フランス人観察記録

日本人から見て解ってきたフランス人の考え方、行動についての覚書

日本の美、それは”隠れた美しさ”にあり!!

2011年10月22日 | パリ郊外

パリで会った半年後の秋、彼女は紅葉を見にやってきた。 

この時期は、京都は混みあうので、一日は奈良との境の浄瑠璃寺を選び、田舎の風景を楽しんでもらうことにした。

案の定、彼女は「こんな景色を見たかった」と気に入ってくれた。  

私もフランス、パリの景色は素晴らしいと思う。しかし田舎を訪れると、「ここもフランスなんだ」と美しい村にも感動する。おそらく彼女も同じような気持ちなのであろう。 

もう一日は京都、紅葉の有名な所のうちで、渋滞を避けるため、バスを使わずに行ける所の中から、真如堂と黒谷の金戒光明寺に決めた。

地下鉄東山から徒歩だ。

特に真如堂の紅葉は見事で、彼女もご満悦だった。 

少しずつ彼女のことが解りかけてきたが、彼女は大学では日本文学を、そして50代になってから始めた日本語の勉強は毎日していて、週に一度はパリの日本語のクラスで学んでいるとのことである。

 その成果は来日する度、会話で証明されている。しかしこのことは専門家からも認められた。彼女の次の来日は日本語のスピーチによるコンテストのご褒美だったのだから!! 

 
実は、手前味噌になるが、このスピーチに当たって、私も少しお手伝い?をしたため、自分のことのように嬉しかった。
タイトルは「隠れた美しさ」だった。
これこそが日本文化の集約と言っても大げさではなく、数年でよくそれが彼女に解ったものだと感心した。
 
その作文によると、最初は日本人の友人が「素敵だわ」というお茶碗などについても「こんな地味なお茶碗が?そんなにこれが素敵なの?」と、心の中では思ったそうだ。しかし日本人の友人に見方など教えてもらい、もちろん彼女も勉強し、わびさびが解り始めたという。
建物や自然の美しさに感動したのは初めのうちで、「美しい景色は日本の深い美しさを表現するには物足りない」と、彼女に言わしめることになったのだ。

             

 
自作の俳句から始まる作文はもちろん99%は彼女のオリジナルで、私は意味は通じるものの日本語としての自然な言い方はこちらのほうが、というようなアドバイスにとどめた。
 
私がフランス語の作文をするとき、いくら文法などに誤りがたくさんあったとしても、添削されてまったく他人の文章になってしまうのは正直がっかりしてしまう。
だから出来るだけ、彼女の文章、もっと言うと彼女らしさを残したいと言う気持ちで、添削させていただいたのだった。 
 
             

 今でもそれは間違っていなかったと思うが、彼女にこうしたらとアドバイスするのは、簡単ではなかった。
質問を投げかけながら、納得しないと絶対に変えないのは分かっていたが、こちらは日本語のスペシャリストではないし、どう伝えたらよいか、本当に悩まされた。
しかしこの経験は私のフランス語を見直すのにも、フランス人を理解するのにも大変役に立ってくれている。
私の友人の中でも、日本文化の深さを鑑賞できる友人の一人であることは間違いない。
 
 

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