焼酎のオンザロック

ただの好み。

医療ミステリー

2009年01月18日 23時05分17秒 | 本や映画、音楽
 作者は「ははきぎほうせい」という極めて読みにくい分かりにくい名前である。本職は医者、精神科医ということであるが本編の主題は臓器移植、しかも幼児への臓器移植。

 テーマとしては扱いにくいものである。

 無脳症児、つまり脳が無い状態で生まれてくる奇形児の臓器を移植用に利用して儲けている病院の話であるが、たまたま奇形児が生まれたものを利用するのではなく意図的に奇形児を生ませていたのだ。

 妊娠のある時期にビタミンAを大量に摂取すると奇形児が生まれるというのは本当らしい。この事実と臓器移植を結びつけたのがこの物語の主たる流れである。

 主人公は新人の看護婦。評判の高い病院の小児科に配属され希望に燃えている。同僚や先輩、上司にも恵まれ順風満帆の社会人として歩みだした。しかし産婦人科に配属された同期から妙な噂を聞く。

 産婦人科にはVIP用の病棟があり、そこで何が行われているか誰も知らず厳重な警備が敷かれているというのだ。そしてこの病院の名声の根源である幼児臓器移植は無脳症児の臓器を使ったのではないかというのだ。

 信頼の置ける医師と同期の三人でこの謎に取り組むが、まずは医師が事故死。同期は自殺してしまう。主人公は殺人だと確信しているが警察の動きは鈍い。そして主人公が狙われる。

 という話だが、一応ハッピーエンドといえるエンディングではある。

 ただしこの病院が行っていた無脳症児からの臓器移植自体は法律違反ではない。臓器移植については脳死判定が課題となるが、無脳症児にはそもそも脳が無いのだ。

 臓器不全の子供を持った親は藁にも縋る思いで臓器移植を望むだろうが幼児の脳死などは極めて稀で移植ができる可能性は低いのが現実だ。そこに課題が生まれる。

 作者は同様のテーマの作品を他にも書いている。必ずしも無脳症児の利用だけではなく堕胎する胎児を死なさずに保育して臓器を利用するもの等であるが、いずれにしても正邪は簡単につけられない。

 早く自分の細胞から自分の臓器をクローンする技術を確立じて欲しいものだ。




 
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 新鮮果物 | トップ | 賀詞交歓会 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

本や映画、音楽」カテゴリの最新記事