政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

民主党への期待と要望

2009-08-31 18:06:38 | 民主党
総選挙は民主党の圧勝に終わった。
いよいよ民主党政権が発足する。

ここで一つ民主党に注文がある。
それは自民党にあって民主党にないものである。
「図々しさ」あるいは「ふてぶてしさ」と言ったらいいか。
あるいは「開き直り」と言ってもいいだろう。
今後、折に触れ官僚やマスコミ、自民党やら財界等から民主党に対する様々なスキャンダル攻撃がなされることと思われる。
そのとき一々馬鹿正直に反応してはいけない。
あれだけバカな麻生でも、民主党は解散に追い込めなかったのだ。
政権与党が、政権を手放すまいと決心したら、解散に追い込むことは不可能に近いのだ。
自民党は安倍が放り出し、福田が投げ出しても政権を握り続けることができたのだ。
自民党にできて民主党にできないことはあるまい。
何が何でも4年間は自民党を政権の座に戻してはならない。
国民世論を重視することは大切だが、しかしそれに振り回されすぎてもいけない。
内閣支持率10%代でも麻生は政権を維持できたのだ。
麻生にできて鳩山にできないことはあるまい。
無邪気な正義感などはしばらく封印しておくことだ。

第一次鳩山内閣の最優先課題は、自民党の復活を許さぬことである。
しばらく無視していれば自民党が勝手に動き出す。
森・安倍・麻生などの役にも立たない極右勢力と他の連中が分裂騒ぎを起こす可能性もある。
比例で辛うじて救われたような老害重鎮と若手議員達との世代間戦いもあり得る。
金と権力から離れた自民党がバラバラになっていくのをじっと見守っていればいいのだ。
鳩山は、当分の間党首討論には応じないこと。
多分次の自民党総裁は石破茂が最有力であろうとわたしは思っているが、他に石原・桝添・谷垣等の名前も挙がっている。
石原伸晃は都議選敗北の傷がある。
桝添は人徳がない上に参院であることも妨げになるだろう。
谷垣なら怖くも何ともない。
ただ谷垣を除くと、こいつらは揃いも揃って口だけは達者な奴らである。
どいつが出てきても鳩山では少々心許ない。
こいつらは自分の弁舌に自信を持っているだけに、しつこく党首討論を要求してくるだろう。
多忙を理由に、弱小野党(自民党のことである)の要求など、当分無視してもかまわない。
論争に乗らなければどうってことない連中である。
彼等はまだ自分たちが野党に転落したということを本当には実感していない。
そのうち彼等も野党の辛さを骨身にしみて分かるときが来る。
今味わっている衝撃などまだまだ序の口だということを徹底的に分からせてやってほしい。

多分民主党はこれからの四年間を何とかしのいでいけるのではないか、という信頼感をわたしは抱いている。
民主党も成長している。
民主党にも存亡の危機があった。
西松建設献金事件ではない。
一昨年の自民党との大連立騒動である。
当時、福田との会談後、大連立案を党に持ち帰った小沢は、幹部達全員の反対を受け辞任を表明した。
あの時大連立に踏み切っていたら、今日の大勝利はなかったであろう。
またあの時、小沢の辞意撤回に鳩山達が動かなかったら今日の勝利はなかったろう。
そして小沢が代表続行を承知しなかったなら今日の勝利はなかったろう。
この経験は意味があった。
西松建設献金事件では民主党内では小沢降ろしといえるような動きは、ごく一部にとどまり、小沢辞任後は、鳩山は小沢を敢然と代表代行に起用し、党内もそれですんなりまとまっていった。
最後の最後まで見苦しく続いていた自民党の麻生降ろしとは好対照である。

今回大量の小沢チルドレンの誕生で、再び”小沢の影響力”だの”権力の二重構造”だのと批判がましきことを言いだす奴らもいるだろう。
そんな批判は単なるナンクセ・嫌がらせに過ぎない。
無視するに限る。
まだまだ小沢の力は必要である。
小沢がいなくなって喜ぶのは、官僚・自民党・マスコミ等である。
わざわざそんな奴らの手に乗ることはあるまい。

それなりに危機を経験し克服してきた民主党である。
自民党相手に堂々と4年間を戦い抜くことも不可能ではなかろう。





祝!政権交代


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2009.8.30!+金まみれの世襲議員たち

2009-08-30 06:01:05 | 自民党
自民党の議員達は、大物・小物おしなべて大苦戦のようだ。
矜恃とか品格というものはかなぐり捨てて──もともと持っていたわけではないが──、必死の選挙戦を戦っているらしい。
もっとも戦いの中身はもっぱら民主党に柄の悪い悪口を投げつけるだけである。
しかし、よそのお店の商品をこき下ろしても、自分の店の商品が売れるようになるわけではない。
そんなことをしている暇があったら自分の店の商品の宣伝をすればいいのに。
もっとも並べてある商品が、日の丸の旗だの靖国神社の写真だとかミサイル迎撃のおもちゃなどではお客さんは寄りつかない。

さて、そのよその店の悪口の一つ。
店の悪口だけでは足りず、お客さんの悪口まで言っている!

【09衆院選】「目先のお金に釣られてる」 民主優勢に塩谷文科相 (msn産経ニュース 2009.8.25 )
 塩谷立文部科学相は25日の閣議後会見で、新聞などの世論調査で衆院選で民主圧勝が予測されている状況について「(子ども手当など)目先のお金に釣られて、みんなそういう雰囲気になったのかな、という気がする」と劣勢に懸念を示し、「民主党の政策には、国家として何を目指すかという明確なビジョンがない」と批判した。

 「目先のお金」の意味として塩谷文科相は、民主党がマニフェストで掲げる「子ども手当」「高速道路無料」「高校無償化」を挙げ、「ほかに(圧倒的優勢の)理由が分からない」と述べた。


目先のお金に釣られている?
国民に対するとんでもない侮辱であるが、こんな奴に言っても仕方がない。

文部科学大臣といえば、全国の生徒・学生のお手本となるべき役職である。
しかし、当の本人こそ金まみれのダーティ大臣。
もちろん世襲議員である。

以前にも取り上げたことがあるのだが、日本道路興運という会社がある。
所得隠し・脱税、天下り、談合、裏献金と悪の限りを尽くす国交省御用達(運転手派遣)の会社である。
ここから塩谷大臣に大金が渡っていた。
2000-03年、塩谷立衆院議員(自民)にも900万円の秘書給与の肩代わりをしている。
同社から年間40万円の株式配当を受けている。
(この株式は父親の塩谷一雄から受け継いだものである)
毎年、パーティ券を購入して貰っている。

塩谷大臣は金づるとしての日本道路興運との腐れ縁まで父親から受け継いでいたのである。
こんな男に「目先の金に釣られて」などと言われる筋合いはない!

この会社からは小淵優子少子化大臣にもお金が渡っている。

日本道路興運側が平成12年から18年にかけ、自民党の小渕優子衆院議員側に計304万円を献金していたことが分かった。小渕氏の事務所は「先代からのおつきあいで献金を受けた」としている。

地盤・看板・カバンを受け継いだが、しっかり裏ルートの金づるまで受け継いでいる。

次いで細田博之幹事長。
こいつは、官僚→オヤジの秘書→議員と世襲政治家の一典型を示している。

細田博之官房長官が、1996年1月から2003年12月にかけて、運転手給与の一部、約3100万円の肩代わりを、運転手派遣会社「日本道路興運」(東京)から受けながら、政治資金収支報告書に記載していなかったことが19日、分かった。

世襲議員は、親の姿を見て育ったが故に、金には汚くなるのである。

ついでに林幹男国家公安委員長。
こちらは、オヤジの秘書→県会議員→衆議院議員
間に県会議員が入っているのは、父親の林大幹が現役でいたため、引退待ちの腰掛けか。
父親の引退でようやく衆議院議員を受け継ぐ。
父親は環境庁長官を務めたが、交通安全対策特別委員会理事を務めていたりするから親子二代の運輸族か?
西松献金事件では100万円の違法献金を受けていたのがあきらかになっているが、時効で起訴は免れている。
しかしこんな事件の直後に国家公安委員長とは、任命する方も受ける方もいい神経をしている。

世襲議員たちの多くは、金づるもまた引き継いでいるのである。
オヤジの秘書を務めながら金集めのテクニックも身につけていく。

金で釣られて政治をねじ曲げてきたのはお前達自民党議員ではなかったか!

総理大臣には「さもしい」と蔑まれ、
文部科学大臣には「金で釣られている」とバカにされる。

明日は覚悟しておけよ!
(2009.8.29)


今日からは風景が変わる。
自公政権が消えて新しい政権ができる。
自民党惨敗を見て、これまでの鬱憤を晴らし、溜飲を下げているだけではならない。
油断すると自民党も官僚達もすぐ復活してしまうだろう。
彼等の復活を許さぬことがわたしたちの今後の目標になる。
こいつらにとどめを刺さなければならない。
政権交代の仕上げは、まだ先のことである。

9月1日・火曜日、総選挙後最初の閣議が開かれる。
多分お通夜のような閣議になることだろう。
当選してこの場に座っているのは何人いるか。
ため息とともに始まり、ため息だけが続き、ため息で終わる。

自民党は、「自民党をぶっ壊す」と叫んだ小泉純一郎によって文字通りぶっ壊されたのである。
郵政選挙での大勝利こそ、自民党崩壊の引き金であった。
以後自民党は政策を忘れ、国民の存在を忘れ、我が世の春を謳歌してきた。
その間考えたことは、いざ選挙になったら、人気者を立てれば勝てる、ということだけだった。
自民党の戦略は人気のある者を党首に据える、ということだけだった。
小泉がそのお手本を示している。
以後徹底的に国民を舐め、蔑み、バカにしてきたきたのが自公政権であった。

彼等はついにその過ちに気づくことなく審判の日を迎え、「何故だ?」と首を捻りながら消え去っていく。
(2009.8.30.朝)





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ついに日本も国連選挙監視団派遣要請か?

2009-08-27 20:25:25 | 政治
民主主義の基本は選挙である。
選挙の中立・公平さが保証されなければ、民主主義は死ぬ。
そして今、この国の民主主義が死のうとしている。
「何を大げさな」と言われるかも知れない。
しかし、冗談で言っているのではない。
この投票時間短縮の影響がどれほどの票数となって現れるかは分からない。
だが問題は票数に現れる影響の大きさではない。
このような選挙管理委員会の姿勢である。
たとえその影響が小さいものだとしても、結果的に選挙結果の正統性を疑わせることになる。
これでは日本も国連に選挙監視団の派遣を養成する必要があろう。

総選挙の投票終了時刻、繰り上げる投票所3割に (asahi.com 8/25)
30日の総選挙の投票の終了時刻を、本来の午後8時よりも早める投票所が3割に及ぶことが、総務省の25日の発表でわかった。その理由について、自治体側は「期日前投票が浸透してきたことに加え、職員の超過勤務を減らせる」(岩手県大船渡市)などと説明するが、有権者の投票の機会を奪うとの指摘もある。

 発表によると、早めるのは全国5万978カ所の投票所のうち1万5414カ所(30%)。24%だった05年の前回総選挙よりも広がっていた。投票開始を本来の午前7時より遅くする投票所も113カ所(0.2%)あった。

 終了時刻を早める投票所の割合を都道府県別に見ると、高かったのは鹿児島(91%)、秋田(89%)、高知(88%)の順。50%を超える県は13で、05年の7からほぼ倍増した。

 公職選挙法では、特別の事情があれば投票開始時刻を最大で2時間繰り上げ・繰り下げでき、終了時刻も最大で4時間繰り上げられる。


多分自民党や官僚どもはこのくらいのことはやってくると思ってはいた。
それにしても総務省の発表が25日というのは遅すぎるのではないか?
これでは反対も抗議もできない。

公職選挙法
(投票所の開閉時間)第40条 投票所は、午前7時に開き、午後8時に閉じる。ただし、市町村の選挙管理委員会は、選挙人の投票の便宜のため必要があると認められる特別の事情のある場合又は選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情のある場合に限り、投票所を開く時刻を2時間以内の範囲内において繰り上げ若しくは繰り下げ、又は投票所を閉じる時刻を4時間以内の範囲内において繰り上げることができる。


投票時間の繰り上げ終了を決めた各地の選管の理由は果たしてこの規定に合致しているのか。
選挙事務に駆り出される職員の労力を減らす。
そして残業代などを減らす。
投票箱を開票所まで運ぶのに時間がかかる。
開票結果を少しでも早く国民に知らせる。
というようなところがこれまでに言われてきている主な理由のようだ。

しかし、そんなことがこの法令にいう「特別の事情」に該当するのか?
今回選挙に限って特に費用が増えるわけではあるまい。
投票箱を一時間早く運ぶことが、有権者の投票の権利を奪う正当な理由になるのか。
数年に一度の選挙ではないか。
有権者の利便を考え、その権利を生かせるように努力するのが選挙管理委員会の務めであろう。

全国15000カ所余りの投票所が投票締め切り時間を一時間繰り上げることによって投票の機会を奪われるのは、一カ所あたり10人とすれば、全国で15万人。
50人とすれば75万人。
100人とすれば150万人にのぼる。

期日前投票という制度があるのだから、当日行けない人は事前に投票を済ませればいい、などということなかれ。
当日行くつもりでいたのが、急用で遅い時間にしかいけなくなるかもしれない。
あるいはレジャーの帰りが交通混雑で遅くなるかもしれない。
人生何が起こるか分からないのである。
投票時間の変更は十分に周知徹底を図っている、というかもしれない。
しかし、いつもの通りだろうと思いこんでいて、注意書きなどに目を通さない人もいるだろう。

法律を厳格に守った処置というならともかく、法律を恣意的に拡大解釈し、有権者の権利を侵害する。
善良な公務員のとるべき態度ではあるまい。

今回の時間繰り上げの裏に何があるか、証拠は何もない。
総務省からの指示があったのか。
自民党からの圧力があったのか。
市町村の職員の自発的な自民党応援なのか。

残念ながら、有権者に対する善意は微塵も感じられない措置である。
そして自民党・行政側の悪意の匂いがする。
それはこれまでの自民党や行政側のやり口が放つ悪臭なのである。

言い忘れたが、自公にとっては高投票率は不利である、という前提でこう言っている。
「無党派は寝ていてくれればいい」と言ったのは、確か森喜朗だったか?
今回は心の底から、痛切にそう思っていることだろう。

痛くもない腹を探っているのかもしれない。
しかし、そう思われても仕方のないことを続けてきたのが自公政権なのである。

選挙が公正に行われること。
選挙が公正に行われているという信頼がなければ、民主主義は成り立たない。
まさかこの国でこんな心配までするようになるとは夢にも思わなかった。

先の参院選でも既に問題になっていた。

投票時間、工夫の差? 繰上げ急増、理由強弁さまざま (asahi.com)
2007年06月20日

 年金問題や憲法改正が争点になりそうな参院選で、投票権は本当に保障されているのか――。平成の大合併などを機に全投票所で繰り上げている津、伊賀、志摩市など、12市町の選挙管理委員会は「期日前投票があるから」「一部の投票所だけ繰り上げるのは不公平だ」「開票作業を早める方が重要」などと理由を説明する。一方で、開票時間を遅らせたり、離島からの船をチャーターしたりして、投票時間を極力繰り上げまいと工夫を重ねる選管もある。

 昨年1月の10市町村合併以後、全投票所で午後7時までに繰り上げた津市選管は「遠隔地だけ早く繰り上げるのは、候補者の地盤という観点からも問題。10カ所で期日前投票を午後8時までしており、投票の機会を奪っているとは考えない」。

 明和町は、01年の参院選から町内全域で投票終了を午後6時に繰り上げた。「夜間の投票者が少なく、投票所の立会人の拘束時間が長くなる」と同町選管。当初は「報道では午後8時まで投票といっている。どうなっているのか」と苦情もあったが、今はないとしている。
(中略)
◆短縮は本末転倒
 小林良彰・慶応大教授(政治学)の話 各政党の主張の差が鮮明ではなくなり、有権者の態度決定も遅くなっている。今回は改憲もテーマにもなっている。戦後60年の大選択をするのに、1~2時間あせる必要はない。有権者にできるだけ投票の機会を与えるのが選挙の大前提のはずで、開票を早めるために投票時間を短縮するのは本末転倒だ。


そして民主党もこのような流れに抗議はしていたようだが。

(日経記事より)
2007/07/25(水)
民主、投票時間繰り上げに反対

 民主党は24日、参院選で全国の投票所の約3割が午後8時の投票締め切り時刻を
繰り上げることについて「公職選挙法の規定をはるかに逸脱しており、到底容認できない」として、
各自治体の選挙管理委員会に見直しを通知するよう菅義偉総務相に申し入れた。

 総務省は「市町村選挙管理委員会は公選法の趣旨を踏まえ適切に判断し、
決定されているものと考えている」と回答した。


民主党は、こんな回答で引き下がったのか?
その後の決着は耳にしていない。

それにしても民主主義国家の政権与党が投票率が低くなることを望むという現象は何を意味しているのか?





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酷薄な政治家・麻生と桝添──これはもう人間性の問題である!

2009-08-25 16:55:06 | 麻生太郎
選挙戦に入ってからも麻生はバカな発言を繰り返して国民のひんしゅくを買っている。
民主党に対する攻撃もますます下品・愚劣の度を増している。
国民はすでに食傷し、あきれているのだが、本人達はまったく気づいていないようだ。
他人の悪口を言うのにも品格とか格調、機知とかユーモア・風刺とかがあればまだしも救われるのだが、自民党の場合は自分たちの柄の悪さ・下品さばかりが目について、逆に自分たちの脚を引っ張ることになってしまっている。
あの品のないアニメ宣伝を見て、「みっともないことをするな」と、麻生をたしなめる人間はいないのか!

自民党惨敗の予想が連日報道されている。
ここまで自民党が劣勢に立たされた理由は様々あろう。
過去にデタラメのし放題を続けてきたこと。
約束をさっぱり守らなかったこと。
今更どんな約束をしても、どうせ守られるはずはないと国民が知ってしまったこと。
そしてたとえ麻生に変わって誰が総理・総裁になっても、この党にはもう麻生並みの人間しか残っていないことを国民は知っていること。

喜劇役者とは笑ってもらえる役者である。
笑われる役者ではない。
その意味では、麻生も桝添も喜劇役者以下である。
自分たちはシリアスな役柄を演じている積もりだが、あんまり芝居がお粗末で意図せぬ嘲笑を買っている。

しかし、嘲笑・軽蔑で済まないこともある。
バカ相手に何を言ってもしょうがないが、それでも麻生は内閣総理大臣である。
払っている税金分は言わせて貰おう。

麻生首相「金がないなら結婚するな」発言 (スポニチ 2009年08月24日)
衆院選(30日投開票)の「ラストサンデー」となった23日、各党党首は候補者の応援で全国を奔走した。東京2区(中央区、文京区、台東区)に入った麻生太郎首相(68)は、学生主催のイベントに出席。少子化問題の質問に「金がないなら結婚しない方がいい」などと発言した。

 東京・花川戸の台東区民会館で開かれた、学生主催の「ちょっと聞いていい会」。約60人の学生を前に、麻生首相が質問に答える形で進められていたが、ビックリ発言はいきなり飛び出した。

 男子学生からの「結婚資金が確保できない若者が多く、結婚の遅れが少子化につながっているのではないか」との指摘に対し、首相は「金がないのに結婚はしない方がいい。オレは金がない方ではなかったが、43(歳)で結婚した。稼ぎが全然なくて(結婚相手として)尊敬の対象になるかというと、なかなか難しい感じがする」と答えた。

 さらに「(結婚は)金があるからする、ないからしないというものでもない。人それぞれだと思うから、うかつには言えないところだと思う」と続けた。

 首相の発言は一定の生活力が必要との趣旨ともとれるが、学生からは賛同の拍手などは一切起こらず、それどころか、会場全体が一瞬、凍りついたような雰囲気。不況の影響で就職先がなかったり、ワーキングプア状態にある若者たちに対する配慮を欠いた発言との批判を呼びそうだ。

 選挙戦中も相変わらず失言を繰り返す麻生首相。解散後の先月25日には、横浜市内での会合で「高齢者は働くことしか才能がない」などと話したため、河村建夫官房長官からは「首相にはオウンゴールだけは避けてもらいたい」とイエローカードを突き付けられたばかり。さらに、前日の22日には、豪雨災害に見舞われた兵庫県佐用町の現場を視察した際、2人の行方不明者について「遺体が見つかるように」などと心ない発言をしていた。


ちょっと長いが全文引用させて貰った。
この記事では麻生のバカ発言を三つ紹介してくれている。

「金がないなら結婚しない方がいい」
「高齢者は働くことしか才能がない」
「遺体が見つかるように」


三つが三つとも、人に対する麻生の冷酷さを示している。

普通の人間なら普通の時でさえ言わないようなことを、少子化問題が選挙の争点になっているそのまっただ中で、「金がないなら結婚しない方がいい」というようなことがどうして言えるのか!
「金がないやつぁおれんとこにこい。結婚して子供を産んで育てられるように、政府を挙げて応援するから」
せめてこのぐらいのことを総理大臣たるもの、言ってみなさい。

麻生と同じ冷酷さを桝添も示している。

派遣村めぐり舛添厚労相に抗議文 「怠けてる連中」発言と (47ニュース 8/24)
年越し派遣村を企画した元実行委員会の有志が24日、舛添要一厚生労働相が街頭演説で派遣村に参加した失業者について「怠けている連中」などと発言したとして、「生活再建を目指して努力している人々への侮辱だ」として発言の撤回と文書による謝罪を求める抗議文を同相に提出した。

 抗議文は、舛添厚労相が18日に横浜市で行った街頭演説で派遣村の取り組みに触れた際に、「4千人分の求人票を持って行ったが、一人も手を挙げなかった。大事な税金を働く能力があるのに怠けている連中に払う気はない」と発言したとしている。


何を偉そうに!
桝添、お前の金ではないぞ!
大いばりで、”4000人分の求人票”と言うが、実際は人を雇うつもりもない事業主に頼み込んで数だけを集めたという話が当時からささやかれていた。
仕事をしていると見せかけるふざけたパフォーマンスに過ぎなかったくせに。

怠けている連中に税金払う気なし 厚労相、『派遣村』で言及 (東京新聞Tokyo Web 8月19日)
これに対し、派遣村実行委員だった関根秀一郎・派遣ユニオン書記長は本紙の取材に「求人として紹介されたのは確かだが、誰も応募しなかったというのは全くのでたらめ。たくさんの人が応募したが、断られたのがほとんどだ。舛添氏の発言は現場の実態が全く分かっておらず、あきれてものが言えない」と批判した。


関根秀一郎・派遣ユニオン書記長の言うのが正しい。
もともと雇い入れる気のない求人票である。
一人も雇われなかったという結果は当然ではないか。
派遣村の失業者を責める前に、桝添は求人票を出した事業者にあたり、窓口のハローワーク職員を調査して実態を把握すべきであった。
いつも、口先一つの言いっぱなしで片付けようとするからこんな鬼のような非情なことが言える。

インフルエンザの流行に関しても、桝添はとんでもない発言をしていた。
「インフルエンザの流行は、国民全体の慢心があったから」
国民が慢心?桝添! 8/20 投稿

ほんとは、桝添という名前を口にするのも嫌なのだが、次のような記事を見ると、黙っているわけにもいかない。
選挙が終わった後、こいつが自民党の前面に出てくるようなことがあっては面白くない。

<政権選択>参院の人気閣僚  自民応援依頼 舛添氏に殺到 (東京新聞Tokyo Web 8月19日)
 選挙戦終盤になっても、巻き返しの糸口がつかめない自民党。苦境ぶりは遊説日程にも表れてきた。わが身も危うい幹部らは、地元張り付きを余儀なくされ、動員力のある遊説の顔が枯渇。数少ない人気閣僚の舛添要一厚生労働相に応援依頼が殺到している。 (金杉貴雄)

 「出陣式以来の人出だ」

 二十四日午後、茨城県ひたちなか市の街頭遊説で、自民党陣営の関係者はホッとひと息ついていた。遊説カーには候補者と来県した舛添氏が並び、「自民党を立て直す」と声を張り上げ、駅ロータリーに詰めかけた聴衆の拍手を浴びていた。

 舛添氏には延べ二百五十陣営から応援要請が殺到し、北海道から沖縄まで、これまで計八十カ所以上を駆け回っている。


そのまんま東が潰れて、その代わりが桝添ということらしい。
しかし、人寄せパンダ頼りの選挙とは、自民党の候補者たちも懲りない連中だ。

いずれこんな政党はバラバラに空中分解するだろうが、だれもいなくなったあと、桝添が一人残っているなんてこともあり得る。






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読売と共産党が時間差共闘・政権交代阻止統一戦線

2009-08-24 06:43:34 | 官僚
政権交代阻止作戦もだんだん手が込んできた。
産経のように正面突破を図るアホマスコミもあるが、多くはもう少し巧妙かつ陰険である。
たとえば、次の読売の記事である。
「官僚政治打破」という民主党のスローガンに疑問符をつけるネガティブ・キャンペーンであろう。

官僚出身新人、民主11・自民7…候補者分析 (YOMIURI ONLINE 8/19)
官僚出身候補の数で初めて民主が自民を上回る――。

 18日に公示された衆院選の新人候補者の経歴を見ると、官僚主導政治の打破を掲げる民主党に官僚からの転身組が多く流れていることが、わかった。政権選択をかけた衆院選を戦う候補者たちの属性を分析してみた。

 自民党新人43人の経歴で最も多いのは県連事務局長など政党職員8人で、中央官僚、地方議員が各7人。民主党の新人164人では地方議員32人がトップで、中央官僚は11人だった。


民主党新人で官僚出身が11人もおり、自民党を上回っている。
これで官僚政治打破と言えるのか?、と言いたいのだろう

ところでこれとまったく同趣旨の内容を、すでに共産党機関誌「赤旗」が去年のうちに取り上げ、民主党を攻撃していた。

「官僚支配打ち破る」というが…(赤旗 2008年10月6日(月)「しんぶん赤旗」)
「官僚支配を打ち破る」。こんな官僚批判を旗印に掲げている民主党の新人公認候補のなかに多くの官僚出身者が含まれていることがわかりました。

 解散・総選挙が間近に迫るなか、民主党は九月十二日の第一次公認候補者発表を手始めに、同月末までに百九十一人に公認を与えました。このうち新人候補は四十七人にのぼりますが、中央官庁の職員や幹部などのいわゆる官僚を務めたことがある新人公認候補が、判明分だけで十人も含まれています(別表)。公認候補全体の5・2%、新人公認候補では21・3%を元官僚が占めていることになります。


この時点では民主党候補者は10人であったらしい。
ご丁寧にリストつきである。



どちらの主張も民主党の方が官僚出身者が多いことを指摘し、民主党批判につなげている。

畑浩治 平成17年1月 国土交通省退職
退職時年齢 39or40

福島伸亨 2003年 経済産業省を辞職
退職時年齢 33

奥野総一郎 平成17年4月 総務省を退職(郵政行政局調査官)
退職時年齢 42

橘秀徳
昭和44(1969)年6月24日、東京都出身 39歳
1995年 中央大学法学部政治学科卒業
1995年 内閣法制局事務官
1997年 国会議員政策担当秘書
2002年 松下政経塾に入塾(第23期生)
2005年 松下政経塾 卒塾


というふうにチェックしてきたのだが、面倒なので途中でやめる。ただ、気がつくことはほぼ一様に課長補佐あるいはそれ以下で退職しているということである。
課長という肩書きは一人だけである。
(ただ公務員の役職の上下はわたしにはよく分からないことを断っておく)

ここでわたしたちは、読売・赤旗が官僚出身という言葉で一括りにしているその「官僚出身者」の中身を見ていかなければならない。
「官僚出身者が多いから官僚政治打破はできない」という読売・赤旗の主張は正しいのか?

官僚出身者もいくつかのタイプに分類できる。
一つは世襲までの箔付けの一時的腰掛け官僚がある。
絆創膏で大臣を辞職した赤城徳彦
自民党幹事長細田博之
町村派会長町村信孝

……等がその代表であるが意外にこれは多い。

もう一つは中央省庁の力を背景にして議員に転身し、そしてまた出身省庁の利益代表として働く議員達である。多くは出身省庁に関連した族議員として活躍する。
監督官庁としてその影響下にある業界・団体などの組織票を動員するケースも多い。
これらは比較的高い地位まで昇進した後での転身ということになる。
一種の天下りあるいは天上がりというべきか。

泉信也元国家公安委員長  建設省 第四港湾建設局長、大臣官房審議官 在職30年
野呂田 芳成元防衛庁長官 建設省
陣内孝雄元法務大臣    建設省河川局長を最後に退官


この連中は比較的政界入りが遅いために大した業績を残すことは多くはない。
またこのタイプの官僚は地方の都道府県知事になる連中も多い。
わたしが数えたところでは全国47都道府県の内すくなくとも25の道府県知事は官僚出身者である。

今度の総選挙と同日選挙になる茨城県知事選には国交省事務次官経験者の小幡政人氏が自民党の応援を受けて立候補している。
現職橋本昌知事は5選目を狙うがこちらも官僚出身である。
ところが年齢は小幡氏64歳。
橋本氏63歳。5選目とは言えこちらは比較的早い時期に転身を果たしていた。
橋本氏もこれまで自民党の支援を受けてきており、自民党分裂選挙の様相である。
出身地域の位置から茨城の南北戦争などとも言われている。
民主党は都道府県知事の5選は認めない方針であるため今回は自主投票という、何とも締まらない対応である。
小幡氏の例は官僚の政治家転向の一典型として、余計なことでもあるが挙げさせて貰った。

この二つのタイプの官僚出身者はほとんど保守・自民党寄りである。
官僚政治に対する攻撃から省庁を守る側に立っている。

役人出身は嫌われる!ここまで来た官僚候補者たちの落日 (@nifty ニュース 8/18)
●伊吹、町村、片山も絶望

 かつては、霞が関の官僚から政治家に転身するのはパターンだった。自民党前職議員を見回しても元官僚は大勢いる。ところが、最近は、官僚出身がマイナスに働く。

 06年の千葉7区補欠選挙で、旧通産省出身で埼玉県副知事まで務めたエリート、自民党の斎藤健が、キャバ嬢の経歴のある民主党・太田和美に敗れたのがいい例だ。「自民党」「官僚」という看板がセットになると、忌み嫌われてしまうのだ。


そしてもう一つのタイプが若くして省庁を飛び出して政界に転身する官僚たちである。
いわばスピンアウト組である。
この連中はさほど出身省庁に対する愛着を持っているわけではなく、むしろ批判・不満を持っているケースが多い。
天下りなどを期待してもいない人たちでもある。
このタイプの官僚は自民党よりも民主党を選ぶ人たちが多い。
そして比較的地位も低く年齢も若いうちに飛び出す。
もちろん自民党を選ぶ人たちもいる。

赤旗のリストにある候補者達はすべてこの3番目のタイプである。
既存の官僚体制からスピンアウトした人たちである。
打破すべきは、省益優先、官僚主導政治、保身・天下り擁護の現状である。
この人達を吸収し、官僚政治打破に用立てるのはまっとうな戦術である。
なんら批判・非難を受けるべきことではない。
官僚政治打破のためには大きな戦力になるはずの人材である。

読売が今頃になって赤旗の二番煎じのような民主党攻撃をしているのにはあきれる。
しかしどちらも自分たちが、クソもミソも一緒にしたような主張をしていることは分かっている。
分かっていてわざとやっていることであろう。


官僚という言葉を使うときには注意がいる。
官僚と公務員を区別することが必要である。
官僚というのは国家公務員のほんの数パーセントのⅠ種試験合格者だけを指している。入省した時点で将来の天下りまで保証されている連中なのである。
Ⅱ種試験以下の合格者は省庁の事務次官にはなれない。
もちろんそんな法律はない。




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自民とメディアの二人三脚…選挙予測は疑似政権交代?

2009-08-21 18:18:41 | 自民党
マス・メディアにとっての最大の誤算は麻生の想像を超えた馬鹿さ・自民党の低劣さであったろう。
就任以来下がり続ける内閣支持率に焦りの色を濃くしていったのは麻生・自民党ばかりでなかった。
財界・官僚もそうであったろう。
しかしそれ以上に、政権交代の現実性が高まるにつれ、マス・メデイアにも危機感が広まっていったのではないか。
「社会の木鐸」という言葉などとっくの昔に忘れ去り、利益追求を優先する一私企業としての存在に堕しているマス・メデイアにとっては存亡の危機である。
自民党の下野・政権交代は、彼等にとっては収益基盤の崩壊を意味している。
記者クラブ制度を情報の寡占システムとして守りたい現存マス・メディアにとって、記者クラブ開放をうたう民主党政権は決して歓迎できない。
さらにマス・メディアの守ろうとしている既得権益の数々。

これらの既得権益とマス・メディアの姿勢について神保哲生氏が鋭い考察をThe journalというところで発表している。
是非全体を読んでいただきたいが、とりあえず冒頭部分だけ引用させていただく。

神保哲生:検証・民主党政権で日本はどう変わるのか!<第5回>大手メディアが決して報じない、「メディア改革」という重要政策の中身

▼政府の記者会見をすべてのメディアに開放し、既存のマスメディアの記者クラブ権益を剥奪する。
▼クロスメディア(新聞社とテレビ局の系列化)のあり方を見直す。
▼日本版FCC(米連邦通信委員会のように行政から独立した通信・放送委員会)を設立し、放送免許の付与権限を総務省から切り離す。
▼NHKの放送波の削減を検討する・・・等々

 これらの政策はいずれもマニフェストには載っていないが、民主党の正式な政策だ。記者会見の開放はマニフェスト発表の記者会見で鳩山由紀夫代表自身がはっきりと明言しているし、その他はすべて『民主党政策集INDEX2009』に明記されている。

 お読みいただければわかるように、民主党政権では、マスメディア自身が主たる既得権益者として改革の対象となっている。そして、不思議なことにその事実はまだほとんどの人に知られていない。

メディア改革は民主党の主要政策の一部
 
 知られていない理由は、大手マスメディアが民主党のメディア政策をまったくと言っていいほど取り上げようとしないからだ。これらの政策が自分たちに都合が悪いからなのか、それともこうした政策をそれほど重要とは考えていないからなのか、その真意は定かではない。


冒頭まず、問題の所在が明らかにされている。
以下それぞれの問題を記事は更に掘り下げている。
まだ読んでいない方には是非読んでいただきたいと繰り返しお願いしたい。
なぜなら、記事中にも言及されているが、これらの問題をマス・メディアは決して報じてこなかったし、これからも報じないと思われるからである。

これまでマス・メディアはニュースを報じていればそれで顧客のニーズに大体のところはこたえていた。
読者は漠然とそう受け止めていた。

ところがメディア側は致命的な失敗をしてしまった。
読者がこれまでマス・メディアに抱いていた漠然とした信頼感に深い懐疑の念を抱かせてしまったのである。
もちろんこれまでそんなマス・メディアの在り方に疑問を持ち、抗議の声を挙げていた人も数多くいたことだろう。
しかし、それらの声は、必ずしもわたしたち一般人の耳に十分には届かなかった。

潮目が変わったのは西松献金事件、小沢氏の秘書逮捕に関する一連の報道が始まったときであろう。
納得いかない検察の不公平且つ恣意的に過ぎる捜査が多くの人の目にはっきりと映ってしまった。
そして検察からリークされた情報を一方的に流し続けるマス・メディアの姿勢に疑いの目を向ける人々が急激に増えていった。

事実の報道と公平な説明・解釈を読者は予想していたし、期待もしていた。
しかし与えられたものは明らかにそれとは異なったものだった。

新聞・テレビがそれぞれある程度思想的な偏りを持っていることは承知の上で人々はそれに接している。
しかし、国民の目にさらされたのは、マス・メディアの思想的偏りではなかった。
明らかになったのは、メディアと権力との構造的な癒着・もたれ合いであった。

わたしたちのマス・メディアを見る目が変わってしまった。
サンデープロジェクトの田原総一朗、報道ステーションの古館一郎、朝ズバのみのもんた。
彼等の自民党寄りの番組進行・発言等が、単に彼等の思想的な傾向の表れではなく、背後に商業ベースの癒着構造があることに目を向ける人々が増えている。

メディアに対する信頼感が急激に失われつつある。
メディアにとっての不幸であるが、それは同時に国民にとっての不幸でもある。

最近、テレビで目立つのは、酒井法子事件である。
事件発覚以来の”のりピー騒動”はメディアを占領しているといってもいいほどである。
そしてここにきて急に飛び出したインフルエンザ騒ぎ。
当然総選挙報道は削られることになる。
もちろんそのなかで彼等は相変わらず民主党の足を引っ張るが、やり方は少しずつ巧妙になってきている。
目先の見える奴らは少しずつ、民主党に擦り寄ってきているが、それでもこれまでのいきさつがある。
あまりあからさまなことはできないところが彼等のジレンマであろう。
”のりピー”、”インフルエンザ”で”総選挙隠し”。
事実かどうかは分からない。
しかしながら、そういう見方をされてしまうところに、マス・メディアの失敗がある。

新聞・雑誌等では総選挙の勝敗予測でにぎわっている。

「民主300議席の勢い」各党に衝撃 (asahi.com 8/21)

民主、圧勝の勢い 300議席超が当選圏 衆院選情勢調査 (NIKKEI NET 8/21)

民主300議席超す勢い…衆院選情勢調査 (YOMIURI ONLINE 8/21)

週刊文春 8.28日号
民主291議席vs自民128議席
「民公連立」自民は来年参院選で消滅 宮川隆義


民主党圧勝の予測が並ぶ。
まるで政権交代が既に実現したかのようである。

逆バネとか揺り戻しとかいう言葉がある。
前回郵政選挙での自民党の大勝利の反動は当然予想されていた。
国民は自公連立勢力に3分の2以上の議席を与えてしまったことを反省している。
通常でも自民・公明が議席を減らすのは想定内である。
しかし、民主のこれだけの優勢、自民の劣勢は想定外であったろう。
ところで、これだけメデイアが民主党の勝利を揃って報ずれば、多くの有権者はもうすでに政権交代が成就したと感じてしまうかも知れない。
本番の投票ではその揺り戻しがあるかも知れない、というのはわたしの取り越し苦労ばかりとは言えないような気がする。

もしかするとこれは自民党の捨て身の作戦ではないのか。
あるいは自民党とメディアの共同作戦?
わざと民主党の獲得議席予想を大きくすることによって疑似政権交代を現出させる。
本番ではさらにその逆バネを期待する。

郵政選挙(自民圧勝)→逆バネ→民主圧勝(予測)→逆バネ→自民復活(本番)

多分民主党も陣営の引き締めをはかっているだろうが、とにかく勝負は下駄を履くまで分からない。
こんな議席予測を眺めてほくそ笑んでいる場合ではない。





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国民が慢心?桝添!

2009-08-20 06:26:47 | 自民党
まさか「慢心」の意味が分からない訳ではないだろうが……。
もしかするとわたしたち一般人が知らない特別な意味があるのか?
政治家の言葉は国語学者や言語学者の言葉とは違う。
わたしたち一般人の使う言葉で話して貰わなくては。

厚生行政の最高責任者にこういう言い方をされてびっくり仰天する我々が愚かなのか?
われわれは慢心していたのか?
我々は反省しなければならないのか?
まあ、油断はあったかも知れないが、それはお前も同じだろう!

厚労相、新型インフル「流行本格化」 対策実践呼びかけ (asahi.com 8/19)

舛添氏は、流行の本格化は秋以降としていた従来の予想に反し、真夏でも感染が拡大していることについて、「私も予想できなかったことだ」と説明。「夏休み中なのに増えている。9月になって学校が再開されると感染が急激に拡大する危険性があると思う」と述べ、医療機関の負担増大に懸念を表明した。

 また、「病原性が低いということで、皆さんも忘れてしまっている」と「国民全体の慢心」が感染拡大の原因にもなっていると指摘した。舛添氏は「新しいウイルスへの警戒を解いてはいけない。感染は自分が止める、という気持ちが大事だ」と話し、手洗いやうがいの励行などを呼びかけた。


テレビニュースで桝添の「国民の慢心」という言葉を聞いたときには我が耳を疑った。
政治家の失言というのはこれまで無数にあった。
しかし大抵は言う奴はそれなりに納得できる奴らであった。
しかしこの男はこれまで、大言・虚言こそ散々言い散らしてきたが、失言は国民の耳目には触れなかった。
言ってみれば、”用心深い嘘つき”であった。

意図が分からない発言である。
失言なのか?
「慢心」の意味が分からないのか?
もしかして本心からそう思っているのか?

失言というのはたいていの場合、言ってはいけない場所で思わず本音を言ってしまったというのが普通のケースである。

これは失言なのか?
それとも意識して自分の考えを正確に言ったのか?

国民が慢心しているからインフルエンザにかかるのか?

「あなたが不幸になるのはまだ信心が足りないから」と信者に言う宗教団体。
「格差が広がったのは改革が不十分だったから」という竹中平蔵。
「あなたが慢心しているからインフルエンザにかかるのだ」という桝添要一。

流行の責任は「国民の慢心」
そして対策の責任も国民に。
「感染は自分が止める、という気持ちが大事だ」
それが厚生労働省のインフルエンザ対策なのか?

午前1時の緊急記者会見で国民の不安を煽り、水際作戦と称して大げさな空港検疫を展開し、うまくいかなかったのがばれるといつの間にか戦線を縮小し、国民の関心が薄れるのを見守っていたのが桝添である。
ここに来て感染者が増え始めると「国民の慢心」と国民を責める。

保身と売名の男。
気がつくと権力者の足下にはいつくばって靴を舐めている男。

本気で言ったのなら”傲慢”
間違ったのなら”麻生並みのバカ”

残念なことに今度の選挙ではこの男を落とすことが出来ない。

後期高齢者医療保険制度は廃止。
悪いことをした奴は牢屋に入れる。
厚生・労働行政の分離……等々。

全部、桝添の言ったことである。
とにかく思いつきだけの言いっぱなし。
これまでも保身と売名の空虚なパフォーマンスを続けてきたネズミ男。

インフルエンザ大流行で投票所閉鎖なんてことまで言いだしかねない。
”自民党の救世主”?

9月になればこいつの顔も見ないで済むようになる。
政権交代はそれだけでも意味がある。



あんまり腹が立ったので、とりあえず一言。





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司令塔不在の自民党、しかも兵の質は劣悪

2009-08-16 11:56:15 | 麻生太郎
唐突に飛び出した麻生の「負けっぷりをよくせにゃならん」発言。
心がけは結構なんだが、時と場所ということもある。
しかもまだ公示前である。
先日の都議選の応援での「惜敗を期す」をいやでも思い起こさせる。

ところで「惜敗」についてもう一人馬鹿なことを言っていた男がいた。
自民党幹事長細田博之である。
細田は自民党選挙対策本部本部長代理である。
本部長は麻生。細田はNo.2ということになる。

自民「惜敗率で上がってきて」 衆院選向け細田氏が失言? (47ニュース 7/2)
自民党の細田博之幹事長は2日の党代議士会で、衆院選準備に関し「東京にいる必要はない。ほとんどの時間を地元で過ごしてほしい」と地元活動を求める中で、「(衆院小選挙区選で)負けても惜敗率で上がってほしい」と述べた。出席者からは「『小選挙区で勝ってこい』と言うべきだ」とやじが出た。

 麻生太郎首相も先月、東京都議選の自民党立候補予定者の応援で「惜敗を期して」と言い間違えており、与党幹部の“弱気”が浮き彫りになった。


細田はどういうつもりでこんなことを言ったのか?
もしかしてこの男、小選挙区比例代表並立制の仕組みが分かっていないのか?
惜敗率は党内落選者同士の争いである。
比例の得票数で自民党の当選者数が決まった後、自民党の候補者の当選順位を決める基準になるだけであって、いくら惜敗率が高かろうと、自民党の当選者数が増えるわけではない。
いわば自民党内サバイバル競争の奨励である。

肝心の選挙対策本部長の麻生がバカで本部長代理の細田がバカで、No.3の選挙対策本部長代理として細田と並ぶことになった古賀誠がやる気がないときては、選挙を戦う態勢はシッチャカメッチャカである。
選対本部の下部機関で選挙の実務に当たるべき選挙対策委員会は委員長の古賀がやめた後、副委員長の菅義偉が采配を振るっているようだが、こちらは品性下劣、ここまですべて見通しをはずしてきた、自民党退潮を招いたA級戦犯である。
これで選挙が戦えるのか、他人事ながら心配になる。

さて「負けっぷり」についてである。

麻生首相:街頭で「負けっぷり」に言及…ハラくくった!? (毎日jp 8/12)
麻生太郎首相は11日、千葉県野田市内で行った街頭演説で、終戦時に首相だった鈴木貫太郎に言及し、「鈴木先生は『(戦争は)負けっぷりはよくせにゃいかん』と吉田茂に言っている。吉田内閣は長いこと続いたが、いろいろな意味で教えていただいた」と語った。演説場所が「鈴木貫太郎記念館」の前だったことから、昔話に言及したとみられるが、衆院選を前に首相が負けを覚悟したとも受け止められる発言は話題を呼びそうだ。

 吉田元首相は回顧録で鈴木からアドバイスを受けたと記しており、「負けっぷりのよさ」からマッカーサーの信用を得たとされる。【影山哲也】


ところでこの発言は街頭演説でとある。
この時期、麻生が一人で街頭演説にいくわけはない。
だれかの応援に行ったのだろう。

千葉県野田市と言うのは千葉県第七選挙区。
自民党公認候補は斉藤健氏(50歳)。

経歴(ウィキペディアより)

1983年 東京大学経済学部卒業。
    通商産業省(現・経済産業省)入省。
1991年   ハーバード大学修士課程修了。
1994年 通商政策局米州課
    大臣官房秘書課人事企画官
1999年 深谷隆司の下で通産大臣秘書官就任。
    内閣官房行政改革推進事務局企画官
2004年 埼玉県副知事就任。
2006年 衆議院議員補欠選挙(千葉7区・自民党公認)落選。86,091票(955票差)
同年、 自由民主党幹事長政策補佐に就任。


今度こそとの意気込みでいることだろう。

その場に居合わせた方のブログによると、麻生は斉藤健氏を従えての応援演説であった。
自分の目の前で、「負けっぷりはよくせにゃならん」と言われて、斉藤氏は心中何を思ったか。

腹をくくったか、と言えば麻生の最近顕著な右回帰の発言もその表れであるらしい。

首相「伝統、国旗…守るべきもの守る」演説で保守色拍車 (asahi.com 8/2)
 麻生首相は2日、総選挙に向けた地方遊説で愛知県を訪れた。民主党に追い風が吹いているなか、ただでさえ同党が強い地域とあって、首相は17選を目指す海部俊樹元首相の事務所開きにも激励に駆けつけた。

 演説では失言を避けようと慎重な言い回しだが、「保守」強調には拍車がかかる。この日は「我々は守るべきものは守る。伝統であり、歴史であり、皇室であり、日本語であり、国旗を大事にする。日教組の先生をされた民主党が国旗を振りますか。日本にとって最も大事にすべきだ」と訴えた。


これはわたしが自制心をなくした麻生自民党 2009-08-06 投稿で引用した記事である。
麻生発言の超右寄り発言の唐突さに少々驚いたものである。

数日後、どこかのテレビ局で中川昭一元財務大臣の選挙活動を紹介していた。
ご多分に漏れず、苦しい選挙戦を展開している様子が映し出された。
ここで一つの事実が紹介された。
取材中のその日の夜、中川は麻生に電話をしたというのである。
電話の中身は、
「保守色を強調して、自民党離れを食い止めよう」というものだった。
そしてその次の日、麻生は上の演説をしたと番組ははっきり言っていた。

以前から麻生は”人の話を聞き過ぎる”と言われている。
しかも、最後に聞いた人の意見に従う、と言われる。
上の極右発言の唐突さにも、それでようやく納得がいった次第である。
それにしても分かりやすい男である。

靖国に関する発言もこの延長上にある。
首相、戦没者の国立追悼施設に慎重姿勢
麻生太郎首相は14日夜、靖国神社に代わる国立戦没者追悼施設を建設する必要性について「国民の合意を得られるかというところが一番の問題だ。施設をつくったら靖国の話がなくなるのかというと、なかなかそんな簡単にはいかないのではないか」と指摘し、追悼施設建設に慎重な考えを示した。首相官邸で記者団に語った。


何が何でも靖国でなければならない、という考えが根底にこびりついている。
しかしながら、8月15日の参拝を避けたのは、まだ覚悟が中途半端であることの表れであろう。

景気・雇用対策の成果訴え=麻生首相と自民幹事長が確認
麻生太郎首相は14日、自民党本部で細田博之幹事長、古賀誠選対本部長代理と会い、18日の衆院選公示を控え、選挙戦では政府・与党が最優先で取り組んできた景気対策や雇用対策の成果を中心に訴えていく方針を決めた。また、民主党の衆院選マニフェスト(政権公約)について「あまりにも長期に国の財政負担になることが多すぎる」として、引き続き財源問題を取り上げることも確認した。
 会談では、衆院比例代表の名簿順位についても協議した。細田幹事長は会談後、記者団に対し「(衆院選では)しっかりわれわれの考え方を訴えるしかない」と語った。 (2009/08/14-21:40)


自民党選挙対策本部の3バカトリオによる戦術会議らしきものか。
「引き続き財源問題を取り上げることも確認した」
結論はやはり財源問題か!
自分の店の売り物が無くて人の店の商品にケチをつけるいつものやり方である。

「負けっぷりをよくせにゃならん」と言ったが、本人がジタバタ見苦しくしているのは変わらない。

麻生首相:民主のFTA修正を批判 (jiji.com 2009/08/14)
麻生太郎首相は5日、鳥取県米子市で街頭演説。民主党がマニフェスト(政権公約)の「米国との間で自由貿易協定(FTA)を締結する」とした部分を修正することに「自由化すると、FTAはやりますって間違いなく書いてあった」と述べ、同党の対応を批判した。


しかし、自民党の政権公約にもこんなことが書いてある。
「WTOドーハ・ラウンド交渉の早期妥結、経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)交渉を積極的に行う。」
一方的に責めている場合ではなかろう。
「交渉を積極的に行う」ということは、締結を目指すということではないのか。

「農業交渉等については、各国の持つ多様な農業との共存や林・水産資源の持続的利用が可能となるルールの確立を目指す」

こんな文章が付いているが、自分では「自由貿易協定(FTA)交渉を積極的に行う」と言いながら、民主党を責めることへの免罪符になるわけではない。





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櫻井よしこ氏の産経での主張について

2009-08-13 18:05:17 | 政治
これまでわたしは、櫻井よしこ氏の書いたものを読んだこともないし、読もうと思ったこともなかった。
間接的に他の人が櫻井よしこ氏に言及したものを目にしたり、あるいはテレビでの発言を耳にした限りでは、わたしにはまったく関心外の存在であった。
しかし、総選挙を目前にして麻生や自民党の傍若無人とも言える右傾化発言が際だってきていると感じていたところに、彼女の主張を産経が載せているのに行き当たった。
この低俗な、思想ともいえない思想の持ち主を保守論壇のスターともてはやす勢力が存在することには驚く。

反論と言うほどのものではなく単なる感想程度のものではあるが、わたしの思うところを彼女の書いているところに沿って述べたい。

【櫻井よしこ 麻生首相に申す】名誉挽回に死力尽くせ (msn産経ニュース 2009.8.13 )
今月末の総選挙に向けた自民・民主両党の主張は日本における政治の矜持(きょうじ)の喪失と保守勢力の凋落(ちょうらく)を痛感させる。日本はいま、歴史を重ねて蓄えてきたすべての力を使い切ろうとしているかのようだ。


「保守勢力の凋落」と彼女は嘆いているが、それが具体的にどのような状況を指して言っているのか、残念ながら彼女の主張にろくに触れたことのないわたしには分からない。
「日本はいま、歴史を重ねて蓄えてきたすべての力を使い切ろうとしているかのようだ」という部分についても同じである。

日本のすべての力は、歴史のなかで先人たちの苦労によって培われてきた。にもかかわらず、麻生太郎首相も鳩山由紀夫民主党代表も、あまりにも日本の土台を構築する価値観や歴史に無神経である。両党首の下の自覚なき政治で、先人の残した諸々の価値観がいまや消し去られてしまいそうだ。

「日本の土台を構築する価値観や歴史」、「先人の残した諸々の価値観」が失われることに懸念を抱き、怒っているらしい。
ただしここで言う、”消し去られてしまいそうな価値観や歴史”が何を指しているかは、やはりまだわたしには明らかでない。

8月15日、麻生首相も鳩山代表も靖国神社には参拝しないらしい。首相の言い分は「国家のために尊い命を捧(ささ)げた人たちを政争の具にするのは間違っている。(靖国神社は)政治やマスコミの騒ぎから最も遠くにおかれてしかるべきもの。もっと静かに祈る場所だ」というものだ。

「日本の土台を構築する価値観や歴史」、「先人の残した諸々の価値観」というのは靖国神社に象徴されるものであるらしい。
彼女が靖国好きであることはうすうすわたしも知ってはいた。
どうやら彼女は麻生や鳩山が靖国にお参りに行かないと言ったことに腹を立てているらしい。

本気であろうか。靖国神社参拝は長年「政争の具」にされてきた。中国が靖国参拝を日本抑圧の切り札とし、切り札を突きつけられた日本側が砕け続けてきた。政争の具にしないためには、まずこの構図を打ち破り、靖国参拝を巡る状況を正常化することだ。日本の首相が「国家のために尊い命を捧げた人たち」を慰霊するのに、外国政府に言われてとりやめるという異常からの脱出が正常化への第一歩だと気づき、熱い心をもって全力で臨まなければならない。そのこともなしに参拝を避けるとしたら、それは、無気力の極みである。異常を是として、異常を継続することにほかならない。

彼女は「政争の具」という言葉を使うことによって、靖国を政治から切り離したところに置きたがっている。
というより政治の上におきたがっているようだ。
しかしこの認識は間違っている。
靖国は政治と宗教という憲法上の問題でもある。
政争の具ではなく政治のテーマである。
議論・論争は当然のことである。

彼女は、”「国家のために尊い命を捧げた人たち」を慰霊する”ことを絶対的に正しいと考えているらしい。
そして、「国家のために尊い命を捧げた人たち」の霊が靖国にあると考えているらしい。
「国家のために尊い命を捧げた人たち」を慰霊するのは総理大臣の義務であると考えているらしい。

しかし、「国家のために尊い命を捧げた人たち」という定義そのものに既に櫻井よしこの情緒が色濃く入り込んでいる。
「過去の戦争で死んだ軍人」ではなく「国家のために尊い命を捧げた人たち」と表現した時点ですでにその態度は決まってしまっている。
「国家のために尊い命を捧げた人たち」という表現・定義に対して彼女は聊かの疑問も抱いていない。

彼女が8月15日にこだわるのも理解しがたい。
8月15日は太平洋戦争の終わった日である。
靖国神社には幕末以来の戦死者がまつられている。
太平洋戦争とは関わりない人たちも多いはずである。
「国家のために尊い命を捧げた人たち」の慰霊というなら、他の日でもいいのではないのか?

 吉田茂以来、不幸にも戦後日本に根を張った政治風土の最も深刻な欠陥は、この種の、異常を正常と思い込む価値観の倒錯である。総選挙を前に国民に訴えるべきは、返済不要の奨学金や農家への戸別補償の効用ではなく、靖国参拝に象徴される日本人の心の問題である。

「この種の、異常を正常と思い込む価値観の倒錯」を「戦後日本に根を張った政治風土の最も深刻な欠陥」と言うが、そうは思わない人たちも多い。
政官業の癒着構造、国民をないがしろにした政治、力を頼んで民主主義を蹂躙してきた政治の在り方、そんなものこそ「最も深刻な欠陥」と考える人たちも多いのである。
もちろんわたしも後者に属する。

「国民に訴えるべきは、返済不要の奨学金や農家への戸別補償の効用ではなく、靖国参拝に象徴される日本人の心の問題である」
なぜ「日本人の心の問題」が靖国に象徴されるのか。
明治に作られた靖国神社になぜ「「日本の土台を構築する価値観や歴史」が象徴されるのか?
「日本の土台を構築する価値観や歴史」の出発点をどこに求めているのかは分からないが、少なくとも明治維新あたりにそれを求めるのは少々近視眼的に過ぎよう。
もし、それまでの歴史を凝縮したものが靖国でありそれが現在に繋がっているというようなことを言う人があれば、それは詭弁というものであるし、日本の歴史に対する無知を表していると言うべきである。

 だが、首相が国民に語りかけていることのほとんどが金銭、物質に関する事柄でしかない。国家の基本的な問題点、たとえば安全保障、増大する中国の脅威、激変する米国外交こそを訴えるべき時、バラ撒(ま)きから透視される有権者への迎合こそ見苦しい。首相は日本の最も深刻な欠陥である安全保障の不備に関して、集団的自衛権さえも打ち出せていない。

以前から不思議に思っているのだが、”靖国好き”と”戦争好き”は”ぴったり”と言っていいほど重なる。
”靖国が好きだから戦争が好きなのか”それとも”戦争が好きだから靖国が好きなのか”
”戦争好き”という言葉が気に入らないと言うのなら”軍隊好き”と言い換えてもいい。

 占領下、吉田は日本の再軍備に抵抗し、ついにまともな軍隊を作らせずして引退した。米国のダレス特使に対しては、「日本を広い意味で米国にインコーポレート(合体)してほしい」とさえ述べ、米国の庇護(ひご)の下での経済優先を貫いた。吉田は引退後、軍事をないがしろにしたことを悔いたが、冷徹に言えば、それは繰り言にすぎない。物事をなすべき地位にあるとき、政治家は国益だけを考えて全力で事をなさなければならない。それなくしては、辞した後の言葉は虚(うつ)ろである。

「物事をなすべき地位にあるとき、政治家は国益だけを考えて全力で事をなさなければならない」というが、吉田が経済優先を貫いたのはそれが国益であると考えたからではないのか。
中国や諸外国との摩擦を避けて靖国参拝をしない、という判断も国益を考えた判断ではないのか?
櫻井よしこ氏は靖国参拝こそが何者にもまさる国益優先の態度であると考えているらしい。
しかし、国益の判断は人により、状況により異なるものであろう。

 麻生首相は、就任直後の2008年9月、ニューヨークで集団的自衛権について「基本的に解釈を変えるべきものだ」と語った。

                   ◇

 だが、首相は集団的自衛権の解釈を変更するどころか、その件に触れることもなく、選挙に臨もうとしている。首相は祖父と同じ間違いを犯し、後世に憂いを残すのか。

 そのうえ、「静かに祈る場所」と言って、靖国神社には近づかないのか。静かな祈りは口実か。「保守」の首相のそんな祈りを英霊たちは喜びはしないだろう。


今度は”英霊”である。
「国家のために尊い命を捧げた人たちの霊」を「英霊」と言い換える。
「首相のそんな祈りを英霊たちは喜びはしないだろう」
まるで霊媒師か巫女さんのようだ。
”霊”の存在を信じるかどうかは個人の自由に属する。
不思議なことを言う人だ。

 首相以上に、鳩山代表の靖国についての考え方は奇妙である。氏は8月11日、党本部で、「(靖国神社に)参拝するつもりはない」、民主党内閣が誕生する場合、「閣僚にも(参拝を)自粛するよう言いたい」と明言した。

 「村山談話」に関しては、「尊重し、談話の思いを十分に受けた政権にする」と強調した。先の大戦について、日本が間違っていたとし、ひたすら「心からのお詫び」を強調する「談話の思い」を鳩山氏は「十分に尊重」するそうだ。

 次期政権をうかがう二大政党の党首がいずれも、国家のために努力し、戦い、敗北し、命を落とした人々の魂を、慰め、鎮め、感謝の祈りを捧げることを、他国に気兼ねして行わないと表明したことに、私は深い喪失感を抱く。日本はここまで大事な価値観を失ってしまったのか。精神の支柱を腐らせたかのようなこんな国がほかにあるだろうか。


「国家のために努力し、戦い、敗北し、命を落とした人々の魂を、慰め、鎮め、感謝の祈りを捧げること」
戦争での死をどう考えるかも、個人の思想の自由に属する。
あるいは死そのものについても同様である。
櫻井よしこ氏に押しつけられることではない。

 鳩山氏はまた、非核三原則について、8月9日、「法制化を党としてしっかり検討する」と述べた。2日後には「本当に(法制化が)なじむかは検討の中で議論したい」と後退したが、そもそも「非核三原則は法律を超えた国是」というのが氏の考えだ。

 北朝鮮が核を保有し、日本を射程にとらえ得る中国の核ミサイルはすでに1000基を超えた。核抑止の担保は日本の安全保障上、死活的重要事だ。結果、非核三原則はいまや守るのではなく、見直しこそが必要である。鳩山氏の三原則論は日本を脅威の前に裸で立たせるようなものだ。


急に文章の格調が下がってきた。
言ってることが麻生並みであれば仕方がない。
以下、保守の論客とは思えない低俗な主張が続く。
読む価値もないものであるが、ついでだから載せておく。
麻生批判以外は、自民党の連中がすでに散々言ってきたことである。

 一方、政と官の関係を新たに規定する公務員制度改革について、麻生、鳩山両党首の言葉は共に、国民を騙(だま)すものである。麻生内閣の改革案は、結局、政治に対する官僚支配を強める内容となった。同案は廃案となったが、民主党案は、おそらく、自民党案より酷(ひど)い内容になる。鳩山氏は、幹事長だった今年6月30日、政権をとれば「局長クラス以上は辞表を出していただき」、民主党の大胆な官僚改革を行うとした。だが、いま「法的には難しい。辞表という形に必ずしもならない」と語る。長年、人事院と労組の連合の間には協調関係があった。民主党はその連合の支持を当てにする。大胆な公務員制度改革を阻む構図のなかに民主党が存在するのであり、事実、改革案の後退が早くも始まっているのだ。

 こうしてみると、民主党の政策には多くの疑問符をつけなければならない。だが、麻生首相のふがいなさゆえに、自民党に期待することも難しいのだ。そのふがいなさを、首相はいま、だれよりも深く肝に銘じよ。名誉挽回(ばんかい)に死力を尽くせ。


標題は「麻生首相にもの申す」となってはいるが、最後は麻生への叱咤激励である。
結局は「血は水よりも濃い」ということか。

読み終えた後のわたしの感想

櫻井よしこ氏は、思想家というよりは宗教家と呼んだ方がいいのではないか。





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王国崩壊・進む自民党離れ

2009-08-12 16:23:31 | 自民党
本人はいたってまじめにやっているつもりなのかもしれない。
あの泥酔会見の中川昭一元財務大臣である。
アル中もここまでくるとスケール雄大である。
世界的なアル中・中川昭一の面目躍如である。

中川昭一氏、総決起大会で「断酒」宣言 (YOMIURI ONLINE 2009年8月9日)
この日、中川氏の応援に駆けつけた政治評論家の三宅久之氏が講演の中で、「薬の影響と言っても誰も信用しない。酒をやめなさい」と酒を断つように進言。さらに、中川氏の叔父の中川義雄参院議員が「選挙に勝つためにも断酒宣言していただく」と促すと、中川氏も「日本のために、皆様のために酒を断つ」と決意を示した。


そんなこと言われても、こちらとしては挨拶に困る。
そんなことおっしゃらずにお好きなだけどうぞ、と言うほかない。

それにしても、「日本のために酒を断つ」と宣言した人間は史上初めてではないか。

「もうろう」酔い覚めず“王国”もヘロヘロ…北海道11区・中川前財務相 (スポーツ報知 2009年8月1日)
北海道11区は、何かと“いわく付き”な2人の争いになっている。あの「もうろう会見」で世界的な批判を浴びた自民党の中川昭一氏(56)。対する民主党の石川知裕氏(36)は小沢一郎氏の元秘書で、西松事件では参考人聴取を受けた。果たして「中川王国」はどうなるのか。全国注目の選挙区だ。

 帯広空港から市内に向かう国道236号線。道沿いには民主党陣営のポスターが目立つ。「昔は中川さんの目を気にして自民以外のポスターを張るなんて考えられなかったのに…。『中川王国』が崩壊しつつある象徴です」(帯広市議)。


まあ、自業自得だろう。

もう一つこちらの”王国”も奇妙な盛り上がりを見せている。
栃木の渡辺王国であるが、こちらはいたって健在である。
その健在であることが、自民党の頭痛の種になっているようだ。

渡辺善美が自民党を離党したのは今年1月13日のことである。
このとき素早く動いた男がいた。
政界失楽園男・船田元である。

2009年01月17日(土)のニュース (とちぎテレニュース)
栃木2区の公認問題について森山真弓衆議院議員が「必ず2人とも当選するよう頑張ろう」、西川公也衆院議員も「選挙区は私が出ることで了解をもらっている。森山先生の比例上位獲得に取り組む」と相次いで発言した。このほか、船田元衆議院議員が、今月、自民党を離党した渡辺喜美元行革担当相への対抗馬を当面は立てないよう自民党の古賀誠選対委員長に要望し、了承を得たことを明らかにした。


多少解説がいる。
渡辺善美の選挙区は栃木3区というところである。
(前回選挙)
1区 船田 元
2区 森山 真弓
3区 渡辺 喜美
4区 佐藤 勉
5区 茂木 敏充

3区の渡辺が自民離党したために、自民党の空白区ということになってしまう。
しかし、1区の船田元がここに自民党候補者を立てないように選対委員長古賀誠に申し入れをし、了承を得ていたらしい。
その約束が守られれば問題はなかったのだろうが、古賀が選対委員長を退いたせいなのかどうか。
今回2区は森山真弓に代えて西山公也を立てることになっていた。
そこで余った森山を3区の渡辺にぶつけようという名案を思いついた奴がいた。
渡辺に送る”81歳のマドンナ”刺客である。
(新候補者案)
1区 船田 元
2区 西川公也
3区 森山真弓
4区 佐藤 勉
5区 茂木 敏充

2区ではこれまで森山と西川が小選挙区と比例区とを交代で立候補してきていたが、今回は西川が小選挙区、森山が比例の候補になる番らしい。
ところが自民党の規則では比例は73歳までとなっている。
しかしそこは森山も抜け目はない。

森山真弓衆院議員が「特例」要望 栃木2区 (47news 2008.10.16
 自民党の次期衆院選本県2区の公認問題で、森山真弓衆院議員(80)は十五日午後、同党の地元県議三人とともに衆院議員会館で古賀誠同党選挙対策委員長と面会。本県2区の選挙情勢を説明した上で、西川公也衆院議員(65)に選挙協力する代わりに自身を比例単独候補として上位で処遇するようあらためて求めた。


81歳の森山は、早々と「特例」を求めていた。
それにしてもたいしたバアさんだ。
船田と言い、森山といい、自分の生き死にのこととなると機敏に動く。

自民党:衆院選小選挙区候補者 青森と宮崎で公認見送り (毎日jp 2009年7月31日)
一方、栃木3区の森山氏は81歳で、73歳以上を公認しない党の衆院比例代表の選定基準では重複立候補できない。だが菅氏は「通常の人とは違い、選挙区が違うところから出馬する」と述べ、例外を認める可能性を示した。


選対副委員長の菅が動いていた。
森山の比例重複を認める意向でいた。

ところが1~3区というのはかつての中選挙区時代の名残で、善美の父親渡辺美智雄の代からの渡辺王国であるらしい。

既に船田は、1月の段階で、渡辺の選挙区に自民党候補を立てないで欲しいと選対委員長古賀誠に申し入れていたのが菅に無視されてしまった。
そこで船田元の細田幹事長への申し入れになった。

森山氏擁立見直しを 県連要請、細田氏は否定的 (下野新聞SOON 8月6日) )
自民党県連会長代行の船田元・総務会長代理は6日午前、細田博之幹事長と党本部で会い、離党した渡辺喜美元行政改革担当相が立候補する衆院栃木3区に森山真弓元法相を擁立する方針を見直すよう県連として申し入れた。細田氏は「いったん預かる」と答えたが、見直しには否定的だ。

 県連側は、森山氏が3区に出馬すれば、渡辺氏は県内の他の小選挙区に対立候補を擁立し、自民党候補が打撃を受ける可能性があると指摘している。船田氏は要請後、記者団に「公認は党本部に委ねていたが、森山氏擁立については事前の相談や説明がなかった」と話した。


これも事情を承知していた選対委員長古賀誠の投げだしで起こった無用の混乱であろう。
「森山氏擁立については事前の相談や説明がなかった」という船田の言い分にも一理ある。
しかしテレビのインタビューに船田はこう答えている。
「渡辺さんがわたしの選挙区に対立候補を立てたりしたら大変なことになる」
結局自分の所に刺客を送られることを恐れていただけの話である。

栃木3区スッタモンダ…森山真弓さん政界引退表明 (Sponichi Annex 2009年08月09日)
 自民党は8日、衆院選で栃木3区の公認を決めていた森山真弓元法相(81)が出馬を辞退したと発表した。森山氏は同日夜、宇都宮市で記者会見し「(比例名簿に登載は)ないと思う。自分から求めていくことはしない」と述べた。さらに今回の衆院選で立候補する考えはあるかとの問いに「そんなことはない」として事実上の政界引退を表明した。

 栃木3区をめぐっては党本部が先月31日に森山氏公認を決定。県連は6日、渡辺喜美元行政改革担当相が県内の他の小選挙区に対立候補を擁立する可能性があるとして、細田博之幹事長に擁立見直しを申し入れた。これを受け森山氏も7日夜、首相と会い「無理に出たいと思っているわけではない」と伝えた。


ということで、自民は栃木3区を空白区とすることで一件落着か?

この際だから自民党議員の王国はすべて潰してやろう。
小泉王国、安倍王国、麻生王国、森王国、ほかにも小坂王国(長野1区)、保利王国(佐賀3区)、竹下王国(島根2区)、園田王国(熊本4区)等有名な奴から地元ではやたらに強いという奴らまで、知名度は様々だが、共通するのはほとんどが世襲議員の地盤になっているという点である。
二代、三代、四代と営々として築き上げた王国。
どいつもこいつも国王という顔ではなく、王子様という顔つきをしている。

こういう個人所有の王国は不要である。
わたしたちはあなたたちの王国の領民ではない!

<政権選択>農協、医師会 自民離れ (東京新聞 TOKYO Web 2009年8月6日)
政権選択をかけた衆院選が本番を迎える中、地方で自民党の集票マシンが自民一辺倒の支持を相次いで見直している。茨城県医師会に続き、保守王国・青森でも主要な支持基盤だった農協、医師会が自民候補の推薦を見送った。麻生太郎首相は自ら業界団体回りを率先し、つなぎ留めに懸命だが、小泉政権以来、積み重なった不満が一気に表面化した格好だ。 (金杉貴雄)

 「もう自民党はいいよ。こんだけだまされてきたんだから」


(面白い記事なので全部読んでいただければ幸いです)

各地で王国崩壊の動きが顕在化している。




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橋下と全国知事会の思い上り

2009-08-10 11:15:31 | 民主党
全国知事会というところが害毒を振りまいている。
橋下徹とそのまんま東が盛り上げ、それをマスコミが後押しして、いつの間にか地方分権が総選挙の前面に出てきてしまった。
今度は各政党のマニフェストの点数まで付けている。
思い上がりもたいがいにして欲しい。

知事会のマニフェスト採点、与党が一歩リード (YOMIURI ONLINE 8/8)
全国知事会は8日、自民、公明、民主3党の地方分権に関する政権公約(マニフェスト)の採点結果を発表した。


 100点満点で、自民党が60・6点、公明党が66・2点、民主党が58・3点だった。

公明党が1位、自民が2位、それで民主党が3位か。
綴り方教室の採点ではあるまいし。

結果ははじめから分かっていた。
音頭を取っている橋下はもともと自民党絶対支持を公言していた男である。今回は中立公平を装っているが、全くの嘘っぱちである。
人間そう簡単に変われるものではない。

彼のこれまでの言動をわたしの過去の投稿記事から抜き出してみる。

連合系メーデー出席辞退の弁(2008.06.13日投稿より)
「僕は自民、公明の支援で出てきたので。選挙は戦ですから。ちょっと、控えさせてもらいたい」
つぎは山口補選での与党候補への応援メッセージについて、
「僕自身も自民、公明の支持を得ることで知事になれた。自民、公明の判断に信頼を寄せてほしいという内容だ」

(2008-04-27 投稿記事より)
橋下知事は2月の山口県岩国市長選でも前自民党衆院議員を応援。同市が実施した米軍空母艦載機移転をめぐる住民投票について「地方自治体が国の防衛政策に異議を挟むべきではない」と批判し、前市長らの反発を招いた。

(橋下知事、山口2区で自民候補応援 2008-04-27 投稿記事より)
橋下知事によると、メッセージではガソリン税の暫定税率廃止について「無駄遣いの防止が重要であって、税収を放棄する考え方は政治として無責任」と民主党を批判。「政治で一番重要なのは国民や住民に我慢を説得できるかどうか」と訴えたという。


こういう人間なのである。
さらに全国知事会そのものにも問題がある。

都道府県知事名簿
数えてみると、全国47都道府県の内すくなくとも25の道府県知事は官僚出身者である。
出身省庁は旧自治省が圧倒的に多いが旧建設省、旧大蔵省などもある。
自民党議員から知事に転出していたのが少なくとも7人。そのほかにも橋下・そのまんま東等自民党の支援を受けているあるいは自民党シンパが数人いる。
結局、政治的に中立あるいは民主党系と思われるのはせいぜい5、6人であろう。

しかも全国知事会の事務総長は総務省からの天下りとか。

天下り禁止、官僚政治から政治主導の政治を唱える民主党に好意的な評価を出すはずはない。
民主党はむしろこんな全国知事会と戦う姿勢を示さなければならない。
彼等がいくら公平中立、客観的な立場を装ったとしても、彼等は自民支持者の集まりなのだ。

(地方自治体の借金:地方債残高+公営企業債残高+交付税特会借入金残高)
年月   国の借金 地方の借金 国と地方の借金
2007/3  834兆円  201兆円   1,035兆
(日本の借金残高)

彼等は、国が加害者、地方自治体は被害者であるというような言い方をする。
しかし地方自治体もこれまで国と同様にデタラメな行政を続けてきていることは明らかである。
不要不急の公共工事、箱物建設、乗る人もいない地方空港、第三セクターを利用した無駄遣いに天下り。
お手盛りの給与アップを続けた結果国家公務員より高い地方公務員の給与。
相変わらずなくならない裏金疑惑。
サッパリ進まない情報公開。
議会とのなれ合い行政。

彼等は国よりデタラメをやってきているとさえ言えるかも知れない。
政党のマニフェストに点数つけていられる立場ではなかろう。

彼等の言う地方分権とは、税金の分捕り合戦である。
国民にしてみれば、国に絞り取られるか、地方自治体にむしられるかという違いに過ぎない。
このことは地方消費税の論議に明確に現れている。

地方消費税の引き上げ提言 全国知事会、行革前提に (東京新聞TOKYO Web 2009年7月23日)
 全国知事会は二十三日、地方自治体の深刻な財源不足を解消するため、消費税5%のうち1%分を自治体に配分している地方消費税の引き上げを国に求める提言をまとめた。十五日の全国知事会議で増税論への国民の反発などを懸念した異論が出て、採択が持ち越された原案に「一層の行政改革を進める」などの修正を加え、了承された。原案になかった引き上げ時期についても「経済の好転を前提に低所得者の負担にも配慮」と、慎重な言い回しで示し、引き上げ幅も明記を避けた。知事会は提言文を与野党や関係省庁に提出し、対応を求めていく。


5%の取り合いである。
あわよくば、消費税そのものを引き上げようと隙を窺っている。
「一層の行政改革を進める」、「経済の好転を条件に」などとおざなりに付け加えるところなど、自民党とまったく同じである。

橋下は確かに大阪府の財政立て直しになにがしかの成果を上げたかも知れない。
だからといって全国知事会の音頭を取って税源、権限の移譲を国に要求するのはおかしかろう。
まず全国知事会に無駄排除、財政再建を徹底させるよう働きかけるのが先であろう。
国への要求はそれからではないのか?
少なくとも地方行政の反省と改革への明白な意思と工程を示すことの方が先であろう。

官僚という言葉は普通中央省庁の幹部(候補も含む)役人を指している。
地方自治体では使わないようだが、地方でも仕組みや意識はほぼ同じである。
民主党は官僚政治打破を標ぼうするなら、地方自治体に向かっても同じことを言わねばならない。
橋下のタワゴトにあわてふためき、こいつらの意を迎えるのに汲々としているようでは、たとえ選挙に勝ったとしても、たいしたことはできなかろう。



ついでにこちらもご覧ください。
「地方分権」という名の虚構 2009-07-12





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究極のKY麻生太郎・核の傘発言

2009-08-07 18:00:28 | 麻生太郎
KYという言葉がこれほどピッタリくる人間と舞台はそうそうはないだろう。
わたし自身はこの言葉を使ったことはなかったが、今度ばかりは他に使うべき言葉が見つからない。
広島原爆の日に、広島の地で行った麻生太郎内閣総理大臣の”核の傘”発言である。

首相日々:6日

 ◇午前
 7時50分 広島市中区の平和記念公園。原爆死没者慰霊式・平和祈念式に出席し、献花、あいさつ。

 9時    同公園内の平和記念資料館。見学。舛添要一厚生労働相ら同行。

    4分 デスコト国連総会議長と立ち話。

   24分 同市中区のリーガロイヤルホテル広島。

   38分 原爆症認定集団訴訟の終結に関する基本方針確認書署名式。

   50分 「被爆者代表から要望を聞く会」に出席し懇談。

10時42分 広島市政記者クラブ、内閣記者会と記者会見。

11時 6分 同市中区の広島原爆養護ホーム「舟入むつみ園」。

    7分 鎌田七男広島原爆被爆者援護事業団理事長、松若仁志夫園長ら。

   18分 入園者を慰問。舛添氏ら同席。

   37分 同市南区のホテルグランヴィア広島。秘書官と食事。


事前に原爆症訴訟で控訴断念を発表し、世論のご機嫌伺いをしている。
万全の仕掛けを施して広島に乗り込んだ麻生太郎。
次々とスケジュールをこなしていたのだが……。
バカの本性は詰まらぬところで現れる。

広島での記者会見

麻生首相 米の「核の傘」必要 (NHKニュース 8/6)
この中で麻生総理大臣は、記者団が「日本はアメリカの『核の傘』に守られているなかで、どう核軍縮に取り組むのか」と質問したのに対し、「核が世界で一斉に、ある日突然なくなるならいいが、通常では考えにくい。誰かがやめたら、相手もやめてくれるという世界ではないと思っている」と述べました。そのうえで、麻生総理大臣は「核で他国を攻撃しようという国が隣にある。北朝鮮の核ミサイルは日本にとって明白な脅威だ。それに対して、日本は、核で抑止する力を持つアメリカと同盟関係を結んでいるという現実を踏まえる必要がある」と述べ、北朝鮮の核の脅威に対抗するためにはアメリカの「核の傘」が必要だという認識を示しました。


「日本はアメリカの『核の傘』に守られているなかで、どう核軍縮に取り組むのか」
と、質問されるといきなりアホの麻生に逆戻りしてしまった。

以前から疑問に思っていたのだが、麻生のメディア記者に対する敵意はどこからきているのだろうか。
単に自分に対する批判記事を目にして、というだけではないような気がしていたのだが……。
「もしかすると麻生はインテリに対してコンプレックスを持っているのではないか?」
そう考えると、ぶら下がり会見の時などのあの大人げない態度にも納得がいくのだが。

それはともかく上の記事を読むと、「だから核軍縮は必要ないし、不可能である」というふうにしか読めない。
「どう核軍縮に取り組むのか」と質問されて、アメリカの核の傘が必要だというのは、答えになっていないだろう。
このところの右転回がこんなところにもつい顔を出してしまったのだろう。

ちなみにほとんどの報道記事は
「核で他国を攻撃しようという国が隣にある」と麻生の言葉を記しているが、実際の麻生の言い方は
「核で他国を攻撃しようという国が隣の国にある」
である。
メディアが親切に訂正してくれていた。
アー、ウーを省くのとは違う。
こういうところは正確に文章化してもらいたいものだ。

日程をみると、わずか1時間ちょっと前の平和祈念式典の挨拶では次のように述べていたのに。

広島原爆式典、麻生首相のあいさつ(全文)(YOMIURI ONLINE より)
我が国は、これまで15年間にわたって、国連総会に核廃絶決議を提出してきました。こうした中で、昨今、米露両国は、核兵器の一層の削減を目指して交渉を進めています。G8サミットでは、先月のラクイラにおいて、初めて、「核兵器のない世界」に言及し、世界的な核軍縮・不拡散に関する気運の高まりを維持・強化するための力強いメッセージを表明しました。

 そして本日、私は、改めて日本が、今後も非核三原則を堅持し、核兵器の廃絶と恒久平和の実現に向けて、国際社会の先頭に立っていくことをお誓い申し上げます。


久間防衛大臣の「米国の広島、長崎への原子爆弾投下について『しょうがないなと思っている』、という発言を彷彿とさせるが、実は麻生の発言の方がたちが悪いと言える。
久間の場合は、過ぎたことを今更蒸し返しても仕方がない、という個人的な思いがつい口に出た、とも考えられる。
麻生の場合は、確信犯であり、選挙対策でもある。

今度の選挙で、万が一麻生政権が存続するような結果になれば、日本は麻生の思い通りの方向へ引っ張っていかれることになる。





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自制心をなくした麻生自民党

2009-08-06 07:18:30 | 麻生太郎
自民党の政権公約が発表されてから、自民党の姿勢が多少変わってきているように感じる。
それまでは口をそろえて「財源問題」だけを叫んでいたのが、それに「安全保障」が加わってきた。むしろそちらに重点が移っているように思える。
自分のところの政権公約では、民主党の財源を責められないことに気がついたのだろう。
マスコミも財源問題を取り上げにくくなったらしい。
心なしか、民主党批判、財源批判の声が小さくなっている。

首相「伝統、国旗…守るべきもの守る」演説で保守色拍車 (asahi.com 8/2)
 麻生首相は2日、総選挙に向けた地方遊説で愛知県を訪れた。民主党に追い風が吹いているなか、ただでさえ同党が強い地域とあって、首相は17選を目指す海部俊樹元首相の事務所開きにも激励に駆けつけた。

 演説では失言を避けようと慎重な言い回しだが、「保守」強調には拍車がかかる。この日は「我々は守るべきものは守る。伝統であり、歴史であり、皇室であり、日本語であり、国旗を大事にする。日教組の先生をされた民主党が国旗を振りますか。日本にとって最も大事にすべきだ」と訴えた。

 演説冒頭では「一連の私の発言や力不足から党の結束の乱れが出て、自由民主党に対する信頼感の欠如につながった」と謝罪し、「競争が行き過ぎて弱者がしわ寄せを食らう。弊害を率直に認めて訂正しなければならない」。そのうえで経済対策の実績や民主党批判を続けるスタイルを定着させつつある。


一連の麻生降ろしをお詫び演説で乗り切って以来、すっかりお詫び戦術が気に入ったと見える。
やってみると意外に簡単だと分かったようだ。
「お詫び」と「反省」を売り物に元気よくあちこち駆け回っている。
当初はまったくお呼びがかからぬのでは、と心配していたがどうやらそれなりにお座敷がかかっているらしい。

民主党攻撃も財源問題ではさほど効果が上がらない。
そこで前面に出してきたのが、安全保障。
これなら自分の本音をしゃべればいいだけのことだ。
嬉々として叫んでいる。
しかし、麻生の言うところは安全保障問題というよりは、単なる右翼趣味に過ぎない。
伝統、歴史、皇室、日本語、国旗。
趣味の世界の話である。
これが、「日本にとって最も大事にすべきだ」と麻生の考えるものなのか!

「日教組の先生をされた民主党が国旗を振りますか」

日教組嫌いは、自民党には掃いて捨てるほどいるが、少なくとも総理大臣がこんなことを言うか!
「国旗を振る」とはどういうことなのか、意味が分からない。
学力低下も教育の荒廃もすべて日教組のせいにする。
1960年には日教組の組織率は80%以上であった。
1970年代には50%台。
現在では20%台らしい。
学力低下も教育の荒廃も一見すると、日教組の組織率と反比例しているかのようだ。

こちらは自民党の本質がより鋭く現れている。

米国へのミサイル、迎撃も可能に…安保懇報告書 (YOMIURI ONLINE 8月4日)

 麻生首相が主宰する「安全保障と防衛力に関する懇談会」(座長=勝俣恒久・東京電力会長)は4日午前、集団的自衛権の政府解釈見直しや、武器輸出3原則の緩和などを求める報告書をまとめ、首相に提出した。
(中略)
また、安倍政権当時に発足した政府の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」が2008年6月の報告書で、米国に向かうミサイルの迎撃や米艦防護を可能とする集団的自衛権の行使容認を求めたことを強く支持。北朝鮮の弾道ミサイルは「日米共通の脅威」とし、従来の集団的自衛権に関する解釈を見直し、米国に向かうミサイルの迎撃を可能にすべきだとした。米艦防護でも、集団的自衛権の解釈見直しも含めた「適切な法制度の整備」を求めた。

          ◇

 ◆安保懇報告書の骨子◆

 ▽核以外の打撃力による抑止力には日本の協力が必要

 ▽敵基地攻撃能力を含む抑止力向上で、適切な装備や運用の検討が必要

 ▽米国に向かうミサイルの迎撃や米艦防護のため、集団的自衛権の解釈を見直し

 ▽国際的な共同開発・生産への参加などは武器輸出3原則の例外とする

 ▽国際平和協力や他国部隊の後方支援は違憲ではないとの主張を強く支持

(2009年8月4日13時54分 読売新聞)


専守防衛という我が国のこれまでの安全保障政策は影も形もない。
憲法などは問題外。
これでも麻生には不満かも知れない。
しかし、どれ一つとっても10年前なら政権がひっくり返るような内容である。

とはいえ、問題にしたいのはその中身ではない。
この時期、こういう方向を明瞭にするその意図である。
多分、麻生は切り捨てるものを思い切って切り捨て、限られた部分だけに目標を絞ったのだろう。
ただ麻生の愚かさは、自分の切り捨てたものの大きさを量れないないところにある。
自分の周囲はほとんど右利きの人間である。
世の中に左利きの人間がどれだけいるのか分からないでいる。
右利きの人間だけを結集するだけで選挙に勝てると思っている。
例えが悪かった。
左利きではない。
単純に憲法を尊重し、平和を尊重し、一人一人の生活・幸福を大事に思う人たちである。
そのような人たちがどれだけいるのか、麻生は考えようともしていない。

自民党の姿勢には、幸福の科学のそれと共通するものを感じる。
幸福の科学・幸福実現党の政策を読んだわけではないが、一つだけ印象に残っていることがある。
「相続税をゼロにする」というのがあった。
彼等は国民全部から票を取ろうとはしていない。
相続税をゼロにすることによって恩恵を受ける階層は全体からみれば微々たるものである。
しかし彼等にすればそれだけでいいのである。
国民の1%でもいい。
2%でもいい。
はじめから国民のごく限られた階層からだけ票を得ようとしている。

国民全部に訴えるのではない。
国民の限られた部分だけをターゲットにするというのは弱小政党のとる方策であろう。
政権与党が取るべき道ではない。

せめてこれまでの自民党支持層だけでもつなぎ止めようという意図がはっきりと見て取れる。
追いつめられた者の焦りがそうさせているのだろう。
もともと政党というものは、ある集団の利益代弁者という性格を持っているものだが、一旦政権を握ったら国民全部の利益を守るために働くのが責任ある政治というものであろう。

中身について一つだけ触れておきたい。

「米国に向かうミサイルの迎撃や米艦防護のため」

北朝鮮からアメリカへ向けて発射されたミサイルを日本が撃ち落としてやろう、ということらしい。
アメリカとの間でそういう話が出ているのかどうかは分からない。
しかし、ここにはアメリカへの「滅私奉公」の精神がこれまでに例を見ないほど明瞭に現れている。
そしてこれらの主張が、民主党に対抗することを目的にことさら強調されているとしたら、国民の利益よりも政権維持を優先させた、国民の利益を損なう危険な手法と言うべきであろう。

麻生や自民党が安全保障ごっこにうつつを抜かしている間にも世界は動いている。

米ロ、核兵器削減に向けた新枠組み合意文書で合意─ロシア外務省筋=インタファクス
[モスクワ 6日 ロイター] ロシアのインタファクス通信は6日、米国とロシアが核兵器削減に関する枠組み合意の文書で合意し、オバマ米大統領とメドベージェフ・ロシア大統領が発表する見通しだと伝えた。
 インタファクス通信がロシア外務省筋の話として伝えたところによると、両首脳は6日夜、クレムリンで枠組み合意について発表する公算。長距離核弾道ミサイル数の上限などを制限している第1次戦略兵器削減条約(START1)は12月に失効する。枠組み合意はSTART1に代わる新たな条約の年内締結に向けた交渉の材料となる。

米中関係を最重要視 初の戦略・経済対話開幕 (北海道新聞 07/28 00:05 更新)
【ワシントン共同】米国と中国が外交・経済分野の問題を閣僚級で話し合う「米中戦略・経済対話」の初会合が27日、ワシントンで始まった。開幕式に出席したオバマ米大統領は「米中両国間の関係が、21世紀を形づくる。世界中のどの2国間関係よりも重要だ」とあいさつし、米中の新たな対話の枠組みを重視する姿勢を示した。

2女性記者とクリントン元大統領、米国到着 (YOMIURI ONLINE 8/5)
【バーバンク(米カリフォルニア州)=飯田達人】北朝鮮を訪問したビル・クリントン元米大統領と、北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記の「特赦」によって解放された2人の米国人女性記者を乗せた航空機は5日午前5時50分(日本時間同日午後9時50分)ごろ、ロサンゼルス郊外のバーバンクにあるボブ・ホープ空港に着陸。記者らは4か月半ぶりに家族との再会を果たした。


ロシア、中国、北朝鮮を相手にアメリカは戦略的に外交を進めている。
日本はこの三国相手にまったく足踏み状態あるいは後戻りの外交を行っている。
アメリカに代わって北朝鮮のミサイルを迎撃してやるなどと能天気なことを言っている場合ではなかろう。





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麻生内閣存続の恐怖

2009-08-04 06:03:29 | 麻生太郎
もし、今度の総選挙で自民・公明が過半数を確保すれば多分麻生内閣が続くことになる。
総選挙での勝敗ラインは自公、民主・社民・国民新党両陣営それぞれが衆議院の議席の過半数というところが共通の認識になっているようだ。
妥当なところであろう。
そしてもし自公で過半数が確保できれば、麻生をやめさせる口実がなくなる。
わたしたちは四年間あの麻生の嫌な顔をみ、あの嫌な声を聞き続けなければならない。
もし麻生・自民党が政権を維持したとすれば、彼等は自民党永久政権を作るためにありとあらゆる方策をとるだろう。
警察・検察・裁判所・マスコミ・御用評論家・御用学者・御用都道府県知事・中央省庁・地方自治体等々動員できる限りのものを動員することであろう。

民主党が政権をとっても、政権運営につまずけば次の選挙で政権を取り上げることが出来る。
しかし、自民党の場合はそうはいかない。
自民党は今回かくも民主党に追い込まれた。
その恐怖は骨身にしみたはずである。
彼等はその恐怖に懲りて、それを事前に防ぐために何でもしてくることは間違いなかろう。
小沢事件が教訓になっている。
多くの人が国策捜査・不公平な捜査であると検察を非難したが、検察も自民党も何の痛痒も感じていない。

今多くの国民は民主党政権が実現するだろうと考えている。
しかし、自民党政権が続いたときの恐怖を余りにも軽視し過ぎているように、思えるのである。
自民党や官僚たちのいざとなったときの恐ろしさを肝に銘じておく必要がある。

good loser という言葉がある。
潔い負け方をする人というような意味である。
反対は bad loser である。
自民党の悪あがきを見ているとついそんな言葉を頭に浮かべてしまう。

あれほど民主党のマニフェストについて、財源が不明確と攻撃してきた自民党であるが、その自民党のマニフェストはさぞかし明確な財源を手当してあるものと思っていたら、サッパリ見あたらない。
その自民党マニフェストをみて思ったことをいくつか記したい。

自民党のホームページをのぞくと、
”自民党の政策「皆さんとの約束」”というのがあり、要約版と政策BANKの二つが載っている。
これがマニフェストなんだろう。

1 安心な国民生活の構築

「中福祉・中負担の社会保障制度を構築する」


以前から麻生が言っていることだが、中福祉というのはどの程度のサービスを受けられるのか、一切の説明がされてこなかったし、今回も同じである。
健康保険、年金、生活保護、介護、育児補助等々に関し、中福祉の具体的な水準は不明のままである。
そして中負担とは国民にとってどれだけの負担を考えているのか、一切言及がない。

4 雇用対策
  70歳はつらつ現役プラン
働く意欲のある高齢者の方々が生涯現役として働きやすい環境を整え
「70歳現役社会──生涯現役社会」を実現する。


死ぬまで働かせるということらしい。
どうやら先日のあの発言はうっかり失言というのではなく麻生の持論、自民党の政策であったらしい。

<麻生首相>「高齢者は働くことしか才能ない」 野党が批判 (Yahoo Japan ニュース 7/25)
麻生太郎首相は25日、横浜市内で開かれた日本青年会議所(JC)の会合で「日本は65歳以上の人たちが元気」としたうえで、「元気元気な高齢者をいかに使うか。この人たちは皆さんと違って、働くことしか才能がないと思ってください」などと述べた。高齢者にも働いてもらい活力ある長寿社会を作ろうとの持論を述べたとみられるが、誤解を受ける表現に野党から批判が出ている。

 首相は「80歳過ぎて遊びを覚えても遅い。60過ぎて、80過ぎての手習いなんて遅い」とも発言。「働ける才能をもっと使い、その人たちが働けば、その人たちは納税者になる」と語った。


5 経済成長政策
経済成長による新規需要に加え、女性、高齢者の労働参加により、10年で家庭の手取り収入を100万円増やし、一人あたり国民所得を世界トップクラスにする。


ここでも高齢者を働かせる話である。
下々の平民は一生働け、というのは麻生にこびりついた固定観念のようである。

全体としては、具体的な財源はもちろん政策実現のための手法・手続き・過程がほとんど示されず、「~を進める」、「抜本的見直しを行う」、「推進に努める」、「適切に措置する」、「取り組む」、「実現を目指す」、「検討する」、「適切に執行する」、「着実に実施していく」等々の語句の連続である。

麻生もどんなマニフェストができあがるか分からなかったのだろうが、よく民主党を財源で責められたものだ。
未だに責めているところを見ると、まだ自分の所のマニフェストを読んでいないのかもしれない。





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自民党マニフェスト……責任力?バカ!

2009-08-02 19:50:46 | 麻生太郎
これまでに「責任力」なんて言葉を聞いた日本人がどれだけいるか?
浅学非才のわたしは、恥ずかしながら”責任力”という言葉を聞くのは初めてである。
自民党のマニフェストのキャッチコピー「日本を守る、責任力」
「責任力」という言葉には強い違和感を覚えるのだが、一向にそんな声は聞こえてこない。
だれも違和感を抱かないのか?
責任能力という言葉はあるが、そういう意味ではなさそうだ。
(もしかして”能”を取って、”能なし”というシャレか?)
多分麻生は、「責任力」という言葉を”責任を果たす力”、というような意味の積もりで使っているのだろう。

普通の人なら、「責任ある政治」、「責任感のある政治」、「責任を持つ政治」、「責任を取る政治」、「責任を果たす政治」と言うような使い方をするところだろう。
だれが考え出した言葉なのか。
試しにGoogleで検索してみた。
検索語は”責任力、辞書”とする。
麻生関連以外にヒット無し。
出てくるのは、すべて”責任能力”、”責任”等である。
その麻生に関連したものの一つをあげる。

首相陳謝し「責任力」 鳩山代表「政権交代」訴え釈明も (asahi.com 7/22)
衆院が21日解散され、与野党は8月18日公示、同30日投開票の総選挙へと走り出した。麻生首相は記者会見で「安心社会実現選挙」と位置づけ、「政党の責任力」を問うとして民主党との政権担当能力の違いを訴えた。


早くも麻生はここで「責任力」という言葉を使っていた。
検索語を代えて探していると次の記事が見つかった。

「責任力」VS「政権交代」 初の日曜、自・民応酬 (中国新聞ニュース 7/27)
衆院選の争点をめぐり、石原氏がNHK番組で「責任力」を挙げたのに対し、民主党の野田佳彦幹事長代理は「マニフェスト(政権公約)だ」とした上で「自民党の4年前のマニフェストはほとんど実現されず、政権担当能力がなかったことが証明された」と批判。


日付は麻生の方が先だから、使い始めたのは麻生なのか?
それとも自民党内で選挙対策用に考え出されていたのか?
石原伸晃は選挙対策本部副本部長、そして古賀が選対委員長を辞めた後の委員長代理に座っている。
どちらが使い始めたのかはよく分からない。
それにしても麻生の日本語にはついていけない。

他にはビジネス・派遣業界関連に「責任力」という言葉の使用が散見される程度である。

言葉は変化する。
わたしは新語・造語を頭から非難するものではない。
しかし、国民に向かって語りかけるのに、今まで国民のほとんどが聞いたことのない言葉を使う感覚は分からない。
だからこそインパクトがあるのだ、と言われればそれまでだが……。

表紙を見ただけで、こけおどしのいかがわしさをわたしは感じてしまうのだが。
肝心の中身については詳細が分からないので、それが分かった時点で感想を述べたい。
これまで散々民主党のマニフェストをけなしてきた自民党である。

かつてレーガンが大統領を退いた後、夫人が回想録を出した。
わたしは読んでいないが、書名は”My turn”であった。
”わたしの番よ”とでも訳せるか。
夫の在任中はいろいろ悪口を言われても反撃できなかったが、いよいよ反撃する時がきたということだったんだろう。

とりあえず自民党はマニフェストをだした。
今度は”My turn”である。
そして”Our turn”である。


(実はこの投稿は土曜日にupするつもりで前の晩寝る前に書いておいたのだが、土曜日早朝から会津方面へ釣行。少々寝過ごしてしまったために慌ただしい出発となり、upするのを忘れてしまった。今帰ってきたので遅ればせながらupする。多少鮮度が落ちたと思うがご容赦いただきたい)



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