の至上命題になっている。

消費税増税は官僚・財界へのおべっかである。
おまけに法人税減税のおまけ付きである。

菅の思惑とは違って菅内閣の支持率は急落している。
これでまた自民党が息を吹き返しそうである。

自民党議員たちは、菅直人の方に足を向けては寝られないと思っているだろう。

自民党を消滅させたところから新しい日本を出発させよう、という小沢一郎と国民の意思はまったく足蹴にされている。

自民党復活に手を貸す菅直人の罪は大きい。
国民主権の国を作り上げるという方向を180度転換・逆戻りさせる菅直人の罪は大きい。

国民にとって参院選の最良の結果は?
だれもそのシナリオを持っていないようだ。




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小沢一郎の魅力―書生気質の蒸気機関車
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消費税のアリ地獄にはまった菅内閣

2010-07-02 07:22:15 | 民主党
財務官僚の口車に乗って打ち出した消費税10%が、菅を出口の見えない迷路に追い込んでいる。
足掻けば足掻くほど深みにはまる泥沼状態と言うべきか。
あるいはアリ地獄と言ったらいいか。

「税制についてだが、まずは先ほど申し上げた207兆円の国の総予算を徹底的に見直すという作業が始まったばかり。その中からさらに無駄なもの、必要のない制度、あるいは間違った制度などを変えていく。そのうえである時期に消費税といった議論も必要になるかと思うが、少なくとも増税から入っていくのではなく、まずは今までの財政のあり方そのものを徹底的に洗い出すというというところに、やっと1歩目から2歩目に踏み出したところだ」
【菅・財務相就任会見】(2)「増税から入らず、ムダを洗い出す」 2010.1.7


この時点ではまだ正気を保っていたようだ。
しかし、その正気もわずか1ヶ月余りで怪しくなってきた。
財務官僚恐るべし。

消費税増税、選挙で信を問う 菅財務相が予算委で強調 (産経ニュース 2010.2.15 )
菅直人副総理・財務相は15日の衆院予算委員会で消費税を含む税制改正論議について、「議論そのものをしないと決めた覚えはない。平成22年度予算案の衆院通過後にいろいろな課題を次の段階に進めなければならない」と述べ、3月にも議論を始める考えを改めて表明した。

 同時に「上げる、下げるという方向性をもって議論するということはない」と強調。その上で消費税率を引き上げるなど抜本的な税制改正を行う場合は、「国民に信を問う必要がある」と述べた。


「少なくとも増税から入っていくのではなく」と言ったのはわずか1ヶ月前である。
本人はすでに舌の根は乾いたと思ったか。

菅が総理に就任したのが6月8日。

菅首相、所信表明で「消費税視野」 (産経ニュース 2010.6.11 )
菅直人首相は11日、衆院本会議で就任後初の所信表明演説を行い、財政再建のため「税制の抜本改革に着手することが不可避」として、消費税率引き上げを視野に、超党派の「財政健全化検討会議」を設置するよう野党側に提案した。年金制度に関しても、党派を超えた国民的議論を始めるための基本原則を示した。


ここでも、「少なくとも増税から入っていくのではなく」なんて言ったことなどすっかり忘れ去っている。
まず国民に”ガツンと一発”
とりあえず”増税から入っていく”菅内閣の姿勢を高らかに宣言した。

そしてついに運命の10%。

「自民党提案の消費税10%は1つの参考」菅首相 (産経ニュース 2010.6.17 )
菅直人首相は17日夕の記者会見で、消費税について「年度内にあるべき税率、逆進性対策を含む改革案を取りまとめる。(税率は)自民党が提案する10%を一つの参考とする」と述べた。


──賢明な財務官僚の言うことに間違いのあろうはずがない。
なんと言っても、「乗数効果」とか「消費性向」なんて難しい言葉を知っているのだから。
彼らの助けがなければ、オレは国会を乗り切れない。──

税率の引き上げの時期については「大きな税制改革を行う場合、実施する前に国民の信を問うことは本来あるべき道だと思っている」と述べ、基本的に次期総選挙後とする考えを示した。

──内閣支持率も鳩山のときとは、様変わりである。
この調子なら、衆参同時選挙やっても大勝利出来るかも知れない。
消費税増税を前面に出して戦えば、選挙後すぐにでも増税できる。
官僚たちはきっと褒めてくれるだろう。──

と、ここまでは調子に乗っていた菅だったが……。


菅内閣の支持率50%に続落…読売継続調査 (YOMIURI ONLINE 2010年6月28日)

右肩上がりのはずの支持率が下がっているではないか。
ビックリ仰天、慌てて修正作業に取りかかった。

菅首相 消費増税 低所得者、全額還付も 年収水準に言及 (yahoo japan ニュース・毎日 6/30)

首相は山形市での演説で、消費税増税に伴う低所得者対策について、一定の年収以下の人に増税分を還付する方式や、「複数税率」の導入で食料品などの税率を引き下げる方法があると説明した。ただ、還付対象となる年収水準は「200万~300万円以下」(青森市内の街頭演説)、「300万~350万円以下」(秋田市内の講演)と定まらなかった。


所得基準額も、200万円、300万円、400万円と、一声で100万円ずつ増やしていく太っ腹である。

低所得者に全額還付するのなら、消費税を負担するのは、一定水準以上の所得のある人だけということになる。
それならばなにもわざわざ取ったり返したりと面倒なことをする必要はあるまい。
一定水準以上の所得税の税率を上げれば済むことである。
年収400万円以上の層の所得税率を5%上げればいいことではないか。
ついでだから1000万円以上は10%、2000万円以上は20%上乗せしておくこと。

支持率下落に驚いて、「消費税増税は公約ではなく提案」、「今すぐ上げるという話ではない」、「増税は超党派で」、「みんなの党と連携も」などと迷走気味だったが、ついに「全額還付」とは!

いじればいじるほどおかしくなる。

菅は若いとき”麻雀得点計算機”なるものを考案し特許を取っているという。
実用にはほど遠いもので製品化はできなかったらしい。
こういう無駄なことは、個人レベルでは結構である。
こういう無駄でバカバカしいものを真剣に考えるというようなことは、わたしは嫌いではない。
しかし、政治には、税金がかかっており、国民の生活がかかっている。

”麻雀得点計算機”と同じ乗りで「消費税」を扱われては、迷惑するのは国民である。



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