政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

酷薄な政治家・麻生と桝添──これはもう人間性の問題である!

2009-08-25 16:55:06 | 麻生太郎
選挙戦に入ってからも麻生はバカな発言を繰り返して国民のひんしゅくを買っている。
民主党に対する攻撃もますます下品・愚劣の度を増している。
国民はすでに食傷し、あきれているのだが、本人達はまったく気づいていないようだ。
他人の悪口を言うのにも品格とか格調、機知とかユーモア・風刺とかがあればまだしも救われるのだが、自民党の場合は自分たちの柄の悪さ・下品さばかりが目について、逆に自分たちの脚を引っ張ることになってしまっている。
あの品のないアニメ宣伝を見て、「みっともないことをするな」と、麻生をたしなめる人間はいないのか!

自民党惨敗の予想が連日報道されている。
ここまで自民党が劣勢に立たされた理由は様々あろう。
過去にデタラメのし放題を続けてきたこと。
約束をさっぱり守らなかったこと。
今更どんな約束をしても、どうせ守られるはずはないと国民が知ってしまったこと。
そしてたとえ麻生に変わって誰が総理・総裁になっても、この党にはもう麻生並みの人間しか残っていないことを国民は知っていること。

喜劇役者とは笑ってもらえる役者である。
笑われる役者ではない。
その意味では、麻生も桝添も喜劇役者以下である。
自分たちはシリアスな役柄を演じている積もりだが、あんまり芝居がお粗末で意図せぬ嘲笑を買っている。

しかし、嘲笑・軽蔑で済まないこともある。
バカ相手に何を言ってもしょうがないが、それでも麻生は内閣総理大臣である。
払っている税金分は言わせて貰おう。

麻生首相「金がないなら結婚するな」発言 (スポニチ 2009年08月24日)
衆院選(30日投開票)の「ラストサンデー」となった23日、各党党首は候補者の応援で全国を奔走した。東京2区(中央区、文京区、台東区)に入った麻生太郎首相(68)は、学生主催のイベントに出席。少子化問題の質問に「金がないなら結婚しない方がいい」などと発言した。

 東京・花川戸の台東区民会館で開かれた、学生主催の「ちょっと聞いていい会」。約60人の学生を前に、麻生首相が質問に答える形で進められていたが、ビックリ発言はいきなり飛び出した。

 男子学生からの「結婚資金が確保できない若者が多く、結婚の遅れが少子化につながっているのではないか」との指摘に対し、首相は「金がないのに結婚はしない方がいい。オレは金がない方ではなかったが、43(歳)で結婚した。稼ぎが全然なくて(結婚相手として)尊敬の対象になるかというと、なかなか難しい感じがする」と答えた。

 さらに「(結婚は)金があるからする、ないからしないというものでもない。人それぞれだと思うから、うかつには言えないところだと思う」と続けた。

 首相の発言は一定の生活力が必要との趣旨ともとれるが、学生からは賛同の拍手などは一切起こらず、それどころか、会場全体が一瞬、凍りついたような雰囲気。不況の影響で就職先がなかったり、ワーキングプア状態にある若者たちに対する配慮を欠いた発言との批判を呼びそうだ。

 選挙戦中も相変わらず失言を繰り返す麻生首相。解散後の先月25日には、横浜市内での会合で「高齢者は働くことしか才能がない」などと話したため、河村建夫官房長官からは「首相にはオウンゴールだけは避けてもらいたい」とイエローカードを突き付けられたばかり。さらに、前日の22日には、豪雨災害に見舞われた兵庫県佐用町の現場を視察した際、2人の行方不明者について「遺体が見つかるように」などと心ない発言をしていた。


ちょっと長いが全文引用させて貰った。
この記事では麻生のバカ発言を三つ紹介してくれている。

「金がないなら結婚しない方がいい」
「高齢者は働くことしか才能がない」
「遺体が見つかるように」


三つが三つとも、人に対する麻生の冷酷さを示している。

普通の人間なら普通の時でさえ言わないようなことを、少子化問題が選挙の争点になっているそのまっただ中で、「金がないなら結婚しない方がいい」というようなことがどうして言えるのか!
「金がないやつぁおれんとこにこい。結婚して子供を産んで育てられるように、政府を挙げて応援するから」
せめてこのぐらいのことを総理大臣たるもの、言ってみなさい。

麻生と同じ冷酷さを桝添も示している。

派遣村めぐり舛添厚労相に抗議文 「怠けてる連中」発言と (47ニュース 8/24)
年越し派遣村を企画した元実行委員会の有志が24日、舛添要一厚生労働相が街頭演説で派遣村に参加した失業者について「怠けている連中」などと発言したとして、「生活再建を目指して努力している人々への侮辱だ」として発言の撤回と文書による謝罪を求める抗議文を同相に提出した。

 抗議文は、舛添厚労相が18日に横浜市で行った街頭演説で派遣村の取り組みに触れた際に、「4千人分の求人票を持って行ったが、一人も手を挙げなかった。大事な税金を働く能力があるのに怠けている連中に払う気はない」と発言したとしている。


何を偉そうに!
桝添、お前の金ではないぞ!
大いばりで、”4000人分の求人票”と言うが、実際は人を雇うつもりもない事業主に頼み込んで数だけを集めたという話が当時からささやかれていた。
仕事をしていると見せかけるふざけたパフォーマンスに過ぎなかったくせに。

怠けている連中に税金払う気なし 厚労相、『派遣村』で言及 (東京新聞Tokyo Web 8月19日)
これに対し、派遣村実行委員だった関根秀一郎・派遣ユニオン書記長は本紙の取材に「求人として紹介されたのは確かだが、誰も応募しなかったというのは全くのでたらめ。たくさんの人が応募したが、断られたのがほとんどだ。舛添氏の発言は現場の実態が全く分かっておらず、あきれてものが言えない」と批判した。


関根秀一郎・派遣ユニオン書記長の言うのが正しい。
もともと雇い入れる気のない求人票である。
一人も雇われなかったという結果は当然ではないか。
派遣村の失業者を責める前に、桝添は求人票を出した事業者にあたり、窓口のハローワーク職員を調査して実態を把握すべきであった。
いつも、口先一つの言いっぱなしで片付けようとするからこんな鬼のような非情なことが言える。

インフルエンザの流行に関しても、桝添はとんでもない発言をしていた。
「インフルエンザの流行は、国民全体の慢心があったから」
国民が慢心?桝添! 8/20 投稿

ほんとは、桝添という名前を口にするのも嫌なのだが、次のような記事を見ると、黙っているわけにもいかない。
選挙が終わった後、こいつが自民党の前面に出てくるようなことがあっては面白くない。

<政権選択>参院の人気閣僚  自民応援依頼 舛添氏に殺到 (東京新聞Tokyo Web 8月19日)
 選挙戦終盤になっても、巻き返しの糸口がつかめない自民党。苦境ぶりは遊説日程にも表れてきた。わが身も危うい幹部らは、地元張り付きを余儀なくされ、動員力のある遊説の顔が枯渇。数少ない人気閣僚の舛添要一厚生労働相に応援依頼が殺到している。 (金杉貴雄)

 「出陣式以来の人出だ」

 二十四日午後、茨城県ひたちなか市の街頭遊説で、自民党陣営の関係者はホッとひと息ついていた。遊説カーには候補者と来県した舛添氏が並び、「自民党を立て直す」と声を張り上げ、駅ロータリーに詰めかけた聴衆の拍手を浴びていた。

 舛添氏には延べ二百五十陣営から応援要請が殺到し、北海道から沖縄まで、これまで計八十カ所以上を駆け回っている。


そのまんま東が潰れて、その代わりが桝添ということらしい。
しかし、人寄せパンダ頼りの選挙とは、自民党の候補者たちも懲りない連中だ。

いずれこんな政党はバラバラに空中分解するだろうが、だれもいなくなったあと、桝添が一人残っているなんてこともあり得る。






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司令塔不在の自民党、しかも兵の質は劣悪

2009-08-16 11:56:15 | 麻生太郎
唐突に飛び出した麻生の「負けっぷりをよくせにゃならん」発言。
心がけは結構なんだが、時と場所ということもある。
しかもまだ公示前である。
先日の都議選の応援での「惜敗を期す」をいやでも思い起こさせる。

ところで「惜敗」についてもう一人馬鹿なことを言っていた男がいた。
自民党幹事長細田博之である。
細田は自民党選挙対策本部本部長代理である。
本部長は麻生。細田はNo.2ということになる。

自民「惜敗率で上がってきて」 衆院選向け細田氏が失言? (47ニュース 7/2)
自民党の細田博之幹事長は2日の党代議士会で、衆院選準備に関し「東京にいる必要はない。ほとんどの時間を地元で過ごしてほしい」と地元活動を求める中で、「(衆院小選挙区選で)負けても惜敗率で上がってほしい」と述べた。出席者からは「『小選挙区で勝ってこい』と言うべきだ」とやじが出た。

 麻生太郎首相も先月、東京都議選の自民党立候補予定者の応援で「惜敗を期して」と言い間違えており、与党幹部の“弱気”が浮き彫りになった。


細田はどういうつもりでこんなことを言ったのか?
もしかしてこの男、小選挙区比例代表並立制の仕組みが分かっていないのか?
惜敗率は党内落選者同士の争いである。
比例の得票数で自民党の当選者数が決まった後、自民党の候補者の当選順位を決める基準になるだけであって、いくら惜敗率が高かろうと、自民党の当選者数が増えるわけではない。
いわば自民党内サバイバル競争の奨励である。

肝心の選挙対策本部長の麻生がバカで本部長代理の細田がバカで、No.3の選挙対策本部長代理として細田と並ぶことになった古賀誠がやる気がないときては、選挙を戦う態勢はシッチャカメッチャカである。
選対本部の下部機関で選挙の実務に当たるべき選挙対策委員会は委員長の古賀がやめた後、副委員長の菅義偉が采配を振るっているようだが、こちらは品性下劣、ここまですべて見通しをはずしてきた、自民党退潮を招いたA級戦犯である。
これで選挙が戦えるのか、他人事ながら心配になる。

さて「負けっぷり」についてである。

麻生首相:街頭で「負けっぷり」に言及…ハラくくった!? (毎日jp 8/12)
麻生太郎首相は11日、千葉県野田市内で行った街頭演説で、終戦時に首相だった鈴木貫太郎に言及し、「鈴木先生は『(戦争は)負けっぷりはよくせにゃいかん』と吉田茂に言っている。吉田内閣は長いこと続いたが、いろいろな意味で教えていただいた」と語った。演説場所が「鈴木貫太郎記念館」の前だったことから、昔話に言及したとみられるが、衆院選を前に首相が負けを覚悟したとも受け止められる発言は話題を呼びそうだ。

 吉田元首相は回顧録で鈴木からアドバイスを受けたと記しており、「負けっぷりのよさ」からマッカーサーの信用を得たとされる。【影山哲也】


ところでこの発言は街頭演説でとある。
この時期、麻生が一人で街頭演説にいくわけはない。
だれかの応援に行ったのだろう。

千葉県野田市と言うのは千葉県第七選挙区。
自民党公認候補は斉藤健氏(50歳)。

経歴(ウィキペディアより)

1983年 東京大学経済学部卒業。
    通商産業省(現・経済産業省)入省。
1991年   ハーバード大学修士課程修了。
1994年 通商政策局米州課
    大臣官房秘書課人事企画官
1999年 深谷隆司の下で通産大臣秘書官就任。
    内閣官房行政改革推進事務局企画官
2004年 埼玉県副知事就任。
2006年 衆議院議員補欠選挙(千葉7区・自民党公認)落選。86,091票(955票差)
同年、 自由民主党幹事長政策補佐に就任。


今度こそとの意気込みでいることだろう。

その場に居合わせた方のブログによると、麻生は斉藤健氏を従えての応援演説であった。
自分の目の前で、「負けっぷりはよくせにゃならん」と言われて、斉藤氏は心中何を思ったか。

腹をくくったか、と言えば麻生の最近顕著な右回帰の発言もその表れであるらしい。

首相「伝統、国旗…守るべきもの守る」演説で保守色拍車 (asahi.com 8/2)
 麻生首相は2日、総選挙に向けた地方遊説で愛知県を訪れた。民主党に追い風が吹いているなか、ただでさえ同党が強い地域とあって、首相は17選を目指す海部俊樹元首相の事務所開きにも激励に駆けつけた。

 演説では失言を避けようと慎重な言い回しだが、「保守」強調には拍車がかかる。この日は「我々は守るべきものは守る。伝統であり、歴史であり、皇室であり、日本語であり、国旗を大事にする。日教組の先生をされた民主党が国旗を振りますか。日本にとって最も大事にすべきだ」と訴えた。


これはわたしが自制心をなくした麻生自民党 2009-08-06 投稿で引用した記事である。
麻生発言の超右寄り発言の唐突さに少々驚いたものである。

数日後、どこかのテレビ局で中川昭一元財務大臣の選挙活動を紹介していた。
ご多分に漏れず、苦しい選挙戦を展開している様子が映し出された。
ここで一つの事実が紹介された。
取材中のその日の夜、中川は麻生に電話をしたというのである。
電話の中身は、
「保守色を強調して、自民党離れを食い止めよう」というものだった。
そしてその次の日、麻生は上の演説をしたと番組ははっきり言っていた。

以前から麻生は”人の話を聞き過ぎる”と言われている。
しかも、最後に聞いた人の意見に従う、と言われる。
上の極右発言の唐突さにも、それでようやく納得がいった次第である。
それにしても分かりやすい男である。

靖国に関する発言もこの延長上にある。
首相、戦没者の国立追悼施設に慎重姿勢
麻生太郎首相は14日夜、靖国神社に代わる国立戦没者追悼施設を建設する必要性について「国民の合意を得られるかというところが一番の問題だ。施設をつくったら靖国の話がなくなるのかというと、なかなかそんな簡単にはいかないのではないか」と指摘し、追悼施設建設に慎重な考えを示した。首相官邸で記者団に語った。


何が何でも靖国でなければならない、という考えが根底にこびりついている。
しかしながら、8月15日の参拝を避けたのは、まだ覚悟が中途半端であることの表れであろう。

景気・雇用対策の成果訴え=麻生首相と自民幹事長が確認
麻生太郎首相は14日、自民党本部で細田博之幹事長、古賀誠選対本部長代理と会い、18日の衆院選公示を控え、選挙戦では政府・与党が最優先で取り組んできた景気対策や雇用対策の成果を中心に訴えていく方針を決めた。また、民主党の衆院選マニフェスト(政権公約)について「あまりにも長期に国の財政負担になることが多すぎる」として、引き続き財源問題を取り上げることも確認した。
 会談では、衆院比例代表の名簿順位についても協議した。細田幹事長は会談後、記者団に対し「(衆院選では)しっかりわれわれの考え方を訴えるしかない」と語った。 (2009/08/14-21:40)


自民党選挙対策本部の3バカトリオによる戦術会議らしきものか。
「引き続き財源問題を取り上げることも確認した」
結論はやはり財源問題か!
自分の店の売り物が無くて人の店の商品にケチをつけるいつものやり方である。

「負けっぷりをよくせにゃならん」と言ったが、本人がジタバタ見苦しくしているのは変わらない。

麻生首相:民主のFTA修正を批判 (jiji.com 2009/08/14)
麻生太郎首相は5日、鳥取県米子市で街頭演説。民主党がマニフェスト(政権公約)の「米国との間で自由貿易協定(FTA)を締結する」とした部分を修正することに「自由化すると、FTAはやりますって間違いなく書いてあった」と述べ、同党の対応を批判した。


しかし、自民党の政権公約にもこんなことが書いてある。
「WTOドーハ・ラウンド交渉の早期妥結、経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)交渉を積極的に行う。」
一方的に責めている場合ではなかろう。
「交渉を積極的に行う」ということは、締結を目指すということではないのか。

「農業交渉等については、各国の持つ多様な農業との共存や林・水産資源の持続的利用が可能となるルールの確立を目指す」

こんな文章が付いているが、自分では「自由貿易協定(FTA)交渉を積極的に行う」と言いながら、民主党を責めることへの免罪符になるわけではない。





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究極のKY麻生太郎・核の傘発言

2009-08-07 18:00:28 | 麻生太郎
KYという言葉がこれほどピッタリくる人間と舞台はそうそうはないだろう。
わたし自身はこの言葉を使ったことはなかったが、今度ばかりは他に使うべき言葉が見つからない。
広島原爆の日に、広島の地で行った麻生太郎内閣総理大臣の”核の傘”発言である。

首相日々:6日

 ◇午前
 7時50分 広島市中区の平和記念公園。原爆死没者慰霊式・平和祈念式に出席し、献花、あいさつ。

 9時    同公園内の平和記念資料館。見学。舛添要一厚生労働相ら同行。

    4分 デスコト国連総会議長と立ち話。

   24分 同市中区のリーガロイヤルホテル広島。

   38分 原爆症認定集団訴訟の終結に関する基本方針確認書署名式。

   50分 「被爆者代表から要望を聞く会」に出席し懇談。

10時42分 広島市政記者クラブ、内閣記者会と記者会見。

11時 6分 同市中区の広島原爆養護ホーム「舟入むつみ園」。

    7分 鎌田七男広島原爆被爆者援護事業団理事長、松若仁志夫園長ら。

   18分 入園者を慰問。舛添氏ら同席。

   37分 同市南区のホテルグランヴィア広島。秘書官と食事。


事前に原爆症訴訟で控訴断念を発表し、世論のご機嫌伺いをしている。
万全の仕掛けを施して広島に乗り込んだ麻生太郎。
次々とスケジュールをこなしていたのだが……。
バカの本性は詰まらぬところで現れる。

広島での記者会見

麻生首相 米の「核の傘」必要 (NHKニュース 8/6)
この中で麻生総理大臣は、記者団が「日本はアメリカの『核の傘』に守られているなかで、どう核軍縮に取り組むのか」と質問したのに対し、「核が世界で一斉に、ある日突然なくなるならいいが、通常では考えにくい。誰かがやめたら、相手もやめてくれるという世界ではないと思っている」と述べました。そのうえで、麻生総理大臣は「核で他国を攻撃しようという国が隣にある。北朝鮮の核ミサイルは日本にとって明白な脅威だ。それに対して、日本は、核で抑止する力を持つアメリカと同盟関係を結んでいるという現実を踏まえる必要がある」と述べ、北朝鮮の核の脅威に対抗するためにはアメリカの「核の傘」が必要だという認識を示しました。


「日本はアメリカの『核の傘』に守られているなかで、どう核軍縮に取り組むのか」
と、質問されるといきなりアホの麻生に逆戻りしてしまった。

以前から疑問に思っていたのだが、麻生のメディア記者に対する敵意はどこからきているのだろうか。
単に自分に対する批判記事を目にして、というだけではないような気がしていたのだが……。
「もしかすると麻生はインテリに対してコンプレックスを持っているのではないか?」
そう考えると、ぶら下がり会見の時などのあの大人げない態度にも納得がいくのだが。

それはともかく上の記事を読むと、「だから核軍縮は必要ないし、不可能である」というふうにしか読めない。
「どう核軍縮に取り組むのか」と質問されて、アメリカの核の傘が必要だというのは、答えになっていないだろう。
このところの右転回がこんなところにもつい顔を出してしまったのだろう。

ちなみにほとんどの報道記事は
「核で他国を攻撃しようという国が隣にある」と麻生の言葉を記しているが、実際の麻生の言い方は
「核で他国を攻撃しようという国が隣の国にある」
である。
メディアが親切に訂正してくれていた。
アー、ウーを省くのとは違う。
こういうところは正確に文章化してもらいたいものだ。

日程をみると、わずか1時間ちょっと前の平和祈念式典の挨拶では次のように述べていたのに。

広島原爆式典、麻生首相のあいさつ(全文)(YOMIURI ONLINE より)
我が国は、これまで15年間にわたって、国連総会に核廃絶決議を提出してきました。こうした中で、昨今、米露両国は、核兵器の一層の削減を目指して交渉を進めています。G8サミットでは、先月のラクイラにおいて、初めて、「核兵器のない世界」に言及し、世界的な核軍縮・不拡散に関する気運の高まりを維持・強化するための力強いメッセージを表明しました。

 そして本日、私は、改めて日本が、今後も非核三原則を堅持し、核兵器の廃絶と恒久平和の実現に向けて、国際社会の先頭に立っていくことをお誓い申し上げます。


久間防衛大臣の「米国の広島、長崎への原子爆弾投下について『しょうがないなと思っている』、という発言を彷彿とさせるが、実は麻生の発言の方がたちが悪いと言える。
久間の場合は、過ぎたことを今更蒸し返しても仕方がない、という個人的な思いがつい口に出た、とも考えられる。
麻生の場合は、確信犯であり、選挙対策でもある。

今度の選挙で、万が一麻生政権が存続するような結果になれば、日本は麻生の思い通りの方向へ引っ張っていかれることになる。





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自制心をなくした麻生自民党

2009-08-06 07:18:30 | 麻生太郎
自民党の政権公約が発表されてから、自民党の姿勢が多少変わってきているように感じる。
それまでは口をそろえて「財源問題」だけを叫んでいたのが、それに「安全保障」が加わってきた。むしろそちらに重点が移っているように思える。
自分のところの政権公約では、民主党の財源を責められないことに気がついたのだろう。
マスコミも財源問題を取り上げにくくなったらしい。
心なしか、民主党批判、財源批判の声が小さくなっている。

首相「伝統、国旗…守るべきもの守る」演説で保守色拍車 (asahi.com 8/2)
 麻生首相は2日、総選挙に向けた地方遊説で愛知県を訪れた。民主党に追い風が吹いているなか、ただでさえ同党が強い地域とあって、首相は17選を目指す海部俊樹元首相の事務所開きにも激励に駆けつけた。

 演説では失言を避けようと慎重な言い回しだが、「保守」強調には拍車がかかる。この日は「我々は守るべきものは守る。伝統であり、歴史であり、皇室であり、日本語であり、国旗を大事にする。日教組の先生をされた民主党が国旗を振りますか。日本にとって最も大事にすべきだ」と訴えた。

 演説冒頭では「一連の私の発言や力不足から党の結束の乱れが出て、自由民主党に対する信頼感の欠如につながった」と謝罪し、「競争が行き過ぎて弱者がしわ寄せを食らう。弊害を率直に認めて訂正しなければならない」。そのうえで経済対策の実績や民主党批判を続けるスタイルを定着させつつある。


一連の麻生降ろしをお詫び演説で乗り切って以来、すっかりお詫び戦術が気に入ったと見える。
やってみると意外に簡単だと分かったようだ。
「お詫び」と「反省」を売り物に元気よくあちこち駆け回っている。
当初はまったくお呼びがかからぬのでは、と心配していたがどうやらそれなりにお座敷がかかっているらしい。

民主党攻撃も財源問題ではさほど効果が上がらない。
そこで前面に出してきたのが、安全保障。
これなら自分の本音をしゃべればいいだけのことだ。
嬉々として叫んでいる。
しかし、麻生の言うところは安全保障問題というよりは、単なる右翼趣味に過ぎない。
伝統、歴史、皇室、日本語、国旗。
趣味の世界の話である。
これが、「日本にとって最も大事にすべきだ」と麻生の考えるものなのか!

「日教組の先生をされた民主党が国旗を振りますか」

日教組嫌いは、自民党には掃いて捨てるほどいるが、少なくとも総理大臣がこんなことを言うか!
「国旗を振る」とはどういうことなのか、意味が分からない。
学力低下も教育の荒廃もすべて日教組のせいにする。
1960年には日教組の組織率は80%以上であった。
1970年代には50%台。
現在では20%台らしい。
学力低下も教育の荒廃も一見すると、日教組の組織率と反比例しているかのようだ。

こちらは自民党の本質がより鋭く現れている。

米国へのミサイル、迎撃も可能に…安保懇報告書 (YOMIURI ONLINE 8月4日)

 麻生首相が主宰する「安全保障と防衛力に関する懇談会」(座長=勝俣恒久・東京電力会長)は4日午前、集団的自衛権の政府解釈見直しや、武器輸出3原則の緩和などを求める報告書をまとめ、首相に提出した。
(中略)
また、安倍政権当時に発足した政府の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」が2008年6月の報告書で、米国に向かうミサイルの迎撃や米艦防護を可能とする集団的自衛権の行使容認を求めたことを強く支持。北朝鮮の弾道ミサイルは「日米共通の脅威」とし、従来の集団的自衛権に関する解釈を見直し、米国に向かうミサイルの迎撃を可能にすべきだとした。米艦防護でも、集団的自衛権の解釈見直しも含めた「適切な法制度の整備」を求めた。

          ◇

 ◆安保懇報告書の骨子◆

 ▽核以外の打撃力による抑止力には日本の協力が必要

 ▽敵基地攻撃能力を含む抑止力向上で、適切な装備や運用の検討が必要

 ▽米国に向かうミサイルの迎撃や米艦防護のため、集団的自衛権の解釈を見直し

 ▽国際的な共同開発・生産への参加などは武器輸出3原則の例外とする

 ▽国際平和協力や他国部隊の後方支援は違憲ではないとの主張を強く支持

(2009年8月4日13時54分 読売新聞)


専守防衛という我が国のこれまでの安全保障政策は影も形もない。
憲法などは問題外。
これでも麻生には不満かも知れない。
しかし、どれ一つとっても10年前なら政権がひっくり返るような内容である。

とはいえ、問題にしたいのはその中身ではない。
この時期、こういう方向を明瞭にするその意図である。
多分、麻生は切り捨てるものを思い切って切り捨て、限られた部分だけに目標を絞ったのだろう。
ただ麻生の愚かさは、自分の切り捨てたものの大きさを量れないないところにある。
自分の周囲はほとんど右利きの人間である。
世の中に左利きの人間がどれだけいるのか分からないでいる。
右利きの人間だけを結集するだけで選挙に勝てると思っている。
例えが悪かった。
左利きではない。
単純に憲法を尊重し、平和を尊重し、一人一人の生活・幸福を大事に思う人たちである。
そのような人たちがどれだけいるのか、麻生は考えようともしていない。

自民党の姿勢には、幸福の科学のそれと共通するものを感じる。
幸福の科学・幸福実現党の政策を読んだわけではないが、一つだけ印象に残っていることがある。
「相続税をゼロにする」というのがあった。
彼等は国民全部から票を取ろうとはしていない。
相続税をゼロにすることによって恩恵を受ける階層は全体からみれば微々たるものである。
しかし彼等にすればそれだけでいいのである。
国民の1%でもいい。
2%でもいい。
はじめから国民のごく限られた階層からだけ票を得ようとしている。

国民全部に訴えるのではない。
国民の限られた部分だけをターゲットにするというのは弱小政党のとる方策であろう。
政権与党が取るべき道ではない。

せめてこれまでの自民党支持層だけでもつなぎ止めようという意図がはっきりと見て取れる。
追いつめられた者の焦りがそうさせているのだろう。
もともと政党というものは、ある集団の利益代弁者という性格を持っているものだが、一旦政権を握ったら国民全部の利益を守るために働くのが責任ある政治というものであろう。

中身について一つだけ触れておきたい。

「米国に向かうミサイルの迎撃や米艦防護のため」

北朝鮮からアメリカへ向けて発射されたミサイルを日本が撃ち落としてやろう、ということらしい。
アメリカとの間でそういう話が出ているのかどうかは分からない。
しかし、ここにはアメリカへの「滅私奉公」の精神がこれまでに例を見ないほど明瞭に現れている。
そしてこれらの主張が、民主党に対抗することを目的にことさら強調されているとしたら、国民の利益よりも政権維持を優先させた、国民の利益を損なう危険な手法と言うべきであろう。

麻生や自民党が安全保障ごっこにうつつを抜かしている間にも世界は動いている。

米ロ、核兵器削減に向けた新枠組み合意文書で合意─ロシア外務省筋=インタファクス
[モスクワ 6日 ロイター] ロシアのインタファクス通信は6日、米国とロシアが核兵器削減に関する枠組み合意の文書で合意し、オバマ米大統領とメドベージェフ・ロシア大統領が発表する見通しだと伝えた。
 インタファクス通信がロシア外務省筋の話として伝えたところによると、両首脳は6日夜、クレムリンで枠組み合意について発表する公算。長距離核弾道ミサイル数の上限などを制限している第1次戦略兵器削減条約(START1)は12月に失効する。枠組み合意はSTART1に代わる新たな条約の年内締結に向けた交渉の材料となる。

米中関係を最重要視 初の戦略・経済対話開幕 (北海道新聞 07/28 00:05 更新)
【ワシントン共同】米国と中国が外交・経済分野の問題を閣僚級で話し合う「米中戦略・経済対話」の初会合が27日、ワシントンで始まった。開幕式に出席したオバマ米大統領は「米中両国間の関係が、21世紀を形づくる。世界中のどの2国間関係よりも重要だ」とあいさつし、米中の新たな対話の枠組みを重視する姿勢を示した。

2女性記者とクリントン元大統領、米国到着 (YOMIURI ONLINE 8/5)
【バーバンク(米カリフォルニア州)=飯田達人】北朝鮮を訪問したビル・クリントン元米大統領と、北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記の「特赦」によって解放された2人の米国人女性記者を乗せた航空機は5日午前5時50分(日本時間同日午後9時50分)ごろ、ロサンゼルス郊外のバーバンクにあるボブ・ホープ空港に着陸。記者らは4か月半ぶりに家族との再会を果たした。


ロシア、中国、北朝鮮を相手にアメリカは戦略的に外交を進めている。
日本はこの三国相手にまったく足踏み状態あるいは後戻りの外交を行っている。
アメリカに代わって北朝鮮のミサイルを迎撃してやるなどと能天気なことを言っている場合ではなかろう。





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麻生内閣存続の恐怖

2009-08-04 06:03:29 | 麻生太郎
もし、今度の総選挙で自民・公明が過半数を確保すれば多分麻生内閣が続くことになる。
総選挙での勝敗ラインは自公、民主・社民・国民新党両陣営それぞれが衆議院の議席の過半数というところが共通の認識になっているようだ。
妥当なところであろう。
そしてもし自公で過半数が確保できれば、麻生をやめさせる口実がなくなる。
わたしたちは四年間あの麻生の嫌な顔をみ、あの嫌な声を聞き続けなければならない。
もし麻生・自民党が政権を維持したとすれば、彼等は自民党永久政権を作るためにありとあらゆる方策をとるだろう。
警察・検察・裁判所・マスコミ・御用評論家・御用学者・御用都道府県知事・中央省庁・地方自治体等々動員できる限りのものを動員することであろう。

民主党が政権をとっても、政権運営につまずけば次の選挙で政権を取り上げることが出来る。
しかし、自民党の場合はそうはいかない。
自民党は今回かくも民主党に追い込まれた。
その恐怖は骨身にしみたはずである。
彼等はその恐怖に懲りて、それを事前に防ぐために何でもしてくることは間違いなかろう。
小沢事件が教訓になっている。
多くの人が国策捜査・不公平な捜査であると検察を非難したが、検察も自民党も何の痛痒も感じていない。

今多くの国民は民主党政権が実現するだろうと考えている。
しかし、自民党政権が続いたときの恐怖を余りにも軽視し過ぎているように、思えるのである。
自民党や官僚たちのいざとなったときの恐ろしさを肝に銘じておく必要がある。

good loser という言葉がある。
潔い負け方をする人というような意味である。
反対は bad loser である。
自民党の悪あがきを見ているとついそんな言葉を頭に浮かべてしまう。

あれほど民主党のマニフェストについて、財源が不明確と攻撃してきた自民党であるが、その自民党のマニフェストはさぞかし明確な財源を手当してあるものと思っていたら、サッパリ見あたらない。
その自民党マニフェストをみて思ったことをいくつか記したい。

自民党のホームページをのぞくと、
”自民党の政策「皆さんとの約束」”というのがあり、要約版と政策BANKの二つが載っている。
これがマニフェストなんだろう。

1 安心な国民生活の構築

「中福祉・中負担の社会保障制度を構築する」


以前から麻生が言っていることだが、中福祉というのはどの程度のサービスを受けられるのか、一切の説明がされてこなかったし、今回も同じである。
健康保険、年金、生活保護、介護、育児補助等々に関し、中福祉の具体的な水準は不明のままである。
そして中負担とは国民にとってどれだけの負担を考えているのか、一切言及がない。

4 雇用対策
  70歳はつらつ現役プラン
働く意欲のある高齢者の方々が生涯現役として働きやすい環境を整え
「70歳現役社会──生涯現役社会」を実現する。


死ぬまで働かせるということらしい。
どうやら先日のあの発言はうっかり失言というのではなく麻生の持論、自民党の政策であったらしい。

<麻生首相>「高齢者は働くことしか才能ない」 野党が批判 (Yahoo Japan ニュース 7/25)
麻生太郎首相は25日、横浜市内で開かれた日本青年会議所(JC)の会合で「日本は65歳以上の人たちが元気」としたうえで、「元気元気な高齢者をいかに使うか。この人たちは皆さんと違って、働くことしか才能がないと思ってください」などと述べた。高齢者にも働いてもらい活力ある長寿社会を作ろうとの持論を述べたとみられるが、誤解を受ける表現に野党から批判が出ている。

 首相は「80歳過ぎて遊びを覚えても遅い。60過ぎて、80過ぎての手習いなんて遅い」とも発言。「働ける才能をもっと使い、その人たちが働けば、その人たちは納税者になる」と語った。


5 経済成長政策
経済成長による新規需要に加え、女性、高齢者の労働参加により、10年で家庭の手取り収入を100万円増やし、一人あたり国民所得を世界トップクラスにする。


ここでも高齢者を働かせる話である。
下々の平民は一生働け、というのは麻生にこびりついた固定観念のようである。

全体としては、具体的な財源はもちろん政策実現のための手法・手続き・過程がほとんど示されず、「~を進める」、「抜本的見直しを行う」、「推進に努める」、「適切に措置する」、「取り組む」、「実現を目指す」、「検討する」、「適切に執行する」、「着実に実施していく」等々の語句の連続である。

麻生もどんなマニフェストができあがるか分からなかったのだろうが、よく民主党を財源で責められたものだ。
未だに責めているところを見ると、まだ自分の所のマニフェストを読んでいないのかもしれない。





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自民党マニフェスト……責任力?バカ!

2009-08-02 19:50:46 | 麻生太郎
これまでに「責任力」なんて言葉を聞いた日本人がどれだけいるか?
浅学非才のわたしは、恥ずかしながら”責任力”という言葉を聞くのは初めてである。
自民党のマニフェストのキャッチコピー「日本を守る、責任力」
「責任力」という言葉には強い違和感を覚えるのだが、一向にそんな声は聞こえてこない。
だれも違和感を抱かないのか?
責任能力という言葉はあるが、そういう意味ではなさそうだ。
(もしかして”能”を取って、”能なし”というシャレか?)
多分麻生は、「責任力」という言葉を”責任を果たす力”、というような意味の積もりで使っているのだろう。

普通の人なら、「責任ある政治」、「責任感のある政治」、「責任を持つ政治」、「責任を取る政治」、「責任を果たす政治」と言うような使い方をするところだろう。
だれが考え出した言葉なのか。
試しにGoogleで検索してみた。
検索語は”責任力、辞書”とする。
麻生関連以外にヒット無し。
出てくるのは、すべて”責任能力”、”責任”等である。
その麻生に関連したものの一つをあげる。

首相陳謝し「責任力」 鳩山代表「政権交代」訴え釈明も (asahi.com 7/22)
衆院が21日解散され、与野党は8月18日公示、同30日投開票の総選挙へと走り出した。麻生首相は記者会見で「安心社会実現選挙」と位置づけ、「政党の責任力」を問うとして民主党との政権担当能力の違いを訴えた。


早くも麻生はここで「責任力」という言葉を使っていた。
検索語を代えて探していると次の記事が見つかった。

「責任力」VS「政権交代」 初の日曜、自・民応酬 (中国新聞ニュース 7/27)
衆院選の争点をめぐり、石原氏がNHK番組で「責任力」を挙げたのに対し、民主党の野田佳彦幹事長代理は「マニフェスト(政権公約)だ」とした上で「自民党の4年前のマニフェストはほとんど実現されず、政権担当能力がなかったことが証明された」と批判。


日付は麻生の方が先だから、使い始めたのは麻生なのか?
それとも自民党内で選挙対策用に考え出されていたのか?
石原伸晃は選挙対策本部副本部長、そして古賀が選対委員長を辞めた後の委員長代理に座っている。
どちらが使い始めたのかはよく分からない。
それにしても麻生の日本語にはついていけない。

他にはビジネス・派遣業界関連に「責任力」という言葉の使用が散見される程度である。

言葉は変化する。
わたしは新語・造語を頭から非難するものではない。
しかし、国民に向かって語りかけるのに、今まで国民のほとんどが聞いたことのない言葉を使う感覚は分からない。
だからこそインパクトがあるのだ、と言われればそれまでだが……。

表紙を見ただけで、こけおどしのいかがわしさをわたしは感じてしまうのだが。
肝心の中身については詳細が分からないので、それが分かった時点で感想を述べたい。
これまで散々民主党のマニフェストをけなしてきた自民党である。

かつてレーガンが大統領を退いた後、夫人が回想録を出した。
わたしは読んでいないが、書名は”My turn”であった。
”わたしの番よ”とでも訳せるか。
夫の在任中はいろいろ悪口を言われても反撃できなかったが、いよいよ反撃する時がきたということだったんだろう。

とりあえず自民党はマニフェストをだした。
今度は”My turn”である。
そして”Our turn”である。


(実はこの投稿は土曜日にupするつもりで前の晩寝る前に書いておいたのだが、土曜日早朝から会津方面へ釣行。少々寝過ごしてしまったために慌ただしい出発となり、upするのを忘れてしまった。今帰ってきたので遅ればせながらupする。多少鮮度が落ちたと思うがご容赦いただきたい)



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麻生太郎の心安らかな日々

2009-07-26 15:59:23 | 麻生太郎
麻生太郎が衆議院解散を表明したのが7月14日。
麻生降ろしの封じ込めを狙っての表明であったが、解散日が7月21日と一週間以上も先のこと。
反麻生の動きはかえって激化してしまった。
反麻生の動きは、両院議員総会を開き、その場で総裁選前倒しを決定し、選挙の顔を取り替えることに収れんしていった。
彼等は両院議員総会開催に必要な三分の一以上の署名を集め、執行部に突きつけた。
執行部は集まった署名のうち、署名した覚えがないと言っている議員を一人見つけ出し、さらに署名の趣旨・意図が違うと言いだす議員を何人か見つけ出し、開催請求の無効宣言らしきモノを打ち出した。
しかし、有効な署名が何人あったか、無効なモノは何人か等については明らかにすることなく、両院議員総会を議決権のない両院議員懇談会なる集会にかえて開催することで双方が妥協した。
いかにも自民党らしい決着の付け方である。
反麻生の中心中川秀直と麻生太郎の握手が象徴する猿芝居。
(これは両院議員懇談会のあとの代議士会が舞台であったが)
馬鹿馬鹿しいシャンシャン集会で麻生はとりあえずの危機を乗り越えたようだ。
その集会を機に自民党内から反麻生派が”表面上”消えた。
無事解散に漕ぎつけ、麻生内閣発足以来「早く解散・総選挙を」と責められ続けた苦難の日々が終わった。

そしていよいよ挙党一致の民主党攻撃。
格好の標的は、民主党のマニフェストである。
あることないこと詭弁・強弁で民主党のマニフェストを攻撃する。
自分のところが出していないので安心して攻められる。
少なくとも出してもいない、マニフェストの中身について攻められることはない。
せいぜい、「出すのが遅い」という程度のクレームである。
そんなもの彼等にとっては屁でもない。

麻生太郎の心安らかな日々が始まった。
まずは気楽なところから、行動開始である。
暖かく自分を迎えてくれるところとして選んだのが、財界・業界団体である。

’09衆院選:首相、異例の団体回り 自ら発案、士気高める狙い (毎日jp 7/24)
麻生太郎首相は23日、衆院選での自民党への支援を求め全国銀行協会など12団体を回った。首相が直接訪問するのは初めての団体ばかりだ。だが街頭演説とは違って有権者と直接触れ合う機会は少ないだけに、集票効果は未知数だ。


これに関する麻生の行動を拾ってみる。

(毎日:首相日々より)
22日
4時28分 東京・大手町のJAビル。茂木守全国農業協同組合中央会会長と会談。

 5時 7分 大手町の日本経団連会館。御手洗冨士夫日本経団連会長と会談。

23日
10時 9分 東京・一番町の電機工業会館。西田厚聰日本電機工業会会長と会談。

   26分 平河町の海運ビル。宮原耕治日本船主協会会長と会談。

   11時 2分 内神田のコープビル。服部郁弘全国漁業協同組合連合会会長と会談。

   38分 内幸町の帝国ホテル。岡村正日本商工連盟会長と会談。

 ◇午後

    1時53分 新橋のニュー新橋ビル。石沢義文全国商工会連合会会長らと会談。

 2時39分 神田淡路町の損保会館。佐藤正敏日本損害保険協会会長と会談。

 3時 1分 丸の内の銀行会館。永易克典全国銀行協会会長と会談。

   25分 丸の内の新国際ビル。佐藤義雄生命保険協会会長と会談。

   57分 芝大門の日本自動車会館。青木哲日本自動車工業会会長らと会談。

 4時58分 西新宿の新宿エルタワー。中西英一郎全日本トラック協会会長と会談。

24日
11時 2分 東京・八丁堀の東京建設会館内の全国建設業協会。同協会の山田恒太郎副会長らと会談。

   35分 同会館内の日本土木工業協会。同協会の中村満義会長らと会談。

 ◇午後

 1時 8分 元赤坂の明治記念館。大坪文雄電子情報技術産業協会会長らと会談。

   53分 九段北の実践倫理宏正会。同会の上広栄治会長と会談。

 2時29分 岩本町の全国不動産政治連盟。同連盟の伊藤博会長らと会談。


結局麻生は3日間で17団体の長17人と会っていた。
目的は総選挙支援のお願いであろう。
総選挙の支援には様々あろうが、端的に言えば票のお願いであろう。
麻生の頭の中では、団体・組合の長の一票は一票ではない。
団体の長一人の票は加盟企業の数百・数千の長の票に繋がっている。
その一票はまた企業の関連会社・下請け会社の長や社員の何千何万という票に繋がっている。
ピラミッドのトップに立つ一人を手に入れればピラミッド全体が手に入る。
一人を動かせば数万・数十万の票を獲得できると思っている。
ここには、有権者の一人一人を独立した個人として尊重したり、恐れたりするという視点はまったくない。
麻生の頭の中には、従業員というものは社長の指示通り投票するものだという確固たる信念があるのだろう。

株式会社麻生では確かにその通りなのかも知れない。
しかし、国民・有権者はいつまでも愚かなままではない。
社長の指示通り投票するというような有権者は急速に減っている。
麻生の目には見えていないが、個人としての判断を優先する人が増えているのだ。
そしてそれが民主主義なのだ。
権力を背景に弱いモノに投票を強制するような時代ではなくなっている。
麻生には、時代の変化、国民の意識の変化等がまったく見えていない。

麻生のお気楽な団体巡りは続く。
麻生の大好きな団体に日本青年会議所というのがある。
かつて麻生もその会頭を務めたことがある。
いわば身内といってよい団体である。

麻生首相:高齢者「働くことしか才能がない」 JC会合で発言 (毎日jp 7/25)
麻生太郎首相は25日、横浜市内で開かれた日本青年会議所(JC)主催の会合であいさつし、「元気な高齢者をいかに使うか。この人たちは皆さんと違って、働くことしか才能がないと思ってください。働くことに、絶対の能力がある。80歳過ぎて遊びを覚えても遅い。働ける才能をもっと使い、その人たちが働けば、その人たちは納税者になる」と述べた。

 高齢者にも働いてもらって、活力ある長寿社会を作ろうとの持論を展開したものとみられるが、誤解を受ける表現に批判も出そうだ。【影山哲也】


徒然草でも言っている。
「あやまちは、安き所に成りて、必ず仕る事に候ふ」
麻生降ろしが盛んな間は、麻生も口を慎んでいたが、それもおさまり、日本青年会議所という心やすい場所に出かけて気が緩んでいたのだろう。
しかし思わず出た失言などではない。
聴衆におもねり、その場にいない人を蔑んで笑いをとろうとするいつものやり方である。
舞台は青年会議所。
当然お年寄りはいないから安心して年寄りを馬鹿に出来る。

記事では、「誤解を受ける表現」と、頼まれもしないうちから麻生弁護をしている。
誤解ではない。
政治家の言葉は言葉通りの意味を持つ。
勝手に「誤解」という言葉で片付けるのは麻生に対して失礼であろう。
麻生だって言葉を覚えかかっている幼児ではない。
自分の言いたいことぐらい自分で言えるだろう。
マスコミが勝手に読者に向かって解釈・解説してやる必要はない。
麻生だって自分で言い訳ぐらいできるのだから。

「高齢者は働くしか才能がない」首相が発言で釈明 (NIKKEI NET 7/26)
麻生太郎首相は25日夜の仙台市での講演で、午前に横浜市内で開かれた日本青年会議所(JC)の会合で「高齢者は働くしか才能がない」と発言したことが問題視されていることについて「私の意図は正しく伝わっていない。元気で活力のある高齢者には働ける機会や場をつくる。それが活力ある明るい高齢化社会だということを申し上げたかったが誤解を与えた」と釈明した。


しかし、言い訳はやっぱり”誤解”か!
政治家の失言のたびに繰り返される言い訳に「誤解を与えたとしたらお詫びする」というのがある。
後から「じつは発言の意図はそうではなかった」と”真の発言の意図”をでっち上げる。
実際は最初に言ったことが真意で、あとから言ったことが嘘なのである。

幸い、衆議院は解散中である。国会で追及されることはない。
この程度の失言問題では、麻生の心安らかな日々はびくともしない。

首相、防府の大雨被災地視察を中止 二次災害の懸念受け (asahi.com 7/26)
麻生首相は26日に予定していた、大雨被害を受けた山口県防府市の被災地視察を中止した。この日、現地に向かうため羽田空港まで行ったものの、二井関成山口県知事から、現地は大雨が降っており、二次災害が発生する懸念がある、との報告を受け中止を決めた。


本降りになって出て行く雨宿り
と揶揄されたグズ麻生のグズグズ解散。
今度は
本降りになって再び雨宿り
といったところか。
業界回りなどやっているからせっかくの機会を逃す。

それでも麻生は上機嫌で毎日を過ごしていることだろう。
もしかすると第二次麻生内閣の構想などを練っているかも知れない。





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自民党の解散を要求する!・政権を私物化する麻生と自民党

2009-07-13 16:40:05 | 麻生太郎
麻生が解散を表明したようだ。
解散日は7月21日?
それでもって投票日が8月30日?
いい加減にしろ!
これからほぼ50日も死に体内閣が続くのか。
しかも総選挙後、特別会の招集までまた日数がある。
それまで麻生は総理の座に座り続ける。

安倍晋三

2006年(平成18年)9月26日 - 2007年(平成19年)9月26日
総理在職日数  366日

福田康夫

2007年(平成19年)9月26日 - 2008年(平成20年)9月24日
総理在職日数  364日

麻生太郎

2008年(平成20年)9月24日 -2009年9月××日

特別会は総選挙後30日以内に招集される。
麻生が安倍、福田の在職日数を超すためには、招集日を9月25日以降に定めればよい。
これで麻生はめでたく安倍・福田を追い抜くことになる。

今日から70日前後、何も出来ない内閣が続く。
目も当てられない国政の停滞が続く。
景気の回復に黄信号がつき始めたこの時期、こんな政治空白は許されまい。

解散を表明しないでは党内の騒ぎは収まりそうにないとは言え……。
解散の表明は7月13日。
解散は7月21日?
(解散日から40以内に投票ということで)
投票日は8月30日。
目一杯引き延ばした。
ここまで引き延ばすと安倍・福田の在職記録を追い抜く可能性がでてきた。
もしかしてもう特別会の招集日も決まっているのか?

実際、麻生がここまで考えているかどうかは分からない。
いずれにしろ麻生と自民党の馬鹿な駆け引きがこんな間延びした政治日程を組ませたのだろう。
それにしても麻生そして自民党は政権を何と心得ているのか!
内閣総理大臣そして政権与党がここまで国民の生活を無視するのか!
ここまで国民を踏みつけにする政府がこれまでにあったか!

おいおい解散表明にいたる経緯などもわかってくるだろう。
しかし、こんな国民無視の政党は存続させてはいけない。

衆議院解散の前にまず自民党が解散しろ!

総選挙の日程が伝わると、株式市場は下げ足を速めた。
政治の空白の長さを嫌気したもの。
終値 9050円 前日比 -236円





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無意味な麻生のサミット参加

2009-07-10 16:27:32 | 麻生太郎
NHKが不思議なニュースを流していた。
自民党内で、「麻生首相の自発的辞任が望ましい」、という声が高まっているというものである。
不思議な、というのは「自発的辞任が望ましい」という表現が自己矛盾をを含んでいるのではないかという意味である。
”望ましい”という言葉は、その声が大きくなれば”圧力”であろう。
”圧力”をかけて辞めさせたのでは、「自発的辞任」とは言えないだろう。
普通は「辞任に追い込んだ」という言い方になる。
理由は「麻生では選挙に勝てない」ということであろう。
しかし、考えても見て欲しい。
自民党はこれまで麻生の政策執行について反対も非難もしたことはない。
自民党から見て、麻生は何ら大失策を犯したわけではない。
スキャンダルが新たに出たわけでもない。
麻生にしても、自民党の方針に反した行動を取ったこともない。

一つには、総裁選前倒しの動きが現実的になってきたということもあるのだろう。
しかし、ちょっと考えれば誰でも分かるように、総裁選前倒しには、大義名分がない。
麻生が急病にでもならなければ、総裁選前倒しを国民に納得させることは到底できない。
”党利党略”更に言えば自分の当選のための”私利私欲”の悪あがきであることは、簡単に見透かされる。
そこででてきたのが「自発的辞任」であろうが、そんな声を挙げる者も、”党利党略”、”私利私欲”に走っただけであることは、これまた明らかである。

結局、少しでも常識・プライドを持つ議員であれば、ここは潔く麻生で解散、自分は自分の選挙をがんばろう、ということになるのだが、そんな連中は必ずしも多数でもなければ、声も大きいというわけではなさそうだ。
中には麻生を支え過ぎて、今更手のひらを返したように麻生降ろしに走れない、というだけの連中も多いが。

当の麻生太郎はイタリアで愛想笑いを浮かべてうろうろしているようだ。
(ふと思ったのだが、麻生はもしかすると自分の笑顔に自信を持っているのではないか?
あの手放しの笑顔は、いかにも”知性の欠如”という印象を与えるのだが、麻生は何かとんでもなく”魅力的な笑顔”とでも誤解しているのではないか?)
”外交の麻生”を印象づけて支持率上昇のきっかけにしたい、というのは麻生一人の思い込みで、自民党内にもそんなことをまじめに期待しているものなどはいないと思うのだが。

【サミット】麻生首相、外交舞台でも悪戦苦闘 各国首脳見限る? (msn産経ニュース 7/9)
【ローマ=今堀守通】主要国首脳会議(ラクイラ・サミット)に出席した麻生太郎首相が、外交舞台でこれまでにない劣勢に立たされている。主な首脳との個別会談が想定していたほど設定できず、ヤマ場であった9日の日露首脳会談は領土問題でロシア側の前向きな回答は先送りされた。8日の主要8カ国(G8)会合では北朝鮮問題で積極的な発言をしたが、かえって他国の首脳との関心の違いが浮き彫りになった。国内政局に振り回されている首相を各国首脳が見限っているとの指摘もあり、首相は悪戦苦闘している。


今度の総選挙後、麻生が総理大臣であり続ける可能性は限りなく0%に近い。
たとえ、総選挙で自民党がそこそこの結果をあげたとしても、9月末の総裁任期切れを迎えての新総裁選びで、麻生が引き続き総裁に選ばれることはないだろう。

麻生は自分の言葉に責任が持てないのである。
どんな約束をしても、麻生はそれを実行できないと思われている。
各国首脳が麻生を相手にしないのは当然であり、事前に予想できたことである。

オバマにも相手にしてもらえない。

しかし、8日夜(日本時間9日未明)の主要8カ国(G8)によるワーキング・ディナー開始前に、オバマ大統領が日本語の通訳を従え、おもむろに資料を取り出して「ここでやりましょう」と持ちかけて始まったという。

 結局、会議の前後を使った計25分間、通訳を除いた同席者はいないという「立ち話」的な会談にとどまった。しかも、米側は「(正式な)会談はなかった」と説明している。


日本側は”会談”と言っているが、アメリカ側は”ディスカッション”と言っているようだ。
”ミーティング”と言わずに”ディスカッション”と表現したのは、ただ話をしたと言うだけで何の結論にも合意にも至らなかったということであろう。

ロシア相手ではさらに悲惨である。
しかし、これは一人麻生の悲惨で済ますわけにはいかない。
領土問題にからむこの国の利害に関することである。
麻生の”外交音痴”が重大な結果に繋がろうとしている。

日本出発前から固まっていた日露首脳会談でも、ロシアのメドべージェフ大統領は北方領土問題で先の会談の約束をものの見事に反故(ほご)にし、日本側に「ゼロ回答」を突きつけた。

 麻生首相は、これまで電話会談や立ち話も含めて7度にわたりメドべージェフ大統領と会い、「ウマが合う関係」(政府筋)とまでいわれていた。

 だが、5月の麻生首相とプーチン首相との会談で日本側の経済協力を取り付けることに成功したロシアとしては、もともと「返す考えなんかない」(外務省幹部)だけに、領土問題の解決を先送りできる環境ができていた。メドべージェフ大統領は、ロシア側の不法占拠を指摘した麻生首相の発言などを取り上げて「対話を進めていく上で環境が大事だ」とくぎを刺すほどだった。


2月にはメドベージェフに電話で呼び出されてサハリンまで出向いた。
5月にはプーチンが日本に来た。表面的にはロシアとの関係は前進しているように見えていた。
それが一変したのは麻生の「ロシアによる不法占拠が続いている」という国会発言からだった。
発言内容の是非はともかく、この時期わざわざ言う必要もなかったことである。
このあとロシア議会では日本非難が決議されたりして、今回のロシアの冷淡な態度に繋がっている。
麻生がロシア側に口実を与えたようなものだ。

ただ、会議で北朝鮮問題を真剣に話したのは麻生首相だけ。政治問題での首脳宣言で冒頭に取り上げられたのは、他の首脳にとって最大の関心事であるイラン問題で、北朝鮮問題は地域情勢の中の最初に扱われ、麻生首相と他の首脳とのズレを感じさせた。

麻生の頭でなんとか理解できるのは、領土問題と北朝鮮問題である。
領土問題でロシアに無視されれば残るは北朝鮮問題だけである。
しかし、どうやら他の首脳には関心外のテーマであったようだ。

サミット出席は麻生の個人的な願望でもあったのだろう。
だがサミットは1年に一度の大きな舞台である。
その舞台に、自分の言葉に責任を持つことのできない男を派遣したのでは、結果は知れている。
誰にも相手にされない総理大臣を出席させることによって、日本はサミットを一回無駄にしたのである。

麻生はサミットに行くべきではなかった。どうしても行きたかったら総選挙を実施し、国民の支持を受けてからいくべきであった。
総選挙の結果麻生以外の者が総理大臣になったとしても、国民の支持という裏付けがあれば、ここまで無様な結果にはならなかったろう。
そして今後に続くなにがしかの成果も期待できたろう。

国の利益よりも麻生は、個人の欲望を優先させたのである。





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麻生新体制…巧言令色鮮(すくな)し仁

2009-06-28 06:06:09 | 麻生太郎
麻生がどうやら党役員人事と内閣の一部改造を考えているらしい。
取りざたされている名前をみて、即座に頭に浮かんだ言葉がある。

「巧言令色鮮し仁」

報道によると麻生は努めて「巧言令色の徒」、つまり「口だけは上手い奴」を選ぶ方針らしい。

自民党:役員人事で一部閣僚交代も 麻生首相方針 (毎日jp 6/26)
麻生太郎首相は26日、衆院選に向けた体制整備の一環として自民党役員人事の調整に着手した。党三役などの交代が焦点で、民主党との対決に向け、街頭遊説やテレビ討論などの能力を重視した「選挙の顔」を充てることを検討している。


連日都議選立候補予定者の事務所を回って演説をぶって、お義理の笑いを取っては一人自己満足の笑みを浮かべている。
民主党に向かって、しつこく党首討論を要求し、返り討ちにあっているのに気づかないで、さらに討論を挑もうとしている。
「街頭遊説やテレビ討論などの能力」を、自分では十分に備えていると思っている。
その麻生の目から見ると、今の党役員の連中の能力は物足りないらしい。

読売にも同様の記事がある。

首相、党役員人事を検討…衆院選態勢強化狙い (YOMIURI ONLINE 6/26)
麻生首相は26日、自民党役員人事の検討を始めた。
 衆院選に向けた態勢を強化するのが狙いで、早ければ7月初めにも実施する。細田幹事長、保利政調会長、笹川総務会長ら党3役の交代が焦点となる。党内には慎重論もあり、首相は党内の情勢も見極めて判断する方針だ。
 自民党内では、細田幹事長ら3役に対して「党の政策を効果的に発信できていない」などの批判が出ている。このため、新しい3役候補として、国民的な人気の高い舛添厚生労働相や石原伸晃幹事長代理のほか、発信力に定評がある石破農相らの名前が挙がっている。


分からないのはこの部分。

国民的な人気の高い舛添厚生労働相や石原伸晃幹事長代理のほか、発信力に定評がある石破農相

毎度不思議に思っている。
舛添要一と石原伸晃といったら、国民に嫌われている国会議員の双璧であろう。
嫌いな政治家のアンケートでもやってみれば間違いなくトップを争う二人である。
もっとも、こういう誤解はそのままにしておいた方がいいのかもしれない。

舛添要一……スタンドプレーと権力者への擦り寄りが特に上手い男。
口は達者だが、本性はごますり茶坊主のネズミ男。次期総理の声があがってすっかりその気になっている。水を向けられると、必死になって笑いをこらえている。

石原伸晃……口の達者なことでは桝添に負けない。
最初は勇ましいことを言うがすぐに腰砕けになる。
  
石破茂………人がバカに見えて仕方がない。馬鹿な子供に噛んで含めるようにものを教えてやるというあの口調には我慢がならない。
一度自民党を飛び出して苦しい経験をしてからは、絶対に権力には逆らわなくなっている。

マスコミや自民党とちがって、ここら辺が国民の受け止め方である。

こいつらが発信力があるとか、討論に強いとか思われている。
こいつらがテレビの討論番組に出てくると、途端に面白くなくなる。
相手の話を聞かない。
相手に話をさせない。
絶対に参ったと言わない。
視聴者を納得させるのではなく、視聴者に”勝った”という印象を与えればいい。

これがこいつらのディベート術である。

もともと麻生は総理就任後すぐにも解散・総選挙を行うつもりであった。
選挙は自分の人気だけで勝てると思っていた。
だから閣僚の選考には意を払わなかった。
能力不問で自分の仲良し連中を大臣の席に据えた。
内閣発足後この姿勢は現在まで一貫している。
中山国交相の後釜こそ決めたが、中川財務大臣のときは与謝野に兼務させた。
どうせすぐ選挙だから、というのが本心であったろう。
また、新しい大臣を任命してもそいつにスキャンダルでも出てきたらまずい。
鳩山総務相の後任も佐藤国家公安委員長に兼務させた。
大臣の職務というものに対する麻生の無関心さにはまったく驚かされる。

今回の党役員・閣僚の入れ替えの基準は「口達者」、「テレビ受け」である。
政治的な能力などは関係なし。
確かに現在の党三役+古賀選対委員長は、いずれもテレビに出してもまったく国民ウケはしそうにない。
ついでに河村官房長官も入れ替えの対象になっているらしい。
「首が曲がって売り物にならないこけし人形」ではしかたがない。

麻生とその取り巻きたちの思いつきなんだろうが、選挙対策としても余りにも程度の低い発想である。
いくら口の達者な奴らを集めても、伝えるべきことがなければどうにもなるまい。
訴えるべき政策もなければ、理念もない。
ただ野党の攻撃にそつなくかつ派手に言い返すことだけが期待されている。

そしてこれを報じている記事も、麻生のこのような姿勢を批判するでもなく、
「国民的な人気が高い」
「発信力に定評がある」
などと、いい加減なことを書いて恥じる気配もない。

麻生内閣発足から、あるいは発足以前からこの内閣に対する最大の関心事は解散・総選挙であった。
この内閣はそれだけが課題だった。
「いつ解散するのか?」
そう問われ続けた9ヶ月だった。
その解散の決断が出来なかったばかりに、内閣改造やら党役員入れ替えやら総裁選前倒しやら、果ては早くも場外から次期総裁選に手を挙げる奴やらと、空前のシッチャカメッチャカ状態。

これまでも自民党は何度も党を二分するような権力闘争を経験している。
しかし、現在の混乱はまったく性質が異なる。
一人一人が勝手に騒いでいる。
いわばクラスター爆弾状態と言ったらいいか。
しかも場外にいる奴を除いてだれも総理・総裁に手を挙げているわけでもない。

「権力闘争の匂いのしない麻生おろし」
どいつもこいつも自分の選挙の心配ばかりで騒いでいる。


ここまで書いてきたらテレビのニュースで、前総務大臣鳩山邦夫が離党か?などと言っていた。
次には解散が都議選前後になりそうだというニュースが流れた。

状況が急速に煮詰まってきた感がある。
こんな中で、麻生は自分の意思を何一つ示すことが出来ないでいる。

コップの中の嵐と言えなくもないが、その嵐の中に、手足をバタバタ動かしている溺死寸前の口の曲がったハエがいる。





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第二回党首討論・細田幹事長の無礼

2009-06-19 17:57:44 | 麻生太郎
党首討論の勝敗を取り上げていたテレビ番組もずいぶんと目についた。
政治家たちは個人的な受け止め方は別として、それぞれ自軍の大将に軍配を上げていたが、彼等はそれでいい。
どの番組にもコメンテーターと称するジャーナリストらしき連中が巣くっていて、井戸端談義に毛の生えた程度のおしゃべりをしている。
彼等が付けた点数に首をひねった方も多かったろう。
麻生に与えた点数は、実は彼等の権力による汚染度を示している。

”勝敗”を言えば、麻生の上げた得点は、最後まで立っていられたということぐらいだろう。
鳩山の追求にも何カ所か歯がゆい場面もあったが、以前と比べると大分喧嘩上手になった。
それが如実に表れたくだりがあった。
討論の途中の部分であるが、まずそこから触れたい。

鳩山 「それからですね、前回の党首討論の時に、確かに私が申し上げました。トータルで12兆1000億円。
4500の天下り団体に2万5000人が天下っている。
そのことを指摘を申し上げたら、こともあろうに、細田博之幹事長から、質問、公開質問状なんてものが来ました。
ちょっとこれはいくらなんでも失礼な話でねぇ、今、まさに麻生総理と私との間のこういった議論を通じて解明すればいいのに、
何ですか、この、顔もみないでペーパーだけ出して、これはいつまでに答えてくれなければいけませんと。
これは大変、失礼な話だなと。ご無礼なことだなと思っておりますので、2度とこういうことはなさらないでいただきたい。私の方からきちんとお答えしますから」


前回討論の後で、細田幹事長が鳩山に公開質問状を送っていた。
細田の行為は二つの点で責められなければならない。
一つは、討論の当事者でもないものが、事後に討論の一方の当事者に質問状(本当はナンクセをつけているだけなのだが)を送ったと言うこと。
しかも公開質問状という形をとっている。
麻生の舌足らずを補ったつもりであろうが、それは麻生の討論の能力が足りなかっただけである。鳩山の主張がおかしければ、その場で麻生が反論するのが討論であろう。細田が場外から口出しすることではない。

もう一つの点。
英語にカウンターパート(counterpart)という単語がある。
対の片方、相対物というような意味だが、地位・階級等が対等な相手という意味でも使われるようだ。
かつて田中真紀子が小泉内閣の外務大臣をしていたとき、アーミテージという米国防次官補が日本に来たことがあった。
そのとき外務大臣田中真紀子はアーミテージとの会見を拒否した。
「彼はわたしのカウンターパートではない」というのが田中真紀子があげた理由であった。
大臣のカウンターパートは長官である。
相手がこちらに出向いてきたという点を考慮に入れれば、次官までなら許せる。
しかしその下となると、おいそれと会談に応じるわけにはいかない、というのだろう。
そのときの田中真紀子の対応を全面的に肯定するものではないが、一つの見識と言うこともできよう。
麻生と鳩山はまさに政党党首としてカウンターパートにあたる。
しかし細田は違う。
与党幹事長に過ぎない。
この討論に関して、鳩山に公開質問状を出すなどということは、”僭上の沙汰”と言うべきである。

「これは大変、失礼な話だなと。ご無礼なことだなと思っておりますので、2度とこういうことはなさらないでいただきたい」

実は、この部分こそこの討論の白眉、というのは大げさだが、わたしは鳩山の一番の見せ場だったと思っているのだが。
ただし”ご無礼”の”ご”は余計。
まあ言葉の勢いというものだろう。
何はさておき、細田と麻生を一緒に叱った鳩山の態度は大いに評価されていい。

その細田の公開質問状である。
都合3回出されている。
最初は第一回討論の当日朝。
しかし今あらためて読み返してみるとその無礼さには、鳩山ならずとも抑えきれないほどの怒りを覚える。
すでに鳩山は民主党代表である。
その肩書きに「新」は不要であろう。

◆公開質問状 

拝啓 鳩山民主党新代表殿

 鳩山さん、新代表ご就任まことにご苦労様です。新しい執行部が決定したようですが、メンバーを拝見しますと、代表を退いたはずの小沢さんが代表代行、代表選で惜敗された岡田さんが幹事長、さらには、菅さんも代表代行、前原さんが副代表と、新鮮味のないかつての代表がズラリ勢ぞろいしています。

 とはいえ、民主党の代表は鳩山さん、あなたです。前任者の小沢さんは、「国民の生活が第一」と言いながら、「政局が第一」の国会運営に始終し、「政権交代」を繰り返すだけでした。鳩山さん、政権交代はゴールではなく、スタートでしかありません。政権交代が実現するだけで、すべてが解決するわけではありません。そのあと、「何をどうするか」が問題であろうと思います。そこで、鳩山さんに確認したいことが3点あります。

第1点は財源の問題です。民主党は「高速道路の無料化」など様々な甘い政策を掲げていますが、恒久的な政策の実行には恒久的な財源を示さなければ責任ある政党とはいえません。財源をどのようにお考えですか。小沢前代表は、「野党だから金のことは考えなくていい」とおっしゃったそうですが、それは論外として、本当に「無駄の排除」と「予算の組み替え」だけで膨大な財源が捻出されるとお考えなのでしょうか。

第2点は、公務員制度の改革です。労働組合は、民主党の強力な支持母体です。このため民主党には組合出身の国会議員が多数いらっしゃいます。自治労や日教組など公務員の労働組合である「官公労」出身の議員も少なくありません。このような労働組合に支えられている民主党が、本当に公務員の二割削減など思い切った公務員制度改革が実現できるのでしょうか。

第3点は、政党の基本政策についてです。再三小沢さんを引き合いに出して恐縮ですが、小沢さんは、代表のとき「在日米軍は第七艦隊で十分だ」とか、「国連の平和活動(自衛隊の海外派遣)は、たとえそれが武力行使を含むものであったとしても、日本国憲法に抵触しない」との発言がありました。これは民主党の総意だったのでしょうか。いまはどうなのでしょうか。政権をめざす政党ならば、国のあり方を示す憲法や安全保障に関する考え方を、ぜひ明確に示していただきたいものです。


 鳩山さん、本日は久しぶりに「党首討論」が行われます。国民の皆さんも注目していると思います。私たちも、鳩山さんにこれらの点について、明確にお答えいただくことを期待しています。

 平成21年5月27日
自由民主党
幹事長 細田 博之


党首討論がこれから行われようというその日に、討論の当事者でもない者が、討論のテーマを限定するような質問状を出すというのは僭越に過ぎよう。
何が話し合われるかは、討論に臨む二人の問題である。
細田にしてみれば、麻生の理解できるテーマに前もって限定しておきたい、という意図があったのかもしれないが。
幸い麻生は細田の質問状の通りに討論を進めたが、いったい鳩山の相手は麻生だったのか細田だったのか!

二回目は一回目の討論の後の六月二日である。
相変わらず鳩山を新代表と呼んでいる。
無礼さは増幅し、まるでやくざの喧嘩状とも言うべきものである。
「六日の菖蒲(あやめ)、十日の菊」
麻生が討論の場で言えなかったからと、後から持ち出すな。
反論できなかったのは麻生がバカだったからに過ぎない。

公開質問状 鳩山民主党新代表殿

 5月27日の国家基本政策委員会合同審査会において、貴殿は、平成19年度予算の支出先と、いわゆる〝天下り〟に言及し、「民主党の調査によれば、4500の天下り団体に2万5000人の天下った方々がいて、そこに国の予算が12兆1000億円流されている。そこのうちの半分が随意契約だ」との発言をされ、また貴党は、かねてより12兆1000億円が、無駄に使われているかのような発言を繰り返されています。
 わが党は、貴殿の発言があまりにも常軌を逸しているため、さっそく貴党が衆議院の調査局に作成を依頼した資料を取り寄せ、検証しましたが、その結果、貴殿の発言は、一面の事実のみを持ってそもそもの政策目的や必要性など、すべてを切り捨て、葬り去る暴言であり、国民を誤解させ、欺き、プロパガンダで民主主義を破壊する暴挙であって、看過すべきではないとの結論に至りました。
 貴党は、来るべき総選挙で政権交代を主張しておられます。当然、その代表の発言は重く、国民に大きな責任を伴わなければなりません。わが党は、貴殿の発言は、もし民主党が政権を獲得した後には、この12兆1000億円の国家予算は廃止し、関係団体への天下りはすべて廃止することを国民に公約したものであると受け止めます。
 12兆1000億円の国家予算を廃止することは、国民生活やわが国経済に大きな混乱と壊滅的な打撃を与えることになります。当然、次の総選挙における貴党とわが党との立場の違いであり、大きな争点となりうるものです。この観点から、貴党に対し、以下の諸点について公開質問をいたします。明確な主張の根拠とあわせ、6月4日(木)17時までにご回答いただきますようお願い申し上げます。
貴殿は、「4500の天下り団体に2万5000人が天下っていて、そこに国の予算が12兆1000億円流されている」と発言されましたが、貴党作成依頼の資料を精査すると、実際に国の支出があるのは4504法人のうち、1606法人であり、そこにいる天下りOBの数は1万4665人となっています。貴殿の発言は、国民を欺くため、意図的に数字を大きく膨らませたものなのでしょうか。見解を明らかに願います。
貴殿の発言は、事情を知らない国民が聞けば、天下り団体に天下っている官庁OBの人件費として国から12兆1000億円が流れているかとの誤解を与えかねません。しかし、現実的に試算すれば、平均給与を年収700万円とした場合、1万4665人の給与総額は1026億円、12兆1000億円の0.8%にすぎません。しかも、これは人件費がすべて国費で賄われていると仮定した場合の数字です。つまり、残る12兆円は政策目的をもった支出であるという事実が、今回、貴党作成依頼の資料によって明らかになったわけですが、この事実について、見解をお示しください。
12兆1000億円の内訳(わが党が支出の性格や支出先等に応じて分類したもの)は、 財政融資資金貸付 4.2兆円
国公・私立大学等 1.2兆円
防衛関係 1.5兆円
独立行政法人 3.7兆円
その他 1.5兆円
となります。以下、この内容について伺います。
「財政融資資金貸付」とは、国民生活金融公庫(零細企業・自営業等の資金繰り1.8兆円)、中小企業金融公庫(小規模企業の資金繰り0.6兆円)、国際協力銀行(途上国支援0.4兆円)、日本政策投資銀行(企業の資金繰り0.4兆円)、日本学生支援機構(奨学金など0.4兆円)、農林漁業金融公庫(農林漁業者の経営支援0.2兆円)などへの貸付です。これらの政策目的に対する必要性の有無を含めた貴党の見解、また天下り批判との関係について明らかに願います。
「国公・私立大学等」とは、私学助成(0.4兆円)、国公立大学の運営費(0.7兆円)などです。これらの政策目的に対する必要性の有無を含めた貴党の見解、また天下り批判との関係について明らかに願います。
「防衛関係」とは、防衛関係装備等の調達金(1.5兆円)ですが、貴党はこれを「随意契約」として批判していますが、現実問題として、事柄の性質上随意契約とならざるを得ない(防衛機密、ライセンス生産等)支出であるとわが党は考えます。したがって、いたずらに大きい数字をあげつらうのではなく、これは「随意契約で仕方のないもの」と注釈をつけるのが、政党・政治家としての矜持であると考えますが、この点についての貴党の見解を明らかに願います。
「独立行政法人」とは、住宅金融支援機構(住宅取得者の資金支援0.3兆円)、宇宙航空研究開発機構(0.2兆円)、新エネルギー・産業技術総合開発機構(0.2兆円)、JICA(国際協力機構0.2兆円)日本原子力研究開発機構(0.2兆円)など、そもそも国の政策を実施する機関であった旧公社・公団、事業団等に対する支出である。これらの政策目的に対する必要性の有無を含めた貴党の見解、また天下り批判との関係について明らかに願います。
国家基本政策委員会合同審査会において、貴殿は「半分が随意契約」と指摘されましたが、その内訳(費目等)および金額を明らかに願います。例えば、貴党は財政融資資金貸付も随意契約として集計していますが、日本学生支援機構等への貸付が「随意契約」とは、首をかしげざるを得ません。前回の平成18年度予算の調査も、今回の調査も貴党の集計は、随意契約の金額を大きく見せ、あたかも官僚が勝手放題にふるまっている、との印象を国民に与えるための詐術ではないのでしょうか。見解を明らかに願います。
 以上、貴殿の発言について質問させていただきましたが、12兆1000億円は、いずれも重要な政策のための支出であることは明らかです。

 一体、貴殿はそもそも、貴党の調査の中身をよく御存じなのでしょうか。中身の数字を知らずに暴言を吐かれているとしたら財政に対する無知をさらけ出すものであり、政権担当能力なし、と言わざるを得ません。また、中身を知った上で紛らわしい数字で国民を欺こうというのなら、政治家の資格はないというしかありません。
 貴党の明快な回答を重ねてお願い申し上げます。

 平成21年6月2日
自由民主党
幹事長 細田 博之


狂態と言うべきか。
鳩山に無視されたので、三たび公開質問状。


◆公開質問状 鳩山 民主党新代表 殿

 前回、提示しました質問項目に関して、毎週、党首討論の場で討論することを当方も歓迎いたします。是非、鳩山代表も逃げずに党首討論の場に出てきて欲しいと切に願っております。
 さて、今回の公開質問状は、貴党が誤ったメッセージを国民に与えていることを払しょくすべきであること、また、貴党が主張している数字や見解を事前に把握し、より明確な党首討論が行われることを目指したものです。貴党が、前回の質問に正面から答えることなく、不誠実な対応をとられたことは極めて遺憾であります。
 改めて、別紙の通り、同じ質問をいたしますので、6月12日(金)正午までにご回答下さい。誠実なご回答を頂けない場合は、貴党が説明責任を放棄したと理解し、然るべき対応をさせていただくことを申し添えます。

以上
質問事項(前回とほぼ同内容なので省略する)


 平成21年6月9日
自由民主党
幹事長 細田 博之
担当 筆頭副幹事長 原田 義昭


細田という男には良識のカケラもない。
自党の党首をないがしろにして自分が前にでて、鳩山と対峙している無礼さに気づいていない。
鳩山に対する無礼と麻生に対する無礼。
そして麻生はバカだから、細田にないがしろにされていることに気がついていない。

討論の中で麻生は細田の振り付け通りに、天下り法人に流れている12兆1000億円を持ち出したが、流れを考えずにしゃべるだけだから簡単に反論される。

麻生首相 「鳩山代表は前回の党首討論の中においても、4500の団体に、2万5000人の天下りOBがいて、そこに12・1兆円のいわゆる国の予算が流れていると主張をされておられました。12兆1000億円のほとんどというものは、これ、よーく調べていただかないといかんところだと思いますが、国立大学、私立大学などなど、教育に1兆2000億円出しております。また、独立行政法人に3兆7000億円入れておりますが、この中には、住宅金融支援機構に3000億円など、いろいろ例を挙げて出てまいりますが、われわれは、この間の話を聞いておりますと、これ全部足して申し上げてもいいですよ、これ。時間がもったいないんだと思って申し上げないだけなんですが、民主党は12兆1000億円が全部、天下りOBの人件費かのごとく話をされておられますが、これは12兆1000億円のうち、人件費は0・8%です。0・8%しか使われていない」

(赤字はわたしの強調箇所です。ほとんど赤字にしたいところですが、読みにくくなりそうなのでこれだけにとどめました)

12兆1000億円を全額人件費であるかのように鳩山が言っていたというすり替えも、0.8%という数字もそのまんま。
まるで腹話術師のお人形さながらである。

鳩山氏 「だから、最初から私の話を聞いてくださいと申し上げているんでありますけれども、これは210兆円を官僚のやり方の仕分けをするのではなくて、私どもがきちんと別の費目で検討し直したんですよ。それで、さっき言ったじゃないですか。
(中略)
人件費なんて言葉も、一言も使った覚えはありません。人件費がごく、ごくごくわずかであることは十分に理解をしています。だからこそ、随契とかそういう話を申し上げているわけじゃありませんか」


スピーチライターがスピーチを練るのは当然だが、そのスピーチライターが本番の前にスピーチ内容を自分でさらけ出していては様になるまい。
相手に十分な準備の時間を与えることになる。

これ以上何回党首討論をやっても、小沢問題が下火になってしまった今、麻生のネタは安全保障と財源問題しかない。
そのネタの披露が済んでいないことを思いだしたのか、終了間際に突如といおうか唐突にと言おうかあるいはあわててと言おうか”第七艦隊”を持ち出したのにも唖然とさせられた。
余りにも情けない日本国内閣総理大臣の姿に暗澹たる思いを抱いたのはわたしだけではないことと思う。




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大新聞朝日の矜恃と品格……政権交代阻止統一戦線

2009-06-18 07:54:08 | 麻生太郎
西松建設献金事件のような超弩級爆弾はなかなか見つからないようだ。
厚生労働省現役女性局長逮捕で、郵便不正事件もずいぶんと騒ぎは大きくなってきた。
ところでここで小さな疑問。
「証明書偽造」とか「偽証明書」という言葉が飛び交っているが、出された証明書は本物ではないのか?
証明書を発行する権限のある者が、正式なハンコを押した証明書である。
それなら対外的には本物であろう。
単なる手続き違反ではないのか。
「偽証明書」とか「証明書偽造」という言葉は正確ではないのではないか?
この辺は素人のわたしには断定的なことは言えないが……。

それはさておき、大阪地検特捜部の狙いは、民主党副代表石井一だろうが、たとえ石井一に行き着いたとしても前回ほどの効果は上げられまい。
民主党副代表とは言え、国民の目にはご隠居さん同然の存在である。

すでに大阪地検特捜部の下心が見透かされている以上、ご隠居さんを捕まえても効果は極めて小さい。
裁判所にたしなめられた大阪地検特捜部・郵便不正事件・第二の西松事件狙いか?

他に何かないか、と必死に探し出してきたのがこれ↓

鳩山代表に「故人」献金? 少なくとも5人、120万円 (asahi.com 2009年6月16日3時3分)
民主党の鳩山由紀夫代表の政治資金管理団体「友愛政経懇話会」の政治資金収支報告書に、すでに亡くなった人が個人献金者として記載されていることが分かった。朝日新聞が03~07年分の報告書を調べたところ、少なくとも5人の故人が延べ10回、120万円分を献金したことになっていた。遺族のうち、1人は「よく分からない」と答えたが、4人は「死亡後に献金した事実はない」としている。


03~07年と言えばその間5年である。
5年間で120万円の誤記載を見つけて、鬼の首でも取ったような大はしゃぎ。
しかも見出しが「故人献金」
大新聞の政治関連の記事にしては余りにも程度の低い駄洒落ではないか。
まあ、程度が低いから駄洒落なんだが……。

この件に関しては朝日の記事が最初らしい。

鳩山代表:「故人」献金 5人から計120万円 (毎日jp  2009年6月16日 11時37分)

鳩山代表の「故人献金」、民主が次期衆院選への影響懸念 (YOMIURI ONLINE 6月16日20時11分)

三紙揃って「故人献金」という見出し!
もちろん産経も、
民主鳩山氏“故人献金”一部報道で釈明 「予期せぬこと」「早急に調査指示」 (msn産経ニュース 2009.6.16 12:02)

新聞記者というのはこの程度の駄洒落が好きなのか?
朝日と毎日は「故人」献金と故人に括弧をつけているが、
読売と産経はもろに”故人献金”
それにしてもいずれもスポーツ新聞並みの感覚である。
もしかして、ニュースソースが同一なのか?
中身はどこもほぼ同一である。
朝日がやや詳しい。

しかし、朝日が独自に発掘した記事とは思えない。
国会議員の政治資金をチェックしていて偶然見つけたものとは到底考えられないのだ。

平成20年度の鳩山由紀夫「友愛政経懇話会」の収支報告書によると、収入はほぼ2億870万円。
そのうち個人献金は5500万円。
(毎年の収入も多分似たようなものだろう)
60人ほどの献金明細が載っているが、記載項目は
氏名・金額・献金月日・住所・職業である。
記者はこの内訳をどういう意図のもとにチェックしていたのか分からないが、偶然知っている名前を見つけ、それが既に死亡している人だと気がついて5年分の収支報告書に当たって5人の死亡者を見つけたというわけか。

有り様は、朝日の記者がどこやらから情報を貰い、一応確認した上で記事にしたものであろう。
多分、他紙もその情報は手に入れていたのだろうが、5年間で120万円、しかも明らかに記載ミスと思われることをわざわざ記事にしないでいた。
しかし、朝日が記事にした以上無視することもできなくて、おざなりに記事にしたのではないか。
情報をくれたところに対する義理もあるか?

まあ、おおよその情報の出所は見当がつくというものだろう。

友愛政経懇話会の収入は五年間で恐らく10億円前後だろう。
そのうちの120万円!
これが大新聞が揃って取り上げるほどのニュースなのか!

政権交代阻止統一戦線の現在の最大の標的が民主党党首鳩山由紀夫であることは間違いないであろう。

わたしの”あらぬ妄想”なら結構なことである。





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鳩山辞任…日本郵政の社長は誰が決めるか・3

2009-06-13 07:02:17 | 麻生太郎
「民間会社の経営に政治は口出しすべきではない」というような理屈が罷り通っている。
石原伸晃・竹中平蔵はじめ多くの連中が言っていたが、麻生まで言いだしている。
言っている連中はその愚かしさに気がついていないか、あるいは知っていてそれを通そうとしているのだろう。
日本郵政は株式の100%を国が保有する国有会社である。
株主名義は財務大臣になっているが、実質的には政府が保有していることになる。
しかし、真の問題はその先にある。

民間会社である株式会社の最高意思決定機関は株主総会である。
しかし日本郵政の場合、政治が口出ししないということになれば、株主総会はまったく機能しないことになる。
株主総会は取締役会の追認機関にしか過ぎないということになる。
前2回の投稿でわたしは、日本郵政株式会社が委員会設置会社であることを指摘してきた。
現在日本郵政には九人の取締役がいる。
この取締役の内の五人が指名委員会を構成している。
指名委員会の権限は取締役の選任と解任を株主総会に提案することである。
しかし、株主総会が取締役会・指名委員会の追認機関に堕していれば、彼等の決定・提案は最終決定と同様の意味を持つ。
彼等は永遠に取締役であり続けることができる。
そして指名委員会によって選任・再任された取締役会が実際の業務にあたる執行役を指名し、その中から代表執行役(社長)を決める。
これは株主総会の承認さえ要らない。

日本郵政株式会社法
 
第二条  政府は、常時、会社の発行済株式(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式を除き、会社法(平成十七年法律第八十六号)第八百七十九条第三項の規定により議決権を有するものとみなされる株式を含む。以下この条において同じ。)の総数の三分の一を超える株式を保有していなければならない。

附則
第三条  政府は、その保有する会社の株式(第二条に規定する発行済株式をいい、同条の規定により保有していなければならない発行済株式を除く。)については、できる限り早期に処分するよう努めるものとする。


日本郵政の株式総数の三分の一以上は、政府が保有しつづけなければならないとした上で、残りの株式については「出来る限り早期に処分するよう務めるものとする」とだけ規定している。
去年前半までの数年続いた株の上昇局面においても、相場を冷やすという懸念から、NTT・JR・JT等の政府保有株の売り出しが出来ないでいた政府に、郵貯銀行・かんぽ生命に加えて日本郵政本体の株式売りだしなどいつになったらできるのかまるで見当もつかない。
つまりいつになったら株主総会が一般の民間企業並に機能するか、まったく予測できないのである。
政治が経営に口出ししないということであれば、株主総会不在のまま取締役会はまったく好き勝手な経営ができるということになる。
しかも最終的には政府保有が義務づけられた三分の一の株式が取締役会の決定を無条件で支持するということになれば、たとえ株式売り出しが終わった後でも、相変わらず株主総会が取締役会を抑制することはほとんど不可能なままである。

現在の取締役が指名委員会を構成し、自分たちの再任を永遠に決定し続ける。
彼等は自分たちで構成する”報酬委員会”で自分たちの報酬を決める。
同様に”監査委員会”も取締役で構成されている。
監査に当たる監査法人も自分たちで選び、まずいことが生じれば、責任は執行役に取らせる。
政府の口出しがなければ、日本郵政の現在の取締役たちにはこれだけのことができるのである。

鳩山を辞めさせたことで、麻生はとんでもない”悪しき前例”を作ってしまったのである。


ついでに鳩山辞任の茶番劇にも触れておきたい。

鳩山辞任は結局予想通りの結末である。
罷免と思っていたが辞任というところが、わたしの予想とちょっと違ったが……。
鳩山は最後まで突っ張ってこそ男になれたのに。
どうやら麻生と会う前に筋書きはできていたのだろう。
午前の麻生との会談ではまだ決着はついていなかったようだが……、

「罷免されても信念曲げない」 日本郵政社長人事で鳩山総務相 (NIKKEI NET 6/12)
鳩山邦夫総務相は12日午前の閣議後の記者会見で、麻生太郎首相が日本郵政の西川善文社長を再任させる方向で調整する意向を固めたとの報道に対して、「首相からは何もない」と述べた。そのうえで「(罷免されても)そんなことで信念曲げたら男ではない。首相は分かって下さると信じている」とした。さらに「私の主張が受け入れられず、もし内閣の方針が西川氏続投なら、タイミングによって罷免あるいは辞任は十二分にありうる」と語った。


すでにトーンダウンしていた。
それまでは”なぜ辞任しなくちゃいけないのか”
”落としどころなんてない”
と息巻いていたのが、”辞任”という言葉を自分から持ち出している。
どこやらから説得を受けていたのかもしれない。
二度目の会談で辞表提出。

鳩山総務相を更迭 (nikkansports.com 6/12)
鳩山邦夫総務相(60=衆院福岡6区)は12日午後、日本郵政の西川善文社長の進退問題をめぐり、麻生太郎首相と官邸で会談し辞表を提出、受理された。首相は、鳩山氏が西川氏続投方針を受け入れない考えを示していることを受け、事実上の更迭に踏み切った。


”更迭”にしろ”罷免”にしろ上からの命令でその職を辞めさせることである。
”辞任”は自分のほうから辞めることである。
”辞表”を書いた以上、”辞任”である。
鳩山としては、無理矢理書かされた辞表である、と言いたいだろうが、”腰砕け”と言われてもしょうがない。
”事実上の更迭”という表現は、麻生・鳩山双方にとって都合のいい表現である。
鳩山にすれば、抵抗した末での”疑似更迭”。
麻生にすれば”決断力を発揮した更迭”
しかし、決断したなら”罷免”しなければならない。
麻生にはその”罷免”ができなかった。
ずいぶんと裏から表から鳩山に辞表を書かせようと努めたものと思われる。

中山国土交通相のときもグズグズと処分出来ずにいて、辞任でけりをつけた。
中川財務大臣の時でさえ辞任である。
鴻池官房副長官の議員パスを使っての不倫旅行でさえも罷免できなかった。
そいつらと比べて、鳩山を罷免できるか。
鳩山は総務大臣としての職務に忠実なだけであった。
その鳩山を罷免するならば、その理由を説明しなければならなくなる。
麻生には鳩山罷免の理由を国民に向かって、国民が納得できるような説明はできない。

西川をとって鳩山を切った理由は明らかである。
西川続投を決めている日本郵政の指名委員会・取締役会と喧嘩する訳にはいかなかっただけである。
西川更迭も喧嘩両成敗も、はじめから麻生の選択肢には入っていなかったのである。
財界全部を敵に回すなんてことは、麻生には恐ろしすぎる想像である。



くどいようだが、日本郵政の取締役及び指名委員会の構成を記しておく。

取締役兼代表執行役社長(CEO)
西川 善文  三井住友フィナンシャルグループ元社長。元全国銀行協会会長、

取締役兼代表執行役副社長
高木 祥吉  金融庁長官・2004年4月 内閣官房郵政民営化準備室副室長

社外取締役

牛尾 治朗   ウシオ電機株式会社代表取締役会長
奥田 碩    トヨタ自動車株式会社取締役相談役
西岡 喬    三菱重工業株式会社相談役
丹羽 宇一郎  伊藤忠商事株式会社取締役会長
奥谷 禮子   株式会社ザ・アール代表取締役社長
高橋 瞳    青南監査法人代表社員
下河邉 和彦  弁護士

指名委員会

西川 善文  
高木 祥吉  
牛尾 治朗  
奥田 碩   
丹羽 宇一郎 

関連投稿……ついでに読んでみてください。
日本郵政の社長は誰が決めるか
日本郵政社長を決めるのはだれか・2──麻生絶体絶命




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日本郵政社長を決めるのはだれか・2──麻生絶体絶命

2009-06-10 17:33:08 | 麻生太郎
落とし穴は意外なところにあった。
麻生本人にも意外であったろう。
漢字が読めなくとも、
中川財務相が酔っぱらっても、
鴻池が女狂いしようとも、
そ知らぬ顔で政権の寿命を引き延ばしきたのに。
まさか、たかが日本郵政西川社長の続投問題でにっちもさっちもいかない袋小路に追い込まれるとは!

(全回投稿でも触れたが、問題をややこしくしているのは、日本郵政株式会社が委員会設置会社であるという点にもある。日本郵政の社長は誰が決めるかもついでにお読みください。
委員会設置会社は従来の株式会社とは異なり、取締役と業務執行役員とが分離されているのが特徴である)

今更、麻生のブレなど取り上げても仕方ないが、それでも一応取り上げておこう。
はじめは「総務大臣が適切に判断する」
つぎは「財務大臣、官房長官、総務大臣で話し合って判断して貰う」
そして今度は「自分が判断する」

「最終的に私が判断」郵政社長人事で麻生首相 (YOMIURI ONLINE 6/8)
麻生首相は8日夜、鳩山総務相が日本郵政の西川善文社長の更迭を主張していることについて、鳩山氏と与謝野財務相、河村官房長官の3閣僚による調整を引き続き見守る考えを示したうえで、「最終的に(自らが)判断しなければならない」と述べた。
 自らの判断の時期については、「今がいいのか、29日の株主総会の日がいいのか、色々意見の分かれるところだ」と語った。


麻生の気持ちでは西川続投なのだろう。
西川を首にする気であれば、鳩山と揉めることはあるまいから。
しかし、首にする気でいて、騒ぎを盛り上げ最後にスパッと格好良く麻生が決断する、なんてことを考えているかも知れないが……そんなこと出来るわけがない。

麻生にとって一番いいのは、西川続投、鳩山が渋々でも承認という形なんだろう。
実は、麻生には西川解任の決断をすることは不可能なのではないか。

西川の任期は、というと実は二つある。
取締役としての任期と執行役としての任期である。
どちらも株主総会の日に任期が切れる。
いわゆる”社長”というのは、代表執行役としての職務であって、取締役とは別なのである。
西川の肩書きを見てみよう。

取締役兼代表執行役社長

これは日本郵政株式会社が委員会設置会社であるところから、こんな肩書きになる。
取締役と執行役を兼任しているのである。
つまり西川を日本郵政から追い出すには、両方で首にしなければならないということになる。
しかし、それぞれの首の切り方には別々な手続きがいる。
どちらが先でもいいのだろうと思うが、まず執行役の首の切り方である。
”社長”という肩書きをはずさせるためには、これだけでもいい。
(ただしこれだけでは西川は取締役として日本郵政に残ることになる)
これは取締役会で決定しなければならない。
株主総会では決められない。



取締役会が西川の代表執行役続投を決めると、西川を解任するためには政府は取締役会の構成を変える必要が生じてくる。
取締役の選任・解任は指名委員会の決定がいる。
それとは別に、株主総会にも当然その権利があるものと思われる。
しかし、株主総会、この場合は政府ということになるが、政府が指名委員会と異なる決定ができるのか?

前回も書いたが、指名委員会の顔ぶれは次の通りである。
(委員会設置会社における各委員会は取締役で構成され、その委員は過半数が社外取締役でなければならない)

指名委員会
委員長  牛尾 治朗(ウシオ電機株式会社代表取締役会長)
委員   西川 善文(日本郵政社長)
委員   高木 祥吉(日本郵政副社長)
委員   奥田 碩(トヨタ自動車株式会社取締役相談)
委員   丹羽 宇一郎(伊藤忠商事株式会社取締役会長)


西川・高木の他の3人は、いずれも財界の重鎮といわれる連中である。
この連中の決定を麻生や自民党は蹴飛ばせるのか。
もし、この連中が西川続投の意思を固めているとすると、麻生には手に負えまい。
もしこの連中がヘソを曲げて、取締役を辞任するなどと言いだしたら、郵政民営化そのものが頓挫してしまう。

もし、指名委員会の決定(西川の取締役続投)を政府あるいは鳩山が拒否すれば、指名委員会は面子を潰されることになる。

そのときこの連中がすんなり政府に協力し続けるか?
そう簡単に、政府の言うことに従うとは思えない。

まして指名委員会には、西川・高木の郵政のコンビが入っている。
そこで西川の首を切るという話がすんなりまとまるのか?

麻生が指名委員会の判断に反して西川の取締役を解任しようとすれば、指名委員会と正面からぶつかり、場合によっては構成取締役を解任しなければならなくなるかもしれない。
そして執行役を解任しようとすれば、取締役会の構成そのものを変えざるを得なくなるかもしれない。

しかし、麻生に経団連前会長・大トヨタの奥田を辞めさせられるか?
内閣府経済財政諮問会議議員を務め、地方分権改革委員会の委員長丹羽を辞めさせられるか?
安倍晋三の縁戚で元経済同友会代表幹事・経済財政諮問会議議員の牛尾を辞めさせられるのか?

麻生は西川を切る決意を固めたとしても、次にはこの大物財界人を相手にしなくてはならないのだ。

結局鳩山を説得し、駄目なときは鳩山の首を切るというところに落ち着かざるを得ないだろう。

しかし、麻生には問題の所在がはっきり分かっていないのではないか?

「今がいいのか、29日の株主総会の日がいいのか、色々意見の分かれるところだ」

株主総会の日に取締役会の決断を受け入れるにしても、鳩山の承認は依然必要である。
受け入れないとなると、混乱は収拾がつかなくなる。
株主総会で西川取締役を解任するつもりなのか?
しかし、取締役解任はできても、株主総会では代表執行役つまり社長解任はできない。
取締役会で解任する必要がある。
結局、取締役会に言うことを聞かせなければならない。
取締役会が言うことを聞かなければ、取締役を入れ替えなければならない。
そんな決断を株主総会当日にできるのか?
出来るとすれば鳩山総務大臣罷免という決断しかない。

結局、この問題の鍵を握るのは、西川・高木以外の3人の指名委員会のメンバーであり、そのほかの取締役会のメンバーであるるということになる。取締役会が西川続投に強い意志を示せば、麻生にはなすすべがない。鳩山を罷免して西川続投を認めるしかない。
もっとも取締役会特に指名委員会の3人が西川罷免に同意し、自分たちが取締役に留任することを承諾すればそれはそれで鳩山を罷免しなくとも問題はなんとか解決するだろう。
しかし多分、それはあり得ない。

麻生が鳩山をとって、取締役会の意思に反して西川を切る決断をすれば、問題は複雑になるし、民営化そのものが大混乱になるだろうが、それはそれで立派な政治決断と言えなくはない。

しかし麻生には財界重鎮を敵に回すほどの度胸はない!



そもそも、取締役会の構成がおかしい。
まるで財界に郵政会社をプレゼントしたようなものだ。

日本郵政株式会社 取締役一覧

取締役兼代表執行役社長(CEO)
西川 善文  三井住友フィナンシャルグループ元社長。元全国銀行協会会長、

取締役兼代表執行役副社長
高木 祥吉  金融庁長官・2004年4月 内閣官房郵政民営化準備室副室長

社外取締役

牛尾 治朗  ウシオ電機株式会社代表取締役会長
奥田 碩   トヨタ自動車株式会社取締役相談役
西岡 喬   三菱重工業株式会社相談役
丹羽 宇一郎 伊藤忠商事株式会社取締役会長
奥谷 禮子  株式会社ザ・アール代表取締役社長
高橋 瞳   青南監査法人代表社員
下河邉 和彦 弁護士

9人中7人が社外取締役。
西川・高木たちの業務執行を監督できるほど、郵政の業務に精通しているとは思えないのだが……。
権限だけは意外に大きい。




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日本郵政・麻生と鳩山の確執・任命責任とは?

2009-06-05 15:58:16 | 麻生太郎
これまで次々と不祥事を起こした内閣のメンバーに辞表を出させ、自分の任命責任は一切取って来なかった麻生も、今度はちょっと様相が異なる。
麻生と鳩山の日本郵政をめぐる確執がもつれてきた。

今までの麻生のやり方を振り返ってみる。

中山斉彬国土交通大臣 2008年9月28日、国土交通大臣を辞任。在任期間は5日。
就任早々失言で辞任 中山成彬国交相 (毎日jp 2008年9月27日)
首相は28日夕、中山氏の発言について「甚だ不適切。国民かつ関係していた方々に心からおわびする。必然的に辞めてもらった」と述べ、陳謝した。そして「指名した段階では適任だった」としたうえで「任命責任はあったということだったと思う」と語り、自らの任命責任を認めた。


麻生は辞表を受け取り、任命責任を一応は認めたがそれでお終い。
「指名した段階では適任だった」
愚痴とも言い訳ともつかない一言を付け加えたのがせめてもの抵抗。
責任を認めたなら、その責任を取らせなければならないが、だれも追求しなかった。

次は中川昭一財務大臣。
例の泥酔会見で辞任表明会見。
しかも2回!

中川財務相が辞任表明 (msn産経ニュース 2009.2.17 )
責任をとって平成21年度予算案、予算関連法案の衆院通過後に辞任する意向を表明した。中川氏は首相に辞任の考えを伝えており、首相は後任人事に着手する。


1回目の辞任表明会見。
しかし、麻生・中川のお坊ちゃまコンビの甘い見通しとは違って、すぐ辞めろ、という声が強くて、

中川昭一財務・金融担当相辞任 (毎日jp 2/17)
17日午後7時、中川氏はこの日2回目の辞任会見に臨んだ。目は充血し、疲れ切った表情。

麻生首相、中川氏辞任で陳謝/任命責任認める (四国新聞社 2009/02/19)
首相は「閣僚に任命した責任は当然私にある」と表明。辞任までに判断が二転三転したとの指摘には「本人の意思を尊重した。健康、体調の話は政治生命にかかわる」と説明。一時続投を指示した理由を「名誉挽回の機会を与えた方が良いと思った」とも述べた。


任命責任を認めることなど痛くもかゆくもないと学習していた。
今回も辞表を受け取ってお終い。
しかし、不祥事はまだまだ続く。
財務大臣に続いて財務副大臣も。

平田財務副大臣が辞任、6億円の株売却で引責 (YOMIURI ONLINE 3/6)
自民党の平田耕一財務副大臣(60)(衆院比例東海ブロック)が今月、保有していたジャスダック上場の石こうボードメーカー「チヨダウーテ」(三重県四日市市)の株式を、自身のオーナー企業に約6億円で売却していたことが分かった。
 民主党は、閣僚や副大臣の在任中の株取引自粛などを求めた「大臣規範」に抵触するとして平田氏の辞任を要求。平田氏は26日夜、財務省で記者会見し、「国会の審議が滞れば国民に多大な迷惑をかける」と述べ、辞任する考えを表明した。
 これを受け、政府は26日夜に持ち回り閣議を開いて平田氏の辞任を認めた。


麻生はぶら下がり会見であっさり”任命責任といやぁわたしにあります”と言って、やはりそれで終わり。
任命責任慣れしている。

4人目は鴻池官房副長官。

鴻池官房副長官が辞任、女性問題報道で 後任は浅野氏  (msn産経ニュース 2009.5.13 )
鴻池祥肇官房副長官(68)=参院兵庫選挙区=は、「健康上の問題」を理由に麻生太郎首相に辞表を提出、首相は13日午前、受理した。鴻池氏は、12日夜に秘書官を通じて辞表を提出後、「間質性肺炎」のため都内の病院に入院したが、週刊誌に自身の女性問題が掲載されたことの責任を取ったとみられる。


今度もまた任命責任が持ち出される。
麻生はどういう訳か今度は抵抗する。

任命責任については、「健康上というのに関しましては、健康上というんであれば、その件に関しましては、うん、健康までちょっと任命責任になるかどうかよく分かりかねます」

もちろんそれで済むはずもない。

5月14日午後6時36分~

JRパス目的外使用「こういうことしちゃいかん」 (毎日JP)

Q:自らのご責任については。

A:任命責任ですか? その点については僕はあの、いろいろな方々の発言やら何やら、これまで辞めていかれた方々に対して任命者、任命者としてははなはだ残念、任命責任はすべてあるとずっとこれまで申し上げてきておりますんで、このことに関しても例外ではありません。


麻生はここまで任命責任は渋々認め続けてきたが、その責任は一度も取っていない。
責任を認めてもそれだけの話である。
麻生は、誰一人罷免したわけでもなく、国民に対して頭を下げてもいない。

5人目になるかも知れないのが鳩山邦夫総務大臣。
しかし、今度は、非行・不祥事ではなく、政策そのものが問題となっている。

日本郵政西川社長続投の是非が問題になると、麻生は例によって丸投げ、他人任せの無責任ぶりを見せていた。



麻生首相「総務相が適切に判断」 日本郵政社長進退で答弁 (msn産経ニュース 2009.5.21 )
6月に任期が切れる日本郵政の西川善文(よしふみ)社長の進退について、麻生太郎首相は21日の参院予算委員会で「まず鳩山邦夫総務相が適切に判断すると思う」と述べ、自らの考えについては明言を避けた。国民新党の自見庄三郎参院議員の質問に答えた。

 首相は、自見氏が「鳩山氏が西川社長の再任に反対すれば、総務相を罷免するか」と問いかけても、「鳩山氏が適切に判断する」と繰り返した。


ここまで言ったんだから、あとは鳩山の判断に任せるのが筋である。
国会の場で言ったことである。
たとえ鳩山の判断が自分の意にそまないものであるとしても、鳩山に従わなければなるまい。
しかし、そこは麻生のことである。
さっそくブレた。

日本郵政・西川社長進退問題 鳩山総務相、西川社長の続投は認可しないと明言 (6月4日6時32分配信 フジテレビ)
麻生首相は3日夜、この問題について「鳩山総務大臣の所管。株主は財務大臣。人事のあれをやるのは官房長官。その3者で話し合うということだと思いますが」と述べ、総務相と財務相、官房長官の3者が話し合う問題だとの認識を示した。


鳩山に任せたはずが、どうやら鳩山が西川拒否で突っ張りそうな気配を見せると、3人の話し合いに任せると、大幅に方向転換した。

鳩山はあくまで西川続投を拒否する姿勢を見せている。
ここまできたら自分からは辞表をだすことはあるまい。
ここで折れたら鳩山の男がすたる。

麻生は、どうしても西川を続投させたいと思えば、鳩山を罷免するほかはない。
しかし、「鳩山氏が適切に判断する」と繰り返してきた麻生には、鳩山を罷免する名分がない。

西川を続投させたければ、鳩山を罷免し、西川続投を宣言し、今度こそ任命責任をとって総辞職するほかない。
当然、自民党は政権を野党に渡して下野する。
どうせすぐ総選挙である。
野党の内閣も選挙管理内閣になる。

それが嫌なら、鳩山罷免、西山続投を宣言した上で解散・総選挙で国民の意思を問え。
一度ぐらいは任命責任というものを取ってみろ。

しかし麻生に、中川財務大臣も鴻池官房副長官も罷免しないでいて、失策を犯したわけでもない鳩山を罷免できるわけはない。





裁判員制度廃止!天下り禁止!議員世襲禁止!


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