彼女は、今では貴重な友人の一人だが、知り合ったのはネットである。
その初めての出会いについて記したい。
私の二度目の来仏前に、ちょうど京都に来るとのことを知り、案内をかってでたのだった。
会う前に、犬と一緒に写した写真を送られてきた。
奈良を案内する約束だが、京都駅まで迎えに行った。
メールには、赤いコートを着て京都タワーの見える正面で待っていると書かれていた。
思えばこれが面識のないフランス人と会う初めての約束であったが、赤いコートが目を引き、すぐに見つかった。
フランス人のこととて、約束の時間に多少は遅れてくるだろうと思っていたが、早く来て待っていてくれたようだ。
それ以降も他のフランス人と待ち合わせすることがあるが、時間に正確な日本人との約束だからか、ほとんどはこのように早めに着いて待っていてくれるのである。
彼女は京都では妙心寺の近くの家に部屋を借りて、そこを常宿にしていた。
一週間単位なので、料金もかなりリーズナブルらしい。
朝の食事はテイクアウトで簡単に済ませていると言っていた。
奈良までの列車で、お土産をいただき、そのお菓子についての説明をしてくれた。
私に会うまでも他の日本人の友人に会っていたらしいが、フランス語を話す機会は多くなかったようで、早口でフランス語を話しだして止まらなくなる時があった。
案内をしていて気付いたことは、写真の対象である。
「狛犬」や「鬼がわら」が好きだと言って、カメラに収めていた。
灯篭の下に鹿が彫刻されている「寝鹿」の写真を撮ったりしていた。釣り灯籠を見た時は「これは私が子供のころに本で見たことを思い出す」と嬉しそうにまたシャッターを切っていた。
そして忘れられないのが、一緒にお抹茶を飲み、飲み終わった後のしずくというか、 お茶碗の内側に残ったものをまた写真に撮っていたのだ。
こういうものにも関心を示すということが、とても新鮮に映った。
そして翌日は、京都案内であったが、そこでもまた彼女の日本に対する美意識を感じる。 桜の時期であったが、まだ寒く、早く見られるであろうと思った平野神社も一部のみの開花であった。
桜湯をいただいたときもこの桜湯を喜び、写真を撮っていた。
舞妓さんを見たときは、うなじがきれいだと言って、私をびっくりさせたのだった。
何気ないものにも美を見出す、それは普段からよほど感覚を研ぎ澄ませているに違いないと感心した。
この数週間後にパリで会うのだが、この年の秋にも再来日し、紅葉狩りに饗することになる。
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