阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

外務委員会での質疑

2011年05月26日 18時59分35秒 | 政治

 昨日は外務委員会で質疑を行いました。東日本大震災以降の日本の原子力外交政策について、また、放射能の風評被害に対する対応について、また、ビルマに対する経済支援の在り方について、さらに日本のODA政策における初等教育について質しました。下記のインターネットTVで観て頂けます。http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php

 具体的には下記の内容で質問しました。


 1.原子力外交政策について


 鳩山前首相は、2009年の国連総会において2020年までに1990年比較で25%削減すると約束している。一方で、東日本大震災と、福島第一原発の事故を受けて、今後、国内における原発の推進は見直しが必須だ。私自身は「新規の建造は認めない」「耐用年数過ぎたもの、危険が予測されるものについては廃炉」の方針で、再生可能エネルギー比率を高めるための大胆な政策転換が必要と考えている。

 一方、原発の輸出は上下水道整備や高速鉄道整備などと並び、「パッケージ型インフラ輸出」の中心である。との視点で質問したい。

① 2020年までに25%を削減するという国際約束についてはどう考えるか?(外務大臣の見解)

② ヨルダンの原子力については6月30日が入札の締め切り。締結を目指すとのことだが、海外に対しては原発を推進していく方針なのか、あるいは海外についても原子力政策は見直す方向なのか?

③ 「パッケージ型インフラ輸出」マスタープラン、設計、調達、建設、ファイナンス、管理・運営を含めた事業権全体をコーディネートして長期的に利益を得ていく。ヨルダンの原発に関しては、どこまでのパッケージを考えているのか? メンテナンスや事故対応に関する日本の責任は?

④ 福島第一原発事故対応では、総力を上げた対応をしているが、建設や運営、また事故対応など、外国に技術者を送って対応することは可能なのか? 

⑤ アラブ諸国において原子力はステータスであり、ヨルダンの日本に対する信頼は高い。現地では大きな反対運動はないように思われるが、日本政府、そしてヨルダン政府は国民にリスクについて適切な情報を提示しているのか? 


 2.ミャンマーへの経済協力と「パッケージ型インフラ輸出」

 民主化運動の指導者・アウンサンスーチー氏と電話での意見交換を続けている。アウンサンスーチー氏が所属するNLDは2月に欧米諸国による経済制裁解除には反対の立場を表明したが、「ミャンマーの国民にとってプラスになることであれば反対はしない」という姿勢も示している。電話で話した時も、事業の運営やメンテナンスに対しても、日本が責任を持って行い、人材育成や環境技術の移転を伴う「パッケージ型インフラ輸出」という考えには強い関心を示した。現在ミャンマーでは中国の投資がトップ。香港と合わせると44%。中国だけでも日本の50倍近い。また、統計には反映されていないであろう国境貿易を合わせるとさらに大きな数値で中国の影響力が極端に強くなっている。欧米諸国が経済制裁をしても、環境や人権に対する配慮の少ない国の投資が、有利な条件で市場を抑えるだけ。結果として、民主化が遠のくというジレンマがある。


① 政府にとって一義的にはカウンターパートは軍事政権であろうが、世界的な影響力を持っているアウンサンスーチー氏とも対話すべき。先方も熱望。特に「パッケージ型インフラ輸出」を始め、「ミャンマーの国民を受益者にする」経済協力や投資の在り方について、高いレベルの方を送ってしっかり議論・説明すべきと思うがどうして実現しないのか? 


② 日本による「太陽政策」についての評価、検証は? 軍事政権のペースで受け身の対応をしているうちに、日本の利益も、ミャンマーの国民の利益も失われている。政治主導であらゆる手段を使って外交をすべき。外交上不都合があるなら、特使を送って対応するなどの考えはないのか?


3.原発事故に対する風評被害対策

① 日中韓の首脳会談では、風評被害対策についての具体的な成果があった。今後の取り組みの方針は? また、各国の大使館としてはどのような対応をしているのか?


 福島原発事故に対して、EUをはじめとする各国が輸入制限を行っており、農林水産省からの通知により、都道府県が証明書を発行し、さらに放射線検査の実施や放射量に関する証明書の添付を要求しているが、大きな負担になっている。WTOの諸協定では、「衛生植物検疫措置の適応に関する協定」(第2条第2項)「貿易の技術的障害に関する協定」(第2条第2項)で、その適応に関しては十分な科学的根拠を求めている。外国政府や企業の対応が行き過ぎたものにならないよう、輸入制限に対し、科学的根拠の尊重を求めるWTO協定の精神を踏まえて安全性について外国政府に十分に説明すべき。

③ 外国政府による輸入制限がWTO協定に抵触していないか精査し、問題がある場合は国際ルールに基づきWTOの紛争手続きに基づいて解決すべきと思うが、見解は?

4.ODA政策と初等教育

 震災からの復興財源にするとのことでODAを1割、501億円削減した。二国間のODAについては削減しなかったことは評価するが、「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」に拠出されるはずだった159億円も含まれていることには多くの国際協力NGOが懸念している。私自身が3回マラリアにかかった「マラリア・キャリア」であり、この病気が多くの途上国にとって日常的な脅威であること、身にしみて感じている。今後もODAを大幅に増やすことは難しいと思うが、だからこそ、質を高める、また顔が見えるODAにしていかなくてはならない。日本らしい戦略を持つべき。

① 日本の特徴を活かしたODAの在り方について大臣の見解

② ミレニアム開発目標においては教育や人権、保健などの分野に力を入れることを目標としており、6月2日、3日には「フォローアップ会合」が行われる。ところが、日本は教育に対する支援の割合、とりわけ、初等教育、女子教育への拠出額が小さい。一方で、社会的収益率は初等教育、女子教育が高い。初等教育への支援を行うことは子供の命や基本的人権、尊厳を守ることにも直結するにもかかわらず、高等教育に比べると拠出額は格段に小さい。なぜか?


 このような内容で質問しました。30分間に多くの質問を詰め込みすぎ、時間がかなり窮屈でしたので準備していた多くの質問を割愛せざるを得ませんでしたが…。大臣の答弁についてはインターネット放送でご確認ください。



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