某ファンサイト管理人の音楽随想記

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「岸辺の記憶/ Different Shore 」 - Nightnoise

2005年12月12日 | ♪インスト・New Age

「岸辺の記憶/ Different Shore 」 - Nightnoise/ナイトノイズ(1995年)


静謐(せいひつ)

深淵で・・・美しい

それ以上は、言葉では上手く表現できない音楽だ・・・

多少音楽に詳しい人でも、このグループの音楽ほど言葉での的確な表現が難しい音楽はないと思う・・・。だから普通の人なら、このサウンドが何であるかは言葉では到底想像さえつかない人も多いに違いない。でも、かと言っていざその音楽を聴いてみると、彼らの音楽そのものがとっつき難いとは言えない。要は、あまりにいろんな要素が幾重にも折り重なり、多彩に練られ、深淵で唯一独自のものであるだけなのだ。

彼らの音楽の前では「言葉」がただ無力になってしまう。仮にジャンル分けが必要ならば、本来は「Nightnoise」という独立したジャンルを設けるべきなのだ。それくらい唯一無二の音世界である。

アイリッシュ系4人のアンサンブルによるこの音楽は、Tin Whistle/フルート、フィドル、ギター、シンセ等で成り立っている。内容は、一部伝承歌系もあるが、殆どがインストルメンタルである。アイリッシュ・トラッド(Celt/ケルト)をベース(ルーツ)に、トラディショナル、フォーキー、Jazz的インプロビゼーション、室内楽的なクラシカル・アンサンブル・・・etcと、正に言葉では言い尽くせない多彩な要素が見事にアンサンブル化されている。更にウィンダムヒルというレーベルカラーにまとめ上げられて音楽の普遍性に効を奏している。実に深くて美しいサウンドだ。

個人的には、フィドル(バイオリン)J・Cunnigham(惜しくも先般お亡くなりになってしまいました・・・)に入れ替わった前作(Shadow of Time)と本作が名作だと思う。彼の風貌に合わない?優しいメロディとフィドルが心を打つ。またB・Dunningのフルートの音色は、多くのクラシカル・フルーティストが出す無機質で機械的な音色が全くなく、本来この楽器が持つ柔軟性が十分に出ている(C管)。私はこのフルートの音色に本当に驚きました。(尤もこの人も、あのJames Galwayの手ほどきは受けているのですが・・・)。

いつまでも聞き込める本物の音楽を求めている方人は、本作と前作は、是非一度チェックしてみて下さい。ちなみにこのアルバムでは、「マドリードの朝」が特にお勧めです。

※(余談)遊佐未森さんのアルバムへの参加は、お互いのチャレンジは評価しますが、残念ながらマッチしなかったように思います・・・

J・Cunnighamの早すぎる死を悼みつつ・・


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