フランス人観察記録

日本人から見て解ってきたフランス人の考え方、行動についての覚書

宿は節約、でもお礼に蘭の花

2012年08月19日 | リール・アミアン

実はしばらくブログを休んでいたのは、四回目の来日で長く我が家に滞在していた人が、数日前に帰国したばかりだからだ。

その彼の初めての来日はちょうど二年前の夏、同じ時期だった。

ある友人からの紹介で、アミアンの近くのボーヴェと言うところで、地理・歴史を中学で教えていると言うこの若者が、東京に一週間滞在した後にやってきた。 

東京の宿に電話をした時や、昼過ぎにJR奈良に迎えに行った時、その日の午後ずっと夕方までフランスの歴史の話を聞いた間も、小さな声で話す子だなと思った。

翌日奈良案内をしようと出かけた時、別のフランス人旅行者と出会ったが、挨拶もしなかったのを見て、フランス人同志の方が警戒しあうのかなと感じた。 

しかし二週間近く滞在するうち、段々変わってきた。まず声が違う。大きな声になった。そして笑顔や冗談も多くなってきた。

一人でやってきた彼は30歳になっているけれども、緊張感があったに違いない。 

彼のいいところは、一人で出かけて行って帰って来たらまず感動を伝えてくれ、生き生きと話してくれることだ。そして食べ物も何でも「おいしい」と食べてくれ、朝は日本食をリクエストする。 

JRパスを有効に使うよう、アドバイスもした。

関西滞在中は奈良以外には、京都へ何日か、大阪へ一日出かけただけだったのでそれではあまりにもったいないと思ったからだ。

そして、広島・宮島、もしくは高野山へ宿泊も含めてどうかと提案した。

 

彼は「二泊するには予算がない。どちらかを、日帰りにしたい。」と言った。

こんな時、もちろん私なら高野山へは日帰り、宮島へは一泊と思うのだが、彼の下した決断は「宮島へは日帰り、高野山は宿坊体験をしたいので泊った方がいいと思う。」だった。

彼の予算に合うよう、1万円以下で2食付きの宿坊を探し、広島・宮島へは朝早い出発でのルートを検索して行き方を教えた。

 

まず、高野山へ出かけた。

質素な宿だったが、大きな部屋をあてがわれ、お坊さんが案内、食事の支度をしてくれるのを見て、ものすごい異文化を体験できたと、帰ってきてから興奮気味に話した。

その感動は、帰宅したときランの小さな鉢植えをお礼にと持ってきたことでもわかる。

ここで、ちょっとしたことに気づく。彼は宿代に予算は1万以内ということだった。宿代は節約するが、お礼のしるしの花は別なのである。

この心使いが嬉しい。これがあれば、宮島でも泊れるかもしれないと言うのに、やはり私たちとはお金の使い方が違うのかもしれない。 

「精進料理はとてもおいしかった。」と言うフランス人は若い人に多い。彼もまたそうだった。梅干し以外はすべておいしかったという。

(彼を紹介してくれた夫妻は、この精進料理に泣かされたのであったが)

さて、広島・宮島の旅の話は次に譲る。

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☆残念ながら、この夏の写真は、パソコンの不具合が生じたときに、消滅してしまい、紹介できない。

 



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